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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162857
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241114BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241114BHJP
   H04N 1/405 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 107
H04N1/405 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078795
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】曽根 慶太
(72)【発明者】
【氏名】竹中 友英
(72)【発明者】
【氏名】田中 真也
(72)【発明者】
【氏名】舘 昌志
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061KK03
2C061KK04
2C061KK18
2C061KK25
2C061KK28
2C061KK32
2H270LA19
2H270LA22
2H270LD03
2H270MB06
2H270MB14
2H270MB25
2H270MB46
2H270ZC02
2H270ZC03
2H270ZC04
5C077LL04
5C077NN06
5C077PP06
5C077PQ08
5C077TT03
(57)【要約】
【課題】トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するときでも、主走査方向の濃度ムラを十分に低減させる。
【解決手段】画像データに基づいてトナー画像を形成する画像形成部1と、画像形成部により形成されるトナーパターンの主走査方向の濃度ムラを検出する濃度ムラ検出部51と、濃度ムラ検出部が検出する濃度ムラから算出される補正量に基づいて、濃度ムラが低減されるように画像形成部の画像形成条件を補正する補正部206と、を備える画像形成装置であって、画像形成部は、選択されるスクリーン線数を用いてトナー画像を形成し、補正部は、トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、当該別のスクリーン線数に対応する修正量により補正量を修正する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいてトナー画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成されるトナーパターンの主走査方向の濃度ムラを検出する濃度ムラ検出部と、
前記濃度ムラ検出部が検出する濃度ムラから算出される補正量に基づいて、該濃度ムラが低減されるように前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部と、を備える画像形成装置であって、
前記画像形成部は、選択されるスクリーン線数を用いてトナー画像を形成し、
前記補正部は、前記トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、該別のスクリーン線数に対応する修正量により前記補正量を修正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記補正部は、主走査方向位置が互いに異なる複数の主走査方向エリアごとに前記補正量をそれぞれ算出し、算出した各補正量に基づいて前記画像形成条件を補正するとともに、前記別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、該別のスクリーン線数に対応する修正量により前記各補正量を修正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記濃度ムラ検出部は、前記複数の主走査方向エリアごとの画像濃度の検知結果と基準濃度との差分である前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差を、前記濃度ムラとして検出し、
前記補正部は、前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差から、前記複数の主走査方向エリアごとの前記各補正量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記補正部は、前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差と前記複数の主走査方向エリアごとの階調感度から、前記複数の主走査方向エリアごとの前記各補正量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記補正部は、互いに異なる複数の入力階調に対応する補正量の中から、前記画像データから得られる入力階調に対応する補正量を選択して、前記画像形成条件を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記濃度ムラ検出部は、記録媒体上に形成された前記トナーパターンにおける主走査方向位置が互いに異なる複数の主走査方向エリアごとの画像濃度の検知結果に基づいて、前記濃度ムラを検出することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づいてトナー画像を形成する画像形成部と、画像形成部により形成されるトナーパターンの主走査方向の濃度ムラを検出する濃度ムラ検出部と、検出された濃度ムラから算出される補正量に基づいて濃度ムラが低減されるように画像形成部の画像形成条件を補正する補正部と、を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プリンタ部(画像形成部)によって印刷された測定用チャート(トナーパターン)を濃度センサによって検知し、主走査方向における濃度ムラを検出する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、検出された濃度ムラから補正量を決定し、画像形成時には入力画像信号(画像データ)を補正量により補正することにより、主走査方向の濃度ムラを低減する。
【0004】
前記測定用チャートは、階調レベルの異なる複数の帯画像(主走査方向に延びる帯画像)を副走査方向に並列に配置したものである。この測定用チャートを濃度センサで検知することで、階調レベルごとの主走査方向濃度ムラとして、主走査方向の各位置における階調レベルごとの濃度差ΔDが検出される。画像形成時には、主走査方向の各位置における階調レベルごとの濃度差ΔDに、階調レベルごとの変換係数Nを乗算することで、入力画像信号の補正量が決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、主走査方向の濃度ムラが残る場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像データに基づいてトナー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成されるトナーパターンの主走査方向の濃度ムラを検出する濃度ムラ検出部と、前記濃度ムラ検出部が検出する濃度ムラから算出される補正量に基づいて、該濃度ムラが低減されるように前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部と、を備える画像形成装置であって、前記画像形成部は、選択されるスクリーン線数を用いてトナー画像を形成し、前記補正部は、前記トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、該別のスクリーン線数に対応する修正量により前記補正量を修正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するときでも、主走査方向の濃度ムラを十分に低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
図2】同プリンタにおける濃度センサの斜視図。
図3】同濃度センサが有する画像素子の概略構成を示す説明図。
図4】同濃度センサの主走査方向に垂直な断面における説明図。
図5】実施形態における主走査方向の濃度調整制御の制御ブロック図。
図6】階調補正テーブルの一例を示す図。
図7】実施形態における主走査方向の濃度調整制御のフロー図。
図8】実施形態における階調補正の一例を示す説明図。
図9】画像データ補正用の帯状パターンの一例を示す図。
図10】互いに異なる3つのスクリーン線数を用いて所定階調の帯状パターンを形成した場合における主走査方向エリアごとの濃度偏差ΔIDを示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成するプリンタの実施形態について説明する。まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kを備えている。また、このプリンタは、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35を備えている。さらに、このプリンタは、定着装置40、搬送切替装置50、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。また、2つの光書込ユニット1YM,1CKも備えている。なお、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y,3M,3C,3Kを有している。
【0011】
第1給紙カセット101、第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路31が続いている。給紙カセット101,102から送り出された記録部材としての記録紙Pは、給紙路30を経へて転写前搬送路31に進入する。
【0012】
プリンタ筐体における側面には、手差しトレイ33が筐体に対して開閉可能に配設されており、筐体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0013】
感光体表面を露光して感光体表面に静電潜像を形成する露光手段たる2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有している。各光書込ユニット1YM,1CKは、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像データや、パーソナルコンピュータから送られてくる画像データに基づいて、光源としてのレーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kは、駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,3Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,3Mには、Y,M画像データに基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,3Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、C,K画像データに基づいた静電潜像が形成される。
【0014】
プロセスユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、潜像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0015】
本プリンタは、4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0016】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0017】
現像装置4Yは、磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yに対しては、Yトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。現像装置4Y内にはトナー濃度検知手段が設けられている。トナー濃度検知手段は磁性体であるキャリアに起因する透磁率を検出し、一定体積中に含まれるキャリア量からトナーの濃度を算出している。このトナー濃度検知手段によって現像装置内のトナー濃度を検知し、現像装置内のトナー濃度を一定範囲内(例えば5wt%~9wt%)に制している。
【0018】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0019】
感光体3Yの上方には、除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0020】
Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M,C,K用のプロセスユニット2M,2C,2Kも、2Y用のものと同様の構成になっている。
【0021】
4つのプロセスユニット2Y,2M,2C,2Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架している像担持体たる中間転写ベルト61を、感光体3Y,3M,3C,3Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,3M,3C,3Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の1次転写ニップが形成されている。
【0022】
Y、M、C、K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,3M,3C,3Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kには、それぞれ電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の1次転写ニップには、感光体3Y,3M,3C,3K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0023】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト61における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0025】
2次転写ローラ72には電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0026】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0027】
1次転写ニップKと2次転写ニップの間には反射型の光学式センサであるトナー付着量検知センサ64が配設されている。反射型の光学式センサは、発光素子と受光素子を有し、発光素子から照射された光は、中間転写ベルト61上に作成されたトナーパッチによって反射され、受光素子にて受光され信号に変換される。その信号の変化を読み取ることでテストパターンの情報を類推し、トナーパッチの付着量を検知している。
【0028】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0029】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙をベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着装置40に受け渡す。
【0030】
上述した2次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置40内に送られて定着ニップに挟み込まれる。そして、加圧や加熱などの作用により、トナー像の定着処理が施される。2次転写ニップで第1面にトナー像が転写され、且つ定着装置40でその第1面にトナー像が定着せしめられた記録紙Pは、搬送切替装置50に向けて送り出される。
【0031】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路57と、再送路54とで切り替える。具体的には、記録紙Pの第1面だけに対して画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、搬送先を排紙路57に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路57経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、搬送先を排紙路57に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、搬送先を再送路54に設定する。
【0032】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と、上述した給紙路30とを経由して、2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着せしめられた後、搬送切替装置50と、排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。排紙ローラ対52の手前には記録紙P上の画像濃度を検知する検出手段たる濃度センサ51が配設されており、後述する調整動作時に記録紙P上の画像濃度を検知する。
【0033】
ここで、濃度ムラ検出部を構成する画像濃度検知手段としての濃度センサ51の構成について述べる。
図2は、濃度センサ51の斜視図である。濃度センサ51は主走査方向に長い形状をしている。内部に主走査方向に長い形状をした画像素子を有し、濃度センサ51は、ラインセンサと呼ばれることもある。濃度センサ51の主走査方向の検知幅は、図2中、主走査方向に点線で示される幅である。この検知幅は記録紙Pの主走査方向の幅よりも長いため、主走査方向に点線で示される幅を通過するように記録紙Pを搬送させると、記録紙P上の全域にわたり画像濃度を検出することが可能である。
【0034】
図3は、濃度センサ51が有する画像素子111の概略構成を示す説明図である。
図3に示すように画像素子111は、主走査方向に延びた形状をしており、小さな受光素子112-0~112-n(以降互いに区別しなくてよい場合は受光素子112と記載する)が主走査方向に並べて配置されている。受光素子112の並んだ範囲が、上述の濃度センサ51の主走査方向の検知幅となる。
【0035】
図4は、濃度センサ51の主走査方向に垂直な断面における説明図である。
図4に示すように、濃度センサ51は内部に、前述の画像素子111の他に、光源113と、レンズアレイ114と、出力回路115とを有している。点線は光源113から出射された光を表している。
【0036】
光源113としては、発光素子が導光体の端部に設けられたものやLEDアレイなどが使用可能である。光源113は、RGBの光を照射する。レンズアレイ114としては、セルフォック(登録商標)レンズなどが用いられる。
【0037】
光源113から出射された光は、記録紙P上で反射され、レンズアレイ114により結像される。画像素子111は、レンズアレイ114により結像された光を、図3で示した各受光素子112で受光し、受光した光に応じた信号を出力する。 画像素子111としては、CMOSセンサやCCDセンサなどが用いられる。
【0038】
出力回路115は、一例としてASIC(Application Specific Integrated Circuit)などが用いられ、画像素子111上の各受光素子112からの信号に基づき、記録紙P上のトナーパターンの主走査方向の位置に応じた画像濃度を示すデータに変換して出力する。例えば8bitで表される0~255階調を出力する。画像の無い状態が0階調であり、ベタ画像は255階調である。
【0039】
本実施形態の電子写真方式の画像形成装置においては、現像工程、転写工程および定着工程など、複数の工程を経て記録紙P上へ画像を形成している。現像工程は、感光体3を一様に帯電させ、光書込ユニット1によって光走査することで潜像を形成し、現像装置4から供給されたトナーが潜像に付着し現像する工程である。転写工程は、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに転写する第一の転写工程と、中間転写ベルトから記録紙へトナー像を転写する第二の転写工程を有する。定着工程は、定着装置40により記録紙上のトナー像を記録紙Pに定着させる工程である。
【0040】
これらの各工程においては感光体の軸方向である主走査方向に対してメカ精度バラつきやサプライの特性バラつき等により主走査方向に感光体の帯電偏差や感光体と現像装置の現像ローラとのギャップ偏差、転写圧偏差などが生じる。これらの偏差が要因となって、主走査方向に画像濃度変動(以下、濃度ムラという)が発生する。
【0041】
図5は、本実施形態の主走査方向の濃度調整制御の制御ブロック図である。
濃度ムラ検出部及び補正部として機能する制御部200は、CPU201、ROM202、RAM203、画像処理部204、シェーディング補正量算出部205、画像データ補正量算出部などを有している。制御部200には、光書込ユニット1YM,1CK、濃度センサ51、操作パネル220、記憶部210、外部通信I/F230などが接続されている。
【0042】
CPU201は、プリンタの動作を制御する。詳しくは、CPU201は、RAM203をワークエリア(作業領域)とし、ROM202等に記憶されたプログラムを実行することで、プリンタ全体の動作を制御し、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0043】
ROM202は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM203は、プログラムやデータを一時記憶する揮発性の半導体メモリである。
【0044】
シェーディング補正量算出部205は、濃度センサ51の検知結果から主走査方向の濃度ムラデータを得て、この濃度ムラデータに基づいてシェーディング補正量を算出する。算出したシェーディング補正量は、記憶部210に記憶される。階調補正量算出部206は、濃度ムラ検出部及び補正部として機能し、濃度センサ51の検知結果から主走査方向の濃度ムラデータを得て、この濃度ムラデータに基づいて階調を補正する補正量を算出する。階調補正量算出部206は、規定階調以下の各階調について、階調補正量を算出し、階調補正量に基づいて、図6に示すような階調補正テーブルを作成する。この作成した階調補正テーブルは、記憶部210に記憶される。本実施形態では、前記規定階調は230階調である。
【0045】
本実施形態では、規定階調(230階調)を越える階調については、シェーディング補正のみを行い、規定階調以下については、シェーディング補正と階調補正の両方を行う。本実施形態では、230階調を越える階調を高階調とし、230階調以下の階調を中階調(ハーフトーン)以下とする。なお、シェーディング補正のみを行う「高階調」と、シェーディング補正と階調補正の両方を行う「中階調」以下とに分ける規定階調は、装置の特性等により適宜設定すればよい。
【0046】
画像処理部204は、外部通信I/F230を介して受信したプリンタ外部のスキャナやパーソナルコンピュータからの画像データに対して、疑似階調画像に変換する等の画像処理を行って、光書込ユニットにより書き込み可能となるように画像に変換する。また、画像処理部204は規定階調以下の画像部について、記憶部210に記憶された階調補正テーブルに基づいて、主走査方向各エリアについて階調補正を行う。
【0047】
また、画像処理部204は、ユーザー指示又は入力画像データ若しくは記録紙の種類などの選択条件に応じてスクリーン線数を選択し、画像データに対して疑似階調画像に変換する画像処理を行う。スクリーン線数は、通常の印刷では、基本設定のスクリーン線数が使用されるが、例えば、細線や小文字の再現性向上などを目的に、基本設定のスクリーン線数よりも高いスクリーン線数を選択したり、ドット安定性向上などを目的に、基本設定のスクリーン線数よりも低いスクリーン線数を選択したりことがある。
【0048】
記憶部210は、HDD、SDD等のフラッシュメモリなどで構成され、シェーディング補正量や階調補正テーブルを記憶している。
外部通信I/F230は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するためのインターフェースである。外部通信I/F230は、スキャナやパーソナルコンピュータ等の外部装置からの印刷指示や画像データ等を受信することができる。
【0049】
操作パネル220は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば、受け付けた操作を示す情報、プリンタの動作状況を示す情報、装置の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル220は、一例として、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
【0050】
図7は、本実施形態の主走査方向の濃度調整制御のフロー図である。
ユーザーが操作パネル220を操作することで、主走査方向の濃度調整制御が実行される。また、装置の電源ON時や、規定印刷枚数毎に、自動的に主走査方向の濃度調整制御を実行してもよい。
【0051】
主走査方向の濃度調整制御が実行されると、まず、制御部200は、シェーディング補正を行う。具体的には、まず、記録紙PにY、M、C、Kの高階調の帯状パターンを印刷する(S1)。高階調の帯状パターンの階調は、前記規定階調(230階調)を越える階調であり、例えば、230階調~255階調の略中央の階調(243階調)の画像濃度に設定される。
【0052】
記録紙Pに形成したY、M、C、Kの高階調の帯状パターンの主走査方向各位置の画像濃度を濃度センサ51により検知し、主走査方向の濃度ムラを取得する(S2)。次に、制御部200のシェーディング補正量算出部205は、取得した主走査方向の濃度ムラに基づいて、各光書込ユニット1YM,1CKのレーザー光量を補正するシェーディング補正量を算出する(S3)。具体的には、Y色の高階調の帯状パターンの主走査方向の濃度ムラに基づいて、光書込ユニット1YMの感光体3Yに対してレーザー光を照射するY色に対応するレーザーダイオードのレーザー光量を補正するシェーディング補正量を算出する。同様にして、M色の高階調の帯状パターンの主走査方向の濃度ムラに基づいて、光書込ユニット1YMのM色に対応するレーザーダイオードのレーザー光量を補正するシェーディング補正量を算出する。また、C色の高階調の帯状パターンの主走査方向の濃度ムラに基づいて、光書込ユニット1CKのC色に対応するレーザーダイオードのレーザー光量を補正するシェーディング補正量を算出する。さらに、K色の高階調の帯状パターンの主走査方向の濃度ムラに基づいて、光書込ユニット1CKのK色に対応するレーザーダイオードのレーザー光量を補正するシェーディング補正量を算出する。
【0053】
算出した各色のシェーディング補正量は、記憶部210に記憶される。印刷する際は、記憶部210から各色のシェーディング補正量を読み出し、シェーディング補正量により補正されたレーザー光量により感光体に潜像を形成する。
【0054】
本実施形態では、高階調の帯状パターンを作成してシェーディング補正を行っているため、シェーディング補正量算出部205で算出されるシェーディング補正量は、高階調の主走査方向の濃度ムラに対応するものである。従って、このシェーディング補正量を適用して、低階調、中階調、高階調の画像部を印刷したとき、高階調の画像部は主走査方向の濃度ムラが適切に解消されるが、低階調~中階調の画像部では主走査方向の濃度ムラが残る。そのため、低階調~中階調についての主走査方向の濃度ムラを改善するべく、画像データの補正としての階調補正を行う。
【0055】
図8は、本実施形態における階調補正の一例を示す説明図である。
階調補正では、シェーディング補正実施後(S1~S3)に、Y、M、C、Kそれぞれについて、規定階調(230階調)以下で、互いに階調の異なる複数の帯状パターン(トナーパターン)を記録紙Pに印刷する(S4)。各色の複数の帯状パターンは、シェーディング補正により算出されたシェーディング補正量でレーザー光量を補正して作像される。
【0056】
図9は、画像データ補正用の帯状パターンの一例を示す図である。
本実施形態では、一枚の記録紙Pについて1色の帯状パターンが印刷される。本実施形態では、一枚の記録紙Pに互いに階調が異なる11個の帯状パターンが形成される。記録紙進行方向下流側から階調が20ずつ増加するように複数の帯状パターンが形成される。本実施形態では、1色について、20階調、40階調、60階調、80階調、100階調、120階調、140階調、160階調、180階調、200階調、220階調の帯状パターンが印刷される。なお、1枚の記録紙に形成される帯状パターンの数や、各帯状パターンの階調は、適宜設定すればよい。
【0057】
次に、4枚の記録紙Pに形成されたY、M、C、K色の複数の帯状パターンの主走査方向各位置の画像濃度を濃度センサ51で検知し、各色の階調ごとに複数の主走査方向エリアごとの画像濃度を取得する(S5)。すなわち、図8のステップAにおける帯状パターン読み取り処理を行う。
【0058】
各主走査方向エリアは、主走査方向に延びる帯状パターンを主走査方向に複数分割したものであり(エリア0~エリアn)、その分割数(n-1)は適宜設定される。濃度センサ51は、各色について、階調の異なる複数の帯状パターンごとに各主走査方向エリアの画像濃度を検知する。したがって、各色について各階調における全主走査方向エリアの画像濃度の組が、各色における各階調の濃度ムラデータとして取得される。すなわち、本実施形態では、各色について、20階調、40階調、60階調、80階調、100階調、120階調、140階調、160階調、180階調、200階調、220階調の計11個の階調と、主走査方向の濃度ムラとの関係が得られる。なお、11個の階調以外の階調についての主走査方向の濃度ムラデータは例えば近似式により補完される。
【0059】
次に、制御部200の階調補正量算出部206は、色ごとに取得した11個の主走査方向の濃度ムラに基づいて、規定階調(230階調)以下の各階調についての階調補正量を算出する。階調補正量は、主走査方向の濃度ムラデータだけを用いて決定することも可能であるが、本実施形態では、階調補正量の算出の一例としては、主走査方向の濃度ムラデータだけでなく、主走査方向エリアごとの階調感度データも用いる例について説明する。このような階調感度データを用いるのは、画像濃度によって単位画像濃度当たりに必要な階調補正量が異なるためである。なお、以下の説明において、各色の処理内容は実質的に同一であるため、色の違いについての説明は省略する。
【0060】
本実施形態における階調補正量の算出において、まず、階調補正量算出部206は、図8のステップB~Dの濃度偏差算出処理を実行する(S6)。具体的には、階調補正量算出部206は、図8のステップBに示すように、上述した各階調における主走査方向の濃度ムラデータから、主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとの階調と画像濃度との関係データを得る。次に、階調補正量算出部206は、主走査方向エリアごとの各階調の目標画像濃度を示す基準エリアデータを記憶部210から読み出す。その後、階調補正量算出部206は、図8のステップCに示すように、各主走査方向エリア(エリア0~エリアn)について、主走査方向の濃度ムラデータに基づく画像濃度と基準エリアデータの目標画像濃度との差分値である濃度偏差ΔIDを階調ごとに算出する。これにより、主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとの階調と濃度偏差ΔIDとの関係が得られる。最後に、階調補正量算出部206は、基準エリアデータを用いて、階調を画像濃度IDに変換して、図8のステップDに示すように、主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとの画像濃度IDと濃度偏差ΔIDとの関係を取得する。
【0061】
また、本実施形態における階調補正量の算出において、階調補正量算出部206は、図8のステップE~Gの階調感度算出処理を実行する(S9)。具体的には、階調補正量算出部206は、図8のステップEに示すように、上述した各階調における主走査方向の濃度ムラデータから、各階調の平均画像濃度を算出する。各階調の平均画像濃度を算出することで、画像濃度IDと階調との相関関係が得られる。この画像濃度IDと階調との相関は、図8のステップFに示すような近似式で表すことができる。そして、この近似式を、各濃度の近傍で微分することで、濃度と階調変化量との関係を示す階調感度(Δ階調)を得ることができる。すなわち、階調感度(Δ階調)は、所定画像濃度における単位画像濃度変化量当たりの階調変化量を示すものである。例えば、ある画像濃度における濃度偏差ΔIDが「0.01」であり、その画像濃度の階調感度(Δ階調)が「1」であったとしたとき、その画像濃度の画像部について1階調だけ増やすことで、濃度偏差ΔIDをゼロに補正することができるということになる。
【0062】
次に、階調補正量算出部206は、図8のステップHの補正量算出処理を実行する(S10)。具体的には、図8のステップB~Dの濃度偏差算出処理で算出した主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとの画像濃度IDと濃度偏差ΔIDとの関係と、図8のステップE~Gの階調感度算出処理で算出した画像濃度IDと階調感度(Δ階調)との関係とから、主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとに各階調の階調補正量が算出される。これにより、各主走査方向エリアにおける入力画像データ(入力階調)に対し、目標画像濃度と実際の画像濃度とのズレを打ち消す適切な階調補正量を算出することができる。
【0063】
以上のようにして帯状パターンの各階調について主走査方向各エリアの階調補正量を求めたら、次に、帯状パターンの間の階調について、主走査方向各エリアの階調補正量を補間計算して求める。帯状パターンの間の階調についての主走査方向各エリアの階調補正量は、例えば次のようにして求めてもよい。すなわち、複数の帯状パターンの主走査方向の濃度ムラデータに基づいて、帯状パターンの間の階調の主走査方向濃度ムラを補間計算する。そして、計算した帯状パターンの間の階調の主走査方向の濃度ムラデータに基づいて、帯状パターンの間の各階調の主走査方向各エリアの階調補正量を求める。
【0064】
このように、0~230階調について、主走査方向各エリアの階調補正量を求めたら、主走査方向各エリアの階調補正量から、各階調における主走査方向各エリアの目標階調を求め、図6に示すような、階調補正テーブルを作成する。作成した階調補正テーブルは、記憶部210に記憶する。なお、各階調における主走査方向各エリアの目標階調ではなく、各階調における主走査方向各エリアの階調補正量でもよい。このように、階調補正テーブルが、記憶部210に記憶されたら、主走査方向の濃度調整制御が終了する。
【0065】
画像処理部204は、記憶部210に記憶された図6に示した階調補正テーブルに基づいて、階調補正を行う。例えば、画像処理部204は、画像データの主走査方向のあるエリアの階調と、階調補正テーブルとから、そのエリアにおける目標階調を取得する。そして、目標階調となるように、画像処理部204は画像データを補正する。例えば、目標階調が、画像データの階調よりも高いときは、目標階調となるように、階調(画像濃淡)を表すドットパターンから白ドットを色ドットに所定数変換し、画像データを補正して階調補正を行う。一方、目標階調が、画像データの階調よりも低いときは、目標階調となるように、階調(画像濃淡)を表すドットパターンから色ドットを白ドットに所定数変換し、画像データを補正して階調補正を行う。
【0066】
以上のような処理により、本実施形態によれば、シェーディング補正を行うことにより高階調(230階調を越える)の画像部についての主走査方向濃度ムラを良好に抑えることができる。また、シェーディング補正だけでは主走査方向の濃度ムラが残ってしまう低階調および中階調(0~230階調)については、上述した階調補正を行うことにより主走査方向濃度ムラを良好に抑えることができる。その結果、低階調、中階調、高階調のすべての階調で、主走査方向の濃度ムラを抑えることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、230を超える高階調の画像に対しては、階調補正を行っていないが、全階調について階調補正を行ってもよい。これにより、高階調についてシェーディング補正で補正しきれなかった主走査方向の濃度ムラを、階調補正によって補正することができる。なお、高階調については、シェーディング補正によって濃度ムラの変動幅が抑えられている。従って、白ドットの数が少なく、色ドットへ変換可能なドット数が少なくても、基準よりも薄い濃度の主走査方向のエリアを、基準の画像濃度となるように階調補正を行うことができる。
【0068】
ここで、本実施形態において、主走査方向の濃度調整制御で用いる互いに階調の異なる複数の帯状パターン(トナーパターン)は、基本設定のスクリーン線数を用いて形成される。このような帯状パターンから算出される階調補正量で階調補正を行うと、基本設定のスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いて画像を形成するときに、主走査方向の濃度ムラが残ってしまう。
【0069】
図10は、互いに異なる3つのスクリーン線数A~Cを用いて所定階調の帯状パターンを形成した場合において、各スクリーン線数A~Cに対応する帯状パターンの濃度ムラ検出結果から得られる主走査方向エリアごとの濃度偏差ΔIDを示したグラフである。
このグラフに示すように、主走査方向の濃度偏差ΔIDは、使用するスクリーン線数によって異なっている。例えば、図10に示す例では、基本設定のスクリーン線数Aと比べて、スクリーン線数Bでは濃度偏差ΔIDが小さい傾向があり、スクリーン線数Cでは濃度偏差ΔIDが大きい傾向がある。
【0070】
このような違いのため、基本設定のスクリーン線数Aで形成した帯状パターンの濃度ムラデータから算出された階調補正量を、別のスクリーン線数B,Cを用いて画像形成する時の階調補正処理に適用すると、スクリーン線数Bの場合は過補正となり、スクリーン線数Cの場合は補正不足となる。このように、スクリーン線数の違いによる濃度偏差の差異の分だけ、主走査方向の濃度ムラの補正精度が悪化する。
【0071】
そこで、本実施形態においては、図7に示すように、基本設定のスクリーン線数Aを用いて形成した帯状パターンの濃度ムラデータ(濃度偏差ΔID)を算出した後(S6)、基本設定のスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数B,Cに対応する修正量を用いて、処理ステップS6で算出した階調補正量を修正し、これを当該別のスクリーン線数用の階調補正量として算出する(S7,S8)。
【0072】
別のスクリーン線数B,Cに対応する修正量としては、例えば、基本設定のスクリーン線数Aの濃度偏差ΔIDと別のスクリーン線数B,Cの濃度偏差ΔIDとの差分を小さくする修正係数を用いることができる。この修正係数は、修正後の階調補正量によって主走査方向の濃度偏差ΔIDが修正前の階調補正量よりも小さくなるよう設定され、例えば、図10に示した各スクリーン線数の濃度偏差ΔIDから算出することができる。
【0073】
例えば、スクリーン線数Cの修正係数の算出方法の一例を示すと、まず、下記の式(1)に示すように、基準設定のスクリーン線数Aとスクリーン線数Cとの間における各主走査方向各エリアの濃度偏差ΔIDの比率を算出する。そして、主走査方向各エリアのΔID比の平均値を算出し、算出した平均値をスクリーン線数Cの修正係数とする。この修正係数は、予め試験などにより、各スクリーン線数A,Cを用いて所定階調の帯状パターンを形成し、その帯状パターンの濃度ムラ検出結果から、各スクリーン線数A,Cの主走査方向エリアごとの濃度偏差ΔID(図10に示すデータ)を取得することで、算出しておく。
【0074】
【数1】
【0075】
このようにして得られるスクリーン線数Cの修正係数は、予め記憶部210に記憶されている。本実施形態では、主走査方向の濃度調整制御において、階調補正量算出部206は、基本設定のスクリーン線数Aを用いた帯状パターンの濃度ムラデータ(濃度偏差ΔID)を算出した後(S6)、別のスクリーン線数Cに対応する修正係数を記憶部210から読み出す(S7)。その後、下記の式(2)に示すように、読み出した修正係数を、処理ステップS6で算出した濃度ムラデータ(濃度偏差ΔID)に乗じることで、別のスクリーン線数C用の濃度ムラデータ(濃度偏差ΔID)を算出する(S8)。
【0076】
【数2】
【0077】
このようにして算出した別のスクリーン線数C用の濃度ムラデータは、その後、基本設定のスクリーン線数Aの濃度ムラデータと同様に、補正量算出処理において(S10)、別のスクリーン線数C用の階調補正量の算出に用いられる。すなわち、算出された別のスクリーン線数C用の濃度ムラデータは、階調感度算出処理で算出した階調感度(Δ階調)により、別のスクリーン線数C用の階調補正量として、主走査方向エリア(エリア0~エリアn)ごとに各階調の階調補正量が算出される。そして、基本設定のスクリーン線数Aの濃度ムラデータと同様に、別のスクリーン線数C用の階調補正テーブルが作成され、作成された階調補正テーブルは、記憶部210に記憶される。
【0078】
別のスクリーン線数C用の階調補正テーブルは、別のスクリーン線数Cを用いて画像形成する時に、基本設定のスクリーン線数Aに対応する階調補正テーブルの代わりに使用されて、画像処理部204が階調補正を行う。
【0079】
なお、最適な修正係数はすべての階調で一律ではないため、階調ごとにスクリーン線数の種類分だけ修正係数を算出し、階調補正テーブルとして記憶しておけば、更に高精度で主走査方向の濃度ムラを補正することが可能となる。
【0080】
また、主走査方向の濃度ムラは、画像形成装置の状態によって大きい場合や小さい場合がある。しかしながら、算出されるスクリーン線数ごとの修正係数は、スクリーン線数に起因するものであり、主走査方向の濃度ムラの大小や濃度分布の傾向などに依存しない。そのため、各スクリーン線数の修正係数は、定期的に再算出する必要がなく、固定パラメータとして、予めデータとして取得して記憶部210に記憶しておけばよい。
【0081】
なお、異なるスクリーン線数が選択されるたびにトナーパターンを形成して階調補正量を算出するという処理を行えば、どのスクリーン線数が選択されても、主走査方向の濃度ムラを十分に低減させることが可能である。しかしながら、この場合には、その処理を実行するためのダウンタイムが発生する。これに対し、本実施形態においては、スクリーン線数に対応する修正係数が固定パラメータとして記憶部210に記憶されているため、上述したようなダウンタイムを発生させることがない。
【0082】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、画像データに基づいてトナー画像を形成する画像形成部(例えばプロセスユニット2、画像処理部204など)と、前記画像形成部により形成されるトナーパターン(例えば帯状パターン)の主走査方向の濃度ムラを検出する濃度ムラ検出部(例えば濃度センサ51)と、前記濃度ムラ検出部が検出する濃度ムラから算出される補正量(例えば階調補正量)に基づいて、該濃度ムラが低減されるように前記画像形成部の画像形成条件(例えば階調補正テーブル)を補正する補正部(例えば階調補正量算出部206)と、を備える画像形成装置(例えばプリンタ)であって、前記画像形成部は、選択されるスクリーン線数を用いてトナー画像を形成し、前記補正部は、前記トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数(例えばスクリーン線数A)とは異なる別のスクリーン線数(例えばスクリーン線数C)を用いてトナー画像を形成するとき、該別のスクリーン線数に対応する修正量(例えば修正係数)により前記補正量を修正することを特徴とするものである。
従来、ユーザー指示又は入力画像データに応じて選択されるスクリーン線数を用いてハーフトーン処理を行い、画像を形成する画像形成装置が知られている。スクリーン線数の選択では、例えば、細線や小文字の再現性向上などを目的に、基本設定のスクリーン線数よりも高いスクリーン線数を選択したり、ドット安定性向上などを目的に、基本設定のスクリーン線数よりも低いスクリーン線数を選択したりする。このような画像形成装置において、トナーパターンの主走査方向の濃度ムラの検出結果に基づいて主走査方向の濃度ムラを低減させる補正量を算出し、算出した補正量に基づいて画像形成部の画像形成条件を補正する場合、主走査方向の濃度ムラが残ることがある。詳しくは、トナーパターンを形成する際には基本設定のスクリーン線数が用いられるところ、このトナーパターンから算出される補正量で画像形成条件を補正した場合、基本設定のスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するときに主走査方向の濃度ムラが残る。すなわち、トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するときには、当該トナーパターンから算出される補正量で補正した画像形成条件では、主走査方向の濃度ムラを十分に低減させることができない。
そこで、本態様においては、トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、当該トナーパターンから算出される補正量を、当該別のスクリーン線数に対応する修正量により修正する。これにより、トナーパターンの形成時に用いられるスクリーン線数とは異なる別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するときでも、修正した補正量で補正した画像形成条件で画像形成することにより、主走査方向の濃度ムラを十分に低減させることが可能となる。
【0083】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記補正部は、主走査方向位置が互いに異なる複数の主走査方向エリアごとに前記補正量をそれぞれ算出し、算出した各補正量に基づいて前記画像形成条件を補正するとともに、前記別のスクリーン線数を用いてトナー画像を形成するとき、該別のスクリーン線数に対応する修正量により前記各補正量を修正することを特徴とするものである。
これによれば、主走査方向の濃度ムラを適切に低減させることができる。
【0084】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記濃度ムラ検出部は、前記複数の主走査方向エリアごとの画像濃度の検知結果と基準濃度(例えば基準エリアデータの目標画像濃度)との差分である前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差ΔIDを、前記濃度ムラとして検出し、前記補正部は、前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差から、前記複数の主走査方向エリアごとの前記各補正量を算出することを特徴とするものである。
これによれば、主走査方向の濃度ムラを適切に低減させることができる。
【0085】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記補正部は、前記複数の主走査方向エリアごとの濃度偏差と前記複数の主走査方向エリアごとの階調感度(例えばΔ階調)から、前記複数の主走査方向エリアごとの前記各補正量を算出することを特徴とするものである。
これによれば、画像濃度の違いによって単位画像濃度当たりに必要な階調補正量が異なることを考慮して、主走査方向の濃度ムラを適切に低減させることができる。
【0086】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記補正部は、互いに異なる複数の入力階調に対応する補正量の中から、前記画像データから得られる入力階調に対応する補正量を選択して、前記画像形成条件を補正することを特徴とするものである。
これによれば、階調ごとに異なる最適な修正係数を用いて主走査方向の濃度ムラを補正することが可能となるので、より高精度な補正が可能となる。
【0087】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記濃度ムラ検出部は、記録媒体(例えば記録紙)上に形成された前記トナーパターンにおける主走査方向位置が互いに異なる複数の主走査方向エリアごとの画像濃度の検知結果に基づいて、前記濃度ムラを検出することを特徴とするものである。
これによれば、記録媒体上に形成されたトナーパターンから主走査方向の濃度ムラを検出するので、記録媒体上に形成される前のトナーパターンから主走査方向の濃度ムラを検出する場合と比べて、より適切に主走査方向の濃度ムラを補正することが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 :光書込ユニット
2 :プロセスユニット
3 :感光体
4 :現像装置
5 :帯電装置
6 :ドラムクリーニング装置
40 :定着装置
51 :濃度センサ
60 :転写ユニット
61 :中間転写ベルト
62 :1次転写ローラ
64 :トナー付着量検知センサ
68 :2次転写バックアップローラ
72 :2次転写ローラ
75 :ベルトクリーニング装置
111 :画像素子
112 :受光素子
113 :光源
114 :レンズアレイ
115 :出力回路
200 :制御部
201 :CPU
202 :ROM
203 :RAM
204 :画像処理部
205 :シェーディング補正量算出部
206 :階調補正量算出部
210 :記憶部
220 :操作パネル
230 :外部通信I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2021-152598号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10