(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164959
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】化合物並びにこれを用いた液晶組成物、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ
(51)【国際特許分類】
C07C 255/50 20060101AFI20241121BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20241121BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20241121BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20241121BHJP
C07C 331/28 20060101ALI20241121BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241121BHJP
G02F 1/139 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C07C255/50 CSP
C09K19/34
C09K19/14
C09K19/18
C07C331/28
G02F1/13 500
G02F1/13 505
G02F1/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080712
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】林 正直
(72)【発明者】
【氏名】野呂 大樹
【テーマコード(参考)】
2H088
4H006
4H027
【Fターム(参考)】
2H088EA42
2H088EA47
2H088EA51
2H088EA52
2H088EA55
2H088EA56
2H088EA57
2H088GA02
2H088GA03
2H088JA04
2H088KA06
2H088KA20
2H088KA26
2H088KA30
2H088MA20
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB64
4H006QN30
4H006TN10
4H027BD01
4H027BD07
4H027BD10
4H027BE04
4H027BE06
4H027CE05
4H027CG05
(57)【要約】
【課題】本発明は、Δnが大きく、Δεrが大きく、低温での保存性が良好な液晶組成物を提供することができる化合物並びにこれを用いた液晶組成物、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナを提供することを課題とする。
【解決手段】イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物並びにこれを用いた液晶組成物、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(i)
【化1】
(一般式(i)中、
R
i1は、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基を表し、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
X
i1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、チオイソシアノ基、イソチオシアネート基、イソシアネート基又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
A
i1及びA
i2は、それぞれ独立して、炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環のいずれかを表し、
前記A
i1及びA
i2中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基S
i1によって置換されていてもよく、
置換基S
i1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表し、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CS-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
置換基S
i1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく、
Z
i1は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表し、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-CF
2-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH
2-CH(CH
3)-、-CH(CH
3)-CH
2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH
3)-、-C(CH
3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-及び/又は-C≡C-で置換されてもよく、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
n
i1は、1~3の整数を表すが、
A
i2又はZ
i1が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される化合物。
【請求項2】
前記一般式(i)で表される化合物が、下記一般式(i-1)~(i-5)
【化2】
(一般式(i-1)~(i-5)中、
R
i1、A
i1、A
i2及びX
i1は、上記一般式(i)中のR
i1、A
i1、A
i2及びX
i1とそれぞれ同じ意味を表し、
一般式(i-2)~(i-5)中、
A
i2-2の定義は、上記一般式(i)中のA
i2の定義に同じである。)
で表される化合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
前記Xi1が、フッ素原子、シアノ基、イソチオシアネート基(-NCS)、炭素原子数1~6の直鎖状のアルキル基又は炭素原子数1~6の直鎖状のアルコキシ基を表す請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物を1種又は2種以上含む液晶組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶組成物を用いた、液晶表示素子。
【請求項6】
請求項4に記載の液晶組成物を用いた、センサ。
【請求項7】
請求項4に記載の液晶組成物を用いた、液晶レンズ。
【請求項8】
請求項4に記載の液晶組成物を用いた、光通信機器。
【請求項9】
請求項4に記載の液晶組成物を用いた、アンテナ。
【請求項10】
請求項9に記載のアンテナであって、
複数のスロットを備えた第1基板と、
前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、
前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、
前記パッチ電極が設けられた第3基板と、
前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、
前記液晶層が、請求項4に記載の液晶組成物を含有するアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物並びにこれを用いた液晶組成物、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ用途に多く用いられている液晶の新規用途として、自動車等の移動体と通信衛星との間で、電波の送受信を行う液晶を用いたアンテナが注目されている。従来、衛星通信は、パラボラアンテナを用いているが、自動車等の移動体で用いる場合、随時パラボラアンテナを衛星方向へ向けなければならず、大きな可動部が必要であった。しかし液晶を用いたアンテナは、パネル内部の液晶が動作することにより電波の送受信方向を変える事が出来るため、アンテナ自体を動かす必要が無くアンテナの形状も平面にすることが出来る。また、グローバルな大容量かつ高速通信を実現するため、多数の低軌道衛星による低軌道衛星コンステレーションの検討が進んでいる。地上からでは常に移動しているように見える低軌道衛星を追従するには、電波の送受信方向を容易に変えることができる液晶アンテナは有用である。
一般に、自動車等の自動運転には、高精度3Dマップ情報の大量データダウンロードが必要である。しかし、液晶を用いたアンテナであれば、当該アンテナを自動車に組み込むことにより、通信衛星から大量データダウンロードが、機械的な可動部が無くても可能となる。衛星通信で用いられる周波数帯は、約13GHz帯であり、今までの液晶ディスプレイ用途で使用している周波数と大きく異なる。そのため、液晶への要求物性も大きく異なり、アンテナ用の液晶に要求されるΔnは例えば0.4程度、動作温度範囲は例えば-20~120℃となる。
また、自動車等の移動体の自動運転用センサとして、液晶を用いた赤外線レーザー画像認識・測距装置も注目されている。この用途の液晶に要求されるΔnは例えば0.3~0.6、動作温度範囲は例えば10~100℃となる。
更に、0.2以上の高いΔnを示す液晶組成物を構成する液晶性化合物は相溶性が低いものが多いことが知られている。したがって、相溶性の高い液晶性化合物を選択することも重要である。
これに対して、アンテナ用の液晶の技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
また、非特許文献1では、高周波デバイスの構成成分として液晶材料の使用が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ドルフィ(D.Dolfi),「エレクトロニクスレター(Electronics Letters)」,(英国),1993年,29巻,10号,p.926-928
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、Δnが大きく、Δεrが大きく、低温での保存性が良好な液晶組成物を提供することができる化合物並びにこれを用いた液晶組成物、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明の構成の一例としては、以下の通りである。
【0007】
項1.下記一般式(i)
【0008】
【化1】
(一般式(i)中、
R
i1は、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基を表し、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルケニル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
X
i1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、チオイソシアノ基、イソチオシアネート基、イソシアネート基又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
A
i1及びA
i2は、それぞれ独立して、炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環のいずれかを表し、
前記A
i1及びA
i2中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基S
i1によって置換されていてもよく、
置換基S
i1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表し、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CS-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
置換基S
i1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく、
Z
i1は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表し、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-O-、-CF
2-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH
2-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH
2-CH(CH
3)-、-CH(CH
3)-CH
2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH
3)-、-C(CH
3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-及び/又は-C≡C-で置換されてもよく、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
n
i1は、1~3の整数を表すが、
A
i2又はZ
i1が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される化合物。
【0009】
項2.前記一般式(i)で表される化合物が、下記一般式(i-1)~(i-5)
【0010】
【化2】
(一般式(i-1)~(i-5)中、
R
i1、A
i1、A
i2及びX
i1は、上記一般式(i)中のR
i1、A
i1、A
i2及びX
i1とそれぞれ同じ意味を表し、
一般式(i-2)~(i-5)中、
A
i2-2の定義は、上記一般式(i)中のA
i2の定義に同じである。)
で表される化合物からなる群から選ばれる項1に記載の液晶組成物。
【0011】
項3.前記Xi1が、フッ素原子、シアノ基、イソチオシアネート基(-NCS)、炭素原子数1~6の直鎖状のアルキル基又は炭素原子数1~6の直鎖状のアルコキシ基を表す項1又は2に記載の化合物。
【0012】
項4.項1~3のいずれか1項に記載の化合物を1種又は2種以上含む液晶組成物。
【0013】
項5.項4に記載の液晶組成物を用いた、液晶表示素子。
【0014】
項6.項4に記載の液晶組成物を用いた、センサ。
【0015】
項7.項4に記載の液晶組成物を用いた、液晶レンズ。
【0016】
項8.項4に記載の液晶組成物を用いた、光通信機器。
【0017】
項9.項4に記載の液晶組成物を用いた、アンテナ。
【0018】
項10.項9に記載のアンテナであって、
複数のスロットを備えた第1基板と、
前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、
前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、
前記パッチ電極が設けられた第3基板と、
前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、
前記液晶層が、項4に記載の液晶組成物を含有するアンテナ。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物を用いることにより、Δnが大きく、Δεrが大きく、低温での保存性が良好な液晶組成物を得ることができ、当該液晶組成物は、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(一般式(i)で表される化合物)
本発明に係る化合物は、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する下記一般式(i)で表される化合物である。
【0021】
また、本発明に係る液晶組成物は、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含む。
【0022】
【0023】
一般式(i)中、Ri1は、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基を表す。
分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基における炭素原子数は、好ましくは5~20、好ましくは5~15、好ましくは5~10である。
当該アルケニル基(イソブテニル基若しくは分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基)中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルケニル基(イソブテニル基若しくは分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基)中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルケニル基(イソブテニル基若しくは分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基)中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該アルケニル基(イソブテニル基若しくは分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基)が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
イソブテニル基は、下記式(Ri1-1)で表される。
【0024】
【0025】
式(Ri1-1)中、黒点はAi1への結合手を表す。
当該イソブテニル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該イソブテニル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該イソブテニル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
分岐状の炭素原子数5~20のアルケニル基は、下記一般式(Ri1-2)で表されるアルケニル基であることが好ましい。
【0026】
【0027】
式(Ri1-2)中、黒点はAi1への結合手を表す。
また、式(Ri1-2)中、Ri1-2-1は、分岐状の炭素原子数3~10のアルキル基を表す。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは3~8である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
Ri1-2-1の具体例としては、式(Ri1-2-1-1)~(Ri1-2-1-19)で表される基等が挙げられる。
【0028】
【0029】
【0030】
式(Ri1-2-1-1)~(Ri1-2-1-19)中、黒点は炭素-炭素二重結合(>C=C<)への結合手を表す。
また、式(Ri1-2)中、Ri1-2-2及びRi1-2-3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子のいずれかを表す。
製造コスト及び液晶性の観点から、Ri1-2-2及びRi1-2-3は、共に水素原子を表すことが好ましい。
一般式(Ri1-2)で表されるアルケニル基の具体例としては、式(Ri1-2-1)~(Ri1-2-19)で表される基等が挙げられる。
【0031】
【0032】
式(Ri1-2-1)~(Ri1-2-19)中、黒点はAi1への結合手を表す。
環状の炭素原子数5~20のアルケニル基は、下記一般式(Ri1-3)で表されるアルケニル基であることが好ましい。
【0033】
【0034】
式(Ri1-3)中、黒点はAi1への結合手を表す。
また、式(Ri1-3)中、Ri1-3-1は、環状の炭素原子数6~15のアルキル基を表す。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは6~12である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
Ri1-3-1の具体例としては、式(Ri1-3-1-1)~(Ri1-3-1-4)で表される基等が挙げられる。
【0035】
【0036】
式(Ri1-3-1-1)~(Ri1-3-1-4)中、黒点は炭素-炭素二重結合(>C=C<)への結合手を表す。
また、式(Ri1-3)中、Ri1-3-2及びRi1-3-3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子のいずれかを表す。
製造コスト及び液晶性の観点から、Ri1-3-2及びRi1-3-3は、共に水素原子を表すことが好ましい。
一般式(Ri1-3)で表されるアルケニル基の具体例としては、式(Ri1-3-1)~(Ri1-3-4)で表される基等が挙げられ
【0037】
【0038】
式(Ri1-3-1)~(Ri1-3-4)中、黒点はAi1への結合手を表す。
分岐状の炭素原子数5~20のアルケニル基は、下記一般式(Ri1-4)で表されるアルケニル基であることが好ましい。
【0039】
【0040】
式(Ri1-4)中、黒点はAi1への結合手を表す。
また、式(Ri1-4)中、Ri1-4-1は、直鎖状又は分岐状の炭素原子数3~10のアルキル基を表す。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは3~8である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
Ri1-4-1の具体例としては、式(Ri1-4-1-1)~(Ri1-4-1-13)で表される基等が挙げられる。
【0041】
【0042】
式(Ri1-4-1-1)~(Ri1-4-1-3)中、黒点は炭素-炭素二重結合(>C=C<)への結合手を表す。
また、式(Ri1-4)中、Ri1-4-2は、水素原子、メチル基、フッ素原子のいずれかを表す。
製造コスト及び液晶性の観点から、Ri1-4-2は、水素原子を表すことが好ましい。
一般式(Ri1-4)で表されるアルケニル基の具体例としては、式(Ri1-4-1)~(Ri1-4-3)で表される基等が挙げられる。
【0043】
【0044】
式(Ri1-4-1)~(Ri1-4-3)中、黒点はAi1への結合手を表す。
【0045】
一般式(i)中、Xi1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、チオイソシアノ基、イソチオシアネート基、イソシアネート基又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
例えば、Xi1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Xi1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-S-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)を表すことができる。
当該アルキルスルファニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルファニル基であり、直鎖状のアルキルスルファニル基であることが好ましい。
当該アルキルスルファニル基における炭素原子数は、好ましくは1~10、好ましくは1~6である。
また、Xi1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Xi1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Xi1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
Xi1における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Xi1-1)~(Xi1-39)で表される基等が挙げられる。
【0046】
【0047】
【0048】
式(Xi1-1)~(Xi1-39)中、黒点はAi2への結合手を表す。
なお、長波長域及び高周波域のΔnや粘性の観点から、Xi1は、フッ素原子、シアノ基、イソチオシアネート基(-NCS)、炭素原子数1~6の直鎖状のアルキル基又は炭素原子数1~6の直鎖状のアルコキシ基を表すことが好ましい。
【0049】
一般式(i)中、Ai1及びAi2は、それぞれ独立して、炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環のいずれかを表す。
炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環は、より具体的には、以下の基(a)、基(b)基(c)及び基(d):
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1つの-CH2-又は隣接していない2つ以上の-CH2-は-O-又は-S-に置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1つの-CH=又は2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表すことが好ましい。
【0050】
Ai1及びAi2中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基Si1によって置換されていてもよい。
置換基Si1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは3~6である。
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NH-、-CS-及び/又は-CO-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されてもよい。
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
置換基Si1としては、炭素原子数1~10の直鎖状のアルキル基、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
また、Ai1及びAi2の少なくとも一つは少なくとも一つの置換基Si1で置換されていることが好ましい。
また、Ai2は、少なくとも一つの置換基Si1で置換されていることが好ましい。
なお、置換基Si1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
Ai1における置換基Si1の置換位置としては、下記式(Ai1-SP-1)~(Ai1-SP-4)のいずれかであることが好ましい。
【0052】
【0053】
式(Ai1-SP-1)~(Ai1-SP-4)中、白点はRi1への結合手を表し、黒点はZi1への結合手を表す。
Ai2における置換基Si1の置換位置としては、下記式(Ai2-SP-1)~(Ai2-SP-4)のいずれかであることが好ましい。
【0054】
【0055】
式(Ai2-SP-1)~(Ai2-SP-4)中、白点はZi1への結合手を表し、黒点はZi1又はXi1への結合手を表す。
より具体的には、Ai1は、下記式(Ai1-1)~(Ai1-16)のいずれかを表すことが好ましい。
【0056】
【0057】
式(Ai1-1)~(Ai1-16)中、白点はRi1への結合手を表し、黒点はZi1への結合手を表す。
より具体的には、Ai2は、下記式(Ai2-1)~(Ai2-20)のいずれかを表すことが好ましい。
【0058】
【0059】
式(Ai2-1)~(Ai2-20)中、白点はZi1への結合手を表し、黒点はZi1又はXi1への結合手を表す。
【0060】
一般式(i)中、Zi1は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表す。
当該アルキレン基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
当該アルキレン基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-CF2-及び/又は-CO-で置換されていてもよい。
また、当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH3)-、-C(CH3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-及び/又は-C≡C-で置換されてもよい。
但し、当該アルキレン基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
炭素原子数2~20のアルキレン基の具体例(置換されたものも含む)としては、式(Zi1-1)~(Zi1-24)で表される基等が挙げられる。
【0061】
【0062】
式(Zi1-1)~(Zi1-24)中、白点はAi1又はAi2への結合手を表し、黒点はAi2への結合手を表す。
Δnの観点から、Zi1は、それぞれ独立して、単結合又は-C≡C-であることが好ましい。
また、Δnの観点から、Zi1の少なくとも一つが、-C≡C-であることが好ましい。
【0063】
一般式(i)中、ni1は、1~3の整数、好ましくは1~2の整数を表す。
Ai2又はZi1が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0064】
一般式(i)で表される化合物としては、下記一般式(i-1)~(i-5)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0065】
【0066】
一般式(i-1)~(i-5)中、Ri1、Ai1、Ai2及びXi1は、上記一般式(i)中のRi1、Ai1、Ai2及びXi1とそれぞれ同じ意味を表す。
また、一般式(i-2)~(i-5)中、Ai2-2の定義は、上記一般式(i)中のAi2の定義に同じである。
【0067】
一般式(i-1)で表される化合物としては、下記一般式(i-1-1)~(i-1-6)で表される化合物であることが好ましい。
【0068】
【0069】
一般式(i-1-1)~(i-1-6)中、Ri1、Xi1及びSi1は、上記一般式(i)中のRi1、Xi1及びSi1とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
【0070】
一般式(i-1-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-1.1)~(i-1-1.12)で表される化合物等が挙げられる。
【0071】
【0072】
【0073】
一般式(i-1-2)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-2.1)~(i-1-2.12)で表される化合物等が挙げられる。
【0074】
【0075】
【0076】
一般式(i-1-3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-3.1)~(i-1-3.11)で表される化合物等が挙げられる。
【0077】
【0078】
【0079】
一般式(i-1-4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-4.1)~(i-1-4.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0080】
【0081】
一般式(i-1-5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-5.1)~(i-1-5.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0082】
【0083】
一般式(i-1-6)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-6.1)~(i-1-6.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0084】
【0085】
一般式(i-2)で表される化合物としては、下記一般式(i-2-1)~(i-2-6)で表される化合物であることが好ましい。
【0086】
【0087】
一般式(i-2-1)~(i-2-6)中、Ri1、Xi1及びSi1は、上記一般式(i)中のRi1、Xi1及びSi1とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-2-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-1.1)~(i-2-1.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0088】
【0089】
一般式(i-2-2)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-2.1)~(i-2-2.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0090】
【0091】
一般式(i-2-3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-3.1)~(i-2-3.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0092】
【0093】
一般式(i-2-4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-4.1)~(i-2-4.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0094】
【0095】
【0096】
一般式(i-2-5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-5.1)~(i-2-5.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0097】
【0098】
一般式(i-2-6)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-6.1)~(i-2-6.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0099】
【0100】
一般式(i-3)で表される化合物としては、下記一般式(i-3-1)~(i-3-6)で表される化合物であることが好ましい。
【0101】
【0102】
一般式(i-3-1)~(i-3-6)中、Ri1、Xi1及びSi1は、上記一般式(i)中のRi1、Xi1及びSi1とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-3-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-1.1)~(i-3-1.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0103】
【0104】
一般式(i-3-2)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-2.1)~(i-3-2.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0105】
【0106】
一般式(i-3-3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-3.1)~(i-3-3.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0107】
【0108】
一般式(i-3-4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-4.1)~(i-3-4.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0109】
【0110】
一般式(i-3-5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-5.1)~(i-3-5.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0111】
【0112】
一般式(i-3-6)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-6.1)~(i-3-6.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0113】
【0114】
一般式(i-4)で表される化合物としては、下記一般式(i-4-1)~(i-4-6)で表される化合物であることが好ましい。
【0115】
【0116】
一般式(i-4-1)~(i-4-6)中、Ri1、Xi1及びSi1は、上記一般式(i)中のRi1、Xi1及びSi1とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-4-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-1.1)~(i-4-1.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0117】
【0118】
一般式(i-4-2)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-2.1)~(i-4-2.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0119】
【0120】
一般式(i-4-3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-3.1)~(i-4-3.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0121】
【0122】
一般式(i-4-4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-4.1)~(i-4-4.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0123】
【0124】
【0125】
一般式(i-4-5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-5.1)~(i-4-5.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0126】
【0127】
一般式(i-4-6)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-4-6.1)~(i-4-6.6)で表される化合物等が挙げられる。
【0128】
【0129】
一般式(i-5)で表される化合物としては、下記一般式(i-5-1)~(i-5-8)で表される化合物であることが好ましい。
【0130】
【0131】
一般式(i-5-1)~(i-5-8)中、Ri1、Xi1及びSi1は、上記一般式(i)中のRi1、Xi1及びSi1とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-5-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-1.1)~(i-5-1.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0132】
【0133】
一般式(i-5-2)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-2.1)~(i-5-2.5)で表される化合物等が挙げられる。
【0134】
【0135】
一般式(i-5-3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-3.1)~(i-5-3.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0136】
【0137】
一般式(i-5-4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-4.1)~(i-5-4.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0138】
【0139】
一般式(i-5-5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-5.1)~(i-5-5.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0140】
【0141】
一般式(i-5-6)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-6.1)~(i-5-6.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0142】
【0143】
一般式(i-5-7)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-7.1)~(i-5-7.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0144】
【0145】
一般式(i-5-8)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-5-8.1)~(i-5-8.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0146】
【0147】
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-5)、一般式(i-1-1)~(i-1-6)、一般式(i-2-1)~(i-2-6)、一般式(i-3-1)~(i-3-6)、一般式(i-4-1)~(i-4-6)、一般式(i-5-1)~(i-5-8)、構造式(i-1-1.1)~(i-1-1.12)、構造式(i-1-2.1)~(i-1-2.12)、構造式(i-1-3.1)~(i-1-3.11)、構造式(i-1-4.1)~(i-1-4.6)、構造式(i-1-5.1)~(i-1-5.6)、構造式(i-1-6.1)~(i-1-6.6)、構造式(i-2-1.1)~(i-2-1.6)、構造式(i-2-2.1)~(i-2-2.6)、構造式(i-2-3.1)~(i-2-3.6)、構造式(i-2-4.1)~(i-2-4.7)、構造式(i-2-5.1)~(i-2-5.6)、構造式(i-2-6.1)~(i-2-6.6)、構造式(i-3-1.1)~(i-3-1.4)、構造式(i-3-2.1)~(i-3-2.4)、構造式(i-3-3.1)~(i-3-3.4)、構造式(i-3-4.1)~(i-3-4.4)、構造式(i-3-5.1)~(i-3-5.4)、構造式(i-3-6.1)~(i-3-6.4)、構造式(i-4-1.1)~(i-4-1.6)、構造式(i-4-2.1)~(i-4-2.6)、構造式(i-4-3.1)~(i-4-3.6)、構造式(i-4-4.1)~(i-4-4.7)、構造式(i-4-5.1)~(i-4-5.6)、構造式(i-4-6.1)~(i-4-6.6)、構造式(i-5-1.1)~(i-5-1.4)、構造式(i-5-2.1)~(i-5-2.5)、構造式(i-5-3.1)~(i-5-3.4)、構造式(i-5-4.1)~(i-5-4.4)、構造式(i-5-5.1)~(i-5-5.4)、構造式(i-5-6.1)~(i-5-6.4)、構造式(i-5-7.1)~(i-5-7.4)又は構造式(i-5-8.1)~(i-5-8.4)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0148】
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-5)、一般式(i-1-1)~(i-1-6)、一般式(i-2-1)~(i-2-6)、一般式(i-3-1)~(i-3-6)、一般式(i-4-1)~(i-4-6)、一般式(i-5-1)~(i-5-8)、構造式(i-1-1.1)~(i-1-1.12)、構造式(i-1-2.1)~(i-1-2.12)、構造式(i-1-3.1)~(i-1-3.11)、構造式(i-1-4.1)~(i-1-4.6)、構造式(i-1-5.1)~(i-1-5.6)、構造式(i-1-6.1)~(i-1-6.6)、構造式(i-2-1.1)~(i-2-1.6)、構造式(i-2-2.1)~(i-2-2.6)、構造式(i-2-3.1)~(i-2-3.6)、構造式(i-2-4.1)~(i-2-4.7)、構造式(i-2-5.1)~(i-2-5.6)、構造式(i-2-6.1)~(i-2-6.6)、構造式(i-3-1.1)~(i-3-1.4)、構造式(i-3-2.1)~(i-3-2.4)、構造式(i-3-3.1)~(i-3-3.4)、構造式(i-3-4.1)~(i-3-4.4)、構造式(i-3-5.1)~(i-3-5.4)、構造式(i-3-6.1)~(i-3-6.4)、構造式(i-4-1.1)~(i-4-1.6)、構造式(i-4-2.1)~(i-4-2.6)、構造式(i-4-3.1)~(i-4-3.6)、構造式(i-4-4.1)~(i-4-4.7)、構造式(i-4-5.1)~(i-4-5.6)、構造式(i-4-6.1)~(i-4-6.6)、構造式(i-5-1.1)~(i-5-1.4)、構造式(i-5-2.1)~(i-5-2.5)、構造式(i-5-3.1)~(i-5-3.4)、構造式(i-5-4.1)~(i-5-4.4)、構造式(i-5-5.1)~(i-5-5.4)、構造式(i-5-6.1)~(i-5-6.4)、構造式(i-5-7.1)~(i-5-7.4)又は構造式(i-5-8.1)~(i-5-8.4)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましい。
【0149】
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-5)、一般式(i-1-1)~(i-1-6)、一般式(i-2-1)~(i-2-6)、一般式(i-3-1)~(i-3-6)、一般式(i-4-1)~(i-4-6)、一般式(i-5-1)~(i-5-8)、構造式(i-1-1.1)~(i-1-1.12)、構造式(i-1-2.1)~(i-1-2.12)、構造式(i-1-3.1)~(i-1-3.11)、構造式(i-1-4.1)~(i-1-4.6)、構造式(i-1-5.1)~(i-1-5.6)、構造式(i-1-6.1)~(i-1-6.6)、構造式(i-2-1.1)~(i-2-1.6)、構造式(i-2-2.1)~(i-2-2.6)、構造式(i-2-3.1)~(i-2-3.6)、構造式(i-2-4.1)~(i-2-4.7)、構造式(i-2-5.1)~(i-2-5.6)、構造式(i-2-6.1)~(i-2-6.6)、構造式(i-3-1.1)~(i-3-1.4)、構造式(i-3-2.1)~(i-3-2.4)、構造式(i-3-3.1)~(i-3-3.4)、構造式(i-3-4.1)~(i-3-4.4)、構造式(i-3-5.1)~(i-3-5.4)、構造式(i-3-6.1)~(i-3-6.4)、構造式(i-4-1.1)~(i-4-1.6)、構造式(i-4-2.1)~(i-4-2.6)、構造式(i-4-3.1)~(i-4-3.6)、構造式(i-4-4.1)~(i-4-4.7)、構造式(i-4-5.1)~(i-4-5.6)、構造式(i-4-6.1)~(i-4-6.6)、構造式(i-5-1.1)~(i-5-1.4)、構造式(i-5-2.1)~(i-5-2.5)、構造式(i-5-3.1)~(i-5-3.4)、構造式(i-5-4.1)~(i-5-4.4)、構造式(i-5-5.1)~(i-5-5.4)、構造式(i-5-6.1)~(i-5-6.4)、構造式(i-5-7.1)~(i-5-7.4)又は構造式(i-5-8.1)~(i-5-8.4)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の上限値は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましい。
【0150】
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-5)、一般式(i-1-1)~(i-1-6)、一般式(i-2-1)~(i-2-6)、一般式(i-3-1)~(i-3-6)、一般式(i-4-1)~(i-4-6)、一般式(i-5-1)~(i-5-8)、構造式(i-1-1.1)~(i-1-1.12)、構造式(i-1-2.1)~(i-1-2.12)、構造式(i-1-3.1)~(i-1-3.11)、構造式(i-1-4.1)~(i-1-4.6)、構造式(i-1-5.1)~(i-1-5.6)、構造式(i-1-6.1)~(i-1-6.6)、構造式(i-2-1.1)~(i-2-1.6)、構造式(i-2-2.1)~(i-2-2.6)、構造式(i-2-3.1)~(i-2-3.6)、構造式(i-2-4.1)~(i-2-4.7)、構造式(i-2-5.1)~(i-2-5.6)、構造式(i-2-6.1)~(i-2-6.6)、構造式(i-3-1.1)~(i-3-1.4)、構造式(i-3-2.1)~(i-3-2.4)、構造式(i-3-3.1)~(i-3-3.4)、構造式(i-3-4.1)~(i-3-4.4)、構造式(i-3-5.1)~(i-3-5.4)、構造式(i-3-6.1)~(i-3-6.4)、構造式(i-4-1.1)~(i-4-1.6)、構造式(i-4-2.1)~(i-4-2.6)、構造式(i-4-3.1)~(i-4-3.6)、構造式(i-4-4.1)~(i-4-4.7)、構造式(i-4-5.1)~(i-4-5.6)、構造式(i-4-6.1)~(i-4-6.6)、構造式(i-5-1.1)~(i-5-1.4)、構造式(i-5-2.1)~(i-5-2.5)、構造式(i-5-3.1)~(i-5-3.4)、構造式(i-5-4.1)~(i-5-4.4)、構造式(i-5-5.1)~(i-5-5.4)、構造式(i-5-6.1)~(i-5-6.4)、構造式(i-5-7.1)~(i-5-7.4)又は構造式(i-5-8.1)~(i-5-8.4)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、溶解性、Δn及び/又はΔεrの観点から、0.1~95質量%であることが好ましく、0.5~90質量%であることが好ましく、1~85質量%であることが好ましく、1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることが好ましい。
【0151】
一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)は、公知の合成方法を用いて合成することができ、以下、いくつか例示する。
【0152】
(製法1)下記式(s-4)で表される化合物の製造
【0153】
【0154】
式中、Ai2、Si1及びXi1は、前記一般式(i)におけるAi2、Si1及びXi1と同じ意味を表す。
まず、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージドとターシャリーブトキシカリウムをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中にて0℃以下で反応させた後、一般式(s-1)で表される化合物のTHF溶液をゆっくり加えて反応させることにより、一般式(s-2)で表される化合物を得ることができる。
次いで、一般式(s-2)で表される化合物を一般式(s-3)で表される化合物と反応させることにより、目的物である一般式(s-4)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
パラジウム触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
【0155】
(製法2)下記式(s-10)で表される化合物の製造
【0156】
【0157】
まず、1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタンとトリフェニルホスフィンをトルエン溶媒中、加熱還流することにより、一般式(s-5)で表される化合物を得ることができる。
次いで、一般式(s-5)で表される化合物とターシャリーブトキシカリウムをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中にて0℃以下で反応させた後、一般式(s-6)で表される化合物のTHF溶液をゆっくり加えて反応させることにより、一般式(s-7)で表される化合物を得ることができる。
更に、トルエン溶媒に一般式(s-7)で表される化合物、10質量%塩酸、スルフィン酸ナトリウムを加えて加熱することにより、E体に異性化された一般式(s-8)で表される化合物を得ることが出来る。
次いで、一般式(s-8)で表される化合物を一般式(s-9)で表される化合物と反応させることにより目的物である一般式(s-10)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
パラジウム触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
【0158】
(製法3)下記式(s-19)で表される化合物の製造
【0159】
【0160】
1-ブロモ-3,3-ジメチルブタンとトリフェニルホスフィンをトルエン溶媒中、加熱還流することにより、一般式(s-11)で表される化合物を得ることができる。
次いで、一般式(s-11)で表される化合物とターシャリーブトキシカリウムをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中にて0℃以下で反応させた後、一般式(s-12)で表される化合物のTHF溶液をゆっくり加えて反応させることにより、一般式(s-13)で表される化合物を得ることができる。
更に、トルエン溶媒に一般式(s-13)で表される化合物、10重量%塩酸、スルフィン酸ナトリウムを加えて加熱することにより、E体に異性化された一般式(s-14)で表される化合物を得ることが出来る。
次いで、一般式(s-14)で表される化合物をビスピナコールジボランと反応させることにより、一般式(s-15)で表される化合物を得た後、一般式(s-16)で表される化合物と反応させることにより、一般式(s-17)で表される化合物を得ることが出来る。
反応方法としては例えばパラジウム触媒及び塩基を用いた鈴木カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
そして、一般式(s-17)で表される化合物と一般式(s-18)で表される化合物と反応させることにより、目的物である一般式(s-19)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
パラジウム触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
【0161】
(製法4)下記式(s-24)で表される化合物の製造
【0162】
【0163】
1-ブロモメチル-4-ブチルシクロヘキサンとトリフェニルホスフィンをトルエン溶媒中、加熱還流することにより、一般式(s-20)で表される化合物を得ることができる。
次いで、一般式(s-20)で表される化合物とターシャリーブトキシカリウムをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中にて0℃以下で反応させた後、一般式(s-21)で表される化合物のTHF溶液をゆっくり加えて、反応させた後、更にトルエン溶媒に反応物、10質量%塩酸、スルフィン酸ナトリウムを加えて加熱することにより、E体に異性化された一般式(s-22)で表される化合物を得ることが出来る。
次いで、一般式(s-22)で表される化合物と一般式(s-23)で表される化合物と反応させることにより目的物である一般式(s-24)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
パラジウム触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
【0164】
(製法5)下記式(s-30)で表される化合物の製造
【0165】
【0166】
一般式(s-25)で表される化合物とトリメチルシリルアセチレンと反応させた後、メタノール中にて炭酸カリウムと反応させることにより、一般式(s-26)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
パラジウム触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
更に、一般式(s-26)で表される化合物と一般式(s-27)で表される化合物とを反応させることにより一般式(s-28)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
次いで、一般式(s-28)で表される化合物と一般式(s-29)で表される化合物とを反応させることにより、目的物である一般式(s-30)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応等が挙げられる。
【0167】
各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein-Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer-Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載のもの又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)、Reaxys(Elsevier Ltd.)等のデータベースに収載のものが挙げられる。
各工程において酸素及び/又は水分に不安定な物質を取り扱う際は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で作業を行うことが好ましい。
各工程において必要に応じて官能基を保護することができる。
保護基としては、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)等に記載の保護基が挙げられる。
また、各工程において必要に応じて精製を行ってもよい。
精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。
精製剤の具体例としてはシリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられる。
【0168】
<一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)の特性値>
一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)の特性値は、以下のようにして測定することができる。
まず、母体液晶に対して、一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)を添加し、液晶組成物100質量%中に一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)をそれぞれ0質量%、5質量%、10質量%含む液晶組成物を調製し、それぞれの液晶組成物のΔn(屈折率異方性)及びΔεrを測定する。
そして、最小二乗法を用いて、一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)100質量%、すなわち一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)のΔn(屈折率異方性)及びΔεrを外挿値より求める。
【0169】
Δn(屈折率異方性)は、後述する光学センサで用いられる近赤外領域のΔnと相関する。
Δnが大きいほど対象とする波長の光の位相変調力が大きくなるため特に光学センサ類に好適である。
25℃、589nmにおけるΔnはアッベ屈折計を用いて液晶組成物の異常光屈折率(ne)と常光屈折率(no)の差(ne-no)から求める。
また、位相差測定装置から、Δnを求めることもできる。
位相差Re、液晶層の厚さd及びΔnとの間には、Δn=Re/dの関係が成り立つ。
セルギャップ(d)が約3.0μmで、アンチパラレルラビング処理を施したポリイミド配向膜付きガラスセルに液晶組成物を注入し、面内のReを位相差フィルム・光学材料検査装置RETS-100(大塚電子株式会社製)で測定する。
測定は温度25℃、589nmの条件で行い、単位はない。
本発明に係る一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)の25℃、589nmにおけるΔnは、波長の光の位相変調力の観点から、0.30以上であることが好ましく、0.32~0.60であることが好ましく、0.35~0.57であることが好ましく、0.40~0.55であることが好ましい。
【0170】
高周波数領域における誘電率異方性は、高いほど目的周波数帯の電波に対する位相変調力が大きくなるため、特にアンテナ用途に好適である。
また、アンテナ用途では高周波数領域における誘電正接が小さいほど目的周波数帯のエネルギー損失が小さくなるため好適である。
本発明に係る一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)においては、高周波数領域の特性を代表して10GHzにおける誘電率異方性Δεrを測定した。
Δεr=(εr∥-εr⊥)である。
ここで、「εr」は誘電定数であり、添え字の「∥」は液晶の配向方向に対して並行方向、「⊥」は液晶の配向方向に対して垂直方向の成分であることを表す。
【0171】
Δεrは以下の方法により測定することができる。
まず、液晶組成物を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の毛細管へと導入する。
ここで用いた毛細管は0.80mmの内半径及び0.835mmの外半径を有し、有効長は4.0cmである。
液晶組成物を封入した毛細管を、10GHzの共鳴周波数を有する空洞共振器(EMラボ株式会社製)の中心へと導入する。
この空洞共振器は30mmの直径、26mm幅の外形を有する。
そして信号を入力し、出力された信号の結果を、ネットワーク・アナライザ(キーサイト・テクノロジー株式会社製)を用いて記録する。
液晶組成物を封入しないPTFE毛細管の共鳴周波数等と液晶組成物を封入したPTFE毛細管の共鳴周波数等の差を用いて、10GHzにおける誘電定数(εr)を決定する。
なお、液晶組成物を封入したPTFE毛細管を用いた共鳴周波数等は、液晶分子の配向制御により、液晶分子の配向方向に垂直な特性成分の値及び平行な特性成分の値として求める。
液晶分子をPTFE毛細管の垂直方向(有効長方向に対して垂直)に配列させたり、平行方向(有効長方向に対して平行)に配列させたりするために、永久磁石又は電磁石の磁界を用いる。
磁界は、例えば、磁極間距離45mm、中央付近の磁界の強さは0.23テスラである。
液晶組成物を封入したPTFE毛細管を磁界に対して並行又は垂直に回転させることで所望の特性成分を得る。
測定は温度25℃で行い、Δεrに単位はない。
【0172】
本発明に係る一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)の25℃におけるΔεrはより大きいことが好ましいが、GHz帯における位相変調力の観点から、0.30以上であることが好ましく、0.30~0.65であることが好ましく、0.31~0.60であることが好ましく、0.32~0.55であることが好ましく、0.33~0.50であることが好ましく、0.34~0.45であることが好ましく、0.35~0.40であることが好ましい。
【0173】
(液晶組成物)
本発明に係る液晶組成物は、例えば、上述の一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)、必要に応じてその他の液晶化合物、添加物を混合することにより、製造することができる。
【0174】
添加物としては、安定剤、色素化合物、重合性化合物、アゾトラン化合物等が挙げられる。
【0175】
安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
ヒンダードフェノール類としては、下記の構造式(XX-1)~(XX-3)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0176】
【0177】
ヒンダードアミン類としては、下記の構造式(YY-1)~(YY-2)で表されるヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0178】
【0179】
安定剤を使用する場合における安定剤の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~8種、好ましくは1~6種、好ましくは1~4種、好ましくは1~2種である。
安定剤を使用する場合における安定剤の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、0.005~1質量%であることが好ましく、0.02~0.50質量%であることが好ましく、0.03~0.35質量%であることが好ましい。
【0180】
(液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ)
以下、本発明に係る液晶組成物を用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器、アンテナについて説明する。
【0181】
本発明に係る液晶表示素子は、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、好ましくはアクティブマトリクス方式又はパッシブマトリクス方式で駆動する。
また、本発明に係る液晶表示素子は、上述の液晶組成物の液晶分子の配向方向を可逆的に変えることにより誘電率を可逆的にスイッチングする液晶表示素子であることが好ましい。
【0182】
本発明に係るセンサは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様として、電磁波、可視光又は赤外光を利用する測距センサ、温度変化を利用する赤外線センサ、コレステリック液晶のピッチ変化による反射光波長変化を利用する温度センサ、反射光波長変化を利用する圧力センサ、組成変化による反射光波長変化を利用する紫外線センサ、電圧、電流による温度変化を利用する電気センサ、放射線粒子の飛跡に伴った温度変化を利用する放射線センサ、超音波の機械的振動による液晶分子配列変化を利用する超音波センサ、温度変化による反射光波長変化又は電界による液晶分子配列変化を利用する電磁界センサ等が挙げられる。
測距センサとしては、光源を用いるLiDAR(Light Detection And Ranging)用であることが好ましい。
LiDARとしては、人工衛星用、航空機用、無人航空機(ドローン)用、自動車用、鉄道用、船舶用が好ましい。
自動車用としては、自動運転自動車用が特に好ましい。
光源はLED又はレーザであることが好ましく、レーザであることが好ましい。
LiDARに用いられる光は赤外光であることが好ましく、波長は800~2000nmであることが好ましい。
特に、905nm又は1550nmの波長の赤外レーザが好ましい。
用いる光検出器のコストや全天候における感度を重視する場合は905nmの赤外レーザが好ましく、人間の視覚に関する安全性を重視する場合には1550nmの赤外レーザが好ましい。
本発明に係る液晶組成物は、高いΔnを示すことから、可視光、赤外光及び電磁波領域での位相変調力が大きく、検出感度に優れたセンサを提供できる。
【0183】
本発明に係る液晶レンズは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様の一つとして、第1の透明電極層と、第2の透明電極層と、前記第1の透明電極層及び前記第2の透明電極層の間に設けられた上述の液晶組成物を含む液晶層と、前記第2の透明電極層及び前記液晶層の間に設けられた絶縁層と、前記絶縁層及び前記液晶層の間に設けられた高抵抗層とを有する。
本発明に係る液晶レンズは、例えば、2D、3Dの切り替えレンズ、カメラの焦点調節用のレンズなどとして利用される。
【0184】
本発明に係る光通信機器は、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様の一つとして、反射層(電極)の上に、複数の画素の各々を構成する液晶が2次元状に配置された液晶層を有する構成のLCOS(Liquid crystal on silicon)が挙げられる。
本発明に係る光通信機器は、例えば、空間位相変調器として利用される。
【0185】
本発明に係るアンテナは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とする。
本発明に係るアンテナは、より具体的には、複数のスロットを備えた第1基板と、前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、前記パッチ電極が設けられた第3基板と、前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、前記液晶層が、上述の液晶組成物を含有する。
液晶組成物としては、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)を1種又は2種以上含む液晶組成物を用いることにより、Δnが大きく、Δεrが大きく、低温での保存性が良好であるため、熱等の外部刺激に対して高い信頼性を有するアンテナを提供できる。
これにより、マイクロ波又はミリ波の電磁波に対してより大きな位相制御を可能とするアンテナを提供できる。
本発明に係るアンテナは、衛星通信に使用されるKa帯周波数又はK帯周波数もしくはKu帯周波数において動作することが好ましい。
本発明に係るアンテナは、ラジアルラインスロットアレイと、パッチアンテナアレイとを組み合わせた構成であることが好ましい。
本発明に係るアンテナの構造としては、例えば国際公開第2021/157189号パンフレット等に記載されている事項等を参酌し、適用することができる。
【実施例0186】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例の組成物は各化合物を表中の割合で含有し、含有量は「質量%」で記載した。
なお、シス体とトランス体を取りうる化合物は特に断りがない限りトランス体を表す。
(実施例1)式(I-1)で表される化合物の製造
【0187】
【0188】
窒素雰囲気下、反応容器にイソプロピルトリフェニルホスフィンヨージド25g、THF60mLを仕込み、10℃以下に冷却し、ターシャリーブトキシカリウム6.5gを加え、10℃以下を保ちながら1時間反応させた。次いで、式(I-1-1)で表される化合物10.0gをTHF35mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、滴下終了後、室温で2時間攪拌し反応させた。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I-1-2)で表される化合物11.0gを得た。
次に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-1-2)で表される化合物11.0g、ヨウ化銅(I)0.4g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.7g、トリエチルアミン25mL、N,N-ジメチルホルムアミド100mLを加えた。そして、80℃で加熱しながら、式(I-1-3)で表される化合物8.5gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させた溶液を滴下し、80℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、トルエンによる再結晶を行うことによって、式(I-1-4)で表される化合物12.5gを得た。反応容器に式(I-1-4)で表される化合物12.5g、ジクロロメタン60mL、1,1-チオカルボニルジイミダゾール9g加え、2時間加熱還流行った。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-1)で表される化合物11.5gを得た。
MS(EI):m/z=325
(実施例2)式(I-2)で表される化合物の製造
【0189】
【0190】
窒素雰囲気下、反応容器に1-ブロモ-3-メチルブタン15g、トリフェニルホスフィン30g、トルエン150mLを加え4時間加熱還流させた。反応終了後、析出物をろ過し、式(I-2-1)で表される化合物38gを得た。次いで、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-2-1)で表される化合物38g、THF150mLを加え0℃に冷却し、ターシャリーブトキシカリウム14gを加え、1時間反応させた。その後、4-ブロモベンズアルデヒド18gをTHF50mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し、2時間反応させた。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)により精製した後、トルエン200mL、10質量%塩酸20mL、スルフィン酸ナトリウム2gを加え、1時間加熱還流を行うことによって、式(I-2-2)で表される化合物22gを得た。
次に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-2-2)で表される化合物22g、ヨウ化銅(I)0.6g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.9g、トリエチルアミン25mL、N,N-ジメチルホルムアミド100mLを加えた。そして、80℃で加熱しながら、式(I-2-3)で表される化合物15gをN,N-ジメチルホルムアミド20mLに溶解させた溶液を滴下し、80℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、トルエンによる再結晶を行うことによって、式(I-2-4)で表される化合物22.5gを得た。
次に、反応容器に式(I-2-4)で表される化合物22.5g、ジクロロメタン60ml、1,1-チオカルボニルジイミダゾール15g加え、2時間加熱還流行った。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-2)で表される化合物22gを得た。
MS(EI):m/z=353
(実施例3)式(I-3)で表される化合物の製造
【0191】
【0192】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-3-1)で表される化合物5g、THF50mLを仕込み、0℃に冷却した。次いで、ターシャリーブトキシカリウム1.4gを加え1時間攪拌させた。その後、式(I-3-2)で表される化合物2.2gをTHF10mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、2時間反応させた。反応終了後、10質量%塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)により精製した。その後、得られた化合物をトルエン50mLに溶解させた後、10質量%塩酸5mL、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム0.2gを加え、1時間加熱還流させた。反応液を水で洗浄し、溶媒を留去して式(I-3-3)で表される化合物3.5gを得た。更に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-3-3)で表される化合物3.5g、ヨウ化銅(I)0.2g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3g、2-アミノエタノール15mL、N,N-ジメチルホルムアミド50mLを加えた。反応容器を85℃で加熱しながら、式(I-3-4)で表される化合物2.0gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させた溶液を滴下し、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-3)で表される化合物3.1gを得た。
MS(EI):m/z=417
(実施例4)式(I-4)で表される化合物の製造
【0193】
【0194】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-4-1)で表される化合物5g、THF50mLを仕込み、0℃に冷却した。次いで、ターシャリーブトキシカリウム1.4gを加え1時間攪拌させた。その後、4-ブロモベンズアルデヒド1.9gをTHF10mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、2時間反応させた。反応終了後、10質量%塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)により精製した。そして、得られた化合物をトルエン50mLに溶解させた後、10質量%塩酸5mL、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム0.2gを加え、1時間加熱還流させた。反応液を水で洗浄し、溶媒を留去して式(I-4-2)で表される化合物3.1gを得た。
更に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-4-2)で表される化合物3.1g、ヨウ化銅(I)0.2g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.4g、2-アミノエタノール15mL、N,N-ジメチルホルムアミド50mLを加えた。反応容器を85℃で加熱しながら、式(I-4-3)で表される化合物1.5gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させた溶液を滴下し、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-4-4)で表される化合物3.0gを得た。
そして、反応容器に式(I-4-4)で表される化合物3.0g、ジクロロメタン30mL、1,1-チオカルボニル-ジ-2-(1H)ピリドン2g加え、室温で5時間反応させた。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-4)で表される化合物3.5gを得た。
MS(EI):m/z=435
(実施例5)式(I-5)で表される化合物の製造
【0195】
【0196】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-5-1)で表される化合物5g、THF50mL、トリエチルアミン15mL、ヨウ化銅(I)0.3g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.5gを仕込み、50℃に加熱した。次いで、トリメチルシリルアセチレン2gを加え2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル50mLを加え飽和塩化アンモニウム溶液で有機層を洗浄した。その後、有機層をメタノール50mLに溶解させ、炭酸カリウム0.5gを添加し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、10質量%塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。そして、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)により精製し、式(I-5-2)で表される化合物3.8gを得た。
更に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-5-2)で表される化合物3.8g、ヨウ化銅(I)0.2g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3g、トリエチルアミン15mL、N,N-ジメチルホルムアミド50mLを加えた。反応容器を室温に保ちながら、1-ブロモ-4-ヨード-3-メチルベンゼン5.7gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させた溶液を滴下した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-5-3)で表される化合物7.2gを得た。
その後、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-5-3)で表される化合物7.2g、式(I-5-4)で表される化合物3.3g、ヨウ化銅(I)0.4g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.4g、トリエチルアミン15mL、N,N-ジメチルホルムアミド50mLを加え、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-5-5)で表される化合物7.5gを得た。
そして、反応容器に式(I-5-5)で表される化合物7.5g、ジクロロメタン40mL、1,1-チオカルボニル-ジ-2-(1H)ピリドン4.2g加え、室温で5時間反応させた。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-5)で表される化合物3.9gを得た。
MS(EI):m/z=481
(実施例6)式(I-6)で表される化合物の製造
【0197】
【0198】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-6-1)で表される化合物6g、ジクロロメタン50mLを仕込み、0℃に冷却した。次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物6gをジクロロメタン15mLに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間反応させた。反応終了後、水、飽和食塩水で有機層を洗浄し、溶媒を留去し式(I-6-2)で表される化合物8gを得た。
更に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-6-2)で表される化合物8g、式(I-6-3)で表される化合物5g、炭酸カリウム4g、THF100mL、水10mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3gを加え、反応容器を60℃に加熱し、3時間反応させた。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-6)で表される化合物6.5gを得た。
MS(EI):m/z=397
(実施例7)式(I-7)で表される化合物の製造
【0199】
【0200】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-7-1)で表される化合物7g、ヨウ化銅(I)0.2g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.4g、トリエチルアミン15mL、N,N-ジメチルホルムアミド50mLを加えた。反応容器を80℃に加熱しながら、式(I-7-2)で表される化合物3gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させた溶液を滴下した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=3/1)により精製を行うことによって、式(I-7-3)で表される化合物7.4gを得た。
その後、反応容器に式(I-7-3)で表される化合物7.4g、ジクロロメタン40mL、1,1-チオカルボニル-ジ-2-(1H)ピリドン4.4g加え、室温で5時間反応させた。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-7)で表される化合物6.8gを得た。
MS(EI):m/z=461
【0201】
(液晶組成物の調製と評価)
以下の物性値を示す母体液晶(LC-1)を調製した。値はいずれも実測値である。
Tn-i(ネマチック相-等方性液体相転移温度):74.0℃
Δε(25℃、1kHzにおける誘電率異方性) :5.11
Δn(25℃、589nmにおける屈折率異方性):0.141
γ1(25℃における回転粘性係数) :107mPa・s
【0202】
母体液晶(LC-1)に対して、実施例で得た化合物(I-1)~(I-7)及びイソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基を採用しない式(C-1)~(C-2)で表される化合物を添加し、液晶組成物100質量%中に各化合物をそれぞれ0質量%、5質量%、10質量%含む液晶組成物を調製した。
そして、最小二乗法を用いて各化合物100質量%におけるΔn及びΔεrの外挿値を求めた。結果を表1に示す。
【0203】
(保存安定性試験)
母体液晶(LC-1)に対して、実施例で得た化合物(I-1)~(I-7)及びイソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基を採用しない式(C-1)~(C-2)で表される化合物を添加し、液晶組成物100質量%中に各化合物をそれぞれ5質量%含む液晶組成物を調整した。
1mLのサンプル瓶(マルエム社製)に調整した液晶組成物を0.5g秤量し、150℃、250Paで10分間脱気による脱泡を実施した。その後乾燥窒素を用いてパージし、備え付けの蓋をした。これを0℃の温度制御式恒温槽(エスペック社製、SH-241)の中で2週間にわたって保存し、1週間ごとに目視にて液晶組成物の結晶化の発生を確認した。1週目の目視にて結晶化が確認されなかったものを「〇」、結晶化が確認されたものを「×」とした。結果を表1に示す。
【0204】
【0205】
【0206】
実施例10、13及び比較例1、実施例8、9、11、12、14及び比較例2より、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物は、Δn及びΔεrが大きいことが確認された。
とりわけ、イソチオシアネート基(-NCS)を有する化合物は、Δnとして0.35以上を示した。
また、イソブテニル基及び分岐状又は環状の炭素原子数5~20のアルケニル基からなる群から選ばれるアルケニル基とイソチオシアネート基(-NCS)基をはじめとする所定の側鎖構造を有する一般式(i)で表される化合物は、低温での保存性が良好であることも確認された。