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特開2024-163201内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163201
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20241114BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01B21/00 F
G01B21/20 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024150905
(22)【出願日】2024-09-02
(62)【分割の表示】P 2020046504の分割
【原出願日】2020-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】森井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】森山 克文
(57)【要約】
【課題】穴の位置を適切にアライメントする内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法を提供する。
【解決手段】第1の方向に平行な回転軸Aを中心に回転する回転体14に支持される直動傾斜ステージ16であって、回転体14に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージ16にワークWが固定される。光源19から第1の方向に出射した光であって、ワークWの細穴Hの第1の開口から入射して細穴Hを通過した光の光量を取得し、取得した光量に基づく細穴Hの中心軸Aと回転軸Aのずれ情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、
前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、
を備える内面形状測定機。
【請求項2】
前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれを目標値以内にするステージ制御部を備える請求項1に記載の内面形状測定機。
【請求項3】
前記光源と前記第1の方向に沿って互いに対向して配置される受光部を備え、
前記受光部は、前記第1の開口とは異なる第2の開口から出射する出射光を受光する請求項1又は2に記載の内面形状測定機。
【請求項4】
前記直動傾斜ステージに固定され、前記ワークが設置されるワーク設置治具を備え、
前記光源が前記ワーク設置治具に配置される請求項3に記載の内面形状測定機。
【請求項5】
前記直動傾斜ステージの前記傾斜を変更するための傾斜軸の位置と前記光源の位置とが一致する請求項4に記載の内面形状測定機。
【請求項6】
前記直動傾斜ステージに固定され、前記ワークが設置されるワーク設置治具と、
光を受光する受光部と、
前記受光部の受光方向に対して同軸に前記光源からの光を出射する同軸照明光学系と、
を備え、
前記ワーク設置治具は、前記第1の開口とは異なる第2の開口から出射した光を反射して前記第2の開口に入射させる乱反射体を備える請求項1又は2に記載の内面形状測定機。
【請求項7】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
圧力気体源から発生した気体流であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から流入して前記第1の開口とは異なる第2の開口から流出した気体流の前記第1の方向の指向性を選別して流量を取得する流量取得部と、
前記取得した流量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、
を備える内面形状測定機。
【請求項8】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
超音波発生源から発生した超音波であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から流入して前記第1の開口とは異なる第2の開口から流出した超音波の前記第1の方向の指向性を選別して強度を取得する強度取得部と、
前記取得した強度に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、
を備える内面形状測定機。
【請求項9】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、
光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得工程と、
前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力工程と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法。
【請求項10】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、
圧力気体源から発生した気体流であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から流入して前記第1の開口とは異なる第2の開口から流出した気体流の前記第1の方向の指向性を選別して流量を取得する流量取得工程と、
前記取得した流量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力工程と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法。
【請求項11】
第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、
前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、
前記第1の方向に平行に延びるプローブであって、前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、
超音波発生源から発生した超音波であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から流入して前記第1の開口とは異なる第2の開口から流出した超音波の前記第1の方向の指向性を選別して強度を取得する強度取得工程と、
前記取得した強度に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力
工程と、
を備える内面形状測定機のアライメント方法。
【請求項12】
前記穴の内径が500μm以下である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の内面形状測定機。
【請求項13】
前記穴の内径が500μm以下である、
請求項9から11のいずれか1項に記載の内面形状測定機のアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに形成された細穴の内面形状を測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式又は非接触式のプローブとワークとを相対移動させることでワークの形状を測定する形状測定装置において、回転軸を中心にワークを回転させてワークの真円度を測定する内面形状測定機が知られている。内面形状測定機では、回転軸とワークの軸心とを一致させる必要がある。
【0003】
特許文献1には、回転テーブル上に載置されたワークの孔の内周部に検出器の接触子を当接させて孔の真円度を測定する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、検出器の接触子をワークの外周面に当接させ、回転テーブルを回転させながら低倍率でワークの振れを見て、振れが小さくなるようにワークの載置位置を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-145344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内面形状測定機を用いて極小径穴を測定する場合、極小径穴のアライメントが課題となる。即ち、プローブを極小径穴に挿入してワークを回転させると、プローブと穴壁とが衝突するという課題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1に記載の技術のように、穴と同軸形状部分を利用してアライメントする場合は、測定可能な測定対象物の形状に制限があった。
【0007】
また、作業者が観察顕微鏡で確認しながら挿入する場合には、作業者の熟練が必要となる。この場合、自動化が困難であり、操作ミスによってプローブと穴壁とが衝突する可能性があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、穴の位置を適切にアライメントする内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための内面形状測定機の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、光源から第1の方向に出射した光であって、ワークの細穴の第1の開口から入射して細穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、取得した光量に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、を備える内面形状測定機である。
【0010】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【0011】
ずれ情報に基づいて直動傾斜ステージを制御し、細穴の中心軸と回転軸とのずれを目標値以内にするステージ制御部を備えることが好ましい。これにより、穴の位置を自動的にアライメントすることができる。
【0012】
光源と第1の方向に沿って互いに対向して配置される受光部を備え、受光部は、第1の開口とは異なる第2の開口から出射する出射光を受光することが好ましい。これにより、細穴を通過して第2の開口から出射する光を受光部に適切に受光させることができる。
【0013】
直動傾斜ステージに固定され、ワークが設置されるワーク設置治具を備え、光源がワーク設置治具に配置されることが好ましい。これにより、光源からワークの細穴の第1の開口に適切に光を入射させることができる。
【0014】
直動傾斜ステージの傾斜を変更するための傾斜軸の位置と光源の位置とが一致することが好ましい。これにより、第1の方向に直交する平面に対する傾斜によらず光源からワークの細穴の第1の開口に入射させる光を均一にすることができる。
【0015】
直動傾斜ステージに固定され、ワークが設置されるワーク設置治具と、光を受光する受光部と、受光部の受光方向に対して同軸に光源からの光を出射する同軸照明光学系と、を備え、ワーク設置治具は、第1の開口とは異なる第2の開口から出射した光を反射して第2の開口に入射させる乱反射体を備えることが好ましい。これにより、細穴を通過して第2の開口から出射する光を乱反射体によって反射して第2の開口に入射させ、再度細穴を通過して第1の開口から出射する光を受光部によって適切に受光することができる。
【0016】
上記目的を達成するための内面形状測定機の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、圧力気体源から発生した気体流であって、ワークの細穴の第1の開口から流入して第1の開口とは異なる第2の開口から流出した気体流の第1の方向の指向性を選別して流量を取得する流量取得部と、取得した流量に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、を備える内面形状測定機である。
【0017】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【0018】
上記目的を達成するための内面形状測定機の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、超音波発生源から発生した超音波であって、ワークの細穴の第1の開口から流入して第1の開口とは異なる第2の開口から流出した超音波の第1の方向の指向性を選別して強度を取得する強度取得部と、取得した強度に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、を備える内面形状測定機である。
【0019】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【0020】
上記目的を達成するための内面形状測定機のアライメント方法の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、光源から第1の方向に出射した光であって、ワークの細穴の第1の開口から入射して細穴を通過した光の光量を取得する光量取得工程と、取得した光量に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力工程と、を備える内面形状測定機のアライメント方法である。
【0021】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【0022】
上記目的を達成するための内面形状測定機のアライメント方法の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、圧力気体源から発生した気体流であって、ワークの細穴の第1の開口から流入して第1の開口とは異なる第2の開口から流出した気体流の第1の方向の指向性を選別して流量を取得する流量取得工程と、取得した流量に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力工程と、を備える内面形状測定機のアライメント方法である。
【0023】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【0024】
上記目的を達成するための内面形状測定機のアライメント方法の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、を備える内面形状測定機のアライメント方法であって、超音波発生源から発生した超音波であって、ワークの細穴の第1の開口から流入して第1の開口とは異なる第2の開口から流出した超音波の第1の方向の指向性を選別して強度を取得する強度取得工程と、取得した強度に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力工程と、を備える内面形状測定機のアライメント方法である。
【0025】
本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、穴の位置を適切にアライメントすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第1の実施形態に係る内面形状測定機の構成を示す概略図である。
図2図2は、非接触式及び接触式のプローブの一例を示す概略図である。
図3図3は、内面形状測定機の電気的構成を示すブロック図である。
図4図4は、光源からZ方向に出射した光であって、ワークの細穴の下側開口から入射して細穴を通過して上側開口から出射する光をカメラで受光する様子を示す図である。
図5図5は、細穴の中心軸とZ方向とが成す角度と、細穴を通過する光量との関係を示すグラフである。
図6図6は、内面形状測定機のアライメント方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、カメラのアライメント工程の処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、カメラのアライメント工程を説明するための図である。
図9図9は、細穴のアライメント工程前後の内面形状測定機を示す図である。
図10図10は、細穴のアライメント工程の処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、直動傾斜ステージの傾斜の変更前後のカメラと光源との位置関係を示す図である。
図12図12は、直動傾斜ステージの傾斜の変更前後のカメラと光源との位置関係を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る内面形状測定機の構成を示す概略図である。
図14図14は、内面形状測定機の電気的構成を示すブロック図である。
図15図15は、同軸落射照明光学系からワークの細穴の上側開口に入射する入射光のうち下側開口から出射する出射光が乱反射体に入射する様子を示す図である。
図16図16は、カメラによるワークの細穴の下側開口の観察の様子を示す図である。
図17図17は、ワークの細穴の下側開口側への乱反射体の挿入を示す図である。
図18図18は、ワークの細穴の下側開口側へのスポンジ状の反射体の挿入を示す図である。
図19図19は、ワークの細穴の下側開口側への粘土状の反射体の挿入を示す図である。
図20図20は、エアを使用してワークの細穴の回転軸と回転体の回転軸とのずれを検出する場合の概略図である。
図21図21は、超音波を使用してワークの細穴の回転軸と回転体の回転軸とのずれを検出する場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0029】
〔第1の実施形態〕
<内面形状測定機の構成>
図1は、本実施形態に係る内面形状測定機10の構成を示す概略図である。内面形状測定機10は、ワークWに形成された細穴Hの内面形状(真円度等)を測定する装置である。本例において、細穴Hは、ワークWの中心軸に沿って形成された細穴である。細穴Hの内径は極小径(例えば内径が500μm以下)のものである。図1において、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向であり、X方向は水平方向、Y方向はX方向に直交する水平方向、Z方向は鉛直方向である。
【0030】
図1に示すように、内面形状測定機10は、本体ベース12、回転体14、直動傾斜ステージ16、ワーク設置治具18、コラム20、キャリッジ22、アーム24、変位検出器28、直動傾斜機構33、カメラ34、及びカメラアライメント用変位検出器36を備える。
【0031】
回転体14は、本体ベース12上に固定される。本体ベース12の内部には、回転体14に連結される不図示のモータ、不図示のエンコーダ、及び不図示の高精度回転機構が備えられている。回転体14は、モータの駆動によってZ方向(第1の方向の一例)に平行な回転軸Aを中心に高精度に回転する。また、回転体14は、エンコーダから出力される回転角信号によって回転体14の回転角度が検出される。
【0032】
直動傾斜ステージ16(直動傾斜ステージの一例)は、回転体14に対して相対移動可能に回転体14に支持される。直動傾斜ステージ16は、不図示のモータの駆動によりX方向及びY方向に平行移動する。これにより、直動傾斜ステージ16は、直動傾斜ステージ16に固定されたワークWのZ方向に直交する平面内(XY平面内)の位置を変更可能である。また、直動傾斜ステージ16は、不図示のモータの駆動によりY方向に平行なX方向の傾斜軸A図11参照)及びX方向に平行な不図示のY方向の傾斜軸を中心にそれぞれ回動する。これにより、直動傾斜ステージ16は、直動傾斜ステージ16に固定されたワークWのXY平面に対する傾斜を変更可能である。
【0033】
ワーク設置治具18は、直動傾斜ステージ16に載置される。ワーク設置治具18には、ワークWが設置される。即ち、直動傾斜ステージ16には、ワーク設置治具18を介してワークWが固定される。ワークWは、極小径の細穴Hを有する。細穴Hは、ワークWの内部を上側開口O図4参照)から下側開口O図4参照)までを直進して貫通している。
【0034】
ワーク設置治具18は、内部に光源19を備える。
【0035】
内面形状測定機10においてワークWの細穴Hの真円度等の内面形状を測定するには、ワークWの細穴Hの中心軸Aが回転体14の回転軸Aと同軸上となるようにワークWをアライメントする必要がある。このワークWのアライメントについては後述する。図1は、ワークWのアライメント前の様子を示している。アライメントされたワークWは、回転体14とともに回転軸Aを中心に回転する。
【0036】
また、本体ベース12上には、Z方向に平行に延びるコラム(支柱)20が立設される。コラム20は、下端部が本体ベース12の上面に固定される。
【0037】
キャリッジ22は、Z方向に移動可能にコラム20に支持される。キャリッジ22は、不図示のモータの駆動によりZ方向に移動する。キャリッジ22は、変位検出器28及びカメラ34をZ方向に移動させるための垂直直動機構(第1の直動機構の一例)に相当する。
【0038】
アーム24は、X方向(第1の方向に直交する方向の一例)に移動可能にキャリッジ22に支持される。アーム24は、不図示のモータの駆動によりX方向に移動する。アーム24は、変位検出器28及びカメラ34をX方向に移動させるための水平直動機構に相当する。
【0039】
変位検出器28は、アーム24に支持される。変位検出器28は、非接触式又は接触式のプローブ30を備えている。
【0040】
図2は、プローブ30の一例を示す概略図である。図2の202Aは、非接触式のプローブ30を示している。非接触式のプローブ30を備える変位検出器28(図1参照)は、検出光を出射する不図示の発光素子と、発光素子から出射される検出光の反射光を受光する不図示の受光素子とを備える。非接触式のプローブ30は、光ファイバ38及び反射ミラー40を備える。変位検出器28(図1参照)の不図示の発光素子から出射された光は、光ファイバ38によって反射ミラー40に導かれ、反射ミラー40の反射面で反射してワークWに入射する。ワークWで反射した反射光は、反射ミラー40に入射し、反射ミラー40の反射面で反射して光ファイバ38に導かれる。光ファイバ38に導かれた反射光は、変位検出器28の不図示の受光素子に入力される。変位検出器28は、受光素子において受光される反射光に基づいてワークWの変位を検出する。
【0041】
非接触式の変位検出器28の方式として、レーザー干渉計、白色干渉計、SD-OCT(Spectral Domain-Optical Coherence Tomography)、SS-OCT(Swept Source-Optical Coherence Tomography)等の既知の手法を適用することができる。
【0042】
なお、変位検出器28は、接触式でワークWの変位を検出してもよい。図2の202Bは、接触式のプローブ30を示している。接触式のプローブ30は、先端にワークWに向けて付勢される接触子42を備える。接触子42がワークWに接触すると、ワークWの形状に応じて接触子42が変位する。接触子42の変位は、プローブ30を介して変位検出器28に伝達される。変位検出器28は、接触子42の変位に基づいてワークWの変位を検出する。
【0043】
接触式の変位検出器28の変位検出機構としては、LVDT(Linear Variable Differential Transformer)、干渉計、光三角測量方式、薄膜歪み測定等の既知の機構を適用することができる。更に、変位検出器28として、共振周波数で接触子42を加振しておき、接触によって共振点が変化することを利用する方式を適用してもよい。
【0044】
図1の説明に戻り、内面形状測定機10においてワークWの細穴Hの真円度を測定する際には、プローブ30はキャリッジ22により変位検出器28とともにZ方向に移動され、ワークWの細穴Hに挿入される。変位検出器28は、プローブ30により細穴Hの穴壁(内側面)の変位を検出する。
【0045】
また、アーム24は、直動傾斜機構33を支持する。直動傾斜機構33は、カメラ34の光軸A図8参照)をZ方向の下方に向けて、カメラ34を固定する。直動傾斜機構33は、アーム24に対して相対移動可能にアーム24に支持される。直動傾斜機構33は、不図示のモータの駆動によりX方向及びY方向に平行移動する。これにより、直動傾斜機構33は、直動傾斜機構33に固定されたカメラ34のXY平面内の位置を変更可能である。また、直動傾斜機構33は、不図示のモータの駆動によりX方向に平行な軸及びY方向に平行な軸を中心に回動する。これにより、直動傾斜機構33は、直動傾斜機構33に固定されたカメラ34のXY平面に対する傾斜を変更可能である。
【0046】
カメラ34(受光部の一例)は、被観察物を拡大投影する拡大光学系(顕微鏡)を含む。カメラ34は、被観察物の拡大画像を撮影することができる。また、カメラ34は、カメラ34の光軸Aと同軸の円筒面34Aを有する。カメラ34は、Z方向の下方から入射する光を受光する受光部に相当する。カメラ34に代えて、フォトダイオードなどの受光素子を配置してもよい。
【0047】
カメラアライメント用変位検出器36は、直動傾斜ステージ16に配置される。カメラアライメント用変位検出器36は、接触式の変位検出機構を有する。カメラアライメント用変位検出器36は、回転体14とともに回転軸Aを中心に回転し、接触式でカメラ34の円筒面34Aの変位を検出することで、カメラ34の光軸Aの変位を検出する。カメラアライメント用変位検出器36は、非接触式の変位検出機構や画像測定方式を用いてもよい。
【0048】
このように構成された内面形状測定機10において、ワークWをアライメントし、プローブ30をワークWの細穴Hに挿入し、回転体14を回転させてワークWとプローブ30とを相対的に移動させ、変位検出器28において細穴Hの穴壁の変位を検出することで、細穴Hの真円度を測定することができる。
【0049】
<内面形状測定機の電気的構成>
図3は、内面形状測定機10の電気的構成を示すブロック図である。内面形状測定機10は、制御装置50を備える。
【0050】
制御装置50は、例えばパーソナルコンピュータやマイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現されるものである。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース等を備えている。制御装置50では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、内面形状測定機10内の各部の機能が実現され、入出力インターフェースを介して各種の演算処理や制御処理が実行される。
【0051】
図3に示すように、制御装置50は、測定制御部52、変位取得部54、真円度計算部56、カメラ変位取得部57、カメラ位置傾斜制御部59、光量取得部61、ステージ制御部62、及び出力部63を含む。
【0052】
測定制御部52は、キャリッジ22、アーム24、及び回転体14にそれぞれ連結される不図示のモータを制御し、変位検出器28のプローブ30とワークWの細穴Hとの相対位置を制御する。
【0053】
変位取得部54は、変位検出器28を制御し、変位検出器28が検出した細穴Hの穴壁の変位を取得する。
【0054】
真円度計算部56は、測定制御部52から取得したプローブ30とワークWとの相対位置、及び変位検出器28が検出した変位から、細穴Hの真円度を算出する。
【0055】
カメラ変位取得部57は、カメラアライメント用変位検出器36を制御し、カメラ34の光軸Aの変位を取得する。カメラ位置傾斜制御部59は、カメラ変位取得部57が取得したカメラ34の光軸Aの変位に基づいて直動傾斜機構33を駆動する不図示のモータを制御し、カメラ34のXY平面内の位置及びXY平面に対する傾斜を変更する。
【0056】
光量取得部61は、カメラ34を制御し、カメラ34に入射する光量を取得する。ステージ制御部62は、光量取得部61が取得した光量に基づいて直動傾斜ステージ16を駆動する不図示のモータを制御し、直動傾斜ステージ16のXY平面内の位置及びXY平面に対する傾斜を変更する。出力部63は、光量取得部61から取得した光量に基づく情報を不図示の出力インターフェースに出力する。
【0057】
<アライメント方法>
前述したように、ワークWの細穴Hの真円度等の内面形状を測定するためには、細穴Hの中心軸Aを回転体14の回転軸Aに一致させるアライメントが必要である。アライメントには、XY平面内の位置を調整するセンタリングと、XY平面に対する傾斜を調整するチルチングとがある。内面形状測定機10は、直動傾斜ステージ16によってセンタリングとチルチングとが可能である。
【0058】
図4は、光源19(図4では不図示)からZ方向に出射した光であって、ワークWの細穴Hの下側開口Oから入射し、細穴Hを通過して上側開口Oから出射する光をカメラ34で受光する様子を示す図である。図4では、ワークWを断面で示している。図4の204Aに示すワークWと図4の204Bに示すワークWとでは、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が異なっており、204Bに示すワークWの方が細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい。
【0059】
204Aに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に大きい場合は、細穴Hの内壁(内側面)での多重散乱により、上側開口Oから出射する出射光の光量は相対的に小さくなる。また、204Bに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい場合は、細穴Hの内壁での反射が少なく、上側開口Oから出射する出射光の光量は相対的に大きくなる。
【0060】
図5は、図4に示す構成において、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度(単位:°)と、上側開口Oから出射する出射光の光量(単位:arbitrary、任意単位)との関係を示すグラフである。図5は、細穴Hの下側開口Oに入射する光が平行光であり、細穴Hの上側開口O及び下側開口Oの穴径と上側開口Oから下側開口Oまでの長さとのアスペクト比が1:20であり、細穴Hの内側面の反射率が0.5であり、内側面での乱反射の発生がないと仮定した場合を示している。図5に示すように、細穴Hの上側開口Oから出射する出射光の光量を測定することで、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度を推定することができる。
【0061】
内面形状測定機10は、光源19からワークWの細穴Hの第1の開口に相当する下側開口Oに入射した入射光のうち細穴Hを通過して第2の開口に相当する上側開口Oから出射した出射光をカメラ34により受光し、受光量が大きくなるように直動傾斜ステージ16の傾斜を変更することで、細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にする。
【0062】
図6は、内面形状測定機10のアライメント方法の処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、内面形状測定機10のアライメント方法は、ステップSAのカメラ34のアライメント工程と、ステップSBの細穴Hのアライメント工程とを含む。
【0063】
図7は、カメラ34のアライメント工程の処理の一例を示すフローチャートである。また、図8は、カメラ34のアライメント工程を説明するための図である。
【0064】
ステップS1では、カメラ変位取得部57は、カメラアライメント用変位検出器36によってカメラ34の光軸Aと同軸の円筒面34Aの変位を取得する。ここでは、図8の208Aに示すように、カメラアライメント用変位検出器36は、Z方向の高さがLの測定高さの円筒面34Aの変位を検出する。Z方向の高さは、基準となる位置からのZ方向の距離であり、ここではカメラ34の上端からのZ方向の距離とする。
【0065】
ステップS2では、カメラ変位取得部57は、カメラアライメント用変位検出器36によってカメラ34の光軸Aと同軸の円筒面34Aの変位を取得する。ここでは、図8の208Bに示すように、カメラアライメント用変位検出器36は、Z方向の高さがLの測定高さの円筒面34Aの変位を検出する。
【0066】
ステップS3では、カメラ変位取得部57は、ステップS1で取得した測定高さLの円筒面34Aの変位とステップS2で取得した測定高さLの円筒面34Aの変位とから、カメラ34の光軸Aの位置及び傾斜を計算する。さらに、カメラ変位取得部57は、回転体14の回転軸Aとカメラ34の光軸Aとのずれ量を計算する。
【0067】
最後に、ステップS4では、カメラ位置傾斜制御部59は、ステップS3で計算した回転体14の回転軸Aとカメラ34の光軸Aとのずれ量に基づいて直動傾斜機構33の不図示のモータを駆動し、図8の208Cに示すように、カメラ34の光軸Aを回転体14の回転軸Aと同軸とする。この状態では、光源19とカメラ34とは、Z方向に沿って互いに対向して配置されている。回転体14の回転軸Aとカメラ34の光軸Aとのずれ量に基づいて、ユーザが手動でカメラ34の光軸Aを回転体14の回転軸Aと同軸としてもよい。
【0068】
以上により、ステップSAのカメラ34のアライメント工程が終了する。続いて、ステップSBの細穴Hのアライメント工程を行う。細穴Hのアライメント工程を行うには、最初にユーザがワーク設置治具18にワークWを設置する。
【0069】
図9は、細穴のアライメント工程前後の内面形状測定機10を示す図である。図9の209Aは細穴のアライメント工程を行う前の内面形状測定機10を示している。209Aに示すように、細穴のアライメント工程前ではワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとがずれている。
【0070】
図10は、細穴Hのアライメント工程の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11では、光量取得部61は、通過光発生光源である光源19を点灯させる。
【0071】
ステップS12(光量取得工程の一例)では、測定制御部52は、ワークWの細穴Hの上側開口Oがカメラ34の撮影範囲に入るように、キャリッジ22及びアーム24のそれぞれの不図示のモータを駆動し、カメラ34を移動させる。さらに、光量取得部61は、カメラ34を制御し、カメラ34への入射光量Pを測定する。
【0072】
入射光量Pは、例えばカメラ34の不図示の絞りを一定とし、電子シャッタ機能により不図示の撮像素子の電荷を放電してから一定期間電荷を蓄積させ、蓄積した電荷量によって測定する。
【0073】
出力部63は、光量取得部61が取得した入射光量P(細穴の中心軸と回転体の回転軸とのずれ情報の一例)をステージ制御部62に出力する(出力工程の一例)。
【0074】
ステップS13(ステージ制御工程の一例)では、ステージ制御部62は、直動傾斜ステージ16を駆動する不図示のモータを制御し、直動傾斜ステージ16の傾斜を設定方向にステップ角だけ変更する。ここでは、直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜を変更するものとする。設定方向は、例えばX方向の図9に示す左方向であり、ステップ角は、例えば角度θである。
【0075】
ステップS14(光量取得工程の一例)では、光量取得部61は、カメラ34を制御し、カメラ34への入射光量Pを測定する。入射光量Pは、入射光量Pの測定と同じ条件で測定する。出力部63は、光量取得部61が取得した入射光量Pをステージ制御部62に出力する。
【0076】
ステップS15では、ステージ制御部62は、入射光量P>入射光量Pであるかを判定する。入射光量P≦入射光量Pである場合、すなわち直動傾斜ステージ16の傾斜の変更によって入射光量が増加した場合、又は変化しない場合は、制御装置50はステップS12の処理を行う。すなわち、入射光量が減少するまでステップS12~ステップS14の処理を繰り返す。
【0077】
一方、入射光量P>入射光量Pである場合、すなわち直動傾斜ステージ16の傾斜の変更によって入射光量が減少した場合は、制御装置50はステップS16の処理を行う。
【0078】
ステップS16では、ステージ制御部62は、ステップS13における設定方向を反転させる。例えば、ステップS13における設定方向がX方向の図9に示す左方向であれば、ここで設定される設定方向はX方向の図9に示す右方向となる。また、ステージ制御部62は、設定方向の反転回数をインクリメントする。
【0079】
ステップS17では、ステージ制御部62は、設定方向の反転回数が2回を超えたか否かを判定する。設定方向の反転回数が2回を超えていない場合は、制御装置50はステップS12の処理を行う。すなわち、入射光量が減少するまでステップS12~ステップS14の処理を繰り返す。一方、設定方向の反転回数が2回を超えた場合は、制御装置50はステップS18の処理を行う。
【0080】
ステップS18では、ステージ制御部62は、ステップS13におけるステップ角を相対的に小さいステップ角に設定する。例えば、ステップS13におけるステップ角が角度θであれば、ここで設定されるステップ角は例えば角度θ(<θ)である。続くステップS19では、ステージ制御部62は、設定方向の反転回数を0回にリセットする。
【0081】
ステップS20では、ステージ制御部62は、ステップS18で設定されたステップ角が、規定値である角度θTHを下回ったか否かを判定する。ステップ角が角度θTHを下回っていない場合は、制御装置50はステップS12の処理を行う。一方、ステップ角が角度θTHを下回った場合は、制御装置50は本フローチャートの処理を終了する。
【0082】
以上のように、直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜を変更してカメラ34で受光する光量が大きくなる位置を探索することで、ワークWの細穴Hの中心軸AとZ方向とが成すX方向の角度を目標値以内にすることができる。Y方向についても同様に、直動傾斜ステージ16のY方向の傾斜を変更してカメラ34で受光する光量が大きくなる位置を探索することで、ワークWの細穴Hの中心軸AとZ方向とが成すY方向の角度を目標値以内にすることができる。
【0083】
同様に、直動傾斜ステージ16のX方向及びY方向の位置を変更してカメラ34で受光する光量が大きくなる位置を探索することで、ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にすることができる。
【0084】
図9の209Bに示すように、細穴のアライメント工程後は、細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとが同軸になっている。
【0085】
なお、ワークWの細穴Hの中心軸AとZ方向とが成すX方向及びY方向の角度を目標値以内にした後、カメラ34によってワークWの細穴Hの上側開口Oを観察し、カメラ34の撮影範囲の中心に上側開口Oが位置するように直動傾斜ステージ16のX方向及びY方向の位置を変更することで、ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にしてもよい。
【0086】
このように、本実施形態に係るアライメント方法によれば、細穴Hの中心軸Aを回転体14の回転軸Aにアライメントすることができる。本実施形態に係るアライメント方法は、細穴Hが500μm以下の径の極小径穴である場合に有効である。さらに、細穴Hの径が200μm以下であり、プローブ30の径が100μm以下である場合に、特に有効である。なお、径が500μmより大きい細穴Hであってもよい。
【0087】
なお、出力部63は、光量取得部61から取得した入射光量Pに基づく細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれ情報を不図示の出力インターフェースなどに出力(出力工程の一例)してもよい。ユーザは、出力されたずれ情報に基づいて直動傾斜ステージ16を手動で動作させることで、ワークWの細穴Hの中心軸Aを回転体14の回転軸Aにアライメントすることができる。
【0088】
<光源及びワークの下側開口の位置>
光源19及びワークWの下側開口Oの位置を、直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜軸A及びY方向の傾斜軸の位置に一致させる構成が好ましい。
【0089】
図11及び図12は、それぞれ直動傾斜ステージ16の傾斜の変更前後のカメラ34と光源19との位置関係を示す図である。図11及び図12では、ワークWを断面で示している。図11では、光源19及びワークWの下側開口Oの位置と直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜軸Aの位置とが相対的に離れている場合を示している。また、図12では、光源19及びワークWの下側開口Oの位置と直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜軸Aの位置とが一致している場合を示している。
【0090】
図11の211Aに示した状態では、カメラ34の光軸A上に光源19及びワークWの下側開口Oが配置されている。また、図11の211Bは、211Aに示した状態から直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜を変更した状態を示している。211Bに示すように、光源19及びワークWの下側開口Oは、カメラ34の光軸A上から外れてしまう。
【0091】
これに対し、図12の212Aに示した状態では、図11の211Aと同様に、カメラ34の光軸A上に光源19及びワークWの下側開口Oが配置されている。また、図12の212Bは、212Aに示した状態から直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜を変更した状態を示している。212Bに示すように、直動傾斜ステージ16の傾斜が変更されても、光源19及びワークWの下側開口Oは、カメラ34の光軸A上から移動しない。
【0092】
このように、光源19及びワークWの下側開口Oの位置と直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜軸Aとを一致させることで、直動傾斜ステージ16のX方向の傾斜を変更した場合であっても光源19及びワークWの下側開口Oがカメラ34の光軸A上から移動しないため、光量測定への影響が少なく、より高精度にワークWの細穴Hを位置決めすることが可能となる。同様に、光源19及びワークWの下側開口Oの位置と直動傾斜ステージ16のY方向の傾斜軸とを一致させることで、直動傾斜ステージ16のY方向の傾斜を変更した場合であっても光源19及びワークWの下側開口Oがカメラ34の光軸A上から移動しないため、光量測定への影響が少なく、より高精度にワークWの細穴Hを位置決めすることが可能となる。
【0093】
<光源の他の態様>
ワークWの形状によっては、下側開口Oをワーク設置治具18と対向させることができない場合がある。図13は、特殊な形状のワークWをワーク設置治具18に載置した様子を示す図である。図13では、ワークWを断面で示している。図13に示すワークWは、細穴Hの下側開口O側にワークWの他の部分が配置されている。このため、ワーク設置治具18に配置された光源19からZ方向の上方に光を出射しても、細穴Hの下側開口
から光を入射させることができない。
【0094】
また、図13に示すワークWは、細穴Hの下側開口O側の空間が狭い。このため、光源を挿入するスペースが不足しており、下側開口O側に光源を配置することができない。
【0095】
このような課題に対し、ワークWの細穴Hの下側開口O側に柔軟性を有する散乱体を挿入して、散乱体に光を入射させることで下側開口Oから光を入射させてもよい。
【0096】
図14は、ワークWの細穴Hの下側開口O側への散乱体84の挿入を示す図である。図14では、ワークWを断面で示している。図14の214Aは散乱体84の挿入前を示し、214Bは挿入後を示している。
【0097】
散乱体84は、弾性及び柔軟性を有する連続気泡構造体のスポンジである。散乱体84は、細穴Hの下側開口O側に配置される。散乱体84は柔軟性を有するので、下側開口O側の狭いスペースに挿入することができる。散乱体84には、光源70が取り付けられる。光源70は、散乱体84に光を入射させる。光源70から散乱体84に入射された光は、散乱体84の内部を多重散乱し、下側開口Oに入射される。
【0098】
このような散乱体84を下側開口O側に配置することで、散乱体84が多重散乱による面光源を形成することができる。したがって、ワークWの細穴Hの下側開口Oから光を適切に入射させることができる。また、散乱体84は、下側開口O側のワークWの形状に沿って変形するため、厳密な形状成形や位置決めが不要であり、低コストであるという効果がある。さらに、散乱体84は、柔軟性を有するためにワークWを傷つける懸念がないという効果がある。
【0099】
〔第2の実施形態〕
図15は、第2の実施形態に係る内面形状測定機74の構成を示す概略図である。内面形状測定機10と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図15に示すように、内面形状測定機74は、ワーク設置治具18の上面に乱反射体76を備えている。
【0100】
乱反射体76は、ワーク設置治具18に設置されたワークWの下側開口Oから出射した光を反射して再びワークWの下側開口Oに入射させるための反射部材である。乱反射体76は、方向性を持たせないため、反射面に入射した入射光の反射角がランダムになるように反射面が構成されている。乱反射体76は、光の反射率の高い、白色等の色を有することが望ましい。
【0101】
図16は、内面形状測定機74の電気的構成を示すブロック図である。内面形状測定機10と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図16に示すように、内面形状測定機74は、カメラ34に同軸落射照明光学系35を含む。同軸落射照明光学系35(同軸照明光学系の一例)は、不図示の照明光源と、照明光源からの光をカメラ34の光軸A(受光部の受光方向の一例)と同軸の照明光として出射する不図示のハーフミラーと、を備える。
【0102】
図17は、同軸落射照明光学系35(図17では不図示)からワークWの細穴Hの上側開口Oに入射する入射光のうち、細穴Hを通過して下側開口Oから出射する出射光が乱反射体76に入射する様子を示す図である。図17では、ワークWを断面で示している。図17の217Aに示すワークWと217Bに示すワークWとでは、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が異なっており、217Bに示すワークWの方が細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい。
【0103】
217Aに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に大きい場合は、細穴Hの内壁での多重散乱により、下側開口Oから出射する出射光の光量が相対的に小さくなる。このため、下側開口Oから出射する出射光のうち乱反射体76によって反射して再び下側開口Oに入射する光の光量も相対的に小さくなり、上側開口Oから出射する出射光の光量も相対的に小さくなる。
【0104】
また、217Bに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい場合は、細穴Hの内壁での反射が少なく、下側開口Oから出射する出射光の光量が相対的に大きくなる。このため、下側開口Oから出射する出射光のうち乱反射体76によって反射して再び下側開口Oに入射する光の光量も相対的に大きくなり、上側開口Oから出射する出射光の光量も相対的に大きくなる。
【0105】
内面形状測定機74は、同軸落射照明光学系35からワークWの細穴Hの第1の開口に相当する上側開口Oに入射した入射光のうち細穴Hを通過して第2の開口に相当する下側開口Oから出射し、乱反射体76によって反射して再び下側開口Oに入射し、細穴Hを通過して上側開口Oから出射した出射光をカメラ34により受光し、受光量が大きくなるように直動傾斜ステージ16の傾斜を変更することで、細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にする。
【0106】
ワーク設置治具18に配置した反射部材が鏡面反射体である場合には、反射光に指向性が生じるため、直動傾斜ステージ16の傾斜を変更した際に反射部材の向きが変わってしまうことによる効果を含んでカメラ34への入射光量が変化する。内面形状測定機74では、反射部材として乱反射する乱反射体76を用いたため、ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれに応じたカメラ34への入射光量の変化を測定することができる。
【0107】
なお、図13に示したワークWは、細穴Hの下側開口O側にワークWの他の部分が配置されている。このため、同軸落射照明光学系35(図13では不図示)からワークWの細穴Hの上側開口Oに光を入射させても、細穴Hを通過して下側開口Oから出射した光をワーク設置治具18の上面の乱反射体76に入射させることができない。
【0108】
また、図13に示すワークWは、細穴Hの下側開口O側の空間が狭いが、下側開口O側に乱反射体76を挿入することは可能である。しかしながら、下側開口O側の空間が狭いために精密な位置決めが必要となる。また、乱反射体76とワークWとが衝突し、ワークWを傷つけてしまう可能性がある。
【0109】
このような課題に対し、ワークWの細穴Hの下側開口O側に柔軟性を有する反射体を挿入してもよい。
【0110】
図18は、ワークWの細穴Hの下側開口O側へのスポンジ状の反射体80の挿入を示す図である。図18では、ワークWを断面で示している。図18の218Aはスポンジ状の反射体80の挿入前を示し、218Bは挿入後を示している。
【0111】
スポンジ状の反射体80は、弾性及び柔軟性を有する光反射部材である。スポンジ状の反射体80は、細穴Hの上側開口Oから入射した光を下側開口O側において細穴Hに反射させる。スポンジ状の反射体80は、光の反射率の高い、白色等の色を有することが望ましい。スポンジ状の反射体80は柔軟性を有するので、下側開口O側の狭いスペースに挿入することができる。
【0112】
このようなスポンジ状の反射体80を下側開口O側へ挿入することで、特殊な形状のワークWであっても下側開口Oから出射した光を反射して再びワークWの下側開口Oに入射させることができる。したがって、内面形状測定機74は、カメラ34の受光量が大きくなるように直動傾斜ステージ16の傾斜を変更することで、細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にすることができる。スポンジ状の反射体80は、下側開口O側のワークWの形状に沿って変形するため、厳密な形状成形や位置決めが不要であり、低コストであるという効果がある。さらに、スポンジ状の反射体80は、柔軟性を有するためにワークWを傷つける懸念がないという効果がある。
【0113】
また、図19は、ワークWの細穴Hの下側開口O側への粘土状の反射体82の挿入を示す図である。図19では、ワークWを断面で示している。図19の219Aは粘土状の反射体82の挿入前を示し、219Bは挿入後を示している。
【0114】
粘土状の反射体82は、可塑性及び柔軟性を有する光反射部材である。粘土状の反射体82は、細穴Hの上側開口Oから入射した光を下側開口O側において細穴Hに反射させる。粘土状の反射体82は、光の反射率の高い、白色等の色を有することが望ましい。粘土状の反射体82は柔軟性を有するので、下側開口O側の狭いスペースに挿入することができる。
【0115】
このような粘土状の反射体82を下側開口O側へ挿入することで、特殊な形状のワークWであっても下側開口Oから出射した光を反射して再びワークWの下側開口Oに入射させることができる。したがって、内面形状測定機74は、カメラ34の受光量が大きくなるように直動傾斜ステージ16の傾斜を変更することで、細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを目標値以内にすることができる。粘土状の反射体82は、下側開口O側のワークWの形状に沿って変形するため、厳密な形状成形や位置決めが不要であり、低コストであるという効果がある。さらに、粘土状の反射体82は、柔軟性を有するためにワークWを傷つける懸念がないという効果がある。
【0116】
〔第3の実施形態〕
ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを検出する他の実施形態として、エアを使った方式、及び超音波を使った方式が考えられる。
【0117】
図20は、エアを使用してワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを検出する場合の概略図である。図20では、ワークWを断面で示している。
【0118】
ワークWは、ワーク保持部材86の内部に第1の開口に相当する下側開口O側が部分的に挿入されて保持される。図20では、ワーク保持部材86を断面で示している。ワークWとワーク保持部材86との間には環状のガスケット88が配置され、ワーク保持部材86の内部の空間は気密性が保たれる。
【0119】
ワーク保持部材86は、空気供給穴86Aを有する。空気供給穴86Aには、圧力空気源90が接続される。圧力空気源90(圧力気体源の一例)は、空気供給穴86Aを介してワーク保持部材86の内部の空間にコンプレッサで圧縮した空気(気体の一例)を供給する。圧力空気源90は、窒素ガスなどの不活性ガスやアルゴンガスなどの炭酸ガスを供給するガスボンベであってもよい。
【0120】
ワーク保持部材86に保持されたワークWの第2の開口に相当する上側開口O側には、両端が開口し内部が空洞の筒92が配置される。図20では、筒92を断面で示している。筒92は、空洞の中心軸が回転体14の回転軸Aと同軸上にアライメントされている。筒92のアライメントは、カメラ34のアライメント工程と同様に調整することができる。
【0121】
筒92の内部には、熱式の気体流量計94が配置される。熱式の気体流量計94は、筒92の内部を通過する気体が高温の金属配線を冷却することによる金属配線の電気抵抗の変化を気体の流量の変化として検出する。気体流量計94は熱式に限定されず、浮き子式、羽根車式、オリフィス式などの既知の手法を適用することができる。筒92及び気体流量計94により、Z方向の指向性を選別して気体の流量を取得する。
【0122】
圧力空気源90からワーク保持部材86に供給された空気は、ワークWの下側開口Oから細穴Hに流入し、細穴Hを通過して上側開口Oから流出する。上側開口Oから流出した空気は筒92に流入し、筒92に流入した空気の流量が気体流量計94(流量取得部の一例)によって測定される(流量取得工程の一例)。
【0123】
ここで、筒92の中心軸は回転体14の回転軸Aと同軸であるため、ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれが小さいほど筒92に流入する空気が増加する。
【0124】
図20の220Aに示すワークWと220Bに示すワークWとでは、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が異なっており、220Bに示すワークWの方が細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい。
【0125】
220Aに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に大きい場合は、ワークWの上側開口Oから流出して筒92の内部に流入した空気は、筒92の空洞の内壁にぶつかり、流れが阻害される。このため、気体流量計94によって測定される流量が相対的に小さくなる。
【0126】
また、220Bに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい場合は、ワークWの上側開口Oから流出して筒92の内部に流入した空気は、筒92の空洞の内壁によって流れが阻害される量が減少する。このため、気体流量計94によって測定される流量が相対的に大きくなる。
【0127】
このように、筒92及び気体流量計94により空気流の指向性を選別することで、ワークWの細穴Hの回転軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを検出することができる。エアを使用する方式は、構成が簡単であり、低コストで実現可能である。
【0128】
〔第4の実施形態〕
図21は、超音波を使用してワークWの細穴Hの回転軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを検出する場合の概略図である。図21では、ワークWを断面で示している。
【0129】
ワークWの第1の開口に相当する下側開口O側には、超音波発生源96が配置される。超音波発生源96は、Z方向の上方に向けて超音波を出射する。超音波とは、人間の耳には聞こえない20kHz以上数GHz以下の周波数の音波である。
【0130】
ワークWの第2の開口に相当する上側開口O側には、両端が開口し内部が空洞の筒97が配置される。図21は、筒97を断面で示している。筒97は、空洞の中心軸が回転体14の回転軸Aと同軸上にアライメントされている。筒97のアライメントは、カメラ34のアライメント工程と同様に調整することができる。
【0131】
筒97の内部には、超音波検出器98が配置される。超音波検出器98は、筒97に入射した超音波の強度を検出する。超音波発生源96及び超音波検出器98としては、圧電セラミックスを利用した方式などの既知の構成を適用することができる。筒97及び超音波検出器98により、Z方向の指向性を選別して超音波の強度を取得する。
【0132】
超音波発生源96からZ方向の上方に向けて出射された超音波は、ワークWの下側開口Oから細穴Hに入射し、細穴Hを通過して上側開口Oから出射する。上側開口Oから出射した超音波は筒97に入射し、筒97に入射した超音波の強度が超音波検出器98(強度取得部の一例)によって測定される(強度取得工程の一例)。
【0133】
ここで、筒97の中心軸は回転体14の回転軸Aと同軸であるため、ワークWの細穴Hの中心軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれが小さいほど筒97に入射する超音波が増加する。
【0134】
図21の221Aに示すワークWと221Bに示すワークWとでは、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が異なっており、221Bに示すワークWの方が細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい。
【0135】
221Aに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に大きい場合は、ワークWの上側開口Oから出射して筒97の内部に入射した超音波は、筒97の空洞の内壁にぶつかり、減衰する。このため、超音波検出器98によって測定される超音波の強度が相対的に小さくなる。
【0136】
また、221Bに示すように、細穴Hの中心軸AとZ方向とが成す角度が相対的に小さい場合は、上側開口Oから出射して筒92の内部に入射した空気は、細穴Hの空洞の内壁によって減衰する量が減少する。このため、超音波検出器98によって測定される超音波の強度が相対的に大きくなる。
【0137】
このように、筒97及び超音波検出器98により超音波の指向性を選別することで、ワークWの細穴Hの回転軸Aと回転体14の回転軸Aとのずれを検出することができる。超音波を使用する方式は、エアを使用する方式と同様に、構成が簡単であり、低コストで実現可能である。
【0138】
〔その他〕
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0139】
10…内面形状測定機
12…本体ベース
14…回転体
16…直動傾斜ステージ
18…ワーク設置治具
19…光源
20…コラム
22…キャリッジ
24…アーム
28…変位検出器
30…プローブ
33…直動傾斜機構
34…カメラ
35…同軸落射照明光学系
36…カメラアライメント用変位検出器
38…光ファイバ
40…反射ミラー
42…接触子
50…制御装置
52…測定制御部
54…変位取得部
56…真円度計算部
57…カメラ変位取得部
59…カメラ位置傾斜制御部
61…光量取得部
62…ステージ制御部
63…出力部
74…内面形状測定機
76…乱反射体
80…スポンジ状の反射体
82…粘土状の反射体
84…散乱体
86…ワーク保持部材
86A…空気供給穴
88…ガスケット
90…圧力空気源
92…筒
94…気体流量計
96…超音波発生源
97…筒
98…超音波検出器
…光軸
…中心軸
…回転軸
…X方向の傾斜軸
H…細穴
…下側開口
…上側開口
SA、SB、S1~S4、S11~S20…内面形状測定機のアライメント方法の処理の各ステップ
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21