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特開2024-165037路面3次元形状推定装置、路面3次元形状の推定方法、路面3次元形状推定システム、及び路面3次元形状推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165037
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】路面3次元形状推定装置、路面3次元形状の推定方法、路面3次元形状推定システム、及び路面3次元形状推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/55 20170101AFI20241121BHJP
   G06T 7/64 20170101ALI20241121BHJP
   G01C 7/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06T7/55
G06T7/64
G01C7/02
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080856
(22)【出願日】2023-05-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻修士論文発表会
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度関東地方整備局、「R4 わだち掘れ簡易評価手法の開発と、MCIの自動算出による点検業務の生産性向上」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】520100550
【氏名又は名称】株式会社スマートシティ技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000233653
【氏名又は名称】ニチレキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長山 智則
(72)【発明者】
【氏名】高 文超
(72)【発明者】
【氏名】薛 凱
(72)【発明者】
【氏名】趙 博宇
(72)【発明者】
【氏名】那珂 通大
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA04
5L096CA02
5L096EA26
5L096FA09
5L096FA32
5L096FA64
5L096FA67
5L096FA69
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】簡便かつ高精度で路面の3次元形状を推定することができる路面形状推定装置等を提供すること。
【解決手段】第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部と、を備える、路面形状推定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部と、
を備える、路面形状推定装置。
【請求項2】
前記特定部が、前記第1の鳥瞰図と前記第2の鳥瞰図とをマッチングすることにより、前記第1及び第2部分を特定する、
請求項1に記載の路面形状推定装置。
【請求項3】
前記特定部が、前記第1及び第2の鳥瞰図における特徴点をマッチングするか、又は前記第1及び第2の鳥瞰図の少なくとも一部の領域に含まれる全画素をマッチングすることにより特定を行う、
請求項2に記載の路面形状推定装置。
【請求項4】
前記特定部が、前記第1及び第2の鳥瞰図において指定された所定のサイズを有する複数の領域であって、前記領域の少なくとも一部分は隣接する領域と互いに重複している複数の領域のそれぞれについて、マッチングを行う、
請求項2に記載の路面形状推定装置。
【請求項5】
前記特定部が、さらに、前記第1及び第2の鳥瞰図をそれぞれホモグラフィ変換して得られる第1及び第2の変換図をマッチングすることにより、前記第1及び第2部分を特定する、
請求項2に記載の路面形状推定装置。
【請求項6】
前記特定部が、教師あり学習モデルによりマッチングを行い、
前記学習モデルの教師データが、路面の画像及びこれに対応する不明瞭な画像の組み合わせ、並びに互いに重複する領域の全画素が対応づけられている2つの画像の組み合わせの少なくとも1種を含む、
請求項2に記載の路面形状推定装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の画像が、前記路面を走行している車両に設置された撮影部により撮影された画像又は動画のフレームであり、
前記特定部が、少なくとも、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに異なる位置を有する前記路面の複数の部分について、前記第1及び第2部分を特定し、
前記推定部が、前記車両の走行方向に略垂直な方向に沿った凹凸形状を推定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の路面形状推定装置。
【請求項8】
前記特定部が、さらに、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する前記路面の複数の部分について、前記第1及び第2部分を特定し、
前記推定部が、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する前記路面の複数の部分について、前記算出した移動量の前記走行方向成分の平均値をさらに算出する、
請求項7に記載の路面形状推定装置。
【請求項9】
前記凹凸形状が、わだち掘れ、及びポットホールの少なくとも1種を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の路面形状推定装置。
【請求項10】
前記推定部が、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、前記推定した路面の凹凸形状の寸法をさらに算出する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の路面形状推定装置。
【請求項11】
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定することと、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定することを含む、
路面形状の推定方法。
【請求項12】
車両に設置された撮影部と、
前記撮影部が第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記撮影部が前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部と、
を備える、路面形状推定システム。
【請求項13】
コンピュータを、
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部;及び
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部
として機能させる、路面形状推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面3次元形状推定装置、路面3次元形状の推定方法、路面3次元形状推定システム、及び路面3次元形状推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の不具合を検出したり、適切な維持管理方法を開発したりすることを目的として、様々な検査項目及び方法が提案されている。路面の検査項目に関しては、国土交通省が、路面の補修の判断材料として、ひび割れ率、及びわだち掘れ深さを重要な指標に定めている。
【0003】
路面の3次元形状(以下、「路面形状」ともいう。)を推定する方法としては、例えば路面を走行する車両に加速度センサ等のセンサを設置して路面の縦断形状を推定する方法、レーザスキャナを搭載したMMS(Mobile Mapping System)により路面の凹凸形状を推定する方法、及び視点の異なる複数枚の画像から路面の凹凸形状を推定するStructure from motion(SfM)のような方法が考えられる。
【0004】
例えば特許文献1には、車両が接地する路面に対して垂直方向の加速度及びピッチ軸に関する角速度等に基づいて路面の縦断形状を推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-185276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、既存の路面形状推定方法において、種々の課題を見出した。例えば、SfMによる路面形状推定方法は、3次元モデル構築のための計算量が膨大であり、また高精度で路面形状を推定することが困難である。さらに、当該方法では多数の視点からの路面画像を必要とするため、路面形状推定に長期間を必要とする傾向にある。
【0007】
そこで、本発明は、簡便かつ高精度で路面の3次元形状を推定することができる路面形状推定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、第1の位置とは異なる第2の位置から路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、第1部分と第2部分との画像上の移動量を算出し、移動量に基づいて路面の凹凸形状を推定する推定部と、を備える路面形状推定装置を提供する。
【0009】
この態様によれば、路面に凹凸が存在する場合に鳥瞰図に変換した画像の一部が歪むことを利用し、異なる視点から撮影した1対の画像の鳥瞰変換による歪み具合を比較することで、2枚の画像のみから路面の凹凸形状を高精度に推定することができる。
【0010】
上記態様において、特定部が、第1の鳥瞰図と第2の鳥瞰図とをマッチングすることにより、第1及び第2部分を特定することが好ましい。特定部は、第1及び第2の鳥瞰図における特徴点をマッチングするか、又は第1及び第2の鳥瞰図の少なくとも一部の領域に含まれる全画素をマッチングしてよい。この態様によれば、多くの路面上の点について第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定することができ、路面形状推定の精度を高めることができる。
【0011】
上記態様において、特定部が、第1及び第2の鳥瞰図において指定された所定のサイズを有する複数の領域であって、領域の少なくとも一部分は隣接する領域と互いに重複している複数の領域のそれぞれについて、マッチングを行うと好ましい。
また、特定部が、さらに、第1及び第2の鳥瞰図をそれぞれホモグラフィ変換して得られる第1及び第2の変換図をマッチングすることにより、第1及び第2部分を特定することも好ましい。
また、特定部が、教師あり学習モデルによりマッチングを行い、学習モデルの教師データが、路面の画像及びこれに対応する不明瞭な画像の組み合わせ、並びに互いに重複する領域の全画素が対応づけられている2つの画像の組み合わせの少なくとも1種を含むことも好ましい。
これらの態様によれば、多くの路面上の点について第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定することができ、路面形状推定の精度を高めることができる。
【0012】
上記態様において、第1及び第2の画像が、路面を走行している車両に設置された撮影部により撮影された画像又は動画のフレームであり、特定部が、少なくとも、車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに異なる位置を有する路面の複数の部分について、第1及び第2部分を特定し、推定部が、車両の走行方向に略垂直な方向に沿った凹凸形状を推定してよい。この態様によれば、路面のわだち掘れ形状を好適に推定することができる。
【0013】
上記態様において、特定部が、さらに、車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する路面の複数の部分について、第1及び第2部分を特定し、推定部が、車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する路面の複数の部分について、算出した移動量の走行方向成分の平均値をさらに算出することが好ましい。この態様によれば、より精度高く、路面のわだち掘れ形状を推定することができる。
【0014】
上記態様において、凹凸形状は、わだち掘れ、及びポットホールの少なくとも1種を含んでいてよい。
【0015】
上記態様において、推定部が、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、推定した路面の凹凸形状の寸法をさらに算出してもよい。この態様によれば、推定した凹凸形状の実寸も推定することができる。
【0016】
本発明の別の一態様は、上記態様の路面形状推定装置を用いて路面形状を推定する方法、及びコンピュータを路面形状推定装置として機能させるプログラムを提供する。
【0017】
本発明のさらに別の一態様は、車両に設置された撮影部と、撮影部が第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と撮影部が第1の位置とは異なる第2の位置から路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、第1部分と第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて路面の凹凸形状を推定する推定部と、を備える、路面形状推定システムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、簡便かつ高精度で路面の3次元形状を推定することができる路面形状推定装置等を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る路面形状推定システムの概略図である。
図2】本実施形態に係る路面形状推定装置の機能ブロック図である。
図3】本実施形態に係る路面形状推定装置の物理的構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る路面形状推定システムにおける処理のフローチャートである。
図5】本実施形態に係る路面形状推定システムにおいて取得及び変換された画像の一例である。(a)第1の位置から撮影した第1の画像であり、(b)第2の位置から撮影した第2の画像であり、(c)第1の画像を鳥瞰変換した第1の鳥瞰図であり、(d)第2の画像を鳥瞰変換した第2の鳥瞰図である。(c)及び(d)において、矩形で囲まれた領域Sは第1の鳥瞰図及び第2の鳥瞰図において重複している領域を表す。(e)(c)及び(d)の領域Sに含まれた線状の構造物の影Pの画像上の位置を2次元座標で示したグラフである。
図6】本実施形態に係る路面形状推定装置の推定部における推定の概略図である。
図7】本実施形態に係る路面形状推定システムが路面のわだち掘れ形状を推定する処理のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る路面形状推定システムによりわだち掘れの形状を推定する際の出力の例を示すグラフである。(a)所定の領域に含まれる、第1部分及び第2部分が特定された複数の点について、画像上のx座標、及び第1部分から第2部分への移動量のy軸方向成分Δyをプロットしたグラフである。(b)(a)のグラフにおいてx座標が同じ各点のΔyの平均値を計算したグラフである。(c)(b)のグラフを連続化したグラフである。(d)(c)のグラフを平滑化したグラフである。(e)(d)のグラフをわだち掘れの深さに変換したグラフである。
図9】本実施形態に係る路面形状推定システムによる3次元形状の推定の一例を示す図である。(a)3次元形状を推定する際に複数の領域に分割して推定を行う例を示した図である。(b-c)本実施形態に係る路面形状推定システムにより推定された(b)わだち掘れ、及び(c)ポットホールの3次元形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0021】
[路面形状推定システム]
図1は、本実施形態に係る路面形状推定システム1の構成概要を示す図である。路面形状推定システム1は、車両30と、車両30に設置された撮影部20と、路面形状推定装置10と、を含む。路面形状推定システム1において、車両30上の撮影部20は、路面の動画又は写真を撮影する。路面形状推定装置10は、撮影部20が撮影した動画又は写真から1対の画像を1又は複数抽出し、当該1対の画像に基づいて路面の3次元形状を推定する。路面形状推定装置10は、1対の画像を鳥瞰図に変換し、当該1対の鳥瞰図を比較する。路面形状推定装置10は、路面に凹凸が存在する場合に鳥瞰図に変換した画像の一部が歪むことを利用し、異なる視点から撮影した1対の画像の鳥瞰変換による歪み具合を比較することで、路面の3次元形状を推定する。
【0022】
すなわち、路面形状推定システム1は、車両30に設置された撮影部20と、撮影部20が第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、撮影部20が第1の位置とは異なる第2の位置から路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定し、第1部分と第2部分との画像上の移動量を算出し、移動量に基づいて路面の凹凸形状を推定する路面形状推定装置10と、を備える。
【0023】
路面形状推定システム1において、路面形状推定装置10は、通信ネットワークNを介して撮影部20と接続される。ここで、通信ネットワークNは、有線又は無線の通信網であってよい。なお、路面形状推定装置10は、必ずしも撮影部20と独立した装置でなくてもよく、撮影部20と一体となって構成されるものであってもよい。その場合、撮影部20を含む情報処理端末にインストールされた路面推定プログラムが実行されることで、当該情報処理端末が路面形状推定装置10としても機能してよい。
【0024】
撮影部20は、映像又は画像を撮影できる構成であれば特に限定されない。撮影部20は、例えばカメラであってよく、スマートフォン及びタブレットのような汎用情報処理端末であってもよい。
【0025】
撮影部20は、車両30に固定して設置される。すなわち、車両30の移動に対応して移動する。路面形状推定装置10における推定においては、撮影部20が車両に必ずしも設置されている必要はないが、本明細書では、撮影部20が車両30に設置され、車両30の移動により撮影部20が移動する場合について説明する。なお、撮影部20が車両に設置されていない場合は、撮影部20は、路面からの高さを一定に保ったまま撮影部20を移動させることができる機構を有する保持具により保持されることが好ましい。これにより、路面形状推定装置10による推定の精度を高めることができる。
【0026】
撮影部20は、路面を撮影できる位置であれば車両30のどの部分に設置されてもよい。例えば、撮影部20は、車両30の走行方向前方又は後方に設定されてよく、車両30のダッシュボードの上、フロントガラス、及びバックミラー等に設置されて、走行方向前方の路面を撮影してよい。撮影部20は、車両30の走行方向前方又は後方の画像を取得してよい。第1の画像を撮影する第1の位置と、第2の画像を撮影する第2の位置と、撮影する路面とは、略同一直線にあってよい。
【0027】
撮影部20は、3次元形状を推定する対象としての路面を撮影し、当該路面の動画又は画像を取得する。撮影部20が画像を取得する場合は、路面内の同一箇所を画像範囲内に含む少なくとも2枚の画像を取得する。撮影部20が動画を取得する場合は、当該動画に、路面内の同一箇所を撮影範囲内に含む少なくとも2枚のフレームが含まれるように動画を取得する。本明細書では、特に言及しない限りにおいて、動画におけるフレームと、静止画像とを包含して、「画像」という。したがって、撮影部20は、撮影範囲が重複している1対の画像を取得する。すなわち、撮影部20が取得する1対の画像のそれぞれは、路面内の所定の範囲を含み、路面形状推定装置10は、当該1対の画像のいずれにも含まれている路面内の範囲の3次元形状を推定することができる。
【0028】
撮影部20は車両30に設置され、車両30を走行させながら撮影部20により路面を撮影する。これにより、第1の位置から路面を撮影した第1の画像と、第2の位置から路面を撮影した第2の画像が得られる。ここで、第1の位置及び第2の位置の路面からの高さは略等しい。車両30の走行速度と撮影部20の画像の取得間隔(動画を取得する場合はフレームレートであり、画像を取得する場合は連写速度である。)とを調整することにより、第1の画像及び第2の画像において重複する部分の範囲を任意に変更することができる。
【0029】
第1の画像を取得する第1の位置と、第2の画像を取得する第2の位置とは、例えば数メートル間隔であってよく、0.5~10メートル間隔、又は1~5メートル間隔であってよい。路面形状推定システム1は、全地球航法衛星システム(GNSS)に基づいて、車両30に設置された情報処理端末から車両30及び撮影部20の位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて、撮影部20が取得した複数の画像から適切な間隔で取得された1対の画像を選択してもよい。当該画像を選択する機能は、車両30に設置された情報処理端末が有してよく、路面形状推定装置10が有してもよい。当該車両30に設置された情報処理端末が、撮影部20として機能してもよい。
【0030】
車両30は、路面上を4輪のタイヤで走行する自動車であってよい。もっとも、車両30は、3輪や2輪のものであってもよいし、5輪以上のものであってもよい。車両30としては任意の大きさの自動車を用いてよい。
【0031】
(路面形状推定装置)
図2は、路面形状推定装置10の機能ブロック図である。路面形状推定装置10は、取得部11、変換部12、特定部13、及び推定部14を備える。なお、本実施形態では、路面形状推定装置10において、取得部11が撮影部20から画像を取得し、変換部12が当該画像を変換する態様を例にして説明するが、例えば、撮影部20の機能を有する情報処理端末が変換部12の機能を有していてもよい。この場合、路面形状推定装置10の取得部11は、撮影部20を含む情報処理端末が取得し、さらに鳥瞰変換した鳥瞰図を取得する。また、上述のように、撮影部20を含む情報処理端末が路面形状推定装置10としての機能を有する場合は、当該情報処理端末は、撮影部20、変換部12、特定部13、及び推定部14を含んでいればよい。
【0032】
取得部11は、撮影部20が路面を撮影することで取得された2枚以上の画像を取得する。取得部11は、後述の通信部10dにより実現されてよい。取得部11は、撮影部20が撮影した複数の画像のうち、全ての画像を取得してもよく、一部の画像のみを取得してもよい。
【0033】
取得部11は、撮影範囲が重複している1対の画像を少なくとも取得する。重複部分は、取得した1対の画像のそれぞれの20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、又は60%以上であってよく、90%以下、80%以下、又は70%以下であってよい。
【0034】
変換部12は、取得部11が取得した複数の画像を鳥瞰図に変換する。変換部12は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行される画像変換プログラムにより実現されてよい。変換部12は、取得部11が取得した複数の画像のうち、全ての画像を変換してもよいし、一部の画像のみを変換してもよい。
【0035】
撮影部20は、車両30に設置され、路面を撮影する。したがって、撮影部20により撮影され、取得部11により取得される画像は、路面に対して斜め上方から路面を写した画像となる。変換部12は、当該路面に対して斜め上方からの画像を、路面直上から路面を写したような画像に変換する。変換手段は特に限定されないが、具体例については後述する。変換部12は、少なくとも、撮影範囲が重複している1対の画像について、鳥瞰変換を行う。
【0036】
特定部13は、変換部12により変換された複数の鳥瞰図のうち、撮影範囲が重複している1対の鳥瞰図を比較して、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する。言い換えれば、特定部13は、第1の鳥瞰図の複数の部分又は点について、これに対応する第2の鳥瞰図における部分又は点を特定する。特定部13は、複数の第1部分と、それらにそれぞれ対応する複数の第2部分とを特定する。特定部13は、後述の入力部10eや、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。
【0037】
特定部13が特定する鳥瞰図における部分は、鳥瞰図中の1ピクセルからなる部分であってよく、複数のピクセルからなる部分であってよい。複数のピクセルは、例えば2~16ピクセルであってよい。また、特定部13は、路面の複数の部分について、第1部分と第2部分とを特定するが、当該複数の部分は、それぞれが隣接していてもよく、離れていてもよい。例えば、第1部分及び第2部分が特定される部分は、第1及び第2の鳥瞰図の特徴点であってよく、ユーザが指定した路面上の構造物や影等であってよい。
【0038】
特定部13による特定は、路面形状推定装置10のユーザにより実行されてもよく、1対の画像の対応箇所を特定するようにプログラムされたアルゴリズムにより実行されてもよい。ユーザが第1部分及び第2部分の特定を行う場合、ユーザは、第1の鳥瞰図と第2の鳥瞰図とを比較して、第1の鳥瞰図及び第2の鳥瞰図における、車線、マンホール、及び影のような、路面上の特徴部分を指定すればよい。アルゴリズムにより第1部分及び第2部分の特定を行う場合、画像のマッチング技術を用いることができる。具体例については後述する。
【0039】
推定部14は、特定部13が特定した複数の第1部分及び第2部分の組み合わせのそれぞれについて、第1部分から第2部分に対する画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて路面の凹凸形状を推定する。詳細は後述するが、路面に凹凸が存在する場合に当該路面の画像を鳥瞰変換すると、画像の取得位置及び路面の凹凸形状に応じて鳥瞰図に歪みが生じる。推定部14は、当該歪みを、第1部分から第2部分への画像上の移動量を算出することで定量化し、当該移動量に基づいて路面の凹凸形状を定量的に推定する。推定部14は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。
【0040】
推定部14は、路面の3次元形状を推定することができるが、必ずしも3次元形状を推定する必要はない。例えば、推定部14は、路面の所定方向の断面形状を推定してもよい。推定部14は、路面の横断形状、すなわち、路面の横断方向(車両が走行する方向に対して略垂直な方向)に対する路面の断面形状を推定してもよい。推定部14は、例えば、路面のわだち掘れ、及びポットホールの少なくとも1種を推定してよい。
【0041】
路面形状推定装置10は、推定部14により推定された路面の凹凸形状を適当な形式で出力してよい。例えば、路面形状推定装置10は、後述の表示部10fに推定結果を表示してもよく、通信部10dにより別の端末に推定結果を送信してもよい。推定結果は、3次元又は2次元のグラフであってよく、数値データであってもよい。
【0042】
図3は、路面形状推定装置10の物理的構成を示す図である。路面形状推定装置10は、プロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10b、及びROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では路面形状推定装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、路面形状推定装置10は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図3で示す構成は一例であり、路面形状推定装置10はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0043】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、撮影部20が取得した画像に基づいて路面の形状を推定するプログラム(路面形状推定プログラム)を実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
【0044】
RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行する路面形状推定プログラムを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよい。
【0045】
ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば画像編集プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0046】
通信部10dは、路面形状推定装置10を他の機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、インターネット等の通信ネットワークNに接続されてよい。
【0047】
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。
【0048】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、推定された路面形状を示すグラフを表示してよい。
【0049】
路面形状推定プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。路面形状推定装置10では、CPU10aが路面形状推定プログラムを実行することにより、図2を用いて説明した取得部11、変換部12、特定部13、及び推定部14の動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、路面形状推定装置10は、CPU10aとRAM10b及び/又はROM10cとが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0050】
(処理フロー)
<概要>
図4は、本実施形態の路面形状推定システム1における処理のフローチャートである。まず、路面形状推定システム1において、撮影部20は、第1の位置から路面を撮影した第1の画像と、第2の位置から路面を撮影した第2の画像とを取得する。撮影部20は、上記第1の画像及び第2の画像を、路面形状推定装置10に送信する(S10)。ここで、撮影部20は、さらに別の1又は複数の画像を取得し、路面形状推定装置10に送信してもよい。
【0051】
次いで、第1の画像及び第2の画像を取得した路面形状推定装置10は、変換部12において、当該第1の画像及び第2の画像を鳥瞰図に変換する(S11)。変換部12は、例えば以下の式にしたがって鳥瞰変換を行う。以下の式は、路面の斜め上方から撮影部20が取得した画像を、路面直上に設置された仮想カメラから取得される画像に変換する式である。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで、x及びyは、変換前の画像におけるピクセル位置であり、x’及びy’は、変換後の画像におけるピクセル位置である。また、f及びf’は、それぞれ撮影部20及び仮想カメラのピクセル換算での焦点距離であり、θは、撮影部20と路面とのなすであり、HVCは、仮想カメラの路面からの高さであり、DVCは、撮影部20と仮想カメラとの平行距離であり、HCは、撮影部20の路面からの高さである。仮想カメラにおける各種パラメータを調整することにより、鳥瞰図を校正することができる。より詳細には、S. Tanaka et al., International Journal of Vehicular Technology, Volume 2011, Article ID 279739 (2011).を参照することができる。
【0054】
変換部12において、仮想カメラにおける各種パラメータは、路面形状推定装置10のユーザにより設定されてもよく、路面形状推定装置10の製造者により設定されてもよい。あるいは、路面形状推定装置10が、仮想カメラにおける各種パラメータを調整しながら路面形状推定の精度を高めるように設計されたアルゴリズムにより自動で設定してもよい。あるいは、路面における車線やマンホールなどの形状が既知の部分が、変換後の鳥瞰図において当該既知の形状になるように、手動又は自動で各種パラメータを調整してもよい。
【0055】
図5は、本実施形態の路面形状推定システム1において、ステップS10で取得され、ステップS11で変換された1対の画像の例を示す図である。図5(a)及び(b)は、走行する車両に設置した撮影部が取得した画像である。図5(a)は、第1の位置から路面を撮影した画像であり、図5(b)は、第1の位置から撮影方向前方に数メートル前進した第2の位置から撮影した画像である。図5(c)及び(d)は、それぞれ図5(a)及び(b)の画像を鳥瞰変換した1対の鳥瞰図である。図5(c)及び(d)において、矩形で囲んだ領域Sが第1の鳥瞰図及び第2の鳥瞰図において重複している領域であり、路面形状推定装置10は、この領域Sの路面形状を推定することができる。
【0056】
図4に戻って、ステップS11に次いで、路面形状推定装置10の特定部13は、変換部12が変換した1対の鳥瞰図を比較して、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する(S12)。ここでは、ユーザが、車線、マンホール、及び影のような、路面上の特徴部分を指定し、特定部13が当該特徴部分の位置を特定する例を用いて説明する。
【0057】
ステップS12において、特定部13は、ユーザにより指定された路面上の特徴部分に対応する第1及び第2の鳥瞰図におけるピクセルと、その画像上の位置を特定する。特定部13は、第1の鳥瞰図における指定された特徴部分の各ピクセルについて、第2の鳥瞰図における指定された特徴部分の対応するピクセルを特定する。対応するピクセルは、画像上の所定の方向に関する位置が同じピクセルであってよく、上記特徴部分の特徴点であってもよい。
【0058】
図5に示す1対の画像の例では、例えば、ユーザが、図5(c)及び(d)の領域Sに含まれる線状の構造物の影Pを対応箇所として指定してよい。ユーザが線状の構造物の影Pを対応箇所として指定した後、特定部13は、当該影に対応するピクセルと、その画像上の位置を特定する。図5(e)は、図5(c)及び(d)における線状の構造物の影Pの画像上の位置を、画像の縦方向(y方向)及び横方向(x方向)に関して示した図である。特定部13は、例えば、第1の鳥瞰図中の線状の構造物の影Pの各ピクセルについて、同じx座標の値を有する第2の鳥瞰図中の線状の構造物の影Pのピクセルを対応付けてよい。あるいは第1の鳥瞰図中の線状の構造物の影Pの各特徴点(例えば、xy座標における極大点や極小点等)に対応するピクセルについて、第2の鳥瞰図中の線状の構造物の影Pの対応する特徴点に対応するピクセルを対応付けてよい。
【0059】
図4に戻って、ステップS12に次いで、路面形状推定装置10の推定部14は、特定部13が特定した第1及び第2の鳥瞰図において対応する各部分(各第1部分及び第2部分)について、第1部分から第2部分への画像上の移動量を算出する(S13)。移動量は、例えば画像のピクセル換算での移動量である。例えば、第1の鳥瞰図における第1部分のピクセル換算の座標と、第2の鳥瞰図における第2部分のピクセル換算の座標との差を計算することで、移動量を求めてよい。
【0060】
次いで、路面形状推定装置10の推定部14は、ステップS13で算出した各部分の上記移動量に基づいて路面の凹凸形状を推定する(S14)。ここで、鳥瞰図における長さと、路面の深さとの間には、図6に示すピンホールカメラモデルを仮定すると、下記式の関係が成立する。下記式において、P’(P1’、P2’)、及びP’’(P1’’、P2’’)は、それぞれ第2の鳥瞰図、及び第1の鳥瞰図の対応する点における画像上の位置であり、f、及びHVCは上記式(1)及び(2)と同義であり、lP1P2は、路面からの深さであり、d1、d2、α、及びβは、図6中に定義される長さ又は角度である。
【0061】
【数2】
【0062】
したがって、ステップS14において、推定部14は、以下の式にしたがって第1及び第2の鳥瞰図において対応部分を特定した各部分の、ピクセル換算での深さ方向の相対的な座標を推定してよい。下記式中、Δyは、ステップS13で算出した移動量における、車両の進行方向に平行な成分(すなわち、第1の位置から第2の位置に向かう方向の成分)であり、その他の変数は、上記式(3)と同義である。したがって、推定部14では、第1の画像を取得した第1の位置において撮影部20が路面を撮影する角度と、第2の画像を取得した第2の位置において撮影部20が路面を撮影する角度と、撮影部20の焦点距離と、事前に設定した仮想カメラの路面からの高さと、ステップS13で算出した移動量とに基づいて、路面の深さを推定することができる。あるいは、推定部14は、Δyの係数である式(4-A)で表される値を変数としてキャリブレーションを行うことで路面の深さを推定してもよい。具体的なキャリブレーション方法の例は、<凹凸形状の実寸の推定>の項で後述する。
【0063】
【数3】
【数4】
【0064】
上記式(4)に基づけば、推定部14は、特定部13が特定した各点について、ピクセル換算での深さ方向の相対的な座標、及び/又は路面の深さを推定できることがわかる。図5に示す例では、推定部14は、領域Sに含まれる線状の構造物の影Pが位置する部分の路面の凹凸形状を推定できる。特定部13が、路面の所定の範囲の複数の部分又は点について、第1の鳥瞰図中の部分又は点と第2の鳥瞰図中の部分又は点との対応を特定する場合は、当該範囲の3次元形状を推定することができる。
【0065】
<凹凸形状の実寸の推定>
以上の処理フローにより、本実施形態の路面形状推定システム1は、路面の凹凸形状を推定することができるが、路面形状推定システム1は、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、推定した凹凸形状の実寸をさらに推定してもよい。すなわち、路面形状推定システム1は、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、上記式(4-A)で表される値をキャリブレーションしてもよい。
【0066】
参照データは、例えば、寸法が既知の物体(例えば、厚さが既知の平板)を路面上に設置し、図4を参照しながら説明したような上記の推定を当該物体に適用することにより取得してよい。これにより、推定結果で得られたピクセル換算での長さと、実寸値での長さとを対応付けることができる。あるいは、SfMのような、既存の路面形状推定方法により得られた推定結果を参照データとしてもよい。
【0067】
<特定部の処理>
上述のした処理フローのステップS12において、特定部13は、1対の画像の対応箇所を特定するようにプログラムされたアルゴリズムにより実行されてもよい。例えば、特定部13は、第1の鳥瞰図と第2の鳥瞰図とをマッチングすることにより、路面の複数の部分について、当該部分に対応する第1の鳥瞰図における第1部分と第2の鳥瞰図における第2部分とを特定してもよい。当該マッチングは、適当な画像処理に関するアルゴリズムにより実行することができる。
【0068】
当該マッチングにおいて、特定部13は、第1及び第2の鳥瞰図における特徴点をマッチングしてもよく、第1及び第2の鳥瞰図の少なくとも一部の領域に含まれる全画素をマッチングしてもよい。第1及び第2の鳥瞰図における特徴点をマッチングする方法としては、例えば、特徴点検出、特徴量記述子の計算、及び特徴点のマッチングを含む方法であってよく、機械学習を用いたend-to-endでマッチングを行う方法であってよい。
【0069】
特徴点検出、特徴量記述子の計算、及び特徴点のマッチングを含むアルゴリズムとしては、例えばSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded Up Robust Features)、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)、及びHarris featuresが挙げられる。機械学習を用いたend-to-endでマッチングを行うアルゴリズムとしては、LoFTR(Local Feature TRansformer)、GMflow、及びml-aspanformer等が挙げられる。
【0070】
第1及び第2の鳥瞰図の少なくとも一部の領域に含まれる全画素をマッチングする方法としては、例えば、オプティカルフローに基づくマッチングが挙げられる。オプティカルフローのアルゴリズムとしては、例えばLucas-Kanad法、Horn-Schunck法、及びFarneback法が挙げられる。特定部13によるマッチングアルゴリズムとしては、LoFTRが好ましい。
【0071】
特定部13におけるマッチングの前又は後に、検出される特徴点を増やしたり、マッチング精度を高めたりするための前処理又は後処理をしてもよい。当該処理としては、画像の明るさ及びコントラストの調整、画像のトリミング、及びミスマッチの除去等が挙げられる。画像のトリミングとしては、例えば第1の鳥瞰図及び第2の鳥瞰図において対応部分を特定することを所望する範囲のみトリミングすることが挙げられる。ミスマッチの除去としては、特定部13によるマッチングの後に推定部14が第1部分及び第2部分の移動量を算出したときに、当該移動量の所定の成分が閾値以上である特徴点を除去することが挙げられる。
【0072】
また、特定部13は、1対の鳥瞰図に対して、一度にマッチングを行うのではなく、指定された所定のサイズを有する複数の領域に分割して、領域ごとにマッチングを行ってもよい。また、当該領域を、隣接する領域と互いに重複するように設定することで、各領域の境界付近の部分についても多くの特徴点をマッチングさせることできる。
【0073】
また、特定部13は、第1の鳥瞰図と第2の鳥瞰図とをマッチングすることにより特定される第1及び第2部分に加えて、その他の第1及び第2部分を特定するために、第1及び第2の鳥瞰図をそれぞれホモグラフィ変換して得られる第1及び第2の変換図をマッチングしてもよい。このように、第1及び第2の鳥瞰図をそれぞれホモグラフィ変換して得られる第1及び第2の変換図をマッチングすることで、変換前にはマッチングされなかった特徴点をマッチングすることができ、より多くの第1及び第2部分を特定することができる。そのようなホモグラフィ変換としては、例えば、拡大、縮小、移動、回転、及びスキュー等が挙げられる。
【0074】
また、特定部13において、LoFTR等の機械学習モデルによりマッチングが実行される場合、教師データに、路面の画像及びこれに対応する不明瞭な画像の組み合わせ、並びに互いに重複する領域の全画素が対応づけられている2つの画像の組み合わせの少なくとも1種含ませることで、より多くの第1及び第2部分を特定することができる。
【0075】
教師データが路面の画像及びこれに対応する不明瞭な画像の組み合わせを含むことにより、撮影部20が取得する画像にモーションブラー(ブレ)が生じている場合でも、精度高く第1及び第2部分の特定をすることができる。そのような教師データは、路面の(鮮明な)画像と、当該画像に対して意図的にモーションブラーを追加した画像との組み合わせを用意することにより得ればよい。
【0076】
教師データが互いに重複する領域の全画素が対応づけられている2つの画像の組み合わせを含むことにより、特定部13における特徴点のマッチングの精度をより高めることができる。そのような教師データは、まず重複する領域を含む1対の鳥瞰図に対して特徴点マッチングを行うことで複数の特徴点をマッチングし、これらの特徴点及びその他の画像を射影変換することで1対の鳥瞰図が重なり合うようにして、これにより重なり合った未だマッチングされていない点を対応する点としてマッチングすることにより得ればよい。
【0077】
<わだち掘れ形状の推定>
本実施形態の路面形状推定システム1は、特定部13が第1及び第2部分を特定した部分に、路面の車両が走行する方向に略垂直な方向(路面の横断方向)に関して異なる位置を有する複数の部分が含まれる場合、路面のわだち掘れ形状を推定することができる。
【0078】
図7は、本実施形態の路面形状推定システム1が路面のわだち掘れ形状を推定する処理のフローチャートである。ステップS10~S13は、図4にフローチャートを示す処理と同じであってよい。ただし、ステップS10において取得される画像は、路面を走行している車両30に設置された撮影部20により撮影された画像である。また、ステップS12において、特定部13は第1の鳥瞰図と第2の鳥瞰図とをマッチングすることで、1対の画像において重複する領域に、第1部分及び第2部分を多数特定することが好ましい。
【0079】
以下、路面の横断方向をx軸、路面の車両が走行する方向をy軸として説明する。
図8は、本実施形態に係る路面形状推定システムによりわだち掘れの形状を推定する際の出力の例を示すグラフである。図8(a)は、y軸方向に480ピクセルの幅を有する所定の領域に含まれる、第1部分及び第2部分が特定された複数の点について、画像上のx座標(路面の横断方向における位置)、及び第1部分から第2部分への移動量のy軸方向成分Δyをプロットしたグラフである。
【0080】
わだち掘れ形状の推定では、y軸方向の所定の範囲ではわだち掘れ形状が一定であると仮定して、図8(a)に示すように、第1又は第2の画像のy軸方向の所定の範囲に含まれる、第1部分及び第2部分が特定された複数の点を推定に用いる。ステップS20では、第1又は第2の画像のy軸方向の所定の範囲に含まれる、第1部分及び第2部分が特定された複数の点について、路面の横断方向に関して同じ位置を有する部分ごとに、ステップS13で算出した移動量の走行方向成分の平均値を算出する(S20)。図8に示す例では、図8(a)に示すx座標が同じ各点について、Δyの平均値を算出することで、図8(b)に示すグラフが得られる。
【0081】
ステップS20では離散的なデータが得られるため、次いで、離散データの連続化と、平滑化を行う(S21,S22)。平滑化は移動平均を計算することで実施すればよい。図8に示す例では、連続化及び平滑化をすることにより、それぞれ図8(c)及び(d)に示すグラフが得られる。
【0082】
路面の両端は、理想的にはわだち掘れ深さが0であるため、次いで、ステップS22で得られたグラフのベースラインを補正し、路面の両端のわだち掘れ深さが0になるようにする(S23)。ステップS22で得られたグラフの両端を結ぶ線分をわだち掘れがない路面と仮定し、グラフ上の各点と当該線分との距離を、ピクセル換算でのわだち掘れ深さと推定する。そのような補正は、以下の式を用いて実施することができる。下記式中、diは、点iにおけるわだち掘れ深さ(ピクセル換算)であり、xpi及びypiは、点iの変換前のxy座標であり、xpl及びyplは、最左端の点の変換前のxy座標であり、xpr及びyprは、点右端の点の変換前のxy座標であり、分子及び分母における演算は、それぞれ行列の行列式及びノルムである。
【0083】
【数5】
【0084】
図8に示す例では、ベースラインの補正をすることにより、図8(e)に示すグラフが、図8(a)に示した各部分を含む領域におけるわだち掘れ形状として得られる。<凹凸形状の実寸の推定>で詳述したように、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、さらにわだち掘れの実際の深さを推定してもよい。
【0085】
なお、上記の処理フローにおいて、ステップS21~S23のいずれかを省略してもよく、別の新たなステップを追加してもよい。
【0086】
<3次元形状の推定>
わだち掘れ形状の推定では、車両の進行方向に対して所定の範囲に含まれる、第1部分及び第2部分が特定された複数の点を推定に用いるが、当該範囲を複数に分割して複数回の推定を行うことで、高い精度で当該領域の3次元形状を推定することができる。すなわち、3次元形状の推定において、推定を行う領域を複数の領域に分割し、各領域について図7を参照して説明した路面の断面形状の推定を行い、推定結果を再結合することで、推定の精度を高めることができる。領域の分割方向は特に限定されず、第1の位置から第2の位置に向かう方向であってよく、当該方向に略垂直な方向であってよい。
【0087】
図9は路面形状推定システム1による3次元形状の推定を示す図である。図9(a)のように、3次元形状を推定する領域を複数の領域に分割し、各領域について図7を参照して説明した路面の断面形状の推定を行い、推定結果を再結合することで、図9(b)に示すように、路面の3次元形状を精度高く推定することができる。また、当該方法によれば、図9(c)に示すように、路面のポットホールの形状を推定することもできる。
【0088】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0089】
[付記]
本発明は、以下の実施形態を含む。
[1]
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部と、
を備える、路面形状推定装置。
[2]
前記特定部が、前記第1の鳥瞰図と前記第2の鳥瞰図とをマッチングすることにより、前記第1及び第2部分を特定する、
[1]に記載の路面形状推定装置。
[3]
前記特定部が、前記第1及び第2の鳥瞰図における特徴点をマッチングするか、又は前記第1及び第2の鳥瞰図の少なくとも一部の領域に含まれる全画素をマッチングすることにより特定を行う、
[2]に記載の路面形状推定装置。
[4]
前記特定部が、前記第1及び第2の鳥瞰図において指定された所定のサイズを有する複数の領域であって、前記領域の少なくとも一部分は隣接する領域と互いに重複している複数の領域のそれぞれについて、マッチングを行う、
[2]又は[3]に記載の路面形状推定装置。
[5]
前記特定部が、さらに、前記第1及び第2の鳥瞰図をそれぞれホモグラフィ変換して得られる第1及び第2の変換図をマッチングすることにより、前記第1及び第2部分を特定する、
[2]~[4]のいずれか1つに記載の路面形状推定装置。
[6]
前記特定部が、教師あり学習モデルによりマッチングを行い、
前記学習モデルの教師データが、路面の画像及びこれに対応する不明瞭な画像の組み合わせ、並びに互いに重複する領域の全画素が対応づけられている2つの画像の組み合わせの少なくとも1種を含む、
[2]~[5]のいずれか1つに記載の路面形状推定装置。
[7]
前記第1及び第2の画像が、前記路面を走行している車両に設置された撮影部により撮影された画像又は動画のフレームであり、
前記特定部が、少なくとも、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに異なる位置を有する前記路面の複数の部分について、前記第1及び第2部分を特定し、
前記推定部が、前記車両の走行方向に略垂直な方向に沿った凹凸形状を推定する、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の路面形状推定装置。
[8]
前記特定部が、さらに、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する前記路面の複数の部分について、前記第1及び第2部分を特定し、
前記推定部が、前記車両の走行方向に略垂直な方向に関して互いに同じ位置を有する前記路面の複数の部分について、前記算出した移動量の前記走行方向成分の平均値をさらに算出する、
[7]に記載の路面形状推定装置。
[9]
前記凹凸形状が、わだち掘れ、及びポットホールの少なくとも1種を含む、
[1]~[8]のいずれか1つに記載の路面形状推定装置。
[10]
前記推定部が、寸法が既知の凹凸形状を有する路面又は物体についての推定結果を参照データとして、前記推定した路面の凹凸形状の寸法をさらに算出する、
[1]~[9]のいずれか1つに記載の路面形状推定装置。
[11]
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定することと、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定することを含む、
路面形状の推定方法。
[12]
車両に設置された撮影部と、
前記撮影部が第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記撮影部が前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部と、
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部と、
を備える、路面形状推定システム。
[13]
コンピュータを、
第1の位置から路面を撮影した第1の画像を鳥瞰図に変換した第1の鳥瞰図と、前記第1の位置とは異なる第2の位置から前記路面を撮影した第2の画像を鳥瞰図に変換した第2の鳥瞰図とを比較して、前記路面の複数の部分について、当該部分に対応する前記第1の鳥瞰図における第1部分と前記第2の鳥瞰図における第2部分とを特定する特定部;及び
前記第1部分と前記第2部分との画像上の移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記路面の凹凸形状を推定する推定部
として機能させる、路面形状推定プログラム。
【符号の説明】
【0090】
1…路面形状推定システム、10…路面形状推定装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…取得部、12…変換部、13…特定部、14…推定部、20…撮影部、30…車両、N…通信ネットワーク、S…領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9