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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164935
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ウエーハ分割装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241121BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/78 X
H01L21/68 A
H01L21/304 651L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080674
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 智人
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F063AA15
5F063AA31
5F063CB07
5F063CB29
5F063DD25
5F063DD68
5F063DD73
5F063DD75
5F063DG21
5F063EE21
5F063FF04
5F063FF13
5F063FF35
5F063FF42
5F063FF43
5F063FF45
5F063FF48
5F063FF51
5F131AA02
5F131BA37
5F131BA52
5F131BA53
5F131BB03
5F131CA12
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA35
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB22
5F131EC33
5F131EC73
5F131EC75
5F131JA22
5F131JA23
5F131JA24
5F131JA27
5F157AA75
5F157AA99
5F157AB33
5F157BG58
5F157CE76
5F157CE77
5F157CF16
(57)【要約】
【課題】洗浄後のウエーハを汚染することがないウエーハ分割装置を提供する。
【解決手段】
ウエーハ分割装置2は、フレーム昇降手段60と、分割手段62と、ウエーハが配設されたフレームをフレーム昇降手段60に搬入および搬出する搬出入手段64とを備える。搬出入手段64は、フレームを支持する第一のガイドレール90と、フレーム支持部66の直上に位置づけられ第一のガイドレール90に連通する第二のガイドレール92と、第一のガイドレール90に支持されたフレームを第二のガイドレール92に搬送するとともに第二のガイドレール92から第一のガイドレール90に搬送する搬送部とを含む。第一のガイドレール90と第二のガイドレール92との境界部近傍には、個々のチップに分割されたウエーハ10にイオン化されたエアーを吹き付けるエアーノズル104aと、エアーの吹き付けによってウエーハから飛散する粉塵を吸引する吸引ノズル104bとを含む掃除手段104が配設される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープに貼着されフレームの開口部に配設されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置であって、
ウエーハが下向きに配設されたフレームを支持するフレーム支持部、該フレーム支持部を昇降させる昇降部、および該フレーム支持部の内側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮部を含むフレーム昇降手段と、
該フレーム支持部に支持され上昇したフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張してウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するリング状の分割部、および該分割部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルを含む分割手段と、
ウエーハが配設されたフレームを該フレーム昇降手段のフレーム支持部に搬入および搬出する搬出入手段と、を備え、
該搬出入手段は、フレームを支持する一対の第一のガイドレールと、該フレーム支持部の直上に位置づけられ該第一のガイドレールに連通する第二のガイドレールと、該第一のガイドレールに支持されたフレームを該第二のガイドレールに搬送するとともに該第二のガイドレールから該第一のガイドレールに搬送する搬送部と、を含み、
該第一のガイドレールと該第二のガイドレールとの境界部近傍には、個々のチップに分割されたウエーハにイオン化されたエアーを吹き付けるエアーノズルと、エアーの吹き付けによってウエーハから飛散する粉塵を吸引する吸引ノズルとを含む掃除手段が配設されるウエーハ分割装置。
【請求項2】
分割済みのウエーハを配設したフレームを該第二のガイドレールから該第一のガイドレールに該搬送部が搬送する際、該掃除手段はフレームに下向きに配設されたウエーハに向かって該エアーノズルからイオン化されたエアーを吹き付けるとともに、該吸引ノズルによってウエーハから飛散した粉塵を吸引する請求項1記載のウエーハ分割装置。
【請求項3】
該吸引ノズルはパーティクルカウンタを備え、該搬送部は、粉塵の数量が所定値を下回るまで該第二のガイドレールと該第一のガイドレールとの間を、繰り返しフレームを往復搬送させる請求項2記載のウエーハ分割装置。
【請求項4】
該第二のガイドレールから該第一のガイドレールにフレームを搬送する際、フレームに振動を与え、ウエーハから粉塵の脱落を促す請求項2記載のウエーハ分割装置。
【請求項5】
該第一のガイドレールに凹凸が形成され若しくは振動子が配設されてフレームに振動を与え、または搬送部が上下に動いてフレームに振動を与える請求項4記載のウエーハ分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに貼着されフレームの開口部に配設されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSIなどの複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコンなどの電気機器に利用される。
【0003】
レーザー加工装置は、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置づけて、レーザー光線をウエーハに照射し改質層を分割予定ラインに沿って形成した後、ウエーハに外力を付与してウエーハを個々のデバイスチップに分割している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、ウエーハを個々のデバイスチップに分割する際に、改質層を含むウエーハの粉塵が飛散してデバイスチップの表面に付着し、デバイスチップの品質を低下させるという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、フレームの開口部に粘着テープを介して配設されたウエーハを下向きにした状態で、粘着テープを拡張しウエーハを個々のデバイスチップに分割するとともに、ウエーハの表面を洗浄してカセットに収容するウエーハの分割装置を開発した(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3408805号公報
【特許文献2】特開2020-96177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ウエーハを個々のデバイスチップに分割する分割手段から、ウエーハを洗浄する洗浄手段にウエーハを搬入する際に、第二の反転手段に粉塵が落下して堆積する場合がある。この場合には、洗浄手段から搬出されたウエーハを第二の反転手段によって180度回転して表裏を反転すると、第二の反転手段に堆積した粉塵が洗浄後のウエーハの表面に落下して、洗浄後のウエーハを汚染するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、洗浄後のウエーハを汚染することがないウエーハ分割装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題を解決する以下のウエーハ分割装置が提供される。すなわち、「粘着テープに貼着されフレームの開口部に配設されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置であって、
ウエーハが下向きに配設されたフレームを支持するフレーム支持部、該フレーム支持部を昇降させる昇降部、および該フレーム支持部の内側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮部を含むフレーム昇降手段と、
該フレーム支持部に支持され上昇したフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張してウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するリング状の分割部、および該分割部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルを含む分割手段と、
ウエーハが配設されたフレームを該フレーム昇降手段のフレーム支持部に搬入および搬出する搬出入手段と、を備え、
該搬出入手段は、フレームを支持する一対の第一のガイドレールと、該フレーム支持部の直上に位置づけられ該第一のガイドレールに連通する第二のガイドレールと、該第一のガイドレールに支持されたフレームを該第二のガイドレールに搬送するとともに該第二のガイドレールから該第一のガイドレールに搬送する搬送部と、を含み、
該第一のガイドレールと該第二のガイドレールとの境界部近傍には、個々のチップに分割されたウエーハにイオン化されたエアーを吹き付けるエアーノズルと、エアーの吹き付けによってウエーハから飛散する粉塵を吸引する吸引ノズルとを含む掃除手段が配設されるウエーハ分割装置」が提供される。
【0010】
好ましくは、分割済みのウエーハを配設したフレームを該第二のガイドレールから該第一のガイドレールに該搬送部が搬送する際、該掃除手段はフレームに下向きに配設されたウエーハに向かって該エアーノズルからイオン化されたエアーを吹き付けるとともに、該吸引ノズルによってウエーハから飛散した粉塵を吸引する。
【0011】
該吸引ノズルはパーティクルカウンタを備え、該搬送部は、粉塵の数量が所定値を下回るまで該第二のガイドレールと該第一のガイドレールとの間を、繰り返しフレームを往復搬送させるのが望ましい。
【0012】
該第二のガイドレールから該第一のガイドレールにフレームを搬送する際、フレームに振動を与え、ウエーハから粉塵の脱落を促すことができる。
【0013】
該第一のガイドレールに凹凸が形成され若しくは振動子が配設されてフレームに振動を与え、または搬送部が上下に動いてフレームに振動を与えるのがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウエーハ分割装置は、
粘着テープに貼着されフレームの開口部に配設されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置であって、
ウエーハが下向きに配設されたフレームを支持するフレーム支持部、該フレーム支持部を昇降させる昇降部、および該フレーム支持部の内側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮部を含むフレーム昇降手段と、
該フレーム支持部に支持され上昇したフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張してウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するリング状の分割部、および該分割部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルを含む分割手段と、
ウエーハが配設されたフレームを該フレーム昇降手段のフレーム支持部に搬入および搬出する搬出入手段と、を備え、
該搬出入手段は、フレームを支持する一対の第一のガイドレールと、該フレーム支持部の直上に位置づけられ該第一のガイドレールに連通する第二のガイドレールと、該第一のガイドレールに支持されたフレームを該第二のガイドレールに搬送するとともに該第二のガイドレールから該第一のガイドレールに搬送する搬送部と、を含み、
該第一のガイドレールと該第二のガイドレールとの境界部近傍には、個々のチップに分割されたウエーハにイオン化されたエアーを吹き付けるエアーノズルと、エアーの吹き付けによってウエーハから飛散する粉塵を吸引する吸引ノズルとを含む掃除手段が配設されるので、洗浄後のウエーハを汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のウエーハ分割装置の斜視図。
図2図1に示すカセットテーブルと、このカセットテーブルに載せられるカセットの斜視図。
図3図1に示すウエーハ分割装置から第一の反転手段、第一の搬送手段および第二の搬送手段を省略したウエーハ分割装置の一部斜視図。
図4図1に示す第一の反転手段および第一の搬送手段の斜視図。
図5図1に示すフレーム昇降手段、搬出入手段および掃除手段の斜視図。
図6図1に示すフレーム昇降手段の分解斜視図。
図7図1に示す分割手段の斜視図。
図8図1に示す第二の搬送手段の斜視図。
図9図1に示す洗浄手段の上方および下方から見た斜視図。
図10図1に示す透明テーブル、テーブル移動手段および紫外線照射手段の斜視図。
図11図1に示す第二の反転手段および昇降手段の斜視図。
図12】フレーム昇降手段のフレーム支持部にフレームが固定された状態を示す断面図。
図13】デバイスごとのチップにウエーハが分割された状態を示す断面図。
図14】吸引テーブルによってチップとチップの間隔がウエーハの分割時の間隔に維持されているとともに、フレームとウエーハとの間にある弛んだ粘着テープが加熱されている状態を示す断面図。
図15】フレームとウエーハとの間にある粘着テープが収縮されたため、吸引テーブルによる吸引が解除されてもチップとチップの間隔がウエーハの分割時の間隔に維持されている状態を示す断面図。
図16】搬送部によってフレームを往復搬送させている状態を示す模式図。
図17】紫外線照射工程を実施している状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のウエーハ分割装置の好適実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(ウエーハ分割装置2)
図1に示すとおり、全体を符号2で示すウエーハ分割装置は、図1に矢印Zで示すZ軸方向に昇降可能なカセットテーブル4と、カセットテーブル4をZ軸方向に昇降させるカセットテーブル昇降手段6とを備える。
【0018】
なお、図1に矢印Xで示すX軸方向は、Z軸方向に直交する方向であり、図1に矢印Yで示すY軸方向は、X軸方向およびZ軸方向に直交する方向である。また、X軸方向およびY軸方向が規定する平面は実質上水平である。
【0019】
(カセットテーブル4)
図2に示すとおり、カセットテーブル4は矩形状であり、カセットテーブル4の上面には一対の突起4aが形成されている。
【0020】
(カセット8)
カセットテーブル4に載せられるカセット8は、上下方向に間隔をおいて複数のウエーハ10を収容するようになっている。カセット8の下面には、カセットテーブル4の一対の突起4aに対応する一対の凹所8aが形成されている。このため、カセット8がカセットテーブル4の上面に載せられた際に、カセット8の凹所8aにカセットテーブル4の突起4aが嵌まり合う。これによって、カセットテーブル4におけるカセット8の位置ずれが防止される。
【0021】
(ウエーハ10)
図2に示すとおり、カセット8には、ウエーハ分割装置2によって分割される複数のウエーハ10が収容されている。円板状のウエーハ10の表面10aは、格子状の分割予定ライン12によって複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはデバイス14が形成されている。ウエーハ10は、周縁が環状のフレーム16に固定された粘着テープ18に裏面10b側が貼り付けられ、粘着テープ18を介してフレーム16の開口部16aに支持されている。
【0022】
図示していないが、ウエーハ10には、分割予定ライン12に沿って改質層が形成されている。改質層は、ウエーハ10を分割する際の分割起点となるものである。改質層は、ウエーハ10に対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を、分割予定ライン12に対応する内部に位置づけて、レーザー光線をウエーハ10に照射することにより、形成され得る。
【0023】
(カセットテーブル昇降手段6)
図2を参照して説明を続けると、カセットテーブル昇降手段6は、Z軸方向に延びるハウジング20と、ハウジング20内に配置されZ軸方向に延びるボールねじ22と、ボールねじ22の下端部に連結されたモータ24とを有する。ボールねじ22のナット部22aはカセットテーブル4に固定されている。
【0024】
カセットテーブル昇降手段6は、モータ24の回転運動をボールねじ22によって直線運動に変換してカセットテーブル4に伝達し、カセットテーブル4をZ軸方向に昇降させる。
【0025】
(第一の移送手段26)
図1に示すとおり、カセットテーブル4に載せられたカセット8からフレーム16を把持してX軸方向に搬出および搬入する第一の移送手段26が、カセットテーブル4に隣接して配置されている。
【0026】
第一の移送手段26は、X軸方向に延びるハウジング28と、X軸方向に移動自在にハウジング28に支持されたX軸可動部材30と、X軸可動部材30をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)とを含む。X軸送り手段は、X軸可動部材30に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0027】
X軸可動部材30には、Z軸方向に移動自在にZ軸可動部材32が支持されているとともに、Z軸可動部材32をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)が設けられている。Z軸送り手段は、Z軸可動部材32に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0028】
図1に示すように、第一の移送手段26のZ軸可動部材32は、X軸可動部材30に連結された基端からY軸方向に延びている。Z軸可動部材32の先端側のX軸方向片側端面(図1において手前側の端面)には、Z軸方向に間隔をおいて一対の把持片34が装着されている。一対の把持片34は、カセットテーブル4に載せられたカセット8に対面する位置に位置づけられている。また、エアー駆動式の一対の把持片34は互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0029】
そして、第一の移送手段26は、X軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させて、一対の把持片34のX・Z軸方向位置を調整した上で、一対の把持片34の間隔を縮小させることにより、カセットテーブル4に載せられたカセット8内のフレーム16を一対の把持片34で把持する。
【0030】
また、第一の移送手段26は、X軸可動部材30を移動させることにより、一対の把持片34で把持したフレーム16をX軸方向に移動して、カセット8から下記仮受け手段36にフレーム16を搬入するとともに、仮受け手段36からカセット8にフレーム16を搬出する。
【0031】
(仮受け手段36)
図3に示すとおり、カセットテーブル4のX軸方向片側には、仮受け手段36が配置されている。仮受け手段36は、X軸方向に延びる一対のガイドレール38と、一対のガイドレール38の間隔をY軸方向に広げ、フレーム16のZ軸方向の通過を許容するガイドレール開閉部40と、を備える。
【0032】
一対のガイドレール38は、第一の移送手段26によって搬入されたフレーム16を支持するものであり、断面L字状に形成されている。また、一対のガイドレール38は、Y軸方向に間隔をおいて配置されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介してY軸方向に移動自在に支持されている。
【0033】
ガイドレール開閉部40は、一対のガイドレール38に連結された複数のエアーシリンダまたは電動シリンダを有する構成でよい。そして、ガイドレール開閉部40は、一対のガイドレール38でフレーム16を支持可能な支持位置と、この支持位置よりも一対のガイドレール38のY軸方向間隔が広くフレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置と、に一対のガイドレール38を位置づける。
【0034】
(第一の反転手段42、第一の搬送手段44)
図1に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持する保持部を備えるとともに、X軸方向の回転軸で180度回転してフレーム16の表裏を反転させる第一の反転手段42と、第一の反転手段42をY軸方向に移動する第一の搬送手段44と、を備える。
【0035】
図4を参照して説明すると、第一の搬送手段44は、Y軸方向に延びるハウジング46と、Y軸方向に移動自在にハウジング46に支持されたY軸可動部材48と、Y軸可動部材48をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材48に支持されたZ軸可動部材50と、Z軸可動部材50をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。
【0036】
第一の搬送手段44のY軸送り手段は、Y軸可動部材48に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材50に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0037】
図4に示すとおり、第一の反転手段42は、第一の搬送手段44のZ軸可動部材50の下端に回転自在に支持されX軸方向に延びる回転軸52と、X軸方向に延びる軸線を中心として回転軸52を回転させるモータ(図示していない。)と、仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持する保持部54とを含む。
【0038】
保持部54は、回転軸52の先端に連結された基板56と、基板56の片面に設けられた複数の吸引パッド58とを有する。各吸引パッド58は、吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0039】
そして、第一の反転手段42は、吸引手段で吸引パッド58に吸引力を生成することにより、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持部54の吸引パッド58で吸引保持する。さらに、第一の反転手段42は、モータで回転軸52を180度回転させることにより、保持部54で保持したフレーム16の表裏を反転させる。
【0040】
また、第一の搬送手段44は、Y軸可動部材48およびZ軸可動部材50を移動させることにより、第一の反転手段42をY軸方向およびZ軸方向に移動させる。
【0041】
図3および図5に示すように、本実施形態のウエーハ分割装置2は、さらに、フレーム16を支持しZ軸方向に昇降させるフレーム昇降手段60(図3および図5参照)と、ウエーハ10を分割予定ライン12に沿って個々のチップに分割する分割手段62(図3参照)と、ウエーハ10が配設されたフレーム16をフレーム昇降手段60に搬入および搬出する搬出入手段64(図3および図5参照)とを備える。
【0042】
(フレーム昇降手段60)
図5および図6を参照して説明すると、フレーム昇降手段60は、ウエーハ10が下向きに配設されたフレーム16を支持するフレーム支持部66と、フレーム支持部66を昇降させる昇降部68と、フレーム支持部66の内側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮部70とを含む。
【0043】
(フレーム昇降手段60のフレーム支持部66)
フレーム支持部66は、フレーム16に対応する環状に形成されている。ただし、フレーム支持部66の外周側面には、一対の平坦部66aが形成されており、フレーム支持部66のY軸方向の幅はフレーム16の幅よりも若干小さい。また、フレーム支持部66の外周縁には、フレーム支持部66の上面にフレーム16を固定するための複数のクランプ72が付設されている。
【0044】
(フレーム昇降手段60の昇降部68)
図5に示すとおり、図示の実施形態のフレーム昇降手段60は、基台74を有する。上記昇降部68は、基台74の上面から上方に複数本延びるエアーシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。それぞれの昇降部68の上端には、上記フレーム支持部66が連結されている。
【0045】
(フレーム昇降手段60のテープ収縮部70)
図6に示すとおり、テープ収縮部70は、基台74の上面から上方に延びる複数の支柱76と、複数の支柱76の上端に連結された環状のヒーター78とを含む。ヒーター78の上面からは上方に向かって温風が噴出される。この温風の温度(ヒーター78の上端における温度)は、たとえば250℃程度である。
【0046】
そして、テープ収縮部70は、ヒーター78から温風を噴出し、ウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18を加熱して収縮させる。
【0047】
(分割手段62)
図7に示すように、分割手段62は、フレーム支持部66に支持され上昇したフレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を拡張してウエーハ10を分割予定ライン12に沿って個々のチップに分割するリング状の分割部80と、分割部80の内部に配設されチップに分割されたウエーハ10を吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブル82と、を含む。
【0048】
(分割手段62の分割部80)
分割手段62の分割部80は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。分割部80の下端には、環状に配置された複数の円筒状ローラー84が回転自在に付設されている。
【0049】
そして、分割部80は、フレーム昇降手段60に支持されたフレーム16が上昇した際に、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を拡張し、ウエーハ10を分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに分割する。
【0050】
図示の実施形態では、分割部80の下端に付設された複数のローラー84が粘着テープ18に接触した際、ローラー84が回転することでローラー84と粘着テープ18との摩擦抵抗が小さくなり、粘着テープ18の拡張が滑らかに遂行される。
【0051】
(分割手段62の吸引テーブル82)
図3および図7を参照して説明すると、円板状の吸引テーブル82は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。図7に示すとおり、吸引テーブル82の下面には、多孔質の円形状吸着チャック86が配置されている。吸着チャック86は、吸引テーブル82の上面から上方に延びる円筒状流路部材88を介して吸引手段(図示していない。)に接続されている。また、吸着チャック86の下面は、分割部80の下端に整合している。
【0052】
そして、吸引テーブル82は、分割部80によってウエーハ10が個々のチップに分割された後、吸引手段で吸着チャック86の下面に吸引力を生成して、チップに分割されたウエーハ10を吸引保持することにより、チップとチップの間隔をウエーハ10の分割時の間隔に維持する。
【0053】
(搬出入手段64)
図1および図5に示すように、搬出入手段64は、フレーム16を支持する一対の第一のガイドレール90と、フレーム支持部66の直上に位置づけられ第一のガイドレール90に連通する第二のガイドレール92と、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16を第二のガイドレール92に搬送するとともに第二のガイドレール92から第一のガイドレール90に搬送する搬送部94と、を含む。
【0054】
(搬出入手段64の第一のガイドレール90)
図1に示すとおり、搬出入手段64の第一のガイドレール90は、第一の搬送手段44のハウジング46のY軸方向一端側(図1における左側)の下方に配置されている。第一のガイドレール90は、Y軸方向に移動した第一の反転手段42からフレーム16を受け取るようになっている。
【0055】
図5に示すように、X軸方向に延びる断面L字状の第一のガイドレール90は、フレーム16を支持可能な程度にY軸方向に間隔をおいて一対配置されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。
【0056】
本実施形態の第一のガイドレール90のフレーム保持面90a(上面)には、フレーム保持面90a上のフレーム16に振動を与えるための複数の振動子90bがX軸方向に間隔をおいて設けられている。なお、振動子90bに代えて、フレーム保持面90a上のフレーム16に振動を与えるための凹凸(図示していない。)がフレーム保持面90aに形成されていてもよい。
【0057】
(搬出入手段64の第二のガイドレール92)
図5に示すとおり、搬出入手段64の第二のガイドレール92は、第一のガイドレール90のX軸方向片側に位置づけられている。また、一対の第二のガイドレール92は、Y軸方向に間隔をおいて配置されている。
【0058】
一対の第二のガイドレール92は、X軸方向に延在する側面壁92aと、Z軸方向に間隔をおいて側面壁92aから突出する上段レール92bおよび下段レール92cとを有する。なお、一対の第二のガイドレール92は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに移動自在に支持されている。
【0059】
第二のガイドレール92には、第二のガイドレール92の間隔を変更する間隔変更部96が装着されている。間隔変更部96は、複数のエアーシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。
【0060】
そして、間隔変更部96は、一対の第二のガイドレール92でフレーム16を支持可能な支持位置と、この支持位置よりも一対の第二のガイドレール92の間隔が広くフレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置と、の間で一対の第二のガイドレール92のY軸方向間隔を変更する。
【0061】
図示していないが、第二のガイドレール92には、さらに、第二のガイドレール92をZ軸方向に昇降させるガイドレール昇降部が装着されている。ガイドレール昇降部は、Z軸方向に延びる複数のエアーシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。
【0062】
そして、ガイドレール昇降部は、第二のガイドレール92を昇降させ、第一のガイドレール90のフレーム保持面90aと同じ高さに、第二のガイドレール92の上段レール92bまたは下段レール92cを位置づける。
【0063】
(搬出入手段64の搬送部94)
図5に示すように、搬出入手段64の搬送部94は、X軸方向に延びるハウジング98と、X軸方向に移動自在にハウジング98に支持されたX軸可動部材100と、X軸可動部材100をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)とを含む。X軸送り手段は、X軸可動部材100に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。なお、図5においては、便宜上、搬出入手段64を第一・第二のガイドレール90、92から離間して記載している。
【0064】
搬送部94のX軸可動部材100は、ハウジング98に支持された基端からY軸方向に延びている。X軸可動部材100の先端側のX軸方向片側端面(図5において奥側の端面)には、一対の把持片102がZ軸方向に間隔をおいて装着されている。一対の把持片102は、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16を把持可能な位置に位置づけられている。また、エアー駆動式の一対の把持片102は、互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0065】
そして、搬送部94は、X軸可動部材100を移動させて、一対の把持片102のX軸方向位置を調整した上で、一対の把持片102の間隔を縮小させることにより、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16を一対の把持片102で把持する。
【0066】
また、搬送部94は、X軸可動部材100を移動させることにより、一対の把持片102で把持したフレーム16をX軸方向に移動して、第一のガイドレール90から第二のガイドレール92にフレーム16を搬送するとともに、第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレーム16を搬送する。
【0067】
(掃除手段104)
図5に示すように、第一のガイドレール90と第二のガイドレール92との境界部近傍には、個々のチップに分割されたウエーハ10にイオン化されたエアーを吹き付けるエアーノズル104aと、およびエアーの吹き付けによってウエーハ10から飛散する粉塵を吸引する吸引ノズル104bとを含む掃除手段104が配設されている。
【0068】
本実施形態の掃除手段104はハウジング104cを備えており、エアーノズル104aおよび吸引ノズル104bは、ハウジング104cの上面に配置されている。また、吸引ノズル104bは、吸引ノズル104bを通過した粉塵の数量を計測するパーティクルカウンタ104dを備えているのが好ましい。
【0069】
そして、掃除手段104においては、分割済みのウエーハ10を配設したフレーム16を第二のガイドレール92から第一のガイドレール90に搬送部94が搬送する際、フレーム16に下向きに配設されたウエーハ10に向かってエアーノズル104aからイオン化されたエアーを吹き付けるとともに、吸引ノズル104bによってウエーハ10から飛散した粉塵を吸引するようになっている。なお、イオン化されたエアーによって静電気を除電してウエーハ10から粉塵の落下を促している。
【0070】
また、パーティクルカウンタ104dによって計測された粉塵の数量が所定値を下回るまで、第二のガイドレール92と第一のガイドレール90との間を、搬送部94によって繰り返しフレーム16を往復搬送させつつ、掃除手段104によって粉塵を除去するのがよい。
【0071】
さらに、第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレームを搬送する際には、第一のガイドレール90の振動子90bからフレーム16に振動を与え、ウエーハ10から粉塵の脱落を促すのが望ましい。
【0072】
なお、第一のガイドレール90に凹凸が形成されていることによって、フレーム16に振動を与えてもよく、あるいは、搬送部94が上下に動いてフレーム16に振動を与えるようになっていてもよい。
【0073】
(第二の搬送手段112)
図1に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、搬送部94によって第二のガイドレール92から第一のガイドレール90に搬出され粘着テープ18が収縮したフレーム16を仮受け手段36まで搬送する第二の搬送手段112を備える。
【0074】
図1および図8を参照して説明すると、第二の搬送手段112は、第一の搬送手段44のハウジング46とX軸方向に間隔をおいて配置されY軸方向に延びるハウジング114と、Y軸方向に移動自在にハウジング114に支持されたY軸可動部材116と、Y軸可動部材116をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材116に支持されたZ軸可動部材118と、Z軸可動部材118をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。
【0075】
第二の搬送手段112のY軸送り手段は、Y軸可動部材116に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材118に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0076】
図8に示すとおり、第二の搬送手段112は、さらに、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16を保持する保持部120を含む。保持部120は、Z軸可動部材118の下端に連結された基板122と、基板122の下面に設けられた複数の吸引パッド124とを有する。吸引パッド124は、吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0077】
そして、第二の搬送手段112は、吸引手段で吸引パッド124に吸引力を生成することにより、搬送部94によって第二のガイドレール92から第一のガイドレール90に搬出され粘着テープ18が収縮したフレーム16を、保持部120の吸引パッド124で吸引保持する。
【0078】
また、第二の搬送手段112は、Y軸可動部材116および軸可動部材118を移動させることにより、保持部120で吸引保持したフレーム16を第一のガイドレール90から仮受け手段36まで搬送する。
【0079】
図3に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、さらに、仮受け手段36を挟むようにカセットテーブル4と反対側に配設されウエーハ10を洗浄する洗浄手段126と、仮受け手段36に搬送されたウエーハ10を支持しているフレーム16を洗浄手段126に搬入および搬出する第二の移送手段128とを備えるのが好ましい。
【0080】
(第二の移送手段128)
図示の実施形態の第二の移送手段128は、第一の移送手段26のZ軸可動部材32の先端側のX軸方向他側端面(図3において奥側の端面)に、Z軸方向に間隔をおいて装着された一対の保持片130から構成されている。また、エアー駆動式の一対の保持片130は、互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0081】
そして、第二の移送手段128は、第一の移送手段26のX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させることにより、一対の保持片130のX・Z軸方向位置を調整した上で、一対の保持片130の間隔を縮小させることにより、仮受け手段36に搬送されたウエーハ10を支持しているフレーム16を一対の保持片130で保持する。
【0082】
図3を参照することによって理解されるとおり、一対の保持片130は、第一の移送手段26の一対の把持片34よりも大きく、把持片34と比較してフレーム16をより堅固に保持することができる。
【0083】
また、第二の移送手段128は、第一の移送手段26のX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させることにより、一対の保持片130で保持したフレーム16を仮受け手段36から洗浄手段126に搬入するとともに、洗浄手段126から仮受け手段36にフレーム16を搬出する。
【0084】
なお、図示の実施形態の第二の移送手段128は、第一の移送手段26のハウジング28、X・Z軸可動部材30、32およびX・Z軸送り手段を共用しているが、第一の移送手段26とは別個のハウジング、X・Z軸可動部材およびX・Z軸送り手段を備えていてもよい。
【0085】
(洗浄手段126)
図9を参照して説明すると、洗浄手段126は、第二の移送手段128によって搬入されたフレーム16を保持する保持部132と、保持部132を回転させるモータ134とを含む。
【0086】
保持部132は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して回転自在に支持された円板状の保持板136と、保持板136の下面に配置され吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状吸着チャック138と、保持板136の周縁に付設された複数のクランプ140とを有する。モータ134は保持板136の上方に配置されており、モータ134から下方に延びる回転軸142が保持板136の上面に接続されている。
【0087】
図示していないが、保持板136の下方には、保持板136の下面に向かって洗浄水を噴射する洗浄水噴射手段と、保持板136の下面に向かって乾燥空気を噴射する乾燥空気噴射手段とが配置されている。
【0088】
そして、洗浄手段126は、吸引手段で吸着チャック138に吸引力を生成し、ウエーハ10が下を向いた状態で第二の移送手段128によって搬入されたフレーム16に支持されたウエーハ10を粘着テープ18側から吸着チャック138で吸引保持するとともに、複数のクランプ140でフレーム16を保持板136に固定することにより、第二の移送手段128からフレーム16を受け取る。
【0089】
また、洗浄手段126は、モータ134で保持板136を回転させつつ、洗浄水噴射手段から洗浄水を噴射することによりウエーハ10を洗浄するとともに、保持板136の回転による遠心力でウエーハ10から洗浄水を除去する。
【0090】
さらに、洗浄手段126は、乾燥空気噴射手段から乾燥空気を噴射することにより、保持板136の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をウエーハ10から除去してウエーハ10を乾燥させる。
【0091】
図示の実施形態では図3に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、さらに、仮受け手段36の直下に配設され、少なくともウエーハ10の大きさに対応する大きさの透明板を備えた透明テーブル144と、透明テーブル144の上部に配設され第二の移送手段128によって仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を保持する保持部を備え180度回転してフレーム16の表裏を反転させ透明テーブル144にフレーム16を載せる第二の反転手段146と、第二の反転手段146を透明テーブル144から仮受け手段36まで昇降させる昇降手段148と、第二の反転手段146によって表裏が反転しウエーハ10が上を向いたフレーム16を載せた透明テーブル144を仮受け手段36の直下から第一のガイドレール90の方向に移動するテーブル移動手段150と、を備える。
【0092】
(透明テーブル144)
図10に示すように、透明テーブル144は、X軸方向に間隔をおいてY軸方向に延びる一対の案内レール152上に、Y軸方向に移動自在に支持されている。透明テーブル144は矩形板状であり、透明テーブル144の中央部分には、ウエーハ10の大きさよりも若干大きい円形状の透明板154(たとえばガラス板)が配置されている。透明板154の周囲には、吸引手段(図示していない。)に接続された複数のフレーム吸引孔156が設けられている。
【0093】
そして、透明テーブル144は、吸引手段でフレーム吸引孔156に吸引力を生成し、透明テーブル144の上面に載せられたフレーム16を吸引保持する。なお、透明テーブル144のうち透明板154以外の部分は透明でない。
【0094】
(テーブル移動手段150)
テーブル移動手段150は、ナット部158aが透明テーブル144に連結されY軸方向に延びるボールねじ158と、ボールねじ158を回転させるモータ160とを有する。そして、テーブル移動手段150は、ボールねじ158によりモータ160の回転運動を直線運動に変換して透明テーブル144に伝達し、仮受け手段36の直下から第一のガイドレール90の方向(Y軸方向)に一対の案内レール152に沿って透明テーブル144を移動する。
【0095】
(昇降手段148)
図11に示すように、昇降手段148は、Z軸方向に延びるハウジング162と、Z軸方向に移動自在にハウジング162に支持されたZ軸可動部材164と、Z軸可動部材164をZ軸方向に昇降させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。Z軸送り手段は、Z軸可動部材164に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0096】
(第二の反転手段146)
図11を参照して説明を続けると、第二の反転手段146は、昇降手段148のZ軸可動部材164の先端に装着された回転軸支持部材166と、回転軸支持部材166に回転自在に支持されX軸方向に延びる回転軸168と、X軸方向に延びる軸線を中心として回転軸168を回転させるモータ(図示していない。)と、透明テーブル144の上部に配設され第二の移送手段128によって仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を保持する保持部170とを含む。
【0097】
第二の反転手段146の保持部170は、回転軸168の先端に連結された基板172と、基板172の一方の面に設けられた複数の吸引パッド174と、基板172の他方の面に設けられた複数の吸引パッド176とを有する。各吸引パッド174、176は、吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0098】
本実施形態の第二の反転手段146の保持部170においては、基板172の一方の面に設けられた複数の吸引パッド174によって一方の保持部が構成され、基板172の他方の面に設けられた複数の吸引パッド176によって他方の保持部が構成されている。
【0099】
以下、基板172の一方の面の吸引パッドだけでなく一方の保持部にも符号174を付して説明し、また、基板172の他方の面の吸引パッドだけでなく他方の保持部にも符号176を付して説明する。
【0100】
第二の反転手段146においては、一方の保持部174または他方の保持部176に吸引手段で吸引力を生成し、第二の移送手段128によって仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を、一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持する。
【0101】
また、昇降手段148は、Z軸可動部材164を昇降させることにより、第二の反転手段146を透明テーブル144から仮受け手段36まで昇降させる。
【0102】
(チャンバー178)
図1および図3に示すとおり、第一のガイドレール90の下方には、テーブル移動手段150によって移動した透明テーブル144に載せられたフレーム16に支持されたウエーハ10を覆い、不活性ガスを供給するチャンバー178が配置されている。
【0103】
チャンバー178は、円形の天板180と、天板180の周縁から垂下する円筒状のスカート壁182と、天板180の上面中央部分から上方に延びる円筒状の不活性ガス供給部184とを有する。天板180の周縁側部分には、複数の大気開放孔186が形成されている。また、不活性ガス供給部184は、不活性ガス供給手段(図示していない。)に接続されている。
【0104】
チャンバー178は、適宜のブラケット(図示していない。)に昇降自在に支持され、チャンバー178を昇降させるチャンバー昇降手段(図示していない。)がチャンバー178に接続されている。チャンバー昇降手段は、天板180に連結されたエアーシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。
【0105】
図17に示すように、チャンバー178は、テーブル移動手段150によって透明テーブル144がチャンバー178の下方に移動してきたら、チャンバー昇降手段によって下降し、透明テーブル144に載せられたフレーム16に支持されたウエーハ10を天板180およびスカート壁182によって覆うようになっている。
【0106】
また、チャンバー178は、ウエーハ10を覆った後、不活性ガス供給手段からチャンバー178内に不活性ガス(たとえば窒素)を供給することによって、大気開放孔186からチャンバー178内の酸素を排出する。
【0107】
(紫外線照射手段188)
図1および図3に示すとおり、チャンバー178の下方には、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線を照射する紫外線照射手段188が配置されている。
【0108】
紫外線照射手段188は、筐体190と、筐体190の上面に配置された透明板192(たとえばガラス板)と、透明板192の下方に配置され紫外線を照射する紫外線光源(図示していない。)とを含む。円形状の透明板192の大きさは、ウエーハ10の大きさよりも若干大きい。
【0109】
紫外線照射手段188は、透明テーブル144に載せられたフレーム16に支持されたウエーハ10がチャンバー178によって覆われ、次いでチャンバー178内に不活性ガスが供給された後、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線光源から紫外線を照射し、粘着テープ18の粘着力を低下させる。これによって、粘着テープ18からチップをピックアップする工程において、チップを円滑にピックアップすることができる。
【0110】
また、図示の実施形態では、チャンバー178内に不活性ガスが供給され、チャンバー178内から酸素が排出されるので、粘着テープ18の粘着層と酸素との反応によって粘着層の粘着性が維持されやすくなることを抑制し、効果的に粘着テープ18の粘着力を低下させることができる。
【0111】
(ウエーハ分割方法)
次に、上述したとおりのウエーハ分割装置2を用いて、粘着テープ18に貼着されフレーム16の開口部16aに支持されたウエーハ10を、分割予定ライン12に沿って個々のデバイス14ごとのチップに分割するウエーハ分割方法について説明する。
【0112】
(カセット載置工程)
ウエーハ分割装置2を用いるウエーハ分割方法では、はじめに、粘着テープ18に貼着されフレーム16の開口部16aに支持されたウエーハ10を複数収容したカセット8をカセットテーブル4に載せるカセット載置工程を実施する。
【0113】
カセット8内では、ウエーハ10の表面10aが上を向いており、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置している。また、上述したとおり、カセット8内のウエーハ10には、強度が低下した分割起点としての改質層が分割予定ライン12に沿って形成されている。
【0114】
(第一の搬入工程)
カセット載置工程を実施した後、カセットテーブル4に載せられたカセット8内のフレーム16を、第一の移送手段26の一対の把持片34で把持して仮受け手段36に搬入する第一の搬入工程を実施する。
【0115】
第一の搬入工程では、まず、第一の移送手段26のX・Z軸可動部材30、32を移動させ、カセット8内の任意のフレーム16の端部に一対の把持片34を位置づける。次いで、一対の把持片34でフレーム16の端部を把持した後、第一の移送手段26でフレーム16をX軸方向に移動して、カセット8から仮受け手段36の一対のガイドレール38にフレーム16を搬入する。そして、一対の把持片34によるフレーム16の把持を解除し、一対のガイドレール38にフレーム16を支持させる。
【0116】
なお、第一の搬入工程の際、一対のガイドレール38はフレーム16を支持可能な支持位置に位置づけられている。また、一対のガイドレール38にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が上側、粘着テープ18が下側に位置している。
【0117】
(第一の反転工程)
第一の搬入工程を実施した後、仮受け手段36のガイドレール38に支持されたフレーム16を第一の反転手段42の保持部54で保持するとともに、X軸方向の回転軸52を180度回転してフレーム16の表裏を反転させる第一の反転工程を実施する。
【0118】
第一の反転工程では、まず、第一の搬送手段44のY・Z軸可動部材48、50を移動させ、第一の反転手段42の吸引パッド58を上に向けた保持部54を、仮受け手段36の下方にあらかじめ位置づけておく。
【0119】
次いで、前記した第一の搬入工程を実施した後、保持部54を上昇させ、吸引パッド58をフレーム16に密着させる。次いで、吸引手段で吸引パッド58に吸引力を生成し、吸引パッド58によってフレーム16を吸引保持する。
【0120】
次いで、保持部54を更に上昇させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16を仮受け手段36から上方に離間させる。そして、第一の反転手段42の回転軸52を180度回転させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが下を向くことになり、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置する。
【0121】
(第一の搬送工程)
第一の反転工程を実施した後、第一の反転手段42を第一の搬送手段44でY軸方向に移動させ、第一の反転手段42の保持部54で保持したフレーム16を第一のガイドレール90に搬送して支持させる第一の搬送工程を実施する。
【0122】
第一の搬送工程では、まず、第一の反転手段42をY軸方向に移動させ、第一の反転手段42の保持部54を第一のガイドレール90の上方に搬送する。次いで、保持部54を下降させ、保持部54の吸引パッド58で吸引保持したフレーム16を第一のガイドレール90のフレーム保持面90aに接触させる。
【0123】
そして、吸引パッド58の吸引力を解除し、第一のガイドレール90にフレーム16を支持させる。なお、第一のガイドレール90にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0124】
(第二の搬入工程)
第一の搬送工程を実施した後、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16を搬送部94の一対の把持片102で把持しX軸方向に移動して、第一のガイドレール90から第二のガイドレール92にフレーム16を搬入する第二の搬入工程を実施する。
【0125】
第二の搬入工程では、まず、搬送部94のX軸可動部材100を移動させ、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16の端部に一対の把持片102を位置づける。
【0126】
次いで、一対の把持片102でフレーム16の端部を把持した後、搬送部94でフレーム16をX軸方向に移動して、第一のガイドレール90から第二のガイドレール92の上段レール92bまたは下段レール92cにフレーム16を搬入する。そして、一対の把持片102によるフレーム16の把持を解除して、上段レール92bまたは下段レール92cにフレーム16を支持させる。
【0127】
なお、第二の搬入工程の際、上段レール92bまたは下段レール92cは、フレーム16を支持可能な支持位置に位置づけられているとともに、第一のガイドレール90のフレーム保持面90aと同じ高さに位置づけられている。また、第二のガイドレール92にフレーム16が支持された際は、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0128】
(分割工程)
第二の搬入工程を実施した後、第二のガイドレール92に支持されたフレーム16をフレーム昇降手段60で支持しZ軸方向に上昇させ、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を分割手段62で拡張し、ウエーハ10を分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに分割する分割工程を実施する。
【0129】
分割工程では、まず、一対の第二のガイドレール92の間隔を広げるとともに、フレーム昇降手段60のフレーム支持部66を上昇させて、第二のガイドレール92からフレーム支持部66にフレーム16を受け渡す。次いで、図12に示すとおり、複数のクランプ72でフレーム16をフレーム支持部66に固定する。
【0130】
次いで、フレーム昇降手段60の昇降部68を作動させ、フレーム支持部66に固定したフレーム16をZ軸方向に上昇させる。これによって、図13に示すとおり、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を分割手段62の分割部80で拡張し、分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに、ウエーハ10を分割することができる。
【0131】
図示の実施形態では図12および図13に示すとおり、分割工程では、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。このように、粘着テープ18に貼着されたウエーハ10が下を向いた状態で、ウエーハ10に外力を付与して個々のチップに分割することにより、ウエーハ10を個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することが抑制される。
【0132】
(吸引工程)
分割工程を実施した後、デバイス14ごとのチップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル82で吸引保持し、チップとチップの間隔を維持する吸引工程を実施する。
【0133】
吸引工程では、吸引テーブル82の吸着チャック86の下面に吸引力を生成し、デバイス14ごとのチップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル82で吸引保持する。これによってチップとチップの間隔を、ウエーハ10をチップに分割した時の間隔に維持することができる。
【0134】
(テープ収縮工程)
吸引工程を実施した後、チップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル82で吸引保持した状態のまま、チップに分割されたウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18を、テープ収縮部70で加熱して収縮させるテープ収縮工程を実施する。
【0135】
図14に示すとおり、テープ収縮工程では、まず、フレーム支持部66を下降させ、チップに分割されたウエーハ10の高さにフレーム16の高さを整合させる。この際、チップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル82で吸引保持した状態を継続し、チップとチップの間隔をウエーハ10の分割時の間隔に維持する。
【0136】
次いで、テープ収縮部70のヒーター78の上面から上方に向かって温風を噴出させ、チップに分割されたウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18を加熱して収縮させる。これによって、図15に示すとおり、吸引テーブル82の吸引力を解除しても、チップとチップの間隔がウエーハ10の分割時の間隔に維持される。
【0137】
(第一の搬出工程)
テープ収縮工程を実施した後、粘着テープ18が収縮したフレーム16をフレーム昇降手段60から第一のガイドレール90に搬出する第一の搬出工程を実施する。
【0138】
第一の搬出工程では、まず、第二のガイドレール92を昇降させ、上段レール92bまたは下段レール92cの高さを、フレーム支持部66に支持されているフレーム16の高さに整合させる。次いで、クランプ72によるフレーム16の固定を解除する。次いで、一対の第二のガイドレール92の間隔を通過位置から支持位置に狭めることにより、フレーム昇降手段60のフレーム支持部66から、第二のガイドレール92の上段レール92bまたは下段レール92cにフレーム16を受け渡す。
【0139】
次いで、第二のガイドレール92に支持されたフレーム16の端部に、搬送部94の一対の把持片102を位置づける。次いで、一対の把持片102でフレーム16の端部を把持した後、搬送部94でフレーム16をX軸方向に移動させ、第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレーム16を搬出する。
【0140】
なお、チップに分割されたウエーハ10を支持しているフレーム16を、上段レール92bまたは下段レール92cいずれか一方に支持させるとともに、第一のガイドレール90に位置づけられた分割前の次のウエーハ10を支持しているフレーム16を、上段レール92bまたは下段レール92cいずれか他方に搬入することにより、一対の把持片102がフレーム16を把持していない状態で、搬送部94のX軸可動部材68が移動することがなくなるため、生産性を向上させることができる。
【0141】
(粉塵除去工程)
第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレーム16を搬出する際、ウエーハ分割時に生じた粉塵をウエーハ10から除去する粉塵除去工程を実施する。
【0142】
上記のとおり、本実施形態では、粘着テープ18を上側にし、ウエーハ10を下側にした状態でウエーハ10を分割するので、ウエーハ分割時に生じた粉塵は、ウエーハ10から落下する。しかし、ウエーハ分割時に生じた粉塵のすべてがウエーハ10から落下するわけではなく、少量の粉塵がウエーハ10に残ってしまう場合がある。そこで、本実施形態においては、第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレーム16を搬出する際に、粉塵除去工程を実施する。
【0143】
粉塵除去工程では、フレーム16に下向きに配設されたウエーハ10に向かって、掃除手段104のエアーノズル104aからイオン化されたエアーを吹き付ける。また、掃除手段104の吸引ノズル104bで、ウエーハ10から飛散した粉塵を吸引する。これによって、ウエーハ分割時に生じた粉塵をウエーハ10から除去することができる。
【0144】
粉塵除去工程においては、パーティクルカウンタ104dによって計測された粉塵の数量が所定値を下回るまで、第二のガイドレール92と第一のガイドレール90との間を、搬送部94によって繰り返しフレーム16を往復搬送させつつ、掃除手段104によって粉塵を除去するのがよい。これによって、粉塵の除去率を高めることができる。
【0145】
さらに、第二のガイドレール92から第一のガイドレール90にフレームを搬送する際に、第一のガイドレール90の振動子90bからフレーム16に振動を与え、ウエーハ10から粉塵の脱落を促すようになっているのが望ましい。
【0146】
あるいは、第一のガイドレール90に凹凸が形成されていることによって、フレーム16に振動を与えてもよく、あるいは、搬送部94が上下に動いてフレーム16に振動を与えるようになっていてもよい。
【0147】
このようにして粉塵を除去することにより、粉塵除去工程の後の工程において、洗浄手段126にウエーハ10を搬入する際、ウエーハ10から第二の反転手段146に粉塵が落下して堆積することがない。この結果、洗浄手段126から搬出されたウエーハ10を第二の反転手段146によって180度回転して表裏を反転しても、粉塵がウエーハ10の表面10aに落下することがなく、洗浄後のウエーハ10の粉塵による汚染が防止される。
【0148】
(第二の搬送工程)
粉塵除去工程を実施した後、分割後のウエーハ10を支持しているフレーム16を、仮受け手段36まで第二の搬送手段112によって搬送する第二の搬送工程を実施する。
【0149】
第二の搬送工程では、まず、一対の把持片102によるフレーム16の把持を解除し、第一のガイドレール90にフレーム16を支持させる。次いで、第一のガイドレール90に支持されたフレーム16の上方に、第二の搬送手段112の保持部120を位置づける。
【0150】
次いで、保持部120を下降させ、吸引パッド124をフレーム16に密着させるとともに、吸引パッド124でフレーム16を吸引保持する。次いで、保持部120を上昇させ、吸引パッド124で吸引保持したフレーム16を第一のガイドレール90から上方に離間させる。
【0151】
次いで、保持部120をY軸方向に移動させ、仮受け手段36の上方にフレーム16を位置づける。次いで、保持部120をZ軸方向に下降させ、吸引パッド124で吸引保持したフレーム16を仮受け手段36に接触させる。次いで、吸引パッド124の吸引力を解除し、仮受け手段36にフレーム16を支持させる。
【0152】
(第三の搬入工程)
第二の搬送工程を実施した後、仮受け手段36から洗浄手段126にウエーハ10を搬入する第三の搬入工程を実施する。
【0153】
第三の搬入工程では、まず、第一の移送手段26のX・Z軸可動部材30、32を移動させ、仮受け手段36に搬送されたフレーム16を保持可能な位置に、一対の保持片130を位置づける。
【0154】
次いで、一対の保持片130でフレーム16を保持した後、第一の移送手段26でフレーム16をX軸方向およびZ軸方向に移動して、仮受け手段36から洗浄手段126の保持部132の下面にフレーム16を搬入する。この際、保持部132の吸着チャック138の下面に、チップに分割されたウエーハ10を位置づける。
【0155】
次いで、吸着チャック138で粘着テープ18側からウエーハ10を吸引保持するとともに、複数のクランプ140でフレーム16を保持板136に固定する。そして、一対の保持片130によるフレーム16の保持を解除し、保持部132にウエーハ10およびフレーム16を保持させる。なお、保持部132にウエーハ10およびフレーム16が保持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0156】
(洗浄工程)
第三の搬入工程を実施した後、チップに分割されたウエーハ10を洗浄する洗浄工程を実施する。
【0157】
洗浄工程では、まず、モータ134で保持板136を回転させつつ、チップに分割されたウエーハ10に向かって洗浄水噴射手段から洗浄水を噴射する。これによって、ウエーハ10を洗浄することができるとともに、保持板136の回転による遠心力でウエーハ10から洗浄水を除去することができる。
【0158】
次いで、モータ134で保持板136を回転させつつ、ウエーハ10に向かって乾燥空気噴射手段から乾燥空気を噴射することにより、保持板136の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をウエーハ10から除去してウエーハ10を乾燥させることができる。このような洗浄工程はウエーハ10を下に向けた状態で実施するため、洗浄工程の際に生じる汚れがチップに残留することがない。
【0159】
(第二の搬出工程)
洗浄工程を実施した後、洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を洗浄手段126から仮受け手段36に搬出する第二の搬出工程を実施する。
【0160】
第二の搬出工程では、まず、第一の移送手段26のX・Z軸可動部材30、32を移動させ、洗浄手段126の保持部132に保持されているフレーム16を保持可能な位置に、一対の保持片130を位置づける。次いで、一対の保持片130でフレーム16を保持する。
【0161】
次いで、洗浄手段126の保持部132の吸着チャック138の吸引力を解除するとともに、複数のクランプ140によるフレーム16の固定を解除し、一対の保持片130にフレーム16を受け渡す。
【0162】
次いで、フレーム16を保持した一対の保持片130をX軸方向およびZ軸方向に移動して、洗浄手段126から仮受け手段36にフレーム16を搬出する。そして、一対の保持片130によるフレーム16の保持を解除して、仮受け手段36にフレーム16を支持させる。なお、仮受け手段36にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0163】
(第二の反転工程)
第二の搬出工程を実施した後、仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を、第二の反転手段146の保持部170で保持するとともに、X軸方向の回転軸168を180度回転してフレーム16の表裏を反転させ透明テーブル144にフレーム16を載せる第二の反転工程を実施する。
【0164】
第二の反転工程では、まず、仮受け手段36の下方に位置する第二の反転手段146を上昇させ、仮受け手段36に搬出されたフレーム16に一方の保持部174または他方の保持部176を密着させる。次いで、一方の保持部174または他方の保持部176でフレーム16を吸引保持する。
【0165】
次いで、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置まで一対のガイドレール38の間隔を広げ、仮受け手段36から第二の反転手段146にフレーム16を受け渡す。次いで、第二の反転手段146の回転軸168を180度回転させ、一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが上を向くことになり、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置することになる。
【0166】
次いで、第二の反転手段146を昇降手段148で下降させ、仮受け手段36の直下に位置している透明テーブル144の上面にフレーム16を接触させる。この際、チップに分割されたウエーハ10は透明テーブル144の透明板154の上方に位置する。
【0167】
次いで、一方の保持部174または他方の保持部176の吸引力を解除し、透明テーブル144にフレーム16を載せる。そして、透明テーブル144のフレーム吸引孔156に吸引力を生成し、透明テーブル144の上面でフレーム16を吸引保持する。
【0168】
(第一のテーブル移動工程)
第二の反転工程を実施した後、ウエーハ10が上を向いたフレーム16を載せた透明テーブル144を、仮受け手段36の直下からテーブル移動手段150によって移動させ、チャンバー178の下方かつ紫外線照射手段188の上方に位置づける第一のテーブル移動工程を実施する。
【0169】
(不活性ガス供給工程)
第一のテーブル移動工程を実施した後、透明テーブル144上のフレーム16およびウエーハ10をチャンバー178で覆い、チャンバー178内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程を実施する。
【0170】
不活性ガス供給工程では、まず、チャンバー178を下降させ、図17に示すとおり、チャンバー178のスカート壁182の下端を透明テーブル144の上面に接触させる。このようにして、透明テーブル144上のフレーム16およびウエーハ10を天板180およびスカート壁182で覆う。そして、不活性ガス供給手段からチャンバー178内に不活性ガス(たとえば、窒素ガス)を供給し、大気開放孔186からチャンバー178内の酸素を排出する。
【0171】
(紫外線照射工程)
不活性ガス供給工程を実施した後、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線を照射する紫外線照射工程を実施する。
【0172】
紫外線照射工程では、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線照射手段188の紫外線光源から紫外線を照射して、粘着テープ18の粘着力を低下させる。これにより、粘着テープ18からチップをピックアップする工程において、チップを円滑にピックアップすることができる。
【0173】
図示の実施形態では、チャンバー178内に不活性ガスを供給するとともに、チャンバー178内から酸素を排出しているので、粘着テープ18の粘着層と酸素との反応によって粘着層の粘着性が維持されやすくなることを抑制し、効果的に粘着テープ18の粘着力を低下させることができる。
【0174】
そして、粘着テープ18の粘着力を低下させた後、チャンバー178内への不活性ガスの供給を停止するとともに、チャンバー昇降手段でチャンバー178を上昇させる。
【0175】
(第二のテーブル移動工程)
紫外線照射工程を実施した後、紫外線照射手段188によって粘着テープ18に紫外線が照射されウエーハ10が上を向いたフレーム16を載せた透明テーブル144を、テーブル移動手段150によって仮受け手段36の直下に位置づける第二のテーブル移動工程を実施する。
【0176】
(第三の反転工程)
第二のテーブル移動工程を実施した後、透明テーブル144上のフレーム16を第二の反転手段146の保持部170で保持するとともに、X軸方向の回転軸168を180度回転して、保持部170で保持したフレーム16を第一の反転手段42に保持させる第三の反転工程を実施する。
【0177】
第三の反転工程では、まず、第二の反転手段146を下降させ、透明テーブル144上のフレーム16に第二の反転手段146の一方の保持部174または他方の保持部176を密着させる。次いで、一方の保持部174または他方の保持部176でフレーム16を吸引保持する。
【0178】
次いで、透明テーブル144のフレーム吸引孔156の吸引力を解除する。次いで、第二の反転手段146の保持部170が180度回転可能な程度に、第二の反転手段146を上昇させる。
【0179】
次いで、第二の反転手段146の回転軸168を180度回転させ、一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが下を向くことになり、ウエーハ10が下側に位置し、粘着テープ18が上側に位置することになる。
【0180】
次いで、ウエーハ10を保持している第二の反転手段146の上方に第一の反転手段42を位置づけるとともに、第一の反転手段42の吸引パッド58を下に向ける。次いで、第一の反転手段42を下降させ、第二の反転手段146に保持されたフレーム16に第一の反転手段42の吸引パッド58を密着させるとともに、吸引パッド58でフレーム16を吸引保持する。
【0181】
第一の反転手段42が下降する際、仮受け手段36のガイドレール38はガイドレール開閉部40によって、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置に位置づけられており、第一の反転手段42は一対のガイドレール38間を通過する。そして、第二の反転手段146の一方の保持部174または他方の保持部176の吸引力を解除し、第一の反転手段42にフレーム16を保持させる。
【0182】
(第四の反転工程)
第三の反転工程を実施した後、第一の反転手段42で保持したフレーム16をX軸方向の回転軸52で180度回転して仮受け手段36に支持させる第四の反転工程を実施する。
【0183】
第四の反転工程では、まず、第一の反転手段42の回転軸52を180度回転させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが上を向くことになり、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置する。
【0184】
次いで、第一の反転手段42を上昇させ、許容位置に位置づけられている一対のガイドレール38間を通過させ、第一の反転手段42で保持したフレーム16を仮受け手段36の上方に位置づける。次いで、ガイドレール開閉部40で一対のガイドレール38を支持位置に位置づける。
【0185】
次いで、第一の反転手段42を下降させ、第一の反転手段42で保持したフレーム16を一対のガイドレール38に接触させる。そして、吸引パッド58の吸引力を解除し、仮受け手段36にフレーム16を支持させる。
【0186】
(第三の搬出工程)
第四の反転工程を実施した後、仮受け手段36に支持されたフレーム16をカセット8に搬出する第三の搬出工程を実施する。
【0187】
第三の搬出工程では、まず、第一の移送手段26のX・Z軸可動部材30、32を移動させ、仮受け手段36で支持したフレーム16の端部(カセット8から遠い方のX軸方向端部)に一対の把持片34を位置づける。
【0188】
次いで、一対の把持片34でフレーム16の端部を把持した後、第一の移送手段26でフレーム16をX軸方向およびZ軸方向に移動して、仮受け手段36からカセット8にフレーム16を搬出して収納する。
【0189】
そして、一対の把持片34によるフレーム16の把持を解除し、カセット8にフレーム16を支持させる。なお、カセット8にフレーム16が収納された際、ウエーハ10が上側、粘着テープ18が下側に位置している。
【0190】
以上のとおりであり、図示の実施形態のウエーハ分割装置2においては、粘着テープ18に貼着されたウエーハ10が下を向いた状態で、ウエーハ10に外力を付与して個々のチップに分割するので、ウエーハ10を個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することが抑制される。
【0191】
また、本実施形態においては、ウエーハ10を分割した後に、フレーム16に下向きに配設されたウエーハ10に向かって、掃除手段104のエアーノズル104aからイオン化されたエアーを吹き付けるとともに、吸引ノズル104bで、ウエーハ10から飛散した粉塵を吸引するので、ウエーハ分割時に生じた粉塵をウエーハ10から除去することができる。
【0192】
したがって、洗浄手段126にウエーハ10を搬入する際、ウエーハ10から第二の反転手段146に粉塵が落下して堆積することがない。この結果、洗浄手段126から搬出されたウエーハ10を第二の反転手段146によって180度回転して表裏を反転しても、粉塵がウエーハ10の表面10aに落下することがなく、洗浄後のウエーハ10の粉塵による汚染が防止される。
【符号の説明】
【0193】
2:ウエーハ分割装置
10:ウエーハ
10a:ウエーハの表面
10b:ウエーハの裏面
12:分割予定ライン
14:デバイス
16:フレーム
16a:フレームの開口部
18:粘着テープ
60:フレーム昇降手段
62:分割手段
64:搬出入手段
66:フレーム支持部
68:昇降部
70:テープ収縮部
80:分割部
82:吸引テーブル
90:第一のガイドレール
90a:フレーム保持面
90b:振動子
92:第二のガイドレール
94:搬送部
104:掃除手段
104a:エアーノズル
104b:吸引ノズル
104c:ハウジング
104d:パーティクルカウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17