(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163128
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20241114BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20241114BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61F13/15 142
A61F13/15 140
A61F13/514 100
A61F13/15 143
B01J20/26 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145167
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2020144986の分割
【原出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 正史
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕樹
(57)【要約】
【課題】虫除け用香料が配置された吸収性物品の防虫効果を高めること。
【解決手段】複数の資材を有し、虫除け用香料(40)が配置された吸収性物品(1)であって、前記複数の資材のうちの少なくとも一部は、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤(IA)により接着されており、前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする吸収性物品(1)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の資材を有し、虫除け用香料が配置された吸収性物品であって、
前記複数の資材のうちの少なくとも一部は、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により接着されており、
前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、ロジン系樹脂を使用したものか、又は、テルペン系樹脂を使用したものであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記複数の資材は、吸収体と、前記吸収性物品の厚さ方向において前記吸収体よりも非肌側に配置された液不透過性のシートと、を有し、
前記厚さ方向において、前記液不透過性のシートよりも非肌側に、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品をその厚さ方向に平面視したとき、前記虫除け用香料が配置された領域は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置された領域と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品をその厚さ方向に平面視したとき、前記虫除け用香料が配置された領域は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置された領域と重なる部分を有さないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け用香料は、レモングラス、シトロネラ、及び、レモンユーカリのうちの何れかに由来した香料を含むことを特徴とした吸収性物品。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け用香料は、前記α-ピネン、前記β-ピネン、及び、前記カンフェンよりも沸点の高い香料を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け用香料は、前記沸点の高い香料として、(A)群から選ばれる沸点が200℃以上220℃以下の香料を少なくとも1種類含むことを特徴とする吸収性物品。
(A)群:シトロネラール、メントール、α-テルピネオール、リナリルアセテート、イソプレゴール、エチルリナロール、テルピニルアセテート、ギ酸ゲラニル、メントン、ボルネオール、カンファー
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け用香料は、前記沸点の高い香料として、更に、(C)群から選ばれる沸点が220℃より高く270℃以下の香料を少なくとも1種類含むことを特徴とする吸収性物品。
(C)群:イソボルニルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、2-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、ネロール、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、ネリルアセテート、ゲラニ
ルアセテート、エチルリナリルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ボルニルア
セテート、β-カリオフィレン、cis-ジャスモン、L-カルボン、ノピルアセテート、
プレゴン、オクタン酸アリル
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け用香料は、マイクロカプセルに収容されていることを特徴とする吸収性物品
。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品の厚さ方向において、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホット
メルト接着剤は、前記虫除け用香料よりも、非肌側に配置されていることを特徴とする吸
収性物品。
【請求項12】
請求項1から10の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性物品の厚さ方向において、前記虫除け用香料は、前記虫除け成分を有する粘
着付与剤を含むホットメルト接着剤よりも、非肌側に配置されていることを特徴とする吸
収性物品。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤の方が、前記虫除け用香料よりも、前記吸収性物品に配置された重量が大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記複数の資材の一部は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により接着されており、
前記複数の資材の別の一部は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤により接着されていることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防虫効果を示す天然植物抽出物をマイクロカプセル化したものが適用された吸収性物品が開示されている。一部の天然植物(例えば、シナモン、ローズマリー、ラベンダー、ミント、ユーカリ等)には忌避作用のある香気成分を含んでいるものがあり、そのような天然植物の抽出物が吸収性物品に付与されることで、吸収性物品に虫を寄せ付けないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクロカプセルに収容可能な虫除け用香料の重量は限られている。そのため、虫除け用香料による防虫効果が不十分となる恐れがある。また、虫除け用香料の重量を増やすために、マイクロカプセルの数を増やしても、破損しないマイクロカプセルが増えやすくなってしまう。そうすると、外部に放出される虫除け用香料は増えず、防虫効果が不十分のままとなる。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、虫除け用香料が配置された吸収性物品の防虫効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数の資材を有し、虫除け用香料が配置された吸収性物品であって、前記複数の資材のうちの少なくとも一部は、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により接着されており、前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、虫除け用香料が配置された吸収性物品の防虫効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】展開かつ伸長状態のテープ型使い捨ておむつ1を肌側から見た平面図である。
【
図2】
図2Aはおむつ1の腹側胴回り部3の概略断面図であり、
図2Bはおむつ1の股下部5の概略断面図であり、
図2Cはおむつ1の背側胴回り部7の概略断面図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、第1実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A1~A9の説明図である。
【
図4】ファスニングテープ30周辺の分解斜視図である。
【
図5】ファスニングテープ30の断面における虫除け用香料40の配置を模式的に示した図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは第2実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A1~A9の説明図である。
【
図8】変形例のおむつ1における外装シート24周辺の分解斜視図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bはその他の実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A1~A9の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数の資材を有し、虫除け用香料が配置された吸収性物品であって、前記複数の資材の
うちの少なくとも一部は、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤によ
り接着されており、前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、α-ピネン、β-ピネン、及
び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする吸収性物品。
【0010】
このような吸収性物品によれば、虫除け用香料による防虫効果に加えて、α-ピネン、
β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むホットメルト接着剤による
防虫効果が加わり、吸収性物品の防虫効果が高まる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け成分を有する粘着付与剤は、ロジン系樹脂を使用したものか、又は、テルペン系樹脂を使用したものであることを特徴とする吸収性物品。
【0012】
このような吸収性物品によれば、ホットメルト接着剤からα-ピネンやβ-ピネンやカンフェンが放出され、吸収性物品の防虫効果が高まる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記複数の資材は、吸収体と、前記吸収性物品の厚さ方向において前記吸収体よりも非肌側に配置された液不透過性のシートと、を有し、前記厚さ方向において、前記液不透過性のシートよりも非肌側に、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0014】
このような吸収性物品によれば、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むホットメルト接着剤の香りが吸収性物品の外部に放出されやすくなる。よって、防虫効果が高まり、また、ユーザーが虫除けの香りを認知しやすくなる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品をその厚さ方向に平面視したとき、前記虫除け用香料が配置された領域は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置された領域と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【0016】
このような吸収性物品によれば、虫除け用香料と、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤とが近くに配置されることで、その部分において虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。また、ユーザーが虫除けの香りを認知しやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品をその厚さ方向に平面視したとき、前記虫除け用香料が配置された領域は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置された領域と重なる部分を有さないことを特徴とする吸収性物品。
【0018】
このような吸収性物品によれば、虫除け用香料の配置面積を抑えつつ、吸収性物品の広い範囲に亘り防虫効果を付すことができる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け用香料は、レモングラス、シトロネラ、及び、レモンユーカリのうちの何れかに由来した香料を含むことを特徴とした吸収性物品。
【0020】
このような吸収性物品によれば、上記天然植物に由来した精油は比較的に入手が容易であり、虫除けの有効成分となる化合物を多く含むため好ましい。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け用香料は、前記α-ピネン、前記β-ピネン、及び、前記カンフェンよりも沸点の高い香料を含むことを特徴とする吸収性物品。
【0022】
このような吸収性物品によれば、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むホットメルト接着剤の香りが初期の段階から放出されて、防虫効果が得られる。また、初期の段階から虫除けの香りをユーザーに認知させることができる。
また、沸点の高い香料により、虫除け効果の持続性が得られる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け用香料は、前記沸点の高い香料として、(A)群から選ばれる沸点が200℃以上220℃以下の香料を少なくとも1種類含むことを特徴とする吸収性物品。(A)群:シトロネラール、メントール、α-テルピネオール、リナリルアセテート、イソプレゴール、エチルリナロール、テルピニルアセテート、ギ酸ゲラニル、メントン、ボルネオール、カンファー
【0024】
このような吸収性物品によれば、沸点の高い(A)群の香料により、虫除け効果の持続性が得られる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け用香料は、前記沸点の高い香料として、更に、(C)群から選ばれる沸点が220℃より高く270℃以下の香料を少なくとも1種類含むことを特徴とする吸収性物品。(C)群:イソボルニルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、2-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、ネロール、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、エチルリナリルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ボルニルアセテート、β-カリオフィレン、cis-ジャスモン、L-カルボン、ノピルアセテート、プレゴン、オクタン酸アリル
【0026】
このような吸収性物品によれば、更に沸点の高い香料により、虫除け効果の持続性が高まる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け用香料は、マイクロカプセルに収容されていることを特徴とする吸収性物品。
【0028】
このような吸収性物品によれば、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むホットメルト接着剤の香りは初期の段階から放出されて、防虫効果が得られる。また、初期の段階から虫除けの香りをユーザーに認知させることができる。
また、マイクロカプセルに虫除け用香料が収容されていることで、虫除け用香料の機能発現のタイミングや機能の強弱をコントロールできるとともに、虫除け効果の持続性を高めることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品の厚さ方向において、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤は、前記虫除け用香料よりも、非肌側に配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【0030】
このような吸収性物品によれば、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの
少なくとも1つを含むホットメルト接着剤の香りが初期の段階から放出されて、防虫効果
が得られる。また、初期の段階から虫除けの香りをユーザーに認知させることができる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品の厚さ方向において、前記虫除け用香料は
、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤よりも、非肌側に配置さ
れていることを特徴とする吸収性物品。
【0032】
このような吸収性物品によれば、虫除け用香料が吸収性物品の外部に放出されやすくな
り、虫除け効果が高まり、また、ユーザーが虫除けの香りを認知しやすくなる。
【0033】
かかる吸収性物品であって、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接
着剤の方が、前記虫除け用香料よりも、前記吸収性物品に配置された重量が大きいことを
特徴とする吸収性物品。
【0034】
このような吸収性物品によれば、虫除け用香料の重量を増やす代わりに、虫除け効果の
あるホットメルト接着剤の重量を増やすことで、低コスト化を図りつつ、防虫効果を高め
ることができる。
【0035】
かかる吸収性物品であって、前記複数の資材の一部は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により接着されており、前記複数の資材の別の一部は、前記虫除け成分を有する粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤により接着されていることを特徴とする吸収性物品。
【0036】
このような吸収性物品によれば、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により防虫効果を高めることができる。また、虫除け成分を有する粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤も使用することで、吸収性物品の部位毎に適したホットメルト接着剤を使い分けることができる。
【0037】
以下、実施形態に係る吸収性物品の一例として、子供用のテープ型使い捨ておむつを例に挙げて説明する。ただし、吸収性物品は、上記に限定されず、大人用の使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ、軽失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナ等を採用できる。
【0038】
===テープ型使い捨ておむつ1の基本構成===
図1は、長手方向に展開かつ伸長した状態のテープ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」とも呼ぶ)を肌側から見た平面図である。
図2Aは、おむつ1の腹側胴回り部3の概略断面図であり、
図2Bは、おむつ1の股下部5の概略断面図であり、
図2Cは、おむつ1の背側胴回り部7の概略断面図である。
【0039】
おむつ1は長手方向(縦方向)と幅方向(横方向)とを有する。また、おむつ1は、着用者の腹側部に当てられる腹側胴回り部3と、着用者の股下に当てられる股下部5と、着用者の背側部に当てられる背側胴回り部7とを長手方向に並んで有する。
図2Aに示すように、おむつ1を構成する各部材が積層された方向を厚さ方向という。厚さ方向において、着用者に接する側を肌側といい、その反対側を非肌側という。
【0040】
おむつ1は、吸収体21と、トップシート22と、防漏シート23と、外装シート24と、一対のサイドシート26と、ウェストギャザーフィルム28と、ターゲットテープ29と、一対のファスニングテープ30を有している。
【0041】
吸収体21は吸収性コア211を有し、吸収性コア211としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー(所謂SAP)を含有させたものを所定の形状に成形したものや、親水性のシートにSAP層を付着させたSAPシートや、液体吸収性繊維をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシート等を例示できる。吸収性コア211は、液透過性のティッシュペーパーや不織布等のコアラップ212で被覆されていてもよい。
【0042】
トップシート22は、厚さ方向において吸収体21よりも肌側に配置された液透過性のシートである。防漏シート23は、厚さ方向において吸収体21よりも非肌側に配置された液不透過性のシートである。外装シート24は、厚さ方向において防漏シート23よりも非肌側に配置されたシート(例えば不織布等)である。一対のサイドシート26は、トップシート22の幅方向の両側部から幅方向の外側に延出するシート(例えば不織布等)である。
【0043】
おむつ1の脚回り開口部を形成する端縁部には、長手方向に伸縮する一対の脚回り弾性部材15(例えば糸ゴムや伸縮性シート)が設けられており、おむつ1は着用者の脚回りにフィットする。脚回り弾性部材15は、サイドシート26と外装シート24との間に長手方向に伸長状態で固定されている。
【0044】
また、幅方向おいて脚回り弾性部材15よりも内側には、長手方向に伸縮する一対の防漏壁弾性部材16(例えば糸ゴムや伸縮性シート)が設けられている。防漏壁弾性部材16は、サイドシート26の幅方向の内側側部が幅方向の外側に折り返された部分の間に、長手方向に伸長状態で固定されている(
図2B参照)。防漏壁弾性部材16の収縮により、サイドシート26の一部が肌側に起立し、排泄物が堰き止められる。
【0045】
背側胴回り部7においては、吸収体21と防漏シート23との間に、ウェストギャザーフィルム28が配置されている(
図2C参照)。ウェストギャザーフィルム28は、幅方向に沿って伸縮する帯状の部材である。ウェストギャザーフィルム28が背側胴回り部7に伸縮性を付与することによって、おむつ1は着用者の胴回りにフィットする。
【0046】
また、背側胴回り部7の幅方向の両側部には、一対のフラップ部14が設けられている。フラップ部14は、主に、サイドシート26と外装シート24から構成されている。一対のファスニングテープ30は、背側胴回り部7(フラップ部14)から幅方向(横方向)の両外側に延出している。ファスニングテープ30は、幅方向に長い略長方形状を成すシート部材(例えば疎水性のスパンボンド不織布等)であり、背側胴回り部7に固定される固定部32と、背側胴回り部から延出する延出部31と、を有する。また、ファスニングテープ30の肌側面には、腹側胴回り部3に係合するフック材33(例えば面ファスナーの雄部材)が設けられている。
【0047】
ターゲットテープ29は、腹側胴回り部3の外装シート24の非肌側に配置されている(
図2A参照)。ターゲットテープ29は、ファスニングテープ30のフック材33と係合可能な部材であり、例えば不織布で形成されている。本実施形態のターゲットテープ29は、幅方向に沿った長方形状の部材となっている。
【0048】
おむつ1の装着時、展開状態のおむつ1は着用者に当てがわれつつ長手方向の略中央で2つ折りされる。次に、背側胴回り部7の一対のフラップ部14が幅方向の内側に折り返される。最後に、ファスニングテープ30のフック材33が、腹側胴回り部3のターゲットテープ29に係止される。
【0049】
ただし、おむつ1の構成は上記に限定されるものではない。例えば、おむつ1がターゲットテープ29を有さず、ファスニングテープ30のフック材33が外装シート24に直
接係合されてもよい。また、例えば、おむつ1がウェストギャザーフィルム28や外装シ
ート24を有さなくてもよい。
【0050】
===第1実施形態===
図3A及び
図3Bは、第1実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A1~
A9の説明図である。
図3Aはおむつ1の腹側の断面図であり、
図3Bはおむつ1の背側
の断面図である。
図4は、ファスニングテープ30周辺の分解斜視図である。
図5は、フ
ァスニングテープ30の断面における虫除け用香料40の配置を模式的に示した図である
。
【0051】
前述したように、おむつ1は、吸収体21やトップシート22等の複数の資材から構成
されている。
図3A及び
図3Bに示すように、おむつ1が有する各資材は、厚さ方向に隣
接する資材とホットメルト接着剤A1~A9で接合されている。第1実施形態のおむつ1
では、全ての資材が隣接する資材とホットメルト接着剤A1~A9で接着されている。た
だし、これに限定されず、おむつ1が有する複数の資材のうちの少なくとも一部がホット
メルト接着剤で接着されていればよい。つまり、一部の資材は、ホットメルト接着剤によ
る接着方法とは異なる方法(例えば熱溶着等)で接着されていてもよい。
【0052】
また、例えば、
図4では、ホットメルト接着剤A4,A8,A9が配置された領域を斜線で示しているが、ホットメルト接着剤は、領域の全域に配置されていてもよいし、領域内に部分的に配置されていてもよい。つまり、ホットメルト接着剤は、べた塗りされていてもよいし、周知の塗布パターン(例えば、スパイラルパターン、Ωパターン、ラインパターン等)で塗布されていてもよい。
【0053】
一般に、ホットメルト接着剤は、主成分となるベースポリマー(熱可塑性ブロック共重合体)と、粘着付与剤(タッキファイヤー)を有する。また、必要に応じて、ワックス、可塑剤、フィラー、安定剤等が、ホットメルト接着剤に含まれる。
【0054】
また、第1実施形態のおむつ1では、ファスニングテープ30の延出部31の非肌側部301に、虫除け効果(防虫効果、忌避効果)を有する虫除け用香料40が配置されている。なお、ファスニングテープ30の非肌側とは、おむつ1の着用時にファスニングテープ30をターゲットテープ29に係止したときに、外側(着用者側とは反対側)となる側であり、
図1のように展開状態のおむつ1を、肌側面を上側に配置したときに、ファスニングテープ30の下側となる側である。
【0055】
おむつ1に虫除け用香料40が配置されていることで、おむつ1の着用中に蚊等の虫が着用者に近付くことを防ぎ、着用者が虫に刺されてしまうことを抑制できる。また、おむつ1の流通及び保管中に虫が侵入してしまうことを抑制でき、おむつ1を衛生的に保つことができる。
【0056】
また、虫除け用香料40は、マイクロカプセル(膜材)に収容されていることが好ましい。マイクロカプセルとしては、例えば、物理的な圧力(衝撃、摩擦)によりカプセルが崩壊して内部の虫除け用香料40が放出されるものを例示できる。具体的には、ウレタン樹脂、ゼラチン、ゼラチン・アラビアゴム、メラミン樹脂、尿素・ホルマリン樹脂等が、単独で又は複数用いられたカプセル(膜材)を例示できる。
【0057】
虫除け用香料40がマイクロカプセルに収容されていることで、虫除け用香料の機能発現のタイミングや機能の強弱をコントロールできる。例えば、おむつ1の着用前に虫除け用香料40が揮散してしまうことを防止でき、おむつ1の着用中に虫除け機能を発揮させることができる。また、より効果が必要な場面では、強く擦って香りを強くしたり、効果が弱くなってきたと感じた場合は追加で擦って割れ残っているカプセルを破壊したりすることで、虫除け効果の持続性を高めることができる。特に、第1実施形態のおむつ1では、ファスニングテープ30に虫除け用香料40が配置される。そのため、おむつ1の装着時にファスニングテープ30が把持されるため、マイクロカプセルが破損しやすく、おむつ1の着用中に虫除け機能が確実に発揮される。
【0058】
ただし、マイクロカプセルに収容可能な虫除け用香料40の重量は限られている。そのため、虫除け用香料40による防虫効果が不十分となる恐れがある。また、虫除け用香料40の重量を増やすために、マイクロカプセルの数を増やしても、破損しないマイクロカプセルが増えやすくなってしまう。そうすると、外部に放出される虫除け用香料40は増えず、防虫効果が不十分のままとなる。
【0059】
そこで、第1実施形態のおむつ1では、おむつ1が有する複数の資材のうちの少なくとも一部は、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤により接着されている。虫除け成分を有する粘着付与剤とは、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含むものである。α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンは、虫除け効果がある香料成分として知られている。そのため、第1実施形態のおむつ1では、虫除け用香料40による防虫機能に加えて、上記の香料成分を含むホットメルト接着剤による防虫機能も得られ、防虫効果が高まる。換言すると、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤による防虫効果の分だけ、おむつ1に配置する虫除け用香料40の重量を減らせることができ、おむつ1の低コスト化を図れる。
【0060】
特に、虫除け用香料40がマイクロカプセルに収容される場合、前述したように、マイクロカプセルに収容可能な虫除け用香料40の重量に限りがあったり、破損しないマイクロカプセルが存在したりすることがある。つまり、虫除け用香料40による防虫効果が不足する恐れがある。その場合にも、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤で防虫効果を補うことができる。
【0061】
虫除け成分を有する粘着付与剤、すなわちα-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つを含む粘着付与剤としては、ロジン系樹脂を使用したものか、又は、テルペン系樹脂を使用したものを例示できる。ロジン系樹脂としては、ガムロジンや、トールロジンや、ウッドロジン等のロジン類、水素添加ロジンや、不均化ロジンや、重合ロジン等の変性ロジン類、変性ロジンのグリセリンエステルや、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル類等を例示できる。テルペン系樹脂としては、α-ピネン系やβ-ピネン系やジペンテン系等のテルペン樹脂のほか、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等を例示できる。これらの粘着付与剤を含むホットメルト接着剤が配置されたおむつ1では、α-ピネンやβ-ピネンやカンフェンが放出され、虫除け効果が得られる。以下の説明では、虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤を「防虫接着剤IA」とも呼ぶ。
【0062】
なお、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンを含まない粘着付与剤としては、石油系樹脂を使用したもの例示できる。以下の説明では、虫除け成分を有する粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤を「非防虫接着剤NA」とも呼ぶ。
【0063】
また、第1実施形態のおむつ1では、ファスニングテープ30の延出部31の非肌側部301に、虫除け用香料40が配置されている。ファスニングテープ30のうち、固定部32はサイドシート26と外装シート24の間に挟まれており、延出部31は外部に露出している。そのため、固定部32よりも延出部31に虫除け用香料40が配置されていることで、虫除け用香料40がおむつ1の外部に放出されやすく、虫除け効果が高まる。
【0064】
また、ファスニングテープ30(延出部311)の非肌側部301とは、
図5に示すよ
うに、ファスニングテープ30のうち厚さ方向の中間位置Cよりも非肌側の部位である。
また、ファスニングテープ30のうち厚さ方向の中間位置Cよりも肌側の部位をファスニ
ングテープ30の肌側部302とする。
【0065】
虫除け用香料40は、おむつ1の非肌側(外側)に配置される程、おむつ1の外部に放
出されやすい。そのため、ファスニングテープ30(延出部31)の非肌側部301に虫
除け用香料40が配置されることで、虫除け用香料40がおむつ1の外部に放出されやす
く、虫除け効果が高まる。また、おむつ1のユーザーが虫除け用香料40の香りを認知し
やすくなる。その結果、虫除け効果に対する期待感をユーザーに付与でき、また、ユーザ
ーが虫除け効果を実感しやすくなる。
【0066】
なお、ファスニングテープ30の非肌側部301に虫除け用香料40が配置されている
とは、ファスニングテープ30の肌側部302よりも非肌側部301の方が、より多くの
重量の虫除け用香料40が配置されていることである。好ましくは、ファスニングテープ
30の非肌側部301にのみ虫除け用香料40が配置されていることである。
【0067】
このように、ファスニングテープ30の延出部31の非肌側部301に虫除け用香料4
0が配置されている場合、ファスニングテープ30の延出部31の肌側面にフック材33を接着するホットメルト接着剤A9を、防虫接着剤IAにするとよい。つまり、虫除け用香料40に近い位置に塗布されるホットメルト接着材A9を防虫接着剤IAにするとよい。そうすることで、虫除け用香料40と防虫接着剤IA(A9)が近くに配置された部分において虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。
【0068】
特に、第1実施形態のおむつ1では、
図4に示すように、おむつ1の厚さ方向において、フック材33をファスニングテープ30に接着するホットメルト接着剤A9の配置領域と、虫除け用香料40の配置領域とが一部重複する。このように、おむつ1をその厚さ方向に平面視したとき、虫除け用香料40が配置された領域は、防虫接着剤IAが配置された領域と重なる部分401(
図4参照)を有することが好ましい。そうすることで、虫除け用香料40と防虫接着剤IA(A9)が重なる部分では、虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。この点からも、フック材33を接着するホットメルト接着剤A9を防虫接着剤IAにすることが好ましいといえる。
【0069】
なお、上記のように、虫除け用香料40と防虫接着剤IAの配置関係を確認する場合には、おむつ1を展開かつ伸長させた状態で行うとよい(以下も同様)。本実施形態のように、テープ型おむつの場合には、
図1に示すようにおむつ1を展開し、かつ、おむつ1を皺なく伸長させた状態で確認するとよい。伸長状態とは、具体的には、おむつ1を構成する各資材の寸法が、弾性部材の影響を受けない状態での、その資材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで、おむつ1を伸長させた状態である。また、図示しないが、パンツ型おむつの場合には、胴回りの左右の接合部が解かれて展開した状態で確認するとよい。
【0070】
また、第1実施形態では、おむつ1の厚さ方向において、虫除け用香料40は、フック材33をファスニングテープ30に接着する防虫接着剤IA(A9)よりも、非肌側に配置されている。そのため、虫除け用香料40がおむつ1の外部に放出されやすく、虫除け用香料40による虫除け効果が高まる。また、ユーザーが虫除け用香料40の香りを認知しやすくなる。
【0071】
また、フック材33を接着するホットメルト接着剤A9に限らず、虫除け用香料40に近い位置に塗布されるホットメルト接着剤を防虫接着剤IAにするとよい。例えば、ファスニングテープ30をサイドシート26に固定するホットメルト接着剤A8や、ファスニングテープ30を外装シート24に固定するホットメルト接着剤A4を、防虫接着剤IAにするとよい。そうすることで、虫除け用香料40と防虫接着剤IA(A8,A4)が近くに配置された部分では、虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。
【0072】
このように、防虫接着剤IAの方が、虫除け用香料40よりも、おむつ1に配置された重量が大きいことが好ましい。つまり、新たに虫除け用香料40を増やして防虫効果を高めるのではなく、おむつ1の資材を接着する機能と防虫機能の両方を備える防虫接着剤IAの重量を増やすことで、おむつ1の低コスト化を図ることができる。
【0073】
また、防虫接着剤IAの配置は、虫除け用香料40に近い位置に限定されない。例えば、おむつ1が有する吸収体21は比較的に厚みのある部材である。そのため、吸収体21よりも肌側に塗布されるホットメルト接着剤A1,A2や吸収体21の内部に塗布されるホットメルト接着剤A3は、吸収体21よりも非肌側に塗布されるホットメルト接着剤に比べて、その香りがおむつ1の外部に放出され難い。そこで、吸収体21よりも非肌側に配置された非肌側資材同士を接着するホットメルト接着剤を、防虫接着剤IAにするとよい。そうすることで、α-ピネン、β-ピネン、及びカンフェンのうちの少なくとも1つを含む防虫接着剤IAの香りがおむつ1の外部に放出されやすくなり、虫除け効果が高まる。
【0074】
特に、液不透過性のシートである防漏シート23は、液透過性のシート(例えば不織布で形成された外装シート24)に比べると通気度が低く、防虫接着剤IAの香りは防漏シート23を通過し難い。そこで、おむつ1の厚さ方向において、防漏シート23よりも非肌側に、防虫接着剤IAが配置されていることが好ましい。つまり、おむつ1に配置される防虫接着剤IAの少なくとも一部が、防漏シート23よりも非肌側に配置されていることが好ましい。そうすることで、α-ピネン、β-ピネン、及びカンフェンのうちの少なくとも1つを含む防虫接着剤IAの香りがおむつ1の外部に放出されやすくなり、虫除け効果が高まる。
【0075】
具体的に、本実施形態(
図3A及び
図3B)では、防漏シート23よりも非肌側のホットメルト接着剤、すなわち、防漏シート23と外装シート24を接着するホットメルト接着剤A6と、外装シート24とターゲットテープ29を接着するホットメルト接着剤A7が、防虫接着剤IAである。また、吸収体21よりも非肌側のホットメルト接着剤、すなわち、吸収体21とウェストギャザーフィルム28又は防漏シート23を接着するホットメルト接着剤A4と、ウェストギャザーフィルム28と防漏シート23を接着するホットメルト接着剤A5も、防虫接着剤IAである。
【0076】
また、本実施形態では、ファスニングテープ30に虫除け用香料40が配置される。この場合、虫除け用香料40による防虫効果は、着用者の腹側部において高く、着用者の背側部では腹側部に比べると下がる。しかし、防漏シート23と外装シート24を接着するホットメルト接着剤A6や、吸収体21と防漏シート23を接着するホットメルト接着剤A4は、おむつ1の広い範囲に亘って配置される。そのため、そのようなホットメルト接着剤A6,A4を防虫接着剤IAにすることで、おむつ1の広い範囲に亘って、防虫接着剤IAによる防虫効果が得られる。つまり、虫除け用香料40が配置されていない領域では、防虫接着剤IAにより防虫効果を補うことができる。
【0077】
ただし、防虫接着剤IAを配置する資材は上記に限定されず、おむつ1が有する複数の資材のうちの少なくとも一部が防虫接着剤IAにて接着されていればよい。例えば、
図3A及び
図3Bでは、吸収体21よりも肌側に塗布されるホットメルト接着剤A1,A2や
吸収体21の内部に塗布されるホットメルト接着剤A3が、非防虫接着剤NAとなってい
るが、これらが防虫接着剤IAであってもよい。また、例えば、ファスニングテープ30
周辺のホットメルト接着剤や、吸収体21よりも非肌側のホットメルト接着剤が、防虫接
着剤IAであるに限らず、非防虫接着剤NAであってもよい。また、図示しないが、脚回
り弾性部材15及び防漏壁弾性部材16を固定するホットメルト接着剤や、サイドシート
26を用いて防漏壁を形成するためのホットメルト接着剤等が、防虫接着剤IAであって
もよい。
【0078】
また、本実施形態(
図3A及び
図3B)では、おむつ1が有する複数の資材の一部は、
防虫接着剤IAにより接着されており、複数の資材の別の一部は、非防虫接着剤NAによ
り接着されている。そのため、防虫接着剤IAにより防虫効果を高めつつ、非防虫接着剤
NAも使用することで、おむつ1の部位毎に適したホットメルト接着剤を使い分けること
ができる。ただし、これに限定されず、おむつ1に使用される全てのホットメルト接着剤
が防虫接着剤IAであってもよい。
【0079】
なお、おむつ1に防虫接着剤IAが使用されていることの確認や、防虫接着剤IAが配
置されている資材や領域の確認や、防虫接着剤IAの重量の確認は、周知の方法で行うと
よい。例えば、防虫接着剤IAが配置されている資材や領域については、コールドスプレ
ー等を用いておむつ1から各資材を分離した後に、目視で確認したり、各資材に竹炭やココアパウダーなどの有色の細かい粒子を撒いた後に、粒子を払い、粒子が付着した箇所で確認したりすることができる。また、例えば、防虫接着剤IAであるか否かについて、及び、その重量については、ホットメルト接着剤が配置されている資材を容器の中に入れて密閉し、ガスクロマトグラフ装置(GC-MS)を用いて、容器中の成分を解析することで確認できる。また、例えば、資材に配置されている防虫接着剤IAをトルエンに溶出させる前と後の資材の重量(乾燥状態での資材の重量)の差から、防虫接着剤IAの重量を算出できる。
【0080】
同様に、虫除け用香料40が配置されている資材や領域の確認も、周知の方法で行うとよい。例えば、おむつ1から分離した各資材を、ガスクロマトグラフ装置(GC-MS)を用いて成分解析することで、資材に虫除け用香料40が配置されているかの有無、及び、虫除け用香料40の重量について確認できる。また、虫除け用香料40がマイクロカプセルに収容されている場合には、例えば資材の表面や断面を電子顕微鏡で見ることで、虫除け用香料40が配置されている資材や領域を確認できる。
【0081】
また、前述したように、第1実施形態のおむつ1では、ファスニングテープ30の延出部31の非肌側部301に、虫除け用香料40が配置されている。さらに、ファスニングテープ30の内部に入り込んでいる虫除け用香料40(マイクロカプセル)の重量が、ファスニングテープ30の非肌側面30b上に位置している虫除け用香料40の重量よりも多くなっていることが好ましい。そうすることで、マイクロカプセルが簡単に崩壊して虫除け用香料40が放出されてしまうことを防止でき、虫除け効果の持続性が高まる。なお、ファスニングテープ30の非肌側面30bとは、ファスニングテープ30を構成する不織布繊維層の最も飛び出している繊維を頂点とした面であり、これより内側の部分をファスニングテープ30の内部とする。
【0082】
そのために、以下のことを行うとよい。先ず、虫除け用香料40(マイクロカプセル)の平均粒径(例えば5~15μm)を、ファスニングテープ30の平均繊維径(例えば20μm)よりも小さくする。具体的には、ファスニングテープ30の平均繊維径(20μm)よりも粒径が小さい虫除け用香料40の重量を、ファスニングテープ30の平均繊維径(20μm)よりも粒径が大きい虫除け用香料40の重量よりも多くする。そうすることで、虫除け用香料40がファスニングテープ30の内部に入り込み易くなり、虫除け効果の持続性が高まる。
【0083】
ただし、虫除け用香料40の粒径が小さすぎると静電気が発生し易くなり、ファスニングテープ30の非肌側面30b上から転がらずに留まり続け、ファスニングテープ30の内部に入り込み難くなる。そのため、虫除け用香料40を収容したマイクロカプセルの粒径は0.1μm以上(好ましくは0.5μm以上)であるとよい。
【0084】
また、ファスニングテープ30の非肌側部301に虫除け用香料40を配置するためには、マイクロカプセルに収容された虫除け用香料40を分散した液体を、ファスニングテープ30の非肌側面30bに塗布するとよい。なお、塗布方法は、噴霧法やローラーコート法、刷毛塗り法等の周知の方法を採用できる。
【0085】
具体的に、本実施形態では、接着剤機能を有するPVA(ポリビニルアルコール)を配合し、かつ、虫除け用香料40を収容したマイクロカプセルを水に分散させた水分散液を、ファスニングテープ30の非肌側面30bに塗布する。なお、水分散液をファスニングテープ30に均一に塗布するために、水分散液に親水剤(0.3%、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)を添加するとよい。また、かかる際には、親水剤の添加に合わせて消泡剤(0.2%、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ブロックコポリマー))も添加するとよい。
【0086】
また、ファスニングテープ30を、疎水性の不織布としたり、比較的高目付の不織布としたりするとよい。そうすることで、水分散液がファスニングテープ30内であまり移動せず、マイクロカプセル(虫除け用香料40)がファスニングテープ30の非肌側部301に留まりやすくなる。
【0087】
また、虫除け用香料40をファスニングテープ30に配置する場合、本実施形態のように、ファスニングテープ30の延出部31の非肌側部301に配置するに限らない。例えば、虫除け用香料40を、ファスニングテープ30の延出部31の肌側部302に配置したり、ファスニングテープ30の厚さ方向の全体に配置したりしてもよい。また、ファスニングテープ30の固定部32に配置したりしてもよい。
【0088】
また、おむつ1に虫除け用香料40を配置する方法は、上記のように、マイクロカプセルに収容された虫除け用香料40の分散液を資材に塗布する方法に限定されない。例えば、マイクロカプセルに収容されていない虫除け用香料40の溶液を資材に塗布してもよい。また、例えば、虫除け用香料40を配置する資材を虫除け用香料40の溶液に含浸したり、資材を構成する繊維に虫除け用香料40を練り込んだりしてもよい。また、虫除け用香料40を蝋(ワックス)に練り込んだものを資材に配置し、ユーザーが擦すったり、熱が加えられたりすることで虫除け用香料40が放出されるようにしてもよい。また、多くの虫除け用香料40が資材の内部に入り込まずに、表面上に位置する場合には、虫除け用香料40が配置された領域をテープで覆い、おむつ1の使用時にユーザーがテープを剥がすようにしてもよい。そうすることで、虫除け用香料の揮散を防止できる。
【0089】
次に、虫除け用香料40について説明する。虫除け用香料40は、虫除け効果を有する香料であれば特に限定されない。ただし、防虫接着剤IAに含まれるα-ピネンの沸点(155-156℃)、β-ピネンの沸点(165-167℃)、カンフェンの沸点(159℃)は、防虫効果を有する香料の中において比較的に低い。そこで、虫除け用香料40は、α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンよりも沸点の高い香料を含むことが好ましい。
【0090】
そうすることで、防虫接着剤IAに含まれる沸点の低いα-ピネンやβ-ピネンやカン
フェンは、比較的に早く揮散し、防虫効果が得られる。初期の段階、すなわちユーザーが
パッケージからおむつ1を取り出した時や、おむつ1の装着時において、防虫効果が得ら
れる。また、初期の段階から虫除けの香りをユーザーに認知させることができる。(アピ
ールできる)。その結果、ユーザーに虫除け効果に対する期待感を与えることができ、ま
た、ユーザーが虫除け効果を実感しやすくなる。一方、虫除け用香料40に含まれる沸点
の高い香料は、揮散に時間を要する。そのため、高沸点香料により、虫除け効果の持続性
を高めることができる。
【0091】
α-ピネン等よりも沸点の高い香料とは、具体的には、(A)群から選択される沸点が
200℃以上220℃以下の香料を少なくとも1種類含むことが好ましい。
(A)群の香料は、シトロネラール、メントール、α-テルピネオール、リナリルアセ
テート、イソプレゴール、エチルリナロール、テルピニルアセテート、ギ酸ゲラニル、メ
ントン、ボルネオール、カンファーである。なお、虫除け用香料40には、当該香料の他
に溶剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)が含まれている。
【0092】
そうすることで、虫除け用香料40の持続性が得られつつ、適度なタイミングで上記の
香料が揮散しやすくなり、おむつ1の着用中に虫除け効果が発揮される。
【0093】
さらに、虫除け用香料40が、α-ピネン等よりも沸点の高い香料として、(A)群の香料に加えて、更に、(C)群から選ばれる沸点が220℃より高く270℃以下の香料を少なくとも1種類含むことが好ましい。(C)群の香料は、イソボルニルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、2-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、ネロール、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、シト
ロネリルアセテート、ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、エチルリナリルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ボルニルアセテート、β-カリオフィレン、cis-ジャスモン、L-カルボン、ノピルアセテート、プレゴン、オクタン酸アリルである。そうすることで、(A)群の香料よりも沸点の高い香料が加わるため、虫除け効果の持続性を強化することが可能となる。ただし、虫除け用香料40は上記のように、(A)群の香料のみを含むものや、(A)群の香料と(C)群の香料をそれぞれ少なくとも1種類ずつ含むものに限定されず、例えば、(C)群の香料のみを含むものであってもよい。
【0094】
また、虫除け用香料40は、マイクロカプセルに収容されていることが好ましい。そうすることで、虫除け用香料40の持続性が高まる。そのため、防虫接着剤IAに含まれる沸点の低いα-ピネンやβ-ピネンやカンフェンが、初期の段階から放出されて、防虫効果が得られる。また、初期の段階から虫除けの香りをユーザーに認知させることができる。一方、マイクロカプセルに収容された虫除け用香料40により、虫除け効果の持続性を高めることができる。
【0095】
また、虫除け用香料40は、沸点の異なる複数の香料を含むことが好ましい。具体的には、虫除け用香料40は、上記(A)群から選ばれる香料と、(A)群の香料よりも沸点が低い、(B)群から選ばれる沸点が150℃以上200℃より低い香料を、それぞれ少なくとも1種類ずつ含むとよい。そうすることで、(B)群から選ばれる香料により、初期の段階で虫除け用香料40の香りをユーザーに認知させることができる。そして、(A)群から選ばれる香料により、虫除け効果が得られる。
【0096】
(B)群の香料は、メンタン、テトラヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、オシメノール、オシメン、ミルセン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノーレン、3-カレン、1-へプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-ノナノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、cis-3-ヘキセノール、trans-2-ヘキセノール、2,4-ヘキサジエン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2,6-ノナジエノール、テトラヒドロムゴール、4-ツヤノール、n-ヘプタナール、n-オクタナール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、cis-3-ヘキセナール、2,4-ヘキサジエナール、2,6-ノナジエナール、ヘプタナールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、2-へプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、メチルへプテノン、フェンコン、アセチルフラン、リナロールオキサイド、メントフラン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、2,2,6-トリメチル-6-ビニルテトラヒドロピラン、ギ酸cis-3-ヘキセニル、酢酸プレニル、酢酸ヘキシル、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-2-ヘキセニル、酢酸へプチル、プロピオン酸ヘキシル、酪酸cis-3-ヘキセニル、イソ酪酸cis-3-ヘキセニル、2-メチル吉草酸エチル、へプタン酸エチル、ヘキサン酸アリルである。
【0097】
さらに、成分中の(A)群の重量比率が(B)群の重量比率よりも高い虫除け用香料40であることが好ましい。そうすることで、重量比率の高い(A)群の香料により、虫除け効果、及び、その持続性を適切に確保できる。一方、(B)群の香料は重量比率が低くても、(B)群の機能については、防虫接着剤IAに含まれるα-ピネン等で補助できる。つまり、ユーザーへ虫除け効果を香りで認知させることができ、ユーザーに虫除け効果に対する期待感を与えることができる。
【0098】
本実施形態に係る虫除け用香料40については、以下のようになっている。すなわち、溶剤であるミリスチン酸イソプロピル50%(重量比率。以下、同様)に対し、香料として、シトロネラール30~40%、1.8-シネオール10~15%、イソボルニルアセテート10~15%、その他の香料1%未満が加えられている。1%未満の「その他の香料」に、(B)群から選ばれた少なくとも1種類の香料を含む。例えば、メンタンが含まれている。
【0099】
また、(A)群、(B)群、(C)群の香料は、いずれもアレルゲンフリーの物質である。そのため、ユーザーにアレルギーに係る安心感を提供することができる。また、(A)群~(C)群の香料の中には、EU(欧州連合)の化粧品指令(76/768/EEC)において、アレルゲン物質としてラベル表示の義務付けが成されている以下の26種類の香料のいずれも含まれていない。したがって、使用者にアレルギーに係る安心感を提供することができる。
【0100】
26種類の香料とは、α-イソメチルイオノン、アミルケイヒアルデヒド、アミルシンナミルアルコール、アニスアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ケイヒ酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ブチルヘニルメチルプロピオナール、ケイヒアルデヒド、ケイヒアルコール、シトラール、シトロネロール、クマリン、オイゲノール、ファルネソール、ゲラニオール、ヘキシルシンナマル、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシイソヘキシル3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、イソオイゲノール、リモネン、リナロール、2-オクチン酸メチル、ツノマタゴケエキス、エベルニアフルフラセアエキスである。ここで、これらの香料について「含まれていない」とは、上記の香料が実質的に含まれていないことを意味するものであって、上記の香料が完全に含まれていない(全く存在しない)ことを意味するものではない。当該香料の虫除け用香料(溶剤+香料)に対する比率が1%以下であれば、実質的に含まれないと言える。
【0101】
また、(A)群、(B)群、(C)群の香料は、いずれもホットメルト接着剤の接着性能を阻害するものではない。そのため、おむつ1の使用前にパッケージ(包装材)内で揮散した香料がホットメルト接着剤に作用して、おむつ1の剥がれ等の発生を防止できる。
よって、おむつ1の性能を適切に維持することが可能となる。
【0102】
なお、ホットメルト接着剤の接着性能を阻害する虫除け用香料としては、リモネン、フ
ェニルアセトアルデヒド、サリチル酸メチル、チモール、メチルイソオイゲノール、クマ
リン、β-フェニルエチルアルコール、シメン、オイゲノール、カルバクロール、フェニ
ルエチルアセテート、サフロール、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、アニシ
ルアセテート、シンナミルアセテート、クミンアルデヒド、ジフェニルオキサイド、ギ酸
シンナミルを挙げることができる。(A)群の香料~(C)群の香料には、これらのいず
れも含まれていない(「含まれていない」の定義については、前述と同様)。
【0103】
また、香料は、大きく天然香料と合成香料に分けることができる。合成香料とは、化学
的に合成された香料であるため、いろいろな香料成分は含まれていない。合成香料として
は、単離香料、全合成香料、半合成香料、生合成香料が該当する。例えば、合成香料のみ
を用いることで、虫除け用香料40に含ませたくない物質(例えば、前述したアレルゲン
物質やホットメルト接着剤阻害物質)の混入を適切に回避することが可能となる。
【0104】
ただし、上記に限定されず、虫除け用香料40が天然香料を含んでもよい。天然香料と
は、天然精油(エッセンシャルオイル)等を例に挙げることができ、天然の植物等から直
接取り出した香料である。具体的に、虫除け用香料40は、レモングラス、シトロネラ、
及び、レモンユーカリのうちの何れかに由来した香料を含むとよい。そうすることで、虫
除け効果のある成分(例えば、シトロネラール、シトラール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、イソプレゴール、シトロネロールなど)がおむつ1に付与される。また、天然精油は比較的に入手が容易であり、虫除けの有効成分となる化合物を多く含むため好ましい。
【0105】
===第2実施形態====
図6A及び
図6Bは、第2実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A1~A9の説明図である。
図7A及び
図7Bは、第2実施形態のおむつ1の変形例の説明図である。
図6A及び
図7Aは、おむつ1の腹側の断面図であり、
図6B及び
図7Bは、おむつ1の背側の断面図である。
図8は、変形例のおむつ1における外装シート24周辺の分解斜視図である。以下、第2実施形態のおむつ1のうち第1実施形態のおむつ1と異なる点について主に説明する。
【0106】
第2実施形態のおむつ1では、外装シート24に虫除け用香料40が配置されている。
前述したように、防漏シート23は比較的に通気度が低いため、おむつ1の厚さ方向において、防漏シート23よりも、虫除け用香料40の方が、非肌側に配置されていることが好ましい。すなわち、本実施形態のように外装シート24に虫除け用香料40を配置したり、後述の
図9Aに示すように、ターゲットテープ29に虫除け用香料40を配置したりするとよい。そうすることで、虫除け用香料40の香りがおむつ1の外部に放出されやすく、虫除け効果が高まる。また、おむつ1のユーザーが虫除け用香料40の香りを認知しやすくなる。
【0107】
また、第1実施形態のおむつ1のようにファスニングテープ30に虫除け用香料40を配置する場合、着用者の腹側部に虫除け用香料40が配置される。一方、外装シート24は、おむつ1の外形を成すため、着用者の腹側部に限定されず、背側部や足回り等、着用者の所望の部位に対応するおむつ1の位置に虫除け用香料40を配置できる。また、おむつ1の広い範囲に亘り虫除け用香料40を配置できる。
【0108】
また、虫除け用香料40が、外装シート24の厚さ方向の全体に配置されていてもよいし、外装シート24の肌側部又は非肌側部に配置されていてもよい。具体的には、外装シート24の肌側から虫除け用香料40を塗布する等して、外装シート24の厚さ方向の中間位置よりも肌側の部位に、より多くの虫除け用香料40を配置するとよい。この場合、虫除け用香料40の持続性を高めることができる。又は、外装シート24の非肌側から虫除け香料40を塗布する等して、外装シート24の厚さ方向の中間位置よりも非肌側の部位に、より多くの虫除け用香料40を配置してもよい。この場合、虫除け用香料40がおむつ1の外部に放出されやすく、虫除け効果が高まり、また、ユーザーが虫除け用香料40の香りを認知しやすくなる。
【0109】
また、外装シート24は、
図6Aに示すように、非肌側からターゲットテープ29で覆われる部位と、
図6Bに示すように、おむつ1の最外層(非肌側面)となる部位を有する。ターゲットテープ29の内側の外装シート24の部位に虫除け用香料40を配置する場合、ターゲットテープ29は通気性を有するシート(例えば不織布)であるとよい。そのため、ターゲットテープ29と重なる外装シート24の部位(
図6A)に配置された虫除け用香料40は、重ならない部位に配置される虫除け用香料40に比べて直ぐに揮散してしまうことを抑制できる。一方、おむつ1の最外層となる外装シート24の部位(
図6B)に配置された虫除け用香料40は、おむつ1の外部に放出されやすく、虫除け効果が高まり、また、ユーザーが虫除け用香料40の香りを認知しやすくなる。
【0110】
第2実施形態のおむつ1においても、複数の資材のうちの少なくとも一部は、虫除け成分(α-ピネン、β-ピネン、及び、カンフェンのうちの少なくとも1つ)を有する粘着付与剤を含む防虫接着剤IAにより接着されている。そうすることで、おむつ1の防虫効果を高めることができる。
【0111】
例えば、外装シート24にターゲットテープ29を接着するホットメルト接着剤A7を、防虫接着剤IAにするとよい。つまり、おむつ1の厚さ方向において、防虫接着剤IAが、虫除け用香料40よりも非肌側に配置されているとよい。
【0112】
そうすることで、α-ピネン、β-ピネン、及びカンフェンのうちの少なくとも1つを含む防虫接着剤IAの香りがおむつ1の外部に放出されやすくなる。よって、防虫接着剤IAによる防虫効果が高まり、また、虫除けの香りがユーザーに認知されやすくなる。一方、防虫接着剤IAよりも肌側に配置された虫除け用香料40は、直ぐに揮散してしまうことを防止でき、虫除け用香料40の持続性を高めることができる。
【0113】
また、
図6Aでは、ターゲットテープ29と重なる外装シート24の部位に虫除け用香料40が配置されている。そのため、おむつ1をその厚さ方向に平面視したとき、虫除け用香料40が配置された領域は、防虫接着剤IAが配置された領域と重なる部分を有する。そうすることで、虫除け用香料40と防虫接着剤IAが重なる部分において虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。
【0114】
また、第1実施形態にて説明したように、吸収体21や防漏シート23よりも非肌側に配置されたホットメルト接着剤の香りは、おむつ1の外部に放出されやすい。そのため、
図6A及び
図6Bでは、吸収体21とウェストギャザーフィルム28又は防漏シート23を接着するホットメルト接着剤A4と、ウェストギャザーフィルム28と防漏シート23を接着するホットメルト接着剤A5と、防漏シート23と外装シート24を接着するホットメルト接着剤A6も、防虫接着剤IAとなっている。
【0115】
ただし、上記に限定されず、おむつ1が有する複数の資材のうちの少なくとも一部が防虫接着剤IAにて接着されていればよい。例えば、
図7A及び
図7Bに示す変形例では、外装シート24にターゲットテープ29を接着するホットメルト接着剤A7のみを、防虫接着剤IAにしている。さらに、
図8に示すように、おむつ1の厚さ方向において、ターゲットテープ29と重ならない外装シート24の部位に、虫除け用香料40を配置している。つまり、おむつ1をその厚さ方向に平面視したとき、虫除け用香料40が配置された領域が、防虫接着剤IAが配置された領域と重なる部分を有さないようにしてもよい。こ
の場合、虫除け用香料40が配置されていない領域では、防虫接着剤IAに含まれる虫除
け成分(α-ピネンやβ-ピネンやカンフェン)によって防虫効果が得られる。つまり、
虫除け用香料40の配置面積を抑えて、低コスト化を図りつつ、防虫接着剤IAによって
、おむつ1の広い範囲に亘り防虫効果が得られる。
【0116】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易
にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明
は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物
が含まれるのはいうまでもない。
【0117】
図9A及び
図9Bは、その他の実施形態のおむつ1に使用されるホットメルト接着剤A
1~A9の説明図である。上記の実施形態では、虫除け用香料40がファスニングテープ
30又は外装シート24に配置された場合を例示したが、これに限定されない。おむつ1
が有する複数の資材の何れかに、虫除け用香料40が配置されていてもよい。例えば、吸
収体21の内部に虫除け用香料40を配置してもよい。
【0118】
また、例えば、
図9A及び
図9Bに示すように、ターゲットテープ29に虫除け用香料
40が配置されてもよい。この場合も、おむつ1が有する複数の資材のうちの少なくとも一部が防虫接着剤IAにて接着されているとよい。そうすることで、虫除け効果を高めることができる。
【0119】
また、この場合、ターゲットテープ29は、おむつ1の最外層(非肌側面)を形成するため、厚さ方向において、ホットメルト接着剤(防虫接着剤IA)よりも、虫除け用香料40の方が非肌側に配置される。そのため、虫除け用香料40はおむつ1の外部に放出されやすく、虫除け効果が高まり、また、ユーザーが虫除け用香料40を認知しやすくなる。
【0120】
また、おむつ1の着用時には、ファスニングテープ30がターゲットテープ29に係止される。そのため、ファスニングテープ30周辺のホットメルト接着剤(例えば、フック材33をファスニングテープ30に接着するA9等)を、防虫接着剤IAにするとよい。
そうすることで、虫除け用香料40と防虫接着剤IAが近くに配置された部分において虫除けの有効成分量が局所的に増え、その部分を中心とした防虫効果が高まる。
【符号の説明】
【0121】
1 おむつ(吸収性物品)、
3 腹側胴回り部、5 股下部、7 背側胴回り部、
15 脚回り弾性部材、16 防漏壁弾性部材、
21 吸収体、22 トップシート、
23 防漏シート(液不透過性のシート)、
24 外装シート、26 サイドシート、
28 ウェストギャザーフィルム、
29 ターゲットテープ、
30 ファスニングテープ、31 延出部、32 固定部、33 フック材、
40 虫除け用香料、
A1~A9 ホットメルト接着剤、
IA 防虫接着剤(虫除け成分を有する粘着付与剤を含むホットメルト接着剤)、
NA 非防虫接着剤(虫除け成分を有する粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤)