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特開2024-163767フォーカス制御装置、撮像装置、フォーカス制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163767
(43)【公開日】2024-11-22
(54)【発明の名称】フォーカス制御装置、撮像装置、フォーカス制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20241115BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20241115BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241115BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241115BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241115BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20241115BHJP
【FI】
G02B7/28 N
G02B7/34
G03B13/36
G03B17/18
G03B15/00 Q
H04N23/67 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079640
(22)【出願日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜武 仁史
【テーマコード(参考)】
2H011
2H102
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011AA01
2H011BA23
2H011BB03
2H102AA33
2H102AA44
2H102BB02
2H102BB22
2H102CA03
2H102CA33
2H151BA06
2H151BA14
2H151CB22
2H151CB26
2H151CE24
2H151CE33
2H151DA08
2H151DA40
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA06
5C122EA68
5C122FC02
5C122FD01
5C122FD13
5C122FH10
5C122FH14
5C122FH16
5C122FL08
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA46
5C122HA48
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】ユーザが合焦対象として意図した物体に対して高速、かつ高精度にフォーカス制御を行うことを可能とするフォーカス制御装置、撮像装置、フォーカス制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】フォーカス制御装置は、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサは、撮像素子から出力された画像信号を取得し、ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定し、合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定し、サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出し、合焦対象領域と物体領域とが重複した重複領域を検出し、重複領域内の画像信号に基づいてフォーカス制御を行う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを備え、
前記プロセッサは、
撮像素子から出力された画像信号を取得し、
ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定し、
前記合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定し、
前記サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出し、
前記合焦対象領域と前記物体領域とが重複した重複領域を検出し、
前記重複領域内の前記画像信号に基づいてフォーカス制御を行う、
フォーカス制御装置。
【請求項2】
前記合焦対象領域は、複数のブロックにより構成され、
前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち前記物体領域と重複した1つ又は複数のブロックを前記重複領域として検出する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち前記物体領域との重複率が閾値以上である1つ又は複数のブロックを前記重複領域として検出する、
請求項2に記載のフォーカス制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記特定の物体の種類に応じて前記閾値を変更する、
請求項3に記載のフォーカス制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記合焦対象領域と前記物体領域との重複率が閾値以上である領域を前記重複領域として検出する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記重複率が閾値未満である場合には、前記合焦対象領域の画像信号に基づいてフォーカス制御を行う、
請求項5に記載のフォーカス制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記サーチ領域を、前記合焦対象領域の長辺に基づいて決定する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項8】
前記合焦対象領域は、矩形である、
請求項7に記載のフォーカス制御装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記合焦対象領域が複数のブロックにより構成されていない場合、前記合焦対象領域を前記特定の物体の種類に応じた個数のブロックに分割する、
請求項2に記載のフォーカス制御装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記重複領域外であって前記サーチ領域内である領域内の前記画像信号に基づいて、非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記重複領域の枠の色、枠の形状、又は枠の線種を変更することにより、前記重複領域を表示装置に強調表示する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記サーチ領域内の画像信号を機械学習済みモデルに入力することにより前記物体領域を検出する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記合焦対象領域に基づいて決定される前記サーチ領域が規定サイズより小さくなる場合、前記サーチ領域の大きさを前記規定サイズとする、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、検出された前記物体領域が特定の部位である場合、前記部位の種類又は大きさに応じて前記サーチ領域の大きさを変更する、
請求項1に記載のフォーカス制御装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置と、
前記撮像素子と、
前記操作装置と、
を備える撮像装置。
【請求項16】
プロセッサが、
撮像素子から出力された画像信号を取得すること、
ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定すること、
前記合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定すること、
前記サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出すること、
前記合焦対象領域と前記物体領域とが重複した重複領域を検出すること、
前記重複領域内の前記画像信号に基づいてフォーカス制御を行うこと、
を含むフォーカス制御方法。
【請求項17】
撮像素子から出力された画像信号を取得すること、
ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定すること、
前記合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定すること、
前記サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出すること、
前記合焦対象領域と前記物体領域とが重複した重複領域を検出すること、
前記重複領域内の前記画像信号に基づいてフォーカス制御を行うこと、
を含む処理をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、フォーカス制御装置、撮像装置、フォーカス制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像光学系を介して撮像する撮像素子から画像信号を得る信号生成手段を有する撮像装置の制御方法であって、前記画像信号内で任意領域を設定できる任意領域設定工程と、前記任意領域外の前記画像信号を含めた領域を複数に分割した算出領域からデフォーカス量を検出する焦点検出工程と、前記画像信号から被写体が存在する被写体領域を特定する被写体領域特定工程と、前記任意領域と前記被写体領域から合焦領域を選択する合焦領域選択工程を有することを特徴とする撮像装置の制御方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、撮像領域の第1の領域に設けられ撮影レンズからの光を光電変換して被写体の像を生成する撮像用画素、および、前記撮像領域の前記第1の領域より狭い第2の領域に設けられ前記撮影レンズの射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を有する撮像手段と、前記焦点検出画素からの信号に基づいて2つの像信号の位相差を検出する位相差検出手段と、前記撮像手段からの信号に基づいて被写体の第1の被写体領域を検出する被写体検出手段と、前記被写体検出手段で検出された前記第1の被写体領域とは異なる領域であって、前記被写体の一部分と推定される第2の被写体領域において前記位相差検出手段からの信号を用いてフォーカス制御を行う制御手段とを有する撮像装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数のAFエリアを有し、各AFエリアにおいてデフォーカス量を検出し、ボディ範囲と外側範囲のそれぞれの領域において、デフォーカス量を距離に相当するレンズ位置に変換してデプスマップを作成する。デプスマップができると、ボディ範囲内の平均より所定値以上大きい至近側の領域を横切り候補として抽出する。候補に基づいて不要対象物に対応する領域を判別し、主対象物領域から不要対象物に対応する領域を除外した領域に対応する距離値に基づき焦点調節を制御する焦点調節装置が開示されている。
【0005】
特許文献4には、決定された合焦距離の被写界深度内に合焦距離が存在する焦点検出領域のうち、特定の被写体の領域を含んでいるものがあれば、特定の被写体の領域を含んでいる全ての焦点検出領域について、合焦していることを示す表示を行う撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-170554号公報
【特許文献2】特開2013-054256号公報
【特許文献3】特開2022-137760号公報
【特許文献4】特開2013-242407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の技術は、ユーザが合焦対象として意図した物体に対して高速、かつ高精度にフォーカス制御を行うことを可能とするフォーカス制御装置、撮像装置、フォーカス制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示のフォーカス制御装置は、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサは、撮像素子から出力された画像信号を取得し、ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定し、合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定し、サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出し、合焦対象領域と物体領域とが重複した重複領域を検出し、重複領域内の画像信号に基づいてフォーカス制御を行う。
【0009】
合焦対象領域は、複数のブロックにより構成され、プロセッサは、複数のブロックのうち物体領域と重複した1つ又は複数のブロックを重複領域として検出することが好ましい。
【0010】
プロセッサは、複数のブロックのうち物体領域との重複率が閾値以上である1つ又は複数のブロックを重複領域として検出することが好ましい。
【0011】
プロセッサは、特定の物体の種類に応じて閾値を変更することが好ましい。
【0012】
プロセッサは、合焦対象領域と物体領域との重複率が閾値以上である領域を重複領域として検出してもよい。
【0013】
プロセッサは、重複率が閾値未満である場合には、合焦対象領域の画像信号に基づいてフォーカス制御を行うことが好ましい。
【0014】
プロセッサは、サーチ領域を、合焦対象領域の長辺に基づいて決定することが好ましい。
【0015】
合焦対象領域は、矩形であることが好ましい。
【0016】
プロセッサは、合焦対象領域が複数のブロックにより構成されていない場合、合焦対象領域を特定の物体の種類に応じた個数のブロックに分割することが好ましい。
【0017】
プロセッサは、重複領域外であってサーチ領域内である領域内の画像信号に基づいて、非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得することが好ましい。
【0018】
プロセッサは、重複領域の枠の色、枠の形状、又は枠の線種を変更することにより、重複領域を表示装置に強調表示することが好ましい。
【0019】
プロセッサは、サーチ領域内の画像信号を機械学習済みモデルに入力することにより物体領域を検出することが好ましい。
【0020】
プロセッサは、合焦対象領域に基づいて決定されるサーチ領域が規定サイズより小さくなる場合、サーチ領域の大きさを規定サイズとすることが好ましい。
【0021】
プロセッサは、検出された物体領域が特定の部位である場合、部位の種類又は大きさに応じてサーチ領域の大きさを変更することが好ましい。
【0022】
本開示の撮像装置は、上記のフォーカス制御装置と、撮像素子と、操作装置と、を備える。
【0023】
本開示のフォーカス制御方法は、プロセッサが、撮像素子から出力された画像信号を取得すること、ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定すること、合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定すること、サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出すること、合焦対象領域と物体領域とが重複した重複領域を検出すること、重複領域内の画像信号に基づいてフォーカス制御を行うこと、を含む。
【0024】
本開示のプログラムは、撮像素子から出力された画像信号を取得すること、ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定すること、合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定すること、サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出すること、合焦対象領域と物体領域とが重複した重複領域を検出すること、重複領域内の画像信号に基づいてフォーカス制御を行うこと、を含む処理をプロセッサに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】撮像装置の内部構成の一例を示す図である。
図2】撮像用画素の構成の一例を示す図である。
図3】位相差検出用画素の構成の一例を示す図である。
図4】撮像センサの画素配列の一例を示す図である。
図5】プロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】AFエリアの一例を示す図である。
図7】サーチ領域の一例を示す図である。
図8】物体領域検出処理の一例を示すフローチャートである。
図9】重複領域の一例を示す図である。
図10】重複領域検出処理の一例を示すフローチャートである。
図11】ディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図12】合焦位置検出処理の一例を示すフローチャートである。
図13】撮像装置により実行される全体の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得する周辺領域の一例を示す図である。
図15】サーチ領域の大きさを最小サイズに制限する処理を示す図である。
図16】サーチ領域を拡大する処理を示す図である。
図17】サーチ領域の適正化処理の一例を示すフローチャートである。
図18】物体が飛行機である場合における物体領域の例を示す図である。
図19】複数の物体領域についての重複率を説明する図である。
図20】物体領域及びAFエリアの座標を定義する図である。
図21】物体領域とAFエリアとの位置関係を判定する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面に従って本開示の技術に係る実施形態の一例について説明する。
【0027】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0028】
以下の説明において、「IC」は、“Integrated Circuit”の略称である。「CPU」は、“Central Processing Unit”の略称である。「ROM」は、“Read Only Memory”の略称である。「RAM」は、“Random Access Memory”の略称である。「CMOS」は、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称である。
【0029】
「FPGA」は、“Field Programmable Gate Array”の略称である。「PLD」は、“Programmable Logic Device”の略称である。「ASIC」は、“Application Specific Integrated Circuit”の略称である。「OVF」は、“Optical View Finder”の略称である。「EVF」は、“Electronic View Finder”の略称である。「CNN」は、“Convolutional Neural Network”の略称である。「AF」は、“Auto Focus”の略称である。「R-CNN」は、“Regions with Convolutional Neural Networks”の略称である。
【0030】
撮像装置の一実施形態として、レンズ交換式のデジタルカメラを例に挙げて本開示の技術を説明する。なお、本開示の技術は、レンズ交換式に限られず、レンズ一体型のデジタルカメラにも適用可能である。
【0031】
図1は、撮像装置10の構成の一例を示す。撮像装置10は、レンズ交換式のデジタルカメラである。撮像装置10は、本体11と、本体11に交換可能に装着される撮像レンズ12とで構成される。撮像レンズ12は、カメラ側マウント11A及びレンズ側マウント12Aを介して本体11の前面側に取り付けられる。
【0032】
本体11には、ダイヤル、レリーズボタン、タッチパネル等を含み、ユーザによる操作を受付ける操作装置13が設けられている。撮像装置10の動作モードとして、例えば、静止画撮像モード、動画撮像モード、及び画像表示モードが含まれる。操作装置13は、動作モードの設定の際にユーザにより操作される。また、操作装置13は、静止画撮像又は動画撮像の実行を開始する際にユーザにより操作される。また、操作装置13は、撮像領域内から合焦対象とするAFエリアを指定する際にユーザにより操作される。なお、AFエリアは、本開示の技術に係る「合焦対象領域」の一例である。
【0033】
また、本体11には、ファインダ14が設けられている。ここで、ファインダ14は、ハイブリッドファインダ(登録商標)である。ハイブリッドファインダとは、例えば光学ビューファインダ(以下、「OVF」という)及び電子ビューファインダ(以下、「EVF」という)が選択的に使用されるファインダをいう。ユーザは、ファインダ接眼部(図示せず)を介して、ファインダ14により映し出される被写体の光学像又はライブビュー画像を観察することができる。
【0034】
また、本体11の背面側には、ディスプレイ15が設けられている。ディスプレイ15には、撮像により得られた画像信号に基づく画像、及び各種のメニュー画面等が表示される。ユーザは、ファインダ14に代えて、ディスプレイ15により映し出されるライブビュー画像を観察することも可能である。なお、ディスプレイ15は、本開示の技術に係る「表示装置」の一例である。
【0035】
本体11と撮像レンズ12とは、カメラ側マウント11Aに設けられた電気接点11Bと、レンズ側マウント12Aに設けられた電気接点12Bとが接触することにより電気的に接続される。
【0036】
撮像レンズ12は、対物レンズ30、フォーカスレンズ31、後端レンズ32、及び絞り33を含む。各々部材は、撮像レンズ12の光軸Aに沿って、対物側から、対物レンズ30、絞り33、フォーカスレンズ31、後端レンズ32の順に配列されている。対物レンズ30、フォーカスレンズ31、及び後端レンズ32、撮像光学系を構成している。撮像光学系を構成するレンズの種類、数、及び配列順序は、図1に示す例に限定されない。
【0037】
また、撮像レンズ12は、レンズ駆動制御部34を有する。レンズ駆動制御部34は、例えば、CPU、RAM、及びROM等により構成されている。レンズ駆動制御部34は、電気接点12B及び電気接点11Bを介して、本体11内のプロセッサ40と電気的に接続されている。
【0038】
レンズ駆動制御部34は、プロセッサ40から送信される制御信号に基づいて、フォーカスレンズ31及び絞り33を駆動する。レンズ駆動制御部34は、撮像レンズ12の合焦位置を調節するために、プロセッサ40から送信されるフォーカス制御用の制御信号に基づいて、フォーカスレンズ31の駆動制御を行う。プロセッサ40は、位相差方式の合焦位置検出を行う。合焦位置は、デフォーカス量により表される。
【0039】
絞り33は、光軸Aを中心として開口径が可変である開口を有する。レンズ駆動制御部34は、撮像センサ20の受光面20Aへの入射光量を調節するために、プロセッサ40から送信される絞り調整用の制御信号に基づいて、絞り33の駆動制御を行う。
【0040】
また、本体11の内部には、撮像センサ20、プロセッサ40、及びメモリ42が設けられている。撮像センサ20、メモリ42、操作装置13、ファインダ14、及びディスプレイ15は、プロセッサ40により動作が制御される。
【0041】
プロセッサ40は、例えばCPUにより構成されている。この場合、プロセッサ40は、メモリ42に格納されたプログラム43に基づいて各種の処理を実行する。なお、プロセッサ40は、複数のICチップの集合体により構成されていてもよい。また、メモリ42には、物体領域検出を行うための機械学習が行われた機械学習済みモデルLMが格納されている。プロセッサ40及びメモリ42は、フォーカス制御装置を構成している。
【0042】
撮像センサ20は、例えば、CMOS型イメージセンサである。撮像センサ20は、光軸Aが受光面20Aに直交し、かつ光軸Aが受光面20Aの中心に位置するように配置されている。受光面20Aには、撮像レンズ12を通過した光が入射する。受光面20Aには、光電変換を行うことにより信号を生成する複数の画素が形成されている。撮像センサ20は、各画素に入射した光を光電変換することにより、画像信号Dを生成して出力する。なお、撮像センサ20は、本開示の技術に係る「撮像素子」の一例である。
【0043】
また、撮像センサ20の受光面には、ベイヤー配列のカラーフィルタアレイが配置されており、R(赤),G(緑),B(青)いずれかのカラーフィルタが各画素に対して対向配置されている。なお、撮像センサ20の受光面に配列された複数の画素のうちの一部は、フォーカス制御に係る位相差を検出するための位相差検出用画素であってもよい。
【0044】
図2は、撮像用画素Nの構成の一例を示す。図3は、位相差検出用画素P1,P2の構成の一例を示す。位相差検出用画素P1,P2は、それぞれ主光線を中心としてX方向に分割された光束の一方を受光する。以下、X方向に直交する方向をY方向という。また、X方向は水平方向に対応し、Y方向は垂直方向に対応する。
【0045】
図2に示すように、撮像用画素Nは、光電変換素子としてのフォトダイオードPD、カラーフィルタCF、及びマイクロレンズMLを含んで構成されている。カラーフィルタCFは、フォトダイオードPDとマイクロレンズMLとの間に配置されている。
【0046】
カラーフィルタCFは、R,G,Bのうちのいずれかの色の光を透過させるフィルタである。マイクロレンズMLは、撮像レンズ12の射出瞳EPから入射する光束LFを、カラーフィルタCFを介してフォトダイオードPDのほぼ中央に集光する。
【0047】
図3に示すように、位相差検出用画素P1,P2は、それぞれフォトダイオードPD、遮光層SF、及びマイクロレンズMLを含んで構成されている。マイクロレンズMLは、撮像用画素Nと同様に、撮像レンズ12の射出瞳EPから入射する光束LFを、フォトダイオードPDのほぼ中央に集光する。
【0048】
遮光層SFは、金属膜等で形成され、フォトダイオードPDとマイクロレンズMLとの間に配置されている。遮光層SFは、マイクロレンズMLを介してフォトダイオードPDに入射する光束LFの一部を遮光する。
【0049】
位相差検出用画素P1では、遮光層SFは、フォトダイオードPDの中心を基準としてX方向に関して負側を遮光する。すなわち、位相差検出用画素P1では、遮光層SFは、負側の射出瞳EP1からの光束LFをフォトダイオードPDに入射させ、かつ、X方向に関して正側の射出瞳EP2からの光束LFを遮光する。
【0050】
位相差検出用画素P2では、遮光層SFは、フォトダイオードPDの中心を基準としてX方向に関して正側を遮光する。すなわち、位相差検出用画素P2では、遮光層SFは、正側の射出瞳EP2からの光束LFをフォトダイオードPDに入射させ、かつ、X方向に関して負側の射出瞳EP1からの光束LFを遮光する。
【0051】
すなわち、位相差検出用画素P1と位相差検出用画素P2とはX方向に関して遮光位置が互いに異なる。位相差検出用画素P1,P2による位相差検出方向は、X方向(すなわち水平方向)である。
【0052】
図4は、撮像センサ20の画素配列の一例を示す。図4中の「R」は、RのカラーフィルタCFが設けられた撮像用画素Nを表している。「G」は、GのカラーフィルタCFが設けられた撮像用画素Nを表している。「B」は、BのカラーフィルタCFが設けられた撮像用画素Nを表している。なお、カラーフィルタCFの色配列は、ベイヤー配列に限定されず、他の色配列であってもよい。
【0053】
位相差検出用画素P1,P2を含む行RLが、Y方向に10画素ごとに配列されている。各行RLには、一対の位相差検出用画素P1,P2と1つの撮像用画素Nとが、Y方向に繰り返し配列されている。なお、位相差検出用画素P1,P2の配列パターンは、図4に示す例に限定されない。例えば、特開2018-56703号に添付の図5に示された、1つのマイクロレンズMLに複数の位相差検出用画素を配置したパターンであってもよい。
【0054】
図5は、プロセッサ40の機能構成の一例を示す。プロセッサ40は、メモリ42に記憶されたプログラム43にしたがって処理を実行することにより、各種機能部を実現する。図5に示すように、例えば、プロセッサ40には、主制御部50、撮像制御部51、画像処理部52、表示制御部53、AFエリア設定部54、サーチ領域決定部55、物体領域検出部56、重複領域検出部57、及び合焦位置検出部58が実現される。
【0055】
主制御部50は、操作装置13からの出力情報に基づき、撮像装置10の動作を統括的に制御する。撮像制御部51は、撮像センサ20を制御することにより、撮像センサ20に撮像動作を行わせる撮像処理を実行する。撮像制御部51は、静止画撮像モード又は動画撮像モードで撮像センサ20を駆動する。
【0056】
撮像センサ20は、撮像用画素Nにより生成された撮像信号SNと、位相差検出用画素P1,P2により生成された位相差検出信号SPと、を含む画像信号Dを出力する。撮像センサ20は、画像処理部52に画像信号Dに出力する。また、撮像センサ20は、画像信号Dを合焦位置検出部58に出力する。
【0057】
画像処理部52は、撮像センサ20から出力された画像信号Dを取得し、取得した画像信号Dに対してデモザイク処理等の画像処理を施す。
【0058】
表示制御部53は、画像処理部52により画像処理が施された画像信号Dが表す画像をディスプレイ15に表示させる。また、表示制御部53は、静止画撮像又は動画撮像の前の撮像準備動作時に、画像処理部52から周期的に入力される画像信号Dに基づき、ディスプレイ15にライブビュー画像表示を行わせる。さらに、表示制御部53は、操作装置13を用いてユーザにより指定されるAFエリアRA、重複領域検出部57により検出される重複領域RD等をディスプレイ15に表示させる。例えば、操作装置13は、ディスプレイ15の表示面に設けられたタッチパネルであり、ユーザは、タッチパネルを指でタッチすることにより、AFエリアRAを指定することができる。
【0059】
AFエリア設定部54は、操作装置13からの出力情報に基づいて、撮像領域内に矩形のAFエリアRAを設定する。例えば、AFエリアRAは、複数のブロックにより構成される。ユーザは、操作装置13を操作することにより、ブロックの位置、個数、配列方向等を指定することができる。
【0060】
サーチ領域決定部55は、AFエリア設定部54により設定されたAFエリアRAに基づいて、特定の物体を探索するサーチ領域RBを決定する。サーチ領域決定部55は、撮像領域内において、AFエリアRAを含むようにサーチ領域RBを決定する。例えば、サーチ領域決定部55は、サーチ領域RBを、AFエリアRAの長辺に基づいて決定する。サーチ領域RBは、矩形である。なお、ユーザは、操作装置13を用いて、検出対象とする特定の物体の種類(人間の顔、鳥、飛行機、車など)を指定することができる。
【0061】
物体領域検出部56は、サーチ領域決定部55により決定されたサーチ領域RB内から特定の物体を含む物体領域RCを検出する。具体的には、物体領域検出部56は、画像信号Dが表す画像からサーチ領域RBに対応する部分を切り出し、切り出した画像を機械学習済みモデルLMに入力することにより物体領域RCを検出する。換言すると、物体領域検出部56は、サーチ領域RB内の画像信号Dを、機械学習済みモデルLMに入力することにより物体領域RCを検出する。なお、物体領域検出部56は、サーチ領域RB内の画像信号Dに含まれる撮像信号SNのみを機械学習済みモデルLMに入力してもよい。
【0062】
重複領域検出部57は、AFエリアRAと物体領域RCとが重複した重複領域RDを検出する。具体的には、重複領域検出部57は、AFエリアRAを構成する複数のブロックの各々について物体領域RCとの重複率を算出し、重複率が閾値以上である1つ又は複数のブロックを重複領域RDとして検出する。
【0063】
合焦位置検出部58は、重複領域検出部57により検出された重複領域RD内の画像信号Dに基づいてフォーカス制御用のデフォーカス量を取得する。具体的には、合焦位置検出部58は、重複領域RD内の画像信号Dに含まれる位相差検出信号SPに基づいてフォーカス制御用のデフォーカス量を取得する。より具体的には、合焦位置検出部58は、複数の位相差検出用画素P1から出力される位相差検出信号SPと、複数の位相差検出用画素P2から出力される位相差検出信号SPとに基づいて相関演算を行うことにより、デフォーカス量を算出する。
【0064】
主制御部50は、合焦位置検出部58により取得されたフォーカス制御用のデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動制御部34を介してフォーカスレンズ31を駆動する。これにより、物体領域検出部56により検出された物体が合焦状態となる。
【0065】
図6は、AFエリアRAの一例を示す。図6に示す例では、画像信号Dが表す画像に障害物OBが写っており、ユーザは、操作装置13を操作することにより、障害物OBを避けるようにAFエリアRAを指定している。図6に示す例では、障害物OBは、Y方向に延伸した柵であり、ユーザは、Y方向に延伸した形状のAFエリアRAを指定している。
【0066】
また、図6に示す例では、AFエリアRAは、矩形状の複数のブロックB1~B5により構成されている。複数のブロックB1~B5の各々は、同一の形状及び同一のサイズである。ブロックに含まれる位相差検出用画素P1,P2の数が変化するので、ブロックの形状及びサイズによって、算出されるデフォーカス量の信頼度がばらつく。本実施形態では、各ブロックの形状及びサイズを同一とするので、各ブロックから算出されるデフォーカス量の信頼度のばらつきを低減することができる。
【0067】
ユーザは、操作装置13を操作することにより、AFエリアRAの位置と、X方向及びY方向へのブロック数とを指定することができる。これにより、ユーザは、障害物OBを避けるように、AFエリアRAを適宜の位置、形状(例えば、アスペクト比)、及びサイズとすることができる。AFエリア設定部54は、ユーザにより指定されたAFエリアRAの位置及びブロック数等の情報に基づいて、撮像領域内にAFエリアRAを設定する。
【0068】
図7は、サーチ領域RBの一例を示す。図7に示すように、AFエリアRAを構成する複数のブロックB1~B5がY方向に配列され、AFエリアRAがY方向に延伸している場合には、サーチ領域決定部55は、サーチ領域RBを、AFエリアRAのY方向(すなわち長辺方向)の両端に2辺が接する矩形状の領域として決定する。すなわち、サーチ領域決定部55は、サーチ領域RBを、AFエリアRAの長辺に基づいて決定する。
【0069】
図7に示す例では、サーチ領域RBは、AFエリアRAのY方向の端部に位置するブロックB1及びB5に接するように決定されている。サーチ領域RBは、X方向に平行な辺とY方向に平行な辺を有する矩形状の領域であって、X方向への画素数とY方向への画素数との比が1:1(すなわちアスペクト比が1:1)であることが好ましい。これは、学習済みモデルLMに入力する画像のアスペクト比が1:1であることが好ましいためである。
【0070】
図8は、物体領域検出部56による物体領域検出処理の一例を示す。学習済みモデルLMは、入力層、中間層、及び出力層を有するニューラルネットワークにより構成されている。中間層は、複数のニューロンにより構成されている。中間層の数、及び各中間層のニューロン数は、適宜変更可能である。学習済みモデルLMは、R-CNNであってもよい。
【0071】
学習済みモデルLMは、教師データとして特定の物体が写った複数の画像を用いて、画像内から特定の物体を含む物体領域を検出するように機械学習が行われたものである。学習済みモデルLMは、撮像装置10の外部のコンピュータで機械学習が行われたものであってもよい。
【0072】
物体領域検出部56は、画像信号Dが表す画像からサーチ領域RBに対応する部分を切り出した画像(以下、切り出し画像という。)を、機械学習済みモデルLMに入力する。機械学習済みモデルLMは、切り出し画像から特定の物体OJを含む物体領域RCを検出して、切り出し画像上における物体領域RCを表す情報を出力する。物体領域検出部56は、機械学習済みモデルLMから出力された物体領域RCを表す情報を、重複領域検出部57に出力する。
【0073】
図9は、重複領域RDの一例を示す。図9に示す例では、AFエリアRAを構成する複数のブロックB1~B5のうち、ブロックB2~B4が物体領域RCと重複している。このため、図9に示す例では、重複領域検出部57は、ブロックB2~B4を重複領域RDとして検出する。
【0074】
図10は、重複領域検出部57による重複領域検出処理の一例を示す。重複領域検出処理において、まず、重複領域検出部57は、AFエリアRAを構成する複数のブロックから1つのブロックを選択する(ステップS10)。次に、重複領域検出部57は、選択したブロックと物体領域RCとの重複率を算出する(ステップS11)。ここで、重複率とは、ブロックに対して物体領域RCが重複している割合をいう。
【0075】
次に、重複領域検出部57は、算出した重複率が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS12)。重複領域検出部57は、重複率が閾値以上である場合には(ステップS12:YES)、当該ブロックを重複領域RDとして選択する(ステップS13)。一方、重複領域検出部57は、重複率が閾値未満である場合には(ステップS12:NO)、処理をステップS14に移行させる。
【0076】
ステップS14では、重複領域検出部57は、最終のブロックであるか否かを判定する。重複領域検出部57は、最終のブロックではない場合には(ステップS14:NO)、AFエリアRAを構成する複数のブロックから、重複率を算出していないブロックを選択する(ステップS15)。
【0077】
重複領域検出部57は、ステップS15の後、処理をステップS11に戻す。重複領域検出部57は、ステップS11~S15を繰り返し、ステップS14で、最終のブロックであると判定した場合に、重複領域検出処理を終了する。重複領域RDは、ステップS13で選択された1つ又は複数のブロックを含む。
【0078】
図11は、表示制御部53によりディスプレイ15に表示される画像の一例を示す。主制御部50は、表示制御部53を介して、画像信号Dが表す画像内に、AFエリアRA及び重複領域RDを表示させる。主制御部50は、重複領域RDの枠の色、枠の形状、又は枠の線種を変更することにより、重複領域RDを強調表示させる。図11に示す例では、主制御部50は、重複領域RDの枠を太線とし、AFエリアRAと重複領域RDの色との色を変更することにより、重複領域RDを強調表示させている。なお、AFエリアRAを表示させず、重複領域RDを表示させてもよい。
【0079】
図12は、合焦位置検出部58による合焦位置検出処理の一例を示す。合焦位置検出処理において、まず、合焦位置検出部58は、重複領域RDに含まれる1つのブロックを選択する(ステップS20)。合焦位置検出部58は、選択したブロックについてデフォーカス量を算出する(ステップS21)。ステップS21において、合焦位置検出部58は、ブロック内の画像信号Dに含まれる位相差検出信号SPに基づいて、相関演算を行うことによりデフォーカス量を算出する。
【0080】
次に、合焦位置検出部58は、最終のブロックであるか否かを判定する(ステップS22)。合焦位置検出部58は、最終のブロックではない場合には(ステップS22:NO)、重複領域RDに含まれ、かつデフォーカス量を算出していないブロックを選択する(ステップS23)。合焦位置検出部58は、ステップS23の後、処理をステップS21に戻す。合焦位置検出部58は、ステップS21~S23を繰り返し、ステップS22で、最終のブロックであると判定した場合に、処理をステップS24に移行させる。
【0081】
ステップS24で、合焦位置検出部58は、ステップS21で算出した複数のデフォーカス量の平均値を算出する。そして、合焦位置検出部58は、算出した平均値を、フォーカス制御用のデフォーカス量として取得する(ステップS25)。
【0082】
図13は、撮像装置10により実行される全体の処理の流れを示す。図13は、静止画撮像モードで撮像準備動作時にライブビュー画像表示を行う場合の例を示す。
【0083】
まず、主制御部50は、ユーザが操作装置13を操作することによる撮像準備開始指示があったか否かを判定する(ステップS30)。主制御部50は、撮像準備開始指示があった場合には(ステップS30:YES)、撮像制御部51を制御することにより撮像センサ20に撮像動作を行わせる(ステップS31)。
【0084】
画像処理部52は、撮像センサ20から出力された画像信号Dを取得し、画像信号Dに対して画像処理を施す(ステップS32)。表示制御部53は、画像処理が施された画像信号Dが表す画像をディスプレイ15に表示させる(ステップS33)。
【0085】
次に、主制御部50は、ユーザが操作装置13を用いてAFエリアRAを指定する操作(以下、AFエリア指定操作という。)があったか否かを判定する(ステップS34)。主制御部50は、AFエリア指定操作がなかった場合には(ステップS34:NO)、処理をステップS43に移行させる。
【0086】
AFエリア指定操作があった場合には(ステップS34:YES)、AFエリア設定部54は、操作装置13からの出力情報に基づいて、撮像領域内にAFエリアRAを設定する(ステップS35)。サーチ領域決定部55は、設定されたAFエリアRAに基づいてサーチ領域RBを決定する(ステップS36)。
【0087】
次に、物体領域検出部56は、上述の物体領域検出処理を行うことにより物体領域RCを検出する(ステップS37)。主制御部50は、物体領域検出部56により物体領域RCが検出されたか否かを判定する(ステップS38)。
【0088】
物体領域RCが検出された場合には(ステップS38:YES)、重複領域検出部57は、上述の重複領域検出処理を行うことにより重複領域RDを検出する(ステップS39)。そして、合焦位置検出部58は、上述の合焦位置検出処理を行うことにより、フォーカス制御用のデフォーカス量を取得する(ステップS40)。
【0089】
物体領域RCが検出されなかった場合には(ステップS38:NO)、合焦位置検出部58は、AFエリアRAの全体からフォーカス制御用のデフォーカス量を取得する(ステップS41)。なお、合焦位置検出部58は、ステップS39で重複領域RDが検出されなかった場合、AFエリアRAの全体からフォーカス制御用のデフォーカス量を取得してもよい。
【0090】
ステップS40又はステップS41の後、主制御部50は、取得されたフォーカス制御用のデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ31を駆動する(ステップS42)。
【0091】
次に、主制御部50は、ユーザが操作装置13を操作することによる撮像指示があったか否かを判定する(ステップS43)。主制御部50は、操作指示がなかった場合には(ステップS43:NO)、処理をステップS31に戻す。ステップS31~S43の処理は、ステップS43で、主制御部50により撮像指示があったと判定されるまでの間、繰り返し実行される。
【0092】
主制御部50は、撮像指示があった場合には(ステップS43:YES)、撮像センサ20に撮像動作を行わせ、画像処理部52により画像処理が施された画像信号Dを静止画としてメモリ42に記録する静止画撮像処理を行う(ステップS21)。
【0093】
本開示の技術では、ユーザが指定したAFエリアRAに基づいて決定されたサーチ領域RBから物体領域検出を行うので、ユーザが合焦対象として意図した物体を含む物体領域RCを高速に検出することができる。また、本開示の技術では、AFエリアRAと物体領域RCが重複した重複領域RD内の画像信号Dに基づいてフォーカス制御するので、ユーザが合焦対象として意図した物体に対して高精度にフォーカス制御を行うことができる。すなわち、本開示の技術によれば、ユーザが合焦対象として意図した物体に対して高速、かつ高精度にフォーカス制御を行うことができる。
【0094】
[変形例]
以下に、上記実施形態の各種変形例について説明する。
【0095】
上記実施形態では、ユーザが操作装置13を用いて、AFエリアRAを構成するブロックの位置、個数、配列方向等を指定可能としているが、AFエリアRAの位置、形状(例えば、アスペクト比)、及びサイズのみを指定可能としてもよい。このように、ユーザにより指定されたAFエリアRAが複数のブロックにより構成されていない場合、AFエリア設定部54は、ユーザにより指定されたAFエリアRAを複数のブロックに分割してもよい。この場合、AFエリア設定部54は、各ブロックを同一の形状及び同一のサイズとすることが好ましい。
【0096】
また、ユーザにより指定されたAFエリアRAが複数のブロックにより構成されていない場合、AFエリア設定部54は、AFエリアRAを、検出対象とする特定の物体の種類に応じた個数のブロックに分割してもよい。物体の種類によってフォーカス制御に必要な奥行情報が異なる。このため、物体が鳥などの奥行情報が多く必要である物体の場合は、ブロック分割数を多くする。一方、物体が車などの奥行情報があまり必要でない物体である場合には、ブロック分割数を少なくする。ブロック分割数が少ないほど高速にフォーカス制御を行うことができ、高速に動く車などの物体に対してフォーカス制御を精度よく行うことができる。このように、ブロック分割数を調整することにより、フォーカス制御の精度と速度とのバランスを図ることができる。
【0097】
また、ユーザにより指定されたAFエリアRAが複数のブロックにより構成されていない場合、AFエリア設定部54は、複数のブロックに分割せずに、AFエリアRAを設定してもよい。この場合、重複領域検出部57は、AFエリアRAと物体領域RCとの重複率が閾値以上である領域を重複領域RDとして検出し、合焦位置検出部58は、重複領域RD内の画像信号Dに基づいてフォーカス制御用のデフォーカス量を取得する。なお、合焦位置検出部58は、AFエリアRAと物体領域RCとの重複率が閾値未満である場合には、AFエリアRAの画像信号Dに基づいてフォーカス制御用のデフォーカス量を取得してもよい。
【0098】
上記実施形態では、合焦位置検出部58は、重複領域RDに含まれる各ブロックのデフォーカス量の平均値をフォーカス制御用のデフォーカス量として取得している。これに代えて、合焦位置検出部58は、各ブロックのデフォーカス量を、各ブロックの物体領域RCとの重複率を重みとして加重平均した加重平均値をフォーカス制御用のデフォーカス量として取得してもよい。例えば、重複率が大きいほど重みを大きくする。また、各ブロックに位置する物体の部位の種類を重みとして各ブロックのデフォーカス量を加重平均した加重平均値をフォーカス制御用のデフォーカス量としてもよい。例えば、合焦対象として重要な部位ほど重みを大きくする。
【0099】
上記実施形態では、合焦位置検出部58は、重複領域RDからフォーカス制御用のデフォーカス量を取得しているが、重複領域RD外であってサーチ領域RB内である領域(以下、周辺領域という。)の画像信号Dに基づいて、非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得してもよい。例えば、図14に示すように、合焦位置検出部58は、周辺領域REをブロック分割し、各ブロックから算出したデフォーカス量を、非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得する。周辺領域REの各ブロックは、AFエリアRAの各ブロックと同一の形状及び同一のサイズであることが好ましい。なお、非フォーカス制御用のデフォーカス量は、フォーカス制御ではなく、参照用に用いるデフォーカス量である。
【0100】
このように、フォーカス制御用のデフォーカス量に加えて、周辺領域REから非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得しておくことにより、特定の物体がサーチ領域RB外からサーチ領域RBに侵入した場合に、合焦位置を短時間で予測することができ、フォーカス制御をより高速に行うことができる。
【0101】
上記実施形態では、サーチ領域決定部55は、AFエリアRAの長辺に基づいてサーチ領域RBを決定しているので、図15(A)に示すように、設定されたAFエリアRAが小さい場合には、サーチ領域RBが小さくなる。サーチ領域RBが小さすぎると物体領域検出部56により物体領域RCを検出することができない場合がある。このため、サーチ領域決定部55は、図15(B)に示すように、AFエリアRAの長辺に基づいてサーチ領域RBを決定しているので、図15(A)に示すように、AFエリアRAに基づいて決定されるサーチ領域RBが規定サイズより小さくなる場合、サーチ領域RBの大きさを規定サイズとすることが好ましい。図15(B)は、規定サイズまで拡大されたサーチ領域RBを示している。例えば、規定サイズは、学習済みモデルLMに入力可能な最小の画像サイズである。例えば、規定サイズは、X方向及びY方向に320画素×320画素の画像サイズである。サーチ領域決定部55は、例えば、AFエリアRAが200画素×100画素である場合には、サーチ領域RBを320画素×320画素とする。
【0102】
また、物体領域検出部56は、サーチ領域決定部55により決定されたサーチ領域RBの大きさが規定サイズ(例えば320画素×320画素)よりも小さい場合、サーチ領域RBから切り出した切り出し画像を、最小サイズまで拡大したうえで学習済みモデルLMに入力してもよい。また、拡大する切り出し画像のサイズの下限を規定してもよい。例えば、拡大する切り出し画像のサイズの下限を200画素×200画素とする。
【0103】
また、AFエリアRAは、複数のブロックが撮像領域内に離散するように設定されてもよい。この場合、サーチ領域決定部55は、各ブロックに対してサーチ領域RBを決定する。サーチ領域決定部55は、各ブロックのサーチ領域RBが互いに近接している場合には、複数のサーチ領域RBを1つのサーチ領域RBとして統合してもよい。
【0104】
また、サーチ領域決定部55は、物体領域検出部56による物体領域RCの過去の検出履歴を用いてサーチ領域RBの大きさを最適化してもよい。物体領域RCが検出された場合であっても、物体領域RCに含まれる物体OJの大きさがサーチ領域RBに対して相対的に小さすぎる場合、検出性能が低下して検出が不安定となりやすい。また、物体OJがサーチ領域RBからはみ出すほど大きい場合にも、検出性能が低下して検出が不安定となりやすい。
【0105】
例えば、図16に示すように、物体領域RCに含まれる物体OJが人間の瞳である場合には、瞳よりも大きい顔がサーチ領域RB外にはみ出すことがあり、検出が不安定となる。この場合、サーチ領域決定部55は、サーチ領域RBを次回決定する際に、顔を含むようにサーチ領域RBを拡大することが好ましい。このように、サーチ領域決定部55は、検出された物体領域RCが特定の部位である場合、当該部位の種類又は大きさに応じてサーチ領域RBの大きさを変更することが好ましい。
【0106】
図17は、サーチ領域決定部55によるサーチ領域RBの適正化処理の一例を示す。適正化処理において、まず、サーチ領域決定部55は、物体領域検出部56による物体領域RCの検出が不安定であるか否かを判定する(ステップS50)。例えば、サーチ領域RBに対して物体OJが相対的に小さすぎる又は大きすぎる場合に、検出が不安定であると判定する。サーチ領域決定部55は、検出が不安定でない場合には(ステップS50:NO)、適正化処理を終了する。
【0107】
サーチ領域決定部55は、検出が不安定である場合には(ステップS50:YES)、物体領域RCに含まれる物体OJが最小部位であるか否かを判定する(ステップS51)。最小部位とは、物体OJ中における最小の部位(例えば、人間の瞳)である。サーチ領域決定部55は、物体OJが最小部位である場合には(ステップS51:YES)、当該最小部位がサーチ領域RBのA%より大きいか否かを判定する(ステップS52)。サーチ領域決定部55は、当該最小部位がサーチ領域RBのA%より大きい場合には、サーチ領域RBを拡大して(ステップS53)、適正化処理を終了する。また、サーチ領域決定部55は、当該最小部位がサーチ領域RBのA%より大きくない場合には、適正化処理を終了する。
【0108】
サーチ領域決定部55は、物体OJが最小部位でない場合には(ステップS51:NO)、物体OJが最大部位であるか否かを判定する(ステップS54)。最大部位とは、物体OJ中における最大の部位(例えば、鳥のボディ)である。サーチ領域決定部55は、物体OJが最大部位である場合には(ステップS54:YES)、当該最大部位がサーチ領域RBのB%より小さいか否かを判定する(ステップS55)。サーチ領域決定部55は、当該最大部位がサーチ領域RBのB%より小さい場合には、サーチ領域RBを縮小して(ステップS56)、適正化処理を終了する。また、サーチ領域決定部55は、当該最大部位がサーチ領域RBのB%より小さくない場合には、適正化処理を終了する。
【0109】
なお、サーチ領域決定部55は、サーチ領域RBの拡大率及び縮小率を、検出安定度(例えば、過去10フレーム中において4回検出に成功したといった検出成功率)と、サーチ領域RBに対する物体OJの大きさの履歴とに基づいて決定する。
【0110】
上記適正化処理によれば、例えば、人間の瞳が最小部位として検出され、当該最小部位がサーチ領域RBの30%程度の大きさである場合、人間の頭部は瞳の10倍程度の大きさであるので、サーチ領域RBは、瞳の10倍程度の大きさに拡大される。
【0111】
また、上記適正化処理によれば、例えば、鳥のボディが最大部位として検出され、当該最大部位がサーチ領域RBの5%程度の大きさである場合、当該最大部位の大きさが小さすぎて検出が安定しないことから、最大部位がサーチ領域RBの10%程度となるように、サーチ領域RBが縮小される。
【0112】
上記実施形態では、重複領域検出部57は、重複率が閾値以上である1つ又は複数のブロックを重複領域RDとして検出している。重複領域検出部57は、物体の種類に応じて閾値を変更してもよい。例えば、図18に示すように、物体OJが飛行機である場合には、物体領域RCにおいて物体OJが存在しない余白が多いため、閾値を高くすることが好ましい。この結果、物体OJとの重複率が高いブロックのみが重複領域RDとして検出されるので、フォーカス制御の精度が向上する。
【0113】
また、上記実施形態では、ブロックに対して物体領域RCが重複している割合を重複率として定義しているが、物体領域RCに対してAFエリアRAが重複している割合を重複率として定義してもよい。例えば、図19に示すように、物体領域検出部56により複数の物体領域RC1~RC3が検出された場合には、物体領域RC1~RC3の重複率はそれぞれ異なる。物体領域RC1は、鳥の瞳を含む領域である。物体領域RC1は、AFエリアRAに完全に含まれているので、重複率は高い。物体領域RC2は、鳥の顔を含む領域である。物体領域RC2は、AFエリアRAに一部のみが重なっているので、重複率は低い。物体領域RC3は、鳥のボディを含む領域である。物体領域RC3は、AFエリアRAに一部のみが重なっているので、重複率は低い。
【0114】
図20に示すように物体領域RC及びAFエリアRAの座標を設定し、図21のフローチャートに基づいて判定を行うことにより、物体領域RCとAFエリアRAとの位置関係を求めることができる。
【0115】
図20に示すように、物体領域RCのX方向に関する最小座標及び最大座標を、それぞれCxmin及びCxmaxとする。また、物体領域RCのY方向に関する最小座標及び最大座標を、それぞれCymin及びCymaxとする。また、AFエリアRAのX方向に関する最小座標及び最大座標を、それぞれAxmin及びAxmaxとする。また、AFエリアRAのY方向に関する最小座標及び最大座標を、それぞれAymin及びAymaxとする。
【0116】
図21に示すフローチャートでは、まず、条件1が満たされるか否かが判定される(ステップS60)。条件1が満たされる場合には(ステップS60:YES)、物体領域RCがAFエリアRA内に含まれると判定される(ステップS61)。条件1が満たされない場合には(ステップS60:NO)、条件2が満たされるか否かが判定される(ステップS62)。条件2が満たされる場合には(ステップS62:YES)、AFエリアRAが物体領域RC内に含まれると判定される(ステップS63)。条件2が満たされない場合には(ステップS62:NO)、条件3が満たされるか否かが判定される(ステップS64)。条件3が満たされる場合には(ステップS64:YES)、物体領域RCはAFエリアRAに一部が重なっていると判定される(ステップS65)。条件3が満たされない場合には(ステップS64:NO)、物体領域RCはAFエリアRAに重なっていないと判定される(ステップS66)。
【0117】
重複領域検出部57は、物体領域RCはAFエリアRAに一部が重なっていると判定され、物体領域RCが瞳などの重要度が高い部位を含む場合には、閾値を小さくすることが好ましい。また、重複領域検出部57は、物体領域RCはAFエリアRAに一部が重なっていると判定され、物体領域RCがボディなどの物体の全体を含む場合においても、閾値を小さくすることが好ましい。
【0118】
また、上記実施形態では、表示制御部53は、ディスプレイ15に画像を表示させているが、ディスプレイ15に代えて、又は、ディスプレイ15とともに、ファインダ14に画像を表示させてもよい。この場合、フォーカス制御装置は、ユーザが、視線入力装置を介してAFエリアRAを指定することが可能に構成されていてもよい。ファインダ14は、本開示の技術に係る「表示装置」の一例である。視線入力装置は、本開示の技術に係る「操作装置」の一例である。
【0119】
なお、本開示の技術は、デジタルカメラに限られず、撮像機能を有するスマートフォン、タブレット端末などの電子機器にも適用可能である。
【0120】
上記実施形態において、プロセッサ40を一例とする制御部のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。上記各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGAなどの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサが含まれる。FPGAには、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0121】
制御部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の制御部は1つのプロセッサで構成してもよい。
【0122】
複数の制御部を1つのプロセッサで構成する例は複数考えられる。第1の例に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の制御部として機能する形態がある。第2の例に、システムオンチップ(System On Chip:SOC)などに代表されるように、複数の制御部を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、制御部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成できる。
【0123】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
【0124】
また、プログラムは、コンピュータで非一時的に読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0125】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0126】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0127】
上記説明によって以下の技術を把握することができる。
[付記項1]
プロセッサとメモリとを備え、
前記プロセッサは、
撮像素子から出力された画像信号を取得し、
ユーザによる操作を受付ける操作装置からの出力情報に基づいて撮像領域内に合焦対象領域を設定し、
前記合焦対象領域に基づいてサーチ領域を決定し、
前記サーチ領域内から特定の物体を含む物体領域を検出し、
前記合焦対象領域と前記物体領域とが重複した重複領域を検出し、
前記重複領域内の前記画像信号に基づいてフォーカス制御を行う、
フォーカス制御装置。
[付記項2]
前記合焦対象領域は、複数のブロックにより構成され、
前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち前記物体領域と重複した1つ又は複数のブロックを前記重複領域として検出する、
付記項1に記載のフォーカス制御装置。
[付記項3]
前記プロセッサは、前記複数のブロックのうち前記物体領域との重複率が閾値以上である1つ又は複数のブロックを前記重複領域として検出する、
付記項2に記載のフォーカス制御装置。
[付記項4]
前記プロセッサは、前記特定の物体の種類に応じて前記閾値を変更する、
付記項3に記載のフォーカス制御装置。
[付記項5]
前記プロセッサは、前記合焦対象領域と前記物体領域との重複率が閾値以上である領域を前記重複領域として検出する、
付記項1に記載のフォーカス制御装置。
[付記項6]
前記プロセッサは、前記重複率が閾値未満である場合には、前記合焦対象領域の画像信号に基づいてフォーカス制御を行う、
付記項5に記載のフォーカス制御装置。
[付記項7]
前記プロセッサは、前記サーチ領域を、前記合焦対象領域の長辺に基づいて決定する、
付記項1から付記項6のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項8]
前記合焦対象領域は、矩形である、
付記項7に記載のフォーカス制御装置。
[付記項9]
前記プロセッサは、前記合焦対象領域が複数のブロックにより構成されていない場合、前記合焦対象領域を前記特定の物体の種類に応じた個数のブロックに分割する、
付記項2から付記項4のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項10]
前記プロセッサは、前記重複領域外であって前記サーチ領域内である領域内の前記画像信号に基づいて、非フォーカス制御用のデフォーカス量を取得する、
付記項1から付記項9のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項11]
前記プロセッサは、前記重複領域の枠の色、枠の形状、又は枠の線種を変更することにより、前記重複領域を表示装置に強調表示する、
付記項1から付記項10のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項12]
前記プロセッサは、前記サーチ領域内の画像信号を機械学習済みモデルに入力することにより前記物体領域を検出する、
付記項1から付記項11のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項13]
前記プロセッサは、前記合焦対象領域に基づいて決定される前記サーチ領域が規定サイズより小さくなる場合、前記サーチ領域の大きさを前記規定サイズとする、
付記項1から付記項12のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項14]
前記プロセッサは、検出された前記物体領域が特定の部位である場合、前記部位の種類又は大きさに応じて前記サーチ領域の大きさを変更する、
付記項1から付記項13のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置。
[付記項15]
付記項1から付記項14のうちいずれか1項に記載のフォーカス制御装置と、
前記撮像素子と、
前記操作装置と、
を備える撮像装置。
【符号の説明】
【0128】
10 撮像装置
11 本体
11A カメラ側マウント
11B 電気接点
12 撮像レンズ
12A レンズ側マウント
12B 電気接点
13 操作装置
14 ファインダ
15 ディスプレイ
20 撮像センサ
20A 受光面
30 対物レンズ
31 フォーカスレンズ
32 後端レンズ
34 レンズ駆動制御部
40 プロセッサ
42 メモリ
43 プログラム
50 主制御部
51 撮像制御部
52 画像処理部
53 表示制御部
54 エリア設定部
55 サーチ領域決定部
56 物体領域検出部
57 重複領域検出部
58 合焦位置検出部
A 光軸
B1~B5 ブロック
CF カラーフィルタ
D 画像信号
EP,EP1,EP2 射出瞳
LF 光束
LM 学習済みモデル
ML マイクロレンズ
N 撮像用画素
OB 障害物
OJ 物体
P1,P2 位相差検出用画素
PD フォトダイオード
RA AFエリア
RB サーチ領域
RC,RC1~RC3 物体領域
RD 重複領域
RE 周辺領域
RL 行
SF 遮光層
SN 撮像信号
SP 位相差検出信号
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