(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163416
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】カム装置、引出ユニット、転写装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241115BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 120
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078991
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
(72)【発明者】
【氏名】古西 貴大
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA04
2H171FA10
2H171FA15
2H171GA09
2H171HA03
2H171HA10
2H171HA22
2H171JA08
2H171JA18
2H171JA20
2H171JA38
2H171KA05
2H171KA06
2H171KA07
2H171KA08
2H171KA16
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA29
2H171LA03
2H171LA08
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC05
2H171QC09
2H171SA11
2H171SA13
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA28
2H200FA17
2H200GA12
2H200GA23
2H200GB42
2H200JA02
2H200JA29
2H200JC05
2H200JC09
2H200LA02
2H200LA12
2H200LA17
2H200LA23
2H200LA29
2H200LA38
(57)【要約】
【課題】カム部材を手動で離間位置に移動させることが可能なカム装置を提供する。
【解決手段】
対象部材を支持する支持部材と、前記支持部材を、前記対象部材が対向部材に当接する当接位置と、前記対象部材が前記対向部材から離間する離間位置とに移動させるカム部材と、前記カム部材を駆動するモータと、前記カム部材に設けられる第1の動力伝達部と、前記第1の動力伝達部に接続可能な第2の動力伝達部を有する操作手段と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を、前記対象部材が対向部材に当接する当接位置と、前記対象部材が前記対向部材から離間する離間位置とに移動させるカム部材と、
前記カム部材を駆動するモータと、
前記カム部材に設けられる第1の動力伝達部と、
前記第1の動力伝達部に接続可能な第2の動力伝達部を有する操作手段と、
を備えることを特徴とするカム装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記第2の動力伝達部を前記第1の動力伝達部に接続させて、前記対象部材を前記当接位置から前記離間位置へ移動させることを特徴とする請求項1記載のカム装置。
【請求項3】
前記操作手段は、操作部と、該操作部と前記第2の動力伝達部とを接続するリンク機構とを含むことを特徴とする請求項1記載のカム装置。
【請求項4】
前記カム部材は、前記モータによって回転する偏心カムであり、前記第1の動力伝達部は、前記偏心カムの回転軸と同軸に設けられた円形状歯車であり、前記第2の動力伝達部は、前記円形状歯車と噛み合う板状歯車であることを特徴とする請求項1記載のカム装置。
【請求項5】
前記対象部材の前記当接位置から前記離間位置への移動が、前記モータにより行われる場合、前記円形状歯車と前記板状歯車とが噛み合わないように設けられることを特徴とする請求項4記載のカム装置。
【請求項6】
前記円形状歯車は、前記板状歯車と対向する側に歯を有さないことを特徴とする請求項5記載のカム装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカム装置を、装置本体に対し引き出し可能にする引出ユニットであって、
前記操作手段は、
前記装置本体に対し前記引出ユニットの固定および解除を行うロック手段を備え、
前記対象部材の前記当接位置から前記離間位置への移動と共に、
前記装置本体に対する前記引出ユニットの固定の解除を行うことを特徴とする引出ユニット。
【請求項8】
前記操作手段によって前記引出ユニットが前記装置本体に固定されている状態において、前記第1の動力伝達部と前記第2の動力伝達部とが接続しないように設けられることを特徴とする請求項7記載の引出ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカム装置を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項10】
基材上に画像を形成する画像形成手段と、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカム装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
基材上に画像を形成する画像形成手段と、
請求項7記載の引出ユニットと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム装置、引出ユニット、転写装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータによって回転駆動されるカムを備えたカム駆動装置を用いて、中間転写ベルト(二次転写対向ローラ)と二次転写ローラとの当接および離間を行うようにした画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなカム装置において、当接・離間し合う部材同士が当接している状態でモータ故障や電源遮断等が発生した場合、カムを回転駆動させることができなくなり、当該部材は当接したままの状態となる。回転駆動されずに当接したままの状態が長時間続くと当接した部位が変形してしまい、ニップを正常に形成することができなくなり、所望の性能が得られなくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、対象部材を支持する支持部材と、前記支持部材を、前記対象部材が対向部材に当接する当接位置と、前記対象部材が前記対向部材から離間する離間位置とに移動させるカム部材と、前記カム部材を駆動するモータと、前記カム部材に設けられる第1の動力伝達部と、前記第1の動力伝達部に接続可能な第2の動力伝達部を有する操作手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カム部材を手動で離間位置に移動させることが可能なカム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図。
【
図3】実施形態に係る引出ユニットの一例を示す説明図。
【
図4】実施形態に係るカム装置の一例を示す説明図。
【
図5】実施形態に係るカム装置の一例を示す説明図。
【
図6】カム装置の操作手段の構成例(固定時)を示す説明図。
【
図7】カム装置の操作手段の構成例(解除時)を示す説明図。
【
図8】第1の動力伝達部と第2の動力伝達部の構成例を示す説明図。
【
図9】第1の動力伝達部と第2の動力伝達部の別の構成例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
<画像形成装置の構成>
はじめに画像形成装置の構成について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。例示された画像形成装置は、電子写真方式により画像形成が行われるプリンタである。
【0011】
プリンタ1000は、作像部1、一次転写部2、シート供給部3、二次転写部4、定着部5、シート戻し部6、シート排出部7、露光部8およびトナー容器装着部9等を備える。ここで、作像部1、一次転写部2、二次転写部4および露光部8は「画像形成手段」の一例である。
【0012】
作像部1は、複数の作像ユニット10A,10B,10C,10D,10Eを備える。作像ユニット10A~10Eは、それぞれ同一または同等の構成であるため、特に区別しない場合は、作像ユニット10と総称表記する。
【0013】
作像ユニット10A~10Eは、それぞれ異なる色のトナー像を形成する。例えば、作像ユニット10Bはイエロー色(Y)のトナー像を形成し、作像ユニット10Cはマゼンタ色(M)のトナー像を形成し、作像ユニット10Dはシアン色(C)のトナー像を形成する。作像ユニット10Eはブラック色(K)のトナー像を形成し、作像ユニット10AはY,M,C,K以外の特別色のトナー像を形成する。
【0014】
特別色は必ずしも有色に限らず、クリアートナーなどの無色を含むものであってもよい。また、作像ユニット10の数や色の並び順は上記に限るものではない。作像ユニット10の数は、4つ以下でもよいし、6つ以上であってもよい。作像ユニット10の色の並び順は、作像ユニットの仕様やトナー特性等に応じて適宜決定してよい。ここで
図2を用いて作像ユニット10の構成について説明する。
【0015】
図2は、作像ユニットの一例を示す概略構成図である。
【0016】
作像ユニット10は、感光体モジュール11、帯電モジュール12、現像モジュール13および清掃モジュール14を備える。
【0017】
感光体モジュール11は、例えば円筒状の感光体110を備える。感光体110は、図中、反時計まわり方向(矢印方向)に回転駆動される。
【0018】
帯電モジュール12は、例えば帯電ローラ120を備える。帯電ローラ120は、感光体110の表面に電荷を付与し、感光体110の表面を所定電位に帯電させる。
【0019】
現像モジュール13は、例えばトナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を担持する現像ローラ130を備える。現像ローラ130は、所定電位に帯電した感光体110の表面を後述の露光部8が露光することによって形成される静電潜像に対してトナーを付与し、感光体110の表面にトナー像を形成する。
【0020】
清掃モジュール14は、例えば清掃ローラ140、清掃ブレード141等の清掃部材を備える。清掃ローラ140および清掃ブレード141は、後述の一次転写部2を通過した感光体110の表面を清掃する。
【0021】
再び
図1に戻り、プリンタ1000の全体構成の続きを説明する。
【0022】
一次転写部2は、例えば作像部1の下方に配置される。一次転写部2は、複数の一次転写ローラ20A,20B,20C,20D,20E、中間転写ベルト21、二次転写対向ローラ22、ベルト清掃機構23等を備える。一次転写ローラ20A~20Eは、それぞれ同一または同等の構成であるため、特に区別しない場合には、一次転写ローラ20と総称表記する。
【0023】
一次転写ローラ20は、作像ユニット10が備える感光体110と対向する位置に設けられる。一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21を介して感光体110に当接可能に設けられ、一次転写ローラ20を感光体110側へ押し当てることによって、感光体110と中間転写ベルト21の間でニップ(以下、一次転写ニップと呼ぶ)を形成する。一次転写ローラ20には一次転写用のバイアスが印加され、一次転写ニップ内に電界を形成する。
【0024】
中間転写ベルト21は、フッ化ビニルデン、エチレン-四フッ化エチレン共重合体、ポリイミド、ポリカーボネート等の材料を単層または複数層に構成した無端状のベルトである。中間転写ベルト21は、複数の支持ローラに掛け渡されて図中、時計まわり方向に移動する。
【0025】
二次転写対向ローラ22は、後述の二次転写部4が備える二次転写ローラ40と共にニップ(以下、二次転写ニップと呼ぶ)を形成する。
【0026】
ベルト清掃機構23は、後述の二次転写ローラ40(二次転写ニップ)を通過した中間転写ベルト21の表面を清掃する。
【0027】
シート供給部3は、例えばプリンタ1000の下部に配置される。シート供給部3は、シートSを積載するトレイ30、トレイ30からシートSを1枚ずつ送り出す送出機構31、送出機構31から送られたシートSを所定のタイミングで二次転写部4へ搬送するレジストローラ対32,33等を備える。ここで、シートSは「基材」の一例である。
【0028】
二次転写部4は、例えば一次転写部2の下方に配置される。二次転写部4は、二次転写ローラ40を備える。二次転写ローラ40は、一次転写部2が備える二次転写対向ローラ22と対向する位置に設けられ、中間転写ベルト21を介して二次転写対向ローラ22に当接可能に設けられる。二次転写ローラ40は、二次転写対向ローラ22側へ押し当てられることによって、二次転写ローラ40と中間転写ベルト21の間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ40には二次転写用のバイアスが印加され、二次転写ニップ内に電界を形成する。
【0029】
なお、二次転写ニップは、二次転写ローラ40と中間転写ベルト21で形成する構成に限るものではない。例えば、二次転写部4が、二次転写ローラ40を含む複数の支持ローラに掛け渡される二次転写ベルトを備える構成とし、二次転写ローラ40が、二次転写ベルトを介して中間転写ベルト21(二次転写対向ローラ22)に当接されるようにしてもよい。この場合は、中間転写ベルト21と二次転写ベルトとの間で二次転写ニップが形成される。
【0030】
定着部5は、例えば、二次転写部4に対してシート搬送方向下流部(X方向正側)に配置される。定着部5は、加熱ローラ50および加圧ローラ51等を備える。加熱ローラ50と加圧ローラ51は当接可能であり、互いが当接することでニップ(以下、定着ニップと呼ぶ)を形成する。二次転写部4でトナー像が転写されたシートSは、定着ニップにおいて加熱および加圧され、トナー像がシートSに定着される。
【0031】
シート排出部7は、例えば、定着部5に対してシート搬送方向下流部に配置される。シート排出部7は、シートSの排出先を切り替える切替機構70a,70b,70c等を備え、切替機構70a,70b,70cによってシートSを機外または後述のシート戻し部6に向けて搬送する。
【0032】
シート戻し部6は、例えば、シート排出部7、定着部5および二次転写部4の下方に配置される。シート戻し部6は、複数の搬送ローラが設けられた戻し路60を備える。戻し路60の終点はシート供給部3と合流し、シート排出部7から送られたシートSを再び二次転写部4に向けて搬送する。
【0033】
露光部8は、例えば作像部1の上方に配置される。露光部8は、上述の帯電モジュール12によって所定電位に帯電した感光体110にレーザ光L(
図2参照)を走査し、感光体110の表面に静電潜像を形成する。
【0034】
トナー容器装着部9は、例えば露光部8の上方付近に配置される。トナー容器装着部9は、各作像ユニット10A~10Eで使用されるトナーを収容したトナー容器90A~90Eを着脱自在に保持する。トナー容器装着部9と作像部1はトナー移送機構によって接続されており、トナー容器90A~90Eに収容されたトナーは、トナー移送機構によって作像ユニット10A~10Eへ移される。トナー容器90A~90Eは、交換時期となった際はトナー容器装着部9から取り外して、新たなトナー容器と交換される。
【0035】
上記構成において、プリンタ1000は、外部のコンピュータ等から画像データを受信するとプリントジョブに移行し、中間転写ベルト21などの駆動を開始する。そして、作像部1では回転駆動する感光体110の表面を、帯電ローラ120が所定の帯電電位に一様に帯電する。
【0036】
帯電した感光体110の表面には、画像データに基づいて露光部8が発するレーザ光を用いた光走査によって、各色用の静電潜像が形成される。静電潜像は、現像モジュール13にてトナー像として現像後、中間転写ベルト21の表面に順に一次転写され、各色を重ね合わせたトナー像になる。トナー像を中間転写ベルト21に転写した後の感光体110は、清掃モジュール14で清掃され、感光体110の表面に残留したトナー等が感光体110の表面から除去される。
【0037】
シート供給部3の送出機構31から送り出されたシートSは、レジストローラ対32,33に突き当たるまで搬送され、シートSがレジストローラ対32,33に突き当たったならば搬送を一時停止させる。そして、中間転写ベルト21上のトナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせてレジストローラ対32,33が搬送を再開する。レジストローラ対32,33からの搬送が再開されたシートSには、二次転写ニップにて中間転写ベルト21上のトナー像と同期してトナー像が二次転写される。
【0038】
二次転写後のシートSは、定着部5へ移動し、定着部5はシートS上のトナー像に対して熱と圧力を加えることでトナー像をシートSに定着する。その後、シートSはシート排出部7へ移動し、切替機構70a,70b,70cの案内に応じてシートSは機外またはシート戻し部6へ送られる。シート戻し部6は、シートSの上下(表裏)を反転してシートSを二次転写ニップに再送する場合に主に用いられ、シートSは二次転写ニップにてその裏面にトナー像の二次転写が行われた後、シート排出部7から排出される。
【0039】
二次転写ニップを通過後の中間転写ベルト21は、ベルト清掃機構23で清掃され、中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等が中間転写ベルト21の表面から除去される。
【0040】
プリンタ1000において、レジストローラ対32,33付近と二次転写部4は、プリンタ1000本体から引き出し可能に構成され、シート供給部3と二次転写部4との間でシートSが詰まった場合などのシートSの取り出しや、修理・点検作業を行い易くしている。引き出し構成の概略については
図3を用いて説明する。
【0041】
図3は、実施形態に係る引出ユニットの一例を示す説明図である。
【0042】
実施形態では、レジストローラ対32,33付近と二次転写部4を、プリンタ1000本体から引き出し可能にする引出ユニット100が例示されている。
【0043】
引出ユニット100は、前側(Y方向負側)に操作レバー101を備える。操作レバー101は、例えば図示のようにレバーが縦に位置しているときは、プリンタ1000本体に押し込まれた(装着された)引出ユニット100をプリンタ1000本体に固定する。また、操作レバー101を、レバー回動軸101aを支点として例えば反時計まわり方向に90°回転させ、レバーを横に位置させたときは、プリンタ1000本体と引出ユニット100との固定を解除し、引出ユニット100を引き出し可能な状態にする。
【0044】
中間転写ベルト21と二次転写ローラ40との関係のように、当接・離間し合う部材の一方が引出ユニット100に搭載される場合、離間が不完全な状態で引出ユニット100を引き出してしまうと、部材を破損させるおそれがある。そのため、通常、プリンタ1000においては、二次転写ローラ40を所定位置に離間させてから、プリンタ1000本体と引出ユニット100との固定状態を解除し、引出ユニット100をプリンタ1000本体から引き出す。
【0045】
二次転写ローラ40の当接位置および離間位置への移動は、通常、プリントジョブ(画像データ)の開始・終了を示す情報や各種エラー情報等に基づき、モータを含むカム装置によって行われるが、モータ故障や電源遮断が起きた場合は上述の課題が生じる。そこで、本発明は、モータ駆動ができない場合に、カム装置のカム部材を手動で離間位置に移動させることを可能にしている。以下、引出ユニット100の構成について説明する。
【0046】
<カム装置の構成>
図4は、実施形態に係るカム装置の一例を示す説明図であり、
図4(a)は正面図、
図4(b)は
図4(a)のA-A線矢視図である。
【0047】
中間転写ベルト21、二次転写対向ローラ22および転写前ローラ24は、上述の一次転写部2を構成する部材であり、これらの部材はカム装置側ではなく、プリンタ1000の本体側に設けられる。
【0048】
二次転写部4は、二次転写ローラ40、駆動ローラ41および複数の支持ローラに掛け渡された二次転写ベルト42を備える。二次転写ベルト42は、
図4(a)において破線で示されるように掛け渡されており、駆動ローラ41からの動力を受けて反時計まわり方向に移動する。駆動ローラ41は、同軸上に駆動ローラギヤ43を備え、駆動ローラギヤ43は第3伝達ギヤ408と噛み合うように設けられている。第3伝達ギヤ408は、後述の第2伝達ギヤ(409)、第1伝達ギヤ(410)およびモータ出力ギヤ(411)を介して
図4(b)に示された二次転写ベルト駆動モータ412に接続される。上記構成の二次転写部4は、次に説明する加圧装置400に設置される。
【0049】
加圧装置400は、揺動部406、加圧部材413、偏心カム417、操作レバー101等を備える。
【0050】
揺動部406は、揺動軸46を支点に揺動可能に支持された板状部材であり、Y方向(プリンタ1000の奥行き方向)において二次転写部4の前側と後側に設けられる。二次転写部4は、揺動軸46と同心をなす二次転写部固定軸407によって揺動部406に対し揺動可能に支持される。
【0051】
加圧部材413は、二次転写ローラ40のローラ軸44(二次転写ベルト側板45から外側に延びた部位)に対向させて、Y方向において二次転写ベルト42の前側と後側に設けられる。なお、加圧部材413は、揺動部406と共に一体の板金で形成してもよい。
【0052】
偏心カム417は、揺動部406に設けたカムフォロア414の外周面と接するカム面を有する。カムフォロア414は、揺動部406に形成された突当部416とカムフォロア414との間に設けた加圧スプリング415の弾性力により一定の力で偏心カム417に向けて付勢される。偏心カム417は、揺動部406の揺動運動の軌跡に対応させて形成された外周形状を有する。また、偏心カム417は、一方の側面にカム用ギヤ421を有し、もう一方の側面に伝達プーリ418を有する。
【0053】
カム用ギヤ421と伝達プーリ418は、偏心カム417の回転軸と同軸上に固定され、偏心カム417と同期して動く(回る)ように設けられている。伝達プーリ418はタイミングベルト419を介してカム駆動モータ420に接続される。上記構成の偏心カム417は、Y方向において二次転写ベルト42の前側と後側に設けられる。
【0054】
二次転写部4を支持した揺動部406は、加圧装置側板401、加圧装置右側板402、加圧装置左側板403に取り付けられる。加圧装置側板401のうち、前側(Y方向負側)の加圧装置側板401の上部には、基準軸25,26を通す2つの軸受404が左右(X方向)に設けられ、2つの軸受404のうち一方の軸受404は長孔状である。基準軸25と軸受404は主基準を成し、基準軸26と長孔状の軸受404は従基準をなす。つまり、プリンタ1000本体に対して引出ユニット100が装着された(押し込まれた)場合は、基準軸25,26を基準にして二次転写部4の位置が決まる。
【0055】
基準軸25,26は、位置決め板202に支持され、さらに位置決め板202は、プリンタ1000の本体後側板201に固定される。位置決め板202は、例えば本体後側板201に設けた保持軸203に対してネジ204で締結することで固定される。なお、位置決め板202の固定はネジ204に限るものではない。ネジ204に代えて例えばEリングを用いてもよく、Y方向(スラスト方向)を規制することができる部材であればよい。
【0056】
加圧装置側板401のうち、後側(Y方向正側)の加圧装置側板401には、加圧装置基準軸405が左右(X方向)2箇所に設けられる。また、位置決め板202には、加圧装置基準軸405に対応する位置に2つの軸受205が設けられる。軸受205は、上述の基準軸25,26と軸受404の関係と同様に、2つの軸受205のうち一方は主基準を成すように構成し、もう一方は長孔状にして従基準を成すように構成される。
【0057】
上記構成により、二次転写部4を搭載した加圧装置400をY方向負側へ引き出した場合は、基準軸25,26と軸受404との係合、および加圧装置基準軸405と軸受205との係合が外れて、二次転写部4および加圧装置400は一体となってプリンタ1000本体から引き出される。
【0058】
なお、実施形態において引出ユニット100には、二次転写部4の他にシート供給部3の一部(レジストローラ対32,33付近)を含ませているが、どこまでを1つの引出ユニットとするかは装置構成等に基づき適宜決定してよい。例えばシート供給部3を含まずに二次転写部4と加圧装置400とで引出ユニットを構成してもよい。
【0059】
ここで、加圧装置400は「カム装置」の一例であり、揺動部406は「支持部材」の一例である。
【0060】
また、二次転写ローラ40は「対象部材」の一例であり、二次転写対向ローラ22は「対向部材」の一例である。
【0061】
さらに、偏心カム417は「カム部材」の一例、カム駆動モータ420は「モータ」の一例、カム用ギヤ421は「第1の動力伝達部」の一例である。
【0062】
操作レバー101は、レバー回動軸101aを支点に回動可能に支持されており、操作レバー101の回転は、リンク機構102を介して偏心カム417に伝達可能である。レバー回動軸101aは、例えば引出ユニット100の前側板に固定される。但し、加圧装置400を引出ユニット100に搭載せず、加圧装置400をプリンタ1000本体から引き出し可能に構成しない場合には、レバー回動軸101aは、プリンタ1000本体の側板や加圧装置400の側板に固定される。
【0063】
リンク機構102は、第1リンク102a、第2リンク102bおよび第3リンク102cを備える。第1リンク102aは、その一方の端部がレバー回動軸101aに固定されており、操作レバー101を回した際、第1リンク102aは操作レバー101との角度を一定に保持した状態で操作レバー101とともに同じ角度だけ回動する。第1リンク102aのもう一方の端部は、第2リンク102bの一方の端部と接続される。
【0064】
第2リンク102bのもう一方の端部は、第3リンク102cの一方の端部と接続される。第3リンク102cは、加圧装置側板401に設けられたガイドピン102dと、第3リンク102cに形成した長孔(または長溝)とを係合させることにより、X方向正側およびX方向負側へ移動可能に支持される。第3リンク102cには、偏心カム417の回転軸と同軸上に固定したカム用ギヤ421と噛み合うラック(102e)が設けられている(ラックの詳細は後述する)。
【0065】
ここで、ラック102eは「第2の動力伝達部」の一例であり、操作レバー101およびリンク機構102は「操作手段」の一例である。また、操作レバー101は「操作部」の一例であり、リンク機構102、第1リンク102a、第2リンク102bおよび第3リンク102cは「リンク機構」の一例である。
【0066】
リンク機構102を構成するリンクのうち、第3リンク102cは、
図4(b)に示されるように前側(Y方向負側)の加圧装置側板401および後側(Y方向正側)の加圧装置側板401のそれぞれに設けられる。前後に設けた2つの第3リンク102cは、例えば共通(1本)の軸部材によって第2リンク102bに接続される。
【0067】
図5もまた実施形態に係るカム装置の一例を示す説明図であり、
図5(a)は正面図、
図5(b)は
図5(a)のB-B線矢視図である。
【0068】
図4では、偏心カム417がカム駆動モータ420によって回転され、二次転写ローラ40を離間位置に移動させたときの状態を示した。これに対し
図5は、操作レバー101、リンク機構102およびカム用ギヤ421を介して偏心カム417を回転させて、二次転写ローラ40を離間位置に移動させた場合の状態を示している。また、
図5(b)では、
図4(b)に対して見る部位を変えている。
【0069】
図5では、主に
図4に表されていなかった部材について説明する。
【0070】
駆動ローラギヤ43に動力を伝達する第3伝達ギヤ408の回転軸上には、第2伝達ギヤ409が設けられる。第2伝達ギヤ409は、第3伝達ギヤ408と同軸に固定されており、同じ回転数で動作する。
【0071】
第2伝達ギヤ409は、例えば揺動部406に取り付けた第1伝達ギヤ410と噛み合う。また、第1伝達ギヤ410には二次転写ベルト駆動モータ412のモータ出力ギヤ411が噛み合う。
【0072】
上記構成により、二次転写ベルト駆動モータ412の動力は、モータ出力ギヤ411、第1伝達ギヤ410、第2伝達ギヤ409、第3伝達ギヤ408、駆動ローラギヤ43と伝わり、駆動ローラ41は回転駆動される。
【0073】
次に、操作手段の構成について
図6および
図7を用いて説明する。ここでは、カム装置の一例である加圧装置400が引出ユニット100に搭載され、プリンタ1000本体に対し引き出し可能にした場合の構成に基づき説明する。
【0074】
図6は、カム装置の操作手段の構成例(固定時)を示す説明図であり、
図6(a)は正面図、
図6(b)は側面図である。
【0075】
図7は、カム装置の操作手段の構成例(解除時)を示す説明図であり、
図7(a)は正面図、
図7(b)は側面図である。
【0076】
プリンタ1000の本体後側板201には、開口部206が設けられている。一方、操作レバー101のレバー回動軸101aの後側(Y方向正側)端部には、ロック部材103が固定されている。開口部206およびロック部材103の前側から見た形状(正面形状)は特に限定はされないが、実施形態では長方形状を例示している。正面形状において、ロック部材103の長手方向の長さは、開口部206の短手方向の長さより長く、開口部206の長手方向の長さより短い長さを有する。
【0077】
ロック部材103は、
図6に示されるように操作レバー101が縦に位置しているときは、ロック部材103の長手方向と開口部206の長手方向とが交わる位置関係となり、引出ユニット100はプリンタ1000本体から引き出すことができず、プリンタ1000本体に固定される。
【0078】
これに対し、
図7に示されるように操作レバー101を反時計まわり方向に90°回転させて操作レバー101を横に位置させたときは、両者の長手方向が平行な位置関係となり、引出ユニット100はプリンタ1000本体から引き出し可能な状態となる。ここで、ロック部材103は「ロック手段」の一例である。
【0079】
なお、ロック手段の構成は、開口部206とロック部材103とを係合させる構成に限るものではない。例えばプリンタ1000の本体後側板201に突起部材を設け、操作レバー101のレバー回動軸101aに、この突起部材に係合する係止部材を設ける構成としてもよい。
【0080】
次に、偏心カム417に設けられたカム用ギヤ421と、リンク機構102の第3リンク102cに設けられたラックの構成について
図8を用いて説明する。
【0081】
図8は、第1の動力伝達部と第2の動力伝達部の構成例を示す説明図であり、
図8(a)は二次転写ローラを中間転写ベルトに当接させたときの偏心カムの状態を示し、
図8(b)は二次転写ローラを中間転写ベルトから離間させたときの偏心カムの状態を示す。
【0082】
操作レバー101が、引出ユニット100とプリンタ1000本体とを固定する位置にあるとき、第3リンク102cのラック102eは、カム用ギヤ421の回転範囲(一点鎖線で示した円)内に存在しない。つまり、当接位置および離間位置のいずれにおいてもラック102eがカム用ギヤ421と噛み合わないようにしている。
【0083】
そして、操作レバー101を縦(固定位置)から横(解除位置)に動かす操作に伴い、第3リンク102cが図中右側(X方向負側)へ動き、ラック102eがカム用ギヤ421の回転範囲内に進入してくることで両者は噛み合い、カム用ギヤ421は回される。また、カム用ギヤ421と一緒に偏心カム417も回転し、カムフォロア414との当接位置が変化する。なお、ラック102eの長さは、偏心カム417の当接位置から離間位置までの長さ(距離)以上の長さを有するように形成される。ここで、カム用ギヤ421は「円形状歯車」の一例であり、ラック102eは「板状歯車」の一例である。
【0084】
上記構成により、偏心カム417をカム駆動モータ420により通常動作させる際には、カム用ギヤ421がラック102eと接触しないので、カム駆動モータ420の負荷を低減することができる。
【0085】
また、偏心カム417の離間位置が何らかの理由で変動した場合などでも、離間状態において噛み合わないようにすることで、偏心カム417がどのような姿勢(位置)にあっても同じ位置まで動作することができる。
【0086】
図9は、第1の動力伝達部と第2の動力伝達部の別の構成例を示す説明図である。
図9(a)は二次転写ローラを中間転写ベルトに当接させたときの偏心カムの状態を示し、
図9(b)は二次転写ローラを中間転写ベルトから離間させたときの偏心カムの状態を示す。
【0087】
図9に示された構成は、カム用ギヤ421が全周に歯を有さない点が
図8の構成と相違する。
【0088】
カム用ギヤ421は、偏心カム417が
図9(b)に示されるように離間位置にある状態においてラック102eと対向する部位に、歯が形成されない構成としている。このようなカム用ギヤ421は、例えば、一部に歯が切られていない間欠歯車を用いることで実現可能であり、歯が噛み合った時だけ回転を伝達する。
【0089】
そして、操作レバー101を縦(固定位置)から横(解除位置)に動かす操作に伴い、第3リンク102cが図中右側(X方向負側)へ動き、ラック102eがカム用ギヤ421の回転範囲内に進入してくることで両者は噛み合い、カム用ギヤ421は回される。また、カム用ギヤ421と一緒に偏心カム417も回転し、カムフォロア414との当接位置が変化する。
【0090】
上記構成の場合にも、偏心カム417をカム駆動モータ420により通常動作させる際には、カム用ギヤ421がラック102eと接触しないので、カム駆動モータ420の負荷を低減することができる。また、偏心カム417の離間位置が何らかの理由で変動した場合などでも、離間状態において噛み合わないようにすることで、偏心カム417がどのような姿勢(位置)にあっても同じ位置まで動作することができる。
【0091】
<カム装置の動作>
以下、
図10乃至
図12を用いてカム装置の動作について説明する。
【0092】
図10は、カム装置の動作例を示す説明図であり、
図10(a)は正面図、
図10(b)は
図10(a)のA-A線矢視図である。
図10は、二次転写ローラを中間転写ベルトにモータで当接させた状態を示す。
【0093】
図11は、カム装置の動作例を示す説明図であり、
図11(a)は正面図、
図11(b)は
図11(a)のA-A線矢視図である。
図11は、二次転写ローラを中間転写ベルトからモータで離間させた状態を示す。
【0094】
図12は、カム装置の動作例を示す説明図であり、
図12(a)は正面図、
図12(b)は
図12(a)のA-A線矢視図である。
図12は、二次転写ローラを中間転写ベルトから手動で離間させた状態を示す。
【0095】
画像形成装置の一例であるプリンタ1000において画像形成を開始する場合は、
図10に示されるように、中間転写ベルト21に二次転写ローラ40(二次転写ベルト42)が当接し、中間転写ベルト21と二次転写ベルト42とによって二次転写ニップが形成される。
【0096】
二次転写ニップの形成においては、まずカム駆動モータ420が起動し、その動力はタイミングベルト419に伝達される。タイミングベルト419は、偏心カム417の回転軸と同軸上に固定された伝達プーリ418に動力を伝達し、伝達プーリ418を回転させる。伝達プーリ418が回転することで偏心カム417が同時に回転し、偏心カム417が揺動部406に設けたカムフォロア414を押し上げる。
【0097】
カムフォロア414が押し上げられることで、揺動部406は揺動軸46を支点として反時計まわり方向へ回動し、揺動部406に設けた加圧部材413が二次転写ローラ40のローラ軸44を押し上げる。ローラ軸44が押し上げられることで、二次転写部4は二次転写部固定軸407を支点として反時計まわり方向へ回動する。
【0098】
上記動作により、二次転写ローラ40(二次転写ベルト42)は中間転写ベルト21に当接し、二次転写ニップを形成する。なお、このときの操作レバー101は、引出ユニット100のロック手段の機能を兼ねる場合、
図6に示された状態を成し、引出ユニット100はプリンタ1000本体に固定されている。
【0099】
プリンタ1000において画像形成が終了した場合は、
図11に示されるように、二次転写ローラ40(二次転写ベルト42)が中間転写ベルト21から離間する。通常動作時の二次転写ローラ40(二次転写ベルト42)の離間においては、再びカム駆動モータ420が起動し、カム駆動モータ420の動力が、上述した二次転写ニップを形成する場合と同じ伝達系を経てカムフォロア414に伝達される。
【0100】
カムフォロア414の下降動作に伴い、揺動部406は揺動軸46を支点として時計まわり方向へ回動するとともに、揺動部406に設けた加圧部材413も下降する。ローラ軸44の下降に伴い、二次転写部4は二次転写部固定軸407を支点として時計まわり方向へ回動する。
【0101】
上記動作により、二次転写ローラ40(二次転写ベルト42)は中間転写ベルト21から離間し、二次転写ニップを開放する。なお、このときの操作レバー101も、二次転写ニップを形成するときと同じく
図6に示された状態を成し、引出ユニット100はプリンタ1000本体に固定されている。
【0102】
二次転写ニップを形成している状態でカム駆動モータ420の故障や電源遮断等が発生した場合は、
図12に示されるように、操作レバー101を操作して二次転写ニップを開放させる。
【0103】
カム駆動モータ420を駆動できない状態での二次転写ニップの開放においては、まず操作レバー101をレバー回動軸101aを支点として反時計まわり方向に90°手動で回転させる。操作レバー101の回転と共に第1リンク102aもレバー回動軸101aを支点として反時計まわり方向に90°回転するため、第2リンク102bおよび第3リンク102cは右側(X方向負側)へ移動する。
【0104】
これにより第3リンク102cに設けたラック102e(
図8、
図9参照)は、カム用ギヤ421の回転範囲内に進入し、カム用ギヤ421と噛み合う。ラック102eは右側(X方向負側)への移動によってカム用ギヤ421を回し、カム用ギヤ421と一緒に偏心カム417を回転させて、偏心カム417を離間位置まで回転させる。これにより、二次転写ニップは開放される。
【0105】
このときの操作レバー101は、引出ユニット100のロック手段の機能を兼ねる場合、
図7に示された状態を成し、二次転写ニップを開放する動作と同時に、プリンタ1000本体と引出ユニット100との固定を解除する。これにより、引出ユニット100はプリンタ1000本体から引き出し可能な状態となる。
【0106】
上述のように、本実施形態は、二次転写ローラ40を支持する揺動部406と、揺動部406を、二次転写ローラ40が二次転写対向ローラ22に当接する当接位置と、二次転写ローラ40が二次転写対向ローラ22から離間する離間位置とに移動させる偏心カム417と、偏心カム417を駆動するカム駆動モータ420と、偏心カム417に設けられるカム用ギヤ421と、カム用ギヤ421に接続可能なラック102eを有する操作手段(操作レバー101、リンク機構102)と、を備える。
【0107】
これにより、二次転写対向ローラ22と二次転写ローラ40とが当接している状態で、モータ故障や電源遮断等が発生した場合は、操作手段により手動で偏心カム417を離間位置に移動させることが可能になる。
【0108】
<補足>
実施形態は、揺動部406に二次転写ローラ40を支持させた構成に基づき説明したが、揺動部406に支持させる部材は二次転写ローラ40に限るものではなく、画像形成装置において当接・離間可能に構成される装置であれば適用可能である。
【0109】
また、画像形成装置は、電子写真方式のプリンタに限らず、例えばインクジェット方式など他の方式のプリンタであってもよい。
【0110】
以上説明したものは一例であり、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到し得る範囲内で変更することができ、次のいずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0111】
[態様1]
態様1は、対象部材(例えば二次転写ローラ40)を支持する支持部材(例えば揺動部406)と、前記支持部材を、前記対象部材が対向部材(例えば二次転写対向ローラ22)に当接する当接位置と、前記対象部材が前記対向部材から離間する離間位置とに移動させるカム部材(例えば偏心カム417)と、前記カム部材を駆動するモータ(例えばカム駆動モータ420)と、前記カム部材に設けられる第1の動力伝達部(例えばカム用ギヤ421)と、前記第1の動力伝達部に接続可能な第2の動力伝達部(例えばラック102e)を有する操作手段(例えば操作レバー101、リンク機構102)と、を備えることを特徴とするカム装置(例えば加圧装置400)である。態様1によれば、カム部材を手動で離間位置に移動させることが可能なカム装置を提供することができる。
【0112】
[態様2]
態様2は、態様1において、前記操作手段(例えば操作レバー101、リンク機構102)は、前記第2の動力伝達部(例えばラック102e)を前記第1の動力伝達部(例えばカム用ギヤ421)に接続させて、前記対象部材(例えば二次転写ローラ40)を前記当接位置から前記離間位置へ移動させることを特徴とするものである。態様2によれば、カム部材を手動で離間位置に移動させることが可能なカム装置を提供することができる。
【0113】
[態様3]
態様3は、態様1において、前記操作手段は、操作部(例えば操作レバー101)と、該操作部と前記第2の動力伝達部(例えばラック102e)とを接続するリンク機構(例えばリンク機構102、第1リンク102a、第2リンク102b、第3リンク102c)とを含むことを特徴とするものである。態様3によれば、カム部材を手動で離間位置に移動させることが可能なカム装置を提供することができる。
【0114】
[態様4]
態様4は、態様1において、前記カム部材は、前記モータ(例えばカム駆動モータ420)によって回転する偏心カム(例えば偏心カム417)であり、前記第1の動力伝達部は、前記偏心カムの回転軸と同軸に設けられた円形状歯車(例えばカム用ギヤ421)であり、前記第2の動力伝達部は、前記円形状歯車と噛み合う板状歯車(例えばラック102e)であることを特徴とするものである。態様4によれば、円形状歯車と板状歯車とで動力伝達を行うことで、狙いの位置まで容易に動かすことができる。
【0115】
[態様5]
態様5は、態様4において、前記対象部材(例えば二次転写ローラ40)の前記当接位置から前記離間位置への移動が、前記モータ(例えばカム駆動モータ420)により行われる場合、前記円形状歯車(例えばカム用ギヤ421)と前記板状歯車(例えばラック102e)とが噛み合わないように設けられることを特徴とするものである。態様5によれば、カム部材をモータにより通常動作させる際には、板状歯車が円形状歯車と接触しないので、モータの負荷を低減することができる。
【0116】
[態様6]
態様6は、態様5において、前記円形状歯車(例えばカム用ギヤ421)は、前記板状歯車(例えばラック102e)と対向する側に歯を有さないことを特徴とするものである。態様6によれば、カム部材をモータにより通常動作させる際には、板状歯車が円形状歯車と接触しないので、モータの負荷を低減することができる。
【0117】
[態様7]
態様7は、態様1乃至態様6のいずれかのカム装置(例えば加圧装置400)を、装置(例えばプリンタ1000)本体に対し引き出し可能にする引出ユニット(例えば引出ユニット100)であって、前記操作手段(例えば操作レバー101、リンク機構102)は、前記装置本体に対し前記引出ユニットの固定および解除を行うロック手段(例えばロック部材103)を備え、前記対象部材(例えば二次転写ローラ40)の前記当接位置から前記離間位置への移動と共に、前記装置本体に対する前記引出ユニットの固定の解除を行うことを特徴とするものである。態様7によれば、カム部材の離間位置への移動と、引出ユニットの固定解除とを操作手段で同時に行うことが可能になり、操作性を高めることができる。
【0118】
[態様8]
態様8は、態様7において、前記ロック手段(例えばロック部材103)によって前記引出ユニット(例えば引出ユニット100)が前記装置(例えばプリンタ1000)本体に固定されている状態において、前記第1の動力伝達部(例えばカム用ギヤ421)と前記第2の動力伝達部(例えばラック102e)とが接続しないように設けられることを特徴とするものである。態様8によれば、カム部材をモータにより通常動作させる際には、第2の動力伝達部が第1の動力伝達部と接触しないので、モータの負荷を低減することができる。
【0119】
[態様9]
態様9は、態様1乃至態様6のいずれかのカム装置(例えば加圧装置400)を備えることを特徴とする転写装置である。態様9によれば、転写ニップを手動で離間させることが可能な転写装置を提供することができる。
【0120】
[態様10]
態様10は、基材(例えばシートS)上に画像を形成する画像形成手段(例えば作像部1、一次転写部2、二次転写部4および露光部8)と、態様1乃至態様6のいずれかのカム装置(例えば加圧装置400)と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。態様10によれば、当接・離間可能に設けられた部材同士を手動で離間させることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0121】
[態様11]
態様11は、基材(例えばシートS)上に画像を形成する画像形成手段(例えば作像部1、一次転写部2、二次転写部4および露光部8)と、態様7または態様8の引出ユニット(例えば引出ユニット100)と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。態様11によれば、カム部材の離間位置への移動と、引出ユニットの固定解除とを同時に行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0122】
1000 プリンタ
2 一次転写部
21 中間転写ベルト
22 二次転写対向ローラ
4 二次転写部
40 二次転写ローラ
41 駆動ローラ
42 二次転写ベルト
43 駆動ローラギヤ
44 ローラ軸
46 揺動軸
100 引出ユニット
101 操作レバー
102 リンク機構
102e ラック
103 ロック部材
400 加圧装置
406 揺動部
412 二次転写ベルト駆動モータ
413 加圧部材
414 カムフォロア
417 偏心カム
420 カム駆動モータ
421 カム用ギヤ