(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016389
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびそれよりなるフィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240131BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20240131BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20240131BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240131BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/04
C08L29/04 S
B32B27/18 G
B32B27/28 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118459
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】開田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】濱 晋平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 英誉
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK04A
4F100AK62A
4F100AK69A
4F100AL05A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA09A
4F100GB23
4F100JA07A
4F100JD02A
4F100JD03
4F100YY00A
4J002AA011
4J002AC013
4J002AC023
4J002AC033
4J002AC063
4J002AC073
4J002AC083
4J002AC093
4J002BB032
4J002BB052
4J002BB153
4J002BE031
4J002DA086
4J002DD076
4J002DF036
4J002DG036
4J002DH046
4J002DJ006
4J002EE046
4J002EG046
4J002EH036
4J002GB01
4J002GG01
4J002GG02
(57)【要約】
【課題】 高度なガスバリア性を有しつつ、透明性と酸素吸収速度に優れた成形品を与える樹脂組成物を提供する。また、当該樹脂組成物を多層フィルムのガスバリア層に用いたフィルムを提供する。
【解決手段】 酸素吸収性樹脂(A)60~95重量部、および下記特性(a)~(d)を満足するエチレン系重合体(B)5~40重量部(酸素吸収性樹脂(A)およびエチレン系重合体(B)の合計は100質量部)を含む樹脂組成物。
(a)密度が930~960kg/m3
(b)MFRが0.1~15g/10分
(c)GPCによる分子量測定において2つのピークを示し、Mw/Mnが3.0~7.0。
(d)分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素吸収性樹脂(A)60~95重量部、および下記特性(a)~(d)を満足するエチレン系重合体(B)5~40重量部(酸素吸収性樹脂(A)およびエチレン系重合体(B)の合計は100質量部)を含む樹脂組成物。
(a)JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が930~960kg/m3である。
(b)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(以下、MFRという)が0.1~15g/10分である。
(c)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCという)による分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0~7.0の範囲である。
(d)分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。
【請求項2】
前記酸素吸収性樹脂(A)がエチレン-ビニルアルコール共重合体および酸化性有機成分を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体がエチレン含有率20~40モル%およびケン化度90%以上のエチレンービニルアルコール共重合体を含む、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記酸素吸収性樹脂(A)が遷移金属触媒を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン系重合体(B)のMw/Mnが3.0~6.0の範囲であり、Mnが15,000以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルムをガスバリア層に有する多層フィルム。
【請求項8】
前記ガスバリア層の酸素透過度が1.0cc/(m2・日・atm)以下であり、光線透過率は80パーセント以上である、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項9】
酸素吸収速度が1.0ppm/日以上である、請求項7記載の多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物およびそれよりなるフィルムに関する。さらに詳しくは、輸液や食品包装に用いられる医療用フィルムないし部材および食品用フィルムないし部材に好適な樹脂組成物及びそれよりなるフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬液、血液等を包装する医療用フィルムおよび、食材を包装する食品用フィルムには、内容液ないし内容物の存在および異物の有無を目視確認するための透明性、また内用液ないし内容物を適切に包装し保管するための力学物性、さらに内容液ないし内容物中の有効成分の劣化防止のためのガスバリア性などが要求される。
【0003】
従来、良好な機械物性および高度のガスバリア性の性能を満たすために、エチレンービニルアルコール共重合体またはポリアミドからなるガスバリア層と、耐湿性、機械的特性にすぐれたポリオレフィン系樹脂の層との積層体が医療用フィルムないし食品用フィルムとして使用されている。しかしながら、積層体であるフィルムの積層数が多くなると当該積層数に対応可能な成形機の導入や選定等の制限および煩雑さが生じる点ないし成形機の導入のためのコストの点で課題がある。そこで、エチレン-ビニルアルコール共重合体のガスバリア性をポリオレフィン系樹脂の成形性、延伸性等の特性を活かすべく、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィン樹脂との樹脂組成物の検討がなされてきた(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
また近年では、内容物ないし内容液の包装時点ですでに包装体内部に存在する酸素を吸収させて除去するために、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィン樹脂の樹脂組成物に酸素吸収性を付与した樹脂組成物の検討が進められている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0005】
しかしながら、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィン樹脂との樹脂組成物を積層させたフィルムは、良好な機械物性および高度なガスバリア性を有するものの、異物の有無を目視確認するための透明性が低下するという問題が生じていた。また、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィン樹脂からなる酸素吸収性の樹脂組成物をガスバリア層として用いる場合、酸素透過度が低いため、酸素を吸収する速度が遅くなるという課題が存在する。以上のことから、エチレン-ビニルアルコール共重合体とポリオレフィン系樹脂からなる酸素吸収性樹脂の透明性と酸素吸収速度に課題を残すものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-255554号公報
【特許文献2】特開2020-176232号公報
【特許文献3】特許第5483256号公報
【特許文献4】特開2006-028491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高度なガスバリア性を有しつつ、透明性と酸素吸収速度に優れた成形品を与える樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
また、当該樹脂組成物からなるフィルム、および、当該樹脂組成物を多層フィルムのガスバリア層に用いたフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討を行なった結果、酸素吸収性を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体などの酸素吸収性樹脂に特定の物性を有するポリエチレン系樹脂を特定量配合した樹脂組成物を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の各態様は、以下に示す[1]~[8]である。
[1] 酸素吸収性樹脂(A)60~95重量部、および下記特性(a)~(d)を満足するエチレン系重合体(B)5~40重量部(酸素吸収性樹脂(A)およびエチレン系重合体(B)の合計は100質量部)を含む樹脂組成物。
(a)JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が930~960kg/m3である。
(b)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(以下、MFRという)が0.1~15g/10分である。
(c)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCという)による分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0~7.0の範囲である。
(d)分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に炭素数6以上の長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。
[2] 前記酸素吸収性樹脂(A)がエチレン-ビニルアルコール共重合体および酸化性有機成分を含む、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記エチレン-ビニルアルコール共重合体がエチレン含有率20~40モル%およびケン化度90%以上のエチレンービニルアルコール共重合体を含む、上記[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記酸素吸収性樹脂(A)が遷移金属触媒を含む上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記エチレン系重合体(B)のMw/Mnが3.0~6.0の範囲であり、Mnが15,000以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
[7] 上記[6]に記載のフィルムをガスバリア層に有する多層フィルム。
[8] 前記ガスバリア層の酸素透過度が1.0cc/(m2・日・atm)以下であり、光線透過率は80パーセント以上である、上記[7]に記載の多層フィルム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様である樹脂組成物は、高い酸素ガスバリア性と速い酸素吸収速度を両立し、フィルムにした場合、高い透明性を維持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に関わる酸素吸収性樹脂(A)、エチレン系重合体(B)、樹脂組成物、それよりなるフィルムについて説明する。
【0013】
[1]酸素吸収性樹脂(A)
酸素吸収性樹脂(A)は、酸素吸収成分を含む熱可塑性樹脂であれば如何なる樹脂であっても良い。酸素吸収成分としては、未変性のポリブタジエンや無水マレイン酸変性ポリブタジエン等の酸化性有機成分、不飽和脂環構造(シクロヘキセン構造)を有する有機系酸素吸収剤、複数の金属(マンガン族、鉄族、白金族および銅族等)からなる無機系酸素吸収剤が挙げられる。熱可塑性樹脂としては前記酸素吸収成分を混練できるポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、およびこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。その中でもとりわけ酸素バリア性に優れた樹脂であるエチレン-ビニルアルコール共重合体に、透明性に優れる酸化性有機成分を含有した樹脂組成物であることが好ましい。
【0014】
エチレン-ビニルアルコール共重合体としては、それ自体公知のものを使用することができるが、エチレン単位含有量は20~40モル%が好ましく、22~36モル%がより好ましく、24~32モル%がさらに好ましい。エチレン単位含有量が20モル%以上であると、溶融成形時の取り扱い性が良好となり、本発明の成形体の成形安定性及び着色耐性が向上する傾向となる。なお、40モル%以下であると酸素バリア性が向上し、バリア性樹脂としての運用性が良好となる。
【0015】
エチレン-ビニルアルコール共重合体のビニルエステル成分のケン化度は、90%以上が好ましく、96モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。ケン化度が90モル%以上であると、ガスバリア性が高まる傾向となる。
【0016】
このエチレン-ビニルアルコール共重合体は、フィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して、0.01dL/g以上、特に0.05dL/g以上の固有粘度を有するものであることが好ましい。
【0017】
酸化性有機成分としては、エチレン系不飽和基含有重合体を挙げることができる。この重合体は、炭素-炭素二重結合を有しており、この二重結合部分が酸素により容易に酸化され、これにより酸素の吸収捕捉が行なわれることとなる。
【0018】
このようなエチレン系不飽和基含有重合体は、例えば、ポリエンを単量体として誘導されるものであり、その単量として使用されるポリエンの適当な例としては、これに限定されるものではないが、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレン;等を例示することができ、上記ポリエンの単独重合体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロック共重合体等を酸化性有機成分として用いることができる。
【0019】
また、上記ポリエンと共重合させる他の単量体としては、例えば、炭素数が2乃至20のα-オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等を例示することができ、また、これら以外にも、スチレン、ビニルトリエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどを用いることもできる。
【0020】
酸化性有機成分としては、上述したポリエンから誘導される重合体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等が酸素吸収性および成形性の観点で好ましい。また、そのヨウ素価は、100以上、特に120~196程度であるのがよい。
【0021】
また、上述したエチレン系不飽和基含有重合体以外にも、それ自体酸化されやすい重合体、例えばポリプロピレン、エチレン・酸化炭素共重合体なども酸化性有機成分として使用することができる。上述した酸化性重合体やその共重合体は、成形性の観点から、40℃での粘度が1乃至200Pa・sの範囲にあることが好ましい。
【0022】
酸化性有機成分のみでも十分な酸素吸収性能を有するが、酸素吸収性能を更に向上させるために遷移金属触媒を更に含むことが好ましい。遷移金属触媒は、酸化性有機成分の酸化を促進するために使用されるものであり、遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
【0023】
かかる遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させるため、特に好ましい。
また、上記遷移金属の無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
【0024】
遷移金属の有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好ましい。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0025】
遷移金属の錯塩としては、β-ジケトンまたはβ-ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β-ジケトンやβ-ケト酸エステルとしては、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3-シクロヘキサジオン、メチレンビス-1,3-シクロヘキサジオン、2-ベンジル-1,3-シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2-アセチルシクロヘキサノン、2-ベンゾイルシクロヘキサノン、2-アセチル-1,3-シクロヘキサジオン、ベンゾイル-p-クロルベンゾイルメタン、ビス(4-メチルベンゾイル)メタン、ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4-クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4-メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン、ジピバロイルメタン等を例示することができる。
【0026】
上述したエチレン-ビニルアルコール共重合体に上述した酸化性有機成分および遷移金属触媒を含有した具体的な例としてエバールAP461B(株式会社クラレ製)が挙げられる。
【0027】
[2]エチレン系重合体(B)
エチレン系重合体(B)は、例えばエチレン単独重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリマーである。
【0028】
エチレン系重合体(B)は、JIS K6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したMFRが0.1~15g/10分、好ましくは0.5~10.0g/10分、より好ましくは1.0~5.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満だと、成形加工時の押出負荷が大きくなると共に、成形時に表面荒れが発生するため好ましくない。また、MFRが15g/10分を超える場合、溶融張力が小さくなり、成形時の加工安定性が低下するため好ましくない。
【0029】
エチレン系重合体(B)は、JIS K6922-1に準拠した密度が930~960kg/m3の範囲であり、好ましくは935~955kg/m3、特に好ましくは940~950kg/m3の範囲である。密度が930kg/m3未満だと耐熱性が不足し、960kg/m3を超える場合は透明性が低下するため好ましくない。
【0030】
エチレン系重合体(B)は、GPCによる分子量測定において2つのピークを示す。ピークトップ分子量(Mp)はGPC測定によって得られた分子量分布曲線を後述の方法で2個のピークに分割し、高分子量側のピークと低分子量側のピークのトップ分子量を評価し、その差が100,000以上である場合を2つのMpを有するとした。100,000未満である場合は、実測された分子量分布曲線のトップ分子量を1つのMpとした。
【0031】
分子量分布曲線の分割方法は以下のとおりに行った。GPC測定によって得られた、分子量の対数であるLogMに対して重量割合がプロットされた分子量分布曲線のLogMに対して、標準偏差が0.30であり、任意の平均値(ピークトップ位置の分子量)を有する2つの対数分布曲線を任意の割合で足し合わせることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された分子量分布曲線と合成曲線との同一分子量(M)値に対する重量割合の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して0.5%以下にした。偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られた時に、2つの対数正規分布曲線に分割して得られるそれぞれの対数分布曲線のピークトップの分子量をMpとした。
【0032】
GPCによる分子量測定においてピークが1つのエチレン系重合体は、2つのピークを有するエチレン系重合体(B)を配合した場合のように透明性が高いフィルムが得られない。
【0033】
エチレン系重合体(B)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0~7.0、好ましくは3.0~6.5、さらに好ましくは3.0~6.0である。Mw/Mnが3.0未満の場合は、成形加工時の押出負荷が大きいばかりでなく、得られたフィルムの外観(表面肌)が悪化するため好ましくない。
【0034】
Mw/Mnが7.0を超えると得られた容器または部材の強度が低下するばかりか、フィルムとして使用した際に、充填した液中の微粒子が増加する恐れがある。
【0035】
エチレン系重合体(B)は、GPCにより測定した数平均分子量(Mn)が15,000以上であることが好ましく、さらに好ましくは15,000~100,000、特に15,000~50,000が好ましい。Mnが15,000以上である場合、得られたフィルムの強度が高くなる。
【0036】
エチレン系重合体(B)は、分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの炭素数6以上の長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。0.15個未満であるとフィルムを製造する際に、溶融張力が小さくなり、成形安定性が低下するため、好ましくない。
【0037】
また、エチレン系重合体(B)は、分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合が、エチレン系重合体(B)全体の40%未満であることが好ましい。分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合が、エチレン系重合体(B)全体の40%未満である場合、成形加工時の押出負荷が小さく、得られたフィルムの外観(表面肌)が良好である。
【0038】
エチレン系重合体(B)は、例えば、特開2012-126862号公報、特開2012-126863号公報、特開2012-158654号公報、特開2012-158656号公報、特開2013-28703号公報等に記載の方法により得ることができる。
【0039】
[3]樹脂組成物
本発明の一態様である樹脂組成物の酸素吸収性樹脂(A)、エチレン系重合体(B)の配合割合は、(A)、(B)の合計100重量部中、酸素吸収性樹脂(A)が60~95重量部、好ましくは65~90重量部、より好ましくは70~85重量部、エチレン系重合体(B)が5~40重量部、好ましくは10~35重量部、より好ましくは15~30重量部である。エチレン系重合体(B)が40重量部を超える場合は酸素バリア性が不足するため好ましくない。
【0040】
上記樹脂組成物は、前述の酸素吸収性樹脂(A)、エチレン系重合体(B)を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒することによって得ることができる。
【0041】
上記樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機系あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤等を適宜必要に応じて配合することができる。本発明に関わる樹脂組成物に上記の添加剤を配合する方法は特に制限されるものではないが、例えば、重合後のペレット造粒工程で直接添加する方法、また、予め高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
【0042】
また、上記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない程度の範囲内で、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、ポリ-1-ブテン等の他の熱可塑性樹脂を配合して用いることもできる。
【0043】
[4]フィルム及び該フィルムをガスバリア層に有する多層フィルム
本発明の一態様であるフィルムは、上記樹脂組成物からなるものである。
【0044】
上記フィルムの厚みは特に限定されず、必要に応じて適宜決定することができるが、通常は3~5000μm、好ましくは5~2000μmであり、医療用ないし食品用フィルムとして用いる場合、その厚みは通常5~500μm、好ましくは10~300μmである。
【0045】
上記フィルムの製造方法は特に限定されないが、押出成形法、ブロー成形法、射出成型法、カレンダー成形法、プレス成形法、インフレーション成形法等が挙げられる。
【0046】
上記フィルムの用途としては、医療関係全般に用いることができ、例えば輸液用フィルム、血液用フィルムが挙げられる。また、上記フィルムは、食品関係全般にも用いることができ、例えばレトルト容器用フィルム、シュリンクフィルムなどの食品用フィルムが挙げられる。
【0047】
本発明の一態様である多層フィルムは、フィルムをガスバリア層に有するものである。
【0048】
上記ガスバリア層の酸素透過度は1.0cc/(m2・日・atm)以下でありことが好ましい。また、多層フィルムの光線透過率は80パーセント以上であることが好ましい。
【0049】
上記多層フィルムの酸素吸収速度は1.0ppm/日以上であることが好ましい。酸素透過度が1.0cc/(m2・日・atm)以下であると、多層フィルム外部からの酸素侵入を抑制でき、多層フィルム中の樹脂の劣化抑制、容器にした際の内用液ないし内容物の有効成分の失活を抑制できる。光線透過率が80パーセント以上であると、多層フィルムの視認性が良好となり、容器にした際に内用液ないし内容物を確認しやすくなる。酸素吸収速度が1.0ppm/日以上であると、7日間で内用液中の酸素濃度を0ppmにすることができ、事前に内用液の酸素を除外せずとも、内用液中の有効成分失活を抑制可能となる。
【0050】
上記多層フィルムの用途としては、医療関係全般に用いることができ、例えば輸液用フィルム、血液用フィルムが挙げられる。また、上記多層フィルムは、食品関係全般にも用いることができ、例えばレトルト容器用フィルム、シュリンクフィルムなどの食品用フィルムが挙げられる。
【実施例0051】
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない
実施例、比較例に用いた樹脂の諸性質は下記の方法により評価した。
【0052】
<分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)およびピークトップ分子量(Mp)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC-8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr-H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
【0053】
<分子量分別>
分子量分別は、カラムとしてガラスビーズ充填カラム(直径:21mm、長さ:60cm)を用い、カラム温度を130℃に設定して、サンプル1gをキシレン30mLに溶解させたものを注入する。次に、キシレン/2-エトキシエタノールの比率が5/5のものを展開溶媒として用い、留出物を除去する。その後、キシレンを展開溶媒として用い、カラム中に残った成分を留出させ、ポリマー溶液を得る。得られたポリマー溶液に5倍量のメタノールを添加しポリマー分を沈殿させ、ろ過および乾燥することにより、Mnが10万以上である成分を回収した。
【0054】
<長鎖分岐>
長鎖分岐数は、日本電子(株)製JNM-GSX400型核磁気共鳴装置を用いて、13C-NMRによってヘキシル基以上の分岐数を測定した。溶媒はベンゼン-d6/オルトジクロロベンゼン(体積比30/70)である。主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として、α-炭素(34.6ppm)およびβ-炭素(27.3ppm)のピークの平均値から求めた。
【0055】
<密度>
密度は、JIS K6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した。
【0056】
<MFR>
MFRは、JIS K6922-1に準拠して測定を行った。
【0057】
<溶融張力>
溶融張力の測定用試料は、サンプルに耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1,500ppm、イルガフォス168TM;1,500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
【0058】
溶融張力の測定は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mmのダイスを流入角が90°になるように装着し測定した。温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。
【0059】
<屈折率>
屈折率の測定は、JIS K7142(A法)に準拠して、多波長アッベ屈折計((株)アタゴ、型式DR-M2)に、干渉フィルターを用いて基準波長589nmの屈折率を測定した。測定室温は、23℃に設定した。測定用フィルム試料は、幅が5~8mm、長さが20~40mm、厚みが約100μmの寸法のものを用いた。中間液には、1-ブロモナフタレンを用いた。なお、測定用フィルムは、樹脂に係るペレットを圧縮成形機 AWFA.50(神藤金属工業社製)にて、加熱温度を180~200℃までの任意の温度に設定し、加熱圧力100kgf/cm2、加熱時間10分にて加熱圧縮後、冷却温度15℃の冷水に浸し、急冷固化させて100μmのフィルムとしたものを用いた。
【0060】
実施例、比較例では、下記の方法により製造した樹脂および市販品を用い、表1に示す樹脂組成物を用いた。
(1)酸素吸収性樹脂
下記市販品を用いた。
【0061】
(A)-1:エチレン-ビニルアルコール共重合体 (株)クラレ製 エバール(登録商標) AP461B(製品名)([MFR(ISO1133 (190℃、2,160g))]=1.5g/10min、密度(ISO1183-3)=1.14×103kg/m3、エチレン含量=32mol%)
(2)エチレン系重合体
下記の製造方法で得られたもの又は市販品を用いた。
【0062】
(B)-1:下記の製造方法で得られた。
【0063】
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF-3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びジメチルヘキサコシルアミン(Me2N(C26H53)、常法によって合成)49.1g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより140gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を14μmとした。
【0064】
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に[変性粘土の調製]で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2、4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0重量%)
[(B)-1の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を75mg(固形分9.0mg相当)加え、80℃に昇温後、1-ブテンを8.3g加え、分圧が0.85MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:850ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで58.5gのポリマーを得た。得られたポリマーのMFRは4.0g/10分、密度は941kg/m3であった。また、数平均分子量は21,200、重量平均分子量は74,000であり、分子量41,500および217,100の位置にピークが観測された。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.18個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの14.8重量%であった。また、溶融張力は49mNであった。評価結果を表1に示す。
(B)-2:下記市販品を用いた。
【0065】
東ソー(株)製、(商品名)ペトロセン 219(MFR=3.0g/10分、密度=934kg/m3)(S)-1の基本特性評価結果を表1に示す。
(3)直鎖状低密度ポリエチレン
下記市販品を用いた。
(Q)-1:東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-Z HF213K(MFR=2.0g/10分、密度=905kg/m3)
【0066】
【0067】
実施例1乃至2、比較例1乃至4
表1に示す樹脂組成物を用いて、下記の方法でフィルムを製造し、評価した。
【0068】
<フィルムの作製>
樹脂組成物に係るペレットを圧縮成形機 AWFA.50(神藤金属工業社製)にて、加熱温度200℃、加熱圧力100kgf/cm2、加熱時間10分にて加熱圧縮後、冷却温度30℃、冷却圧力100kgf/cm2、冷却時間4分で固化させて300μmの評価用フィルムを製造した。
【0069】
<フィルムの評価>
実施例1乃至2、比較例1乃至4に用いたフィルムの諸性質は下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
【0070】
上記シートから、幅10mm×長さ50mmの試験片を切出し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 型式V-730)を用いて、純水中で波長450nmにおける光線透過率を測定した。当該光線透過率が50%以上の試料を透明性が良好と判断した。
【0071】
【0072】
実施例3乃至4、比較例5乃至8
表1に示す樹脂組成物を用いて、下記の方法でフィルムおよび医療容器を製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0073】
<多層フィルムの作製>
水冷式の三層共押出インフレーション成形機((株)プラコー製)を用いて、内層および外層のシリンダ温度180℃、中間層のシリンダ温度190℃、水槽温度15℃、引取速度11.5m/分でフィルム幅135mm、フィルム厚み140μmの三層フィルムを製造した。尚、各層の厚みは内層/中間層/外層=60μm/20μm/60μmとした。このとき、中間層に本願発明に係る樹脂組成物、内層および外層に直鎖状低密度ポリエチレンである東ソー(株)製 (商品名)ニポロン-P FY12(MFR=1.5g/10分、密度=916kg/m3)を使用した。
【0074】
<フィルム特性の評価>
フィルム特性は下記の方法により評価した。
【0075】
<透明性>
上記三層フィルムから、幅10mm×長さ50mmの試験片を切出し、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 型式V-730)を用いて、純水中で波長450nmにおける光線透過率を測定した。92%を超える光線透過率が維持される場合を透明性が良好な容器の目安とした。
【0076】
<酸素透過率>
上記三層フィルムから、幅100mm×長さ100mmの試験片を切出し、酸素透過率測定装置(MOCON製 型式OX-TRAN 2/22L)を用いて、恒温下(23℃、65%RH)での酸素透過度を測定した。
【0077】
<溶存酸素濃度>
上記三層フィルムから、長さ200mmのサンプルを切出し、一方の端をヒートシールして袋状にした後、酸素センサーチップ(PreSens製 型式SP-PSt3-NAU-D5-YOP)を袋内表面に貼り付けた。その後、超純水を300ml充填し、ヘッドスペースを設けずにヒートシールして溶存酸素濃度測定用試料を作製した。非接触溶存酸素濃度計(PreSens製 型式OXY-1 SMA trace)を用いて、酸素センサーチップの蛍光強度を測定することで、試料の溶存酸素濃度を測定した。
【0078】