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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163741
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】生物用の飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/37 20160101AFI20241115BHJP
   A23K 50/80 20160101ALI20241115BHJP
   A23K 10/12 20160101ALI20241115BHJP
【FI】
A23K10/37
A23K50/80
A23K10/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079595
(22)【出願日】2023-05-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2018年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、国際科学技術共同研究推進事業(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)「地方電化及び副産物の付加価値化をめざした作物残渣からの革新的油脂抽出技術の開発と普及」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】土屋 陽子
(72)【発明者】
【氏名】寺添 斉
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA02
2B005GA03
2B005KA03
2B005LB01
2B005LB02
2B150AA08
2B150AB02
2B150AE02
2B150BB01
2B150CA03
2B150CA22
2B150CE07
(57)【要約】
【課題】原料を購入することなく養殖魚の飼料を得る。
【解決手段】米ぬかが由来の米ぬか残渣の重量割合が10%以上60%以下であり、米ぬかは、稲わらなどに由来する納豆菌により発酵処理されて、栄養分として、タンパク質が30%以上含まれている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物・植物性残渣が由来の成分からなり、栄養分として、タンパク質が30%以上含まれる
ことを特徴とする生物用の飼料。
【請求項2】
請求項1に記載の生物用の飼料において、
前記生物・植物性残渣は、農業残渣である、米ぬかが由来の米ぬか残渣であり、
前記米ぬか残渣の重量割合が10%以上である
ことを特徴とする生物用の飼料。
【請求項3】
請求項2に記載の生物用の飼料において、
前記米ぬか残渣の重量割合が60%以下である
ことを特徴とする生物用の飼料。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料において、
前記生物・植物性残渣が由来の成分として、
植物残渣が由来とされる脂肪源が含まれ、栄養分としての脂肪の割合が2%から15%とされる
ことを特徴とする生物用の飼料。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料において、
前記生物・植物性残渣が由来の成分として、
大豆が由来の大豆残渣のタンパク質源、及び/または、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料で飼育された生物の残渣が由来のタンパク質源が含まれる
ことを特徴とする生物用の飼料。
【請求項6】
請求項2に記載の生物用の飼料において、
前記米ぬかは、納豆菌により発酵処理されている
ことを特徴とする生物用の飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物・植物性残渣を用いた生物用の飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、開発途上国、開発途上地域への支援、援助として、農業の援助、水産業の援助が知られている。水産業の援助の一つとして、魚の養殖に対する援助を行うことができれば、安定した経済の支援に結びつくことができると考えられている。魚の養殖を行う場合、所望の栄養分を有する飼料を調達することが重要であり、安価にしかも容易に飼料の調達が行えることが望ましい。
【0003】
養魚用の飼料として、主としてタンパク質が重要である。タンパク質供給源としては、魚粉や、魚粉代替原料として、大豆粕やコーングルテンミール等の植物性タンパク質や、チキンミール等の動物性タンパク質、イノシンなどを用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
従来から知られている養魚用の飼料は、魚粉、魚粉代替原料としてのコーングルテンミール、チキンミール、イノシンなど用いられている。このため、飼料としては、使用する国や地域以外での原料が必要となり、飼料を調達(製造)する場合には、原料の購入などでコストが嵩む問題があった。したがって、開発途上国、開発途上地域など、資金に限りがある国や地域では、養魚用の飼料を調達することが困難であり、魚の養殖に対する援助が行いにくい状況であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6763453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、生物・植物性残渣を用いることで、原料を購入することなく製造できる生物用の飼料を提供することを目的とする。
【0007】
つまり、例えば、主に農業が主な産業である開発途上国、開発途上地域であっても、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく製造できる生物用の飼料を提供し、農業が主な産業である地域での魚の養殖の促進を図ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に係る生物用の飼料は、生物・植物性残渣が由来の成分からなり、栄養分として、タンパク質が30%以上含まれることを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る本発明では、生物・植物性残渣が由来の物だけを用いて、タンパク質が含まれる生物用の飼料を製造することができる。即ち、地域での農業残渣、養殖物の残渣だけから構成される(購入品の成分は含まない)飼料とすることが可能になる。生物・植物性残渣(残渣)としては、ろ過後の固体、絞り出した流体などを用いることができる。
【0010】
これにより、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく生物用の飼料を製造することが可能になる。
【0011】
つまり、例えば、主に農業が主な産業である開発途上国、開発途上地域であっても、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく製造できる生物用の飼料を提供し、農業が主な産業である地域での魚の養殖の促進を図ることが可能になる。
【0012】
そして、請求項2に係る本発明の生物用の飼料は、請求項1に記載の生物用の飼料において、前記生物・植物性残渣は、農業残渣である、米ぬかが由来の米ぬか残渣であり、前記米ぬか残渣の重量割合が10%以上であることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明では、農業残渣である、米ぬかが由来の米ぬか残渣を用いて生物用の飼料を製造することが可能になる。
【0014】
また、請求項3に係る本発明の生物用の飼料は、請求項2に記載の生物用の飼料において、前記米ぬか残渣の重量割合が60%以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る本発明では、米ぬかが由来の米ぬか残渣の重量割合を、10%以上60%以下の範囲で使用し、生物用の飼料を製造することが可能になる。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の生物用の飼料は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料において、前記生物・植物性残渣が由来の成分として、植物残渣が由来とされる脂肪源が含まれ、栄養分としての脂質(脂肪)の割合が2%から15%とされることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、植物残渣が由来とされる脂肪源(例えば、なたね油、ひまわり油の搾り滓)を加え、植物残渣の脂肪源を含ませることで、全体としての脂質(脂肪)の割合を2%から15%にすることができる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の生物用の飼料は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料において、前記生物・植物性残渣が由来の成分として、大豆が由来の大豆残渣のタンパク質源、及び/または、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物用の飼料で飼育された生物の残渣が由来のタンパク質源が含まれることを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る本発明では、大豆が由来の大豆残渣(大豆粕)のタンパク質源、生物用の飼料で飼育された生物の残渣が由来のタンパク質源を加えることができる。例えば、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュを飼育する場合、本発明の飼料で飼育された魚のうち、廃棄される廃棄魚の魚粉がタンパク質源として添加される。
【0020】
また、請求項6に係る本発明の生物用の飼料は、請求項2に記載の生物用の飼料において、前記米ぬかは、納豆菌(稲わらや枯草に生息する納豆菌:稲わらなどに由来する納豆菌)により発酵処理されていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る本発明では、米ぬかは、稲わらなどに由来する納豆菌により発酵処理されているので、長期保存が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の生物用の飼料は、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく生物用の飼料を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る生物用の飼料の製造システムの全体の概念図である。
図2】本発明の実施例に係る生物用の飼料の製造工程図である。
図3】本発明の実施例に係る生物用の飼料の外観図である。
図4】養殖魚の飼料に求められる栄養成分を表す表図である。
図5】本発明の実施例に係る生物用の飼料の配合割合を表す表図である。
図6】本発明の実施例に係る生物用の飼料の栄養成分の割合を表す表図である。
図7】生物用の飼料の配合割合の比較例を表す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に基づいて飼料の製造システムの全体像を説明する。
図1には本発明の実施例に係る生物用の飼料の製造システムの全体の状況を説明する概念を示してある。
【0025】
図に示すように、例えば、農業を主な産業とする開発途上国において、稲作により米を生産した後の残渣である米ぬかが配合物として飼料製造手段1で使用される。また、飼料製造手段1では、植物の残渣(生物・植物性性残渣)がタンパク質源、脂質源として使用される。
【0026】
生物・植物性残渣としては、地産物である、なたね搾油の滓、ひまわり搾油の滓(ひまわり滓)、大豆粕、小麦粉が用いられる。また、タンパク源として、養殖で育てた魚のうち廃棄される魚の魚粉(生物・植物性残渣)が飼料製造手段1で使用される。
【0027】
飼料製造手段1で製造された飼料は、栄養成分として、タンパク質が30%以上含まれている。生物・植物性残渣が由来の物だけを用いて、タンパク質が含まれる生物用の飼料を製造することができる。即ち、地域での農業残渣、養殖物の残渣だけから構成される(購入品の成分は含まない)飼料とすることが可能になる。生物・植物性残渣(残渣)としては、ろ過後の固体、絞り出した流体・滓などを用いることができる。
【0028】
これにより、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく生物用である魚用の飼料を製造することが可能になる。養殖される魚としては、例えば、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュが適用される。
【0029】
飼料製造手段1で製造された飼料は、魚の養殖を行う養殖場2で魚の餌として用いられる。養殖場2で養殖された魚は、養殖魚として出荷されて収入源となる。また、死滅した魚など廃棄される魚は、魚粉にされて飼料製造手段1で使用される。
【0030】
このため、主に農業が主な産業である開発途上国、開発途上地域であっても、生物・植物性残渣を用いて、原料を購入することなく魚の養殖を営むことができ、農業が主な産業である地域での魚の養殖(新たな産業)の促進を図ることが可能になる。
【0031】
図2図3に基づいて飼料の具体例を説明する。
図2には本発明の実施例に係る生物用の飼料の製造の工程の状況、図3には飼料の外観の状況を示してある。
【0032】
図2に示すように、ステップS1では、米ぬか(米ぬか残渣)が供給されてステップS2で発酵が実施される。ステップS2では、稲わらや枯草に生息する納豆菌(稲わらなどに由来する納豆菌)が加えられ、室温で14日の間発酵が行われる。この間、重量含水率(水分含量)が約40%から60%に維持されるように加水される。14日間の発酵が終了した後、ステップS3で大豆粕(大豆残渣)、なたね滓(なたね油絞り滓)、必要により魚粉が添加される。ステップS4で混錬され、ステップS5で必要な大きさ、形状に成形され、飼料5とされる。
【0033】
図3に示すように、飼料5は、直径1mm程度、長さが1mm程度の任意の小粒片に成形され、ハンドリング、搬送などで形状が壊れない強度に製造されている。
【0034】
図4から図6に基づいて飼料5の配合割合、栄養成分の状況を具体例(実施例)に説明する。
【0035】
図4には養殖魚(例えば、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュ)の飼料に求められる栄養成分の具体例、図5には配合物の配合割合(重量割合)の実施例の一覧、図6には各実施例の配合における栄養成分の状況の一覧を示してある。
【0036】
図4に示すように、例えば、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュの養殖用の飼料の成分として、タンパク質(粗タンパク質)、脂質(粗脂質)、せんい(粗せんい)、灰分(粗灰分)、無窒素分(可溶無窒素物)が要求されている。
【0037】
そして、要求される栄養成分の割合の目安としては、タンパク質(粗タンパク質)が15%から55%、脂質(粗脂質)が0.5%から15%、せんい(粗せんい)が0.5%から10%、灰分(粗灰分)が0.4%から18%、無窒素分(可溶無窒素物)が45%未満とされている(国際連合食糧農業機関の仕様に基づく)。
【0038】
図5に基づいて配合物の配合割合の実施例を説明する。
【0039】
実施例1
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、なたね滓(なたね油の絞滓:脂質)、ひまわり滓(ひまわり油の搾り滓:脂質)、魚粉(ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュなどを飼育する場合、本発明の飼料で飼育された魚のうち、廃棄される廃棄魚の魚粉:タンパク質源)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか10%(10%以上60%以下)、大豆粕15%、なたね滓15%、ひまわり滓10%、魚粉50%とされている。
【0040】
実施例2
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、小麦粉(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、なたね滓(なたね油の絞滓:脂質)、ひまわり滓(ひまわり油の搾り滓:脂質)、魚粉(ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュなどを飼育する場合、本発明の飼料で飼育された魚のうち、廃棄される廃棄魚の魚粉:タンパク質源)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか25%(10%以上60%以下)、小麦粉25%、大豆粕15%、なたね滓2.5%、ひまわり滓2.5%、魚粉30%とされている。
【0041】
実施例3
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、なたね滓(なたね油の絞滓:脂質)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか50%(10%以上60%以下)、大豆粕15%、なたね滓35%とされている。
【0042】
実施例4
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、ひまわり滓(ひまわり油の搾り滓:脂質)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか50%(10%以上60%以下)、大豆粕15%、ひまわり滓35%とされている。
【0043】
実施例5
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、魚粉(ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュなどを飼育する場合、本発明の飼料で飼育された魚のうち、廃棄される廃棄魚の魚粉:タンパク質源)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか50%(10%以上60%以下)、大豆粕15%、魚粉35%とされている。
【0044】
実施例6
配合物として、米ぬか(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、魚粉(ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュなどを飼育する場合、本発明の飼料で飼育された魚のうち、廃棄される廃棄魚の魚粉:タンパク質源)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか60%(10%以上60%以下)、大豆粕15%、魚粉25%とされている。
【0045】
図6に基づいて各実施例の配合における栄養成分の状況を説明する。
【0046】
実施例1
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は46.2%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は11.3%、せんいは14.5%、灰分は10.9%、無窒素分は26.1%の割合が得られた。
【0047】
実施例2
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は38.5%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は6.2%、せんいは12.2%、灰分は12.8%、無窒素分は29.1%の割合が得られた。
【0048】
実施例3
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は38.6%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は2.4%、せんいは13.0%、灰分は14.1%、無窒素分は31.9%の割合が得られた。
【0049】
実施例4
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は33.5%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は9.6%、せんいは16.1%、灰分は18.0%、無窒素分は40.6%の割合が得られた。
【0050】
実施例5
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は48.2%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は7.1%、せんいは8.9%、灰分は18.2%、無窒素分は17.5%の割合が得られた。
【0051】
実施例6
栄養成分(配合割合)として、タンパク質は42.3%(30%以上:要求が15%から55%)、脂質は6.2%、せんいは11.8%、灰分は18.0%、無窒素分は22.4%の割合が得られた。
【0052】
上述した実施例では、米ぬかが由来の米ぬか残渣の重量割合を、10%以上60%以下の範囲で使用して、タンパク質、脂質において要求される栄養素を満たした生物用の飼料を製造することが可能になる。そして、植物残渣が由来とされる脂肪源(例えば、なたね種油、ひまわり油の搾り滓)を加え、植物残渣の脂肪源を含ませることで、全体としての脂質(脂肪)の割合を2%から15%にすることができる。また、大豆が由来の大豆残渣(大豆粕)のタンパク質源、生物用の飼料で飼育された生物の残渣が由来のタンパク質源を加えることができる。
【0053】
従って、稲作の米ぬかや作物、養殖物の死骸など、開発途上国、開発途上地域で得られる生物・植物性残渣を用いることで、原料を購入することなく養殖魚(例えば、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、ミルクフィッシュ)の飼料を製造することができる。
【0054】
図7に基づいて比較例を説明する。
図7には配合物の配合割合(重量割合)の比較例の一覧を示してある。
【0055】
比較例1
配合物として、ふすま(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、コーングルテンミール(脂質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、ふすま50%、大豆粕15%、コーングルテンミール35%とされている。
【0056】
比較例2
配合物として、ふすま(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、フィッシュミール(タンパク質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、ふすま50%、大豆粕15%、フィッシュミール35%とされている。
【0057】
比較例3
配合物として、米ぬか、ふすま(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、コーングルテンミール(脂質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか25%、ふすま25%、大豆粕15%、コーングルテンミール35%とされている。
【0058】
比較例4
配合物として、米ぬか、ふすま(タンパク質源)、大豆粕(タンパク質源)、フィッシュミール(タンパク質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか25%、ふすま25%、大豆粕15%、フィッシュミール35%とされている。
【0059】
比較例5
配合物として、米ぬか、大豆粕(タンパク質源)、コーングルテンミール(脂質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか50%、大豆粕15%、コーングルテンミール35%とされている。
【0060】
比較例6
配合物として、米ぬか、大豆粕(タンパク質源)、フィッシュミール(タンパク質:購入品)が配合される。そして、配合割合(重量割合)は、米ぬか50%、大豆粕15%、フィッシュミール35%とされている。
【0061】
上述した比較例1から比較例6では、先進国など、購入品として調達できる配合物を用いて、図4に示した栄養素を確保した飼料を容易に得ることができる。
【0062】
本発明の実施例1から実施例6は、購入品を用いた比較例1から比較例6と同様に、必要な栄養素を確保した飼料となっている。つまり、本発明の実施例1から実施例6では、購入品(コーングルテンミール、市販のフィッシュミール:魚粉)を用いることなく、図4に示した栄養素を確保した飼料を得ることができる。
【0063】
上述したように、例えば、主に農業が主な産業であり、資金を十分調達することができない貧しい開発途上国、開発途上地域であっても、購入品の配合物を用いることなく、稲作の米ぬかや作物、養殖物の死骸など、生物・植物性残渣により、必要な栄養素を確保した飼料を得ることができる。
【0064】
この結果、稲作が中心産業となっている開発途上国、開発途上地域で、新たな産業として魚の養殖の促進を図ることができ、開発途上国、開発途上地域での産業の発展に貢献することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、生物・植物性残渣を用いた生物用の飼料の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 飼料製造手段
2 養殖場
5 飼料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7