(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163060
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジを確認してイオン化エッジの場所を見つける方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/02 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G01N23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075540
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】23172431.1
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウテル レネ ジェー.ファン デン ブルク
(72)【発明者】
【氏名】ハンス イルマ ステファーン ヴァンロンペイ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA12
2G001CA03
2G001DA08
2G001EA04
2G001FA18
2G001GA01
2G001KA12
(57)【要約】
【課題】測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジの場所を判定する改善された方法を提供する。
【解決手段】本発明は、測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジを確認するための方法を提供する。この方法は、イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルと、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を有するシミュレートされたEELSスペクトルを出力する数値モデルとを提供することを含む。数値モデルは、測定されたEELSスペクトルにフィッティングされ、イオン化エッジのフィッティングされた場所が提供される。統計的検定を使用して、統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認する。この方法は、EELSスペクトル分析の精度を改善するために、材料科学、化学、及び物理学を含む様々な用途に使用することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジを確認するための方法であって、
- イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを提供するステップと、
- シミュレートされたEELSスペクトルを出力するための数値モデルを提供するステップであって、前記数値モデルは、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を少なくとも有する、提供するステップと、
- 前記数値モデルを前記測定されたEELSスペクトルにフィッティングし、前記イオン化エッジのフィッティングされた場所を提供するステップと、
- 統計的検定を使用して、前記統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、前記イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供する前記ステップは、単一のイオン化エッジを識別するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定されたEELSスペクトルを複数のサブ領域に分割するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サブ領域のうちの少なくとも1つは、最大で750eV、特に500eV、更に特に250eVに及ぶ、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記サブ領域内の複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供し、前記サブ領域内の単一のイオン化エッジを識別するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィッティングされた場所と前記測定されたEELSスペクトルとを使用するステップを含み、前記統計的検定及び/又は統計的閾値は、ベースバックグラウンド値に対する前記フィッティングされた場所における前記EELSスペクトルの余剰値、微分法、及び積分法のうちの1つ以上に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザが入力デバイスを使用して前記統計的閾値を設定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジを確認するためのデバイスであって、
処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、
- イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを受信し、
- 入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を少なくとも有する数値モデルを使用して、シミュレートされたEELSスペクトルを出力し、
- 前記数値モデルを前記測定されたEELSスペクトルにフィッティングし、前記イオン化エッジのフィッティングされた場所を提供し、
- 統計的検定を実行して、前記統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、前記イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認し、
- 前記統計的検定が前記統計的閾値に合格した場合に、前記イオン化エッジの前記フィッティングされた場所を真のイオン化エッジとして出力するように構成されている、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定された電子エネルギ損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy、EELS)スペクトル内のイオン化エッジの場所を判定するための方法に関し、イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを提供するステップと、イオン化エッジを判定するステップとを含む。
【背景技術】
【0002】
電子エネルギ損失分光法は、ナノスケールで材料の電子特性を研究するために使用される電子顕微鏡法における強力な技術である。これは、試料に高エネルギ電子ビームを衝突させ、試料によって散乱された電子のエネルギ損失を測定することを含む。このエネルギ損失は、試料の元素組成に関する情報、並びに試料中の原子の電子構造及び結合に関する情報、並びに材料の光学特性及び磁気特性を提供する。
【0003】
EELSは、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)モードと走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscopy、STEM)モードとの両方で実行することができる。TEMモードでは、薄い試料に電子ビームを照射し、透過した電子を分光計で分析してエネルギ損失を測定する。STEMモードでは、集束電子ビームが試料上で走査され、散乱電子が検出器によって収集されて、各画素でEELSスペクトルが生成される。
【0004】
EELSは、材料科学、物理学、化学、及び生物学において広範囲の用途を有する。それは、ナノ粒子、量子ドット及びナノワイヤなどのナノ材料、並びに触媒、半導体及び超伝導体などの複合材料の特性を研究するために使用することができる。EELSはまた、生体分子の元素組成及び化学結合を調べるために、細胞及び組織などの生体試料を研究するために使用することができる。
【0005】
EELSでは、エネルギ損失スペクトルは、試料の元素組成及び電子構造に関する情報を提供し、イオン化エッジは、スペクトルにおいて最も顕著な特徴である。これらのエッジは、試料中の特定の原子軌道から電子を除去するのに必要なエネルギに対応し、材料の元素組成及び化学環境の特徴である。
【0006】
EELSにおいて最も一般的に研究されているイオン化エッジは、それぞれ1s、2s-2p、及び3s-3p-3d軌道のイオン化に対応するK、L、及びMエッジである。これらのエッジの位置及び強度は、元素の原子番号及びその化学結合環境に依存する。
【0007】
エッジの微細構造は、試料の電子状態に関する情報を提供するので、EELS分析においても重要である。例えば、スペクトルにおけるポストエッジの特徴は、試料の基底状態と励起状態との間の遷移に対応する。これらの特徴は、金属原子の酸化状態又は金属中心の周りの配位子の配位など、材料の局所電子構造及び結合を研究するために使用することができる。全体として、EELSにおけるイオン化エッジは、材料の電子特性に関する豊富な情報を提供し、材料科学研究における貴重なツールである。
【0008】
EELSスペクトルにおけるイオン化エッジを判定することは、概して、いくつかのステップを含み得る。まず、試料を通過する高エネルギ電子のエネルギ損失を測定することによって、生スペクトルが取得される。次に、スペクトルからバックグラウンドを差し引く。
【0009】
次に、特定の原子軌道のイオン化エネルギに対応する強度の急激な増加を識別することによって、エッジ位置が判定される。これは、スペクトルを視覚的に検査することによって、又はエッジを手作業で識別した後に理論的モデルにデータをフィッティングすることによって行うことができる。エッジの位置は、典型的には電子ボルト(electron volt、eV)で報告される。分析の精度を改善するために、試料の異なるエリアから複数のスペクトルを取得することができ、データを平均化して、局所的変動の影響及び統計的ノイズの影響を低減することができる。
【0010】
実際に、研究者らは、測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジの場所を判定するための様々な方法を開発してきた。一手法では、コア損失EELSスペクトルの数値モデルが使用される。典型的なコア損失EELSスペクトルは、強い減衰バックグラウンドを示し、その上にイオン化エッジが重ね合わされ、それは、エネルギ損失Eを有するべき乗則AE-rとして一般にモデル化される。一手法は、測定されたEELSスペクトルの一次又は二次導関数に基づくフィッティング技術を使用することを含み、ここで、ユーザが決定した閾値を超える一次又は二次導関数における最大値は、エッジ開始に関連付けられる。この技術は、EELSにおいて慣習的に観察される重いノイズによって妨げられ、それは、単なるノイズと実際の詳細との間の区別をぼかす。これにおける更なる問題は、エッジにおける微細構造であり、これは、下にある原子エッジと同じ大きさ(又は更に大きい)であり得る。これらの問題を克服する一技術は、スペクトルをプレフィルタリングすることによるものである。プレフィルタの閾値及び特性の両方は、ユーザによって設定される必要があり、これらのパラメータは、異なるスペクトル間で大きく変動する可能性がある。
【0011】
EELSにおけるイオン化エッジの場所特定は、ノイズ、ドリフト、干渉の様々な発生源によって、及び化学シフトによって影響を受ける可能性がある。これは、エッジ位置の誤識別及びスペクトルの解釈における誤認につながる可能性がある。加えて、エッジ場所特定は、ユーザ入力に大きく依存し、かなりのユーザ専門知識を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジの場所を判定する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の、測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジの場所を判定するための方法を提供する。本明細書で説明される方法は、
-イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを提供するステップと、
-シミュレートされたEELSスペクトルを出力するための数値モデルを提供するステップであって、当該数値モデルは、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を少なくとも有する、提供するステップと、
-当該数値モデルを当該測定されたEELSスペクトルにフィッティングし、イオン化エッジのフィッティングされた場所を提供するステップと、を含む。
【0014】
入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を有するシミュレートされたEELSスペクトルを出力するための数値モデルを提供することは、実験データに最も適合するイオン化エッジを正確に判定する際に強力な利点を提供する。これは、単一のイオン化エッジを識別するために、複数のイオン化エッジが入力パラメータとして使用される場合に特に当てはまる。
【0015】
本明細書で定義されるように、本方法は、統計的検定を使用して、統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認するステップを含む。換言すれば、統計的検定が、イオン化エッジの存在を確認するために使用される。加えて、本方法は、統計的検定が統計的閾値に不合格である場合、真のイオン化エッジとして当該イオン化エッジを拒絶するステップを含んでもよい。イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認するために統計的検定を使用することは、イオン化エッジがノイズ又は他のスペクトル特徴に近い場合に特に有用である。これは、統計的検定が閾値に合格した場合に真のイオン化エッジの存在を確認するために使用されてもよく、材料分析において著しい利点を提供する。対応する閾値を用いて統計的検定を適用することによって、ユーザは、偽陽性と偽陰性との間のトレードオフを設定することができる。これにより、試料の材料特性及び電子構造の正確な特徴付けを確実にする。加えて、統計的検定の使用は、データ分析に対するより厳密で客観的な手法を提供し、ヒューマンエラー及びバイアスの可能性を低減する。全体として、真のイオン化エッジとしてのイオン化エッジの存在を確認するための統計的検定の使用は、材料分析のための堅牢で信頼できる方法を提供し、異なる条件下での材料及びそれらの挙動のより良い理解につながる。統計的検定を適用することによって、研究者は、真のイオン化エッジの存在を確認することができ、それによって試料の材料特性の正確な特徴付けを確実にする。
【0016】
統計的閾値は、バックグラウンド信号レベルに対するイオン化エッジにおける曲線の高さの尺度を含んでもよい。これは、イオン化エッジが閾値を上回る場合にのみ確認されることを確実にし、閾値は、本実施形態では、バックグラウンドノイズレベルを有意に上回るように選択される。バックグラウンド信号レベルに対するイオン化エッジにおける曲線の高さに対応する統計的閾値を設定するための多くの原理が存在することは、当業者には明らかであろう。EELSにおけるイオン化エッジを判定するために使用され得る統計的検定は、導関数及び積分をベースとした方法を含み、これは、スペクトルの一次導関数及び積分を計算することと、変曲点又は勾配の変化を識別することとを含む。一実施形態では、統計的閾値は、エッジの下に外挿されたバックグラウンドの積分強度を計算し、それを同じエッジ領域における測定値の積分強度と比較することによって判定される。エラー伝搬を用いて、差が有意であるかどうかが判定される。統計的検定及び閾値の選択は、スペクトルの特定の特徴と、分析に必要な精度のレベルとに依存する。
【0017】
提供される方法は、非常に少ないユーザ入力を必要とし、この必要性を除去することによって、より経験の少ないオペレータも、EELSにおけるイオン化エッジを正確に識別することに役立つ。
【0018】
これで、目的は達成される。有利な実施形態について以下に説明する。
【0019】
一実施形態では、方法が、複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供するステップを含む。
【0020】
一実施形態では、複数のイオン化エッジを使用して、複数の異なるイオン化エッジを識別することができる。複数のイオン化エッジの各々について、統計的閾値は、統計的閾値を超えた場合に、そのイオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認するために使用されてもよい。
【0021】
別の実施形態では、複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供するステップが、単一のイオン化エッジのみを識別するために使用される。複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供することは、材料のスペクトルにおける単一のイオン化エッジを識別するための強力なツールである。この手法は、単一の真のイオン化エッジをより正確に判定するために、異なる潜在的なイオン化エッジの比較を可能にする。次いで、本明細書で定義されるような統計的検定及び閾値を使用して、イオン化エッジが実際に存在するかどうかを判定することができる。複数の潜在的なイオン化エッジが所望の統計的閾値を示す場合、統計的検定の最大値に基づいて最良のものを選択することが可能である。
【0022】
一実施形態では、本方法は、測定されたEELSスペクトルを複数のサブ領域に分割するステップを含む。測定されたEELSスペクトルを複数のサブ領域に分割することは、真のイオン化エッジのより正確な識別を可能にする。スペクトルをより小さいサブ領域に分割することによって、近くのエッジからのノイズ及び干渉を低減することができ、その結果、所望のエッジをより明確かつより正確に識別することができる。この手法はまた、単一スペクトル内の複数のエッジの識別を可能にし、これは、分析される材料の組成及び構造を判定する際に有用であり得る。更に、この技術は、材料の基礎となる物理学をよりよく理解するため、並びに電子顕微鏡の性能を最適化するために使用することができる。
【0023】
一実施形態では、サブ領域のうちの少なくとも1つが、最大で750eV、特に500eV、更に特に250eVに及ぶ。
【0024】
一実施形態では、本方法は、サブ領域内の複数のイオン化エッジを入力パラメータとして提供し、サブ領域内の単一のイオン化エッジを識別するステップを含む。上記で示したように、これは、複数の候補が単一のイオン化エッジについて試験されることを可能にする。本方法は、複数の候補(すなわち、サブ領域内の複数のイオン化エッジ)のうち、そのサブ領域内の単一のイオン化エッジのベストマッチを提供する単一の候補を選択するステップを含み得る。
【0025】
一実施形態では、本方法は、当該フィッティングされた場所と測定されたEELSスペクトルとを使用するステップを含み、当該統計的検定及び/又は統計的閾値が、ベースバックグラウンド値に対する当該フィッティングされた場所におけるEELSスペクトルの余剰値、微分法、及び積分法のうちの1つ以上に基づく。統計的検定及び閾値の基礎としての余剰値、微分法及び/又は積分法の使用は、EELSスペクトルにおけるイオン化エッジの真の存在のより精密かつ正確な識別を可能にする。
【0026】
余剰値法は、フィッティングされた場所におけるEELSスペクトルの値をバックグラウンド値と比較し、それによって、イオン化エッジの存在の明確な標示を提供する。微分法は、EELSスペクトルの(一次及び/又は二次)導関数を計算し、得られた値を使用してピークの鋭さを判定し、これはイオン化エッジの存在を確認するのに役立ち得る。積分法は、フィッティングされた場所の周囲のEELSスペクトルの下の面積を計算することを含み、これは、ピークの強度の尺度を提供し、イオン化エッジの存在を確認するのに役立ち得る。全ての方法は、ある意味で、バックグラウンド信号レベルに対するイオン化エッジにおける曲線の高さの尺度を含む統計的閾値を使用する。
【0027】
これらの統計的検定のうちの1つ以上を使用することによって、EELSスペクトルにおけるイオン化エッジを識別するためのより客観的かつ定量的な手法が得られ、主観的解釈及び誤差の可能性が低減される。統計的検定及び閾値の基礎としてこれらの方法の組み合わせを使用することによって、識別プロセスの精度及び信頼性を更に改善することができる。
【0028】
一実施形態では、本方法は、ユーザによって、統計的閾値を設定するステップを含む。これは、ユーザが何らかの入力を行うことを可能にする。
【0029】
一態様によれば、この方法を実行することができるデバイスが提供される。デバイスは、本明細書で定義されるような方法の1つ以上のステップを実行するように構成された処理ユニットを備える。このデバイスは、測定されたEELSスペクトル内のイオン化エッジの場所を判定するように構成されている。処理ユニットは、イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを受信するように構成されている。処理ユニットは、シミュレートされたEELSスペクトルを出力するための数値モデルを備え、当該数値モデルは、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を少なくとも有する。処理ユニットは、当該数値モデルを当該測定されたEELSスペクトルにフィッティングし、イオン化エッジのフィッティングされた場所を提供するように構成されている。当該処理ユニットは、統計的検定を実行して、統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、当該イオン化エッジを真のイオン化エッジとして確認するように構成されている。当該処理ユニットは、統計的検定が統計的閾値に合格した場合に、イオン化エッジの当該フィッティングされた場所を真のイオン化エッジとして出力するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで、本明細書において開示される方法及びデバイスが、例示的な実施形態及び添付の概略図面に基づいてより詳細に説明される。
【
図4】本明細書に開示されるような方法の一実施形態を概略的に示す。
【
図5】本明細書に開示されるような方法が適用されるEELSスペクトルのサブ領域を示す。
【
図6c】物理的でないことに基づいて拒絶される負のエッジを示すグラフである。
【
図6d】かろうじて合格したものを示すグラフである。
【0031】
図面において、適切な場合、対応する部分は、対応する参照符号を使用して示される。概して、図は縮尺通りではないことに留意するべきである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、透過型荷電粒子顕微鏡の一実施形態の非常に概略的な図であり、透過型荷電粒子顕微鏡は、この場合、TEM/STEMである(しかしながら、本開示の文脈において、透過型荷電粒子顕微鏡は、例えば、イオンベース顕微鏡及び/又は陽子ベースの顕微鏡などの追加の荷電粒子源でも有効に含み得る)。
図1において、真空筐体E内では、(例えば、ショットキーエミッタのような)電子源4が、電子-光学照明器6内を通過する電子のビーム(B)を生成し、電子-光学照明器6は、電子ビームを試料Sの選択された部分へ方向付ける/集束させるように機能する(試料Sは、例えば、(局所的に)薄くされてもよい/平坦化されてもよい)。この照明器6は、電子光学軸B’を有し、一般に、様々な静電/磁気レンズ、(走査)偏向器D、補正器(スティグメータなど)などを備える。典型的には、凝縮器システム(アイテム6の全体が「凝縮器システム」と呼ばれることもある)も含むことができる。
【0033】
試料Sは、試料ホルダH上に保持される。ここに示すように、このホルダHの一部(筐体Eの内側)は、位置決めデバイス(ステージ)Aによって複数の自由度で位置決め/移動することができるクレードルA’に取り付けられている。例えば、クレードルA’は、(とりわけ)X、Y、及びZ方向に変位してもよく(図示のデカルト座標系を参照)、Xに対して平行な長手方向軸を中心に回転させられてもよい。このような動きにより、試料Sの様々な部分が、軸B’に沿って移動する電子ビームによって照射/画像化/検査されることを可能にする(及び/又は[偏向器Dを使用して]ビーム走査の代わりに走査動作が実行されることを可能にし、及び/又は試料Sの選択された部分が、例えば、(図示されていない)集束イオンビームによって機械加工されることを可能にする)。
【0034】
軸B’に沿って移動する(収束)電子ビームBは、試料Sと相互作用して、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線、及び光照射線(陰極線発光)を含む様々なタイプの「誘導」放射線を試料Sから放出させる。所望であれば、これらの放射線タイプのうちの1つ以上は、検出器22を用いて検出され得、検出器22は、例えば、複合型シンチレータ/光電子増倍管、又はEDX(Energy-Dispersive X-Ray)(エネルギ分散型X線分光)モジュールであってもよい。このような場合、SEMと基本的に同じ原理を使用して画像を構築することができる。しかしながら、代替的に、又は補足的に、試料Sを横断(通過)し、試料から出射(放出)され、軸B’に沿って伝搬し続ける(ただし、実質的には、概して、ある程度の偏向/散乱を受ける)電子を調査することができる。このような透過電子束は、画像化システム(合成対物/投影レンズ)24に入射し、画像化システム24は一般的に、様々な静電レンズ/磁気レンズ、偏向器、補正器(例えばスティグメータのような)などを備えている。通常の(非走査)TEMモードでは、この画像化システム24は、透過電子束を蛍光スクリーン26に集束させることができ、蛍光スクリーン26は、所望に応じて、それを軸B’から外れるように後退させる/回収する(矢印26’で概略的に示すように)ことができる。試料Sの(一部の)画像(又は、ディフラクトグラム)が、画像化システム24によりスクリーン26上に形成され、この画像は、筐体Eの壁の好適な部分に位置するビューイングポート28を通じて見ることができる。スクリーン26の後退機構は、例えば、本質的に機械的及び/又は電気であってもよく、本明細書では図示されていない。
【0035】
スクリーン26上の画像を見る代わりに、画像化システム24から出てくる電子束の焦点深度が一般にかなり大きい(例えば、1メートル程度)という事実を利用することができる。その結果、以下のような様々なタイプの検知デバイス/分析装置をスクリーン26の下流で使用することができる:
- TEMカメラ30。カメラ30の位置では、電子束が静止画像(又は、ディフラクトグラム)を形成することができ、静止画像をコントローラCによって処理し、例えば、フラットパネルディスプレイのような表示デバイス(図示せず)に表示することができる。必要ではない場合、カメラ30は、軸B’から外れるように、後退させる/回収する(矢印30’で概略的に示すように)ことができる。
- STEMレコーダ32。レコーダ32からの出力は、試料S上のビームBの(X,Y)走査位置の関数として記録することができ、X,Yの関数としてのレコーダ32からの出力の「マップ」である画像を構成することができる。レコーダ32は、カメラ30に特徴的に存在する画素行列とは異なり、例えば直径が20mmの1個の画素を含むことができる。更に、レコーダ32は、概して、カメラ30(例えば、102画像/秒)よりも非常に高い取得速度(例えば、106ポイント/秒)を有することになる。再び、必要とされないとき、レコーダ32は、軸B’から外れるように、(矢印32’で概略的に示すように)後退させる/回収することができる(しかしながら、かかる後退は、例えば、ドーナツ形状の環状暗視野レコーダ32の場合、必要ではないであろう。このようなレコーダでは、中央の穴は、レコーダが使用されていないときにビームの通過を可能にする)。
- カメラ30又はレコーダ32を使用して画像化を行うことの代替として、例えば、EELSモジュールとすることができる分光装置34を駆動することもできる。
【0036】
アイテム30、32、及び34の順序/場所は厳密ではなく、多くの可能な変形が考えられることに留意されたい。例えば、分光装置34は、画像化システム24と一体化され得る。
【0037】
コントローラ(複合型コントローラ及びプロセッサとすることができる)Cは、図示の様々な構成要素に制御線(バス)C’を介して接続されることに留意されたい。コントローラを、ユーザインターフェース(user interface、UI)が設けられ得るコンピュータスクリーン51に接続することができる。このコントローラCは、動作を同期させること、設定値を提供すること、信号を処理すること、計算を実行すること、及びメッセージ/情報を表示デバイス(図示せず)に表示することなど、様々な機能を提供することができる。(概略的に図示される)コントローラCは、筐体Eの内部又は外部に(部分的に)あるようにすることができ、単体構造又は複合構造を必要に応じて有することができることが理解されよう。当業者は、筐体Eの内部が厳密な真空に維持される必要がないことを理解するであろう。例えば、いわゆる「環境的TEM/STEM」においては、所与の気体のバックグラウンド雰囲気が、筐体E内に意図的に導入/維持されることを理解するであろう。当業者であれば、実際には、可能であれば、使用される電子ビームが通過する小さなチューブ(例えば、直径1cm程度)の形態を採るが、ソース4、試料ホルダH、スクリーン26、カメラ30、レコーダ32、分光装置34などの構造を収容するために広がるように、軸B’を本質的に包み込むように、筐体Eの容積を制限することが有利な場合があることも理解するであろう。
【0038】
ここで
図2を参照すると、これは、
図1の分光装置34の一実施形態の更に詳細な拡大図を示している。ここで、(試料S及び画像化システム24を通過した)電子の束1が、電子光学軸B’に沿って伝搬しているのが示されている。この束1は、分散素子3(「電子プリズム(electron prism)」)に入射し、その束が分散方向Xに沿って分布するスペクトルの補助ビーム(破線を使用して
図2に概略的に示す)の高エネルギ分解能(エネルギ差分)アレイ5に分散(ファンアウト)され、例示目的で、これらの補助ビームのうちの3つの補助ビームが、その図に5a、5b、及び5cでラベル付けされる。これに関して、従来、伝搬がZ方向に沿って行われると考えられており、このようなことから、図示のデカルト座標系は、分散素子3内で束1と「共偏向」されることに留意されたい。
【0039】
分散素子3の下流では、補助ビームアレイ5は、調整可能/後退可能スリット(レターボックス)7に遭遇し、スリット7は、例えばアレイ5の所定部分を選択/許可して、アレイの他の部分を廃棄/遮蔽するEFTEMモードで使用することができ、この目的のために、スリット7は作動デバイス7aに接続され、作動デバイス7aを駆動して、スリット7(スリットの開口部)を必要に応じて、開く/閉じる/移動させることができる。EELSモードでは、このスリット7は、通常(完全に)、開放されている/後退している。当業者は、スリット7は、分光装置34の分散平面及びその近くの場所に有利に設けられ、同様に、検出器11もまた、有利には、かかる平面及びその近くに位置することを理解するであろう。必要に応じて、スリット7に当たるスペクトルの補助ビームのアレイ5を、例えば分散素子3(への電気信号)及び/又は、例えば分散素子3とスリット7との間に設けられるドリフトチューブ/偏向器(図示せず)を適切に調整することにより向ける/シフトさせることが可能である。
【0040】
スリット7を通過した後、アレイ5(アレイの選択部分)は、分散素子の後段の電子光学系9内を通過し、そのアレイは、例えば拡大/収束され、最終的に検出器11に誘導/投影される。検出器11は、分散方向Xに沿って並べられる補助検出器アセンブリを含むことができ、異なる補助検出器は、異なる検出感度を有するように調整可能である。例示目的で、これらの補助検出器のうちの3つの補助検出器が、その図に11p、11q、及び11rでラベル付けされる。これらの補助検出器(例えば、11p、11q、11r)の各補助検出器は、例えば:
-アバランシェフォトダイオード、又はYに沿って延びるこのようなアバランシェフォトダイオードの直線アレイ、
-CMOS若しくはCCDセンサの画素(例えば、3T画素)、又はYに沿って延びるこのような画素の直線アレイとすることができる。
【0041】
所定の補助検出器(例えば、11p、11q、11r)の感度は、補助検出器に衝突するアレイ5の部分の強度に適合するように整合させることができる。
【0042】
EELSスペクトルを測定する他の検出器構成は当業者に既知であり、本明細書に開示される方法にも同様に適用可能であることに留意されたい。この方法は、原則として、特定の検出器の使用に限定されない。
【0043】
図3は、EELSスペクトルの一例を示す。この図は、強度I(任意の単位、a.u.(arbitrary unit))を、炭素及びチタンを含有する試料を通過した電子のエネルギ損失E(eV単位)の関数として表している。左から右に、スペクトルの主な特徴は、以下のとおりである:
-ゼロ損失ピークZLPは、試料内で非弾性散乱を受けることなく試料を通過する電子を表している。
-プラズモン共鳴ピーク(Plasmon Resonance Peak)成分/セクションPRP(価電子帯間吸収損失(Valence Loss)成分と表記されることもある)、試料中のプラズモンの電子の1回又は複数回の散乱に関連付けられる比較的広い一連のピーク部分/肩部分。これは典型的に、約0~50eVの範囲に広がっているが、その上限の厳密な定義はない。これは、ピーク31のような試料中の外殻の散乱事象から生じるピーク部分/肩部分により特徴付けられる。PRP成分は普通、ZLPよりも大幅に低い強度を有することに留意されたい。
-コア損失ピーク成分/セクションCLP。これは典型的に、約50eV(PRP成分の後ろ)から始まるが、その下限の厳密な定義はない。これは通常、ZLP成分/PRP成分に対してこのように低い強度であることから、
図3に表されるように、これが倍率(例えば、100)で拡大されて、この細部の視認性を向上させている。見て分かるように、それは、実質的なバックグラウンド寄与33の最上部にある、特定の化学元素(本例では、C及びTiなど)と関連付けられ得るピーク/肩部分(のクラスタ)を含有する。
【0044】
図3に示すEELSスペクトルは、当業者に知られている方法で測定することができる。特定の実施形態では、
図2の分光装置34の使用が行われ、
-補助ビーム5aは、ZLPスペクトル成分(の構成部分)を含み、比較的低い検出感度を有するように調整される補助検出器11rに衝突する。
-補助ビーム5bは、PRPスペクトル成分(の構成部分)を含み、中間値検出感度を有するように調整される補助検出器11qに衝突する。
-補助ビーム5cは、CLPスペクトル成分(の構成部分)を含み、比較的高い検出感度を有するように調整される補助検出器11pに衝突する。
【0045】
イオン化エッジの判定は、以下のステップ、すなわち、
-イオン化エッジを含む測定されたEELSスペクトルを提供するステップ101と、
-シミュレートされたEELSスペクトルを出力するための数値モデルを提供するステップ102であって、当該数値モデルは、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所を少なくとも有する、提供するステップ102と、
-当該数値モデルを当該測定されたEELSスペクトルにフィッティングし、イオン化エッジのフィッティングされた場所を提供するステップ103と、
-統計的検定を使用して、真のイオン化エッジとしてのイオン化エッジの存在を確認するステップ104と、を含み得る(
図4)。
【0046】
利点及び更なる実施形態は、既に上述されている。明確にするために、
図5を参照して特定の実施形態を以下に説明する。
図5は、イオン化エッジを有する、測定されたEELSスペクトルの一部を示す。
図5は、
図3に示されたスペクトル全体のサブ領域を示す。この実施形態では、方法は、スペクトル全体のサブ領域を選択するステップを含む。ここで、サブ領域は、約100eV(400eVから480eV以上)に及ぶ。50eV、75eV及び200eVなど、サブ領域の他の帯域幅も同様に選択することができる。
【0047】
このサブ領域及び帯域幅内で、以下の方法を適用することができる。真のイオン化エッジの表示が提供されてもよい。例えば、データベースに基づくことができる公称エッジエネルギが提供されることが可能である。
【0048】
図5に示される実施形態では、ある幅のエネルギウィンドウが、公称エッジエネルギの周囲に画定される。次に、べき乗則がウィンドウ内の各エネルギの左右にフィッティングされ、そのフィッティングの程度、例えば差の二乗和が登録される。次に、真のエッジ位置が、フィッティングが最良に実行されるエネルギとして推定される。これにより、エッジ位置のフィッティングを比較的迅速に行うことができるので、エッジ位置を比較的迅速にユーザに示すことができる。1つのオプションは、例えば、フィッティングされたエッジ位置をユーザインターフェース画面上に表示することである。
【0049】
次に、エッジが真に存在するかどうかをチェックする統計的検定が案出される。この実施形態では、エッジの下に外挿されたバックグラウンドの積分強度を計算し、それを同じエッジ領域における測定値の積分強度と比較する。エラー伝搬を用いて、差が有意であるかどうかが判定される。このエラー伝搬のための入力として必要とされるノイズは、EELSデータ自体に基づくことができ、良好なノイズモデルの必要性を回避する。
【0050】
これらの2つの構築ブロック、すなわち、1)統計的検定の使用、及び2)スペクトルのサブ領域への分割、から自動エッジ識別を構築することができる。スペクトル全体は、約50eV幅のサブ領域に分割され、各領域において、エッジトラッカは、局所的なエッジ開始を見つけるために実行され、次いで、統計的検定は、識別されたピークが有意であるかどうかを判定する。
【0051】
図5に戻ると、実験的なEELSスペクトル201が示されており、べき乗則202、206が、左部分(202)及び右部分(206)にフィッティングされる。適合度203は、公称エッジ開始204の右側の明確な最適値に達する。統計的検定のために、外挿されたバックグラウンド205の下の面積が積分され、実験スペクトルの積分と比較される。
【0052】
図6a~
図6dは、異なるEELSスペクトル301を示す。全てのスペクトル301について、数値モデルを使用して、入力パラメータとしてイオン化エッジの場所304を有するシミュレートされたEELSスペクトルを出力する。このモデルは、イオン化エッジ304の前のシミュレートされたスペクトル302(左側部分)と、イオン化エッジ304の後のスペクトル306(右側部分)とを返す。この例では、イオン化エッジの複数の潜在的な場所304がモデルに入力され、対応する結果が、実際のデータ301と比較される。各潜在的な場所304について、例えば最小二乗法を使用して適合度が計算される。適合度は、線303で示されている。この線が最小値に達する場合、潜在的なイオン化エッジが識別される。潜在的なイオン化エッジでは、統計的閾値を使用して、潜在的なイオン化エッジが真のイオン化エッジであるかどうか、言い換えれば、分析されているデータの部分に真にイオン化エッジが存在するかどうかを判定する。この統計的閾値には、以下の方法を適用することができる。エッジの下に外挿されたバックグラウンドの積分強度を計算し、同じエッジ領域における測定値の積分強度と比較する。エラー伝搬を用いて、差が有意であるかどうかが判定される。上述したように、剰余法、微分法及び/又は積分法を含む他の方法も、同様に使用することができる。
【0053】
この方法を、
図6a~
図6dに示されるようなスペクトル301において使用することによって、以下のことが分かる。
図6aは、明らかな不合格を示す。
図6bは、ほぼ不合格を示す。
図6cは、物理的でないことに基づいて拒絶される負のエッジを示す。
図6dは、かろうじて合格したものを示す。
【0054】
したがって、モデルとのフィッティングが全ての場合において可能であったとしても、統計的検定の使用は、最後の例におけるイオン化エッジの存在のみを確認した(
図6d)。
【0055】
統計的閾値を使用することにより、ユーザは、所望の閾値を設定することができる。閾値が低いほど、より多くの確認されたイオン化エッジをもたらし得る一方で、閾値が高いほど、より少ない確認されたイオン化エッジをもたらし得る。閾値が低いほど、より多くの偽陽性及びより少ない偽陰性をもたらし得る。閾値が高いほど、より少ない偽陽性及びより多くの偽陰性をもたらし得る。これは、ユーザの選好が、所望の閾値を設定する役割を果たし得ることを示す。閾値が、例えばアルゴリズムによって自動的に設定されることも考えられる。
【0056】
所望の保護は、添付の特許請求の範囲によって付与される。
【外国語明細書】