(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164051
(43)【公開日】2024-11-26
(54)【発明の名称】有機スズ化合物を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/22 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
C07F7/22 M CSP
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024130641
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2022581350の分割
【原出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】63/047,984
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エルメルト, デビット エム.
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン, トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】カイパー, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バウム, トーマス エイチ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定のマイクロ電子デバイスの製造に使用される極紫外線(EUV)リソグラフィ技術における高純度酸化スズ膜の堆積における前駆体として特に有用なアルキル及びアルキルアミノ置換基を有する高純度結晶形態の有機スズ化合物を提供する。
【解決手段】式(I):
[式中、各Rは、同じであるか又は異なり、かつC
1~C
4アルキル基であり、R
1は、置換又は非置換の飽和又は不飽和の線状又は分岐状C
1~C
5基である]の化合物とする。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
(式中、各Rは、同じであるか又は異なり、C
1~C
4アルキル基であり、R
1は、置換又は非置換の飽和又は不飽和の線状、分岐状又は環状C
1~C
5基である。)のモノアルキルトリス(ジアルキルアミド)スズ化合物を調製するための方法であって、
式(A):
の化合物を、式R
1-X(式中、Xはブロモ、ヨード又はクロロである。)の化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
各Rが、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル又はsec-ブチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各Rがメチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル又はネオペンチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R1が環状C1~C5基である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
R1がビニル基又はアセチレニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R1が1つ又は複数のハロゲン基で置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
R1がアルキルエーテル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各Rがメチル基であり、R1がイソプロピル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
Xがヨードである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
非極性非プロトン性溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩化スズ(II)を式M-N(R)2(式中、Mはナトリウム、リチウム及びカリウムである。)の化合物と反応させることによって式(A)の化合物を調製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式M-N(R)2の化合物がLi-N(CH3)2である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つの反応器内で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
式(II):
(式中、各Rは同じであるか又は異なり、C
1~C
4アルキル基であり、Xはヨード、ブロモ、及びクロロであり、但し、Xがクロロである場合、Rはメチル基以外である。)の化合物。
【請求項16】
各Rが同じであるか又は異なり、C1~C4アルキルであり、Xがヨード及びブロモである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
各Rがメチル基であり、Xがヨードである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
結晶形態であり、
図1に記載されるような構造を有する、請求項17に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機スズ化学の分野に属する。特に、本発明は、特定の有機スズ化合物、例えばイソプロピルトリス(ジメチルアミド)スズを調製するための効率的かつ効果的な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の有機スズ化合物は、特定のマイクロ電子デバイスの製造に使用される極紫外線(EUV)リソグラフィ技術などの用途における高純度酸化スズ(II)の堆積に有用であることが示されている。特に興味深いのは、アルキルアミノ基とアルキル基との組み合わせを有する有機スズ化合物であり、これは高純度で提供することが困難である場合がある。
【0003】
したがって、高純度酸化スズ膜の堆積に使用するための高純度形態のそのような有機スズ化合物を製造するための改善された方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
アルキル及びアルキルアミノ置換基を有する特定の有機スズ化合物、例えば式(I):R1-Sn-(NR2)3(式中、Rは同じであっても異なっていてもよく、C1~C4アルキル基であり、R1は置換又は非置換の飽和又は不飽和の線状、分岐状又は環状C1~C5基である。)の化合物を調製するための方法が本明細書で提供される。式(I)を有する化合物の具体例は、イソプロピルトリス(ジメチルアミド)スズ(CAS番号1913978-89-8)である。この方法は、本明細書により詳細に記載される式(A)の化合物を、式R1-X(式中、Xはブロモ、ヨード又はクロロである。)の化合物と接触させることを含む。この方法はまた、式(II)の化合物を生成し、本発明はまた、この化合物にも関する。有利には、この方法は、高純度形態、例えば98%超の純度で式(I)の有機スズ前駆体化合物を提供する。それらの高純度のために、本明細書に記載の有機スズ化合物は、例えば、マイクロ電子デバイス製造に使用される極紫外線(EUV)リソグラフィ技術における高純度酸化スズ(SnOx)膜の堆積に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の方法の副生成物としての式(II)(式中、各Rはメチルであり、各Xはヨードである。)の化合物の結晶構造図である。
【
図2A】本明細書に記載の方法の生成物としての式(I)(式中、各Rはメチル基であり、R
1はイソプロピル基である。)の化合物の、d6-ベンゼン中でそれぞれ得られた
119Sn-NMR及び
1H-NMRスペクトルである。
【
図2B】本明細書に記載の方法の生成物としての式(I)(式中、各Rはメチル基であり、R
1はイソプロピル基である。)の化合物の、d6-ベンゼン中でそれぞれ得られた
119Sn-NMR及び
1H-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、アルキル及びアルキルアミノ置換基を有する有機スズ化合物を調製するための方法に関する。
【0007】
第1の実施形態では、本発明は、式(I):
のモノアルキルトリス(ジアルキルアミド)スズ化合物を調製するための方法を提供する。
この式中、各Rは同じであっても異なっていてもよく、C
1~C
4アルキル基であり、R
1は置換又は非置換の飽和又は不飽和の線状、分岐状又は環状C
1~C
5基である。この方法は、式(A)
の化合物を、式R
1-X(式中、Xはブロモ、ヨード又はクロロである。)を有する化合物と接触させることを含む。この方法の一実施形態では、各Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル及びsec-ブチル基から独立して選択することができる。特定の実施形態では、各Rはメチル基である。さらに、R
1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル又はネオペンチル基から選択することができる。さらに、R
1は、シクロプロピル基などの環状C
1~C
5基であってもよい。また、R
1は、ビニル基、アセチレニル基などの不飽和C
1~C
5基であってもよい。これらのR
1基のいずれも、1つ又は複数のハロゲン基又はエーテル基などでさらに置換されていてもよい。例えば、R
1は、式-(CH
2)
n(CH
aF
b)
m(式中、m=1~5及びm+n=1~5であり、b=1~3及びa+b=3である。)を有するフッ素化アルキル基であってもよく、-CH
2F又は-CH
2CH
2F基などのモノフッ素化C
1~C
5アルキル基、及び-CF
3又はCF
2CF
3基などの過フッ素化C
1~C
5基を含む。代替的に、R
1はアルキルエーテル基であってもよく、アルキル部分はC
1~C
5アルキル基である。特定の実施形態では、R
1は、C
1~C
3アルキル基などの非置換C
1~C
5アルキル基である。例えば、各Rはメチルであってもよく、R
1はイソプロピルであってもよい。
【0008】
上に示すように、この方法で使用される出発物質は、式(A):
の化合物である。
この化合物は、公知の方法によって、例えば、塩化スズ(II)(SnCl
2)を、式M-N(R)
2(式中、Mはナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される金属である。)の化合物と反応させることによって調製することができる。したがって、本発明の一実施形態は、式(I)の化合物を調製するための方法であり、塩化スズ(II)を式M-N(R)
2(式中、Mは金属カチオン、例えばAl、Mg、若しくはCaカチオン、又は第1族若しくは第2族カチオン、例えばナトリウム、リチウム若しくはカリウムである。)の化合物と反応させることによって式(A)の出発物質を調製する前工程をさらに含む。具体例として、Mはリチウムであってもよく、Rはメチルであってもよい。そのような場合、このようにして形成された塩化リチウムは、得られた式(A)の化合物を式R
1-Xの化合物と接触させる前に、所望により濾過などによって除去してもよい。そうでなければ、形成された式(A)の出発物質化合物は、同じ反応器内での反応のために、式M-Clの化合物(塩化リチウムなど)を沈殿させたスラリーの形態で濾過せずにそのまま使用してもよい。したがって、本発明の方法は、式(I)の化合物のワンポット合成を提供する。
【0009】
この反応により、上に示されるような式(I)の化合物の混合物が、式(II):
(式中、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、C
1~C
4アルキル基であり、各Xは、ヨード、ブロモ、及びクロロから選択される。)の副生成物と共に提供される。したがって、本発明は、式(II)の副生成物化合物をさらに提供する。例えば、この副生成物の一実施形態では、各Rは同じであるか又は異なり、C
1~C
4アルキル基であり、各Xはヨード、ブロモ、及びクロロから選択され、但し、Xがクロロである場合、Rはメチル以外である。別の実施形態では、各Rは同じであるか又は異なり、C
1~C
4アルキル基であり、各Xはヨード又はブロモのいずれかである。各Rがメチルであり、各Xがヨードである式(II)の化合物の結晶構造を
図1に示す。式(II)のこれらの副生成物はまた、酸化スズ膜(酸化スズ(II)又は酸化スズ(IV)膜など)の堆積のための前駆体化合物として有用であるだけでなく、他の有用な有機スズ前駆体化合物の合成における中間体として有用であると予想される。
【0010】
本発明の方法は、無溶媒(すなわち、溶媒を添加しない)に、又は出発物質若しくは生成物と反応しない溶媒中で行うことができる。適切な溶媒の例は、ヘキサン類、ベンゼン、又はトルエンなどの液体炭化水素を含む非極性非プロトン性溶媒;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどの極性非プロトン性溶媒;及び非極性非プロトン性溶媒と極性非プロトン性溶媒との混合物である。溶媒を添加せずに無溶媒で行われる場合、特に式R1-Xの化合物が液体である場合、この化合物を過剰に使用してもよい。また、この方法は、式R1-Xの化合物と組み合わせてハロゲン交換試薬を使用して、交換反応によって行われてもよい。
【0011】
この方法は、開示された試薬が反応するのに適した温度で行われる。例えば、反応温度は、室温付近(約20℃など)~約80℃の範囲であり得る。好ましい実施形態では、この方法は、室温(23℃)~約65℃、例えば約50℃~約70℃、又は約60℃の温度で行われる。
【0012】
上記のように、式(A)の出発物質の合成において、ハロゲン化リチウム副生成物(例えば、LiCl)は濾過によって除去することができる。得られた出発物質を同じ反応器内でそのまま使用して、式R1-Xの化合物とさらに反応させ、式(I)の化合物を形成することができ、これを蒸留などによってさらに精製して、有利に不純物が低レベルの生成物を提供することができる。
【0013】
本発明は、本明細書に含まれる実施形態によってさらに説明することができるが、これらの実施形態は、単に例示を目的として含まれ、特に明記しない限り、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【実施例0014】
実施例1
イソプロピルトリス(ジメチルアミド)スズを、上で説明し、下に示すような反応順序を使用して調製した:
【0015】
したがって、磁気撹拌子を装備した三つ口500mL丸底フラスコに、12.2gのリチウムジメチルアミド(239mmol)及び250mLのヘキサン類を充填した。このオフホワイトのスラリーに、21.6gのSnCl2(113mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で72時間撹拌した。得られた灰緑色スラリーを23℃に冷却し、式(A)の化合物を含む混合物を得た。
【0016】
さらに精製することなく、混合物を11.5gの2-ヨードプロパン(68.2mmol)で処理した。次いで、反応混合物を60℃に18時間加熱した。反応混合物を23℃に冷却した後、粗多孔度フリットフィルターを通して500mLフラスコに濾過し、濾過ケーキを500mlアリコートの無水ヘキサン類で洗浄して、明黄色透明溶液を得た。次いで、溶媒及び他の揮発性物質を濾液から減圧下で除去して、式(I)の生成物と式(II)の副生成物との混合物を生成した。
【0017】
揮発性物質の除去が完了したら、残った油状物を0.2ミクロンのシリンジフィルターで濾過して、10.6gの橙色油状物を得た。橙色油状物を-30℃の冷凍庫に一晩入れ、黄色固体として[ISn(NMe
2)]
2の沈殿を得た。この黄色固体を0.2ミクロンのシリンジフィルターによる濾過によって除去した。次いで、残りの橙色油状物を、ヘッド温度34~37℃、610~645mtorrでの短行程蒸留を用いて蒸留して、イソプロピルトリス(ジメチルアミド)スズを透明な明黄緑色油状蒸留物として得た(6.09g、36.5%)。
1H-NMR(400MHz、ベンゼン-d6):δ2.83(
1H-
119/117Sn)=20.8Hz、18H)、1.68~1.57(m、1H)、1.27(d、J1h-13C=7.3Hz、6H)。
119Sn NMR:64.30。
119Sn-NMR及び
1H-NMRスペクトルをそれぞれ
図2A及び
図2Bに示し、生成物が高純度であることを実証している。
【0018】
副生成物[ISn(NMe
2)]
2は、結晶性固形物であり、したがって98%、99%、又は99.5%を超えるものを含む95%を超える純度などの高純度でもあることが分かった。結晶構造を
図1に示し、結晶化度データを表1及び表2に示す。それらの高純度のために、これらの有機スズ化合物は、例えば、マイクロ電子デバイス製造に使用される極紫外線(EUV)リソグラフィ技術における高純度酸化スズ膜の堆積に特に有用であることが期待される。
表1-[ISn(NMe
2)]
2の結晶データ及び構造精密化。
実験式 C4 H12 I2 N2 Sn2
分子式 C4 H12 I2 N2 Sn2
式量 579.34
温度 100.15K
波長 0.71073Å
結晶系 斜方晶系
空間群 Pbcn
単位セル寸法 a=22.0958(5)Å α=90°
b=10.2623(3)Å β=90°
c=10.9856(3)Å γ=90°
体積 2491.03(11)Å
3
Z 8
密度(計算値) 3.090Mg/m
3
吸収係数 8.919mm
-1
F(000) 2048
結晶サイズ 0.2×0.18×0.18mm
3
結晶色、晶癖 明黄色ブロック
データ収集のためのシータ範囲 1.843~27.102°
指数範囲 -28<=h<=28、-13<=k<=12、-14<=l<=14
収集された反射 25802
独立した反射 2748[R(int)=0.0740]
シータ完全性=25.242° 100.0%
吸収補正 等価物から半経験的
最大及び最小伝導 0.2616及び0.1599
精密化方法 F
2上の全行列最小二乗
データ/制約/パラメータ 2748/0/96
F
2上の適合度 1.259
最終R指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0291、wR2=0.0713
R指数(全データ) R1=0.0300、wR2=0.0720
消光係数 0.00069(5)
最大の微分ピーク及びホール 1.367及び-0.890e.Å
-3
表2-[ISn(NMe
2)]
2の結合長[Å]及び角度[°]
長さ: I(1)-Sn(1) 2.8492(5)
I(2)-Sn(2) 2.8448(5)
Sn(1)-N(1) 2.252(4)
Sn(1)-N(2) 2.267(4)
Sn(2)-N(1) 2.245(4)
Sn(2)-N(2) 2.243(4)
N(1)-C(1) 1.477(6)
N(1)-C(2) 1.484(6)
N(2)-C(3) 1.480(7)
N(2)-C(4) 1.482(6)
C(1)-H(1A) 0.9800
C(1)-H(1B) 0.9800
C(1)-H(1C) 0.9800
C(2)-H(2A) 0.9800
C(2)-H(2B) 0.9800
C(2)-H(2C) 0.9800
C(3)-H(3A) 0.9800
C(3)-H(3B) 0.9800
C(3)-H(3C) 0.9800
C(4)-H(4A) 0.9800
C(4)-H(4B) 0.9800
C(4)-H(4C) 0.9800
角度: N(1)-Sn(1)-I(1) 98.21(10)
N(1)-Sn(1)-N(2) 78.97(14)
N(2)-Sn(1)-I(1) 95.40(11)
N(1)-Sn(2)-I(2) 93.25(10)
N(2)-Sn(2)-I(2) 92.67(11)
N(2)-Sn(2)-N(1) 79.62(14)
Sn(2)-N(1)-Sn(1) 97.25(14)
C(1)-N(1)-Sn(1) 118.1(3)
C(1)-N(1)-Sn(2) 108.3(3)
C(1)-N(1)-C(2) 108.3(4)
C(2)-N(1)-Sn(1) 110.2(3)
C(2)-N(1)-Sn(2) 114.5(3)
Sn(2)-N(2)-Sn(1) 96.88(15)
C(3)-N(2)-Sn(1) 119.8(3)
C(3)-N(2)-Sn(2) 105.7(3)
C(3)-N(2)-C(4) 108.0(4)
C(4)-N(2)-Sn(1) 110.1(3)
C(4)-N(2)-Sn(2) 116.5(3)
N(1)-C(1)-H(1A) 109.5
N(1)-C(1)-H(1B) 109.5
N(1)-C(1)-H(1C) 109.5
H(1A)-C(1)-H(1B) 109.5
H(1A)-C(1)-H(1C) 109.5
H(1B)-C(1)-H(1C) 109.5
N(1)-C(2)-H(2A) 109.5
N(1)-C(2)-H(2B) 109.5
N(1)-C(2)-H(2C) 109.5
H(2A)-C(2)-H(2B) 109.5
H(2A)-C(2)-H(2C) 109.5
H(2B)-C(2)-H(2C) 109.5
N(2)-C(3)-H(3A) 109.5
N(2)-C(3)-H(3B) 109.5
N(2)-C(3)-H(3C) 109.5
H(3A)-C(3)-H(3B) 109.5
H(3A)-C(3)-H(3C) 109.5
H(3B)-C(3)-H(3C) 109.5
N(2)-C(4)-H(4A) 109.5
N(2)-C(4)-H(4B) 109.5
N(2)-C(4)-H(4C) 109.5
H(4A)-C(4)-H(4B) 109.5
H(4A)-C(4)-H(4C) 109.5
H(4B)-C(4)-H(4C) 109.5
【0019】
実施例2
F3CSn(NMe2)3を、実施例1について記載した反応順序を使用して調製した。具体的には、[Sn(NMe2)2]2(23.1g、55.6mmol)を、磁気撹拌子を装備した250mL丸底フラスコに入れ、ヘキサン類(125mL)に溶解した。フラスコに、1/4PTFEチューブ及び24/40チューブアダプタを介して、I-CF3(25g、127.6mmol)のシリンダーを装備した。低速で、I-CF3を暗所で撹拌しながらヘキサン類溶液にバブリングした。およそ10分後、反応物は黄色沈殿物を呈した。およそ30分後、すべてのガスが添加され、反応物は綿状の黄色沈殿物を呈した。次いで、シリンダーを取り出して質量を測定し、所望のI-CF3のすべてが添加されたことを確認した。反応物を箔で覆い、室温かつ暗所で、週末にわたって撹拌した。この時間の後、反応物は黄色/黄褐色沈殿物を呈し、使い捨てポリエチレンフィルターフリットで濾過し、ヘキサン類(25mL)で洗浄した。得られた淡黄色溶液を、およそ5mLが残存するまで減圧下で乾燥させた。生成物のC6D6溶液の1H-NMR、19F-NMR、及び119Sn-NMRは、ヘキサン類が依然として残っていることを示した(およそ5mol)。黄褐色固体(28.7g)が、4g(22.5%)のわずかに黄色の液体と共に単離された。1H-NMR(C6D6、400MHz);s、18H、2.69ppm;119Sn-NMR(C6D6、150MHz);q、-153.07ppm;19F-NMR(C6D6、376MHz);-42.7ppm。
【0020】
実施例3
実施例2に示す手順と同様の手順を使用して、F3CCH2Sn(NMe2)3を調製した。具体的には、[Sn(NMe2)2]2(140g、336mmol)を、磁気撹拌子を装備した1Lシュレンクフラスコに入れ、およそ400mLのヘキサン類で希釈して黄色混合物を形成した。I-CH2-CF3を250mL添加漏斗に入れ、シュレンクフラスコに取り付けた。緩やかな添加速度を達成し(およそ0.5~1滴/秒)、1Lフラスコをアルミニウム箔で覆い、暗所で撹拌した。およそ2.5時間後、I-CH2CF3の添加が完了し、得られた黄色混合物を暗所で室温にて一晩撹拌した。この時間の後、反応物は鮮やかな黄色の固体沈殿物及び赤色/橙色溶液を呈した。沈殿物を、使い捨てポリエチレンフィルターフリットを通して、磁気撹拌子を装備した500mLシュレンクフラスコに濾過することによって単離した。濾過ケーキをヘキサン類(およそ30mL)で洗浄し、得られた橙色溶液を減圧下で乾燥させて、黄色沈殿物を有する明黄色溶液を得た。混合物を0.2umシリンジフィルターを通して2つの風袋の重さを計った琥珀色の40mLバイアルに濾過して、87.91g(粗収率78.5%)の生成物を淡黄色液体として得た。
生成物:C6D6の1:1溶液の1H-NMR、19F-NMR及び119Sn-NMRの結果:1H-NMR(C6D6、400MHz);s、18H、2.66ppm;q、2H、1.52ppm;119Sn-NMR(C6D6、150MHz);q、-62.47ppm;19F-NMR(C6D6、376MHz);q、-51.93ppm。
【0021】
本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲内で変形形態及び修正形態が影響を受け得ることが理解されよう。