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特開2024-162560情報処理装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162560
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20241114BHJP
【FI】
G16H30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078181
(22)【出願日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 晶路
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】情報処理装置、方法およびプログラムにおいて、作成時期が異なる読影レポート等の医用文書の比較を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】プロセッサは、作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、複数の医用文書のうちの一の医用文書と、一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、一の医用文書をディスプレイに表示し、一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、指定された文字列を含む記述に対応する、少なくとも1つの他の医用文書の記述を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
前記一の医用文書をディスプレイに表示し、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数の医用文書のそれぞれに含まれる記述を病変毎に分類し、前記病変毎に前記互いに対応する記述を特定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の医用文書のそれぞれに含まれる対応する記述間の差分をさらに特定し、
前記少なくとも1つの他の医用文書において、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述に代えて、または前記指定された文字列を含む記述に対応する記述に加えて、前記差分を前記差分以外の記述とは異なるように表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記医用文書は、前記医用文書に対応する医用画像を含み、
前記プロセッサは、前記異なるように表示された記述に関連する前記医用画像における少なくとも部分領域を、前記部分領域以外の他の領域とは異なるように表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記一の医用文書において、前記互いに対応する記述に関連する文字列を、前記関連する文字列以外の他の文字列とは異なるように表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記一の医用文書において、前記文字列を含む記述を、前記文字列を含む記述以外の他の記述とは異なるように表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記一の医用文書は、現在作成中の医用文書である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の医用文書は、異なるモダリティにより取得された医用文書を少なくとも一部に含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、複数の前記他の医用文書を表示するに際し、前記一の医用文書と作成時期が近い前記他の医用文書ほど前記記述を優先的に前記異なるように表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
前記一の医用文書をディスプレイに表示し、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する情報処理方法。
【請求項11】
作成時期が異なる複数の医用文書を取得する手順と、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定する手順と、
前記一の医用文書をディスプレイに表示する手順と、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付ける手順と、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する手順とをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)装置およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医療機器の進歩により、より質の高い高解像度の医用画像を用いての画像診断が可能となってきている。とくに、CT画像およびMRI画像等を用いた画像診断の際には、画像の読影結果を含む読影レポートが作成される。このような読影レポート等の医用文書の作成を支援するための各種手法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、患者についての最も新しい現在の医用画像および同一患者の過去の読影レポートを取得し、表示された現在の医用画像において指定された位置に対応する、読影レポートに含まれる文字を特定し、特定した文字を強調して表示する手法が提案されている。特許文献1に記載された手法によれば、ユーザは現在の医用画像に関連する過去の読影レポートの記述を容易に参照することができるため、現在の医用画像に対する読影レポートの作成を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-153249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された手法は、現在の医用画像について作成した現在の読影レポートと過去の読影レポートとを比較することができない。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、作成時期が異なる読影レポート等の医用文書の比較を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による情報処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
複数の医用文書のうちの一の医用文書と、一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
一の医用文書をディスプレイに表示し、
一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
指定された文字列を含む記述に対応する、少なくとも1つの他の医用文書の記述を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する。
【0008】
なお、本開示による情報処理装置においては、プロセッサは、複数の医用文書のそれぞれに含まれる記述を病変毎に分類し、病変毎に互いに対応する記述を特定するものであってもよい。
【0009】
また、本開示による情報処理装置においては、プロセッサは、複数の医用文書のそれぞれに含まれる対応する記述間の差分をさらに特定し、
少なくとも1つの他の医用文書において、指定された文字列を含む記述に対応する記述に代えて、または指定された文字列を含む記述に対応する記述に加えて、差分を差分以外の記述とは異なるように表示するものであってもよい。
【0010】
また、本開示による情報処理装置においては、医用文書は、医用文書に対応する医用画像を含み、
プロセッサは、異なるように表示された記述に関連する医用画像における少なくとも部分領域を、部分領域以外の他の領域とは異なるように表示するものであってもよい。
【0011】
また、本開示による情報処理装置においては、プロセッサは、一の医用文書において、互いに対応する記述に関連する文字列を、関連する文字列以外の他の文字列とは異なるように表示するものであってもよい。
【0012】
また、本開示による情報処理装置においては、プロセッサは、一の医用文書において、文字列を含む記述を、文字列を含む記述以外の他の記述とは異なるように表示するものであってもよい。
【0013】
また、本開示による情報処理装置においては、一の医用文書は、現在作成中の医用文書であってもよい。
【0014】
また、本開示による情報処理装置においては、複数の医用文書は、異なるモダリティにより取得された医用文書を少なくとも一部に含むものであってもよい。
【0015】
また、本開示による情報処理装置においては、プロセッサは、複数の他の医用文書を表示するに際し、一の医用文書と作成時期が近い他の医用文書ほど記述を優先的に異なるように表示するものであってもよい。
【0016】
本開示による情報処理方法は、コンピュータが、作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
複数の医用文書のうちの一の医用文書と、一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
一の医用文書をディスプレイに表示し、
一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
指定された文字列を含む記述に対応する、少なくとも1つの他の医用文書の記述を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する。
【0017】
本開示による情報処理プログラムは、作成時期が異なる複数の医用文書を取得する手順と、
複数の医用文書のうちの一の医用文書と、一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定する手順と、
一の医用文書をディスプレイに表示する手順と、
一の医用文書に対する文字列の指定を受け付ける手順と、
指定された文字列を含む記述に対応する、少なくとも1つの他の医用文書の記述を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、作成時期が異なる読影レポート等の医用文書の比較を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の第1の実施形態による情報処理装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図
図2】第1の実施形態による情報処理装置の概略構成を示す図
図3】第1の実施形態による情報処理装置の機能構成図
図4】第1の実施形態における記述の特定を説明するための図
図5】第1の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図
図6】第1の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図
図7】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
図8】第1の実施形態における読影レポートの表示画面の他の例を示す図
図9】第2の実施形態における読影レポートの作成画面を示す図
図10】第3の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図
図11】第4の実施形態における記述および差分の特定を説明するための図
図12】第4の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図
図13】第4の実施形態における読影レポートの表示画面の他の例を示す図
図14】複数の読影レポートの表示画面を示す図
図15】複数の読影レポートの表示画面の他の例を示す図
図16】第1の実施形態における読影レポートの表示画面の他の例を示す図
図17】第1の実施形態における読影レポートの表示画面の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。まず、本実施形態による情報処理装置を適用した医療情報システム1の構成について説明する。図1は、医療情報システム1の概略構成を示す図である。図1に示す医療情報システム1は、公知のオーダリングシステムを用いた診療科の医師からの検査オーダに基づいて、被写体の検査対象部位の撮影、撮影により取得された医用画像の保管、読影医による医用画像の読影と読影レポートの作成、および依頼元の診療科の医師による読影レポートの閲覧と読影対象の医用画像の詳細観察とを行うためのシステムである。
【0021】
図1に示すように、医療情報システム1は、複数の撮影装置2、読影端末である複数の読影WS(WorkStation)3、診療WS4、画像サーバ5、画像データベース(以下、画像DB(DataBase)とする)6、レポートサーバ7およびレポートデータベース(以下レポートDBとする)8が、有線または無線のネットワーク10を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。
【0022】
各機器は、医療情報システム1の構成要素として機能させるためのアプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータである。アプリケーションプログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)およびCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。または、ネットワーク10に接続されたサーバコンピュータの記憶装置、若しくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0023】
撮影装置2は、被写体の診断対象となる部位を撮影することにより、診断対象部位を表す医用画像を生成する装置(モダリティ)である。具体的には、単純X線撮影装置、CT装置、MRI装置、およびPET(Positron Emission Tomography)装置等である。撮影装置2により生成された医用画像は画像サーバ5に送信され、画像DB6に保存される。
【0024】
読影WS3は、例えば放射線科の読影医が、医用画像の読影および読影レポートの作成等に利用するコンピュータであり、本実施形態による情報処理装置20を内包する。読影WS3では、画像サーバ5に対する医用画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した医用画像に対する各種画像処理、医用画像の表示、および医用画像に関する所見文の入力受け付け等が行われる。また、読影WS3では、医用画像および入力された所見文に対する解析処理、解析結果に基づく読影レポートの作成の支援、レポートサーバ7に対する読影レポートの登録要求と閲覧要求、およびレポートサーバ7から受信した読影レポートの表示が行われる。これらの処理は、読影WS3が各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。
【0025】
診療WS4は、診療科の医師が、画像の詳細観察、読影レポートの閲覧、および電子カルテの作成等に利用するコンピュータであり、本実施形態による情報処理装置20を内包する。診療WS4では、画像サーバ5に対する画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した画像の表示、レポートサーバ7に対する読影レポートの閲覧要求、およびレポートサーバ7から受信した読影レポートの表示が行われる。これらの処理は、診療WS4が各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。
【0026】
画像サーバ5は、汎用のコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ5は画像DB6が構成されるストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ5とデータバスとによって接続されたハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク10に接続されているNAS(Network Attached Storage)およびSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。また、画像サーバ5は、撮影装置2からの医用画像の登録要求を受け付けると、その医用画像をデータベース用のフォーマットに整えて画像DB6に登録する。なお、本実施形態においては、疾患に応じた診断ガイドラインも画像サーバ5に保存されているものとするが、これに限定されるものではない。
【0027】
画像DB6には、撮影装置2において取得された医用画像の画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の医用画像を識別するための画像ID(identification)、被写体を識別するための患者ID、検査を識別するための検査ID、医用画像毎に割り振られるユニークなID(UID:unique identification)、医用画像が生成された検査日、検査時刻、医用画像を取得するための検査で使用された撮影装置の種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影情報(撮影プロトコル、撮影シーケンス、撮像手法、撮影条件、造影剤の使用等)、1回の検査で複数の医用画像を取得した場合のシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれる。
【0028】
また、画像サーバ5は、読影WS3および診療WS4からの閲覧要求をネットワーク10経由で受信すると、画像DB6に登録されている医用画像を検索し、検索された医用画像を要求元の読影WS3および診療WS4に送信する。
【0029】
レポートサーバ7には、汎用のコンピュータにデータベース管理システムの機能を提供するソフトウェアプログラムが組み込まれる。レポートサーバ7は、読影WS3からの読影レポートの登録要求を受け付けると、その読影レポートをデータベース用のフォーマットに整えてレポートDB8に登録する。
【0030】
レポートDB8には、読影医が読影WS3を用いて作成した所見文を少なくとも含む読影レポートが登録される。読影レポートは、例えば、読影対象の医用画像、医用画像を識別する画像ID、読影を行った読影医を識別するための読影医ID、病変名、病変の位置情報、特定領域を含む医用画像にアクセスするための情報、および性状情報等の情報を含んでいてもよい。
【0031】
また、レポートサーバ7は、読影WS3および診療WS4からの読影レポートの閲覧要求をネットワーク10経由で受信すると、レポートDB8に登録されている読影レポートを検索し、検索された読影レポートを要求元の読影WS3および診療WS4に送信する。
【0032】
なお、本実施形態においては、医用画像は診断対象を肺とした、複数の断層画像からなる3次元のCT画像とし、読影WS3においてCT画像を読影することにより、肺に含まれる異常陰影についての読影レポートを作成するものとする。なお、医用画像はCT画像に限定されるものではなく、MRI画像および単純X線撮影装置により取得された単純2次元画像等の任意の医用画像を用いることができる。
【0033】
ネットワーク10は、病院内の各種機器を接続する有線または無線のローカルエリアネットワークである。読影WS3が他の病院あるいは診療所に設置されている場合には、ネットワーク10は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットまたは専用回線で接続した構成としてもよい。
【0034】
次いで、本開示の第1の実施形態による情報処理装置について説明する。図2は、第1の実施形態による情報処理装置のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)11、不揮発性のストレージ13、および一時記憶領域としてのメモリ16を含む。また、情報処理装置20は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ14、キーボードとマウス等の入力デバイス15、およびネットワーク10に接続されるネットワークI/F(InterFace)17を含む。CPU11、ストレージ13、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16およびネットワークI/F17は、バス18に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0035】
ストレージ13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ13には、情報処理プログラム12が記憶される。CPU11は、ストレージ13から情報処理プログラムを読み出してからメモリ16に展開し、展開した情報処理プログラム12を実行する。
【0036】
次いで、第1の実施形態による情報処理装置の機能的な構成を説明する。図3は、第1の実施形態による情報処理装置の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、第1の実施形態による情報処理装置20は、取得部21、記述特定部22、および表示制御部23を備える。そして、CPU11が、情報処理プログラムを実行することにより、CPU11は、取得部21、記述特定部22、および表示制御部23として機能する。なお、以下では、診療WS4に内包された情報処理装置について説明するが、これに限定されるものではない。
【0037】
取得部21は、医師等のユーザによる入力デバイス15からの指示により、レポートDB8から、診察をする患者についての読影レポートを取得する。読影レポートが本開示における医用文書の一例である。ここで、取得する読影レポートは、これから診断を行う現在の読影レポートR1および現在の読影レポートよりも時期的に前に作成された少なくとも1つの過去の読影レポートRpi(i=1~n)である。取得部21が取得した読影レポートR1,Rpiはストレージ13に保存される。なお、取得部21は、患者について現在の読影レポートR1を作成した医用画像を画像DB6から取得するようにしてもよい。
【0038】
記述特定部22は、取得部21が取得した読影レポートR1,Rpiを解析することにより、読影レポートR1,Rpiのそれぞれに含まれる互いに対応する記述を特定する。具体的には、記述特定部22は、読影レポートR1,Rpiを自然言語処理の技術を用いて解析することにより、読影レポートR1,Rpiに含まれる文章を病変毎の文章に分類する。また、記述特定部22は、病変毎の文章に含まれる病変を表す文字列をキーワードとして特定するようにしてもよい。
【0039】
なお、自然言語処理とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに処理させる一連の技術である。自然言語処理により、文章の単語への分割、構文の解析、および意味の解析等を行うことができる。
【0040】
図4は記述の特定を説明するための図である。なお、ここでは説明のために過去の読影レポートは1つのみであるものとする。図4に示すように、現在の読影レポートR1には、「右肺S3bに35mm大の結節あり。前回よりわずかに増大している。この周囲の小結節は著変無し。左肺S6のすりガラス影も著変無し。左肺底部に微小結節を認める。」と記載されている。過去の読影レポートRp1には「右肺S3に30mm大の充実型結節あり。分葉状で一部にスピキュラを伴っており、肺癌を疑う。この周囲には小結節を認め、転移と思われる。左肺S6にはすりガラス影を認める。前回から著変無し。」と記載されている。
【0041】
記述特定部22は、読影レポートR1,Rpiの文章に含まれる病変に関する記載を特定する。本実施形態において記述特定部22は、自然言語処理により病変の記載を判別する。そして、読影レポートR1,Rpiに記載された文章を、判別した病変毎に分類することにより、文章を構造化する。
【0042】
例えば、記述特定部22は、図4に示す現在の読影レポートR1を、結節に関する文章である「右肺S3bに35mm大の結節あり。前回よりわずかに増大している。」(文章30とする)、小結節に関する文章である「この周囲の小結節は著変無し。」(文章31とする)、すりガラス影に関する文章である「左肺S6のすりガラス影も著変無し。」(文章32とする)、および微小結節に関する文章である「左肺底部に微小結節を認める。」(文章33とする)の4つの文章30~33に構造化する。
【0043】
また、記述特定部22は、過去の読影レポートRp1を、結節に関する文章である「右肺S3に30mm大の充実型結節あり。分葉状で一部にスピキュラを伴っており、肺癌を疑う。」(文章40とする)、小結節に関する文章である「この周囲には小結節を認め、転移と思われる。」(文章41とする)、およびすりガラス影に関する文章である「左肺S6にはすりガラス影を認める。前回から著変無し。」(文章42とする)の3つの文章40~42に構造化する。
【0044】
記述特定部22は、現在の読影レポートR1を構造化することにより得られた4つの文章30~33および過去の読影レポートRpiを構造化することにより得られた3つの文章40~42について、同一病変についての文章同士を対応付けることにより、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiのそれぞれに含まれる互いに対応する記述を特定する。これにより、現在の読影レポートR1の結節に関する文章30と過去の読影レポートRpiの結節に関する文章40とが対応する記述に特定される。また、現在の読影レポートR1の小結節に関する文章31と過去の読影レポートRpiの小結節に関する文章41とが対応する記述に特定される。また、現在の読影レポートR1のすりガラス影に関する文章32と、過去の読影レポートRpiのすりガラス影に関する文章42とが対応する記述に特定される。
【0045】
表示制御部23は、取得部21が取得した現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiをディスプレイ14に表示する。図5は読影レポートの表示画面を示す図である。図5に示すように、読影レポートの表示画面50には、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1が表示されている。現在の読影レポートR1の作成日時は2023年2月28日、過去の読影レポートRp1の作成日時は2022年3月3日である。また、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1のそれぞれには、読影レポートを作成した医用画像G1,Gp1がそれぞれ含まれる。
【0046】
ユーザは現在の読影レポートR1の記載において、入力デバイス15を用いてカーソルを移動させることにより文字列を選択することができる。例えば、図6に示すように、ユーザが現在の読影レポートR1に記載されている「小結節」を選択したとする。図6においては「小結節」の選択を矩形で囲むことにより表している。表示制御部23は、過去の読影レポートRp1において、現在の読影レポートR1の「小結節」が記述された文章31と記述が対応する文章41を、文章41以外の他の文章とは異なるように表示する。具体的には文章41を強調表示する。強調表示は、例えば、文章41の背景に色を付与する、下線を付与する、文字色を変更するおよびフォントを変更するなど、任意の手法を用いることができる。また、文章41以外の他の文章の文字の色を薄くする、または文章41以外の他の文章を黒く塗りつぶす等により、文章41を文章41以外の他の文章とは異なるように表示してもよい。図6においては文章41を矩形で囲むことにより、文章41が強調表示されていることを表している。なお、現在の読影レポートR1に記載されている「結節」を指定した場合、過去の読影レポートRp1における文章40が強調表示される。また、現在の読影レポートR1に記載されている「すりガラス影」を指定した場合、過去の読影レポートRp1における文章42が強調表示される。
【0047】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図7は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、取得部21が作成時期が異なる複数の医用文書、すなわち現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiをレポートDB8から取得する(ステップST1)。次いで、記述特定部22が、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiのそれぞれに含まれる互いに対応する記述を特定する(ステップST2)。そして、表示制御部23が、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiをディスプレイ14に表示する(ステップST3)。
【0048】
続いて、現在の読影レポートR1において文字列が指定されたか否かの監視が開始され(ステップST4)、ステップST4が肯定されると、表示制御部23は、指定された文字列を含む記述に対応する記述の文章を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示、すなわち強調表示し(ステップST5)、ステップST4にリターンする。
【0049】
このように、第1の実施形態においては、現在の読影レポートR1に対する文字列の指定を受け付け、指定された文字列を含む記述に対応する、過去の読影レポートRpiの記述を、指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示するようにした。このため、作成時期が異なる読影レポート等の医用文書の比較を容易に行うことができる。
【0050】
なお、上記第1の実施形態においては、過去の読影レポートRpiに含まれる医用画像Gp1において、異なるように表示した文章に含まれる病変を少なくとも含む部分領域を、部分領域以外の他の領域とは異なるように表示してもよい。具体的には、部分領域を強調表示してもよい。また、現在の読影レポートR1に含まれる選択した文字列に対応する病変を少なくとも含む部分領域を強調表示してもよい。例えば図8に示すように、過去の読影レポートRpiに含まれる医用画像Gp1において病変をマーカ60で囲むことにより、病変を含む部分領域を強調表示してもよい。さらに、現在の読影レポートR1に含まれる医用画像G1において病変をマーカ61で囲むことにより、病変を含む部分領域を強調表示してもよい。なお、矩形のマーカ60,61に代えて矢印等を付与するようにしてもよい。
【0051】
また、上記第1の実施形態において、記述特定部22は、現在の読影レポートR1において構造化した文章30~33に含まれる病変を表す文字列を特定し、特定した文字列に対して、過去の読影レポートRpiにおける対応する記述を含む文章に対してリンクを付与するようにしてもよい。これにより、ユーザが入力デバイス15を用いて現在の読影レポートR1に含まれる病変を表す文字列をクリックすると、表示制御部23は、過去の読影レポートRpiにおいてクリックした文字列にリンクされた文章を、リンクされた文章以外の他の文章とは異なるように表示することができる。
【0052】
また、上記第1の実施形態においては、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiを同時に取得しているが、これに限定されるものではない。本実施形態による情報処理装置20を読影WS3に適用し、読影WS3において過去の読影レポートRpiの表示を参照しつつ、医用画像についての読影レポートを作成する際にも、本実施形態による情報処理装置20を適用できる。以下、これを第2の実施形態として説明する。
【0053】
図9は第2の実施形態において読影WS3に表示される読影レポート作成画面を示す図である。図9に示すように読影レポート作成画面50Aには、過去の読影レポートRp1の上方に、読影対象となる医用画像G1が表示され、その右側にレポート領域52が表示されている。読影WS3の読影医は、医用画像G1を読影して、読影レポートをレポート領域52に記載する。
【0054】
第2の実施形態においては、記述特定部22は、レポート領域52に入力された文章の日本語への変換が確定される毎に、それまでにレポート領域52に入力された記載中の読影レポートおよび過去の読影レポートRpiを解析することにより、第1の実施形態と同様に、現在作成中の読影レポートR0および過去の読影レポートRpiのそれぞれに含まれる対応する記述を特定する。
【0055】
ここで、図9に示すように、1つめの文章の「右肺S3bに35mm大の結節あり。」の変換が確定された時点、および2つめの文章の「前回よりわずかに増大している。」が確定した時点のそれぞれにおいて、記述特定部22は、現在作成中の読影レポートR0および過去の読影レポートRp1のそれぞれに含まれる対応する記述を特定する。表示制御部23は、1つめの文章の「右肺S3bに35mm大の結節あり。」が確定され、対応する記述が特定されると、過去の読影レポートRpiにおける文章40(図3参照)を、文章40以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示する。また、2つめの文章の「前回よりわずかに増大している。」が確定され、対応する記述が特定されると、過去の読影レポートRpiにおける文章40を引き続き強調表示する。さらに、図9に示すように、「この周囲の小結節は、」で変換を確定させたとする。この場合においても、記述特定部22は過去の読影レポートRp1における対応する記述を特定し、表示制御部23は、図9に示すように、過去の読影レポートRpiにおける文章41を強調表示する。
【0056】
このように第2の実施形態においては、作成中の読影レポートR0の記述に対応する、過去の読影レポートRpiの記述を、それ以外の他の記述とは異なるように表示するようにした。このため、読影レポートを作成する際に、過去の読影レポート等の医用文書の参照を容易に行うことができる。
【0057】
また、上記第1および第2の実施形態においては、医用画像としてCT画像についての読影レポートを用いているが、これに限定されるものではない。異なるモダリティにより取得された医用画像についての現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiを用いるようにしてもよい。以下、これを第3の実施形態として説明する。
【0058】
図10は第3の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図である。図10に示すように、読影レポートの表示画面50Bには、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1が表示されている。現在の読影レポートR1の作成日時は2023年2月28日、過去の読影レポートRp1の作成日時は2022年3月3日である。また、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1のそれぞれには、読影レポートを作成した医用画像G1,Gp1がそれぞれ含まれる。なお、医用画像G1はCT画像、医用画像Gp1はX線画像である。
【0059】
現在の読影レポートR1は第1の実施形態と同様の記載内容である。過去の読影レポートRp1は、「右上肺野に腫瘤影あり。前回の検診では指摘できない。要精査。」と記載されている。これら3つの文章をそれぞれ文章45~47とする。
【0060】
第3の実施形態において、記述特定部22は、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiに含まれる文章を構造化する。そして、記述特定部22は、現在の読影レポートR1について構造化した4つの文章30~33および過去の読影レポートRpiについて構造化した3つの文章45~47に関して、同一病変についての文章同士を対応付けることにより、互いに対応する記述を特定する。第3の実施形態において、過去の読影レポートRpiに含まれる3つの文章45~47のうち、病変に関する記述が含まれるものは文章45のみである。文章45は右肺に関する記述が含まれ、現在の読影レポートR1における文章30が右肺についての記述を含む。このため、記述特定部22は、現在の読影レポートR1における文章30と、過去の読影レポートRpiにおける文章45とを対応する記述に特定する。
【0061】
第3の実施形態においては、図10に示すように、現在の読影レポートR1において、「結節」を選択したとする。表示制御部23は、過去の読影レポートRpにおいて、現在の読影レポートR1の「結節」と対応する記述を含む文章45を、文章45以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示する。なお、第3の実施形態において、現在の読影レポートR1における文章31~33に含まれる文字列を選択した場合、過去の読影レポートRp1には対応する記述がないため、強調表示はされないこととなる。
【0062】
このように、第3実施形態においては、異なるモダリティにより取得された医用画像についての読影レポートを表示する際にも、現在の読影レポートR1において選択した文字列に対応する記述を過去の読影レポートRpiにおいて、それ以外の他の記述とは異なるように表示することができる。
【0063】
次いで、本開示の第4の実施形態について説明する。上記第1から第3の実施形態においては、記述特定部22が、読影レポートR1,Rpiのそれぞれに含まれる互いに対応する記述を特定している。第4の実施形態においては、記述特定部22が、対応する記述間の差分をさらに特定するようにした点が第1から第3の実施形態と異なる。
【0064】
図11は差分の特定を説明するための図である。図11に示す現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1の記述は、第1の実施形態と同一である。なお、第4の実施形態において、読影レポートR1,Rp1のそれぞれに含まれる互いに対応する記述の特定は上記第1の実施形態と同様に行われるため、ここでは詳細な説明は省略する。第4の実施形態において、記述特定部22は、記述が対応する文章間の記述を比較する。
【0065】
例えば、現在の読影レポートR1の文章30は過去の読影レポートRp1の文章40と対応する。記述特定部22は、文章30の「右肺S3bに35mm大の結節あり。前回よりわずかに増大している。」と文章40の「右肺S3に30mm大の充実型結節あり。分葉状で一部にスピキュラを伴っており、肺癌を疑う。」とを比較し、過去の読影レポートRpiの文章40において、現在の読影レポートR1の文章30との異なる記述を特定することにより、差分を特定する。
【0066】
なお、第4の実施形態において、記述特定部22が特定するのは、例えば病変の性状、サイズおよび場所に関する記述の差分である。したがって、記述特定部22は、現在の読影レポートR1の文章30については、「右肺S3b」、「わずかに増大」を差分に特定する。また、記述特定部22は、過去の読影レポートRpiの文章40については、「右肺S3」、「30mm」、「充実型」、「分葉状」、「一部」、「スピキュラ」、および「肺癌」を差分に特定する。
【0067】
図12は、第4の実施形態における読影レポートの表示画面を示す図である。第4の実施形態においては、読影レポートの表示画面50Cにおいてユーザが現在の読影レポートR1の記載に含まれる文字列を選択すると、表示制御部23は、過去の読影レポートRpiにおける選択した文字列に対応する記述の差分を、差分以外の記述とは異なるように表示、すなわち強調表示する。例えば、図12に示すように、ユーザが現在の読影レポートR1に記載されている「結節」を選択したとする。表示制御部23は、現在の読影レポートR1の「結節」が記述された文章30と記述が対応する過去の読影レポートRp1の文章40において、記述特定部22が特定した差分を強調表示する。図12に示すように、文章40において、「右肺S3」、「30mm」、「充実型」、「分葉状」、「一部」、「スピキュラ」、および「肺癌」が強調表示されている。なお、図12においては、差分を矩形で囲むことにより強調表示しているが、これに限定されるものではない。
【0068】
なお、図13に示すように、文章30と記述が対応する文章40を強調し、かつ差分を強調するようにしてもよい。図13においては、文章40に下線を付与することにより文章40と強調し、差分を矩形で囲むことにより強調しているが、これに限定されるものではない。
【0069】
このように第4の実施形態においては、現在の読影レポートR1に対する文字列の指定を受け付け、指定された文字列を含む記述に対応する、過去の読影レポートRpiの記述の差分を特定し、差分を差分以外の記述とは異なるように表示するようにした。このため、現在の読影レポートR1と過去の読影レポートRpiとを比較する際に、互いに対応する記述における差分を容易に認識することができる。
【0070】
なお、上記各実施形態においては、現在の読影レポートR1と1つの過去の読影レポートRpiを表示しているが、これに限定されるものではない。過去の読影レポートRpiが複数ある場合、現在の読影レポートR1と複数の過去の読影レポートRpiのそれぞれとの対応する記述を特定するようにしてもよい。この場合、現在の読影レポートR1に加えて複数の過去の読影レポートRpiを表示し、現在の読影レポートR1において文字列が指定された場合に、複数の過去の読影レポートRpiのそれぞれにおいて文字列を含む記述に対応する記述を、それ以外の他の記述とは異なるように表示してもよい。
【0071】
図14は、現在の読影レポートR1に加えて2つの過去の読影レポートRp1,Rp2を表示した読影レポートの表示画面を示す図である。表示画面50Dに表示された、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRp1の記述は上記第1の実施形態と同一である。過去の読影レポートRp2の記述は、「右肺S3に25mm大の結節がある。スピキュラを伴っている。左肺S6にはわずかにすりガラス影を認める。」の3つの文章70~72を含む。過去の読影レポートRp2の3つの文章70~72は、現在の読影レポートR1の文章30~32とそれぞれ記述が対応する。
【0072】
なお、図14に示す読影レポートの表示画面50Dにおいては、現在の読影レポートR1と作成時期が近い方の過去の読影レポートRp1が過去の読影レポートRp2よりも上位に表示されている。このため、現在の読影レポートR1と作成時期が近い方の過去の読影レポートRp1において、過去の読影レポートRp2よりも優先的に文字列の異なる表示、すなわち強調表示が行われる。
【0073】
図14に示す読影レポートの表示画面50Dにおいて、現在の読影レポートR1の「結節」が文字列として選択されたとする。この場合、表示制御部23は、過去の読影レポートRp1における文章30に対応する文章40を、文章40以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示し、過去の読影レポートRp2における文章30に対応する文章70を、文章70以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示する。これにより、複数の過去の読影レポートRpiを表示する場合においても、現在の読影レポートR1の記述と対応する記述を容易に認識することができる。
【0074】
なお、現在の読影レポートR1と作成時期が最も近い過去の読影レポートRp1についてのみ文章40を、文章40以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示し、ユーザによる指示を受けて、過去の読影レポートRp2における文章30に対応する文章70を強調表示するようにしてもよい。これによっても、現在の読影レポートR1と作成時期が近い方の過去の読影レポートRp1が過去の読影レポートRp2よりも文字列の強調表示が優先的に行われることとなる。
【0075】
また、複数の過去の読影レポートRpiは同時に表示されるものには限定されない。図15の表示画面50Eに示すように、複数の過去の読影レポートRpiを、その作成日時が記載されたタブ75により選択可能に表示してもよい。この場合においても、現在の読影レポートR1と作成時期が近い方の過去の読影レポートRp1が過去の読影レポートRp2よりも先に表示されるように、左側の方のタブに位置させるようにしてもよい。
【0076】
また、上記各実施形態においては、現在の読影レポートR1において文字列を指定すると、文字列を含む現在の読影レポートR1の記述に対応する過去の読影レポートRpiの記述を、それ以外の他の記述とは異なるように表示しているが、これに加えて、図16に示すように、指定された文字列を含む現在の読影レポートR1における記述を、それ以外の他の記述とは異なるように表示するようにしてもよい。すなわち、図16の表示画面50Fに示すように、現在の読影レポートR1において「小結節」が選択された場合、「小結節」が記述された文章31と記述が対応する文章41を強調表示することに加えて、「小結節」が記述された文章31も強調表示してもよい。
【0077】
また、図17の表示画面50Gに示すように、現在の読影レポートR1において、過去の読影レポートRpiと互いに対応する記述に関連する文字列を、関連する文字列以外の他の文字列とは異なるように表示、すなわち強調表示してもよい。図17においては、文字列を破線の矩形で囲むことにより強調表示しているが、これに限定されるものではない。これにより、ユーザは現在の読影レポートR1において対応する記述の指定を行いやすくなる。
【0078】
また、上記各実施形態においては、現在の読影レポートR1および過去の読影レポートRpiを同時に表示しているがこれに限定されるものではない。まず、現在の読影レポートR1のみを表示し、現在の読影レポートR1においてユーザが文字列を選択すると、過去の読影レポートRpiを表示し、表示した過去の読影レポートRpiにおいて、記述が対応する文章をそれ以外の他の文章とは異なるように表示、すなわち強調表示するようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態においては、診断対象を肺とした医用画像を用いて読影レポートを作成する場合に本開示の技術を適用しているが、診断対象は肺に限定されるものではない。肺の他に、心臓、肝臓、脳、および四肢等の人体の任意の部位を診断対象とすることができる。この場合、診断対象の部位に応じた診断ガイドラインを取得して、読影レポートにおける診断ガイドラインの項目と対応する対応部分を特定するようにすればよい。
【0080】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部21、記述特定部22および表示制御部23といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0081】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0082】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0083】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0084】
以下、本開示の付記項について記載する。
(付記項1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
前記一の医用文書をディスプレイに表示し、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する情報処理装置。
(付記項2)
前記プロセッサは、前記複数の医用文書のそれぞれに含まれる記述を病変毎に分類し、前記病変毎に前記互いに対応する記述を特定する付記項1に記載の情報処理装置。
(付記項3)
前記プロセッサは、前記複数の医用文書のそれぞれに含まれる対応する記述間の差分をさらに特定し、
前記少なくとも1つの他の医用文書において、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述に代えて、または前記指定された文字列を含む記述に対応する記述に加えて、前記差分を前記差分以外の記述とは異なるように表示する付記項1または2に記載の情報処理装置。
(付記項4)
前記医用文書は、前記医用文書に対応する医用画像を含み、
前記プロセッサは、前記異なるように表示された記述に関連する前記医用画像における少なくとも部分領域を、前記部分領域以外の他の領域とは異なるように表示する付記項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項5)
前記プロセッサは、前記一の医用文書において、前記互いに対応する記述に関連する文字列を、前記関連する文字列以外の他の文字列とは異なるように表示する付記項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項6)
前記プロセッサは、前記一の医用文書において、前記文字列を含む記述を、前記文字列を含む記述以外の他の記述とは異なるように表示する付記項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項7)
前記一の医用文書は、現在作成中の医用文書である付記項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項8)
前記複数の医用文書は、異なるモダリティにより取得された医用文書を少なくとも一部に含む付記項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項9)
前記プロセッサは、複数の前記他の医用文書を表示するに際し、前記一の医用文書と作成時期が近い前記他の医用文書ほど前記記述を優先的に前記異なるように表示する付記項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記項10)
コンピュータが、作成時期が異なる複数の医用文書を取得し、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定し、
前記一の医用文書をディスプレイに表示し、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付け、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する情報処理方法。
(付記項11)
作成時期が異なる複数の医用文書を取得する手順と、
前記複数の医用文書のうちの一の医用文書と、前記一の医用文書以外の少なくとも1つの他の医用文書のそれぞれとにおいて、互いに対応する記述を特定する手順と、
前記一の医用文書をディスプレイに表示する手順と、
前記一の医用文書に対する文字列の指定を受け付ける手順と、
前記指定された文字列を含む記述に対応する、前記少なくとも1つの他の医用文書の記述を、前記指定された文字列を含む記述に対応する記述以外の他の記述とは異なるように表示する手順とをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0085】
1 医療情報システム
2 撮影装置
3 読影WS
4 診療WS
5 画像サーバ
6 画像DB
7 レポートサーバ
8 レポートDB
10 ネットワーク
11 CPU
12 情報処理プログラム
13 ストレージ
14 ディスプレイ
15 入力デバイス
16 メモリ
17 ネットワークI/F
18 バス
20 情報処理装置
21 取得部
22 記述特定部
23 表示制御部
30~33,40~42,70~72
50,50B~50G 表示画面
50A 読影レポート作成画面
52 レポート領域
60,61 マーカ
75 タブ
G1,Gp1 医用画像
R0 作成中の読影レポート
R1 現在の読影レポート
Rpi 過去の読影レポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17