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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163571
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20241115BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241115BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B23Q17/24 C
H01L21/78 L
B23Q17/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079311
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】根橋 功一
(72)【発明者】
【氏名】川澄 健人
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンジン
【テーマコード(参考)】
3C029
5F063
【Fターム(参考)】
3C029AA04
3C029AA40
5F063AA02
5F063CB05
5F063CB06
5F063DD26
5F063DD32
5F063DE11
5F063DE32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工ユニットの位置による制限を受けることなく撮像領域を設定することができる加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置は、保持ユニット28により保持された被加工物11で反射される反射光52を受光するための受光面を有する受光ユニット46と、反射光を受光面に結像する結像ユニット48と、を備え、該結像ユニットは、保持面を含む平面に対して結像ユニットの光軸が斜めに交わるように配置され、受光ユニット及び結像ユニットは、保持面に対して平行な平面と該結像ユニットの主面と、受光ユニットの受光面を含む平面と、が直線状の領域で交わるように配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を有する保持ユニットと、
該保持ユニットにより保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、
該保持ユニットにより保持された該被加工物で反射される反射光を受光するための受光面を有する受光ユニットと、
該反射光を該受光面に結像する結像ユニットと、を備え、
該結像ユニットは、該保持面を含む平面に対して該結像ユニットの光軸が斜めに交わるように配置され、
該受光ユニット及び該結像ユニットは、該保持面に対して平行な平面と、該結像ユニットの主面と、該受光ユニットの該受光面を含む平面と、が直線状の領域で交わるように配置されている加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機及びパーソナルコンピュータ等の電子機器に利用される半導体チップの製造工程では、半導体ウェーハの表面に複数の分割予定ラインが格子状に設定され、この複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域のそれぞれに、IC(Integrated circuit)等のデバイスが形成される。そして、この半導体ウェーハが複数の領域ごとに分割されることにより、それぞれにデバイスが形成された複数の半導体チップが得られる。
【0003】
上述した半導体ウェーハのような板状の被加工物を分割する際には、例えば、環状の切削ブレードが装着される加工ユニットを備えた切削装置や、レーザービームを照射できる加工ユニットを備えたレーザー加工装置等の加工装置が使用されている。これらの加工装置は、例えば、被加工物を保持するためのチャックテーブルを備えており、このチャックテーブルと、加工ユニットと、を相対的に移動させることにより被加工物を自在に加工する。
【0004】
ところで、被加工物が高い精度で加工されるためには、チャックテーブルにより保持された被加工物と、加工ユニットと、の位置の関係に関する精度の高い情報が必要になる。そのため、上述した加工装置には、チャックテーブルにより保持された被加工物を撮像可能な撮像ユニットが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
加工装置は、この撮像ユニットにより被加工物を撮像することで、被加工物と、加工ユニットと、の位置の関係に関する情報を取得し、これらの位置の関係を調整する(アライメント)。なお、撮像ユニットは、加工後の被加工物の状態(代表的には、加工により形成された溝などの状態)を確認する際にも使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-4806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の加工装置に備えられている撮像ユニットは、一般的に、その直下の領域のみを撮像できるように構成されている。更に、撮像ユニットの配置される位置は、加工ユニットの位置により制限を受け、加工ユニットと同じ位置に撮像ユニットを配置することができない。
【0008】
よって、従来の加工装置では、撮像ユニットにより撮像される撮像領域を設定する際に、加工ユニットの位置による制限を受けていた。すなわち、加工ユニットの直下に撮像領域を設定することはできなかった。そのため、例えば、加工ユニットで被加工物を加工しながら、その加工に係る領域を同時に撮像ユニットで撮像することは難しかった。
【0009】
よって、本発明の目的は、加工ユニットの位置による制限を受けることなく撮像領域を設定することができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、被加工物を保持する保持面を有する保持ユニットと、該保持ユニットにより保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、該保持ユニットにより保持された該被加工物で反射される反射光を受光するための受光面を有する受光ユニットと、該反射光を該受光面に結像する結像ユニットと、を備え、該結像ユニットは、該保持面を含む平面に対して該結像ユニットの光軸が斜めに交わるように配置され、該受光ユニット及び該結像ユニットは、該保持面に対して平行な平面と、該結像ユニットの主面と、該受光ユニットの該受光面を含む平面と、が直線状の領域で交わるように配置されている加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面に係る加工装置は、保持ユニットにより保持された被加工物で反射される反射光を受光するための受光面を有する受光ユニットと、反射光を受光面に結像する結像ユニットと、を備える。そして、結像ユニットは、保持ユニットの保持面を含む平面に対して結像ユニットの光軸が斜めに交わるように配置され、受光ユニット及び結像ユニットは、保持面に対して平行な平面と、結像ユニットの主面と、受光ユニットの受光面を含む平面と、が直線状の領域で交わるように配置されている。
【0012】
このため、結像ユニットは、受光ユニット及び結像ユニットの直下にない領域からの光を受光ユニットの受光面に結像させることができる。つまり、受光ユニットは、受光ユニット及び結像ユニットの直下にない領域を撮像することができる。よって、本発明の一側面に係る加工装置によれば、加工ユニットの位置による制限を受けることなく撮像領域を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る加工装置の斜視図である。
図2図2は、フレームに保持された被加工物の斜視図である。
図3図3は、本実施形態の加工装置に係る加工ヘッド及び撮像ユニット等の側面図である。
図4図4は、従来の加工装置に係る加工装置の加工ヘッド及び撮像ユニット等の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る加工装置2を示す斜視図である。本実施形態における加工装置2は、レーザー加工装置である。なお、図1では、一部の構成要素が機能ブロックで表現されている。また、以下の説明で用いられるX軸(加工送り軸)、Y軸(割り出し送り軸)及びZ軸(鉛直軸)は、互いに垂直である。
【0015】
加工装置2は、加工装置2を構成する各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上面は水平面(XY平面)と概ね平行な平坦面であり、基台4の上面には、移動ユニット(移動機構)6が配置されている。移動ユニット6は、Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)8と、X軸移動ユニット(X軸移動機構)18とを備える。
【0016】
Y軸移動ユニット8は、Y軸に沿う方向(Y軸方向)に配置された一対のY軸ガイドレール10を備える。一対のY軸ガイドレール10には、平板状のY軸移動テーブル12が、Y軸ガイドレール10に沿ってスライド可能に装着されている。
【0017】
Y軸移動テーブル12の裏面(下面)側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部には、一対のY軸ガイドレール10の間に、Y軸方向に配置されたY軸ボールねじ14が螺合されている。また、Y軸ボールねじ14の端部には、Y軸ボールねじ14を回転させるY軸パルスモータ16が連結されている。Y軸パルスモータ16でY軸ボールねじ14を回転させると、Y軸移動テーブル12がY軸ガイドレール10に沿って移動する。
【0018】
X軸移動ユニット18は、Y軸移動テーブル12の表面(上面)側に、X軸に沿う方向(X軸方向)に配置された一対のX軸ガイドレール20を備える。一対のX軸ガイドレール20には、平板状のX軸移動テーブル22が、X軸ガイドレール20に沿ってスライド可能に装着されている。
【0019】
X軸移動テーブル22の裏面(下面)側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部には、一対のX軸ガイドレール20の間にX軸方向に沿って配置されたX軸ボールねじ24が螺合されている。また、X軸ボールねじ24の端部には、X軸ボールねじ24を回転させるX軸パルスモータ26が連結されている。X軸パルスモータ26でX軸ボールねじ24を回転させると、X軸移動テーブル22がX軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。
【0020】
移動ユニット6には、チャックテーブル(保持ユニット)28が支持されている。チャックテーブル28は、X軸移動テーブル22の表面(上面)に設置され、加工装置2によるレーザー加工の対象物である被加工物11を保持する。
【0021】
図2は、フレーム17に保持された被加工物11の斜視図である。図2に示されるように、被加工物11は、概ね円形状の表面11aと、概ね円形状の裏面11bと、を有する円盤形状に構成されている。また、被加工物11の外周の一部には、被加工物11の結晶方位を示すためのノッチ11cが形成されている。被加工物11は、例えば、直径(幅)が100mm以上300mm以下、厚みが0.1mm以上0.8mm以下の単結晶シリコン基板である。
【0022】
なお、被加工物11の形状、直径(又は幅)、厚み及び材質は、これに限られない。例えば、被加工物11は、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)及び炭化ケイ素(SiC)等のシリコン以外の半導体でなる基板(ウェーハ)であっても良いし、サファイア、ガラス、セラミックス、樹脂又は金属等でなる基板(ウェーハ)であってもよい。また、ノッチ11cは形成されていなくても良く、ノッチ11cの代わりにオリエンテーションフラットが形成されていても良い。
【0023】
被加工物11の表面11a側は、互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)13によって、複数の矩形状の領域に区画されている。この複数の矩形状の領域には、それぞれ、IC(Integrated Circuit)、LED(Light Emitting Diode)及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイス15が形成されている。なお、デバイス15の種類、数、形状、構造、大きさ及び配置等に制限はなく、被加工物11にはデバイス15が形成されていなくてもよい。
【0024】
被加工物11を加工装置2(図1参照)で加工する際には、被加工物11の取り扱い(搬送、保持等)の便宜のため、被加工物11が環状のフレーム17によって支持される。フレーム17は、例えば、SUS(ステンレス鋼)等の金属で構成され、フレーム17の中央部にはフレーム17を厚さ方向に貫通する円形の開口17aが設けられている。なお、開口17aの直径は、被加工物11の直径よりも大きい。
【0025】
被加工物11及びフレーム17には、円形のシート19が固定される。シート19は、例えば、フィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを含む粘着テープである。基材は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層は、エポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。なお、粘着層は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化樹脂で構成されてもよい。
【0026】
被加工物11がフレーム17の開口17aの内側に配置された状態で、シート19の中央部が被加工物11の裏面11b側に貼付され、シート19の外周部がフレーム17に貼付される。これにより、被加工物11がシート19を介してフレーム17によって支持され、被加工物11、フレーム17及びシート19を含む基板ユニット(フレームユニット)が構成される。なお、被加工物11は、フレーム17に支持されていなくても良い。
【0027】
図1に示されるように、チャックテーブル28の上面は、水平面(XY平面)と概ね平行な平坦面であり、被加工物11を保持する保持面28aを構成している。保持面28aは、チャックテーブル28の内部に形成された流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル28の周囲には、フレーム17を把持して固定する複数のクランプ30が設けられている。
【0028】
Y軸移動テーブル12をY軸方向に移動させると、チャックテーブル28がY軸方向に移動する。また、X軸移動テーブル22をX軸方向に移動させると、チャックテーブル28がX軸方向に移動する。更に、チャックテーブル28には、チャックテーブル28をZ軸に沿う方向(Z軸方向)と概ね平行な回転軸の周りに回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0029】
基台4の後端部(移動ユニット6の後方)には、直方体状の支持構造32が設けられている。支持構造32は、基台4の上面から上方に突出するように形成され、支持構造32の表面(前面)はXZ平面に沿って配置されている。支持構造32には、支持構造32の前面から前方に突出する柱状の支持部材34が接続されている。
【0030】
加工装置2には、被加工物11にレーザービームを照射する加工ユニット(レーザー照射ユニット)36が搭載されている。加工ユニット36は、レーザー発振器(図示せず)を備える。このレーザー発振器は、レーザー発振に適したNd:YAG等のレーザー媒質を含む。また、加工ユニット36は、支持部材34の先端部に装着された加工ヘッド(レーザー加工ヘッド)38を備える。レーザー発振器で生成されたレーザービームが、加工ヘッド38を介してチャックテーブル28で保持された被加工物11に照射されることにより、被加工物11にレーザー加工が施される。
【0031】
なお、支持部材34は、支持部材34をZ軸方向に沿って移動させるZ軸移動ユニット(不図示)を介して支持構造32に接続されていてもよい。例えば、支持構造32の前面側に、ボールねじを備えるボールねじ式の移動機構がZ軸移動ユニットとして設置される。この場合、Z軸移動ユニットで支持部材34をZ軸方向に沿って移動(昇降)させることにより、加工ヘッド38から照射されるレーザービームの集光点の高さ位置の調節が行われる。
【0032】
また、支持部材34の先端部には、例えば、加工ユニット36の加工ヘッド38に対してX軸に沿って並ぶように、加工ヘッド38の下方の領域を撮像するための撮像ユニット44が設けられている。この撮像ユニット44は、受光ユニット46と、結像ユニット48と、を含む。なお、撮像ユニット44の配置は、これに限定されない。
【0033】
更に、加工装置2は、加工装置2の各部を制御するコントローラ40を備える。コントローラ40は、加工装置2を構成する各構成要素(移動ユニット6、チャックテーブル28及び加工ユニット36等)に接続されている。各構成要素の動作は、このコントローラ40により制御される。
【0034】
コントローラ40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置でなる処理部40aと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置及び/又はハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置でなる記憶部40bと、を含むコンピュータによって構成される。記憶部40bに記憶されているプログラム(ソフトウェア)に従い処理部40aが動作することによって、コントローラ40の機能が実現される。ただし、コントローラ40は、ハードウェアのみによって実現されてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の撮像ユニット44、すなわち、受光ユニット46及び結像ユニット48について詳細に説明する。図3は、本実施形態の加工装置2に係る加工ヘッド38及び撮像ユニット44等の側面図である。図3に示されるように、受光ユニット46は、例えば、光が入射する受光面46aを備えた受光素子を含む。この受光素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等であり、受光面46aに入射する光の強さに応じた電気信号を生成する。
【0036】
結像ユニット48は、例えば、可視域の光を屈折させるレンズ等の光学素子を含む。図3に示されるように、結像ユニット48は、その光軸48aがZ軸に対して傾斜するように配置される。物点から放出された光52の一部は、結像ユニット48に入射し、像点54に収束する(結像)。この像点54に収束した光は受光ユニット46の受光面46aに受光される。
【0037】
上述した撮像ユニット44を備える加工装置2を用いて被加工物11を加工する際の手順について説明する。本実施形態では、上述した撮像ユニット44により取得される画像情報が、被加工物11と加工ユニット36(加工ヘッド38)との位置合わせや、被加工物11の加工が施される予定の領域の観察、被加工物11の加工が施されている最中の領域の観察及び被加工物11の加工が施された後の領域の観察等に使用される。
【0038】
被加工物11の加工の際には、フレーム17によって支持された状態の被加工物11が搬送機構(不図示)によりチャックテーブル28の保持面28aに配置される。例えば、被加工物11は、表面11a側が上方に露出し、裏面11b側(シート19側)が保持面28aに対面するように、チャックテーブル28上に配置される。なお、被加工物11の裏面11b側(シート19側)が上方に露出し、表面11a側が保持面28aに対面するように、チャックテーブル28上に配置されても良い。
【0039】
また、フレーム17(図2参照)は、複数のクランプ30(図1参照)によって固定される。この状態で、保持面28aに吸引源の吸引力(負圧)を作用させると、被加工物11がシート19を介してチャックテーブル28によって吸引保持される。なお、被加工物11は、オペレータにより手動でチャックテーブル28の保持面28aに配置されても良い。
【0040】
次に、加工ユニット36(加工ヘッド38)とチャックテーブル28との位置関係が移動ユニット6により調整される。この際、被加工物11の表面11aの一部の領域により反射された光が結像ユニット48を介して受光ユニット46の受光面46aに結像され、被加工物11の表面11aの一部の領域の画像情報が取得される。この画像情報を用いて、被加工物11と加工ユニット36との位置関係が調整される。
【0041】
具体的には、被加工物11の加工が予定されている領域に対してレーザービーム50の集光点が適切に配置されるように、被加工物11のX軸方向及びY軸方向の位置が、画像情報から得られる被加工物11のアライメントマークの位置を基準に、移動ユニット6により調整される。アライメントマークとしては、例えば、被加工物11に形成されたデバイス15のパターンの一部が利用される。なお、被加工物11のノッチ11cやオリエンテーションフラットがアライメントマークとして使用されても良いし、これら以外の被加工物11にあらかじめ設けられたマークが用いられても良い。
【0042】
加工ユニット36とチャックテーブル28との位置関係が移動ユニット6により適切に調整された後、被加工物11にレーザービーム50が照射される。レーザービーム50の照射条件は、被加工物11に施されるレーザー加工の内容に応じて適宜設定される。例えば、被加工物11に吸収される波長のレーザービーム50を被加工物11に照射することにより、被加工物11にアブレーション加工が施される。
【0043】
具体的には、被加工物11に対して吸収性を有するレーザービーム50を被加工物11の表面11aや内部等に集光させつつ、チャックテーブル28を移動ユニット6(図1)によって加工送り方向(X軸方向)に沿って移動させる。これにより、チャックテーブル28とレーザービーム50とが相対的に移動し、レーザービーム50が加工送り方向に沿って走査される。
【0044】
その結果、被加工物11の表面11aに、所定の深さを有する溝がストリート13に沿って形成される。その後、同様の手順を繰り返すことにより、他のストリート13に沿ってレーザービーム50が照射される。このようにして、被加工物11の表面11a側の各ストリート13に沿って複数の溝が格子状に形成される。
【0045】
この場合、レーザービーム50の照射条件は、被加工物11が適切にアブレーション加工されるように設定される。例えば、被加工物11が単結晶シリコンウェーハである場合には、レーザービーム50の波長は、260nm以上600nm以下、代表的には、355nmに設定される。レーザービーム50の平均出力は、0.5W以上5.0W以下、代表的には、2.0Wに設定される。レーザービーム50の繰り返し周波数は、10kHz以上500kHz以下、代表的には、100kHzに設定される。被加工物11の加工送り速度は、50mm/s以上1500mm/s以下、代表的には、600mm/sに設定される。
【0046】
また、被加工物11のうちレーザービーム50が照射された領域が多光子吸収によって改質(変質)されるように、レーザービーム50の照射条件が設定されても良い。具体的には、レーザービーム50の波長は、少なくともレーザービーム50の一部が被加工物11を透過するように設定される。すなわち、レーザービーム50は、被加工物11に対して透過性を有する。
【0047】
この場合、レーザービーム50の照射条件は、被加工物11が適切に改質されるように設定される。例えば、被加工物11が単結晶シリコンウェーハである場合には、レーザービーム50の波長は、レーザービーム50の波長は、800nm以上1500nm以下、代表的には、1064nmに設定される。レーザービーム50の平均出力は、0.5W以上5.0W以下、代表的には、2.0Wに設定される。レーザービーム50の繰り返し周波数は、10kHz以上500kHz以下、代表的には、100kHzに設定される。被加工物11の加工送り速度は、50mm/s以上1500mm/s以下、代表的には、600mm/sに設定される。加工に係る動作は、アブレーション加工の場合と同様である。
【0048】
被加工物11のうちレーザービーム50が照射され改質された領域(改質層)は、被加工物11の他の領域よりも脆くなる。そのため、被加工物11に外力を付与すると、被加工物11が改質層を起点として分割される。すなわち、改質層は分割起点(分割のきっかけ)として機能する。
【0049】
図3に示されるように、本実施形態に係る撮像ユニット44の結像ユニット48は、チャックテーブル28の保持面28aを含む平面に対して結像ユニット48の光軸48aが斜めに交わるように配置されている。また、チャックテーブル28の保持面28aと、チャックテーブル28(保持面28a)により保持された被加工物11の表面11aとは、略平行である。したがって、結像ユニット48は、被加工物11の表面11aを含む平面に対して結像ユニット48の光軸48aが斜めに交わるように配置されている。
【0050】
また、図3に示されるように、受光ユニット46及び結像ユニット48は、保持面28aに対して平行な平面Aと、結像ユニット48の主面(主平面:主点を通り、光軸48aに対して垂直な面)Bと、受光ユニット46の受光面46aを含む平面Cと、が直線状の領域で交わるように配置されている。
【0051】
上述の通り、チャックテーブル28の保持面28aと、チャックテーブル28(保持面28a)により保持された被加工物11の表面11aとは、略平行である。また、本実施形態では、保持面28aに対して平行な平面Aが、チャックテーブル28(保持面28a)により保持された被加工物11の表面11aと略一致するように設定される。
【0052】
したがって、受光ユニット46及び結像ユニット48は、チャックテーブル28(保持面28a)により保持された被加工物11の表面11aを含む平面Aと、結像ユニット48の主面Bと、受光ユニット46の受光面46aを含む平面Cと、が直線状の領域で交わるように配置されている。言い換えると、受光ユニット46及び結像ユニット48は、チャックテーブル28により保持された被加工物11の表面11aを含む平面Aに関して、シャインプルーフの原理を満たすように配置されている。
【0053】
このような位置及び向きの関係を満たすことにより、被加工物11の表面11aを含む平面Aに対して結像ユニット48の光軸48aが斜めに交わるように配置されている場合でも、受光面46aにおける適切な結像が可能になる。すなわち、受光ユニット46及び結像ユニット48の直下にない領域からの光が、受光ユニット46の受光面46aに適切に結像される。
【0054】
そのため、本実施形態の撮像ユニット44によれば、受光ユニット46及び結像ユニット48の直下にない領域を撮像領域として設定することができる。言い換えれば、受光ユニット46及び結像ユニット48で撮像される撮像領域は、加工ユニット36が備える加工ヘッド38の位置の制限を受けることなく設定され得る。したがって、本実施形態の撮像ユニット44は、加工ヘッド38の直下の領域を撮像ユニット44の撮像領域として設定することができる。
【0055】
この結果、図3に示されるように、受光ユニット46及び結像ユニット48は、被加工物11にレーザービーム50が照射されている最中に、被加工物11のレーザービーム50が照射されている領域を撮像することができる。なお、受光ユニット46及び結像ユニット48で撮像される領域は、図3に示されるレーザービーム50が照射される領域に限られず、被加工物11の任意の領域に設定され得る。
【0056】
図4は、従来の加工装置に係る加工ヘッド62及び撮像ユニット56等の側面図である。図4に示されるように、従来の加工装置の結像ユニット60は、被加工物11の表面11aを含む平面に対して結像ユニット60の光軸60aがほぼ垂直に交わるように配置されている。すなわち、受光ユニット58及び結像ユニット60は、その直下にある領域のみを撮像できるように構成されている。
【0057】
このため、従来の加工装置では、加工ヘッド62と同じ位置に受光ユニット58及び結像ユニット60を配置することができない。つまり、受光ユニット58及び結像ユニット60は、被加工物11にレーザービーム50が照射されている最中に、被加工物11のレーザービーム50が照射されている領域を撮像することはできない。
【0058】
以上、説明した通り、本実施形態によれば、受光ユニット46及び結像ユニット48の撮像領域が加工ユニット36の位置による制限を受けない加工装置2が提供される。
【0059】
なお、上述した実施形態では、例えば、加工ユニット36として、レーザー照射ユニットが例に挙げられているが、加工ユニットは、環状の切削ブレードが装着される切削ユニットでも良い。すなわち、本発明の加工装置は、環状の切削ブレードが装着される切削ユニットを加工ユニットとして備える切削装置でも良い。
【0060】
その他、上述の実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて変更して実施され得る。
【符号の説明】
【0061】
11 被加工物
11a 表面
11b 裏面
13 ストリート(分割予定ライン)
15 デバイス
17 フレーム
17a 開口
19 シート
2 レーザー加工装置
4 基台
6 移動ユニット(移動機構)
8 Y軸移動ユニット(Y軸移動機構)
10 Y軸ガイドレール
12 Y軸移動テーブル
14 Y軸ボールねじ
16 Y軸パルスモータ
18 X軸移動ユニット(X軸移動機構)
20 X軸ガイドレール
22 X軸移動テーブル
24 X軸ボールねじ
26 X軸パルスモータ
28 チャックテーブル(保持ユニット)
28a 保持面
30 クランプ
32 支持構造
34 支持部材
36 加工ユニット(レーザー照射ユニット)
38 加工ヘッド(レーザー加工ヘッド)
40 コントローラ
40a 処理部
40b 記憶部
42 保持ユニット
44 撮像ユニット
46 受光ユニット
46a 受光面
48 結像ユニット
48a 光軸
50 レーザービーム
52 反射光
54 像点
56 撮像ユニット
58 受光ユニット
58a 受光面
60 結像ユニット
60a 光軸
62 加工ヘッド(レーザー加工ヘッド)
図1
図2
図3
図4