(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162872
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】パターン検査方法及びパターン検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20241114BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20241114BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20241114BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241114BHJP
G02B 7/28 20210101ALN20241114BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G02B21/26
G02B21/36
G03B15/00 T
G02B7/28 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078824
(22)【出願日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅矢
【テーマコード(参考)】
2G051
2H052
2H151
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA05
2G051BB03
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051CC07
2G051DA07
2G051EA08
2G051EA11
2G051ED12
2H052AA08
2H052AD03
2H052AD09
2H052AD18
2H052AD20
2H052AF14
2H151AA15
2H151BA45
2H151CB22
2H151CB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査領域と非検査領域との間にオートフォーカス機構が追従困難な大きな段差が生じる場合でも、走査位置が検査領域に侵入直後に撮像される画像がぼけてしまうことを抑制或いは低減可能な方法を提供する。
【解決手段】検査光で非検査領域を走査する場合に、非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さを用いて、非検査領域を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さに保持し、非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域を検査光で走査する場合に、ステージの高さ位置を保持されたステージ高さ位置から開始して、ステージの高さ位置を可変に制御することにより、走査方向の先に隣接する検査領域のパターン形成面の高さ位置をフォーカス高さ位置に調整する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形パターンが形成された複数の検査領域と前記複数の検査領域の検査領域同士間の非検査領域とを有する被検査試料を用いて、検査光で前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域とを所定の方向に走査する工程と、
前記検査光で照射された前記被検査試料を透過或いは反射した光を、検査光学系を介してセンサで受光することにより、前記被検査試料の光学画像を撮像する工程と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と前記参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
を備え、
前記走査する工程は、
走査方向に対して前記非検査領域の手前側の検査領域を前記検査光で走査する場合に、前記被検査試料が載置されるステージの高さ位置を可変に制御することにより、当該検査領域の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う工程と、
前記検査光で前記非検査領域を走査する場合に、前記非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面が前記フォーカス高さ位置になるステージ高さを用いて、前記非検査領域を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面が前記フォーカス高さ位置になる前記ステージ高さに保持する工程と、
前記非検査領域に対して前記走査方向の先に隣接する検査領域を前記検査光で走査する場合に、前記ステージの高さ位置を前記保持されたステージ高さ位置から開始して、前記ステージの高さ位置を可変に制御することにより、前記走査方向の先に隣接する検査領域のパターン形成面の高さ位置を前記フォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う工程と、
を有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
第1の方向への前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域との走査と、前記第1の方向と逆方向への前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域との走査と、が前記第1の方向と直交する第2の方向に位置をずらしながら交互に繰り返され、
前記走査する工程は、
第n-1回目(nは2以上の整数)の走査を行う場合に、走査位置が第n-1回目の走査方向に手前側の検査領域から前記非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
走査方向が前記第n-1回目の走査とは逆方向になる第n回目の走査を行う場合に、走査位置が第n回目の走査方向に手前側の検査領域から前記非検査領域に切り替わるタイミングで、前記ステージの高さ位置を、走査位置が前記非検査領域から第n回目の走査方向の先の隣接する検査領域に切り替わった直後の位置の近傍の位置に相当する第n-1回目の走査を行った際に記憶された位置のステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載のパターン検査方法。
【請求項3】
前記走査する工程は、
第1回目の走査を行う前に、前記第1回目の走査方向と逆方向に第1回目の走査領域を走査して、走査位置が前記第1回目の走査方向と逆方向に手前の検査領域から前記非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
前記第1回目の走査を行う場合に、走査位置が前記第1回目の走査方向に手前の検査領域から前記非検査領域に切り替わるタイミングで、前記ステージの高さ位置を、走査位置が前記非検査領域から前記第1回目の走査方向の先に隣接する検査領域に切り替わった直後の位置に対して記憶されたステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項2記載のパターン検査方法。
【請求項4】
前記被検査試料は、前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域との第1のセットの前記第2の方向に、さらに、非検査領域を挟んで、前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域との第2のセットを有し、
前記走査する工程は、
前記第1のセットの走査に引き続き、前記第2のセットの走査を行う場合に、前記第2のセットの走査を行う前に、前記第2のセットのための第1回目の走査方向と逆方向に前記第2のセットの第1回目の走査領域を走査して、走査位置が前記第2のセットの前記第1回目の走査方向と逆方向に手前の検査領域から前記非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
前記第2のセットの前記第1回目の走査を行う場合に、走査位置が前記第2のセットの前記第1回目の走査方向に手前の検査領域から前記非検査領域に切り替わるタイミングで、前記ステージ高さ位置を、走査位置が前記非検査領域から前記第2のセットの前記第1回目の走査方向の先に隣接する検査領域に切り替わった直後の位置に対して記憶された前記ステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項2又は3に記載のパターン検査方法。
【請求項5】
図形パターンが形成された複数の検査領域と前記複数の検査領域の検査領域同士間の非検査領域とを有する被検査試料を載置する、移動可能なステージと、
前記ステージの高さ位置を移動させる駆動機構と、
検査光で前記被検査試料を照明する照明光学系と、
前記検査光で照射された前記被検査試料を透過或いは反射した光を受光することにより、前記被検査試料の光学画像を撮像するセンサと、
前記被検査試料を透過或いは反射した光を前記センサに導く検査光学系と、
前記検査光で前記複数の検査領域と前記検査領域同士間の前記非検査領域とが所定の方向に走査される場合に、前記ステージの高さ位置を可変に制御することにより、前記複数の検査領域の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行うオートフォーカス機構と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と前記参照画像とを比較する比較回路と、
を備え、
前記オートフォーカス機構は、
前記非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面が前記フォーカス高さ位置になるステージ高さを記憶する記憶装置と、
前記検査光で前記非検査領域が走査される場合に、前記非検査領域を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面が前記フォーカス高さ位置になる前記ステージ高さに保持し、前記非検査領域に対して前記走査方向の先に隣接する検査領域が前記検査光で走査される場合に、前記ステージの高さ位置を前記保持されたステージ高さ位置から開始して、前記ステージの高さ位置を可変に制御することにより、前記走査方向の先に隣接する検査領域のパターン形成面の高さ位置を前記フォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス処理部と、
を有することを特徴とするパターン検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、パターン検査方法及びパターン検査装置に関する。例えば、半導体製造に用いる露光用マスクのパターン欠陥を検査する装置及びその装置のオートフォーカス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
検査手法としては、例えば、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計されたCADデータをマスクにパターンを描画する時に描画装置が入力するための装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計データ)を検査装置に入力して、これをベースに参照画像を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。
【0005】
かかる検査装置では、マスク等の被検査試料上のパターン画像を鮮明に採取する必要がある。しかし、検査装置の光学系には有限の焦点深度が存在するので、検査中は被検査試料の検査面を、光学系の焦点深度内に保持し続ける必要がある。言い換えれば、撮像した画像のコントラストを許容される範囲に保持することが求められる。そのため、検査装置では、画像撮像用の検査光学系に加え、検査光学系に対する検査対象物の高さ方向の変位を検出し、高さ位置を調整するオートフォーカス機構が採用されている。
【0006】
被検査試料には、パターンが形成される検査領域の周囲に、パターンが形成されない非検査領域がある。パターン検査では、非検査領域から走査を開始し、検査領域へと進み、逆側の非検査領域まで走査を続ける。その間、オートフォーカス制御が実施される。
【0007】
ここで、非検査領域の面と検査領域の面との間に大きな段差が形成される被検査試料を検査する場合がある。かかる場合に、非検査領域から検査領域に走査位置が侵入する際、この段差にオートフォーカス制御が追い付かず、検査領域に侵入直後に撮像される画像がぼけてしまうといった問題があった。
【0008】
検査領域面と非検査領域面との間に大きな段差がある被検査試料に対して、検査領域か非検査領域かを判断し、検査領域ではオートフォーカス機構を駆動し、走査位置が非検査領域に侵入する直前にオートフォーカス機構を停止するといった手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、被検査試料には、検査時の走査方向に非検査領域を挟んで複数の検査領域が配置されるものがある。このような被検査試料では、被検査試料にたわみが生じた場合等、検査領域から非検査領域へと切り替わる直前のフォーカス高さ位置と非検査領域から次の検査領域へと切り替わった直後のフォーカス高さ位置とが一致するとは限らない。よって、単に、走査位置が非検査領域に侵入する直前にオートフォーカス機構を停止するだけでは、次の検査領域に走査位置が侵入直後に撮像される画像がぼけてしまう問題点を解決し得ない場合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の一態様は、非検査領域を挟んで複数の検査領域が配置される被検査試料の検査において、検査領域と非検査領域との間にオートフォーカス機構が追従困難な大きな段差が生じる場合でも、走査位置が検査領域に侵入直後に撮像される画像がぼけてしまうことを抑制或いは低減可能な方法およびその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
図形パターンが形成された複数の検査領域と複数の検査領域の検査領域同士間の非検査領域とを有する被検査試料を用いて、検査光で複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域とを所定の方向に走査する工程と、
検査光で照射された被検査試料を透過或いは反射した光を、検査光学系を介してセンサで受光することにより、被検査試料の光学画像を撮像する工程と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
を備え、
上述した走査する工程は、
走査方向に対して非検査領域の手前側の検査領域を検査光で走査する場合に、被検査試料が載置されるステージの高さ位置を可変に制御することにより、当該検査領域の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う工程と、
検査光で非検査領域を走査する場合に、非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さを用いて、非検査領域を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さに保持する工程と、
非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域を検査光で走査する場合に、ステージの高さ位置を保持されたステージ高さ位置から開始して、ステージの高さ位置を可変に制御することにより、走査方向の先に隣接する検査領域のパターン形成面の高さ位置をフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う工程と、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、第1の方向への前記複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域との走査と、第1の方向と逆方向への複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域との走査と、が第1の方向と直交する第2の方向に位置をずらしながら交互に繰り返され、
上述した走査する工程は、
第n-1回目(nは2以上の整数)の走査を行う場合に、走査位置が第n-1回目の走査方向に手前側の検査領域から非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
走査方向が第n-1回目の走査とは逆方向になる第n回目の走査を行う場合に、走査位置が第n回目の走査方向に手前側の検査領域から非検査領域に切り替わるタイミングで、ステージの高さ位置を、走査位置が非検査領域から第n回目の走査方向の先の隣接する検査領域に切り替わった直後の位置の近傍の位置に相当する第n-1回目の走査を行った際に記憶された位置のステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有すると好適である。
【0014】
また、上述した走査する工程は、
第1回目の走査を行う前に、第1回目の走査方向と逆方向に第1回目の走査領域を走査して、走査位置が第1回目の走査方向と逆方向に手前の検査領域から非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
第1回目の走査を行う場合に、走査位置が第1回目の走査方向に手前の検査領域から非検査領域に切り替わるタイミングで、ステージの高さ位置を、走査位置が非検査領域から第1回目の走査方向の先に隣接する検査領域に切り替わった直後の位置に対して記憶されたステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有すると好適である。
【0015】
また、被検査試料は、複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域との第1のセットの第2の方向に、さらに、非検査領域を挟んで、複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域との第2のセットを有し、
上述した走査する工程は、
第1のセットの走査に引き続き、第2のセットの走査を行う場合に、第2のセットの走査を行う前に、第2のセットのための第1回目の走査方向と逆方向に第2のセットの第1回目の走査領域を走査して、走査位置が第2のセットの第1回目の走査方向と逆方向に手前の検査領域から非検査領域に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する工程と、
第2のセットの第1回目の走査を行う場合に、走査位置が第2のセットの第1回目の走査方向に手前の検査領域から非検査領域に切り替わるタイミングで、ステージ高さ位置を、走査位置が非検査領域から第2のセットの第1回目の走査方向の先に隣接する検査領域に切り替わった直後の位置に対して記憶されたステージ高さ位置に移動する工程と、
をさらに有すると好適である。
【0016】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
図形パターンが形成された複数の検査領域と複数の検査領域の検査領域同士間の非検査領域とを有する被検査試料を載置する、移動可能なステージと、
ステージの高さ位置を移動させる駆動機構と、
検査光で被検査試料を照明する照明光学系と、
検査光で照射された被検査試料を透過或いは反射した光を受光することにより、被検査試料の光学画像を撮像するセンサと、
被検査試料を透過或いは反射した光をセンサに導く検査光学系と、
検査光で複数の検査領域と検査領域同士間の非検査領域とが所定の方向に走査される場合に、ステージの高さ位置を可変に制御することにより、複数の検査領域の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行うオートフォーカス機構と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較する比較回路と、
を備え、
オートフォーカス機構は、
非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さを記憶する記憶装置と、
検査光で非検査領域が走査される場合に、非検査領域を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さに保持し、非検査領域に対して走査方向の先に隣接する検査領域が検査光で走査される場合に、ステージの高さ位置を保持されたステージ高さ位置から開始して、ステージの高さ位置を可変に制御することにより、走査方向の先に隣接する検査領域のパターン形成面の高さ位置をフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス処理部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、非検査領域を挟んで複数の検査領域が配置される被検査試料の検査において、検査領域と非検査領域との間にオートフォーカス機構が追従困難な大きな段差が生じる場合でも、走査位置が検査領域に侵入直後に撮像される画像がぼけてしまうことを抑制或いは低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。
【
図3】実施の形態1における被検査試料の一例を示す上面図である。
【
図4】実施の形態1における被検査試料の一例を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1におけるオートフォーカス制御回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態1におけるストライプ領域の一部を示す図である。
【
図7】実施の形態1における被検査試料の他の一例を示す上面図である。
【
図8】実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。
【
図9】実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。
図1において、例えばマスク等の被検査試料に形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得機構150、及び制御系回路160を備えている。
【0020】
光学画像取得機構150は、光源103、反射照明光学系171、移動可能に配置されたXYθテーブル102、拡大光学系104、ビームスプリッタ174、ビームスプリッタ177、コリメータレンズ176、結像光学系178、オートフォーカス機構131、撮像センサ105、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、レーザ測長システム122、及びオートローダ130を有している。透過光を用いた透過検査を行う場合には、さらに透過照明光学系170を配置する。透過検査を行わずに反射光を用いた反射検査のみを行う場合には、透過照明光学系170を省略しても構わない。透過検査と反射検査の両方を同時に行う場合には、さらに図示しない撮像センサを追加し、撮像センサ105で反射検査のための画像を撮像し、追加された撮像センサで透過検査のための画像を撮像するように構成すればよい。
【0021】
オートフォーカス機構131は、オートフォーカス光学系180、光量センサ185(第1の光量センサ)、光量センサ187(第2の光量センサ)、Z駆動機構132、及び位置センサ134を有する。オートフォーカス光学系180は、検査光で被検査試料101を照射した際に、被検査試料を透過或いは反射した光が拡大光学系104及びビームスプリッタ174を通り、ビームスプリッタ177で分岐された光を入射する。また、ビームスプリッタ177を通過した光は結像光学系178を通って撮像センサ105に入射する。
【0022】
オートフォーカス光学系180は、結像光学系181、ビームスプリッタ182、スリット板184、及びスリット板186を有する。オートフォーカス光学系180は、被検査試料を透過或いは反射した光を光量センサ185と光量センサ187に導く。ビームスプリッタ182は、焦点位置よりも手前に配置されたる。スリット板184は、前焦点位置(前ピン位置)に配置され、ビームスプリッタ182を透過した光を受光する。光量センサ185は、前焦点位置(前ピン位置)に配置されたスリット板184を通過した光量を計測する。スリット板186は、後焦点位置(後ピン位置)に配置され、ビームスプリッタ182により分岐された光を受光する。光量センサ187は、後焦点位置(後ピン位置)に配置されたスリット板186を通過した光量を計測する。
【0023】
XYθテーブル102上には、オートローダ130から搬送された被検査試料101が配置されている。被検査試料101として、例えば、ウェハ等の半導体基板にパターンを転写する露光用のフォトマスクが含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる図形パターンが形成されている。被検査試料101は、フォトマスクに限るものではない。また、被検査試料101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。XYθテーブル102のステージの一例である。
【0024】
撮像センサ105として、ラインセンサ或いは2次元センサを用いる。例えば、TDI(時間遅延積分)センサを用いると好適である。TDIセンサは、2次元状に配列される複数のフォトセンサ素子を有する。各フォトセンサ素子は画像を撮像する際に、所定の画像蓄積時間が設定される。TDIセンサでは、スキャン方向に並ぶ複数のフォトセンサ素子の出力が積分されて出力される。スキャン方向に並ぶ複数のフォトセンサ素子は、XYθテーブル102の移動に応じて時間をずらしながら同じ画素を撮像することになる。ラインセンサを用いる場合には、スキャン方向と直交する方向に複数のフォトセンサ素子が並ぶように配置する。
【0025】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、オートフォーカス制御回路140、磁気ディスク装置109、メモリ111、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、参照画像作成回路112は、比較回路108に接続される。
【0026】
位置センサ134の出力は、オートフォーカス制御回路140に接続される。また、光量センサ185,187の出力は、オートフォーカス制御回路140に接続される。
【0027】
なお、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140といった一連の「~回路」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。各回路は、同じ処理回路(1つの処理回路)を用いて構成される場合であっても良いし、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140といった一連の「~回路」は、制御計算機110によって構成され、実行されても良い。位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度各回路内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。制御計算機110に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度制御計算機110内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。
【0028】
検査装置100では、検査光学系175として、反射検査光学系或いは/及び透過検査光学系を搭載している。光源103、反射照明光学系171、ビームスプリッタ174、拡大光学系104、XYθテーブル102、コリメータレンズ176、及び結像光学系178により高倍率の反射検査光学系が構成されている。或いは、光源103、透過照明光学系170、XYθテーブル102、拡大光学系104、コリメータレンズ176、及び結像光学系178により高倍率の透過検査光学系が構成されている。
【0029】
また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。XYθテーブル102は、ステージの一例となる。そして、XYθテーブル102上に配置された被検査試料101の走査位置(撮像位置、或いは光軸位置)はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、オートローダ130からXYθテーブル102への被検査試料101の搬送、及びXYθテーブル102からオートローダ130への被検査試料101の搬送処理は、オートローダ制御回路113によって制御される。
【0030】
また、XYθテーブル102は、オートフォーカス制御回路140により制御されたZ駆動機構132によりz方向に駆動される。Z駆動機構132として、例えば、ピエゾ素子或いはステップモータを用いると好適である。また、被検査試料101面(例えばパターン形成面)の高さ位置は、位置センサ134によって測定され、測定結果がオートフォーカス制御回路140に出力される。
【0031】
被検査試料101のパターン形成の基となる描画データ(設計データ)が検査装置100の外部から入力され、磁気ディスク装置109に格納される。描画データには、複数の図形パターンが定義され、各図形パターンは、通常、複数の要素図形の組合せにより構成される。なお、1つの図形で構成される図形パターンがあっても構わない。被検査試料101上には、かかる描画データに定義された各図形パターンに基づいて、それぞれ対応するパターンが形成されている。
【0032】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0033】
図2は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。被検査試料101の検査領域10(複数の検査領域がある場合には複数の検査領域全体の外接矩形の領域を示す)は、
図2に示すように、例えばY方向に向かって、撮像センサ105のスキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光(検査光)を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(X方向)に向かって当該検査ストライプ20内に配置される図形パターンの画像を撮像する。なお、画像の取りこぼしを防ぐために、複数の検査ストライプ20は、隣接する検査ストライプ20同士間が所定のマージン幅でオーバーラップするように設定されると好適である。
【0034】
XYθテーブル102の移動によって撮像センサ105が相対的にX方向に連続移動しながら光学画像が取得される。撮像センサ105では、
図2に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、Y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)-バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
【0035】
また、実際の検査にあたって、各検査ストライプ20のストライプ領域画像は、
図2に示すように、矩形の複数のフレーム領域30の画像(フレーム画像31)に分割される。そして、フレーム領域30のフレーム画像31毎に検査を行っていく。例えば、512×512画素のサイズに分割される。よって、フレーム領域30のフレーム画像31と比較される参照画像も同様にフレーム領域30毎に作成されることになる。
【0036】
各検査ストライプ20の画像を取得する際、光学画像取得機構150は、被検査試料101をXYθテーブル102に載置した状態で、設定された試料面高さ位置で、検査光で照射された被検査試料101を透過或いは反射した光を、検査光学系175を介して撮像センサ105で受光することにより、予め設定されたフレーム領域30の被検査試料の光学画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。
【0037】
光学画像取得機構150は、予め設定されたフレーム領域30を含む検査ストライプ20上をレーザ光(検査光)で走査(スキャン)して、撮像センサ105によりストライプ領域画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。対象となる検査ストライプ20が撮像可能な位置にXYθテーブル102を移動させる。透過検査において、被検査試料101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が透過照明光学系170を介して照射される。言い換えれば、透過照明光学系170は、パターンが形成された被検査試料を照明する。被検査試料101を透過した光は拡大光学系104及びコリメータレンズ176を介して、結像光学系178により撮像センサ105(センサの一例)に光学像として結像させられ、入射する。言い換えれば、検査光学系175は、被検査試料を透過した光を撮像センサ105に導く。
【0038】
或いは反射検査において、被検査試料101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が反射照明光学系171によりビームスプリッタ174に照射される。照射されたレーザ光は、ビームスプリッタ174で反射して、拡大光学系104により被検査試料101に照射される。被検査試料101から反射した光は拡大光学系104、ビームスプリッタ174、及びコリメータレンズ176を通過して、結像光学系178により撮像センサ105に光学像として結像させられ、入射する。言い換えれば、検査光学系175は、被検査試料を反射した光を撮像センサ105に導く。
【0039】
撮像センサ105は、検査光で照射された被検査試料101を透過或いは反射した光を受光することにより、被検査試料101の光学画像を撮像する。
【0040】
撮像センサ105上に結像されたパターンの像は、撮像センサ105の各フォトセンサ素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素値のデータが格納される。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。
【0041】
上述したように、検査装置100は、上述したように、検査光学系175(反射検査光学系或いは/及び透過検査光学系)に加えて、検査光学系175に対する被検査試料101の高さ方向の変位を検出し、被検査試料101の高さ位置をフォーカス位置に調整するオートフォーカス機構131を備えている。
【0042】
オートフォーカス機構131は、検査ストライプ20の画像を取得中、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を可変に制御することにより、対象ストライプ領域の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う。言い換えれば、オートフォーカス機構131は、検査光で後述する複数の検査領域12と検査領域同士間の非検査領域14とが所定の方向に走査される場合に、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を可変に制御することにより、複数の検査領域12の各位置でパターン形成面の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う。XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置は、Z駆動機構132によって移動させられる。
【0043】
ここで、パターンの微細化が進行するに伴い、検査光の短波長化が進んでおり、これに伴い検査光学系175の焦点深度が浅くなるため、従来は、検査光学系の近傍に設置した独立した計測系の精度で足りていたものが、検査光学系そのものを利用した(In-situ)測定を行わないと、検査光学系の持つ様々な変動要因(温度/機械的変形の依存性)を検出できず、高精度なピント調整ができなくなってきた。
【0044】
そのため、オートフォーカス機構131では、被検査試料101を検査光(DUV光)で照射した際に、被検査試料101を透過或いは反射した光の前焦点位置と後焦点位置で測定される光量を使って、フォーカス位置に被検査試料101面の高さ位置を調整する。
図1の例では、被検査試料101を反射した光の前焦点位置と後焦点位置で測定される光量を使って、フォーカス位置に被検査試料101面の高さ位置を調整する。具体的には、オートフォーカス機構131は、共焦点光学系方式を用いて、被検査試料のパターン形成面高さ位置に対する、光量センサ185で測定される前焦点位置での光量信号AF-Fと光量センサ187で測定される後焦点位置での光量信号AF-Rとの差分を和で割った値(オートフォーカス信号)が所定の値(例えば、ゼロ)になるフォーカス位置に被検査試料101面の高さ位置を調整する。撮像センサ105のためのフォーカス高さ位置とオートフォーカス機構131でのフォーカス高さ位置とにずれが生じる場合には、ずれ分のオフセットを加算した位置に被検査試料101面の高さ位置を調整する。以下、具体的に説明する。
【0045】
上述した各検査ストライプ20の光学画像を撮像する際、オートフォーカス機構131は、被検査試料101をXYθテーブル102に載置した状態で、XYθテーブル102の水平方向の移動に伴ない変動し得る被検査試料101の試料面高さ位置を所望のオートフォーカス信号(例えばゼロ)に対応する試料面高さ位置に調整する。具体的には、以下のように動作する。
【0046】
被検査試料101を透過或いは反射した光は拡大光学系104、及びビームスプリッタ174通過して、ビームスプリッタ177で一部が分岐される。分岐された光は、オートフォーカス光学系180に入射する。そして、上述したように、光量センサ185は、前焦点位置(前ピン位置)の光量を計測する。光量センサ187は、後焦点位置(後ピン位置)の光量を計測する。光量センサ185,187により測定された光量は、オートフォーカス制御回路140に出力される。
【0047】
オートフォーカス制御回路140は、光量センサ185,187から前ピン位置での光量と後ピン位置での光量を入力し、記憶装置51に格納する。
【0048】
オートフォーカス信号算出部62は、記憶装置51から前ピン位置での光量と後ピン位置での光量を入力し、オートフォーカス信号(AF信号)を算出する。
【0049】
オートフォーカス処理部64は、算出されるオートフォーカス信号が所望のオートフォーカス信号(例えばゼロ)になるように、Z駆動機構132を制御する。
【0050】
以上により、画像を撮像中(検査領域の走査中)、オートフォーカス制御を実行する。
【0051】
図3は、実施の形態1における被検査試料の一例を示す上面図である。
図4は、実施の形態1における被検査試料の一例を示す断面図である。
図3及び
図4に示すように、実施の形態1における被検査試料101には、複数の検査領域12が配置される。各検査領域12には、図形パターンが配置される。各検査領域12に、同じ図形パターンが配置される場合の他、異なる図形パターンが配置される場合であっても構わない。複数の検査領域12は、検査領域12同士の間に非検査領域14を挟んで配置される。また、複数の検査領域12全体の周囲の領域も非検査領域となる。言い換えれば、各検査領域12は、非検査領域14にそれぞれ囲まれる。なお、非検査領域14には、一般にパターンは形成されないが、パターンが形成される場合であっても構わない。
図3及び
図4の例では、例えば、2つの検査領域12a,12bが非検査領域14を挟んで形成される場合を示している。かかる被検査試料101の光学画像を撮像する場合、
図2において説明したように、複数の検査領域12全体の外接矩形の領域を例えばy方向に複数の検査ストライプ20に分割する。或いは、少なくともx方向に並ぶ複数の検査領域12全体の外接矩形の領域を例えばy方向に複数の検査ストライプ20に分割する。
そして、検査ストライプ20毎に、検査光で検査ストライプ20を走査することによって、ストライプ領域内の画像を撮像していくことになる。よって、検査領域12a,12b間に位置する非検査領域14についても検査光で走査することになる。なお、画像を撮像する場合には、上述したオートフォーカス機構131を使って、オートフォーカス制御を行いがら撮像する。
【0052】
ここで、実施の形態1では、
図4に示すように、検査領域12面と非検査領域14面との間に大きな段差がある被検査試料101を用いる。
図4の例では、被検査試料101のパターン形成面を下向きに向けた状態を示している。
図4の例では、被検査試料101は、ガラス基板16上に、例えばクロム(Cr)等の遮光膜17でパターンが形成される。また、パターンが形成される領域(ここでは検査領域12)の周囲に、遮光膜17とは膜厚が異なる、例えばクロム(Cr)等の遮光膜18が形成される。このように、例えば、膜厚が異なる2つの膜によって、大きな段差が形成される例えばマスク等を被検査試料101にする。
図4の例では、遮光膜18が遮光膜17よりも外側(
図4では下側)に出っ張っている(膜厚が大きい)場合を示しているが、これに限るものではない。例えば、非検査領域14でのガラス基板16の厚さが薄くなるように形成することで、検査領域12面と非検査領域14面との間に大きな段差がある被検査試料を形成する場合であっても良い。
【0053】
実施の形態1の比較例では、かかる被検査試料101を走査する場合、
図4に示すように、オートフォーカス機構131は、検査領域12面では、検査領域12面をフォーカス高さ位置に調整し、非検査領域14面では、非検査領域14面をフォーカス高さ位置に調整する。かかる比較例の手法では、非検査領域14から検査領域12に検査光での走査位置が侵入した場合、段差が大きいためにオートフォーカス制御が追従できず、フォーカス制御が間に合わない場合が生じる。その結果、検査領域12に侵入した直後に撮像された画像では、フォーカス位置が合っておらず、画像がぼけてしまう。かかるフォーカスずれの現象は、走査動作の助走区間となる各検査ストライプ20の外側の非検査領域14から対象の検査ストライプ20の検査領域12に走査位置が侵入する場合に生じる。同様に、各検査ストライプ20内の検査領域12間の非検査領域14から対象の検査ストライプ20の走査方向に隣接する次の検査領域12に走査位置が侵入する場合に生じる。
【0054】
そこで、実施の形態1では、非検査領域14から検査領域12に走査位置が侵入する場合に、侵入先の検査領域面の高さ位置が実質的にフォーカス高さ位置に合うXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置、或いはオートフォーカス制御で追従が可能なXYθテーブル102の高さ位置に、予めXYθテーブル102の高さを合わせておく。以下、具体的に説明する。
【0055】
図5は、実施の形態1におけるオートフォーカス制御回路の内部構成の一例を示すブロック図である。オートフォーカス制御回路140内には、磁気ディスク装置等の記憶装置51,61,69、AF信号算出部62、オートフォーカス処理部64、領域判定部66、及びステージ高さ位置記録部68が配置される。AF信号算出部62、オートフォーカス処理部64、領域判定部66、及びステージ高さ位置記録部68といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。AF信号算出部62、オートフォーカス処理部64、領域判定部66、及びステージ高さ位置記録部68に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度比較回路108内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
【0056】
図6は、実施の形態1におけるストライプ領域の一部を示す図である。実施の形態1では、図形パターンが形成された複数の検査領域12a,12bと複数の検査領域12a,12bの検査領域同士間の非検査領域14とを有する被検査試料101を用いる。
図6の例では、かかる被検査試料101の複数の検査ストライプ20のうち、第1番目から第3番目までの検査ストライプ20とその両側の非検査領域部分を示す。
図6において、走査コースを理解し易いように、位置P0,A,Bのy座標と,位置P1、B′,C,A′,Dのy座標とがずれて示されているが、位置P0,A,A′,B,B′,P1、C,Dのy座標は同じである。
【0057】
まず、移動可能なXYθテーブル102は、図形パターンが形成された複数の検査領域12と複数の検査領域12の検査領域同士間の非検査領域14とを有する被検査試料101を載置する。
【0058】
各検査ストライプ20の画像を取得する際には、光学画像取得機構150は、検査光で複数の検査領域12a,12bと検査領域同士間の非検査領域14とを所定の方向に走査する。
図6の例では、第1番目の検査ストライプ20では、例えば+x方向に走査する。かかる場合、第2番目の検査ストライプ20では、-x方向に走査する。第3番目の検査ストライプ20では、+x方向に走査する。以降、同様に、交互に向きを変えながら走査する。
【0059】
そして、各検査ストライプ20を走査する場合には、各検査ストライプ20の走査開始位置より走査方向に手前の非検査領域14を助走区域として、助走区域内でXYθテーブル102(ステージ)速度を加速して所望の速度まで上げていき、走査を開始する。そして、各検査ストライプ20の走査終了位置よりも走査方向に先の非検査領域14に入るまでステージ速度を落とさずに走査を継続後、非検査領域14を減速区域として、非検査領域14内でXYθテーブル102(ステージ)速度を減速する。これにより、走査中、各検査ストライプ20内のステージ速度を一定にできる。
【0060】
また、各検査領域12a,12bを検査光で走査する場合に、オートフォーカス機構131は、被検査試料101が載置されるXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を可変に制御することにより、当該検査領域12a(12b)の各位置で被検査試料101面(例えばパターン形成面)の高さ位置を所望のフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う。所望のフォーカス高さ位置とは、上述したオートフォーカス信号が所定の値(例えばゼロ)になる高さ位置である。
【0061】
一方、オートフォーカス機構131は、検査光で非検査領域14を走査する場合に、非検査領域14に対して走査方向の先に隣接する検査領域12a(12b)の走査開始位置の近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを用いて、非検査領域14を走査中のステージ高さ位置を当該近傍の位置においてパターン形成面がフォーカス高さ位置になるステージ高さ位置zに保持する。そして、保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0062】
そして、オートフォーカス機構131は、非検査領域14に対して走査方向の先に隣接する検査領域12a(12b)を検査光で走査する場合に、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を保持されたステージ高さ位置から開始して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を可変に制御することにより、走査方向の先に隣接する検査領域12a(12b)のパターン形成面の高さ位置をフォーカス高さ位置に調整するオートフォーカス制御を行う。
【0063】
領域判定部66は、各検査ストライプ20を走査している間、位置回路107から走査位置の座標(x,y)を入力する。そして、領域判定部66は、非検査領域情報を参照して、現在の走査位置と非検査領域14との相対位置関係を判定する。非検査領域情報として、非検査領域14の位置及びサイズ等が定義される。非検査領域情報は記憶装置61に予め格納しておく。以下、具体的に説明する。
【0064】
まず、光学画像取得機構150は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)を行う前に、第1回目の走査方向(+x方向)と逆方向(-x方向)に第1番目の検査ストライプ20(第1回目の走査領域)を走査(事前走査)する。その際、例えば、第1番目の検査ストライプ20に対してかかる走査の走査方向(-x方向)に向かって手前の非検査領域14c内の位置P0から走査を開始する。オートフォーカス処理部64は、オートフォーカス制御を実行する。
【0065】
領域判定部66は、検査領域12bの走査が進み、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Aに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14b端から位置Aまでの距離は予め所望の距離に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Aに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Aの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0066】
同様に、領域判定部66は、検査領域12aの走査が進み、走査位置が非検査領域14aの直前の位置Bに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14a端から位置Bまでの距離は予め所望の距離に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14aの直前の位置Bに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Bの座標(x,y)と関連させて格納する。
オートフォーカス処理部64は、位置BのXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0067】
その後、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)を行う。光学画像取得機構150は、第1回目の走査方向(+x方向)に第1番目の検査ストライプ20(第1回目の走査領域)を走査する。その際、例えば、第1番目の検査ストライプ20に対してかかる走査の走査方向(+x方向)に向かって手前の非検査領域14a内の位置P1から走査を開始する。
【0068】
領域判定部66は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において非検査領域14aから検査領域12aに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0069】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14aから検査領域12aに走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12aに走査位置が侵入した位置B′(位置Bと同じ)がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置B′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は位置Bでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12aについてオートフォーカス制御を実行する。
【0070】
領域判定部66は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において検査領域12aの走査が進み、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Cに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14b端から位置Cまでの距離は予め所望の距離に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Cに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Cの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0071】
オートフォーカス処理部64は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において、走査位置が第1番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)に手前の検査領域12aから非検査領域14bに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14bから第1番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)の先に隣接する検査領域12bに切り替わった直後の位置A′(位置Aと同じ)に対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0072】
そして、領域判定部66は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において非検査領域14bから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0073】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14bから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12bに走査位置が侵入した位置A′(位置Aと同じ)がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置A′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は位置Aでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12bについてオートフォーカス制御を実行する。
【0074】
領域判定部66は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において検査領域12bの走査が進み、走査位置が非検査領域14cの直前の位置Dに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14c端から位置Dまでの距離は予め所望の距離に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14cの直前の位置Dに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Dの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0075】
オートフォーカス処理部64は、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において、走査位置が第1番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)に手前の検査領域12bから非検査領域14cに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14cから第2番目の検査ストライプ20の走査方向(-x方向)の先に隣接する検査領域12bに切り替わった直後の位置D′の近傍位置Dに対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。言い換えれば、オートフォーカス処理部64は、位置DのXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0076】
上述したように+x方向(第1の方向)への複数の検査領域12a,12bと検査領域12a,12b同士間の非検査領域14との走査と、x方向と逆方向(-x方向)への複数の検査領域12a,12bと検査領域12a,12b同士間の非検査領域14との走査と、が+x方向と直交するy方向(第2の方向)に位置をずらしながら交互に繰り返される。
【0077】
ステージ高さ位置記録部68は、第n-1番目(nは2以上の整数)の検査ストライプ20の走査(第n-1回目の走査)を行う際に、走査位置が第n-1回目の走査方向に手前側の検査領域12a(12b)から非検査領域14bに切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する。上述したように、第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)では、位置C,Dのオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶している。以降、同様に、各ストライプ領域の走査において、走査方向に手前側の検査領域12a(12b)から非検査領域14bに切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する。
【0078】
そして、走査方向が第n-1回目の走査とは逆方向になる第n回目の走査を行う場合に、走査位置が第n回目の走査方向に手前側の検査領域12a(12b)から非検査領域14bに切り替わるタイミングで、ステージの高さ位置を、走査位置が非検査領域14bから第n回目の走査方向の先の隣接する検査領域12b(12a)に切り替わった直後の位置の近傍の位置に相当する第n-1回目の走査を行った際に記憶された位置のステージ高さ位置に移動する。以下、具体的に説明する。
【0079】
第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)を行う。光学画像取得機構150は、第2回目の走査方向(-x方向)に第2番目の検査ストライプ20(第2回目の走査領域)を走査する。その際、例えば、第2番目の検査ストライプ20に対してかかる走査の走査方向(-x方向)に向かって手前の非検査領域14c内の位置P2から走査を開始する。
【0080】
領域判定部66は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において非検査領域14cから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0081】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14cから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12bに走査位置が侵入した位置D′がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置D′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は、位置D′の近傍の位置Dでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12bについてオートフォーカス制御を実行する。
【0082】
領域判定部66は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において検査領域12bの走査が進み、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Eに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14b端から位置Eまでの距離は非検査領域14b端から位置Aまでの距離と同様に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Eに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Eの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0083】
オートフォーカス処理部64は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において、走査位置が第2番目の検査ストライプ20の走査方向(-x方向)に手前の検査領域12bから非検査領域14bに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14bから第2番目の検査ストライプ20の走査方向(-方向)の先に隣接する検査領域12aに切り替わった直後の位置C′の近傍の位置Cに対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0084】
そして、領域判定部66は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において非検査領域14bから検査領域12aに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0085】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14bから検査領域12aに走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12aに走査位置が侵入した位置C′がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置C′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は、位置C′の近傍の位置Cでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12bについてオートフォーカス制御を実行する。
【0086】
領域判定部66は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において検査領域12aの走査が進み、走査位置が非検査領域14aの直前の位置Fに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。非検査領域14a端から直前の位置Fまでの距離は、非検査領域14a端から直前の位置Bまでの距離と同様で構わない。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14aの直前の位置Fに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Fの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0087】
オートフォーカス処理部64は、第2番目の検査ストライプ20の走査(第2回目の走査)において、走査位置が第2番目の検査ストライプ20の走査方向(-x方向)に手前の検査領域12aから非検査領域14aに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14aから第3番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)の先に隣接する検査領域12aに切り替わった直後の位置F′の近傍位置Fに対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。言い換えれば、オートフォーカス処理部64は、位置FのXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0088】
第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)を行う。光学画像取得機構150は、第3回目の走査方向(+x方向)に第3番目の検査ストライプ20(第3回目の走査領域)を走査する。その際、例えば、第3番目の検査ストライプ20に対してかかる走査の走査方向(+x方向)に向かって手前の非検査領域14a内の位置P3から走査を開始する。
【0089】
領域判定部66は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において非検査領域14aから検査領域12aに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0090】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14aから検査領域12ba走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12aに走査位置が侵入した位置F′がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置F′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は、位置F′の近傍の位置Fでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12aについてオートフォーカス制御を実行する。
【0091】
領域判定部66は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において検査領域12aの走査が進み、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Gに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。直前とする非検査領域14b端から位置Gまでの距離は非検査領域14b端から位置Cまでの距離と同様に設定しておけばよい。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14bの直前の位置Gに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Gの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0092】
オートフォーカス処理部64は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において、走査位置が第3番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)に手前の検査領域12aから非検査領域14bに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14bから第3番目の検査ストライプ20の走査方向(+方向)の先に隣接する検査領域12bに切り替わった直後の位置E′の近傍の位置Eに対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0093】
そして、領域判定部66は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において非検査領域14bから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0094】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14bから検査領域12bに走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12bに走査位置が侵入した位置E′がオートフォーカス制御の開始位置となるが、走査位置が位置E′になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は、位置E′の近傍の位置Eでオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12bについてオートフォーカス制御を実行する。
【0095】
領域判定部66は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において検査領域12bの走査が進み、走査位置が非検査領域14cの直前の位置Hに到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。非検査領域14c端から直前の位置Hまでの距離は、非検査領域14c端から直前の位置Dまでの距離と同様で構わない。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14cの直前の位置Hに到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Hの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0096】
オートフォーカス処理部64は、第3番目の検査ストライプ20の走査(第3回目の走査)において、走査位置が第3番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)に手前の検査領域12bから非検査領域14cに切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14cから第4番目の検査ストライプ20の走査方向(-x方向)の先に隣接する検査領域12bに切り替わった直後の位置の近傍位置Hに対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。言い換えれば、オートフォーカス処理部64は、位置FのXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0097】
以降、同様に、各検査ストライプ20の走査を繰り返す。
【0098】
上述したように、検査時の走査方向に非検査領域を挟んで複数の検査領域が配置される被検査試料101では、3点支持或いは4点以上の支持方法により支持された被検査試料101にたわみが生じた場合等、検査領域12a(12b)から非検査領域14bへと切り替わる直前のフォーカス高さ位置と非検査領域14bから次の検査領域12b(12a)へと切り替わった直後のフォーカス高さ位置とが一致するとは限らない。よって、単に、走査位置が非検査領域14a,14b,14cに侵入する直前にオートフォーカス機構を停止するだけでは、次の検査領域12a(12b)に走査位置が侵入直後に撮像される画像がぼけてしまう問題点を解決し得ない場合が生じる。
【0099】
これに対して、実施の形態1によれば、走査方向の先に隣接する検査領域12a(12b)に切り替わる前に、走査方向の先に隣接する検査領域12a(12b)に切り替わった直後の位置の近傍の位置(1つ前の隣接するストライプ領域上の位置)に対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。これにより、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。また、各検査ストライプ20の最初の検査領域の走査開始位置については、1つ前の隣接する検査ストライプ20の最後の検査領域の走査終了位置でのステージ高さ位置が保持されているので、同様にオートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。
【0100】
図7は、実施の形態1におけるマスクの他の一例を示す上面図である。
図7の例では、各検査ストライプ20中に2以上の非検査領域が検査領域間にそれぞれ挟まれる場合を示している。かかる場合でも、各検査ストライプ20の走査を行う際には、上述した場合と同様、各非検査領域を跨ぐ際に、走査位置が非検査領域14の直前の位置に到達したタイミングで、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録しておく。そして、走査位置が非検査領域14から走査方向の先に隣接する検査領域12に切り替わった直後の位置の近傍位置(1つ前の隣接するストライプ領域上の位置)に対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。そして、非検査領域14から検査領域12に走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。
【0101】
以上により、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。
【0102】
また、
図7の例において、被検査試料101は、複数の検査領域12と検査領域同士間の非検査領域14との第1のセットのy方向(第2の方向)に、さらに、非検査領域14を挟んで、複数の検査領域12と検査領域同士間の非検査領域14との第2のセットを有している。
図7の例では、第2のセットのy方向にさらに非検査領域14を挟んで、複数の検査領域12と検査領域同士間の非検査領域14との第3のセットを有している場合を示している。このように各検査ストライプ20の走査を進めていくと、次のストライプ領域との間に非検査領域14を挟む場合がある。かかる場合には、以下のように動作すると好適である。各検査ストライプ20の設定は、セット毎に行うと良い。但し、これに限るものではなく、y方向のセット間の非検査領域14を含めた各セットの外接矩形領域を複数の検査ストライプ20に分割しても構わない。
【0103】
セット間に非検査領域14を挟む場合、前のセットの最終検査ストライプ20内の位置を、次のセットの最初の検査ストライプ20の非検査領域から検査領域に切り替わった直後の位置の近傍の位置とするには距離が離れている。そこで、実施の形態1では、かかる被検査試料101に対して、各検査ストライプ20の走査を行う場合、以下のように動作すると好適である。
【0104】
第1のセットの走査に引き続き、第2のセットの走査を行う場合に、第2のセットの走査を行う前に、第2のセットのための第1回目の走査方向と逆方向に第2のセットの第1回目の走査領域を走査する。例えば、第1のセットの最終の検査ストライプ20の走査方向が例えば-x方向である場合、
図7に示すように、第2のセットの最初の検査ストライプ20の走査を行う前に、事前の走査として、x方向に第2のセットの最初の検査ストライプ20を走査する。その際、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20に対してかかる事前走査の走査方向(+x方向)に向かって手前の非検査領域14内の位置から走査を開始する。オートフォーカス処理部64は、オートフォーカス制御を実行する。
なお、かかる場合、第2のセットの最初の検査ストライプ20の走査における走査方向は事前の走査の逆方向である-x方向となる。
【0105】
そして、走査位置が第2のセットの第1回目の走査方向と逆方向(+x方向)に手前の検査領域12から非検査領域14に切り替わる直前のオートフォーカス制御されたステージ高さ位置を記憶する。以下、具体的に説明する。
【0106】
領域判定部66は、検査領域12の走査が進み、走査位置が検査ストライプ20の途中にある非検査領域14の直前の位置に到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が非検査領域14の直前の位置に到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69にかかる直前の位置の座標(x,y)と関連させて格納する。
【0107】
同様に、領域判定部66は、検査領域12の走査が進み、走査位置が検査ストライプ20の最後の非検査領域の直前の位置に到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が検査ストライプ20の最後の非検査領域14の直前の位置に到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Bの座標(x,y)と関連させて格納する。
オートフォーカス処理部64は、検査ストライプ20の最後の非検査領域14の直前の位置のXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0108】
そして、第2のセットの最初の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)を行う。光学画像取得機構150は、第2のセットの第1回目の走査方向(-x方向)に第2のセットの第1番目の検査ストライプ20を走査する。その際、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20に対してかかる走査の走査方向(-x方向)に向かって手前の非検査領域14内の位置から走査を開始する。
【0109】
領域判定部66は、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において非検査領域14から検査領域12に走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0110】
オートフォーカス処理部64は、非検査領域14から検査領域12に走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12に走査位置が侵入した位置になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は事前走査によってかかる位置でオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12についてオートフォーカス制御を実行する。
【0111】
以降、第1のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査と同様に動作する。その際、走査位置が第2のセットの最初の検査ストライプ20の走査方向(第1回目の走査方向)である-x方向に手前の検査領域から最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域に切り替わるタイミングで、ステージ高さ位置を、走査位置が最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域から第2のセットの最初の検査ストライプ20の走査方向の先に隣接する検査領域に切り替わった直後の位置に対して事前走査で記憶されたステージ高さ位置に移動する。以下、具体的に説明する。
【0112】
領域判定部66は、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において検査領域12の走査が進み、走査位置が、第2のセットの最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域14の直前の位置に到達したタイミングで、その旨を示す識別子をステージ高さ位置記録部68に出力する。
ステージ高さ位置記録部68は、走査位置が、第2のセットの最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域14の直前の位置に到達したタイミング(識別子を入力した時点)で、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zを記録し、記憶装置69に位置Cの座標(x,y)と関連させて格納する。
【0113】
オートフォーカス処理部64は、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において、走査位置が第2のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査方向(+x方向)に手前の検査領域12から第2のセットの最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域14に切り替わるタイミングで、駆動機構132を制御して、XYθテーブル102(ステージ)の高さ位置を、走査位置が非検査領域14から第1番目の検査ストライプ20の走査方向(-x方向)の先に隣接する検査領域12に切り替わった直後の位置に対して事前走査で記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zに移動させる。そして、オートフォーカス処理部64は、移動させたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zを保持した状態でオートフォーカス制御を停止する。
【0114】
そして、領域判定部66は、第2のセットの第1番目の検査ストライプ20の走査(第1回目の走査)において最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域14から検査領域12に走査位置が侵入したタイミングで、その旨を示すコマンドをオートフォーカス処理部64に出力する。
【0115】
オートフォーカス処理部64は、最初の検査ストライプ20の途中の非検査領域14から次の検査領域12に走査位置が侵入したタイミングで、ステージの高さ位置を保持されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置から開始して、オートフォーカス制御を実行する。検査領域12bに走査位置が侵入した位置(事前走査で記憶した位置と同じ)になった時点で、XYθテーブル102(ステージ)高さ位置は事前走査で記憶した位置でオートフォーカス制御された高さ位置になっている。よって、オートフォーカス制御が追従できずに遅れることを防止できる。そして、オートフォーカス処理部64は、検査領域12bについてオートフォーカス制御を実行する。
【0116】
以上のように、セット間に非検査領域を挟む場合には、セット毎に、第1番目の検査ストライプ20の走査を行う前に、事前走査を行うことで、フォーカス高さ位置のずれを抑制或いは低減できる。
【0117】
ここで、上述した例では、非検査領域14から走査方向の先に隣接する検査領域12に切り替わった直後の位置の近傍位置に対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zにXYθテーブル102(ステージ)高さ位置を移動させるタイミングとして、走査方向に手前の検査領域12から非検査領域14に切り替わるタイミングを挙げた。かかる走査方向に手前の検査領域12から非検査領域14に切り替わるタイミングとは、走査方向に手前の検査領域12から非検査領域14に切り替わった直後のタイミングの他、次の場合であっても良い。例えば、走査方向に手前の検査領域12から非検査領域14に切り替わる直前の位置に到達したタイミングで、その位置でのXYθテーブル102(ステージ)の高さ位置zの記憶処理に続くタイミングであっても好適である。
【0118】
或いは、非検査領域14から走査方向の先に隣接する検査領域12に切り替わった直後の位置の近傍位置に対して記憶されたXYθテーブル102(ステージ)高さ位置zにXYθテーブル102(ステージ)高さ位置を移動させるタイミングとして、検査領域12から非検査領域14に切り替わった後、走査方向の先に隣接する検査領域12に切り替わる前までの期間内であっても好適である。
【0119】
参照画像作成回路112は、図形パターンデータ(設計データ)を用いて、リファレンスとなる参照画像を作成する。参照画像の作成は、検査ストライプ20毎に、当該検査ストライプ20の走査動作(スキャン動作)と並行して実施される。具体的には、以下のように動作する。参照画像作成回路112は、対象となる検査ストライプ20の各フレーム領域30について、図形パターンデータ(設計データ)を入力し、図形パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
【0120】
図形パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0121】
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、フレーム領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データ(設計画像データ)を出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/28(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして作成する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
【0122】
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、フィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。
【0123】
図8は、実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。被検査試料101から撮像される光学画像の画素データは、撮像に使用される光学系の解像特性等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、例えば、
図8に示すように、画像強度(濃淡値)がデジタル値の展開画像(設計画像)とは異なっている。一方、図形パターンデータでは、上述したように、図形コード等により定義されるので、展開された設計画像では、画像強度(濃淡値)がデジタル値になる場合があり得る。そのため、参照画像作成回路112は、展開画像に画像加工(フィルタ処理)を施して光学画像に近づけた参照画像を作成する。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データを測定データ(光学画像)の像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像は比較回路108に出力される。
【0124】
図9は、実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。
図9において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置70,72,76、フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79が配置されている。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度比較回路108内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
【0125】
比較回路108に入力されたストライプデータ(ストライプ領域画像)は、記憶装置70に格納される。比較回路108に入力された参照画像データは、記憶装置72に格納される。
【0126】
比較回路108(比較部の一例)は、参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較し、結果を出力する。具体的には、以下のように動作する。
【0127】
比較回路108では、まず、フレーム画像作成部74は、所定の幅でストライプ領域画像(光学画像)が分割された複数のフレーム画像31を生成する。具体的には、
図2に示すように、ストライプ領域画像は、矩形の複数のフレーム領域30のフレーム画像に分割される。例えば、512×512画素のサイズに分割される。各フレーム領域30のデータは、記憶装置76に格納される。
【0128】
次に、位置合わせ部78は、フレーム領域30毎に、対応するフレーム画像31と、対応する参照画像とを記憶装置72,76から読み出し、所定のアルゴリズムでフレーム画像31と、対応する参照画像との位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
【0129】
そして、比較処理部79(比較部の他の一例)は、フレーム画像31と、当該フレーム画像31に対応する参照画像とを比較する。例えば画素毎に比較する。ここでは、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎に両画像の画素値の差分値を演算し、差分値が閾値Thより大きい場合を欠陥と判定する。そして、比較結果は、例えば、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118に出力される、或いはプリンタ119から出力されればよい。
【0130】
上述した例では、ダイ-データベース検査の場合を説明したが、ダイ-ダイ検査であっても構わない。かかる場合、比較回路108は、複数のフレーム領域30のうち、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域同士については、フレーム領域同士の一方の領域について取得されたダイ2のフレーム画像(光学画像)をリファレンス(参照画像)として用いる。まず、位置合わせ部78は、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域30毎に、対応するダイ1のフレーム画像31と、ダイ2のフレーム画像とを記憶装置76から読み出し、所定のアルゴリズムでダイ1のフレーム画像31とダイ2のフレーム画像との位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。そして、比較処理部79(比較部)は、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域30毎に、対応するダイ1のフレーム画像31と、ダイ2のフレーム画像とを画素毎に比較する。
【0131】
以上のように、実施の形態1によれば、非検査領域14を挟んで複数の検査領域12が配置される被検査試料101の検査において、検査領域12と非検査領域14との間にオートフォーカス機構が追従困難な大きな段差が生じる場合でも、走査位置が検査領域12に侵入直後に撮像される画像がぼけてしまうことを抑制或いは低減できる。
【0132】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0133】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、検査装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0134】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査方法及びパターン検査装置は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0135】
12 検査領域
14 非検査領域
16 ガラス基板
17,18 遮光膜
20 検査ストライプ
30 フレーム領域
31 フレーム画像
51,61,69 記憶装置
62 AF信号算出部
64 オートフォーカス処理部
66 領域判定部
68 ステージ高さ位置記録部
70,71,72,76 記憶装置
74 フレーム画像生成部
78 位置合わせ部
79 比較処理部
100 検査装置
101 被検査試料
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 撮像センサ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 メモリ
112 参照画像作成回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 FD
117 CR
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 ストライプパターンメモリ
130 オートローダ
131 オートフォーカス機構
132 Z駆動機構
134 位置センサ
140 オートフォーカス制御回路
150 光学画像取得機構
160 制御系回路
170 透過照明光学系
171 反射照明光学系
174 ビームスプリッタ
175 検査光学系
176 コリメータレンズ
177 ビームスプリッタ
178 結像光学系
180 オートフォーカス光学系
181 結像光学系
182 ビームスプリッタ
184,186 スリット板
185,187 光量センサ