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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162723
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車両のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62D25/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078567
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】河村 力
(72)【発明者】
【氏名】山本 研一
(72)【発明者】
【氏名】本田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】玄道 俊行
(72)【発明者】
【氏名】杉山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】島田 政紀
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真純
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 幸一
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB04
3D203BB12
3D203BB55
3D203BB59
3D203CA08
3D203CA25
3D203CA53
3D203CB07
(57)【要約】
【課題】軽量化を阻害することなく強度および剛性の向上を図ることができるとともに、隙間腐食の発生を抑制することができる車両のフレーム構造を提供する。
【解決手段】センターピラー106は、それぞれがハット形断面形状を有するピラーアウタパネル1、レインフォースメント3、および補強部材4と、平板形状を有するピラーインナパネル2とを備える。レインフォースメント3は金属材料で構成され、補強部材4は樹脂材料で構成されている。センターピラー106は、レインフォースメント3と補強部材4とを接合する接着層5も備える。車両の側突時には、レインフォースメント3の本体天壁部3aに対してZ方向に向けて圧縮荷重が入力される。接着層5は、接着天壁部5aの厚みT1よりも、接着側壁部5bにおける-Z側端部である接着側端部5cの厚みT2の方が厚く形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の本体部材と、
前記本体部材が延びる第1方向において、前記本体部材に沿って延びる長尺状の部材であって、前記本体部材とは異なる材料で形成された補強部材と、
前記本体部材と前記補強部材との間を接合する接着剤からなる接着層と、
を備え、
前記第1方向に直交する断面において、前記本体部材は、前記断面に含まれる1の方向である第2方向に延びる本体第1壁部と、それぞれが前記本体第1壁部の両端で当該本体第1壁部に連続するとともに、前記第2方向に交差する方向に延びる2つの本体側壁部と、を有し、
前記断面において、前記補強部材は、前記本体第1壁部に沿って前記第2方向に延びる補強第1壁部と、それぞれが前記補強第1壁部の両端で当該補強第1壁部に連続するとともに、前記本体側壁部に沿って前記第2方向に交差する方向に延びる2つの補強側壁部と、を有し、
前記本体第1壁部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する方向に圧縮荷重が入力される壁部であって、
前記補強部材は、前記2つの補強側壁部のそれぞれにおける前記補強第1壁部との連続部分とは反対側に端縁である補強側端部を有し、
前記接着層は、前記本体第1壁部と前記補強第1壁部との間の厚みよりも、前記補強側端部における前記本体側壁部と前記補強側壁部との間の厚みの方が厚くなるように形成されている、
車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記断面において、前記2つの本体側壁部のそれぞれは、延在方向の途中部分に、互いが対向する側に向けて屈曲する屈曲部を1または複数有する、
請求項1に記載の車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記断面において、前記2つの補強側壁部のそれぞれは、前記屈曲部に沿って屈曲するよう形成された第1屈曲部を有する、
請求項2に記載の車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記断面において、前記2つの補強側壁部のそれぞれは、前記第1屈曲部よりも前記補強側端部の側の部分に、前記本体側壁部から離れるように屈曲された第2屈曲部を有する、
請求項3に記載の車両のフレーム構造。
【請求項5】
前記接着層は、前記本体第1壁部と前記補強第1壁部との間の厚みが0.1mm以上1.0mm未満、前記補強側端部における前記本体側壁部と前記補強側壁部との間の厚みが1.0mm以上となるように形成されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両のフレーム構造。
【請求項6】
電着塗装によって形成された膜であって、前記本体部材、前記補強部材、および前記接着層の露出部を覆うように形成された電着膜をさらに備える、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両のフレーム構造。
【請求項7】
前記本体部材は、金属材料で構成され、
前記補強部材は、樹脂材料で構成されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両のフレーム構造。
【請求項8】
前記補強部材を構成する前記樹脂材料は、繊維強化樹脂材料である、
請求項7に記載の車両のフレーム構造。
【請求項9】
前記断面において前記本体第1壁部に対向配置され、前記2つの本体側壁部の各端部で接合されるとともに、前記本体部材および前記補強部材とともに前記第1方向に延びる底壁部材をさらに備える、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両のフレーム構造。
【請求項10】
前記断面において前記本体部材および前記補強部材の外側を覆うように配され、前記底壁部材に接合されるとともに、前記本体部材、前記補強部材、および前記底壁部材とともに前記第1方向に延びる外壁部材をさらに備える、
請求項9に記載の車両のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレーム構造に関し、特に、少なくとも2部材が厚み方向に重ねられて接着剤によって部材同士が接合されてなるフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両では、異種材料を重ね合わせて接合してなるフレームが用いられる場合がある。特許文献1には、ハット形断面形状のアウタパネルと、アウタパネルの外表面に沿うように配置されたレインフォースと、を備え、互いが複数のリベットで接合されてなるフレーム構造が開示されている。
【0003】
特許文献1のフレーム構造では、アウタパネルが鋼板等の金属材料から構成され、レインフォースメントが炭素繊維強化樹脂等のFRP材料から構成されている。
【0004】
ところで、互いに異なる材料からなる部材同士の接合を、上記特許文献1で提案されているようなリベットでの接合ではなく、接着剤を用いて行うことも研究開発されている。このように接着剤を用いて部材同士を接合することにより、部材同士の接合領域を上記特許文献1に開示の技術のような局所的なものではなく、全域に広げることが可能である。また、部材同士を接着剤で接合する構成を採用することで、フレームの製造における煩雑な作業を回避することも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-1615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接着剤により異種部材同士を接合したフレームに対しては、フレームの軽量化を犠牲にすることなく曲げ強度の更になる向上を図ることが求められる。具体的には、上記特許文献1に開示のようなハット形断面形状を有するフレームであって、部材同士を接着剤で接合したフレームにおいて、インナーパネル4に対向する頂部平面に対して当該頂部平面に直交する方向から圧縮荷重が入力される場合が生じる。このような場合に、頂部平面での部材間にはせん断力が作用し、縦壁部での部材間には剥離力が作用する。ここで、せん断力に抗するようにしようとすれば接着層の厚みを薄くすることが有効である一方、剥離力に抗するようにしようとすれば接着層の厚みを厚くすることが有効である。このように、頂部平面に作用するせん断力に対する対策と、縦壁部に作用する剥離力に対する対策とは相反する。
【0007】
ここで、上記のようなせん断力と剥離力とに対するためにフレームを構成する少なくとも一方の部材の厚みを厚くすることも考えられるが、フレームの軽量化を阻害してしまうこととなり、採用することはできない。
【0008】
また、異種部材同士を接着剤を用いて接合してなるフレームでは、断面における部材の端縁部において、隙間腐食が発生することも懸念される。隙間腐食は、部材の端縁部に水分が付着して生じるものであって、車両を構成するフレームにおいては品質維持の観点から抑制することが求められる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、軽量化を阻害することなく強度および剛性の向上を図ることができるとともに、隙間腐食の発生を抑制することができる車両のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る車両のフレーム構造は、本体部材と、補強部材と、接着層と、を備える。前記本体部材は、長尺状の部材である。前記補強部材は、前記本体部材が延びる第1方向において、前記本体部材に沿って延びる長尺状の部材であって、前記本体部材とは異なる材料で形成されている。前記接着層は、前記本体部材と前記補強部材との間を接合する接着剤からなる層である。
【0011】
本態様に係る車両のフレーム構造では、前記第1方向に直交する断面において、前記本体部材は、前記断面に含まれる1の方向である第2方向に延びる本体第1壁部と、それぞれが前記本体第1壁部の両端で当該本体第1壁部に連続するとともに、前記第2方向に交差する方向に延びる2つの本体側壁部と、を有する。
【0012】
また、本態様に係る車両のフレーム構造では、前記断面において、前記補強部材は、前記本体第1壁部に沿って前記第2方向に延びる補強第1壁部と、それぞれが前記補強第1壁部の両端で当該補強第1壁部に連続するとともに、前記本体側壁部に沿って前記第2方向に交差する方向に延びる2つの補強側壁部と、を有する。
【0013】
また、本態様に係る車両のフレーム構造において、前記本体第1壁部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する方向に圧縮荷重が入力される壁部であり、前記補強部材は、前記2つの補強側壁部のそれぞれにおける前記補強第1壁部との連続部分とは反対側に端縁である補強側端部を有する。そして、前記接着層は、前記本体第1壁部と前記補強第1壁部との間の厚みよりも、前記補強側端部における前記本体側壁部と前記補強側壁部との間の厚みの方が厚くなるように形成されている。
【0014】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、補強側端部における本体側壁部と補強側壁部との間の接着層(以下では、「接着側端部」と記載する。)の厚みが、本体第1壁部と補強第1壁部との間の接着層(以下では、「接着第1壁部」と記載する。)の厚みよりも厚くなるように接着層が形成されている。このため、フレーム構造では、本体第1壁部に対して圧縮荷重が入力される場合においても、補強側端部における本体部材と補強部材との間で剥離モードでの高い接着強度を確保することができる。
【0015】
また、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着第1壁部の厚みの方が接着側端部の厚みよりも薄くなるように接着層が形成されているので、本体第1壁部への圧縮荷重の入力に伴って該フレーム構造に対して曲げモーメントが作用する場合にも、接着第1壁部の厚みを接着側端部の厚みと同等に厚くする場合に比べてせん断モードでの高い接着強度を確保することができる。
【0016】
従って、上記態様に係る車両のフレーム構造では、本体部材や補強部材を厚肉化しなくても、圧縮荷重が入力された場合のせん断モードおよび剥離モードの両モードでの高い接着強度を確保することができる。
【0017】
さらに、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着側端部の厚みの方が接着第1壁部の厚みよりも厚くなるように接着層が形成されているので、接着側端部の厚みを接着第1壁部の厚みと同等に薄くする場合に比べて、補強側端部を本体部材の本体側壁部から離間させることができる。よって、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着側端部へ水分が付着したとしても、補強部材の補強側端部や本体側壁部における接着側端部に近接する部分で隙間腐食が生じるのを抑制可能である。
【0018】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記断面で、前記2つの本体側壁部のそれぞれは、延在方向の途中部分に、互いが対向する側に向けて屈曲する屈曲部を1または複数有する、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、2つの本体側壁部のそれぞれが屈曲部を有する構造が採用されているので、本体側壁部に屈曲部を有さない場合に比べて(本体側壁部が平板形状の場合に比べて)、本体第1壁部へ圧縮荷重が入力された場合の本体部材の曲げ強度の向上を図ることができる。
【0020】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記断面で、前記2つの補強側壁部のそれぞれは、前記屈曲部に沿って屈曲するよう形成された第1屈曲部を有する、としてもよい。
【0021】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、2つの補強側壁部のそれぞれに第1屈曲部を有する構造が採用されているので、補強側壁部に第1屈曲部を有さない場合に比べて(補強側壁部が平板形状の場合に比べて)、本体第1壁部へ圧縮荷重が入力された場合における本体部材に対する補強部材の高い補強性能を確保するのに優位である。
【0022】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記断面で、前記2つの補強側壁部のそれぞれは、前記第1屈曲部よりも前記補強側端部の側の部分に、前記本体側壁部から離れるように屈曲された第2屈曲部を有する、としてもよい。
【0023】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、2つの補強側壁部のそれぞれに第1屈曲部に加えて第2屈曲部を有する構造が採用されているので、2つの補強側壁部のそれぞれに第1屈曲部だけが設けられた場合に比べて、本体部材に対する補強部材の補強性能をさらに高くするのに優位である。
【0024】
また、それぞれの補強側壁部における第2屈曲部は、補強側壁部が本体側壁部から離れるように設けられているので、補強側端部が本体側壁部から大きく離れる構成とすることができる。よって、接着側端部での接着層の厚みを厚く確保することができ、圧縮荷重が入力された場合の剥離モードでの高い接着強度の確保と、隙間腐食の抑制とを図るのにさらに優位である。
【0025】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記接着層は、前記本体第1壁部と前記補強第1壁部との間の厚みが0.1mm以上1.0mm未満、前記補強側端部における前記本体側壁部と前記補強側壁部との間の厚みが1.0mm以上となるように形成されている、としてもよい。
【0026】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着第1壁部の厚みを0.1mm以上としているので、フレームの製造時における接着剤の塗布ムラなどの製造誤差を考慮した場合にも、本体第1壁部と補強第1壁部との間の高い接着強度を確保することができる。
【0027】
また、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着第1壁部の厚みを1.0mm未満としているので、本体第1壁部への圧縮荷重の入力に伴って該フレーム構造に対して曲げモーメントが作用する場合にも、接着第1壁部の厚みを1.0mm以上に厚くする場合に比べてせん断モードでの高い接着強度を確保するのに優位である。
【0028】
さらに、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着側端部の厚みを1.0mm以上としているので、本体第1壁部に対して圧縮荷重が入力された場合においても、補強側端部での本体部材と補強部材との間の高い接着強度を確保することができ、接着側端部の厚みを1.0mm未満に薄くする場合に比べて接着側端部での高い剥離強度を確保するのに優位である。
【0029】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、電着塗装によって形成された膜であって、前記本体部材、前記補強部材、および前記接着層の露出部を覆うように形成された電着膜をさらに備える、としてもよい。
【0030】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、電着膜をさらに備えるので、仮に本体部材および補強部材の少なくとも一方に金属製の部材を用いた場合にも、補強側端部の周辺部分で隙間腐食が生じるのを抑制するのに優位である。
【0031】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記本体部材は、金属材料で構成され、
前記補強部材は、樹脂材料で構成されている、としてもよい。
【0032】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、補強部材が樹脂材料で構成されているので、補強部材を金属材料で構成する場合に比べて、軽量且つ製造容易である。よって、上記態様に係る車両のフレーム構造では、軽量化を阻害することなく、金属材料からなる本体部材を補強部材で強度補強するのにさらに優位である。
【0033】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記補強部材を構成する前記樹脂材料は、繊維強化樹脂材料である、としてもよい。
【0034】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、繊維強化樹脂材料からなる補強部材が採用されているので、高い強度の補強部材によって本体部材を強度補強するのに優位である。
【0035】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記断面において前記本体第1壁部に対向配置され、前記2つの本体側壁部の各端部で接合されるとともに、前記本体部材および前記補強部材とともに前記第1方向に延びる底壁部材をさらに備える、としてもよい。
【0036】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、底壁部材をさらに備えるので、本体部材と底壁部材とにより断面が閉じられた内部閉断面構造を実現することができる。よって、圧縮荷重が入力された際の当該フレームの高い強度を確保するのにさらに優位である。
【0037】
上記態様に係る車両のフレーム構造において、前記断面において前記本体部材および前記補強部材の外側を覆うように配され、前記底壁部材に接合されるとともに、前記本体部材、前記補強部材、および前記底壁部材とともに前記第1方向に延びる外壁部材をさらに備える、としてもよい。
【0038】
上記態様に係る車両のフレーム構造では、外壁部材をさらに備えるので、当該外壁部材により本体部材へ入力される圧縮荷重を軽減することができる。また、外壁部材により本体部材や補強部材に対して直接水分が付着するのを抑制することができ、隙間腐食の抑制を図るのにさらに優位である。
【発明の効果】
【0039】
上記の各態様に係る車両のフレーム構造では、軽量化を阻害することなく強度および剛性の向上を図ることができるとともに、隙間腐食の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1実施形態に係るフレーム構造が適用された車両の一部を示す斜視図である。
図2図1のII-II線断面を示す断面図である。
図3】(a)はレインフォースメントの本体天壁部に圧縮荷重が入力された場合における接着天壁部に作用するせん断力の作用方向を示す模式図であり、(b)は接着層における接着天壁部の厚みとせん断強度との関係を示すグラフである。
図4】(a)はレインフォースメントの本体天壁部に圧縮荷重が入力された場合における接着側壁部の端部に作用する剥離力の作用方向を示す模式図であり、(b)は接着層における接着側壁部の端部の厚みと剥離強度との関係を示すグラフである。
図5】補強部材の端縁部およびその周辺部分を拡大して示す断面図である。
図6】変形例に係るフレーム構造の一部を拡大して示す断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図9】本発明の第4実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図10】本発明の第5実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図11】本発明の第6実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図12】本発明の第7実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図13】本発明の第8実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
図14】本発明の第9実施形態に係るフレーム構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0042】
[第1実施形態]
1.車両100の構成
第1実施形態に係るフレーム構造が適用された車両100について、図1を用いて説明する。なお、図1では、車両100の前方を「FR」、後方を「RR」、上方を「UP」、下方を「LO」でそれぞれ示す。
【0043】
図1に示すように、車両100は、車室の上方を覆うように配されたループパネル101を備える。ループパネル101の両側には、車両前後方向に延びるルーフサイドレール107が配されている。ルーフパネル101とフロアパネル102との間が車室になる。
【0044】
ルーフサイドレール107の下方には、乗員が車両に乗り降りするための乗降用開口104,105が設けられている。乗降用開口104,105の下方であってフロアパネル102の両側には、車両前後方向に延びるサイドシル103が設けられている。乗降用開口104と乗降用開口105との間には、ルーフサイドレール107とサイドシル103との間を上下方向に延びるセンターピラー106が設けられている。センターピラー106は、車両1に対して側方から衝突された場合に、外側面から圧縮荷重の入力を受ける。
【0045】
2.センターピラー106の断面構造
センターピラー106の断面構造について、図2を用いて説明する。図2は、図1のII-II線断面を示す断面図である。なお、図2において、紙面に直交する方向が「第1方向」に相当し、X方向が「第2方向」に相当する。図における方向に関しては、図3以降においても、同様である。
【0046】
本実施形態に係るセンターピラー(フレーム)106は、ピラーアウタパネル(外壁部材)1と、ピラーインナパネル(底壁部材)2と、レインフォースメント(本体部材)3と、補強部材4と、接着層5と、を備える。ピラーアウタパネル1は、X-Z断面(センターピラー106の長手方向に交差する方向の断面)において、ハット形の断面形状を有する。具体的に、ピラーアウタパネル1は、X方向および紙面に直交する方向に延びる外殻天壁部1aと、外殻天壁部1aの+X側および-X側の両端で当該外殻天壁部1aに連続し、-Z側および紙面に直交する方向に延びる2つの外殻側壁部1b、1cと、各外殻側壁部1b,1cの-Z側の端で当該外殻側壁部1b,1cに連続し、X方向外側および紙面に直交する方向に延びる外殻フランジ部1d,1eと、を有する。
【0047】
レインフォースメント3は、金属材料(例えば、鋼板)からなり、X-Z断面において、ピラーアウタパネル1よりも小さいハット形の断面形状を有する。具体的に、レインフォースメント3は、ピラーアウタパネル1の外殻天壁部1aの内側で当該外殻天壁部1aに沿うように配された本体天壁部(本体第1壁部)3aと、本体天壁部3aの+X側および-X側の両端で当該本体天壁部3aに連続し、外殻側壁部1b,1cに内側で当該外殻側壁部1b,1cのそれぞれに沿うように配された2つの本体側壁部3b、3cと、各本体側壁部3b,3cの-Z側の端で当該本体側壁部3b,3cに連続し、X方向外側および紙面に直交する方向に延びる本体フランジ部3d,3eと、を有する。
【0048】
また、レインフォースメント3は、各本体側壁部3b,3cにおけるZ方向の中程部分に互いの対向方向(X方向)に向けて凸となる屈曲部3f,3gを有する。
【0049】
ピラーインナパネル2は、X方向および紙面に直交する方向に延びる平板状の部材である。ピラーインナパネル2は、X方向の両端部分で外殻フランジ部1d,1eおよび本体フランジ部3d,3eと接合されている。これにより、本実施形態に係るセンターピラー106は、内部に断面閉空間106aを有する内部閉断面構造を有する。
【0050】
補強部材4は、樹脂材料(例えば、繊維強化樹脂材料)からなり、補強天壁部(補強第1壁部)4aと、2つの補強側壁部4b,4cとを有する。補強天壁部4aは、レインフォースメント3の本体天壁部3aの内側で当該本体天壁部3aに沿うように配されている。2つの補強側壁部4b,4cのそれぞれは、本体側壁部3b,3cに内側で当該本体側壁部3b,3cのそれぞれに沿うように配されるとともに、+Z側の端で補強天壁部4aの両端に連続する。なお、補強側壁部4b,4cのそれぞれは、-Z側の端部(補強側端部)4d,4eがピラーインナパネル2よりも+Z側に離間して位置するように設けられている。
【0051】
また、補強部材4の各補強側壁部4b,4cは、本体側壁部3b,3cの屈曲部3f,3gの内側に、Z方向の中程部分に互いの対向方向(X方向)に向けて凸となる第1屈曲部4f,4gを有する。さらに、補強部材4の各補強側壁部4b、4cは、第1屈曲部4f,4gよりも-Z側の箇所に、Z方向の中程部分に互いの対向方向(X方向)に向けて凸となる第2屈曲部4h,4iを有する。
【0052】
接着層5は、接着剤(例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤)からなる層であって、本体天壁部3aと補強天壁部4aとの間に介挿され、本体天壁部3aと補強天壁部4aとを接合する接着天壁部(接着第1壁部)5aと、本体側壁部3b,3cと補強側壁部4b,4cとの間に介挿され、本体側壁部3b,3cと補強側壁部4b,4cとを接合する接着側壁部5b,5cとを有する。接着層5は、本体天壁部3aと補強天壁部4aとの間の厚み(接着天壁部5aの厚み)T1よりも、補強側壁部4b,4cのそれぞれにおける-Z側の端部(補強側端部4d,4e)での本体側壁部3b,3cと補強側壁部4b,4cとの間の厚み(接着側端部5cの厚み)T2の方が厚くなるように形成されている、具体的には、厚みT1は0.1mm以上1.0mm未満、厚みT2は1.0mm以上となるように接着層5は形成されている。
【0053】
3.接着層5の厚みと接着強度
接着層5の厚みと接着強度との関係について、図3および図4を用いて説明する。図3は、レインフォースメント3の本体天壁部3aに対して-Z方向に向けた圧縮荷重F2が入力された場合に、接着天壁部5aに作用するせん断力F1に対する接着強度を説明するための図である。図4は、本体天壁部3aへの圧縮荷重F2の入力に伴って接着側端部5cに作用する剥離力F3に対する接着強度を説明するための図である。
【0054】
図3(a)および図4(a)に示すように、レインフォースメント3の本体天壁部3aに対する-Z方向への圧縮荷重F2の入力に伴って曲げモーメントが作用した場合には、接着天壁部5aにはセンターピラー106の長手方向にせん断力F1がかかる。
【0055】
図3(b)に示すように、せん断モードにおける接着強度を接着層5の厚みT1との関係で示す場合に、厚みT1が点P1へと増加するのに従って接着強度も漸増して行く。点P1は、接着層5の厚みT1が0.25mm~0.26mmの範囲であり、接着強度が19MPa~20MPaの範囲である。
【0056】
接着強度は、接着層5の厚みT1を点P1よりも厚くして行くのに従って漸減して行く。例えば、厚みT1を0.5mmとした場合には17MPa、厚みT1を0.7mmとした場合には15MPa、厚みT1を1.0mmとした場合には13MPaとなる。これより、せん断モードでの接着強度を13MPaよりも高く確保しようとする場合には、接着層5における接着天壁部5aの厚みT1を0.1mm以上1.0mm未満の範囲A1と規定することができる。
【0057】
なお、接着層5の厚みを0.1mm以上と規定するのは、センターピラー106の製造時のバラツキを考慮したときに0.1mm未満で接着層5を一様に形成することが難しいと考えられるためである。
【0058】
また、せん断モードでの接着強度を15MPa以上確保しようとする場合には、接着層5における接着天壁部5aの厚みT1を0.12mm以上0.7mm以下の範囲A2と規定することができる。
【0059】
さらに、せん断モードでの接着強度を17MPa以上確保しようとする場合には、接着層5における接着天壁部5aの厚みT1を0.16mm以上0.5mm以下の範囲A3と規定することができる。
【0060】
なお、図3(b)に示す接着層5の厚みT1と接着強度との関係は一例であって、接着層5の形成材料(接着剤)の種類によって変化する。
【0061】
次に、図4(a)に示すように、レインフォースメント3の本体天壁部3aに対する-Z方向への圧縮荷重F2が入力された場合には、接着側端部5cには当該接着層5の厚み方向の本体側壁部3b,3cから補強側壁部4b,4cを離間させる向きの剥離力F3がかかる。
【0062】
図4(b)に示すように、剥離モードにおける接着強度を接着層5の厚みT2との関係で示す場合に、厚みT2が増加するのに従って接着強度も漸増して行く。そして、厚みT2が1.0mm以上で接着強度はサチュレーションする。このため、接着層5の厚みT2を1.0mm以上の範囲B1とすれば、剥離モードでの十分な接着強度を確保することができる。
【0063】
また、剥離モードでの接着強度を2.3MPa以上で確保しようとする場合には、接着層5における接着側端部5cの厚みT2を0.5mm以上の範囲B2と規定することができる。
【0064】
さらに、剥離モードでの接着強度を2MPa以上で確保しようとする場合には、接着層5における接着天壁部5aの厚みT2を0.2mm以上の範囲B3と規定することができる。
【0065】
なお、図4(b)に示す接着層5の厚みT2と接着強度との関係についても一例であって、接着層5の形成材料(接着剤)の種類によって変化する。
【0066】
4.接着側端部5cにおける接着層5の厚みT2と隙間腐食
センターピラー106では、接着層5について厚みT1よりも厚みT2の方が厚くなるように形成されている。具体的には、接着層5では接着側端部5cの厚みT2を1.0mm以上と規定されている。これによって、補強部材4における補強側端部4d,4eおよびその周辺領域での隙間腐食の発生を抑えることができる。これについて、図5を用いて説明する。
【0067】
図5に示すように、センターピラー106においては、補強側端部4d,4e(図5では、補強側端部4eのみを図示。)が存在し、当該補強側端部4d,4eは接着層5の接着側端部5cを介してレインフォースメント3における本体側壁部3b,3cの内壁面に近接する。
【0068】
ここで、補強側端部4d,4eや接着側端部5cには水分が付着することも考えられる。このように補強側端部4d,4eなどに水分が付着すると、金属材料からなりレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cにおける補強側端部4d,4eに近接する部分が隙間腐食を生じ易くなることが考えられる。
【0069】
しかしながら、センターピラー106においては、接着側端部5cの厚みT2を1.0mm以上として補強側端部4d,4eを本体側壁部3b,3cの内壁面から離間させているので、レインフォースメント3の本体側壁部3b,3cの隙間腐食の発生を抑制することができる。
【0070】
また、例えば補強部材4を炭素繊維強化樹脂で構成するような場合には、当該補強部材4が導電性を有して金属材料からなるレインフォースメント3よりも高電位となるが、この場合にも1.0mm以上の厚みT2を有する接着側端部5cが本体側壁部3b,3cと補強側壁部4b,4cとの間に介挿されているので、相互間でのイオン移動が抑制され電蝕の発生も抑制される。
【0071】
なお、本実施形態に係る車両100のセンターピラー106では、レインフォースメント3と補強部材4との接合にリベットやボルトなどの金属製の締結部材を用いないことを前提としている。
【0072】
5.効果
本実施形態に係る車両100のセンターピラー(フレーム)106では、接着側端部5cの厚みT2の方が、接着天壁部5aの厚みT1よりも厚くなるように接着層5が形成されているので、本体天壁部3aに対して-Z方向に圧縮荷重F2が入力された場合においても、接着側端部5cの高い接着強度を確保することができる。よって、センターピラー106では、レインフォースメント3や補強部材4の厚みを厚くしなくても、接着側端部5cにおける剥離モードでの高い接着強度を確保することができる。
【0073】
また、センターピラー106では、接着天壁部5aの厚みT1の方が接着側端部5cの厚みT2よりも薄くなるように接着層5が形成されているので、本体天壁部3aへの圧縮荷重F2の入力に伴ってセンターピラー106に対して曲げ荷重が作用する場合にも、接着天壁部5aの厚みT1を接着側端部5cの厚みT2と同等に厚くする場合に比べてせん断モードでの高い接着強度を確保することができる。
【0074】
従って、本実施形態に係るセンターピラー106では、本体部材や補強部材を厚肉化しなくても、高強度および高剛性が実現される。
【0075】
さらに、センターピラー106では、接着側端部5cの厚みT2の方が接着天壁部5aの厚みT1よりも厚くなるように接着層5が形成されているので、接着側端部5cの厚みT2を接着天壁部5aの厚みT1と同等に薄くする場合に比べて、補強側端部4d,4eをレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cから離間させることができる。よって、センターピラー106では、接着側端部5c等へ水分が付着したとしても、補強部材4の補強側端部4d,4eやレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cにおける接着側端部5cに近接する部分で隙間腐食が生じるのを抑制可能である。
【0076】
また、センターピラー106では、2つの本体側壁部3b,3cのそれぞれに屈曲部3f,3gを有する構造が採用されているので、本体側壁部3b,3cに屈曲部3f,3gを有さない場合に比べて、本体天壁部3aへ圧縮荷重F2が入力された場合のレインフォースメント3の高い曲げ強度を確保することができる。
【0077】
また、センターピラー106では、補強部材4における2つの補強側壁部4b,4cのそれぞれに第1屈曲部4f,4gを有する構造が採用されているので、補強側壁部4b,4cに第1屈曲部4f,4gを有さない場合に比べて、本体天壁部3aへ圧縮荷重F2が入力された場合におけるレインフォースメント3に対する補強部材4の高い補強性能を確保するのに優位である。
【0078】
また、センターピラー106では、補強部材4における2つの補強側壁部4b,4cのそれぞれに第1屈曲部4f,4gに加えて第2屈曲部4h,4iを有する構造が採用されているので、2つの補強側壁部4b,4cのそれぞれに第1屈曲部4f,4gだけが設けられた場合に比べて、レインフォースメント3に対する補強部材4の補強性能をさらに高くするのに優位である。
【0079】
また、それぞれの補強側壁部4b,4cにおける第2屈曲部4h,4iは、補強側壁部4b,4cが本体側壁部3b,3cから離れるように設けられているので、補強側端部4d,4eが本体側壁部3b,3cから大きく離れる構成とすることができる。よって、接着側端部5cでの接着層5の厚みT2を厚く確保することができ、本体天壁部3aに圧縮荷重F2が入力された場合の剥離モードでの高い接着強度の確保と、隙間腐食の抑制とを図るのにさらに優位である。
【0080】
また、センターピラー106では、接着天壁部5aの厚みT1を0.1mm以上としているので、センターピラー106の製造時における接着剤の塗布ムラなどの製造誤差を考慮した場合にも、本体天壁部3aと補強天壁部4aとの間の高い接着強度を確保することができる。
【0081】
また、センターピラー106では、接着天壁部5aの厚みT1を1.0mm未満としているので、本体天壁部3aへの圧縮荷重F2の入力に伴って該センターピラー106に対して曲げモーメントが作用する場合にも、接着天壁部5aの厚みを1.0mm以上に厚くする場合に比べてせん断モードでの高い接着強度を確保するのに優位である。
【0082】
さらに、上記態様に係る車両のフレーム構造では、接着側端部の厚みを1.0mm以上としているので、本体第1壁部に対して圧縮荷重が入力された場合においても、補強側端部での本体部材と補強部材との間の高い接着強度を確保することができ、接着側端部の厚みを1.0mm未満に薄くする場合に比べて接着側端部での高い剥離強度を確保するのに優位である。
【0083】
また、センターピラー106では、補強部材4が樹脂材料で構成されているので、補強部材4を金属材料で構成する場合に比べて、軽量且つ製造容易である。よって、センターピラー106では、軽量化を阻害することなく、金属材料からなるレインフォースメントと3を補強部材4で強度補強するのにさらに優位である。
【0084】
また、センターピラー106では、繊維強化樹脂材料(CFRP、GFRPなど)からなる補強部材4が採用されているので、高い強度の補強部材4によってレインフォースメント3を強度補強するのに優位である。
【0085】
また、センターピラー106では、ピラーインナパネル(底壁部材)2をさらに備えるので、レインフォースメント3とピラーインナパネル2とにより断面が閉じられた内部閉断面構造を実現することができる。よって、センターピラー106に-Z方向の圧縮荷重F2が入力された際の当該センターピラー106の高い強度を確保するのにさらに優位である。
【0086】
また、センターピラー106では、ピラーアウタパネル(外壁部材)1をさらに備えるので、当該ピラーアウタパネル1によりレインフォースメント3へ入力される圧縮荷重F2を軽減することができる。また、ピラーアウタパネル1によりレインフォースメント3や補強部材4に対して直接水分が付着するのを抑制することができ、隙間腐食の抑制を図るのにさらに優位である。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る車両100のセンターピラー106では、軽量化を阻害することなく曲げ強度の向上を図ることができるとともに、隙間腐食の発生を抑制することができる。
【0088】
[変形例]
上記実施形態に係る1つの変形例に係るセンターピラー106の構成について、図6を用いて説明する。なお、図6では、補強部材4の補強側端部4eおよびその周辺部分だけを抜き出して図示している。図6で図示を省略する部分については、上記実施形態と同じ構成である。このため、以下では、同じ構成部分についての説明を省略する。
【0089】
図6に示すように、本変形例に係るセンターピラー106では、電着膜6をさらに備える。電着膜6は、電着塗装によって形成された膜であって、レインフォースメント3、補強部材4、および接着層5の各露出部を覆うように形成された膜である。
【0090】
本変形例においては、エポキシ系樹脂(例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂)を含む電着塗料を用いてカチオン電着により電着膜6が形成されている。ただし、電着膜6は、ポリブタジエン系樹脂を含む電着塗料を用いたアニオン電着により形成された膜であってもよい。
【0091】
電着膜6は、補強部材4の補強側端部4eや、レインフォースメント3の本体側壁部3cなどを被覆するように形成されている。このため、隙間腐食や電蝕を抑制するのに優位である。
【0092】
なお、本変形例に係るセンターピラー106は、電着膜6を備える点を除き、上記実施形態と同じ構成を備えるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る車両のフレーム構造について、図7を用いて説明する。
【0094】
図7に示すように、フレーム116は、一例としてセンターピラーに採用されるフレームであって、ピラーアウタパネル1と、ピラーインナパネル2と、レインフォースメント3と、補強部材14と、接着層15と、を備える。この内、補強部材14および接着層15の構成が上記第1実施形態との構成上の差異である。
【0095】
補強部材14は、樹脂材料(例えば、繊維強化樹脂材料)からなり、補強天壁部(補強第1壁部)14aと、2つの補強側壁部14b,14cとを有する。補強天壁部14aは、レインフォースメント3の本体天壁部3aの内側で当該本体天壁部3aに沿うように配されている。2つの補強側壁部14b,14cのそれぞれは、本体側壁部3b,3cに内側で当該本体側壁部3b,3cのそれぞれに沿うように配されるとともに、+Z側の端で補強天壁部14aの両端に連続する。なお、補強側壁部14b,14cのそれぞれも、-Z側の端部(補強側端部)14d,14eがピラーインナパネル2には当接されない箇所に位置するように配されている。
【0096】
補強部材14の各補強側壁部14b,14cは、上記第1実施形態と同様に、本体側壁部3b,3cの内側に、Z方向の中程部分に互いの対向方向に向けて凸となる第1屈曲部14f,14gを有する。ただし、本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、第2屈曲部4h,4iは補強側壁部14b,14cに設けられていない。
【0097】
また、本実施形態に係るフレーム116では、補強側壁部14b,14cにおける第1屈曲部14f,14gの形成位置が、上記第1実施形態における補強側壁部4b,4cの第1屈曲部4f,4gの形成位置よりも-Z側に配置されている。即ち、本実施形態に係るフレーム116では、補強側壁部14b,14cにおける第1屈曲部14f,14gの形成位置が、上記実施形態における補強側壁部4b,4cの第1屈曲部4f,4gの形成位置よりも補強側端部14d,14eの側に配置されている。このため、本実施形態では、第1屈曲部14f,14gが形成された部分(C3部分)での接着側壁部15bの厚みを上記第1実施形態よりも厚くすることができる。よって、本実施形態に係るフレーム116では、製造誤差などがあった場合にも、接着層15における接着側端部15cの厚み(C2部分の厚み)を、接着天壁部15aの厚み(C1部分の厚み)よりも確実に厚くなるようにすることができる。
【0098】
従って、本実施形態に係るフレーム116は、上記第1実施形態と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0099】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る車両のフレーム構造について、図8を用いて説明する。
【0100】
図8に示すように、フレーム126も、一例としてセンターピラーに採用されるフレームであって、ピラーアウタパネル1と、ピラーインナパネル2と、レインフォースメント3と、補強部材24と、接着層25と、を備える。この内、補強部材24および接着層25の構成が上記第1実施形態との構成上の差異である。
【0101】
補強部材24は、樹脂材料(例えば、繊維強化樹脂材料)からなり、補強天壁部(補強第1壁部)24aと、2つの補強側壁部24b,24cとを有する。補強天壁部24aは、レインフォースメント3の本体天壁部3aの内側で当該本体天壁部3aに沿うように配されている。2つの補強側壁部24b,24cのそれぞれは、本体側壁部3b,3cに内側で当該本体側壁部3b,3cのそれぞれに沿うように配されるとともに、+Z側の端で補強天壁部24aの両端に連続する。なお、補強側壁部24b,24cのそれぞれも、-Z側の端部(補強側端部)24d,24eがピラーインナパネル2に対して+Z側に離間して位置するように配されている。
【0102】
補強部材24の各補強側壁部24b,24cは、上記第1実施形態と同様に、本体側壁部3b,3cの内側に、Z方向の中程部分に互いの対向方向(X方向)に向けて凸となる第1屈曲部24f,24gを有する。ただし、本実施形態では、上記第2実施形態と同様に、第2屈曲部4h,4iは補強側壁部24b,24cに設けられていない。
【0103】
また、本実施形態に係るフレーム126では、補強側壁部24b,24cにおける第1屈曲部24f,24gの形成位置が、上記第1実施形態における補強側壁部4b,4cの第1屈曲部4f,4gの形成位置とZ方向で略同じ位置に配置され、上記第2実施形態における補強側壁部14b,14cの第1屈曲部14f,14gの形成位置よりも+Z側に配置されている。このため、本実施形態では、第1屈曲部24f,24gが形成された部分のすぐ下の部分(D3部分)での接着側壁部25bの厚みを上記第2実施形態よりも薄くすることができる。よって、本実施形態に係るフレーム126では、接着層25における接着側端部25cの厚み(D2部分の厚み)を、接着天壁部25aの厚み(D1部分の厚み)よりも厚くなるようにすることができるとともに、接着層25における接着側壁部25b,25cのD3部分での厚みを薄くすることでフレーム126の軽量化およびコストの上昇抑制を行うことができる。
【0104】
なお、本実施形態に係るフレーム126でも、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る車両のフレーム構造について、図9を用いて説明する。
【0106】
図9に示すように、フレーム156は、本体部材3と、補強部材54と、接着層55と、を備える。なお、本実施形態に係るフレーム156は、外壁部材であるピラーアウタパネル1、および底壁部材であるピラーインナパネル2を備えない点で、上記第2実施形態に係るフレーム(センターピラー)116と異なる。フレーム156は、底壁部材を備えないことにより、-Z側が開口されている。即ち、本実施形態に係るフレーム156は、-Z側に開口156aを有する開断面構造のフレームである。
【0107】
補強部材54は、樹脂材料(例えば、繊維強化樹脂材料)からなり、補強天壁部(補強第1壁部)54aと、2つの補強側壁部54b,54cとを有する。補強天壁部54aは、レインフォースメント3の本体天壁部3aの内側で当該本体天壁部3aに沿うように配されている。2つの補強側壁部54b,54cのそれぞれは、本体側壁部3b,3cに内側で当該本体側壁部3b,3cのそれぞれに沿うように配されるとともに、+Z側の端で補強天壁部54aの両端に連続する。なお、補強側壁部54b,54cのそれぞれも、-Z側の端部(補強側端部)54d,54eが上記第2実施形態の補強部材14の補強側端部14d,14eと同様のZ方向位置に配されている。
【0108】
なお、補強部材54の各補強側壁部54b,54cについても、上記第2実施形態と同様に、本体側壁部3b,3cの内側に、Z方向の中程部分に互いの対向方向(X方向)に向けて凸となる第1屈曲部54f,54gを有し、第2屈曲部4h,4iは設けられていない。
【0109】
また、本実施形態に係るフレーム156においても、接着層55における接着天壁部55aの厚み(E1部分の厚み)よりも、接着側壁部55bの-Z側端部である接着側端部55cの厚み(E2部分の厚み)の方が厚くなるように接着層55が形成されている。
【0110】
従って、本実施形態に係るフレーム156も、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る車両のフレーム構造について、図10を用いて説明する。
【0112】
図10に示すように、フレーム166は、ピラーインナパネル2と、レインフォースメント3と、補強部材64と、接着層65と、を備える。本実施形態に係るフレーム166は、上記第1実施形態と同様に、レインフォースメント3の-Z側の開口がピラーインナパネル2によって閉じられ、断面閉空間166aを有する。即ち、本実施形態に係るフレーム166も内部閉断面構造を有する。ただし、本実施形態に係るフレーム166は、ピラーアウタパネル1を備えない点と、補強部材64がレインフォースメント3の断面外側に沿うように配されている点で、上記第1実施形態と異なる。
【0113】
補強部材64は、樹脂材料(例えば、繊維強化樹脂材料)からなり、補強天壁部(補強第1壁部)64aと、2つの補強側壁部64b,64cとを有する。補強天壁部64aは、レインフォースメント3の本体天壁部3aの外側で当該本体天壁部3aに沿うように配されている。2つの補強側壁部64b,64cのそれぞれは、本体側壁部3b,3cに外側で当該本体側壁部3b,3cのそれぞれに沿うように配されるとともに、+Z側の端で補強天壁部64aの両端に連続する。なお、補強側壁部64b,64cのそれぞれは、-Z側の端部(補強側端部)64d,64eが本体フランジ部3d,3eに対して+Z側に離間して位置するように配されている。
【0114】
補強部材64の各補強側壁部64b,64cは、本体側壁部3b,3cの外側に、Z方向の中程部分にX方向内向きに凸となる第1屈曲部64f,64gと、第1屈曲部64f,64gが形成された箇所よりも-Z側の箇所に互X方向外向きに凸となる第2屈曲部64h,64iとを有する。
【0115】
接着層65は、レインフォースメント3の外面と補強部材64の内面とを接合する層であって、上記第1実施形態の接着層5等と同様の接着剤を用いて形成されている。また、本実施形態に係るフレーム166においても、接着層65は、各接着側壁部65bの-Z側の端部である接着側端部65cの厚み(G2部分の厚み)の方が、接着天壁部65aの厚み(G1部分の厚み)よりも厚くなるように形成されている。
【0116】
なお、本実施形態に係るフレーム166では、補強部材64の補強側壁部64b,64cのそれぞれに第1屈曲部64f,64gと第2屈曲部64h,64iが設けられているので、第1屈曲部64f,64gが形成された箇所よりも+Z側の部分での接着層65の厚みを薄く抑えながら、第1屈曲部64f,64gが形成された箇所よりも-Z側の部分で接着層65の厚みを確実に厚くなるようにされている。
【0117】
本実施形態に係るフレーム166でも、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る車両のフレーム構造について、図11を用いて説明する。
【0119】
図11に示すように、フレーム176は、本体部材3と、補強部材64と、接着層65と、を備える。なお、本実施形態に係るフレーム176は、ピラーインナパネル2を備えない点で、上記第5実施形態に係るフレーム166と構成が異なる。フレーム176は、ピラーインナパネル2を備えないことにより、-Z側が開口されている。即ち、本実施形態に係るフレーム176は、上記第4実施形態に係るフレーム156と同様に、-Z側に開口176aを有する開断面構造のフレームである。
【0120】
本実施形態に係るフレーム176は、上述の差異を除き、上記第5実施形態に係るフレーム166と同じ構成を有する。よって、フレーム176においても、接着層65は、各接着側壁部65bの-Z側の端部である接着側端部65cの厚み(H2部分の厚み)の方が、接着天壁部65aの厚み(H1部分の厚み)よりも厚くなるように形成されている。よって、フレーム176も、上記第5実施形態に係るフレーム166と同様の効果を得ることができる。
【0121】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係る車両のフレーム構造について、図12を用いて説明する。
【0122】
図12に示すように、フレーム186は、本体部材3と、補強部材84と、接着層85と、を備える。フレーム186は、補強部材84の断面構造が上記第6実施形態の補強部材64とは異なる。具体的に、補強部材84の各補強側壁部84b,84cは第1屈曲部84f,84gおよび第2屈曲部84h,84iを有するが、Z方向において、第1屈曲部84f,84gの形成位置が本体側壁部3b,3cの屈曲部3f,3gと略同じ高さレベルにある点で上記第6実施形態の補強部材64と異なっている。
【0123】
本実施形態に係るフレーム186は、上述の差異を除き、上記第6実施形態に係るフレーム176と同じ構成を有する。よって、フレーム186においても、接着層85は、各接着側壁部85bの-Z側の端部である接着側端部85cの厚み(I2部分の厚み)の方が、接着天壁部85aの厚み(I1部分の厚み)よりも厚くなるように形成されている。よって、フレーム186も、上記第6実施形態に係るフレーム176と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、本実施形態に係るフレーム186では、補強部材84の補強側壁部84b,84cにおける第1屈曲部84f,84gの形成位置を図12に示すようにすることにより、第1屈曲部84f,84gと第2屈曲部84h,84iとの間の接着層85の厚み変化を上記第6実施形態のフレーム176よりも緩やかなものとすることができる。よって、接着剤を塗布してレインフォースメント3と補強部材84とを接合しようとする際に、レインフォースメント3の本体側壁部3b,3cと補強部材84の補強側壁部84b,84cとの間での接着剤の高い流動性を確保することができる。このため、接着層85に気泡などが残り難く、高い接着強度を得るのに好適である。
【0125】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態に係る車両のフレーム構造について、図13を用いて説明する。
【0126】
図13に示すように、フレーム196は、本体部材3と、補強部材94と、接着層95と、を備える。フレーム196は、補強部材94の断面構造が上記第7実施形態の補強部材84とは異なる。具体的に、補強部材94の各補強側壁部94b,94cは第1屈曲部94f,94gを有するが、当該第1屈曲部94f,94gよりも-Z側に屈曲部を有さない。また、各補強側壁部94b,94cの第1屈曲部94f,94gは、Z方向において、本体側壁部3b,3cの屈曲部3f,3gよりも+Z側の位置に設けられている点で上記第7実施形態の補強部材84と異なっている。
【0127】
フレーム196では、補強部材94の補強側壁部94b,94cにおける第1屈曲部94f,94gが設けられた箇所よりも-Z側の部分はレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cの外面に沿うように配されている。ただし、上述のように、各補強側壁部94b,94cの第1屈曲部94f,94gが上記第7実施形態の各補強側壁部84b,84cの第1屈曲部84f,84gよりも+Z側の箇所に配されているので、各接着側壁部95bの-Z側の端部である接着側端部95cの厚み(J2部分の厚み)の方が、接着天壁部95aの厚み(J1部分の厚み)よりも厚くなるように形成されている。よって、フレーム196も、上記第7実施形態に係るフレーム186と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、フレーム196では、補強側壁部94b,94cにおける第1屈曲部94f,94gよりも-Z側の部分がレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cの外面に沿うように配されているので、当該部分における接着層95の厚みを上記第7実施形態の接着層85よりも薄くすることができる。このため、フレーム196では、軽量化および製造コストの削減が可能である。
【0129】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態に係る車両のフレーム構造について、図14を用いて説明する。
【0130】
図14に示すように、フレーム206は、本体部材3と、補強部材114と、接着層115と、を備える。フレーム206は、補強部材114の断面構造が上記第8実施形態の補強部材94とは異なる。具体的に、補強部材114の各補強側壁部114b,114cにおける第1屈曲部114f,114gよりも-Z側の部分が、当該第1屈曲部114f,114gから-Z側へと行くのに従ってレインフォースメント3の本体側壁部3b,3cに対してX方向外側へと漸次離間して行くように形成されている。
【0131】
接着層115は、接着側壁部115b,115cにおける第1屈曲部114f,114gよりも+Z側の部分は接着天壁部115aと同等の厚みを有するが、第1屈曲部114f,114gよりも-Z側の部分は漸次厚みが増してゆくように形成されている。そして、本実施形態でも、各接着側壁部115bの-Z側の端部である接着側端部115cの厚み(K2部分の厚み)の方が、接着天壁部115aの厚み(K1部分の厚み)よりも厚くなるように形成されている。よって、フレーム206も、上記第8実施形態に係るフレーム186と同様の効果を得ることができる。
【0132】
また、フレーム206では、第1屈曲部114f,114gの形成位置よりも-Z側の部分で接着層115の厚みが漸次増してゆく構成が採用されているので、接着側端部115cの厚みを接着天壁部115aの厚みよりも確実に厚くすることができるとともに、接着層115に気泡などが残り難く、高い接着強度を得るのに優位である。
【0133】
[その他の変形例]
上記第1実施形態から上記第3実施形態および上記変形例では、車両のフレームの一例としてセンターピラー106,116,126を採用したが、本発明は、車両の種々のフレームへの適用が可能である。例えば、ルーフサイドレールやフロントピラー、さらにはサイドシルなどに適用が可能である。また、鉄道車両や貨物車など種々の車両に本発明を適用することが可能である。
【0134】
また、上記第1実施形態から上記第9実施形態および上記変形例では、レインフォースメント3を一例とする本体部材の構成材料として金属材料を採用し、補強部材4,14,24,54,64,84,94,114の構成材料として繊維強化樹脂などの樹脂材料を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本体部材および補強部材を互いに異種の樹脂材料から構成することとしてもよいし、互いに異種の金属材料から構成することとしてもよい。
【0135】
また、上記第1実施形態から上記第9実施形態および上記変形例では、本体側壁部3b,3cに屈曲部3f,3gが設けられたレインフォースメント3を採用することとしたが、本発明では、本体部材の本体側壁部に必ずしも屈曲部を設けなくてもよい。同様に、上記第1実施形態から上記第9実施形態および上記変形例では、補強側壁部4b,4c,14b,14c,24b,24c,54b,54c,64b,64c,84b,84c,94b,94c,114b,114cに第1屈曲部4f,4g,14f,14g,24f,24g,54f,54g,64f,64g,84f,84g,94f,94g,114f,114gや第2屈曲部4h,4i,64h,64i,84h,84iが設けられた補強部材4,14,24,54,64,84,94,114を採用することとしたが、本発明では、補強部材の補強側壁部に必ずしも第1屈曲部や第2屈曲部を設けなくてもよい。
【0136】
また、図3(b)および図4(b)に示した、接着層の厚みと接着強度との関係については、一例を示すものであって、用いる接着剤の種類等によって変化する。
【0137】
さらに、上記変形例については、上記第1実施形態のバリエーションとしたが、上記第2実施形態から上記第9実施形態の各フレーム116,126,156,166,176,186,196,206に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 ピラーアウタパネル(外壁部材)
2 ピラーインナパネル(底壁部材)
3 レインフォースメント(本体部材)
3a 本体天壁部(本体第1壁部)
3b,3c 本体側壁部
3f,3g 屈曲部
4,14,24,54,64,84,94,114 補強部材
4a,14a,24a,54a,64a,84a,94a,114a 補強天壁部(補強第1壁部)
4b,4c,14b,14c,24b,24c,54b,54c,64b,64c,84b,84c,94b,94c,114b,114c 補強側壁部
4f,4g,14f,14g,24f,24g,54f,54g,64f,64g,84f,84g,94f,94g,114f,114g 第1屈曲部
4h,4i,64h,64i,84h,84i 第2屈曲部
5,15,25,55,65,85,95,115 接着層
5a,15a,25a,55a,65a,85a,95a,115a 接着天壁部(接着第1壁部)
5b,15b,25b,55b,65b,85b,95b,115b 接着側壁部
5c,15c,25c,55c,65c,85c,95c,115c 接着側端部
6 電着膜
100 車両
106 センターピラー(フレーム)
116,126,156,166,176,186,196,206 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14