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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162538
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20241114BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20241114BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241114BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B23Q11/10 A
B24B55/06
B24B41/06 L
B23Q11/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078129
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャンカル バライリ
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
【Fターム(参考)】
3C011EE01
3C034BB73
3C047FF06
3C047FF19
3C047HH14
3C047HH15
(57)【要約】
【課題】加工点への液体供給により保持テーブル上から排出された加工屑の清掃作業を効率化することができる処理装置を提供すること。
【解決手段】処理装置は、保持面111と保持面111の反対側に位置する裏面112とを有する保持テーブル110と、保持テーブル110を支持するテーブルベース120と、テーブルベース120の少なくとも一部を覆うテーブルベースカバー130と、保持面111の上方で液体を供給する液体供給ノズル24と、を備え、テーブルベースカバー130は、保持面111を露出させる開口部132を含み保持面111より下方かつ裏面112より上方に位置する上面部131と、上面部131の外周縁135から垂下する側面部133と、を有し、保持面111および上面部131が受け止めた液体を側面部133に流下させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面と該保持面の反対側に位置する裏面とを有する保持テーブルと、
該保持テーブルを支持するテーブルベースと、
該テーブルベースの少なくとも一部を覆うテーブルベースカバーと、
該保持面の上方で液体を供給する液体供給ノズルと、
を備え、
該テーブルベースカバーは、
該保持面を露出させる開口部を含み該保持面より下方かつ該裏面より上方に位置する上面部と、
該上面部の外周縁から垂下する側面部と、
を有し、
該保持面および該上面部が受け止めた該液体を該側面部に流下させる
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
該テーブルベースカバーによって囲まれた領域に配設され、該保持テーブルと該開口部との隙間に向かって流体を供給する流体供給ノズルをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等の被加工物を加工する装置として、被加工物を保持する保持テーブルと、保持テーブルを支持するテーブルベースと、被加工物に加工を施す加工ユニットと、加工点に液体を供給する液体供給ノズルと、を備える切削装置や研削装置等の処理装置が用いられる。例えば、切削装置は、被加工物を保持テーブルで保持した状態で、切削ブレードを回転させつつ被加工物に切り込み送りすることにより被加工物を切削する(特許文献1)。
【0003】
ところで、被加工物を加工する際には、液体供給ノズルから切削ブレードや研削砥石等の加工点に液体を供給することで、加工により発生する加工屑を被加工物の表面から排出させている。この際、排出された加工屑がテーブルベース上に蓄積し、テーブルベース上に蓄積した加工屑が、加工処理時に霧状に舞い上がって被加工物の表面に付着して、被加工物を汚染する可能性がある。このため、テーブルベースの清掃作業が定期的に実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-036818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テーブルベース周辺には凹凸が多いため清掃がしにくく、また清掃時には保持テーブルを取り除いてから清掃する必要があり、煩に堪えないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工点への液体供給により保持テーブル上から排出された加工屑の清掃作業を効率化することができる処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の処理装置は、保持面と該保持面の反対側に位置する裏面とを有する保持テーブルと、該保持テーブルを支持するテーブルベースと、該テーブルベースの少なくとも一部を覆うテーブルベースカバーと、該保持面の上方で液体を供給する液体供給ノズルと、を備え、該テーブルベースカバーは、該保持面を露出させる開口部を含み該保持面より下方かつ該裏面より上方に位置する上面部と、該上面部の外周縁から垂下する側面部と、を有し、該保持面および該上面部が受け止めた該液体を該側面部に流下させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の処理装置は、該テーブルベースカバーによって囲まれた領域に配設され、該保持テーブルと該開口部との隙間に向かって流体を供給する流体供給ノズルをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、加工点への液体供給により保持テーブル上から排出された加工屑の清掃作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る処理装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す保持ユニットの構成例を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示すII-II線に沿う断面図である。
図4図4は、図3に示す二点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
図5図5は、変形例に係る保持ユニットの構成例を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示すIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
まず、本発明の実施形態に係る処理装置の全体構成について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る処理装置の構成例を示す斜視図である。図1に示すように、実施形態において、処理装置は、被加工物10を切削加工する切削装置1である。切削装置1は、切削ユニット20と、撮像ユニット30と、カセットエレベータ40と、洗浄ユニット50と、搬出入ユニット60と、第1搬送ユニット70と、第2搬送ユニット80と、表示ユニット90と、保持ユニット100と、切削装置1の各部を制御する不図示の制御ユニットと、を備える。
【0013】
切削装置1は、装置本体2と、装置本体2から立設した隔壁3、装置本体2の外表面に連なった複数の側壁4、加工領域5と搬入出領域6とを仕切る不図示の仕切り壁と、一つの側壁4の上端に一体に連なった天井壁7とにより囲まれて形成される加工室8を備える。加工領域5は、切削ユニット20の下方の領域である。搬入出領域6は、切削ユニット20の下方から離隔して被加工物10が搬入出される領域である。加工室8は、少なくとも保持ユニット100に保持された被加工物10に切削ユニット20で切削加工を実施する間に保持ユニット100と切削ユニット20とを収容する。加工室8は、実施形態において、加工領域5に位置付けられた保持ユニット100と切削ユニット20とを収容する。
【0014】
また、切削装置1は、保持ユニット100と切削ユニット20とを相対的に移動させる不図示の移動ユニットをさらに備える。移動ユニットは、保持ユニット100を加工送りする加工送りする加工送りユニットと、切削ユニット20を割り出し送りする割り出し送りユニットと、切削ユニット20を切り込み送りする切り込み送りユニットと、保持ユニット100を切込み送り方向と平行な軸心回りに回転する回転ユニットと、を含む。
【0015】
なお、実施形態の切削装置1は、加工送り方向がX軸方向であり、割り出し送り方向がY軸方向であり、切り込み送り方向がZ方向である。X軸方向は、水平面における一方向である。Y軸方向は、水平面において、X軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。
【0016】
加工送りユニット、割り出し送りユニットおよび切り込み送りユニットは、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータと、保持ユニット100又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールと、等を有する。回転ユニットは、保持ユニット100を軸心回りに回転するモータ等を有する。
【0017】
加工対象である被加工物10は、例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)又はその他の半導体材料を基板とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。あるいは、被加工物10は、サファイア(Al)、ガラス、石英等の材料を基板とする円板状のウェーハである。ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、等を含む。実施形態の被加工物10は、厚み350μmのシリコンウェーハである。
【0018】
被加工物10は、例えば、基板の表面に格子状に設定される複数の分割予定ラインと、分割予定ラインによって区画された領域に形成されたるデバイスと、を有する。デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいはLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。
【0019】
被加工物10は、例えば、環状のフレーム11が貼着されかつ被加工物10の外径よりも大径なテープ12が被加工物10の裏面に貼着されて、フレーム11の開口内に支持された状態で搬送および加工される。被加工物10は、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割されて、チップに個片化される。なお、被加工物10は、円板状に限定されず、樹脂パッケージ基板や金属基板等その他の板状であってもよい。また、チップは、正方形状に限定されず、長方形状又は多角形状であってもよい。
【0020】
切削ユニット20は、保持ユニット100に保持された被加工物10を切削加工するユニットである。切削ユニット20は、保持ユニット100に保持された被加工物10に対して、不図示の割り出し送りユニットによりY軸方向に移動自在、かつ切り込み送りユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、切削ブレード21と、スピンドル22と、スピンドルハウジング23と、液体供給ノズル24と、を有する。
【0021】
切削ブレード21は、略円環状を有する極薄の切削砥石を含む。実施形態において、切削ブレード21は、円環状の基台と、基台の外周縁に設けられる円環状の切り刃と、を備える所謂ハブブレードである。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とを含み、所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行な平行である。
【0022】
スピンドル22は、軸心がY軸方向と平行な方向になるように、スピンドルハウジング23に対して回転可能に設けられる。スピンドル22は、先端に切削ブレード21が装着される。スピンドル22は、不図示のスピンドルモータによって、軸心回りに回転することで、切削ブレード21をY軸方向と平行な軸心回りに回転させる。
【0023】
スピンドルハウジング23は、スピンドル22を内部に収容する。スピンドルハウジング23は、不図示の割り出し送りユニットによりY軸方向に移動自在、かつ切り込み送りユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられる。切削ユニット20は、割り出し送りユニットおよび切り込み送りユニットにより、保持ユニット100の保持面111の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0024】
液体供給ノズル24は、切削加工中、保持ユニット100の保持面111の上方において、切削ブレード21にむけて液体を供給する。液体供給ノズル24は、X軸方向と平行な方向に延在し、切削ブレード21の切り刃の下端をY軸方向に挟むように、互いにY軸方向に間隔をあけて一対設けられる。液体供給ノズル24は、スピンドルハウジング23に固定して設けられ、切削ブレード21の移動に伴って、Y軸方向およびZ軸方向に移動する。
【0025】
撮像ユニット30は、保持ユニット100に保持された被加工物10を撮像するユニットである。撮像ユニット30は、例えば、CCD撮像素子又はCMOS撮像素子等の撮像素子を有する。撮像ユニット30は、加工領域5と搬入出領域6との間を移動する保持ユニット100の上方に配置されている。撮像ユニット30は、保持ユニット100に保持された切削加工前の被加工物10の切削加工すべき領域を撮像して、画像を取得して、取得した画像を不図示の制御ユニットに出力する。
【0026】
カセットエレベータ40は、切削加工前後の被加工物10を複数枚収容するカセット41が載置され、かつカセット41をZ軸方向に昇降させる。カセット41は、フレーム11およびテープ12で支持された水平姿勢の被加工物10を、Z軸方向に間隔をあけて収容する。カセット41は、例えば、被加工物10を搬出入する方向(実施形態では、Y軸方向)に延び、フレーム11の外周を支持する一対の側板が内面に形成される。
【0027】
洗浄ユニット50は、切削加工後の被加工物10を洗浄するユニットである。洗浄ユニット50は、洗浄室51と、スピンナーテーブル52と、不図示の洗浄水供給ノズルと、を有する。洗浄室51は、装置本体2の上面から凹上に設けられ、被加工物10を上方から搬入出可能である。スピンナーテーブル52は、被加工物10を保持面53に吸引保持するとともにZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。不図示の洗浄水供給ノズルは、軸心回りに回転するスピンナーテーブル52に吸引保持された被加工物10に対して洗浄水を供給する。洗浄ユニット50は、スピンナーテーブル52を回転させながら洗浄水を供給することによって、被加工物10に供給された洗浄水が遠心力によって被加工物10の表面上を中心側から外周側に向けて流れていき、被加工物10の表面の全面を洗浄する。
【0028】
搬出入ユニット60は、切削装置1の内部で被加工物10を搬送するユニットである。搬出入ユニット60は、一対の仮置きレール61と、出し入れユニット62と、を有する。一対の仮置きレール61には、被加工物10が仮置きされる。出し入れユニット62は、カセット41から切削加工前の被加工物10を搬出して一対の仮置きレール61上に仮置きする。出し入れユニット62は、一対の仮置きレール61上に仮置きされた切削加工後の被加工物10をカセット41内に搬入する。出し入れユニット62は、被加工物10を支持したフレーム11の端部を挟持して、カセット41に対して被加工物10を出し入れする。
【0029】
第1搬送ユニット70は、切削装置1の内部で被加工物10を搬送するユニットである。第1搬送ユニット70は、一対の仮置きレール61上に仮置きされた被加工物10を吸引保持して搬入出領域6の保持ユニット100の保持面111上に搬送する。第1搬送ユニット70は、洗浄ユニット50のスピンナーテーブル52上の洗浄後の被加工物10を一対の仮置きレール61上に搬送する。第1搬送ユニット70は、不図示の真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、一対の仮置きレール61上に仮置きされた被加工物10およびスピンナーテーブル52上の被加工物10を吸引保持する吸引保持部71を有する。
【0030】
第2搬送ユニット80は、切削装置1の内部で被加工物10を搬送するユニットである。第2搬送ユニット80は、搬入出領域6の保持ユニット100上の切削加工後の被加工物10を洗浄ユニット50のスピンナーテーブル52上に搬送する。第2搬送ユニット80は、不図示の真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、搬入出領域6の保持ユニット100の保持面111上の被加工物10を吸引保持する吸引保持部81を備える。
【0031】
表示ユニット90は、液晶表示装置等により構成される表示部である。表示ユニット90は、例えば、加工条件の設定画面、撮像ユニット30が撮像した切削加工前の被加工物10の状態等を、表示面に表示させる。表示ユニット90の表示面がタッチパネルを含む場合、表示ユニット90は、入力部を含んでもよい。入力部は、オペレータが加工内容情報を登録する等の各種操作を受付可能である。入力部は、キーボード等の外部入力装置であってもよい。表示ユニット90は、表示面に表示される情報や画像が入力部等からの操作により切り換えられる。
【0032】
保持ユニット100は、被加工物10を保持するユニットである。保持ユニット100は、不図示の加工送りユニットによって、加工領域5と搬入出領域6とに亘って移動自在に設けられる。保持ユニット100は、回転ユニットによりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられる。保持ユニット100の下方は、不図示の回転ユニットの外周面に取り付けられたテーブルカバー101により覆われている。
【0033】
テーブルカバー101のX軸方向の両側には、不図示の加工送りユニットを覆う一対の蛇腹部材102が取り付けられている。蛇腹部材102は、可撓性を有してX軸方向に伸縮自在であり、テーブルカバー101、すなわち保持ユニット100がX軸方向に移動することを許容する。蛇腹部材102は、加工送りユニット等に液体供給ノズル24から供給された液体やデブリ等が付着することを規制する。保持ユニット100は、保持テーブル110と、テーブルベース120(図3参照)と、テーブルベースカバー130と、を有する。
【0034】
次に、本発明の主要部について、詳細に説明する。図2は、図1に示す保持ユニット100の構成例を示す斜視図である。図3は、図2に示すII-II線に沿う断面図である。図4は、図3に示す二点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【0035】
保持テーブル110は、保持面111と、保持面111の反対側に位置する裏面112とを有する厚手の円板形状に形成される。保持テーブル110は、テーブルベース120に支持される。保持テーブル110は、例えば、枠体113と、吸着部114と、を有する。
【0036】
枠体113には、一方の面である保持面111に、軸心方向に延びる厚手の円板形状の凹部115が形成される。凹部115の底面および内周面は、全面に亘って吸着部114と接する。枠体113の内部には、凹部115の底面と裏面112側との間に連通する流路が複数設けられる。流路は、裏面112側において、テーブルベース120の内部に形成された流路に接続する。枠体113の凹部115と反対側の面である裏面112は、テーブルベース120の後述の支柱部122に固定される。
【0037】
吸着部114は、凹部115の内部に嵌め込まれ、上面である保持面111で、被加工物10を保持する。吸着部114は、下面が枠体113の凹部115の底面を覆い、側面が凹部115の内周面に沿う厚手の円板形状である。吸着部114は、セラミック等のポーラス状に形成され、通気性および通水性を有する。吸着部114は、下面側において、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、保持面111に載置された被加工物10を吸引、保持する。
【0038】
テーブルベース120は、保持テーブル110を支持する。テーブルベース120は、基部121と、支柱部122と、クランプ部123と、を有する。基部121は、厚手の円板形状であり、保持ユニット100を切込み送り方向と平行な軸心回りに回転する不図示の回転ユニットに接続する。支柱部122は、基部121より外径が小さい円柱形状であり、下端が基部121の上端に固定される、又は基部121と一体で設けられる。支柱部122は、保持テーブル110の裏面112側を支持する。
【0039】
基部121および支柱部122の内部には、保持テーブル110の裏面112側と図示せぬ真空吸引源とを接続する流路が設けられる。基部121と支柱部122の少なくとも一部とは、実施形態において、テーブルカバー101より下方に埋没した位置に設けられる。クランプ部123は、保持テーブル110の外周において、フレーム11の外形に対応した位置に配置されるフレーム11の保持治具である。クランプ部123は、実施形態において、支柱部122に固定され、周方向に等間隔に4つ設けられる。
【0040】
クランプ部123は、例えば、支柱部122に固定されて保持ユニット100の軸心に対して径方向に延びるガイドレールと、ガイドレールに沿って摺動可能な支持基台と、水平姿勢において支持基台との間にフレーム11を挟み込む板状部と、板状部を保持テーブル110の周面の接線方向に平行な軸心回りに板状部を支持基台に対して回転させる回転駆動部と、を有する。
【0041】
テーブルベースカバー130は、テーブルベース120の少なくとも一部を覆うカバー部材である。テーブルベースカバー130は、上面部131と、開口部132と、側面部133と、開口部134と、を含む。上面部131は、中央部に保持面111を露出させる開口部132を含み、保持面111より下方かつ裏面112より上方に位置する円環板形状である。開口部132は、保持面111の外径と略同一の内径を有する円形状の孔である。保持テーブル110の外周面とテーブルベースカバー130の開口部132との間の隙間は、極力狭くすることが好ましい。
【0042】
側面部133は、上面部131の外周縁135から垂下する円筒形状である。テーブルベースカバー130は、液体供給ノズル24から切削ブレード21に供給され、保持テーブル110の保持面111およびテーブルベースカバー130の上面部131が受け止めた液体を、側面部133に流下させる。実施形態のテーブルベースカバー130には、外周縁135において、上面部131および側面部133の一部に、クランプ部123の板状部および回転駆動部の動作を阻害しないよう、クランプ部123に対応した開口部134が形成される。
【0043】
〔変形例〕
次に、本発明の変形例に係る保持ユニット200について説明する。図5は、変形例に係る保持ユニット200の構成例を示す斜視図である。図6は、図5に示すIII-III線に沿う断面図である。図5および図6に示す変形例において、実施形態と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略する。
【0044】
変形例の保持ユニット200は、実施形態の保持ユニット100と比較して、テーブルベースカバー130の代わりに、テーブルベースカバー230および流体供給ノズル240を有する点で異なる。テーブルベースカバー230は、実施形態のテーブルベースカバー130がテーブルベース120の上方の一部を覆うのに対し、支柱部122下端部および基部121の上面まで覆って下方が閉塞している点で異なる。すなわち、変形例のテーブルベースカバー230は、上面部131と、開口部132と、側面部233と、開口部134と、下面部236と、を含む。
【0045】
側面部233は、上面部131の外周縁135から垂下する円筒形状であって、下端が下面部236の外周縁237に接続する。下面部236は、テーブルベース120の基部121の上面より下方かつ下面より上方に位置し、内周縁が基部121に接続する円環板形状である。保持ユニット200は、保持テーブル110の側面および下面と、テーブルベース120の基部121の上面および側面と、支柱部122の側面と、テーブルベースカバー230の内面と、に囲まれた領域238に、液体供給ノズル24から供給された液体が流入することを抑制するように形成される。
【0046】
流体供給ノズル240は、テーブルベースカバー230によって囲まれた領域238に配設される。流体供給ノズル240は、不図示の流体供給源に接続し、保持テーブル110と、テーブルベースカバー230の開口部132との隙間に向かって流体241を供給する。流体供給ノズル240は、実施形態において、テーブルベース120の上面に固定され、上面側に射出口を有する。流体供給ノズル240は、例えば、複数の流体供給ノズル240が、支柱部122周りに等間隔に配置されてもよいし、環状の噴出口を有するものであってもよい。
【0047】
流体供給ノズル240がテーブルベースカバー230の開口部132との隙間に向かって流体241を供給することで、領域238の内部から外部に向かう流体241によって、当該隙間を封止して、液体供給ノズル24から供給された液体が流入することを抑制することができる。流体241は、実施形態において、空気等の気体であるが、本発明では、気体に限定されることなく、例えば、純水等の液体でもよく、空気等の気体と純水等の液体との混合流体等でもよい。なお、液体供給ノズル24から供給された液体が流入することを抑制する構成は、実施形態に限定されず、流体供給ノズル240が流体241を噴射する方向がテーブルベースカバー230の開口部132との隙間に向かう方向でなくてもよく、領域238全体に陽圧を形成できればよい。
【0048】
以上説明したように、実施形態に係る処理装置(切削装置1)では、保持テーブル110の保持面111の上方において切削ブレード21の加工点に供給され、保持面111が受け止めた液体がテーブルベース120に流下することを、テーブルベース120を覆うテーブルベースカバー130、230によって抑制している。これにより、加工屑がテーブルベース120上に蓄積することを抑制できるので、清掃時にはテーブルベースカバー130、230の上面部131を清掃するだけでよく、テーブルベース120を清掃する必要が無くなり清掃作業の効率化が図れる。また、仮に、保持テーブル110とテーブルベースカバー130、230の開口部132との隙間から液体が流入し、加工屑がテーブルベース120に付着した場合でも、テーブルベースカバー130、230によって被加工物10まで巻き上がることを抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、テーブルベースカバー130、230の上面部131が側面部133、233に向かって下方に傾斜していたり疎水処理が施されていたりしてもよい。
【0050】
また、本発明の処理装置は、切削装置1に限定されず、加工点に液体を供給することで保持テーブル上から加工屑を排出する構成の装置であればよく、例えば、研削装置であってもよい。処理装置が研削装置である場合、実施形態の切削ユニット20の代わりに、Z軸回りに回動するスピンドルとスピンドルの下端に設けられる研削ホイールと、研削ホイールの下端に装着される研削砥石と、を有する研削ユニットを備える。研削装置では、研削砥石が被加工物の一方の面を研削することで発生する研削屑を、液体供給ユニットが研削砥石に向けて液体を供給することで、保持テーブル上から排出する。
【符号の説明】
【0051】
1 切削装置(処理装置)
10 被加工物
20 切削ユニット
21 切削ブレード
24 液体供給ノズル
100、200 保持ユニット
110 保持テーブル
111 保持面
112 裏面
113 枠体
114 吸着部
115 凹部
120 テーブルベース
121 基部
122 支柱部
123 クランプ部
130、230 テーブルベースカバー
131 上面部
132 開口部
133、233 側面部
134 開口部
135 外周縁
236 下面部
237 外周縁
238 領域
240 流体供給ノズル
241 流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6