(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163304
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】駆動装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241114BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20241114BHJP
F16D 43/26 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 109
G03G21/18 157
G03G21/16 185
F16D43/26 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158683
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2021051170の分割
【原出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
(57)【要約】
【課題】装置が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリングと従動カップリングとの嵌合不良を生じにくくする。
【解決手段】駆動カップリング36が回転軸35とともに回転するように回転軸35の回転力を駆動カップリング36に伝達する中継部材37が、駆動カップリング36の穴部36aに挿入されるように回転軸35に固定して設置されている。そして、駆動カップリング36は、中継部材37に対して軸方向一端側に移動したときに圧縮スプリング38によって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、圧縮スプリング38の外周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する外周側制限部36cが設けられている。また、中継部材37は、圧縮スプリング38の内周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する内周側制限部37eが設けられている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能に設置された着脱ユニットを駆動する駆動装置であって、
前記装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作に連動して、前記着脱ユニットの従動カップリングに対して接離する駆動カップリングと、
前記駆動カップリングの穴部に挿入されるように回転軸に固定して設置されて、前記駆動カップリングが前記回転軸とともに回転するように前記回転軸の回転力を前記駆動カップリングに伝達する中継部材と、
前記回転軸に巻装されて、前記中継部材よりも前記従動カップリングから遠ざかる側に位置する当接部材に軸方向一端側が接触して、前記中継部材に軸方向他端側が接触する圧縮スプリングと、
を備え、
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、前記圧縮スプリングの外周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する外周側制限部を具備し、
前記中継部材は、前記圧縮スプリングの内周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する内周側制限部を具備したことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記駆動カップリングが前記従動カップリングに嵌合して前記駆動カップリングから前記従動カップリングへの駆動伝達が可能な状態であるときに、前記圧縮スプリングは、前記駆動カップリングに接触することなく、前記中継部材の接触部に接触することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記中継部材の前記接触部は、前記回転軸を中心にして周方向に3つ以上分割して形成されたことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動カップリングの前記外周側制限部は、前記穴部において前記圧縮スプリングの軸方向他端側を覆うように周状に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項5】
前記外周側制限部は、その軸方向一端側が、軸方向他端側から軸方向一端側に向けて内径が漸増するように形成されたことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記中継部材は、前記駆動カップリングの軸方向他端側への移動を規制するストッパ部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記中継部材と前記駆動カップリングとが接触する第1駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離よりも、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが接触する第2駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離が、長いことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1駆動伝達部と前記第2駆動伝達部とは、それぞれ前記回転軸を中心にして放射状に3つ以上互いに同じ数だけ形成されたことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
軸方向にみたときに、複数の前記第1駆動伝達部を周状に結ぶ第1の仮想多角形と、複数の前記第2駆動伝達部を周状に結ぶ第2の仮想多角形と、が相似形であることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
軸方向にみたときに、前記第1の仮想多角形と前記第2の仮想多角形とが180度回転した位置関係にあることを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記第1駆動伝達部は、前記中継部材と前記駆動カップリングとが線接触又は点接触する部分であって、
前記第2駆動伝達部は、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが線接触又は点接触する部分であることを特徴とする請求項7~請求項10のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項12】
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に所定距離を超えて移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されたことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれかに記載の駆動装置が前記装置本体としての画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置本体などの装置本体に対して着脱可能に設置された定着装置、プロセスカートリッジなどの着脱ユニットを駆動する駆動装置と、それを備えた画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において、画像形成装置本体(装置本体)に対して着脱可能に設置される定着装置、プロセスカートリッジなどの着脱ユニットを駆動する駆動装置が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような駆動装置には、装置本体に対する着脱ユニットの装着動作に連動して、着脱ユニットの従動カップリングに嵌合する駆動カップリングが設置されている。そして、装置本体の駆動モータの駆動力が駆動カップリングを介して従動カップリングに伝達されて、着脱ユニットが駆動されることになる。
【0003】
そして、このような駆動装置は、装置本体に着脱ユニットを装着して、着脱ユニットの従動カップリングと装置本体の駆動カップリングとの回転方向の姿勢によって、従動カップリングが駆動カップリングに嵌合しないときに、回転軸(駆動カップリングが設置されている。)に巻装された圧縮スプリングの付勢力に抗するように、従動カップリングによって駆動カップリングが軸方向に押動されて回転軸上をスライド移動するように構成されている。そして、駆動カップリングの回転駆動が開始されると、駆動カップリングは、従動カップリングと嵌合可能な回転方向の姿勢になって、圧縮スプリングの付勢力によって軸方向に移動して従動カップリングに嵌合することになる。
【0004】
一方、特許文献1には、装置本体に着脱ユニットを装着して、従動カップリングによって駆動カップリングが軸方向に押動されたときに、その圧縮スプリングを保持する部材を設ける技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、装置本体に着脱ユニットを装着して、従動カップリングによって駆動カップリングが軸方向に押動された後に、駆動カップリングの回転駆動が開始されたときに、圧縮スプリングによって駆動カップリングが軸方向に真直ぐに移動しないで、駆動カップリングと従動カップリングとが正常に嵌合しない不具合が生じてしまうことがあった。そして、そのような不具合が生じてしまうと、着脱ユニットが正常に駆動されなかった。
これに対して、特許文献1の技術を応用して、従動カップリングによって駆動カップリングが軸方向に押動されたときに、その圧縮スプリングを保持する部材を設ける方策が考えられる。しかし、その場合、圧縮スプリングを保持する部材を設けるためのスペースやコストが必要になり、装置が大型化、高コスト化してしまうことになる。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリングと従動カップリングとの嵌合不良が生じにくい、駆動装置、及び、画像形成装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における駆動装置は、装置本体に対して着脱可能に設置された着脱ユニットを駆動する駆動装置であって、前記装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作に連動して、前記着脱ユニットの従動カップリングに対して接離する駆動カップリングと、前記駆動カップリングの穴部に挿入されるように回転軸に固定して設置されて、前記駆動カップリングが前記回転軸とともに回転するように前記回転軸の回転力を前記駆動カップリングに伝達する中継部材と、前記回転軸に巻装されて、前記中継部材よりも前記従動カップリングから遠ざかる側に位置する当接部材に軸方向一端側が接触して、前記中継部材に軸方向他端側が接触する圧縮スプリングと、を備え、前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、前記圧縮スプリングの外周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する外周側制限部を具備し、前記中継部材は、前記圧縮スプリングの内周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する内周側制限部を具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリングと従動カップリングとの嵌合不良が生じにくい、駆動装置、及び、画像形成装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図4】(A)定着装置が駆動装置に装着される直前の状態を示す図と、(B)定着装置が駆動装置に装着された後の状態を示す図と、である。
【
図5】(A)駆動カップリングと従動カップリングとが正常に嵌合した状態を示す図と、(B)駆動カップリングと従動カップリングとが正常に嵌合していない状態を示す図と、である。
【
図6】(A)駆動装置の要部を示す図と、(B)駆動装置の要部を別方向から示す図と、である。
【
図7】(A)
図6の駆動装置の要部からギアを除いたものを示す図と、(B)さらに別角度から示す図と、である。
【
図9】駆動カップリングを種々の方向から示す図である。
【
図12】(A)本発明における駆動装置の要部を示す図と、(B)比較例としての駆動装置の要部を示す図と、である。
【
図13】(A)第1、第2駆動伝達部の軸中心からの距離を示す図と、(B)第1、第2駆動伝達部によって形成される第1、第2の仮想多角形を示す図と、である。
【
図14】駆動装置に生じる軸反力の時間変化を示すグラフである。
【
図15】比較例としての駆動装置の要部を示す斜視図である。
【
図16】別の比較例としての駆動装置の要部を示す正面図である。
【
図17】変形例1としての駆動装置の要部を示す斜視図である。
【
図18】変形例2としての駆動装置の要部を示す斜視図である。
【
図19】変形例3としての、(A)駆動装置の要部を示す斜視図と、(B)その駆動カップリングを示す斜視図と、である。
【
図20】変形例4としての駆動装置の要部を示す斜視図である。
【
図21】変形例5としての駆動装置の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2はその作像部の一部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kが並設されている。これらのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kは、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。
【0012】
図2を参照して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Y(ドラム)の周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、潤滑剤供給装置3、除電装置(不図示)と、で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0013】
なお、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0014】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、駆動モータによって反時計方向に回転駆動される。一方、帯電装置4Yには、電源によって帯電バイアスが印加されている。これにより、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での幅方向(
図1、
図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってイエローに対応した静電潜像(露光電位)が形成される(露光工程である。)。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残留する。
【0016】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残留した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
ここで、クリーニング装置2Yの内部には、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、圧縮スプリング3cなどからなる潤滑剤供給装置3(感光体用潤滑剤供給装置)が内設されている。そして、
図2の時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aによって、固形潤滑剤3bから潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給されることになる。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kでも、イエローのプロセスカートリッジ6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各プロセスカートリッジ6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。
その後、各現像装置5M、5C、5Kによる現像工程を経て各感光体ドラム1M、1C、1K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0018】
ここで、中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、モータ(不図示)による駆動ローラの回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写ローラ(
図2の1次転写ローラ9Yを参照)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ(9Y)に、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ40との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ19が、2次転写ローラ74との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残留する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置41から、給紙ローラ42やレジストローラ対43等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置41には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ42が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが搬送経路を経由してレジストローラ対43のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対43(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対43のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対43が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、搬送ベルト50によって定着装置20(着脱ユニット)の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、搬送経路を経由して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成動作(印刷)が完了する。
なお、本実施の形態において、定着装置20は、装置本体としての画像形成装置本体100に対して着脱可能な着脱ユニットであるが、これについては後で詳しく説明する。
【0024】
次に、
図2にて、プロセスカートリッジ6Yにおける現像装置5Yの構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0025】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。具体的に、現像装置5Yに設置されたトナー濃度センサによってトナー濃度が低い状態が検知されたときには、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像装置5Y内に新品トナーが補給される。
その後、トナー容器58から現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。なお、現像領域に形成される電界は、電源によって現像ローラ51Yに印加される現像バイアスと、感光体ドラム1Y上の露光電位と、の電位差によって形成されるものである。
なお、トナー容器58は、プロセスカートリッジ6Y(画像形成装置100)に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、トナー容器58は、その内部に収容された新品のトナーが空になると、現像装置5Y(画像形成装置100)から取り外されて新品のものに交換されることになる。
【0027】
以下、
図3を用いて、本実施の形態における着脱ユニットとしての定着装置20について説明する。
定着装置20は、装置本体としての画像形成装置本体100に対して着脱可能な着脱ユニットとして機能している。具体的に、ユーザーやサービスマンなどの作業者は、稼働停止した状態の画像形成装置本体100の開閉カバーを開放して定着装置20を露呈させて、その後に定着装置20を装着方向(
図1の紙面垂直方向であって、
図4の左右方向である。)の手前側に引出して、定着装置20のメンテナンスや交換やジャム処理などをおこなうことになる。
図3に示すように、定着装置20は、定着回転体としての定着ローラ21、棒状のヒータ25(加熱手段)、加圧回転体としての加圧ローラ22、等で構成されている。
定着回転体としての定着ローラ21は、芯金上に、弾性層や離型層が積層された多層構造のローラ部材であって、加圧回転体としての加圧ローラ22に圧接してニップ部(定着ニップ)を形成している。定着ローラ21は、制御部90によって制御された駆動装置30によって
図2の時計方向に回転駆動される。なお、駆動装置30については、後で詳しく説明する。
中空構造の定着ローラ21の内部には棒状のヒータ25が固設されている。そして、制御部90により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって定着ローラ21が加熱されて、さらに加熱された定着ローラ21の表面からシートP上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ローラ21表面に非接触で対向する温度センサによるローラ表面温度の検知結果に基づいておこなわれる
また、加圧回転体としての加圧ローラ22は、主として、芯金上に弾性層が形成されたローラ部材であって、定着ローラ21の回転にともない
図3の反時計方向に従動回転する。
【0028】
そして、印刷指令(プリント要求)が入力されると、駆動装置30によって定着ローラ21の時計方向の回転駆動が開始されて、加圧ローラ22の反時計方向の従動回転が開始される。その後、給紙装置41からシートPが給送されて、2次転写ローラ40の位置で、中間転写ベルト8上のトナー像がシートP上に未定着画像として担持される。未定着画像T(トナー像)が担持されたシートPは、
図3の矢印方向に搬送されて、圧接状態にある定着ローラ21及び加圧ローラ22のニップ部に送入される。そして、定着ローラ21による加熱と、定着ローラ21及び加圧ローラ22の押圧力とによって、シートPの表面にトナー像Tが定着される。そして、定着工程後のシートPは、回転する定着ローラ21及び加圧ローラ22によって、ニップ部から矢印方向に送出される。
【0029】
以下、本実施の形態における画像形成装置100において特徴的な、駆動装置30について詳述する。
図4を参照して、駆動装置30は、装置本体としての画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置された着脱ユニットとしての定着装置20(定着ユニット)を駆動するためのものである。
図4に示すように、駆動装置30は、駆動モータ31、駆動ギア32、ギア33、回転軸35、駆動カップリング36、中継部材37、圧縮スプリング38、軸受34、39などで構成されている。
駆動モータ31は、画像形成装置本体100の本体側板に固定設置されていて、そのモータ軸部には駆動ギア32(回転軸35のギア33に噛合している。)が設置されている。
回転軸35は、画像形成装置本体100の本体側板(及び、ブラケット)に対して、2つの軸受34、39を介して回転可能に支持されている。回転軸35には、回転軸35とともに回転可能なギア33、駆動カップリング36、中継部材37などが設置されている。そして、駆動モータ31の回転力(駆動力)が駆動ギア32からギア33に伝達されて、回転軸35が駆動カップリング36や中継部材37とともに所定方向に回転することになる。
なお、駆動カップリング36や中継部材37の構成・動作については、後で
図6~
図9等を用いて詳しく説明する。
【0030】
図4を参照して、着脱ユニットとしての定着装置20は、画像形成装置本体100(装置本体)に対して着脱可能に構成されている。
具体的に、定着装置20は、メンテナンス時やジャム処理時などに、不図示のスライドレールに沿って、画像形成装置本体100から
図4(A)中の矢印方向の逆方向に引出される(
図4(B)の状態から
図4(A)の状態への移動である。)。このとき、定着装置20の従動カップリング26は、画像形成装置本体100の駆動カップリング36に対して嵌合解除されることになる。
そして、その定着装置20は、作業者による作業が終了した後に、不図示のスライドレールに沿って、画像形成装置本体100に対して
図4(A)中の矢印方向に押し込まれる(
図4(A)の状態から
図4(B)の状態への移動である。)。これにより、定着装置20の筐体に設置された位置決めピン(不図示)が、画像形成装置本体100の本体側板に形成された位置決め穴(不図示)に嵌合して、画像形成装置本体100に対する定着装置20の位置が定められることになる。さらに、
図4(B)、
図5(A)に示すように、定着装置20に設置された従動カップリング26が、画像形成装置本体100の駆動装置30の駆動カップリング36に嵌合して、駆動装置30(駆動モータ31)による定着装置20の駆動が可能な状態になる。
なお、定着装置20(着脱ユニット)は、その筐体に固定設置されたスタッドに、ギア部27が形成された従動カップリング26(
図10参照)が軸受29(
図5参照)を介して回転可能に設置されている。従動カップリング26のギア部27は、定着ローラ21に設置されたギア28に噛合している。このような構成により、駆動装置30による定着装置20の駆動(定着ローラ21、加圧ローラ22の回転駆動である。)が可能になる。
【0031】
以下、駆動装置30について詳述する。
駆動カップリング36は、先に
図4を用いて説明したように、画像形成装置本体100(装置本体)に対する定着装置20(着脱ユニット)の着脱動作に連動して、定着装置20の従動カップリング26に対して接離(嵌合・嵌合解除)するものである。なお、駆動カップリング36が従動カップリング26に正常に嵌合しているとき、
図5(A)に示すように、駆動カップリング36の3つの爪部36bが、従動カップリング26の3つの爪部26bにそれぞれ嵌合することになる。そして、駆動カップリング36の3つの爪部36bから、従動カップリング26の3つの爪部26bにそれぞれ回転力(駆動力)が伝達されることになる。
【0032】
中継部材37は、
図5~
図7に示すように、駆動カップリング36の穴部36a(中心軸を含むように中心軸の周りに形成された貫通穴である。)に挿入されるように回転軸35に固定して設置されている。
中継部材37は、駆動カップリング36が回転軸35とともに回転するように、回転軸35の回転力を駆動カップリング36に伝達するものである。すなわち、中継部材37は、回転軸35の回転力を受けて、その回転力を駆動カップリング36に中継して伝達するための部材である。なお、駆動カップリング36は、回転軸35において軸方向に移動しないように固定された中継部材37に対して、軸方向に移動可能に保持されている。そして、
図5~
図7に示すように、中継部材37の3つの突出部37c(
図8参照)が、駆動カップリング36の3つの凹部(3つの小径部36dによって形成された部分であって、
図9、
図13等参照)にそれぞれ嵌合することになる。そして、中継部材37の3つの突出部37cから、従動カップリング26の3つの凹部(小径部36d)にそれぞれ回転力(駆動力)が伝達されることになる。
【0033】
図5~
図7、
図11等を参照して、圧縮スプリング38は、回転軸35に巻装されている。圧縮スプリング38は、軸方向一端側(
図11の右側である。)が当接部材としての軸受34(中継部材37よりも従動カップリング26から遠ざかる側に位置している。)に接触して、軸方向他端側(
図11の左側である。)が中継部材37に接触している。すなわち、圧縮スプリング38は、軸受34と従動カップリング26との間で、回転軸35に隙間をあけて巻き付けられている。このとき、駆動カップリング36には、圧縮スプリング38の付勢力(スプリング力)が作用していないことになる。
そして、この圧縮スプリング38は、
図5(A)に示すように駆動カップリング36が正常に従動カップリング26に嵌合しているときや、
図4(A)に示すように駆動装置30(画像形成装置本体100)に対して定着装置20が離間しているときには、軸受34と中継部材37の接触部37d(
図6(A)、
図8(B)等参照)との間に位置している。そして、圧縮スプリング38は、
図5(B)に示すように駆動カップリング36が正常に従動カップリング26に嵌合していないときには、軸受34と駆動カップリング36の小径部36d(
図9等参照)との間に位置して、駆動カップリング36を従動カップリング26の側に付勢することになる。
すなわち、駆動カップリング36は、中継部材37に対して軸方向一端側(
図11の右側である。)に移動したときに圧縮スプリング38によって軸方向他端側(
図11の左側であって、従動カップリング26に近づく方向である。)に付勢されるように構成されている。
【0034】
具体的に、駆動カップリング36は、中継部材37に対して軸方向一端側(
図11の右側である。)に所定距離Wを超えて移動したときに圧縮スプリング38によって軸方向他端側(
図11の左側であって、従動カップリング26に近づく方向である。)に付勢されるように構成されている。
すなわち、先に
図5(B)を用いて説明したように、嵌合不良によって駆動カップリング36が従動カップリング26に押動されて軸方向一端側に移動するときに、その移動距離が所定距離Wに達するまでは圧縮スプリング38が駆動カップリング36(小径部36d)に接触することはなく、その移動距離が所定距離Wに達した後に圧縮スプリング38が駆動カップリング36(小径部36d)に接触して駆動カップリング36に付勢力が作用することになる。ここで、上述した「所定距離W」は、従動カップリング26によって駆動カップリング36が押動される距離よりも充分に短く設定されている。
【0035】
なお、
図5(B)に示すように、駆動カップリング36が軸方向一端側(
図11の右側である。)に移動するのは、
図4(A)に示すように画像形成装置本体100に定着装置20を装着していくときに、定着装置20の従動カップリング26の3つの爪部26bの回転方向の姿勢と、駆動カップリング36の3つの爪部36bの回転方向の姿勢と、の関係によるものである。具体的に、双方の爪部26b、36bの回転方向の姿勢によって、
図5(B)に示すように、双方の爪部26b、36bの先端部同士が接触してしまうと、圧縮スプリング38の付勢力に抗するように、従動カップリング26によって駆動カップリング36が軸方向に押動されて回転軸35上をスライド移動することになる。そして、駆動装置30(駆動モータ31)によって駆動カップリング36の回転駆動が開始されると、駆動カップリング36は、従動カップリング26と嵌合可能な回転方向の姿勢(
図5(A)の姿勢である。)になって、圧縮スプリング38の付勢力によって軸方向に移動して従動カップリング26に嵌合することになる(双方の爪部26b、36bの側面同士が接触することになる)。
【0036】
さらに詳しく、中継部材37について説明する。
図8に示すように、中継部材37は、穴部37aが形成された略円筒状の部材であって、ストッパ部37b、突出部37cなどが形成されている。
ストッパ部37bは、駆動カップリング36の軸方向他端側(
図11の左側である。)への移動を規制するものであって、駆動カップリング36の小径部36d(
図9参照)の軸方向他端側が接触可能に形成されている。ストッパ部37bを設けることで、駆動カップリング36が回転軸35から抜け落ちてしまう不具合を抑止することができる。
【0037】
突出部37cは、回転軸を中心にして周方向に等間隔に3つ分割して、放射状に径方向に突出するように形成されている。
突出部37cの側面(回転方向上流側の側面である。)は、駆動カップリング36に接触して回転軸35の回転力を駆動カップリング36に伝達する第1駆動伝達部37c1として機能する部分である。
なお、本実施の形態において、第1駆動伝達部37c1は、中継部材37と駆動カップリング36とが線接触する部分となっている。すなわち、中継部材37の突出部37cと、駆動カップリング36の小径部36dと、は面接触するのではなくて、線接触するように構成されている。具体的に、本実施の形態では、駆動カップリング36の小径部36dの側面(被駆動伝達部)は曲面状に形成されていて、中継部材37の第1駆動伝達部37c1は平面状に形成されている。これにより、突出部37cと小径部36dとの接触による生じる摩擦抵抗が低減されて、中継部材37から駆動カップリング36に回転力(駆動力)が効率的に伝達されることになる。
【0038】
また、突出部37cは、軸方向他端側が段状に形成されていて、小径の部分が内側制限部37e(圧縮スプリング38の内径部に対向する部分である。)として機能して、その段差部分(径が変化する壁面である。)が接触部37dとして機能している。
ここで、中継部材37の内周側制限部37eは、圧縮スプリング38の内周に対向して、圧縮スプリング38の径方向の移動を制限するものである。すなわち、圧縮スプリング38が、回転軸35との隙間の分だけ径方向に移動(位置ズレ)しようとしても、その内周部が内周側制限部37eに接触して、その移動が制限されることになる。すなわち、内周側制限部37eは、回転軸35に対する圧縮スプリング38の姿勢が維持されるようにガイドする部材として機能することになる。したがって、先に
図5(A)、(B)を用いて説明したように、圧縮スプリング38の伸縮(駆動カップリング36に接触しない位置と、軸方向に移動する駆動カップリング36に接触する位置と、の間の伸縮である。)がおこなわれても、圧縮スプリング38が径方向に位置ズレしたり傾斜してしまったりする不具合が軽減されることになる。
【0039】
接触部37dは、正常時に、
図6(A)、
図7(B)等に示すように、圧縮スプリング38の軸方向他端側の端面が接触する部分である。先に説明したように、駆動カップリング36と従動カップリング26とが正常に嵌合して駆動装置30による定着装置20の駆動がおこなわれるときに、圧縮スプリング38は接触部37d(中継部材37)に接触して、その付勢力は駆動カップリング36に作用しないことになる。
すなわち、本実施の形態では、駆動カップリング36が従動カップリング26に嵌合して駆動カップリング36から従動カップリング26への駆動伝達が可能な状態であるときに、圧縮スプリング38は、駆動カップリング36に接触することなく、中継部材37の接触部37dに接触することになる。
これにより、駆動カップリング36と従動カップリング26との軸心ズレや偏角が発生してしまっても、それらの部材に大きな軸反力がかかってしまう不具合を軽減することができる。
【0040】
また、本実施の形態において、中継部材37の接触部37dは、回転軸を中心にして、周方向に3つ以上(本実施の形態では、3つである。)、分割して形成されている。このように、接触部37dを周方向に3つ以上設けることで、圧縮スプリング38の端面をバランス良く支持することができて、正常時に圧縮スプリング38が駆動カップリング36に接触してしまう不具合を防止することができる。
【0041】
図8を参照して、内側制限部37eの軸方向他端側には、軸方向他端側に向けて径が漸減するテーパー部37fが形成されている。このようにテーパー部37fを設けることで、先に
図5(A)、(B)を用いて説明したように、圧縮スプリング38の伸縮(駆動カップリング36に接触しない位置と、軸方向に移動する駆動カップリング36に接触する位置と、の間の伸縮である。)が、内側制限部37eに引っ掛かることなどなく、スムーズにおこなわれることになる。すなわち、テーパー部37fは、圧縮スプリング38の伸縮をガイドするガイド面として機能することになる。
【0042】
なお、本実施の形態において、中継部材37は、回転軸35と同様に、金属材料で形成されている。そして、中継部材37は、駆動装置30の製造工程において、回転軸35に対して軸方向他端側(
図11の左側である。)から組み付けられて、圧入などによって回転軸35に固定設置されることになる。
【0043】
次に、駆動カップリング36について、さらに詳しく説明する。
図9に示すように、駆動カップリング36は、内側に穴部36aが形成されて、軸方向一端側の先端部に3つの爪部36bが形成された樹脂材料からなる略円筒状の部材である。駆動カップリング36の内側には、3つの小径部36dが互いに隙間(凹部)をあけて等間隔に形成されている。そして、先に説明したように、3つの小径部36dによって形成される3つの隙間(凹部)に、中継部材37の突出部37cが嵌合して、中継部材37から駆動カップリング36への駆動伝達がおこなわれることになる。具体的に、突出部37cの側面(第1駆動伝達部37c1)が、小径部36dの側面(回転方向上流側の側面である。)に接触して回転軸35の回転力を駆動カップリング36に伝達することになる。
なお、先に説明したように、小径部36dの軸方向一端側の表面は、中継部材37のストッパ部37bに接触可能に形成されている。また、小径部36dの軸方向他端側の表面は、駆動カップリング36と従動カップリング26との嵌合不良が生じたときに、圧縮スプリング38の軸方向一端側の端面が接触する部分になる。
【0044】
駆動カップリング36の3つの爪部36bは、互いに隙間をあけて等間隔に形成されている。
爪部36bの側面(回転方向上流側の側面である。)は、従動カップリング26の爪部26b(
図10参照)の側面(被駆動伝達部26b1である。)に接触して駆動カップリング36の回転力を従動カップリング26に伝達する第2駆動伝達部36b1として機能する部分である。
なお、本実施の形態において、第2駆動伝達部36b1は、駆動カップリング36と従動カップリング26とが線接触する部分となっている。すなわち、駆動カップリング36の爪部36bと、従動カップリング26の爪部26bと、は面接触するのではなくて、線接触するように構成されている。具体的に、本実施の形態では、駆動カップリング36の爪部36bの第2駆動伝達部36b1は曲面状に形成されていて、従動カップリング26の爪部26bの被駆動伝達部26b1は平面状に形成されている。これにより、互いの爪部26b、36bの接触による生じる摩擦抵抗が低減されて、駆動カップリング36から従動カップリング26に回転力(駆動力)が効率的に伝達されることになる。
【0045】
ここで、
図9等に示すように、駆動カップリング36において、小径部36dは、軸方向他端側の端面から軸方向一端側に離れた位置に段差を形成するように設けられている。そして、その段差の部分が、外周側制限部36cとして機能している。
駆動カップリング36の外周側制限部36cは、圧縮スプリング38の外周に対向して、圧縮スプリング38の径方向の移動を制限するものである。すなわち、圧縮スプリング38が、回転軸35との隙間の分だけ径方向に移動(位置ズレ)しようとしても、その外周部が外周側制限部36cに接触して、その移動が制限されることになる。すなわち、外周側制限部36cは、回転軸35に対する圧縮スプリング38の姿勢が維持されるようにガイドする部材として機能することになる。したがって、先に
図5(A)、(B)を用いて説明したように、圧縮スプリング38の伸縮(駆動カップリング36に接触しない位置と、軸方向に移動する駆動カップリング36に接触する位置と、の間の伸縮である。)がおこなわれても、圧縮スプリング38が径方向に位置ズレしたり傾斜してしまったりする不具合が軽減されることになる。
なお、駆動カップリング36の外周側制限部36cは、穴部36aにおいて圧縮スプリング38の軸方向他端側を覆うように周状(環状)に形成されている。
【0046】
なお、
図10を参照して、定着装置20(着脱ユニット)の従動カップリング26は、ギア部27の軸方向端部に3つの爪部26bが形成されたものである。そして、先に説明したように、3つの爪部26bの側面が被駆動伝達部26b1として機能することになる。
なお、本実施の形態における従動カップリング26は、その穴部26aにベアリングが一体的に設置されていて、定着装置20の筐体に設置されたスタッドに回転可能に保持されている。
【0047】
このように、本実施の形態における駆動装置30は、圧縮スプリング38の外周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する外周側制限部36cが駆動カップリング36に形成され、圧縮スプリング38の内周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する内周側制限部37eが中継部材37に形成されている。
これにより、駆動装置30が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリング36と従動カップリング26との嵌合不を生じにくくすることができる。
【0048】
詳しくは、比較例として
図12(B)に示す駆動装置のように、圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する制限部が形成されていない駆動カップリング136と中継部材137とを用いた場合には、画像形成装置本体100に定着装置20を装着して、従動カップリングによって駆動カップリング136が軸方向に押動されるとき、圧縮スプリング38は駆動カップリング36の端面に接触することになる(
図12(B)の破線で囲んだ部分を参照)。このような状態で、駆動カップリング136の回転駆動が開始されると、圧縮スプリング38の径方向の位置ズレや傾斜によって、駆動カップリング136が軸方向に真直ぐに移動しなかったり移動しなかったりして、駆動カップリング136と従動カップリングとが正常に嵌合しない不具合が生じてしまう可能性がある。そして、そのような不具合が生じてしまうと、駆動装置30によって定着装置20が正常に駆動されなくなってしまう。
これに対して、
図12(A)を参照して、本実施の形態では、外周側制限部36cと内周側制限部37eとによって、圧縮スプリング38が伸縮しても、圧縮スプリング38の姿勢が正しく維持されるため、そのような不具合が生じにくくなる。
そして、本実施の形態では、圧縮スプリング38の姿勢を保持するための部材を別に設けるのではなくて、駆動カップリング36と中継部材37とのそれぞれに形状を付加して、圧縮スプリング38の姿勢を保持するようにしている。したがって、圧縮スプリング38を保持する部材を設けるためのスペースやコストが不要になり、駆動装置30が大型化、高コスト化してしまう不具合が抑止される。
【0049】
ここで、
図13(A)を参照して、本実施の形態における駆動装置30は、中継部材37と駆動カップリング36とが接触する第1駆動伝達部37c1から回転軸35の軸中心Xまでの距離Nよりも、駆動カップリング36と従動カップリング26とが接触する第2駆動伝達部36b1から回転軸35の軸中心Xまでの距離Mが、長くなっている(M>N)。
すなわち、中継部材37から駆動カップリング36への駆動伝達がおこなわれる部分が、駆動カップリング36から従動カップリング26への駆動伝達がおこなわれる部分に内包されるように、駆動カップリング36の穴部36aに中継部材37がコンパクトに挿入されている。
このように構成することにより、駆動カップリング36や中継部材37を軸方向に大型化しなくても、径方向に充分な大きさを確保するだけで、駆動カップリング36や中継部材37の駆動伝達部にかかる力を低減できて、それらの耐久性を向上させることができる。
【0050】
また、
図13(A)を参照して、本実施の形態における駆動装置30は、第1駆動伝達部37c1と第2駆動伝達部36b1とが、それぞれ回転軸Xを中心にして放射状に3つ以上互いに同じ数だけで形成されている。具体的に、本実施の形態では、軸方向にみたときに、3つの第1駆動伝達部37c1と3つの第2駆動伝達部36b1とが、回転方向に等間隔(120°間隔)で形成されている。
このように構成することで、中継部材37から駆動カップリング36を介して従動カップリング26へのバランスの良い駆動伝達が可能になる。
【0051】
さらに、
図13(B)を参照して、本実施の形態における駆動装置30は、軸方向にみたときに、複数の第1駆動伝達部37c1を周状に結ぶ第1の仮想多角形Bと、複数の第2駆動伝達部36b1を周状に結ぶ第2の仮想多角形Aと、が相似形となっている。
このように構成することで、
図13(B)に示すように、第1駆動伝達部37c1と第2駆動伝達部36b1との回転方向を位置(位相)をずらして配置することが可能になって、中継部材37から駆動カップリング36を介して従動カップリング26へのバランスの良い駆動伝達が可能になる。
【0052】
特に、
図13(B)を参照して、本実施の形態では、軸方向にみたときに、第1の仮想多角形Bと第2の仮想多角形Aとが180度回転した位置関係になっている。
これにより、軸心ずれなどが発生していて駆動カップリング36が傾いてしまっても、そのときに駆動カップリング36に生じる軸反力を低減することができる。特に、第1の仮想多角形Bと第2の仮想多角形Aとの大きさを変えることで、駆動装置30の軸方向の大きさを小さく抑えながらも、圧縮スプリング38の伸縮するスペースを確保することができて、駆動装置30における嵌合不良を軽減することができる。
【0053】
図14は、
図13を用いて説明した駆動装置30の構成による効果を確認するために、本願発明者が実験により確認した結果であって、駆動装置30(駆動カップリング36)に生じる軸反力の時間変化を示すグラフである。
駆動カップリングは駆動時に回転力をそのまま伝達することが求められる。しかし、実使用上、着脱ユニット側の従動カップリングと、装置本体側の駆動カップリングと、の間でメカ的なバラツキにともなう軸心のズレが発生する。そのように軸心のズレが発生した場合であっても、カップリング同士の嵌合時に発生する力が低減されることが求められる。しかし、そのような力の大きさや変動量が大きい場合には、着脱ユニット側と装置本体側との間で発生する力によって、着脱ユニットの姿勢が変動したりなどして、種々の問題が生じてしまう。例えば、着脱ユニットが定着装置20などのようにシートを搬送するものである場合には、シートの搬送速度が変動したり、シートが斜行して搬送されたりしてしまう。また、着脱ユニットがプロセスカートリッジなどのように画像形成に関わるものである場合には、画像ムラなどの異常画像の原因となってしまう。
図14(B)は、比較例として
図15に示すように、駆動カップリング236が、回転軸135に設置された平行ピン136によって回転力が伝達されるような駆動装置を用いたときの、軸反力の時間変化を示すグラフである。この実験では、駆動カップリング236と従動カップリング26との嵌合において0.3mmの軸心ズレ量を与えている。
これに対して、
図14(A)は、本実施の形態における駆動装置30を用いたときの、軸反力の時間変化を示すグラフであって、
図14(B)のものと同様の0.3mmの軸心ズレ量を与えるとともに、同一の負荷にて同一の回転数で駆動している。
図14(A)、(B)の実験結果から、本実施の形態における駆動装置30は、
図15に示す駆動装置に比べて、軸反力を大幅に低減(1/8程度の低減である。)できることがわかる。また、軸反力の変動量(最大値と最小値との差異)も70%程度に低減できていることがわかる。
なお、
図14(C)は、別の比較例として
図16に示すように、
図13に示すものに対して第1駆動伝達部37c1の回転方向の位置を30°ずらした駆動装置を用いたときの、軸反力の時間変化を示すグラフであって、
図14(A)、(B)のものと同様の0.3mmの軸心ズレ量を与えるとともに、同一の負荷にて同一の回転数で駆動している。
図14(A)、(C)の実験結果から、先に
図13を用いて説明した条件にて第1駆動伝達部37c1や第2駆動伝達部36b1を配置することで、軸反力の変動量(最大値と最小値との差異)が大幅に低減できていることがわかる。このことは、回転ムラなどの少ないスムーズな駆動伝達がおこなわれることを意味するものである。
【0054】
なお、本実施の形態では、中継部材37は、金属材料で形成されていて、回転軸35に圧入されている。中継部材37を樹脂材料で形成した場合には、中継部材37が回転軸35から抜け落ちないようにEリングなどの止め輪の設置が必要になるのに対して、中継部材37を金属材料で形成した場合には、そのような止め輪の設置が不要になり、部品点数の低減や省スペース化が可能になる。
また、本実施の形態では、駆動カップリング36は、摺動性の優れた樹脂材料で形成されていて、軸心がずれてしまっても軸反力が大きくならないようにしている。
【0055】
<比較例1>
図17に示すように、変形例1としての駆動装置30において、駆動カップリング36の外周側制限部36cは、その軸方向一端側(従動カップリングから離れた側である。)が、軸方向他端側から軸方向一端側に向けて内径が漸増するように形成されている(傾斜面36c1である。)。
すなわち、回転軸35の軸中心Xを含む断面でみたときに、外周側制限部36cは、軸中心Xに対して、平行ではなくて、傾斜してテーパー状に形成されている。
このように、外周側制限部36cの軸方向一端側に傾斜面36c1に形成することで、回転軸35に圧縮スプリング38、駆動カップリング36、中継部材37を組付けるときに、圧縮スプリング38が傾斜面36c1に案内されながら所望の接触部37dに接触することになるために、駆動装置30の組付け性が向上することになる。
【0056】
<比較例2>
図18に示すように、変形例2における駆動装置30は、駆動カップリング36の外周側制限部36cが、軸方向に延びるようにリブ状に形成されている。
すなわち、回転軸35の軸方向に直交する断面でみたときに、外周側制限部36cは、平らな円周状に形成されているのではなくて、凹凸のある円周状に形成されている。
駆動カップリング36は、先に説明したように樹脂材料で形成されているため、成型による製造工程を考慮して適切な肉抜き形状とする必要がある。そのような肉抜き形状を外周側制限部36cに付与する場合に、上述したようにリブ状に形成することで、外周側制限部36cの機能を維持することができる。
【0057】
<比較例3>
図19に示すように、変形例3における駆動装置30において、第2駆動伝達部36b1は、駆動カップリング36と従動カップリング26とが点接触する部分となっている。すなわち、駆動カップリング36の爪部36bと、従動カップリング26の爪部26bと、は線接触するのではなくて、点接触するように構成されている。具体的に、変形例3では、駆動カップリング36の爪部36bの第2駆動伝達部36b1は半球面状に形成されていて、従動カップリング26の爪部26bの被駆動伝達部26b1は平面状に形成されている。これにより、互いの爪部26b、36bの接触による生じる摩擦抵抗がさらに低減されて、駆動カップリング36から従動カップリング26に回転力(駆動力)が効率的に伝達されることになる。
なお、変形例3において、第1駆動伝達部37c1は、中継部材37と駆動カップリング36とが線接触する部分となっているが、第2駆動伝達部36b1と同様に、点接触する部分とすることもできる。その場合には、突出部37cと小径部36dとの接触による生じる摩擦抵抗がさらに低減されて、中継部材37から駆動カップリング36に回転力(駆動力)が効率的に伝達されることになる。
【0058】
<比較例4>
図20に示すように、変形例4における駆動装置30は、駆動カップリング36の爪部36bに、回転方向一端側の側面の駆動伝達部36b1とは別に、回転方向他端側の側面をも駆動伝達部36b2として使用できるように形成している。
すなわち、駆動装置30(駆動モータ)を正回転したときには、爪部36bの回転方向一端側の駆動伝達部36b1を介して、駆動カップリング36から従動カップリング26に駆動が伝達されて、駆動装置30(駆動モータ)を逆回転したときには、爪部36bの回転方向他端側の駆動伝達部36b2を介して、駆動カップリング36から従動カップリング26に駆動が伝達されるように構成している。さらに換言すると、正回転したときにも、逆回転したときにも、駆動カップリング36から従動カップリング26に正常に駆動が伝達されるように構成している。
同様に、中継部材37と駆動カップリング36との関係においても、正回転したときにも、逆回転したときにも、中継部材37から駆動カップリング36に正常に駆動が伝達されるように構成している。
このように構成することで、駆動装置30によって定着装置20(着脱ユニット)を正逆方向に駆動することが可能になり、定着装置20の動作形態が広がることになる。
【0059】
<比較例5>
図21に示すように、変形例5における駆動装置30は、駆動カップリング36の爪部36bと、中継部材37の突出部37cと、がそれぞれ、3つではなくて、2つ設けられている。また、図示は省略するが、これに合わせて、従動カップリング26の爪部26bも2つ設けられている。
また、駆動カップリング36の2つの爪部36bは回転方向に180°ズレた位置に配列され、中継部材37の2つの突出部37cも回転方向に180°ズレた位置に配列されている。
さらに、駆動カップリング36の2つの爪部36bと、中継部材37の2つの突出部37cと、は互いに回転方向に位相が180°ズレた位置関係になっている。
このように構成された駆動装置30であっても、駆動装置30が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリング36と従動カップリング26との嵌合不良が生じにくくなる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態における駆動装置30は、画像形成装置本体100(装置本体)に対して着脱可能に設置された定着装置20(着脱ユニット)を駆動する駆動装置30である。そして、駆動装置30には、画像形成装置本体100に対する定着装置20の着脱動作に連動して、定着装置20の従動カップリング26に対して接離する駆動カップリング36が設置されている。また、駆動カップリング36が回転軸35とともに回転するように回転軸35の回転力を駆動カップリング36に伝達する中継部材37が、駆動カップリング36の穴部36aに挿入されるように回転軸35に固定して設置されている。また、中継部材37よりも従動カップリング26から遠ざかる側に位置する軸受34(当接部材)に軸方向一端側が接触して、中継部材37に軸方向他端側が接触する圧縮スプリング38が、回転軸35に巻装されている。そして、駆動カップリング36は、中継部材37に対して軸方向一端側に移動したときに圧縮スプリング38によって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、圧縮スプリング38の外周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する外周側制限部36cが設けられている。また、中継部材37は、圧縮スプリング38の内周に対向して圧縮スプリング38の径方向の移動を制限する内周側制限部37eが設けられている。
これにより、駆動装置30が大型化、高コスト化することなく、駆動カップリング36と従動カップリング26との嵌合不良が生じにくくなる。
【0061】
なお、本実施の形態では、圧縮スプリング38の軸方向一端側が接触する当接部材として軸受34を用いたが、当接部材はこれに限定されず、例えば、止め輪などを用いることもできる。
また、本実施の形態では、本発明が適用される着脱ユニットとして定着装置20を用いたが、本発明が適用される着脱ユニットはこれに限定されず、例えば、着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K(
図1、
図2参照)を駆動する駆動装置に対しても本発明を当然に適用することができる。
また、本実施の形態では、本発明が適用される装置本体として画像形成装置本体100を用いたが、本発明が適用される装置本体はこれに限定されず、画像形成装置とは異なる機器の装置本体に設置された駆動装置に対しても本発明を当然に適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0063】
(付記)
(付記1)
装置本体に対して着脱可能に設置された着脱ユニットを駆動する駆動装置であって、
前記装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作に連動して、前記着脱ユニットの従動カップリングに対して接離する駆動カップリングと、
前記駆動カップリングの穴部に挿入されるように回転軸に固定して設置されて、前記駆動カップリングが前記回転軸とともに回転するように前記回転軸の回転力を前記駆動カップリングに伝達する中継部材と、
前記回転軸に巻装されて、前記中継部材よりも前記従動カップリングから遠ざかる側に位置する当接部材に軸方向一端側が接触して、前記中継部材に軸方向他端側が接触する圧縮スプリングと、
を備え、
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、前記圧縮スプリングの外周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する外周側制限部を具備し、
前記中継部材は、前記圧縮スプリングの内周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する内周側制限部を具備したことを特徴とする駆動装置。
(付記2)
前記駆動カップリングが前記従動カップリングに嵌合して前記駆動カップリングから前記従動カップリングへの駆動伝達が可能な状態であるときに、前記圧縮スプリングは、前記駆動カップリングに接触することなく、前記中継部材の接触部に接触することを特徴とする付記1に記載の駆動装置。
(付記3)
前記中継部材の前記接触部は、前記回転軸を中心にして周方向に3つ以上分割して形成されたことを特徴とする付記2に記載の駆動装置。
(付記4)
前記駆動カップリングの前記外周側制限部は、前記穴部において前記圧縮スプリングの軸方向他端側を覆うように周状に形成されたことを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載の駆動装置。
(付記5)
前記外周側制限部は、その軸方向一端側が、軸方向他端側から軸方向一端側に向けて内径が漸増するように形成されたことを特徴とする付記4に記載の駆動装置。
(付記6)
前記中継部材は、前記駆動カップリングの軸方向他端側への移動を規制するストッパ部を具備したことを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載の駆動装置。
(付記7)
前記中継部材と前記駆動カップリングとが接触する第1駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離よりも、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが接触する第2駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離が、長いことを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の駆動装置。
(付記8)
前記第1駆動伝達部と前記第2駆動伝達部とは、それぞれ前記回転軸を中心にして放射状に3つ以上互いに同じ数だけ形成されたことを特徴とする付記7に記載の駆動装置。
(付記9)
軸方向にみたときに、複数の前記第1駆動伝達部を周状に結ぶ第1の仮想多角形と、複数の前記第2駆動伝達部を周状に結ぶ第2の仮想多角形と、が相似形であることを特徴とする付記8に記載の駆動装置。
(付記10)
軸方向にみたときに、前記第1の仮想多角形と前記第2の仮想多角形とが180度回転した位置関係にあることを特徴とする付記9に記載の駆動装置。
(付記11)
前記第1駆動伝達部は、前記中継部材と前記駆動カップリングとが線接触又は点接触する部分であって、
前記第2駆動伝達部は、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが線接触又は点接触する部分であることを特徴とする付記7~付記10のいずれかに記載の駆動装置。
(付記12)
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に所定距離を超えて移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されたことを特徴とする付記1~付記11のいずれかに記載の駆動装置。
(付記13)
付記1~付記12のいずれかに記載の駆動装置が前記装置本体としての画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0064】
20 定着装置(着脱ユニット)、
26 従動カップリング、
27 ギア部、
30 駆動装置、
31 駆動モータ、
33 ギア、
34 軸受(当接部材)、
35 回転軸、
36 駆動カップリング、
36a 穴部(内径部)、
36b 爪部、
36b1 第2駆動伝達部、
36c 外周側制限部、
36d 小径部、
37 中継部材、
37b ストッパ部、
37c 突出部、
37c1 第1駆動伝達部、
37d 接触部、
37e 内周側制限部、
37f テーパー部、
38 圧縮スプリング、
100 画像形成装置(画像形成装置本体、装置本体)、
A 第2の仮想多角形、 B 第1の仮想多角形。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能に設置された着脱ユニットを駆動する駆動装置であって、
前記装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作に連動して、前記着脱ユニットの従動カップリングに対して接離する駆動カップリングと、
前記駆動カップリングの穴部に挿入されるように回転軸に固定して設置されて、前記駆動カップリングが前記回転軸とともに回転するように前記回転軸の回転力を前記駆動カップリングに伝達する中継部材と、
前記回転軸に巻装されて、前記中継部材よりも前記従動カップリングから遠ざかる側に位置する当接部材に軸方向一端側が接触して、前記中継部材に軸方向他端側が接触する圧縮スプリングと、
を備え、
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、前記圧縮スプリングの外周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する外周側制限部を具備したことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記駆動カップリングが前記従動カップリングに嵌合して前記駆動カップリングから前記従動カップリングへの駆動伝達が可能な状態であるときに、前記圧縮スプリングは、前記駆動カップリングに接触することなく、前記中継部材の接触部に接触することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記中継部材の前記接触部は、前記回転軸を中心にして周方向に3つ以上分割して形成されたことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動カップリングの前記外周側制限部は、前記穴部において前記圧縮スプリングの軸方向他端側を覆うように周状に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項5】
前記外周側制限部は、その軸方向一端側が、軸方向他端側から軸方向一端側に向けて内径が漸増するように形成されたことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記中継部材は、前記駆動カップリングの軸方向他端側への移動を規制するストッパ部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記中継部材と前記駆動カップリングとが接触する第1駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離よりも、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが接触する第2駆動伝達部から前記回転軸の軸中心までの距離が、長いことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1駆動伝達部と前記第2駆動伝達部とは、それぞれ前記回転軸を中心にして放射状に3つ以上互いに同じ数だけ形成されたことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
軸方向にみたときに、複数の前記第1駆動伝達部を周状に結ぶ第1の仮想多角形と、複数の前記第2駆動伝達部を周状に結ぶ第2の仮想多角形と、が相似形であることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
軸方向にみたときに、前記第1の仮想多角形と前記第2の仮想多角形とが180度回転した位置関係にあることを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記第1駆動伝達部は、前記中継部材と前記駆動カップリングとが線接触又は点接触する部分であって、
前記第2駆動伝達部は、前記駆動カップリングと前記従動カップリングとが線接触又は点接触する部分であることを特徴とする請求項7~請求項10のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項12】
前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に所定距離を超えて移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されたことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれかに記載の駆動装置が前記装置本体としての画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明における駆動装置は、装置本体に対して着脱可能に設置された着脱ユニットを駆動する駆動装置であって、前記装置本体に対する前記着脱ユニットの着脱動作に連動して、前記着脱ユニットの従動カップリングに対して接離する駆動カップリングと、前記駆動カップリングの穴部に挿入されるように回転軸に固定して設置されて、前記駆動カップリングが前記回転軸とともに回転するように前記回転軸の回転力を前記駆動カップリングに伝達する中継部材と、前記回転軸に巻装されて、前記中継部材よりも前記従動カップリングから遠ざかる側に位置する当接部材に軸方向一端側が接触して、前記中継部材に軸方向他端側が接触する圧縮スプリングと、を備え、前記駆動カップリングは、前記中継部材に対して軸方向一端側に移動したときに前記圧縮スプリングによって軸方向他端側に付勢されるように構成されるとともに、前記圧縮スプリングの外周に対向して前記圧縮スプリングの径方向の移動を制限する外周側制限部を具備したものである。