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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164484
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20241120BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241120BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241120BHJP
【FI】
B23Q17/00 E
H01L21/304 622Q
H01L21/304 622L
B24B41/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079988
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 英和
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
5F057
【Fターム(参考)】
3C029FF06
3C034AA08
3C034BB81
5F057AA05
5F057AA20
5F057AA31
5F057BA11
5F057CA14
5F057CA25
5F057DA08
5F057DA11
5F057FA32
5F057FA33
5F057FA34
5F057FA37
5F057FA46
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】加工装置における一連の動作中において、特定の部位について重点的に動作を確認できるようにする。
【解決手段】ウェーハ100を保持する保持機構5と、ウェーハ100を加工する加工機構30、31と、ウェーハ100を搬送パッド171、173で保持し搬送する搬送機構170、172と、洗浄具158を移動させウェーハ100を洗浄する洗浄機構156と、タッチパネル60と、を備え、ウェーハ100を加工する加工装置1であって、タッチパネル60に配置され搬送パッド171、173または洗浄具158が移動する所定の範囲で171、173または洗浄具158を往復させる往復ボタン614と、所定の範囲を設定する範囲設定部71と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを保持する保持機構と、ウェーハを加工する加工機構と、ウェーハを搬送パッドで保持し搬送する搬送機構と、洗浄具を移動させウェーハを洗浄する洗浄機構と、タッチパネルと、を備え、ウェーハを加工する加工装置であって、
該タッチパネルに配置され該搬送パッドまたは該洗浄具が移動する所定の範囲で該搬送パッドまたは該洗浄具を往復させる往復ボタンと、該所定の範囲を設定する範囲設定部と、を備える、加工装置。
【請求項2】
該往復ボタンは、一時停止ボタンと、該所定の範囲において一方から他方に順方向に移動させる順方向ボタンと、該所定の範囲において該他方から該一方に逆方向に移動させる逆方向ボタンと、からなる、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該範囲設定部は、該タッチパネルに該所定の範囲を表示する移動範囲イラストと、該移動範囲イラストの該所定の範囲をドラッグ指定させる指定部と、からなる請求項1記載の加工装置。
【請求項4】
該範囲設定部は、該タッチパネルに配置され該一時停止ボタンで一時停止させたスタート位置を記憶させるスタート位置記憶ボタンと、該タッチパネルに配置され該一時停止ボタンで一時停止させたエンド位置を記憶させるエンド位置記憶ボタンと、からなる請求項2記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを研削する研削装置をはじめとする各種の加工装置では、ウェーハを加工する際にウェーハが装置内を移動する経路(ルート)が設定されている。そして、加工装置内の特定の部位を選択することにより、選択された部位で限定されたルートを構成し、特定の部位に注目してその動作、加工結果等についての確認を可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-132180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特定の部位の動作を重点的に確認したい場合においても、選択した部位を含む一連の動作を確認しているため、確認に時間がかかるという問題がある。したがって、一連の動作中において、特定の部位について重点的に動作等を確認できるようにするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本加工装置は、ウェーハを保持する保持機構と、ウェーハを加工する加工機構と、ウェーハを搬送パッドで保持し搬送する搬送機構と、洗浄具を移動させウェーハを洗浄する洗浄機構と、タッチパネルと、を備え、ウェーハを加工する加工装置であって、該タッチパネルに配置され該搬送パッドまたは該洗浄具が移動する所定の範囲で該搬送パッドまたは該洗浄具を往復させる往復ボタンと、該所定の範囲を設定する範囲設定部と、を備える。
該往復ボタンは、一時停止ボタンと、該所定の範囲において一方から他方に順方向に移動させる順方向ボタンと、該所定の範囲において該他方から該一方に逆方向に移動させる逆方向ボタンと、からなるとよい。
該範囲設定部は、該タッチパネルに該所定の範囲を表示する移動範囲イラストと、該移動範囲イラストの該所定の範囲をドラッグ指定させる指定部と、からなるとよい。
該範囲設定部は、該タッチパネルに配置され該一時停止ボタンで一時停止させたスタート位置を記憶させるスタート位置記憶ボタンと、該タッチパネルに配置され該一時停止ボタンで一時停止させたエンド位置を記憶させるエンド位置記憶ボタンと、からなってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本加工装置では、往復ボタンをタッチすることにより、搬送パッド又は洗浄具を所定の範囲内において往復移動させることができるため、特定の部位の動作を繰り返し確認することができる。したがって、例えば搬送中にウェーハを破損させるなどのトラブルが発生した際に、ウェーハの破損が発生したことが推測される所定の範囲で搬送パッドを往復移動させることにより、破損した要因を確認しやすくする。また、洗浄具を所定の範囲で往復させることにより、例えば洗浄ノズルが正常に動作しているかを確認しやすくする。
往復ボタンが、一時停止ボタン、順方向ボタン及び逆方向ボタンを備えることにより、オペレータがこれらのボタンをタッチすることにより、搬送パッド又は洗浄具を所定の範囲内で順方向又は逆方向に移動させ、その範囲の任意の位置で動作を止めることができる。したがって、搬送パッド又は洗浄具の動作をより詳細に把握することができる。
範囲設定部が、所定の範囲を表示する移動範囲イラストと、移動範囲イラストの所定の範囲をドラッグ指定する指定部とを備えることにより、搬送パッド又は洗浄具を実際に動作させることなく、タッチパネル上のみで所定の移動範囲を設定することができ、オペレータの負担を軽減することができる。
範囲設定部が、一時停止ボタンで一時停止させた位置を記憶させるスタート位置記憶ボタンと、一時停止ボタンで一時停止させたエンド位置を記憶させるエンド位置記憶ボタンとを備えることにより、搬送パッド又は洗浄具を動作させてオペレータが実際に見ながら所定の範囲を設定することができ、見たいところをよりきめ細かく範囲設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加工装置の例を示す斜視図である。
図2】搬入移動範囲イラストの例を示す説明図である。
図3】搬出移動範囲イラストの例を示す説明図である。
図4】洗浄移動範囲イラストの例を示す説明図である。
図5】往復選択画面の例を示す説明図である。
図6】搬入往復動作画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1 加工装置の構成
図1に示す加工装置1は、粗研削機構30及び仕上げ研削機構31を備え、いずれかのチャックテーブル5上に保持されたウェーハ100を、粗研削機構30及び仕上げ研削機構31により研削する装置である。
【0009】
図1に示すウェーハ100は、被加工物の一例であり、例えば円形の半導体ウェーハである。ウェーハ100の表面101には、図示しないデバイスが形成されている。ウェーハ100の表面101は、図1においては下方を向いており、保護テープ105が貼着されることによって保護されている。ウェーハ100の裏面104は、研削処理が施される被加工面となる。
【0010】
加工装置1は、第1の装置ベース10と、第1の装置ベース10の後方(+Y方向側)に配置された第2の装置ベース11とを有している。第1の装置ベース10上は、ウェーハ100の搬出入等が行われる領域である搬出入領域401となっている。第2の装置ベース11上は、加工領域402となっている。この加工領域402では、ウェーハ100を加工する加工機構である粗研削機構30または仕上げ研削機構31によって、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100が加工される。
【0011】
第1の装置ベース10の正面側(-Y方向側)には、第1のカセットステージ160及び第2のカセットステージ162が設けられている。第1のカセットステージ160には、加工前のウェーハ100が収容される第1のカセット161が載置されている。第2のカセットステージ162には、加工後のウェーハ100が収容される第2のカセット163が載置されている。
【0012】
第1のカセット161及び第2のカセット163は、内部に複数の棚を備えており、各棚に一枚ずつウェーハ100が収容されている。すなわち、第1のカセット161及び第2のカセット163は、複数のウェーハ100を棚状に収容する。
【0013】
第1のカセット161及び第2のカセット163の開口(図示せず)は、+Y方向側を向いている。これらの開口の+Y方向側には、搬送機構の一例である搬送ロボット155が配設されている。搬送ロボット155は、昇降及び水平移動可能なアーム部155aと、アーム部155aの先端に装着されウェーハ100を保持する保持部155bとを備えている。搬送ロボット155は、保持部155bが第1のカセット161に進入して加工前のウェーハ100を吸着して取り出し、搬送ロボット155に隣接する位置に設けられた仮置き機構152の仮置きテーブル154に載置する。また、搬送ロボット155は、加工後のウェーハ100を保持部155bが保持して第2のカセット163に進入し、保持部155bによる保持を解除することにより、加工後のウェーハ100を第2のカセット163に搬入(収納)する。
【0014】
仮置き機構152は、第1のカセット161から取り出されたウェーハ100を仮置きするために用いられる。仮置き機構152は、仮置きテーブル154及び位置合わせ機構153を有している。位置合わせ機構153は、仮置きテーブル154を囲むように外側に配置される複数の位置合わせピンと、位置合わせピンを仮置きテーブル154の径方向に移動させるスライダとを備え、位置合わせピンが仮置きテーブル154の径方向中央に向かって移動することにより、複数の位置合わせピンを結ぶ円が縮径され、仮置きテーブル154に裏面104を上にして載置されたウェーハ100を、所定の位置に位置合わせする。
【0015】
仮置き機構152に隣接する位置には、搬送機構の一例である搬入機構170が設けられている。搬入機構170は、仮置き機構152に仮置きされたウェーハ100を、チャックテーブル5に搬入する。搬入機構170は、ウェーハ100の裏面104を吸引保持する吸引面を有する搬送パッド171を備えている。搬送パッド171は、不図示のモータによって駆動されて回転軸171aを軸として旋回可能となっている。また、このモータ及び回転軸171aは、例えばエアシリンダによって駆動されてZ軸方向に昇降可能ともなっている。搬入機構170は、仮置きテーブル154に仮置きされたウェーハ100を搬送パッド171によって吸引保持して、仮置き機構152の近傍に位置しているチャックテーブル5へ搬送し、その保持面50に載置する。
【0016】
チャックテーブル5は、ウェーハ100を保持する保持機構の一例であり、ウェーハ100を吸引保持する保持面50を備えている。保持面50は、図示しない吸引源に連通し、保護テープ105を介してウェーハ100を吸引保持することが可能である。チャックテーブル5は、保持面50によってウェーハ100を吸引保持した状態で、保持面50の中心を通りZ軸方向に延在する中心軸を中心として回転可能である。
【0017】
本実施形態では、第2の装置ベース11上に配設されたターンテーブル6の上面に、3つのチャックテーブル5が、ターンテーブル6の中心を中心とする円上に等間隔に配設されている。ターンテーブル6の中心には、ターンテーブル6を自転させるための図示しない回転軸が配設されている。ターンテーブル6は、この回転軸によって、Z軸方向に延びる軸心を中心に自転することができる。ターンテーブル6が自転することで、3つのチャックテーブル5が公転する。これにより、チャックテーブル5を、仮置き機構152の近傍、粗研削機構30の下方、及び、仕上げ研削機構31の下方に、順次、位置付けることができる。
【0018】
第2の装置ベース11上の後方(+Y方向側)には、第1のコラム12が立設されている。第1のコラム12の前面には、ウェーハ100を粗研削する粗研削機構30及び粗研削機構30を研削送りする粗研削送り機構20が配設されている。粗研削機構30は、加工具を用いてウェーハ100を加工する加工機構の一例である。
【0019】
粗研削送り機構20は、Z軸方向に平行な一対のガイドレール201、このガイドレール201上をスライドする昇降テーブル203、ガイドレール201と平行なボールネジ200、ボールネジ200を回転駆動するモータ202、及び、昇降テーブル203の前面(表面)に取り付けられたホルダ204を備えている。ホルダ204は、粗研削機構30を保持している。
【0020】
昇降テーブル203は、ガイドレール201にスライド可能に設置されている。図示しないナット部が、昇降テーブル203の後面側(裏面側)に固定されている。このナット部には、ボールネジ200が螺合されている。モータ202は、ボールネジ200の一端部に連結されている。
【0021】
粗研削送り機構20では、モータ202がボールネジ200を回転させることにより、昇降テーブル203がガイドレール201に沿ってZ軸方向に移動する。これにより、昇降テーブル203に取り付けられたホルダ204、及び、ホルダ204に保持された粗研削機構30も、昇降テーブル203とともにZ軸方向に移動する。このようにして、粗研削送り機構20は、粗研削機構30をZ軸方向に沿って研削送りする。
【0022】
粗研削機構30は、ホルダ204に固定されたスピンドルハウジング301、スピンドルハウジング301に回転可能に保持されたスピンドル300、スピンドル300を回転駆動するモータ302、スピンドル300の下端に取り付けられたホイールマウント303、及び、ホイールマウント303の下面に着脱可能に接続された研削ホイール304を備えている。
【0023】
スピンドルハウジング301は、Z軸方向に延びるようにホルダ204に保持されている。スピンドル300は、チャックテーブル5の保持面50と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング301に回転可能に支持されている。
【0024】
モータ302は、スピンドル300の上端側に連結されている。このモータ302により、スピンドル300は、Z軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
【0025】
ホイールマウント303は、円板状に形成されており、スピンドル300の下端(先端)に固定されて、スピンドル300の回転に応じて回転する。ホイールマウント303は、研削ホイール304を支持している。
【0026】
研削ホイール304は、ホイールマウント303と略同径を有するように形成されている。研削ホイール304は、アルミニウム合金等の金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)305を含む。ホイール基台305の下面には、全周にわたって、略直方体形状の複数の粗研削砥石306が、環状に配置及び固定されている。粗研削砥石306は、スピンドル300の回転に伴い回転し、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100の裏面104を研削する。粗研削砥石306は、粒径が比較的大きな砥粒を含む砥石である。
【0027】
スピンドル300の内部には、Z軸方向に延びる研削水流路が形成されており、この研削水流路に図示しない研削水供給機構が連通している(ともに図示せず)。研削水供給機構からスピンドル300に対して供給される研削水は、研削水流路の下端の開口から粗研削砥石306に向かって下方に噴出し、粗研削砥石306とウェーハ100との接触部位に到達する。
【0028】
粗研削機構30の下方に配置されたチャックテーブル5に隣接する位置には、第1ハイトゲージ51が配設されている。第1ハイトゲージ51は、たとえば粗研削中に、ウェーハ100の厚みを接触式または非接触式にて測定する。
【0029】
第2の装置ベース11上の後方には、第2のコラム13が、X軸方向に沿って第1のコラム12に隣接するように立設されている。第2のコラム13の前面には、ウェーハ100を仕上げ研削する仕上げ研削機構31、及び、仕上げ研削機構31を研削送りする仕上げ研削送り機構21が配設されている。仕上げ研削機構31は、加工具を用いてウェーハ100を加工する加工機構の一例である。
【0030】
仕上げ研削送り機構21は、粗研削送り機構20と同様の構成を有しており、仕上げ研削機構31をZ軸方向に沿って研削送りすることができる。仕上げ研削機構31は、粗研削砥石306に代えて仕上げ研削砥石307を備えていることを除いて、粗研削機構30と同様の構成を有している。仕上げ研削砥石307は、粒径が比較的小さな砥粒を含む砥石である。
【0031】
仕上げ研削機構31の下方に配置されたチャックテーブル5に隣接する位置には、第2ハイトゲージ52が配設されている。第2ハイトゲージ52は、たとえば仕上げ研削中に、ウェーハ100の厚みを接触式または非接触式にて測定する。
【0032】
仕上げ研削後のウェーハ100は、搬送機構の一例である搬出機構172によって搬出される。搬出機構172は、チャックテーブル5に保持されたウェーハ100を洗浄機構156に搬送する。
【0033】
搬出機構172は、ウェーハ100の裏面104を吸引保持する吸引面を有する搬送パッド173を備えている。搬出機構172は、チャックテーブル5に載置されている仕上げ研削後のウェーハ100の裏面104を、搬送パッド173によって吸引保持する。搬送パッド173は、不図示のモータによって駆動されて回転軸173aを軸として旋回可能となっている。また、このモータ及び回転軸173aは、例えばエアシリンダによって駆動されてZ軸方向に昇降可能となっている。搬出機構172は、ウェーハ100をチャックテーブル5から搬出して、枚葉式の洗浄機構156のスピンナテーブル157に搬送する。
【0034】
洗浄機構156は、ウェーハ100を洗浄するスピンナ洗浄ユニットである。洗浄機構156は、ウェーハ100を保持するスピンナテーブル157、及び、スピンナテーブル157に向けて洗浄水及び乾燥エアを噴射する洗浄具である洗浄ノズル158を備えている。洗浄ノズル158は、不図示のモータによって駆動されてZ軸方向の回転軸158aを軸として旋回移動可能であり、下部に開口を有する噴射部158bから洗浄水及び乾燥エアを噴射可能となっている。また、スピンナテーブル157の上面は、ウェーハ100を保持する保持面159を構成している。
【0035】
洗浄機構156では、ウェーハ100を保持したスピンナテーブル157が回転するとともに、洗浄ノズル158の噴射部158bからウェーハ100の裏面104に向けて洗浄水が噴射されて、裏面104がスピンナ洗浄される。その後、ウェーハ100に対し、洗浄ノズル158とは別の図示しないエアノズルから乾燥エアが吹き付けられて、ウェーハ100が乾燥される。
【0036】
洗浄機構156によって洗浄されたウェーハ100は、搬送ロボット155により、第2のカセットステージ162上の第2のカセット163に搬入される。
【0037】
また、加工装置1は、第1の装置ベース10及び第2の装置ベース11を覆う筐体15を備えている。筐体15の前面にはタッチパネル60が設置されている。タッチパネル60には、加工装置1に関する加工条件等の各種情報が表示される。また、タッチパネル60は、加工条件等の各種情報を設定するためにも用いられる。このように、タッチパネル60は、情報を入力するための入力機構として機能するとともに、情報を表示するための表示機構としても機能する。
【0038】
加工装置1は、その内部に制御部70を有している。制御部70は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、及び、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部70は、各種の処理を実行し、加工装置1の各構成要素を統括制御する。
【0039】
制御部70は、搬送ロボット155を用いてウェーハ100を第1のカセット161から取り出して仮置き機構152に搬送すること、搬入機構170を用いてウェーハ100を仮置き機構152からチャックテーブル5に搬入すること、粗研削機構30及び仕上げ研削機構31を用いてウェーハ100を研削加工すること、搬出機構172を用いてウェーハ100をチャックテーブル5から洗浄機構156に搬送すること、洗浄機構156を用いてウェーハ100を洗浄すること、及び、搬送ロボット155を用いて洗浄後のウェーハ100を第2のカセット163に収納することを、フルオートで制御することができる。
【0040】
加工装置1の内部には、搬送パッド171、搬送パッド173、洗浄ノズル158の移動範囲を設定する範囲設定部71を備えている。範囲設定部71は、少なくともメモリ等の記憶媒体を備えている。
【0041】
2 加工装置の基本動作
加工装置1において、第1のカセット161に収容されたウェーハ100の裏面104を研削する場合は、搬送ロボット155の保持部155bによってウェーハ100の裏面104が吸引保持され、仮置きテーブル154に搬送される。そして、位置合わせ機構153によってウェーハ100が所定の位置に位置合わせされる。
【0042】
次に、搬入機構170の搬送パッド171によってウェーハ100の裏面104側が吸引保持され、回転軸171aを軸として搬送パッド171が旋回することにより、搬出入領域401に近い位置にあるチャックテーブル5にウェーハ100が搬送され、保持面50に保護テープ105側が載置され、吸引保持される。
【0043】
次に、ターンテーブル6が所定角度回転することにより、ウェーハ100が粗研削機構30の下方に移動する。そして、モータ302が研削ホイール304を回転させるとともに、粗研削送り機構20が粗研削機構30を下方に研削送りすることにより、回転する粗研削砥石306がウェーハ100の裏面104に接触して粗研削が行われる。粗研削中は第1ハイトゲージ51によってウェーハ100の厚みが測定され、その測定値が所定の厚みに達すると、粗研削送り機構20が粗研削機構30を上昇させて粗研削を終了する。
【0044】
次に、ターンテーブル6が所定角度回転することにより、ウェーハ100が仕上げ研削機構31の下方に移動する。そして、仕上げ研削砥石307が回転しながら仕上げ研削送り機構21が仕上げ研削機構31を下方に研削送りすることにより、回転する仕上げ研削砥石307がウェーハ100の裏面104に接触して仕上げ研削が行われる。仕上げ研削中は第2ハイトゲージ52によってウェーハ100の厚みが測定され、その測定値が所定の厚みに達すると、仕上げ研削送り機構21が仕上げ研削機構31を上昇させて仕上げ研削を終了する。
【0045】
次に、ターンテーブル6が回転して仕上げ研削後のウェーハ100を保持したチャックテーブル5が搬出入領域401に近い位置に移動する。そして、搬出機構172の搬送パッド173がウェーハ100の裏面104を吸引保持して回転軸173aを軸として旋回し、ウェーハ100の表面101に貼着された保護テープ105側をスピンナテーブル157の保持面159において吸引保持する。その状態でスピンナテーブル157が回転しながら、洗浄ノズル158が回転軸158aを軸として旋回して噴射部158bから高圧水を噴射することにより、ウェーハ100の裏面104が洗浄され、研削屑が除去される。その後、スピンナテーブル157が回転するとともに、洗浄ノズル158が回転軸158aを軸として旋回しながら噴射部158bから高圧エアを噴射することにより、ウェーハ100が乾燥される。
【0046】
ウェーハ100の洗浄及び乾燥が行われた後は、搬送ロボット155の保持部155bが保護テープ105を吸引保持し、ウェーハ100を第2のカセット163に収容する。
【0047】
3 特定部位の動作確認
加工装置1において以上のようにして行われる一連の動作において、ウェーハ100の搬送中にウェーハ100に破損が見られるときや、ウェーハ100の加工前の搬送に問題がないか否かを確認しておきたい場合など、オペレータが特定の部位の動作を確認したい場合がある。特に、ウェーハ100の搬送においては、搬送先にウェーハ100を載置する際にウェーハ100に衝撃が加わるのを防ぐ必要がある。また、研削屑をウェーハ100から除去するために、洗浄機構156においてウェーハ100の裏面104の全面が万遍なく洗浄される必要がある。そこで、オペレータは、ウェーハ100の加工前や、ウェーハ100の加工の合間等、加工が行われていない間に、以下のようにしてタッチパネル60を操作することにより、加工装置1の特定の部位、特に、搬入機構170の搬送パッド171、搬出機構172の搬送パッド173及び洗浄機構156の洗浄ノズル158を所定の範囲だけ往復動作させ、その部位の動作を繰り返し確認する。
【0048】
搬入機構170の搬送パッド171、搬出機構172の搬送パッド173及び洗浄機構156の洗浄ノズル158の移動に関する所定の範囲は、タッチパネル60からの入力によってオペレータがあらかじめ指定可能であり、タッチパネル60に表示される図2図4に示す搬入移動範囲イラスト62、搬出移動範囲イラスト63、又は洗浄移動範囲イラスト64を見ながら設定する方法(以下、「イラスト方式」という。)と、図5に示す搬入往復動作画面65、不図示の搬出往復動作画面、又は、不図示の洗浄往復動作画面をタッチパネル60に表示させ、この搬入往復動作画面65の各ボタンをタッチして搬送パッド171、搬送パッド173、又は、洗浄ノズル158を実際に動かしながら設定する方法(以下、「稼働方式」という。)と、がある。
【0049】
(1)イラスト方式による移動範囲の設定及び動作の確認
ここでは、イラスト方式による搬送パッド171、搬送パッド173及び洗浄ノズル158についての移動に関する所定の範囲の設定と、その設定に基づく動作の確認について説明する。
(a)搬入機構
イラスト方式によってオペレータが搬入機構170を構成する搬送パッド171の往復移動範囲を設定しようとする場合は、タッチパネル60において所定のボタンをタッチする。そうすると、制御部70による制御の下で、図1に示す範囲設定部71が、図2の搬入移動範囲イラスト62をタッチパネル60に表示する。図2の例においては、搬入機構170を構成する搬送パッド171の移動範囲として、仮置きテーブル154から搬出入領域401側に位置するチャックテーブル5までの移動経路621が逆U字状の太線によって表示されている。すなわち、搬送パッド171は、仮置きテーブル154に載置されたウェーハ100を保持してから上昇し、その状態から回転軸171aを軸として旋回してチャックテーブル5の上方まで水平移動し、そこから下降してウェーハ100をチャックテーブル5に載置する。
【0050】
図2に示された搬送パッド171の移動経路621のうち、斜線が施された四角形で示された指定部622は、搬送パッド171を往復動作させることができる範囲である。図2の例では、チャックテーブル5の上面である保持面50からその数センチメートル上方までが所定の往復範囲として設定されている。制御部70は、範囲設定部71における指定部622の情報を参照し、搬送パッド171を、チャックテーブル5の保持面50に接する位置である下端625と、その数センチメートル上方の位置である上端624との間で上下方向に往復移動させることが可能となる。
【0051】
この指定部622は、オペレータがタッチパネル60上で指定部622を示す四角形のいずれかの辺をタッチしドラッグすることによって移動範囲を設定可能である。例えば、往復範囲を上方に広げたい場合は、指定部622の四角形の上辺で示される上端624をタッチした状態で上方にドラッグアンドドロップすればよい。また、往復範囲の下端を上方にずらした場合は、指定部622の四角形の下辺で示される下端625をタッチした状態で上方にドラッグアンドドロップすればよい。
【0052】
指定部622を、移動距離は変えずに、上下方向(Z軸方向)又は水平方向(XY平面方向)に移動させることも可能である。例えば、指定部622を示す四角形の内部を上方向にドラッグすることにより、往復移動の距離を変えずに往復移動範囲を上方向にずらすことができる。
【0053】
搬送パッド171を水平方向に所定範囲往復移動させたい場合、すなわち搬送パッド171の旋回範囲を指定したい場合は、図2の指定部623で示すように、移動経路621の上辺上に移動範囲を設定する。指定部623では、四角形の左端626又は右端627を左右方向にドラッグすることにより、水平方向の往復移動範囲を調整することができる。また、指定部623の内部を左右方向にドラッグすることにより、往復移動場所を変更することができる。図2の指定部623が指定された場合、制御部70は、範囲設定部71における指定部623の情報を参照し、搬送パッド171をチャックテーブル5の中心付近の上方において旋回往復移動させることが可能となる。
【0054】
(B)搬出機構
イラスト方式によってオペレータが搬出機構172を構成する搬送パッド173の往復移動範囲を設定しようとする場合は、タッチパネル60において所定のボタンをタッチする。そうすると、制御部70による制御の下で、図1に示す範囲設定部71が、図3の搬出移動範囲イラスト63をタッチパネル60に表示する。図3の例においては、搬出機構172を構成する搬送パッド173の移動範囲として、搬出入領域401側に位置するチャックテーブル5からスピンナテーブル157までの移動経路631が逆U字状の太線によって表示されている。すなわち、搬送パッド173は、チャックテーブル5に載置されたウェーハ100を保持してから上昇し、その状態からスピンナテーブル157の上方まで水平移動し、そこから下降してウェーハ100をスピンナテーブル157の保持面159に載置する。
【0055】
図3に示された搬送パッド173の移動経路631のうち、斜線が施された四角形で示された指定部632は、搬送パッド173を往復動作させることができる範囲である。図3の例では、スピンナテーブル157の上面である保持面159からその数センチメートル上方までが所定の往復範囲として設定されている。制御部70は、範囲設定部71における指定部632の情報を参照し、搬送パッド171を、スピンナテーブル157の保持面159に接する位置である下端634と、その数センチメートル上方の位置である上端633との間で上下方向に往復移動させることが可能となる。
【0056】
この指定部632は、オペレータがタッチパネル60上で指定部632を示す四角形のいずれかの辺をタッチしドラッグすることによって移動範囲を設定可能である。例えば、往復範囲を上方に広げたい場合は、指定部632の四角形の上辺で示される上端633をタッチした状態で上方にドラッグアンドドロップすればよい。また、往復範囲の下端を上方にずらした場合は、指定部632の四角形の下辺で示される下端634をタッチした状態で上方にドラッグアンドドロップすればよい。
【0057】
指定部632を、移動距離は変えずに、上下方向(Z軸方向)又は水平方向(XY平面方向)に移動させることも可能である。例えば、指定部632を示す四角形の内部を上方向にドラッグすることにより、往復移動の距離を変えずに範囲移動を上方向にずらすことができる。
【0058】
搬送パッド173を水平方向に所定範囲往復移動させたい場合、すなわち搬送パッド173の旋回範囲を変更したい場合は、図3の状態から四角形の内部をタッチして移動経路631の最上部までドラッグし、指定部632を示す左辺で示される左端635又は右辺で示される右端636を水平方向にドラッグすればよい点は、搬入機構170と同様である。
【0059】
(C)洗浄機構
イラスト方式によってオペレータが洗浄機構156を構成する洗浄ノズル158の往復移動範囲を設定しようとする場合は、タッチパネル60において所定のボタンをタッチする。そうすると、制御部70による制御の下で、図1に示す範囲設定部71が、図4の洗浄移動範囲イラスト64をタッチパネル60に表示する。図4の例においては、洗浄機構156を構成する洗浄ノズル158の噴射部158bの移動範囲として、移動経路641が太線によって表示されている。洗浄ノズル158は、図1に示した回転軸158aを軸として旋回可能であるため、洗浄移動範囲イラスト64では、噴射部158bの旋回による移動範囲が、正面から見た移動経路641として示されている。
【0060】
スピンナテーブル157に保持されたウェーハ100を洗浄する際にはスピンナテーブル157が回転するため、洗浄ノズル158の噴射部158bが、スピンナテーブル157の中心部の上方と外周部の上方との間を往復して旋回することで、スピンナテーブル157に保持されたウェーハ100を洗浄する。したがって、図4において太線で示した洗浄ノズル158の移動経路641は、スピンナテーブル157の中心部の上方と外周部の上方との間となる。図4の例においては、斜線を施した四角形で示したスピンナテーブル157の中心部の上方の第1指定部642と、同じく斜線を施した四角形で示したスピンナテーブル157の外周部の上方の第2指定部643とが設定されている。
【0061】
第1指定部642は、噴射部158bから噴射された洗浄水がスピンナテーブル157に保持されたウェーハ100の中心部に供給されるか否かをチェックするために設定される。このような指定がなされた場合、制御部70は、範囲設定部71における第1指定部642の情報を参照し、洗浄ノズル158を第1指定部642において往復旋回させることにより、噴射部158bを、スピンナテーブル157の中心部付近で往復移動させることが可能となる。
【0062】
一方、第2指定部643は、噴射部158bから噴射された洗浄水がスピンナテーブル157に保持されたウェーハ100の外周縁まで供給されるか否かをチェックする際に設定される。このような指定がなされた場合、制御部70は、範囲設定部71における第1指定部642の情報を参照し、洗浄ノズル158を第2指定部643において往復旋回させることにより、噴射部158bを、スピンナテーブル157の外周部付近で往復移動させることが可能となる。
【0063】
第1指定部642又は第2指定部643は、オペレータがタッチパネル60上で第1指定部642又は第2指定部643を示す四角形のいずれかの左端又は右端をタッチしドラッグすることによって移動範囲を設定可能である。例えば、第1指定部642の往復範囲をもっと外周側まで広げたい場合は、第1指定部642の四角形の右辺で示される右端644をタッチした状態で右方にドラッグアンドドロップすればよい。
【0064】
また、第1指定部642又は第2指定部643の往復移動範囲を、噴射部158bの移動距離は変えずに、水平方向に移動させることも可能である。例えば、第2指定部643を示す四角形の内部を左方向にドラッグすることにより、往復移動の距離を変えずに移動範囲を左方向にずらすことができる。
【0065】
(D)動作確認
上記のようにして図2図4の各イラストにおいて搬送パッド171、搬送パッド173及び洗浄ノズル158の往復動作範囲が設定されると、オペレータがこれらの各部位の動きを確認したいときに、タッチパネル60の所定のボタンをタッチすると、制御部70は、図5に示す往復選択画面61をタッチパネル60に表示する。
【0066】
図5に示すように、往復選択画面61では、搬入機構170の搬送パッド171、搬出機構172の搬送パッド173及び洗浄機構156の洗浄ノズル158を往復移動させる際にタッチする往復ボタン614が表示される。往復ボタン614は、搬入往復ボタン611と、搬出往復ボタン612と、洗浄ノズル往復ボタン613とを備えている。搬入往復ボタン611は、搬入機構170の搬送パッド171を所定の範囲で往復移動させたいときにタッチするボタンであり、搬出往復ボタン612は、搬出機構172の搬送パッド173を所定の範囲で往復移動させたいときにタッチするボタンであり、洗浄ノズル往復ボタン613は、洗浄ノズル158を所定の範囲で往復移動させたいときにタッチするボタンである。それぞれの所定の範囲は、図2図4の各イラスト画面において指定した範囲である。
【0067】
(搬入往復)
図5の往復選択画面61においてオペレータが搬入往復ボタン611をタッチすると、制御部70は、図6の搬入往復動作画面65をタッチパネル60に表示する。この搬入往復動作画面65は、往復ボタン654と、記憶ボタン657と、往復開始ボタン658と、往復回数入力欄659とを備えている。
【0068】
往復ボタン654は、順方向ボタン651、逆方向ボタン652及び一時停止ボタン653によって構成される。記憶ボタン657は、スタート位置記憶ボタン655及びエンド位置記憶ボタン656によって構成される。
【0069】
順方向ボタン651がタッチされると、制御部70は、図2の搬入移動範囲イラスト62で指定した指定部622の範囲で、搬送パッド171を順方向に移動させる。ここで、順方向とは、ウェーハ100が搬送される方向であり、仮置きテーブル154からチャックテーブル5に向かう方向であり、指定部622における順方向は、搬送パッド171が上端624から下端625に向かう方向である。
逆方向ボタン652がタッチされると、制御部70は、図2の搬入移動範囲イラスト62で指定した指定部622の範囲で、搬送パッド171を逆方向に移動させる。ここで、逆方向とは、ウェーハ100が搬送される方向とは逆の方向であり、チャックテーブル5から仮置きテーブル154に向かう方向であり、指定部622における逆方向は、搬送パッド171が下端625から上端624に向かう方向である。
【0070】
オペレータが順方向ボタン651をタッチすると、制御部70は、搬送パッド171を指定部622の上端624に移動させた後、その上端624から下端625に向けて搬送パッド171を下降させる。搬送パッド171が下端625まで到達すると、制御部70は、搬送パッド171を上昇移動に転じさせる。そして、搬送パッド171が上端624に到達すると、制御部70は、搬送パッド171を下降移動に転じさせる。このように、順方向ボタン651をタッチするだけで、搬送パッド171が上昇移動と下降移動とを繰り返す。
【0071】
一方、オペレータが逆方向ボタン652をタッチすると、制御部70は、搬送パッド171を指定部622の下端625に移動させた後、その下端625から上端624に向けて上昇させる。搬送パッド171が上端624まで到達すると、制御部70は、搬送パッド171を下降移動に転じさせる。そして、搬送パッド171が下端625に到達すると、制御部70は、搬送パッド171を上昇移動に転じさせる。このように、逆方向ボタン652をタッチするだけで、搬送パッド171が下降移動と上昇移動とを繰り返す。
【0072】
順方向ボタン651又は逆方向ボタン652をタッチすることにより開始された搬送パッド171の上昇移動または下降移動を任意の位置で停止させたいときは、一時停止ボタン653をタッチする。そうすると、制御部70は、搬送パッド171をその時の位置に停止させる。
なお、搬送パッド171の上昇、下降及び停止の制御は、搬入機構170に備える不図示のエアシリンダを制御部70が制御することによって行う。また、搬送パッド171の水平方向の旋回移動の制御は、搬入機構170に備えるモータを制御部70が制御することによって行う。
【0073】
また、搬送パッド171を一時停止させた状態において、再度順方向ボタン651又は逆方向ボタン652をタッチすると、搬送パッド171の上昇移動又は下降移動が再開される。
【0074】
このように、制御部70は、図2の搬入移動範囲イラスト62において設定された指定部622の範囲で搬送パッド171の往復動作を繰り返す。オペレータは、その動作を繰り返し見ることができ、これにより搬送パッド171が指定部622において所望の動作をしているか否かを確認することができる。特に、搬送パッド171が下降する速度を確認することで、搬送パッド171が保持したウェーハ100をチャックテーブル5に載置する際にウェーハ100に過度な衝撃が加わって破損するのを防ぐことができる。
また、一時停止ボタン653をタッチすることにより、指定部622の範囲内で特に見たいところを集中してみることができる。
【0075】
(搬出往復)
図5の往復選択画面61においてオペレータが搬出往復ボタン612をタッチすると、制御部70は、不図示の搬出往復動作画面をタッチパネル60に表示する。この搬出往復動作画面は、図6に示した搬入往復動作画面65と同様のボタンを備えており、搬入往復動作画面65と同様の操作により、搬出機構172の搬送パッド173を、図3の搬出移動範囲イラスト63において設定された指定部632の範囲で往復移動させることができる。一時停止などの操作も同様である。
なお、搬送パッド173の上昇、加工及び停止の制御は、搬出機構172に備える不図示のエアシリンダを制御部70が制御することによって行う。また、搬送パッド173の水平方向の旋回移動の制御は、搬出機構172に備えるモータを制御部70が制御することによって行う。
【0076】
オペレータは、搬送パッド173の往復移動を繰り返し見ることができ、これにより搬送パッド173が指定部632において所望の動作をしているか否かを確認することができる。特に、搬送パッド173が下降する速度を確認することで、搬送パッド173が保持したウェーハ100をスピンナテーブル157に載置する際にウェーハ100に過度な衝撃が加わって破損するのを防ぐことができる。
【0077】
(洗浄往復)
図5の往復選択画面61においてオペレータが洗浄ノズル往復ボタン613をタッチすると、制御部70は、不図示の洗浄往復動作画面をタッチパネル60に表示する。この洗浄往復動作画面は、図6に示した搬入往復動作画面65と同様のボタンを備えており、搬入往復動作画面65と同様の操作により、洗浄機構156を構成する洗浄ノズル158を旋回させることにより、噴射部158bを、図4の洗浄移動範囲イラスト64において設定された第1指定部642及び第2指定部643の範囲で往復移動させることができる。一時停止などの操作も同様である。
なお、洗浄ノズル158の旋回の制御は、洗浄機構156に備える不図示のモータを制御部70が制御することによって行う。
【0078】
オペレータは、洗浄ノズル158の往復移動を繰り返し見ることができ、これにより洗浄ノズル158が第1指定部642及び第2指定部643において所望の動作をしているか否かを確認することができる。特に、洗浄ノズル158の噴射部158bがスピンナテーブル157の中心部の上方及び外周部の上方を通っているか否かを確認することにより、洗浄ノズル158の旋回範囲が十分か否かを確認し、スピンナテーブル157に保持されるウェーハ100の全面を洗浄できるか否かを確認することができる。
【0079】
(2)稼働方式による移動範囲の設定及び動作の確認
ここでは、稼働方式による搬送パッド171、搬送パッド173及び洗浄ノズル158についての移動に関する所定の範囲の設定と、その設定に基づく動作の確認について説明する。
稼働方式による場合は、図6の搬入往復動作画面65を用いて、搬送パッド171の移動範囲を設定する。搬送パッド173及び洗浄ノズル158の移動範囲についても、搬入往復動作画面65と同様に構成される不図示の搬出往復動作画面又は洗浄往復動作画面を用いて設定する。
【0080】
搬送パッド171の往復動作の範囲を設定しようとするときは、オペレータは、順方向ボタン651又は逆方向ボタン652をタッチし、搬送パッド171の移動を開始させる。かかる移動により、重点的に見たい範囲の一端に搬送パッド171が到達すると、一時停止ボタン653をタッチしてその位置で搬送パッド171を一時停止させる。そして、オペレータは、スタート位置記憶ボタン655をタッチする。これにより、一時停止しているその時の搬送パッド171の位置が、往復移動の所定の範囲の一方の位置として範囲設定部71に備える記憶素子に記憶される。
【0081】
次に、オペレータは、順方向ボタン651又は逆方向ボタン652をタッチし、記憶させたスタート位置から搬送パッド171の移動を再開させる。かかる移動により、搬送パッド171が重点的に見たい範囲の他端に到達すると、一時停止ボタン653をタッチしてその位置で搬送パッド171を一時停止させる。そして、オペレータは、エンド位置記憶ボタン656をタッチする。これにより、一時停止しているその時の搬送パッド171の位置が、往復移動の所定の範囲の他方の位置として範囲設定部71に備える記憶素子に記憶される。
また、オペレータは、搬入往復動作画面65において往復回数入力欄659をタッチし、この欄に往復回数を入力して、往復回数を範囲設定部71の記憶素子に記憶させる。
【0082】
上記のようにしてスタート位置及びエンド位置と往復回数とが範囲設定部71の記憶素子に記憶された後、オペレータは、往復開始ボタン658をタッチする。そうすると、搬送パッド171は、スタート位置記憶ボタン655をタッチして指定したスタート位置に移動した後、エンド位置との往復移動を開始する。そして、搬送パッド171は、往復回数入力欄659に入力した回数だけ往復移動した後、停止する。往復移動の途中において一時停止ボタン653をタッチして任意の位置で搬送パッド171を停止させることもできる。
【0083】
なお、搬出機構172を構成する搬送パッド173又は洗浄機構156を構成する洗浄ノズル158を往復移動させる場合も、図6の搬入往復動作画面65と同様に構成される不図示の搬出往復動作画面又は洗浄往復動作画面を用いて、同様に、移動範囲の設定及び実際に移動させる操作を行う。
【0084】
このように、動作範囲を設定し、繰返し往復動作が開始されると、動作を見たいところを何度も確認することができる。また、往復動作の任意の位置において動作を一時停止させることにより、特に見たい部分を重点的に確認することができる。
【0085】
なお、上記イラスト方式又は稼働方式を用いた移動に関する所定の範囲の設定及びその設定に基づく動作の確認は、図1に示した搬送ロボット155に適用することもできる。すなわち、搬送ロボット155の保持部155bの移動範囲をイラスト方式又は稼働方式によってあらかじめ指定し、その範囲において動作を繰り返し確認することができる。例えば、第1のカセット161の内部において上下動する際の移動範囲を指定しておくことにより、保持部155bが第1のカセット161の内部において加工前のウェーハ100を保持する際の衝撃を確認することができる。また、第2のカセット163の内部において上下動する際の移動範囲を指定しておくことにより、保持部155bが第2のカセット163の内部において加工及び洗浄後のウェーハ100を収納する際の衝撃を確認することができる。さらに、仮置きテーブル154の上面からその上方までを移動範囲として指定しておくことにより、保持部155bが加工前のウェーハ100を仮置きテーブル154に載置する際の衝撃を確認することができる。
【0086】
範囲設定部71が、搬入機構170の搬送パッド171、搬出機構172の搬送パッド173、洗浄機構156の洗浄ノズル158、又は、搬送ロボット155の保持部155bの移動範囲を指定する際には、イラスト方式又は稼働方式のほか、タッチパネル60から数値を入力する方式としてもよい。この場合、旋回移動する部分についてはモータの回転角度の値、昇降する部分については高さの値を入力する。モータの回転角度及び高さの値を入力するにあたっては、どこを基準とするかを範囲設定部71にあらかじめ設定しておき、そこを基準とする相対値を入力するようにすればよい。
【符号の説明】
【0087】
1:加工装置
5:チャックテーブル 50:保持面
51:第1ハイトゲージ 52:第2ハイトゲージ
6:ターンテーブル
10:第1の装置ベース 11:第2の装置ベース
12:第1のコラム 13:第2のコラム 15:筐体
152:仮置き機構 153:位置合わせ機構 154:仮置きテーブル
155:搬送ロボット 155a:アーム部 155b:保持部
156:洗浄機構 157:スピンナテーブル 158:洗浄ノズル
158a:回転軸 158b:噴射部 159:保持面
160:第1のカセットステージ 161:第1のカセット
162:第2のカセットステージ 163:第2のカセット
170:搬入機構 171:搬送パッド 171a:回転軸
172:搬出機構 173:搬送パッド 173a:回転軸
20:粗研削送り機構
200:ボールネジ 201:ガイドレール 202:モータ 203:昇降テーブル
204:ホルダ
21:仕上げ研削送り機構
30:粗研削機構
300:スピンドル
301:スピンドルハウジング 302:モータ 303:ホイールマウント
304:研削ホイール 305:ホイール基台 306:粗研削砥石
31:仕上げ研削機構 307:仕上げ研削砥石
401:搬出入領域 402:加工領域
60:タッチパネル
61:往復選択画面
611:搬入往復ボタン 612:搬出往復ボタン
613:洗浄ノズル往復ボタン 614:往復ボタン
62:搬入移動範囲イラスト
621:移動経路 622:指定部 623:指定部 624:上端 625:下端
626:左端 627:右端
63:搬出移動範囲イラスト
631:移動経路 632:指定部 633:上端 634:下端 635:左端
636:右端
64:洗浄移動範囲イラスト
641:移動経路 642:第1指定部 643:第2指定部 644:右端
65:搬入往復動作画面
651:順方向ボタン 652:逆方向ボタン 653:一時停止ボタン
654:往復ボタン 655:スタート位置記憶ボタン 656:エンド位置記憶ボタン
657:記憶ボタン 658:往復開始ボタン 659:往復回数入力欄
70:制御部 71:範囲設定部
100:ウェーハ 101:表面 104:裏面 105:保護テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6