(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164683
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】弁座部材、流体制御弁、流体制御装置、及び、弁座部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 1/42 20060101AFI20241120BHJP
G05D 7/06 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F16K1/42 G
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080344
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】田坂 直也
【テーマコード(参考)】
3H052
5H307
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA03
3H052BA25
3H052BA35
3H052CB03
3H052DA01
3H052EA16
5H307BB01
5H307BB05
5H307DD11
5H307EE02
5H307FF06
5H307HH04
5H307HH12
(57)【要約】
【課題】弁座部材やアクチュエータを大型化することなく、流体制御弁の大流量化を図る。
【解決手段】弁体32の着座面32sが着座する弁座面31sと、弁座面31sから凹んでおり、その底面に流入口31iが開口している流入溝31xと、弁座面31sから凹んでおり、その底面に流出口31oが開口している流出溝31yとを有し、流入溝31x及び流出溝31yの間の弁座面31sが、平面視において、流入口31i及び流出口31oに重なることなく、流入口31i又は流出口31oの直径よりも狭いピッチLで形成されているようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体の着座面が着座する弁座面と、
前記弁座面から凹んでおり、その底面に流入口が開口している流入溝と、
前記弁座面から凹んでおり、その底面に流出口が開口している流出溝とを有し、
前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面が、平面視において、前記流入口及び前記流出口に重なることなく、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチで形成されている、弁座部材。
【請求項2】
前記流入溝が、前記流入口に重なり合う第1ポケット部と、前記第1ポケット部に連通するとともに、前記流入口の直径よりも狭い溝幅の第1幅狭部とを有する、請求項1記載の弁座部材。
【請求項3】
前記流出溝が、前記流出口に重なり合う第2ポケット部と、前記第2ポケット部に連通するとともに、前記流出口の直径よりも狭い溝幅の第2幅狭部とを有する、請求項1又は2記載の弁座部材。
【請求項4】
前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面が、平面視において、前記流入溝及び前記流出溝を隔てる境界面であり、その境界面が、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチのラビリンス形状をなす、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の弁座部材。
【請求項5】
前記境界面が、前記流入口及び前記流出口を避けるように形成された同心円状の多重環状をなす、請求項4記載の弁座部材。
【請求項6】
前記境界面と、当該境界面よりも外側の前記弁座面との間に架け渡されて、前記境界面を保持するブリッジを有する、請求項4又は5記載の弁座部材。
【請求項7】
1又は複数の前記流入口と1又は複数の前記流出口とが、同一円周上に形成されている、請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の弁座部材。
【請求項8】
前記流入口及び前記流出口が、同一円周上に周方向に沿って交互に形成されている、請求項7記載の弁座部材。
【請求項9】
複数の前記流入口又は複数の前記流出口が径方向に沿って形成されている、請求項1乃至8のうち何れか一項に記載の弁座部材。
【請求項10】
径方向に沿って異なる位置に形成されている前記複数の流入口又は前記複数の流出口が、互いに異なる直径を有する、請求項9記載の弁座部材。
【請求項11】
径方向外側に位置する前記流入口又は前記流出口の直径が、径方向内側に位置する前記流入口又は前記流出口の直径よりも大きい、請求項10記載の弁座部材。
【請求項12】
前記流入口及び前記流出口が形成されたブロック体と、
前記ブロック体に取り付けられるとともに、前記ブロック体とともに前記流入溝及び前記流出溝を形成するプレートとを具備する、請求項1乃至11のうち何れか一項に記載の弁座部材。
【請求項13】
請求項1乃至12のうち何れか一項に記載の弁座部材と、
前記弁座部材に対して接離する弁体とを備える、流体制御弁。
【請求項14】
請求項13記載の流体制御弁と、
前記流体制御弁が設けられた流路の流量を測定する流量センサと、
前記流量センサの測定値に基づいて前記流体制御弁を制御する制御部とを備える、流体制御装置。
【請求項15】
前記弁体の着座面が着座する弁座面と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流入口が開口している流入溝と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流出口が開口している流出溝とを有する弁座部材を製造する方法であって、
前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面を、平面視において、前記流入口及び前記流出口に重ねることなく、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチで形成する、弁座部材の製造方法。
【請求項16】
前記弁座面をエッチングにより形成する、請求項15記載の弁座部材の製造方法。
【請求項17】
前記流入口及び前記流出口が形成されたブロック体と、前記ブロック体とともに前記流入溝及び前記流出溝を形成するプレートとを拡散接合する、請求項15又は16記載の弁座部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁座部材、流体制御弁、流体制御装置、及び、弁座部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体制御弁では大流量化が望まれており、例えば特許文献1に示すように、弁座面を有する弁座部材の構造に工夫が加えられている。
【0003】
具体的にこの流体制御弁では、弁座部材に複数の流入口及び複数の流出口を形成するとともに、流入口が形成された凹溝と流出口が形成された凹溝とを交互に形成して、複数の流入口から複数の流出口への圧力損失を低減して大流量の流体を流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、限られたサイズの弁座面に円環状の複数の凹溝を形成し、それら凹溝内に複数の流入口及び複数の流出口を形成して、更なる大流量化を図ることには限界がある。そのため、従来の弁座部材を用いて大流量化を図るためには、弁座部材自体を大型化する構成や、弁体のストローク量を大きくするためにアクチュエータを大型化する構成が必要になってしまう。
【0006】
このような中、本願発明者は、流入口が形成された溝及び流出口が形成された溝を隔てる境界面の長さと流量との間に、境界面を長くするほど大流量の流体を流すことができるといった相関関係があることに着目した。
【0007】
そこで本発明は、上述の相関関係に着目してなされたものであり、弁座部材やアクチュエータを大型化することなく、流体制御弁の大流量化を図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る弁座部材は、弁体の着座面が着座する弁座面と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流入口が開口している流入溝と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流出口が開口している流出溝とを有し、前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面が、平面視において、前記流入口及び前記流出口に重なることなく、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチで形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された弁座部材によれば、流入溝及び流出溝の間の弁座面が、流入口及び流出口を避けつつ、流入口又は流出口の直径よりも狭いピッチで形成されているので、弁座面の総長を従来よりも長くすることができ、その結果、弁座部材やアクチュエータを大型化することなく、流体制御弁の大流量化を図れる。
【0010】
前記流入溝が、前記流入口に重なり合う第1ポケット部と、前記第1ポケット部に連通するとともに、前記流入口の直径よりも狭い溝幅の第1幅狭部とを有することが好ましい。
これならば、第1ポケット部を形成することで流入口が塞がれてしまうことを避けつつ、第1幅狭部を形成することで、弁座面の長さを確保することができる。
【0011】
前記流出溝が、前記流出口に重なり合う第2ポケット部と、前記第2ポケット部に連通するとともに、前記流出口の直径よりも狭い溝幅の第2幅狭部とを有することが好ましい。
これならば、第2ポケット部を形成することで流出口が塞がれてしまうことを避けることで圧力損失の低減を図りつつ、第2幅狭部を形成することで、弁座面の長さを確保することができる。
【0012】
前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面が、平面視において、前記流入溝及び前記流出溝を隔てる境界面であり、その境界面が、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチのラビリンス形状をなすことが好ましい。
このように境界面をラビリンス形状にすることで、この境界面を複雑な形状をなす長いものにすることができる。
【0013】
前記境界面が、前記流入口及び前記流出口を避けるように形成された同心円状の多重環状をなすことが好ましい。
これならば、限られたサイズの中で境界面をより長くすることができる。
【0014】
前記境界面と、当該境界面よりも外側の前記弁座面との間に架け渡されて、前記境界面を保持するブリッジを有することが好ましい。
これならば、境界面をブリッジに保持させることで、境界面の形成工程における作業性を担保することができる。
【0015】
1又は複数の前記流入口と1又は複数の前記流出口とが、同一円周上に形成されていることが好ましい。
これならば、流入口に流入した流体を流出口からスムーズに流出させることができ、さらなる大流量化を図れる。
【0016】
前記流入口及び前記流出口が、同一円周上に周方向に沿って交互に形成されていることが好ましい。
これならば、流入溝側及び流出溝側が境界となるうえ、流入口及び流出口を隔てる境界面が複雑な形状になるので、境界面の長さをより長くすることができる。
【0017】
複数の前記流入口又は複数の前記流出口が径方向に沿って形成されていることが好ましい。
これならば、流入口及び流出口の個数を多くすることができ、さらなる大流量化を図れる。
【0018】
径方向に沿って異なる位置に形成されている前記複数の流入口又は前記複数の流出口が、互いに異なる直径を有することが好ましい。
これならば、流入口又は流出口を径方向の位置に応じた適切なサイズにすることができる。
【0019】
径方向外側に位置する前記流入口又は前記流出口の直径が、径方向内側に位置する前記流入口又は前記流出口の直径よりも大きいことが好ましい。
これならば、径方向の位置に応じて、流入口又は流出口をより大きいサイズにすることができ、大流量化を図れる。
【0020】
前記流入口及び前記流出口が形成されたブロック体と、前記ブロック体に取り付けられるとともに、前記ブロック体とともに前記流入溝及び前記流出溝を形成するプレートとを具備することが好ましい。
これならば、プレートを例えば薄板の一部をエッチングにより除去したものとすることで、そのエッチング後の残された箇所により流入溝及び流出溝を形成することができるので、幅の狭い境界面を複雑な形状に成形することが可能となる。
【0021】
本発明に係る流体制御弁は、上述した弁座部材と、前記弁座部材に対して接離する弁体とを備えることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明に係る流体制御装置は、上述した流体制御弁と、前記流体制御弁が設けられた流路の流量を測定する流量センサと、前記流量センサの測定値に基づいて前記流体制御弁を制御する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0023】
さらに、本発明に係る弁座部材の製造方法は、前記弁体の着座面が着座する弁座面と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流入口が開口している流入溝と、前記弁座面から凹んでおり、その底面に流出口が開口している流出溝とを有する弁座部材を製造する方法であって、前記流入溝及び前記流出溝の間の前記弁座面を、平面視において、前記流入口及び前記流出口に重ねることなく、前記流入口又は前記流出口の直径よりも狭いピッチで形成することを特徴とする方法である。
【0024】
上述した流体制御弁、流体制御装置、及び、弁座部材の製造方法によれば、上述した弁座部材と同様の作用効果を奏し得る。
【0025】
前記弁座面をエッチングにより形成することが好ましい。
これならば、幅の狭い弁座面を種々の複雑な形状に形成することができ、従来よりも長い弁座面の形成が可能となる。
【0026】
より具体的な製造方法としては、前記流入口及び前記流出口が形成されたブロック体と、前記ブロック体とともに前記流入溝及び前記流出溝を形成するプレートとを拡散接合する方法を挙げることができる。
【発明の効果】
【0027】
このように構成した本発明によれば、弁座部材やアクチュエータを大型化することなく、流体制御弁の大流量化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態における流体制御装置の模式図。
【
図2】同実施形態の弁座部材及び弁体を示す部分拡大断面図。
【
図7】同実施形態の弁座部材の一部を示す拡大平面図。
【
図8】同実施形態の弁座部材の境界面を示す平面図。
【
図9】同実施形態の弁座部材の製造方法を説明するための模式図。
【
図10】同実施形態の弁座部材の製造方法を説明するための模式図。
【
図11】同実施形態の弁座部材の製造方法を説明するための模式図。
【
図12】同実施形態の弁座部材の製造方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の一実施形態に係る弁座部材について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0030】
本実施形態の弁座部材は、流体制御弁を構成するものであり、この流体制御弁は流体制御装置を構成するものであるので、まずは流体制御装置の全体構成から簡単に説明する。
【0031】
<装置構成>
本実施形態の流体制御装置100は、いわゆるマスフローコントローラであって、例えば半導体製造プロセスを行うチャンバに供給されるガスの流量を制御するために用いられるものである。なお、流体制御装置100はガスだけでなく、液体を制御するものであってもよい。
【0032】
具体的に流体制御装置100は、
図1に示すように、内部に流路Rが形成された流路ブロック2と、流路Rのガスを制御するための流体制御弁3と、流路Rの流量を測定する流量センサ4と、流量センサ4で測定される測定値に基づいて、流体制御弁3を制御する制御部5とを備えている。
【0033】
流路ブロック2は、
図1及び
図2に示すように、流体制御弁3が取り付けられる収容凹部21が形成されている。この収容凹部21は、流路ブロック2の一面(
図1では上面)に形成されている。また、収容凹部21の底面には、上流側流路R1が接続されており、収容凹部21の内側周面には、下流側流路R2が接続されている。つまり、流路ブロック2に形成された流路Rは、収容凹部21によって、上流側流路R1及び下流側流路R2に分断されている。
【0034】
なお、上流側流路R1の上流端には、ガスの導入ポート(不図示)が設けられており、下流側流路R2の下流端には、ガスの導出ポート(不図示)が設けられている。
【0035】
流体制御弁3は、電圧が印加されていない状態で全開となるいわゆるノーマルオープンのバルブであり、印加される電圧によってその開度が制御される。なお、流体制御弁3は、電圧が印加されていない状態で全閉となるいわゆるノーマルクローズのものであっても良い。
【0036】
具体的に流体制御弁3は、
図1及び
図2に示すように、弁座面31sを有する弁座部材31と、弁座面31sに対して接離する着座面32sを有する弁体32と、弁体32を駆動する駆動部33とを備えている。
【0037】
弁座部材31は、収容凹部21に収容されるものである。ここで、弁座部材31は、弁体32が接触する弁座面31sが形成されており、当該弁座面31sが収容凹部21の上部開口側を向くように収容凹部21に収容される。
【0038】
この弁座部材31には、
図2に示すように、弁座面31sを凹ませた溝の底面に流入口31i及び流出口31oが形成されるとともに、当該流入口31iに連通する第1内部流路311及び流出口31oに連通する第2内部流路312が形成されている。
【0039】
そして、弁座部材31は収容凹部21に収容された状態において、第1内部流路311が収容凹部21の底面開口を囲むように設けられ、弁座部材31の下面は、収容凹部21の底面にメタルOリング等のシール部材(不図示)を介して液密に設けられる。つまり、上流側流路R1を流通する流体は、すべて弁座部材31の第1内部流路311に流入する。その他の弁座部材31の詳細は、後述する。
【0040】
弁体32は、流路ブロック2の収容凹部21の開口を閉塞するように設けられたダイアフラム部材34と一体に形成されている。ダイアフラム部材34の側周縁は、収容凹部21の上部開口の周縁部にメタルOリング等のシール部材(不図示)を介して液密に固定されている。
【0041】
また、ダイアフラム部材34の中央部(つまり、弁体32の下面)は、
図2に示すように、駆動部33により弁座部材31に対して進退移動し、弁座部材31の弁座面31sに対して接離する着座面32sを有する。
【0042】
駆動部33は、例えば、電圧を印加した状態で膨張変形するピエゾ素子を複数枚積層して形成されるピエゾアクチュエータ331を備えている。ピエゾアクチュエータ331は、ケーシング332内に収容されており、その先端部には例えば真球等の中間部材333が設けられており、当該中間部材333が弁体32の上面を押圧する。
【0043】
そして、ピエゾアクチュエータ331に所定の電圧が印加されるとピエゾアクチュエータ331が伸長し、弁体32を閉弁方向に付勢して、印加された電圧に応じた距離だけ着座面32sが弁座面31sに接近して所定の開度となり、着座面32sが弁座面31sに接触すると全閉状態となる。一方、ピエゾアクチュエータ331に電圧が印加されていない状態においては、弁体32はダイアフラム部材34の弾性復帰力によって、弁体32が全開状態となる。
【0044】
流量センサ4は、
図1に示すように、例えば熱式のものであり、流路Rに設けられた分流素子(流体抵抗)41と、分流素子41の上流側から分岐し、当該分流素子41の下流側に合流する細管42と、細管42に巻回され、それぞれ一定温度に保たれるように電圧が印加される2つの電熱コイル43と、各電熱コイル43に印加される電圧差を検出して流路Rを流れるガスの流量を算出する流量算出部44とを有している。この流量センサ4は、流路Rにおいて、流体制御弁3の上流側又は下流側に設けられる。
【0045】
制御部5は、流量センサ4で測定される測定値(測定流量)に基づいて、流体制御弁3を制御するものである。この制御部5は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力手段を備えたコンピュータであり、メモリに格納されている流体制御プログラムが実行され、CPU及び周辺機器が協働することによって、流体制御弁3を制御する。
【0046】
制御部5は、外部から入力される指令流量と、流量センサ4で測定される測定流量とに基づいて流体制御弁3の開度を制御する。具体的に制御部5は、指令流量と測定流量の偏差が小さくなるように流体制御弁3の開度を制御する。本実施形態の制御部5は、指令流量と測定流量の偏差に対してPID演算を行い、その結果に応じた指令電圧を駆動部33の駆動回路に対して出力する。駆動回路は入力された指令電圧に対応する電圧をピエゾアクチュエータ331に対して印加する。
【0047】
<弁座部材31の具体的な構成>
弁座部材31は、
図3~
図7に示すように、概略円盤状をなすものであり、その上面に形成された弁座面31sと、弁座面31sから凹んでおり、その底面に上述した流入口31iが開口している流入溝31xと、弁座面31sから凹んでおり、その底面に上述した流出口31oが開口している流出溝31yとを有している。
【0048】
より具体的に説明すると、ここでの弁座部材31は、
図3~
図5に示すように、上述した流入口31i及び流出口31oが形成されたブロック体313と、ブロック体313に取り付けられるとともに、ブロック体313とともに流入溝31x及び流出溝31yを形成するプレート314とを具備する。
【0049】
まず、ブロック体313について説明する。
ブロック体313は、
図4及び
図5に示すように、概略円柱状をなすものであり、後述のプレート314が取り付けられるものであり、具体的には、プレート314側を向く被接合面3131(ここでは上面であり、以下では上面3131ともいう)に、プレート314のブロック体313側を向く接合面3141が接合される。
【0050】
このブロック体313には、
図4に示すように、被接合面となる上面3131と、上面3131の裏側の底面3130とに開口する第1内部流路311が形成されており、
図5に示すように、上面3131と、上面3131及び底面の間の外側周面3132とに開口する第2内部流路312が形成されている。
【0051】
第1内部流路311は、
図4に示すように、複数の流入口31iに連通するものであり、底面に開口するメイン流路311aと、メイン流路311aから分岐して上面3131に開口する複数の分岐流路311bとを有している。
【0052】
メイン流路311aは、収容凹部21の底面に開口する上流側流路R1から流体が流れ込む流路であり、ここでは断面円形状をなす。
【0053】
複数の分岐流路311bのそれぞれは、上面3131に形成された複数の流入口31iのそれぞれに連通しており、メイン流路311aからの流体を分岐させて各流入口31iに導くものである。具体的にこれらの分岐流路311bは、上面3131をメイン流路311aまで貫通させることで形成されている。各分岐流路311bの開口形状は、連通する流入口31iの開口形状と実質的に同一であり、ここでは断面円形状をなす。
【0054】
第2内部流路312は、
図5に示すように、複数の流出口31oに連通するものであり、上面3131に開口する複数の流出路312aと、これらの流出路312aが合流するとともに、外側周面に開口する合流流路312bとを有している。
【0055】
複数の流出路312aのそれぞれは、上面3131に開口する複数の流出口31oのそれぞれに連通しており、流出口31oに流れ込んだ流体を後述する合流流路312bに導くものである。具体的にこれらの流出路312aは、上面3131を後述の合流流路312bまで貫通させることで形成されている。各流出路312aの開口形状は、連通する流出口31oの開口形状と実質的に同一であり、ここでは断面円形状をなす。
【0056】
合流流路312bは、複数の流出路312aから流体が流れ込むとともに、その流体を収容凹部21の内側周面に開口する下流側流路R2に流し出す流路であり、ここでは断面円形状をなす。
【0057】
上述した構成において、ブロック体313の上面3131には、
図3及び
図6に示すように、1又は複数の流入口31iと1又は複数の流出口31oとが、同一円周上に形成されている。なお、ここでいう同一円周上とは、ある1つの流入口31iとある1つの流出口31oに着目して、その着目している流入口31iの少なくとも一部と、その着目している流出口31oの少なくとも一部とが同一円周上に位置していることを意味している。つまり、着目している流入口31iの中心と、着目している流出口31oの中心とが必ずしも同一円周上に位置している必要はないし、着目している流入口31iの全体と、着目している流出口31oの全体とが必ずしも同一円周上に位置している必要はない。また、流入口31i及び流出口31oは、必ずしも同一円周上に位置している必要はなく、流入口31iのみが同一円周上に位置していても良いし、流出口31oのみが同一円周上に位置していても良い。
【0058】
本実施形態では、
図3及び
図6に示すように、複数の流入口31iと複数の流出口31oとが同一円周上に位置している。より詳細には、流入口31i及び流出口31oが、同一円周上に周方向に沿って交互に形成されている。ただし、流入口31i及び流出口31oは、例えばそれぞれが複数個が連続して形成されていても良いし、同一円周上の半周側に複数の流入口31iをかためて形成しておき、残りの半周側に複数の流出口31oをかためて形成しても良い。
【0059】
より具体的に説明すると、ここでの弁座部材31は、平面視円形状をなすものであり、その中心部に流入口31iが形成されている。この中心部に位置する流入口31iの径方向外側には、複数(4つ)の流入口31i及び複数(4つ)の流出口31oが同一円周上に周方向に沿って交互に形成されており、さらにそれらの径方向外側に複数(4つ)の流入口31i及び複数(4つ)の流出口31oが同一円周上に周方向に沿って交互に形成されており、さらにそれらの径方向外側に複数(4つ)の流出口31oが同一円周上に形成されている。
ただし、流入口31i及び流出口31oの数や配置はこれに限るものではなく、適宜変更して構わない。
【0060】
本実施形態では、
図6に示すように、複数の流入口31iが径方向に沿って形成されている。言い換えれば、流入口31iは、ブロック体313の上面3131における径方向に沿った複数個所に形成されており、ここでは上面3131の中心を通過するとともに、互いに交差(ここでは直交であるが、直交以外でも良い)する一対の第1仮想線Z1上に複数の流入口31iが形成されている。
【0061】
かかる構成において、径方向に沿って異なる位置に形成されている複数の流入口31iは、互いに異なる直径を有しており、具体的には径方向外側に位置する流入口31iの直径が、径方向内側に位置する流入口31iの直径よりも大きい。
【0062】
また、
図6に示すように、複数の流出口31oが径方向に沿って形成されている。言い換えれば、流出口31oは、ブロック体313の上面3131における径方向に沿った複数個所に形成されており、ここでは上面3131の中心を通過するとともに、互いに交差(ここでは直交であるが、直交以外でも良い)する一対の第2仮想線Z2上に複数の流出口31oが形成されている。なお、一対の第2仮想線Z2は、第1仮想線Z1と交差している。
【0063】
かかる構成において、径方向に沿って異なる位置に形成されている複数の流出口31oは、互いに異なる直径を有しており、具体的には径方向外側に位置する流出口31oの直径が、径方向内側に位置する流出口31oの直径よりも大きい。
【0064】
次に、プレート314について説明する。
プレート314は、
図3~
図5に示すように、概略円板状をなすものであり、表面又は裏面の一方が弁座面31sとなり、他方がブロック体313の被接合面3131に接合される接合面3141となる。
【0065】
このプレート314は、
図3に示すように、例えば薄板をエッチングにより一部除去することで形成されたものであり、具体的には、エッチング後に残される残存箇所が上述した流入口31i及び流出口31oを避けるように、言い換えれば、流入口31i及び流出口31oと重なり合わないように形成されたものである。
【0066】
そして、このプレート314の接合面3141を、ブロック体313に接合させることにより、
図3に示すように、ブロック体313のプレート314側を向く上面3131の一部が露出して、その上面3131の露出箇所と、プレート314の残存箇所の内側周面とによって流入溝31x及び流出溝31yが形成されている。
【0067】
然して、特に
図6に示すように、流入溝31x及び流出溝31yの間の弁座面31sが、平面視において、流入口31i及び流出口31oを避けつつ、流入口31i又は流出口31oの直径よりも狭いピッチLで形成されている。なお、ここでいうピッチLとは、平面視における弁座面31sの径方向に沿った離間距離である。より具体的に説明すると、弁座面31sのピッチLとは、弁座面31sのうち円周状に延びる箇所と、その箇所の径方向外側又は径方向内側に位置して円周状に延びる箇所との径方向に沿った間隔であり、言い換えれば、互いに対向するとともに、円周状に延びる箇所の対向面の間隔である。
【0068】
本実施形態の流入溝31xは、
図7に示すように、流入口31iに重なり合う第1ポケット部P1と、第1ポケット部P1に連通するとともに、流入口31iの直径よりも狭い溝幅の第1幅狭部Q1とを有する。なお、溝幅とは、溝の深さ方向及び溝の延びる方向のそれぞれと直交する幅方向に沿った寸法であり(以下、同じ)、ここでの第1幅狭部Q1の溝幅は上述した弁座面31sのピッチLと一致している。つまり、第1ポケット部P1及び第1幅狭部Q1からなる流入溝31xは、平面視において流入口31iを取り囲む閉じられた領域として形成されており、その閉じられた領域の少なくとも一部が、流入口31iの直径よりも狭くなっている。
【0069】
第1ポケット部P1は、流入口31iの全体と重なり合っており、複数の流入口31iそれぞれに対応して設けられている。各第1ポケット部P1には、複数の第1幅狭部Q1が連通しており、言い換えれば、第1ポケット部P1を介して複数の第1幅狭部Q1が互いに連通している。
【0070】
第1幅狭部Q1は、第1ポケット部P1から周方向に沿って延びており、具体的には、第1ポケット部P1の1又は複数箇所から周方向に沿って延びている。本実施形態では、
図7に示すように、第1ポケット部P1から時計回りに延びる第1幅狭部Q1と反時計回りに延びる第1幅狭部Q1とが同一円周上に形成されるとともに、第1ポケット部P1の径方向に沿った異なる箇所のそれぞれから第1幅狭部Q1が周方向に沿って延びている。
【0071】
また、本実施形態の流出溝31y(
図6等参照)は、流出口31oに重なり合う第2ポケット部P2と、第2ポケット部P2に連通するとともに、流出口31oの直径よりも狭い溝幅の第2幅狭部Q2とを有する。なお、この第2幅狭部Q2の溝幅が上述した弁座面31sのピッチLである。つまり、第2ポケット部P2及び第2幅狭部Q2からなる流出溝31yは、平面視において流出口31oを取り囲む閉じられた領域として形成されており、その閉じられた領域の少なくとも一部が、流出溝31yの直径よりも狭くなっている。
【0072】
第2ポケット部P2は、流出口31oの全体と重なり合っており、複数の流出口31oそれぞれに対応して設けられている。各第2ポケット部P2には、複数の第2幅狭部Q2が連通しており、言い換えれば、第2ポケット部P2を介して複数の第2幅狭部Q2が互いに連通している。
【0073】
第2幅狭部Q2は、第2ポケット部P2から周方向に沿って延びており、具体的には、第2ポケット部P2の1又は複数箇所から周方向に沿って延びている。本実施形態では、
図7に示すように、第2ポケット部P2から時計回りに延びる第2幅狭部Q2と反時計周りに延びる第2幅狭部Q2とが同一円周上に形成されるとともに、第2ポケット部P2の径方向において異なる箇所それぞれから第2幅狭部Q2が周方向に沿って延びている。
【0074】
上述した構成において、
図8の斜線箇所で示すように、流入溝31x及び流出溝31yの間の弁座面31sが、平面視において、流入溝31x及び流出溝31yを隔てる境界面Mとなり、流入口31i又は流出口31oの直径よりも狭いピッチLのラビリンス形状をなす。なお、「ラビリンス形状」とは、1又は複数個所で屈曲或いは湾曲した形状であり、謂わば曲がりくねった迷路のような形状である。
【0075】
具体的にこの境界面Mは、平面視において、第1ポケット部P1、第1幅狭部Q1、第2ポケット部P2、及び、第2幅狭部Q2を区画しており、この実施形態では流入口31i及び流出口31oを避けるように形成された同心円状の多重環状(複数の環状)をなす。
【0076】
また、本実施形態の弁座部材31は、
図6に示すように、境界面Mと、当該境界面Mよりも外側の弁座面31sとの間に架け渡されて、境界面Mを保持するブリッジBを有する。
【0077】
このブリッジBは、径方向最外側の境界面Mと弁座部材31の外縁部に形成されている弁座面31sとの間に介在しており、例えば径方向に沿って延びている。
【0078】
ここでは、径方向最も外側に複数(4つ)の流出口31oが形成されており、これらの流出口31oと同数のブリッジBが、互いに隣り合う流出口31oを仕切るように形成されている。なお、これらの流出口31oは、その他の流出口31oと同様、ブロック体313に形成されたものである。また、ブリッジBの数は
図6に示す態様に限らず、1~3つでも良いし、5つ以上であっても良い。
【0079】
次に、この弁座部材31の製造方法について
図9~
図12を参照しながら説明する。
この製造方法は、弁体の着座面が着座する弁座面と、弁座面から凹んでおり、その底面に流入口が開口している流入溝と、弁座面から凹んでおり、その底面に流出口が開口している流出溝とを有する弁座部材を製造する方法において、流入口及び流出口が形成されたブロック体と、ブロック体とともに流入溝及び流出溝を形成するプレートとを接合する事を基本的な方法としている。
なお、ここでは複数の弁座部材31を一挙に製造しているが、単一の弁座部材31を製造しても良い。
【0080】
まず、
図9に示すように、予め準備した薄板をエッチング等の表面加工により、流入溝31x及び流出溝31yに対応する箇所を除去して、残存箇所の表面が弁座面31sとなるプレート314(ここでは、複数枚のプレート314が連なったもの)が作成される。
【0081】
このとき、上述したブリッジBを形成することにより、このブリッジBの内側が保持された状態でエッチング等の表面加工をすることができる。これにより、流入溝31x及び流出溝31yを隔てる弁座面31sである境界面Mを、例えばラビリンス形状等の細かい形状に成形することができる。
【0082】
なお、この薄板の厚み(すなわち、プレート314の厚み)は、ラビリンス形状をなす弁座面31sのピッチLと同等であり、10分の数mm程度である。
【0083】
一方、プロック体(ここでは、複数個のブロック体313が連なったもの)には、底面を切削することで図示されていないが上述したメイン流路311aを形成し、側面を切削することで合流流路312bを形成する。
【0084】
次いで、
図10に示すように、ブロック体313の上面3131にプレート314を例えば拡散接合により接合させて一体化させる。これにより、ブロック体313の上面3131の露出箇所と、プレート314の残存箇所の内周面とにより流入溝31x及び流出溝31yが形成される。
【0085】
続いて、
図11にブロック体313の上面3131における予め定められた複数箇所を切削することにより、メイン流路311aの連通する分岐流路311b及び流入口31iを形成するとともに、合流流路312bに連通する流出路312a及び流出口31oを形成する。
【0086】
最後に、本実施形態では、
図12に示すように、複数の弁座部材31を切り離すことにより、複数の弁座部材31の製造工程が一挙に完了する。
【0087】
このように構成された弁座部材31によれば、流入溝31x及び流出溝31yの間の弁座面31sが、流入口31i及び流出口31oを避けつつ、流入口31i又は流出口31oの直径よりも狭いピッチLで形成されているので、弁座面31sの総長を従来よりも長くすることができ、その結果、弁座部材31やアクチュエータを大型化することなく、流体制御弁3の大流量化を図れる。
【0088】
また、流入溝31xが、流入口31iに重なり合う第1ポケット部P1と、第1ポケット部P1に連通するとともに、流入口31iの直径よりも狭い溝幅の第1幅狭部Q1とを有するので、第1ポケット部P1によって流入口31iが塞がれてしまうことを避けることで圧力損失の低減を図りつつ、第1幅狭部Q1によって弁座面31sの長さを確保することができる。
【0089】
同様に、流出溝31yが、流出口31oに重なり合う第2ポケット部P2と、第2ポケット部P2に連通するとともに、流出口31oの直径よりも狭い溝幅の第2幅狭部Q2とを有するので、第2ポケット部P2によって流出口31oが塞がれてしまうことを避けつつ、第2幅狭部Q2によって弁座面31sの長さを確保することができる。
【0090】
流入溝31x及び流出溝31yの間の弁座面31sが、平面視において、流入溝31x及び流出溝31yを隔てる境界面Mであり、その境界面Mが、流入口31i又は流出口31oの直径よりも狭いピッチLのラビリンス形状をなすので、境界面Mを複雑な形状をなす長いものにすることができる。
【0091】
また、境界面Mが、流入口31i及び流出口31oを避けるように形成された同心円状の多重環状をなすので、限られたサイズの中で境界面Mをより長くすることができる。
【0092】
さらに、境界面Mと、当該境界面Mよりも外側の弁座面31sとの間に架け渡されて、境界面Mを保持するブリッジBを有するので、境界面Mの形成工程における作業性を担保することができる。
【0093】
1又は複数の流入口31iと1又は複数の流出口31oとが、同一円周上に形成されているので、流入口31iに流入した流体を流出口31oから圧力損失の少ない状況で流出させることができ、さらなる大流量化を図れる。
【0094】
流入口31i及び流出口31oが、同一円周上に周方向に沿って交互に形成されているので、流入口31i及び流出口31oを隔てる境界面Mが複雑な形状になり、境界面Mの長さをより長くすることができる。
【0095】
複数の流入口31i又は複数の流出口31oが径方向に沿って形成されているので、流入口31i及び流出口31oの個数を多くすることができ、さらなる大流量化を図れる。
【0096】
径方向に沿って異なる位置に形成されている複数の流入口31i又は複数の流出口31oが、互いに異なる直径を有するので、流入口31i又は流出口31oを径方向の位置に応じた適切なサイズにすることができる。
【0097】
具体的には、径方向外側に位置する流入口31i又は流出口31oの直径が、径方向内側に位置する流入口31i又は流出口31oの直径よりも大きいので、径方向の位置に応じて、流入口31i又は流出口31oをより大きいサイズにすることができ、大流量化を図れる。
【0098】
また、プレート314として例えば薄板の一部をエッチングにより除去したものを用いており、そのエッチング後の残存箇所である弁座面31sの間に流入溝31x及び流出溝31yが形成されるので、幅の狭い境界面Mを複雑な形状に成形することが可能となる。
【0099】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0100】
例えば、流入口31i及び流出口31oの数、大きさ、形状、又は配置は、前記実施形態で説明した態様に限らず適宜変更して構わない。
具体的には、複数の流入口31i又は複数の流出口31oは、前記実施形態で図示した数よりも多くても良いし少なくてもよい。また、複数の流入口31i又は複数の流出口31oは、互いに直径が等しいものであっても良いし、円形以外の形状であっても良い。
【0101】
また、弁座部材31は、前記実施形態ではブロック体313に1枚のプレート314を接合してなるものであったが、ブロック体313に複数枚のプレート314を接合してなるものであっても良いし、単一の部材からなるものであっても良い。
【0102】
さらに、ブロック体313にプレート314を取り付ける方法は、必ずしも拡散接合に限らず、例えば溶剤などを用いて接合しても良いし、超音波溶着や熱溶着などを用いても良い。
【0103】
そのうえ、境界面Mは、必ずしもラビリンス形状である必要はなく、例えば機械学習により得られた形状や規則的に又は不規則に蛇行する形状などであっても良い。
【0104】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
100・・・流体制御装置
2 ・・・流路ブロック
21 ・・・収容凹部
R1 ・・・上流側流路
R2 ・・・下流側流路
3 ・・・流体制御弁
31 ・・・弁座部材
31s・・・弁座面
32 ・・・弁体
32s・・・着座面
31i・・・流入口
31o・・・流出口
311・・・第1内部流路
311a・・・メイン流路
311b・・・分岐流路
312・・・第2内部流路
312a・・・流出路
312b・・・合流流路
31x・・・流入溝
31y・・・流出溝
313・・・ブロック体
3131・・・被接合面(上面)
314・・・プレート
3141・・・接合面
L ・・・ピッチ
P1 ・・・第1ポケット部
Q1 ・・・第1幅狭部
P2 ・・・第2ポケット部
Q2 ・・・第2幅狭部
M ・・・境界面
B ・・・ブリッジ