(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165122
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】定温液体供給装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20241121BHJP
B23Q 11/14 20060101ALI20241121BHJP
B24B 49/08 20060101ALI20241121BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q11/14
B24B49/08
B24B55/02 B
H01L21/304 622R
H01L21/304 622E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081005
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 正臣
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
5F057
【Fターム(参考)】
3C011EE08
3C011EE09
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB94
3C034CA19
3C034CB13
3C034DD10
3C047FF04
3C047GG00
5F057AA48
5F057AA53
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB12
5F057BC03
5F057BC06
5F057BC10
5F057CA14
5F057CA25
5F057DA08
5F057DA11
5F057DA14
5F057DA38
5F057FA13
5F057FA32
5F057FA33
5F057FA34
5F057FA37
5F057FA42
5F057GA07
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制することができる定温液体供給装置を提供すること。
【解決手段】定温液体供給装置1は、入口4と加工装置100に出口5との間で液体8を循環させる循環経路10と、入口4からの液体8を収容するタンク11と、タンク11の液体8を送出するポンプ13と、液体8の温度を調整する温度調整ユニット15と、液体8の流量を測定する流出量測定部30と、液体8を循環経路10へ循環させるかを制御するソレノイドバルブ17と、コントローラ40とを備え、コントローラ40は、流出量測定部30で測定する流量がゼロであると、加工装置100に液体8を供給する通常モードからソレノイドバルブ17を制御することで液体8を循環経路10で循環させる待機モードへ切り替える第1判定部42を有し、待機モードでは、ポンプ13の送出量を通常モードよりも少なくして、ポンプ13の消費電力を下げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置であって、
該液体供給源からの液体を流入させる入口と、
該加工装置に液体を流出させる出口と、
該入口と該出口との間で液体を循環させる循環経路と、
該循環経路に配設され、該入口から流入する液体を収容するタンクと、
該循環経路において該タンクに隣接して配設され、該タンクの液体を送出するポンプと、
該循環経路に配設され、液体の温度を調整する温度調整ユニットと、
該出口から液体が流出する流出量を測定する流出量測定部と、
該循環経路に配設され、液体を該循環経路へ循環させるかを制御する開閉弁と、
少なくとも該ポンプと該温度調整ユニットとを制御するコントローラと、を備え、
該コントローラは、
該流出量測定部で測定する流出量がゼロであると判定した際、該加工装置に液体を供給する通常モードから、該開閉弁を制御することで液体を該循環経路で循環させる待機モードへ切り替えることを判定する第1判定部を有し、
該待機モードでは、該ポンプの送出量を該通常モードよりも少なくして、該ポンプの消費電力を下げることを特徴とする定温液体供給装置。
【請求項2】
該コントローラは、
該待機モードでは、該温度調整ユニットの稼動を停止することで、該温度調整ユニットの消費電力を下げることを特徴とする請求項1に記載の定温液体供給装置。
【請求項3】
該コントローラは、タイマーを有し、
該第1判定部は、該流出量測定部で測定する流出量がゼロである継続時間を該タイマーによって測定して該継続時間があらかじめ定められた所定の時間を超えた際、流出量がゼロであると判定して該通常モードから該待機モードへ切り替えることを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定温液体供給装置。
【請求項4】
該温度調整ユニットの下流に配設され、液体の温度を測定する温度計をさらに備え、
該コントローラは、
該待機モード中に、該温度計で測定した温度があらかじめ定められた所定の閾値を超えた際、該ポンプの送出量を該通常モードの送出量とし、該温度調整ユニットを稼働することを判定する第2判定部を有することを特徴とする請求項2に記載の定温液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に研削装置や切削装置等の加工装置では、加工水やスピンドルの冷却水等の水温が一定温度に管理されている。一定温度の加工水や冷却水の供給によって、機械部品の熱膨張及び熱収縮による加工精度の悪化や、スピンドルのかじり等のように部品同士の接触によって装置自体を損傷させることを防止している。
【0003】
従来、加工装置に供給される水を一定温度に保つ定温水供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1等に示された定温水供給装置は、工場設備等から供給される水をタンクに貯水し、タンク内の水をポンプで加工装置に送水する流路の途中で温度調整手段によって一定温度に調整して加工装置に水を供給する。また、加工装置側で必要な水の量を適切に供給するため、定温水供給装置の流路を内部で循環できるように配管しておき、循環配管内の水を一定温度に調整する。そして、加工装置側で必要な水の量を循環配管から供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に示された定温水供給装置は、加工装置が使用されていない時間においてもいつでも一定温度の水が供給できるように、循環配管内の水を一定温度に保ちつつ循環し続けている。このため、特許文献1等に示された定温水供給装置は、ポンプや温度調整手段の稼動によって定温水供給装置の消費電力が高くなるという問題がある。
【0007】
そのため、水を定温に調整して加工装置へ供給する定温水供給装置において、加工装置の稼動が停止している際には、定温水供給装置の消費電力を抑えるべきという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、消費電力を抑制することができる定温液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の定温液体供給装置は、液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置であって、該液体供給源からの液体を流入させる入口と、該加工装置に液体を流出させる出口と、該入口と該出口との間で液体を循環させる循環経路と、該循環経路に配設され、該入口から流入する液体を収容するタンクと、該循環経路において該タンクに隣接して配設され、該タンクの液体を送出するポンプと、該循環経路に配設され、液体の温度を調整する温度調整ユニットと、該出口から液体が流出する流出量を測定する流出量測定部と、該循環経路に配設され、液体を該循環経路へ循環させるかを制御する開閉弁と、少なくとも該ポンプと該温度調整ユニットとを制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、該流出量測定部で測定する流出量がゼロであると判定した際、該加工装置に液体を供給する通常モードから、該開閉弁を制御することで液体を該循環経路で循環させる待機モードへ切り替えることを判定する第1判定部を有し、該待機モードでは、該ポンプの送出量を該通常モードよりも少なくして、該ポンプの消費電力を下げることを特徴とする。
【0010】
前記定温液体供給装置において、該コントローラは、該待機モードでは、該温度調整ユニットの稼動を停止することで、該温度調整ユニットの消費電力を下げても良い。
【0011】
前記定温液体供給装置において、該コントローラは、タイマーを有し、該第1判定部は、該流出量測定部で測定する流出量がゼロである継続時間を該タイマーによって測定して該継続時間があらかじめ定められた所定の時間を超えた際、流出量がゼロであると判定して該通常モードから該待機モードへ切り替えることを判定しても良い。
【0012】
前記定温液体供給装置において、該温度調整ユニットの下流に配設され、液体の温度を測定する温度計をさらに備え、該コントローラは、該待機モード中に、該温度計で測定した温度があらかじめ定められた所定の閾値を超えた際、該ポンプの送出量を該通常モードの送出量とし、該温度調整ユニットを稼働することを判定する第2判定部を有しても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、消費電力を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る定温液体供給装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された定温液体供給装置が用いられる加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された定温液体供給装置が待機モードである場合を模式的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが通常モード時に繰り返し実行するフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが待機モード時に繰り返し実行するフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図1に示された定温液体供給装置が変形例の加工装置に液体を供給する時の液体の流れを模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る定温液体供給装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る定温液体供給装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
図2は、
図1に示された定温液体供給装置が用いられる加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図1に示された定温液体供給装置が待機モードである場合を模式的に示すブロック図である。
【0017】
(加工装置)
実施形態1に係る
図1に示す定温液体供給装置1は、定温の液体8を
図2に示す加工装置100へ供給する装置である。なお、定温液体供給装置1が供給する定温の液体8は、
図2に示す加工装置100が被加工物を加工する際に、被加工物等に供給する液体8であって、実施形態1では、純水であり、スピンドル等の冷却に用いられるものではない。なお、本発明では、液体8は、市水でも良い。また、定温の液体8とは、温度が、所定の下限温度以上でかつ所定の上限温度(下限温度よりも高い温度)以下の液体8をいう。
【0018】
図2に示された加工装置100は、被加工物を研削加工(加工に相当)する研削装置である。
図2に示された加工装置100の加工対象である被加工物は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。被加工物は、基板の表面に格子状に設定された分割予定ラインによって区画された各領域に図示しないデバイスが形成されている。
【0019】
デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(記憶装置)である。
【0020】
また、実施形態1において、被加工物は、加工装置100により表面の裏側の裏面が研削加工されて、所定の仕上げ厚みまで薄化された後、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割される。
【0021】
加工装置100は、
図2に示すように、装置基台101と、ターンテーブル104と、ターンテーブル104上に設置された複数(実施形態1では3つ)の保持テーブル105と、粗研削ユニット110と、仕上げ研削ユニット120と、研削送りユニット130と、カセット107と、支持ユニットである位置合わせユニット140と、搬送ユニット150と、洗浄ユニット160と、制御ユニット170とを備えている。
【0022】
ターンテーブル104は、装置基台101の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内でZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行な方向である。このターンテーブル104上には、例えば3つの保持テーブル105が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。
【0023】
これら3つの保持テーブル105は、
図2に示すように、円板状に形成され、上面がポーラスセラミックス等の多孔質材で構成された保持面106である。保持テーブル105は、保持面106が図示しない吸引源と接続した真空チャックを備えた真空チャックテーブル構造のものであり、被加工物の表面側が保持面106上に載置されて、保持面106が吸引源により吸引されることで、被加工物を保持面106に吸引保持する。
【0024】
また、保持テーブル105は、研削加工時には、図示しない回転機構によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転駆動される。保持テーブル105は、ターンテーブル104の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順次移動される。
【0025】
なお、搬入出領域301は、保持テーブル105に被加工物を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット110で保持テーブル105に保持された被加工物を粗研削加工(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット120で保持テーブル105に保持された被加工物を仕上げ研削加工(研削に相当)する領域である。
【0026】
粗研削ユニット110は、保持テーブル105が保持する被加工物の上方に露出した裏面を粗研削加工する粗研削用の研削砥石を環状に配設した粗研削用の研削ホイール111(加工具に相当)を装着して、粗研削領域302の保持テーブル105の保持面106に保持された被加工物の裏面を粗研削加工する加工ユニットである。仕上げ研削ユニット120は、保持テーブル105が保持する被加工物の裏面を仕上げ研削加工する仕上げ研削用の研削砥石を環状に配設した仕上げ研削用の研削ホイール121(加工具に相当)を装着して、仕上げ研削領域303の保持テーブル105の保持面106に保持された被加工物の裏面を仕上げ研削加工する加工ユニットである。
【0027】
研削ユニット110,120は、研削ホイール111,121をモータ113,123によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンドルの下端(先端に相当)に装着し、研削ホイール111,121の研削砥石を保持テーブル105の保持面106に対向配置する。研削ユニット110,120は、モータ113,123によりスピンドル及び研削ホイール111,121が軸心回りに回転されるとともに定温液体供給装置1から供給される液体8を研削領域302,303の保持テーブル105に保持された被加工物の裏面に供給しながら研削送りユニット130により研削ホイール111,121の研削砥石が保持テーブル105に所定の送り速度で近づけられることによって、被加工物の裏面を粗研削加工又は仕上げ研削加工する。
【0028】
研削送りユニット130は、研削ユニット110,120をZ軸方向に移動させて、研削ユニット110,120と保持テーブル105とを相対的に接近および離間させるものである。実施形態1において、研削送りユニット130は、装置基台101の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設柱102に設けられている。研削送りユニット130は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット110,120のスピンドルハウジング115,125をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0029】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット110及び仕上げ研削ユニット120は、研削ホイール111,121の回転中心である軸心と、保持テーブル105の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石が保持テーブル105に保持された被加工物の裏面の中心上を通る。
【0030】
カセット107は、複数のスロットを有して、被加工物を複数収容するための収容容器である。カセット107は、研削加工前後の被加工物を複数枚収容する。実施形態1では、カセット107は、一対設けられ、それぞれカセット載置台108に設置される。位置合わせユニット140は、カセット107から取り出された被加工物が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0031】
搬送ユニット150は、被加工物を搬送するものである。搬送ユニット150は、搬入ユニット151と、搬出ユニット152と、搬入出ユニット153とを備える。
【0032】
搬入ユニット151は、被加工物を吸着する吸着パッドを先端部に有し、基端部を中心として装置基台101に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬入ユニット151は、位置合わせユニット140で位置合わせされた研削加工前の被加工物を吸着パッドに吸着保持して搬入出領域301に位置する保持テーブル105上に搬入する。
【0033】
搬出ユニット152は、被加工物を吸着する吸着パッドを先端部に有し、基端部を中心として装置基台101に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬出ユニット152は、搬入出領域301に位置する保持テーブル105上の研削加工後の被加工物を吸着パッドに吸着保持して洗浄ユニット160に搬出する。
【0034】
搬入出ユニット153は、研削加工前の被加工物をカセット107から取り出して、位置合わせユニット140に搬送するとともに、研削加工後の被加工物を洗浄ユニット160から取り出して、カセット107に搬送する。搬入出ユニット153は、例えばU字型ハンドを備えるロボットピックであり、U字型ハンドによって被加工物を吸着保持して搬送する。
【0035】
洗浄ユニット160は、研削加工後の被加工物を洗浄し、研削された裏面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0036】
制御ユニット170は、加工装置100を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット170は、少なくとも保持テーブル105と研削ユニット110,120の動作を制御して、被加工物に対する加工動作を加工装置100に実行させるものである。制御ユニット170は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0037】
制御ユニット170の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置100を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置100の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット170は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット及びオペレータに報知する報知ユニットと接続されている。
【0038】
入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光とタッチパネル上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0039】
また、実施形態1において、加工装置100は、定温液体供給装置1から液体8が供給される供給口に設けられた開閉バルブ103を備えている。加工装置100は、被加工物を研削加工する際に、開閉バルブ103が開いて、定温液体供給装置1から液体8が供給され、供給された液体8を研削加工中に研削領域302,303の保持テーブル105に保持された被加工物の裏面に供給する。また、加工装置100は、被加工物の研削加工の停止時に、開閉バルブ103が閉じて、定温液体供給装置1からの液体8の供給が停止される。
【0040】
実施形態1において、加工装置100は、オペレータにより裏面を上向きにして被加工物を収容したカセット107が装置基台101のカセット載置台108に設置され、加工条件が制御ユニット170に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット170が受け付けると、加工動作を開始する。加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が、各研削ユニット110,120のスピンドルを加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、搬入出ユニット153にカセット107のいずれかから被加工物を1枚取り出させて、位置合わせユニット140へ搬入させて、位置合わせユニット140に被加工物の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット151に搬入出領域301に位置する保持テーブル105の保持面106に被加工物を支持して搬送させる。
【0041】
加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が被加工物を搬入出領域301の保持テーブル105の保持面106に吸引保持させ、ターンテーブル104を回転して、搬入出領域301で被加工物を保持した保持テーブル105を粗研削領域302と仕上げ研削領域303に順に移動して、保持テーブル105を軸心回りに回転しながら液体8を供給して粗研削ユニット110と仕上げ研削ユニット120により順に被加工物を研削加工する。加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が被加工物を粗研削加工した後、ターンテーブル104を回転して、仕上げ研削加工後の被加工物を保持した保持テーブル105を搬入出領域301に移動させて、搬出ユニット152に仕上げ研削加工後の被加工物を搬入出領域301の保持テーブル105から洗浄ユニット160に搬送して、洗浄ユニット160で洗浄した後、搬入出ユニット153にカセット107に収容させる。
【0042】
加工動作において、加工装置100は、制御ユニット170がターンテーブル104を120度回転する度に、仕上げ研削加工後の被加工物を保持している搬入出領域301の保持テーブル105から被加工物を洗浄ユニット160に搬送し、仕上げ研削加工後の被加工物を保持していない搬入出領域301の保持テーブル105に研削加工前の被加工物を搬入し、粗研削領域302の保持テーブル105に保持された研削加工前の被加工物を粗研削加工し、仕上げ研削領域303の保持テーブル105に保持された粗研削加工後の被加工物を粗研削加工する。こうして、加工装置100は、制御ユニット170がターンテーブル104を120度回転する度に搬入出領域301の保持テーブル105に被加工物を搬出、搬入し、保持テーブル105の保持面106に保持した被加工物を粗研削領域302及び仕上げ研削領域303に順に位置付けて、粗研削加工及び仕上げ研削加工を順に施す。加工装置100は、制御ユニット170がカセット107内の全ての被加工物に粗研削加工、仕上げ研削加工を施すと、加工動作を終了する。
【0043】
(定温液体供給装置)
次に、定温液体供給装置1を説明する。
図4は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが通常モード時に繰り返し実行するフローチャートである。
図5は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが待機モード時に繰り返し実行するフローチャートである。
図6は、
図1に示された定温液体供給装置が変形例の加工装置に液体を供給する時の液体の流れを模式的に示すブロック図である。
【0044】
定温液体供給装置1は、
図1に示す液体供給源2からの液体8の温度を前述した定温に調整して、加工装置100へ供給する装置である。定温液体供給装置1は、
図1に示すように、筐体3と、筐体3に設けられた入口4と、筐体3に設けられた出口5と、筐体3内に収容された循環経路10と、筐体3内に収容された送出経路20と、流出量測定部30と、コントローラ40とを備えている。
【0045】
入口4は、液体供給源2からの液体8を流入させるものである。出口5は、加工装置100に液体8を流出させるものである。出口5は、加工装置100の開閉バルブ103と配管6により接続されている。また、実施形態1では、出口5には、開閉弁である出口用ソレノイドバルブ7が設けられている。出口用ソレノイドバルブ7は、開くと、液体8を加工装置100に流出し、閉じると、液体8を加工装置100に流出することを規制する。
【0046】
循環経路10は、入口4と出口5との間で、液体8を循環させるものである。循環経路10は、タンク11と、供給路12と、ポンプ13と、循環路14と、温度調整ユニット15と、温度計16とを備えている。タンク11は、循環経路10に配設され、入口4から流入する液体8を収容するものである。タンク11は、入口4と接続され、入口4を介して液体供給源2から液体8が供給される。タンク11は、液体供給源2から供給された液体8を一旦貯留する。
【0047】
供給路12は、一端がタンク11に接続されており、タンク11内の液体8が供給される。ポンプ13は、循環経路10においてタンク11に隣接して配設され、タンク11内の液体8を供給路12に送出するものである。実施形態1では、ポンプ13は、60Hzで駆動することで、供給路12に第1の流量(実施形態1では、25L/min)で液体8を送出し、30Hzで駆動することで、供給路12に第2の流量(第1の流量よりも少なく、実施形態1では、12.5L/min)で液体8を送出する。
【0048】
循環路14は、一端が供給路12の他端に接続し、中央で2本の分岐路141,142に分岐し、それぞれの分岐路141,142がタンク11に接続して、供給路12内の液体8をタンク11に戻すものである。
【0049】
また、循環経路10は、開閉弁であるソレノイドバルブ17と、リリーフバルブ18と、第2流出量測定部19とを備えている。ソレノイドバルブ17は、循環経路10に配設され、液体8を循環経路10へ循環させるかを制御するものである。実施形態1において、ソレノイドバルブ17は、2本の分岐路141,142のうち一方の分岐路141に設けられ、開くと一方の分岐路141を介して供給路12からの液体8がタンク11に戻ることを許容するとともに、閉じると一方の分岐路141を介して供給路12からの液体8がタンク11に戻ることを規制する。
【0050】
ソレノイドバルブ17は、一方の分岐路141内を開いて供給路12からの液体8を一方の分岐路141を介してタンク11に戻すことにより、循環経路10の供給路12と循環路14とでタンク11内の液体8を循環させる。ソレノイドバルブ17は、一方の分岐路141内を閉じて供給路12からの液体8を一方の分岐路141を介してタンク11に戻すことを規制し、循環経路10の供給路12と循環路14とでタンク11内の液体8を循環させることを規制する。このように、ソレノイドバルブ17は、一方の分岐路141内を開閉することで、液体8を循環経路10へ循環させるかを制御する。
【0051】
リリーフバルブ18は、2本の分岐路141,142のうち他方の分岐路142に配設され、他方の分岐路142内の液体8が設定圧以上になると、他方の分岐路142を開いて他方の分岐路142を介して供給路12からの液体8がタンク11に戻ることを許容する。リリーフバルブ18は、他方の分岐路142内の液体8が設定圧未満であると、閉じて、他方の分岐路142を介して供給路12からの液体8がタンク11に戻ることを規制する。第2流出量測定部19は、他方の分岐路142内を流れる液体8の流量を測定し、測定結果をコントローラ40に出力する。
【0052】
温度調整ユニット15は、循環経路10に配設され、液体8の温度を調整するものである。実施形態1において、温度調整ユニット15は、循環経路10の供給路12に配設され、供給路12内を流れる液体8の温度を調整するものである。温度調整ユニット15は、冷却手段154と、加温手段155とを備える。冷却手段154は、駆動することで、供給路12内を流れる液体8を冷却するとともに、停止することで供給路12内を流れる液体8を冷却しない。実施形態1では、冷却手段154は、冷凍機であり、最大能力が6.2kWである。加温手段155は、駆動することで、供給路12内を流れる液体8を加熱するとともに、停止することで供給路12内を流れる液体8を加熱しない。実施形態1では、加温手段155は、ヒーターであり、最大能力が12kWである。温度調整ユニット15は、冷却手段154が供給路12内を流れる液体8を冷却し、加温手段155が供給路12内を流れる液体8を加熱することで、供給路12内を流れる液体8の温度を前述した定温に調整する。
【0053】
温度計16は、循環経路10に配設され、液体8の温度を測定し、測定結果をコントローラ40に出力するものである。実施形態1において、温度計16は、循環経路10の供給路12の温度調整ユニット15よりも供給路12内を液体8が流れる方向の下流に配設され、供給路12内を流れる液体8の温度を測定し、測定結果をコントローラ40に出力するものである。
【0054】
送出経路20は、一端が循環経路10の供給路12の他端に接続し、他端が出口5に接続して、出口5を通して液体8を加工装置100に送出するものである。流出量測定部30は、出口5から液体8が流出する流出量である流量を測定するものである。実施形態1において、流出量測定部30は、送出経路20に設けられ、送出経路20内を流れる液体8の流量を測定することで、出口5から加工装置100に流出する液体8の流量を測定し、測定結果をコントローラ40に出力する。
【0055】
コントローラ40は、定温液体供給装置1を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、コントローラ40は、少なくともポンプ13と温度調整ユニット15とソレノイドバルブ17の動作を制御して、液体8の加工装置100への供給動作を定温液体供給装置1に実行させるものである。
【0056】
コントローラ40は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。コントローラ40の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、定温液体供給装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して定温液体供給装置1の上述した構成要素に出力する。
【0057】
また、コントローラ40は、
図1に示すように、タイマー41と、第1判定部42と、第2判定部43とを備える。タイマー41は、時間を計測するものである。第1判定部42は、流出量測定部30で測定する流量がゼロであると判定した際、加工装置100に液体8を供給する通常モードから、ソレノイドバルブ17を制御することで液体8を循環経路10で循環させる待機モードへ切り替えることを判定するものである。
【0058】
なお、通常モードとは、コントローラ40が、出口用ソレノイドバルブ7で出口5を開き、ポンプ13を駆動してタンク11から液体8を第1の流量で供給路12に送出し、温度計16の測定結果に応じて温度調整ユニット15を駆動させて供給路12内を流れる液体8の温度を前述した定温に調整するとともに、ソレノイドバルブ17で一方の分岐路141内を閉じて、液体8を供給路12から送出経路20及び出口5を通して加工装置100に液体8を供給する定温液体供給装置1の動作モードである。
【0059】
なお、このとき、加工装置100は、前述した開閉バルブ103を開いている。なお、実施形態1では、通常モードでは、定温液体供給装置1は、ポンプ13が第1の流量として25L/minで液体8を供給路12に送出し、加工装置100が25L/minで液体8を使用するために、
図1に太線の矢印で示すように、液体8が液体供給源2、タンク11、供給路12、加工装置100に順に供給される。
【0060】
待機モードとは、ソレノイドバルブ17を開き、ポンプ13を制御してポンプ13の液体8の送出量を通常モードの第1の流量よりも少ない第2の流量とし、温度調整ユニット15の稼動を停止することで、ポンプ13及び温度調整ユニット15の消費電力を通常モードよりも下げて、液体8を供給路12から循環路14の一方の分岐路141を介してタンク11に戻す定温液体供給装置1の動作モードである。
【0061】
なお、このとき、加工装置100は、前述した開閉バルブ103を閉じている。なお、実施形態1では、待機モードでは、定温液体供給装置1は、液体8を
図3に太線の矢印で示すように、タンク11、供給路12、循環路14の一方の分岐路141に順に循環し、循環経路10内で循環させる。
【0062】
また、実施形態1において、第1判定部42は、流出量測定部30で測定する流量がゼロである継続時間をタイマーによって測定して継続時間があらかじめ定められた所定の時間を超えた際、流量がゼロであると判定して、通常モードから待機モードへ切り替えることを判定する。
【0063】
第2判定部43は、待機モード中に、温度計16で測定した液体8の温度があらかじめ定められた所定の閾値を超えた際、ポンプ13の送出量を通常モードの送出量とし、温度調整ユニット15を稼働することを判定するものである。なお、所定の閾値とは、液体8の温度が所定の下限温度以上でかつ下限温度よりも高い上限温度以下であることをいい、所定の閾値を超えたとは、液体8の温度が所定の下限温度未満又は上限温度を超えたことをいう。実施形態1では、液体8の定温が25℃であり、所定の閾値の下限温度が、20℃であり、所定の閾値の上限温度が、30℃である。なお、所定の閾値の下限温度は、前述した定温の液体8の下限温度と同じでも異なっていても良く、所定の閾値の上限温度は、前述した定温の液体8の上限温度と同じでも異なっていても良い。
【0064】
なお、タイマー41、第1判定部42及び第2判定部43の機能は、コントローラ40の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現されても良く、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサー、又は並列プログラム化したプロセッサー等の専用の処理回路(ハードウェア)により実現されても良い。
【0065】
(定温液体供給装置の液体の供給動作)
次に、実施形態1に係る定温液体供給装置1の液体8の供給動作を説明する。
図4は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが通常モードにおいて繰り返し実行するフローチャートである。
図5は、
図1に示された定温液体供給装置のコントローラが待機モードにおいて繰り返し実行するフローチャートである。
【0066】
定温液体供給装置1は、出口用ソレノイドバルブ7を開き、ソレノイドバルブ17を閉じるとともに、ポンプ13及び温度調整ユニット15を駆動して、
図1に示すように、液体供給源2から供給された液体8を第1の流量即ち通常モードで加工時の加工装置100に供給する。通常モードにおいて、コントローラ40は、
図4に示すフローチャートを繰り返し実行する。通常モードにおいて、加工装置100の加工中には、加工装置100が開閉バルブ103を開いて液体8を使用し、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量が、加工装置100が使用する液体8の流量と同等となる。
【0067】
通常モードにおいて、定温液体供給装置1は、
図4に示すように、コントローラ40の第1判定部42が、流出量測定部30の測定結果に基づいて、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロか否かを判定する(ステップ401)。通常モードにおいて、定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロではないと判定する(ステップ401:No)と、ステップ401を繰り返す。
【0068】
通常モードにおいて、加工装置100の研削加工が停止するなど稼働を停止すると、加工装置100が液体8の使用を停止し、開閉バルブ103を閉じる。この場合、液体8が送出経路20内に溜まり、送出経路20内の液体8の流れが停止する。すると、定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロであると判定(ステップ401:Yes)し、コントローラ40の第1判定部42が、流出量測定部30で測定する流量がゼロである継続時間をタイマー41によって測定し、継続時間が予め定められた所定の時間を超えたか否かを判定する(ステップ402)。
【0069】
定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、流出量測定部30で測定する流量がゼロである継続時間が予め定められた所定の時間を超えていないと判定する(ステップ402:No)と、ステップ401に戻る。定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、流出量測定部30で測定する流量がゼロである継続時間が予め定められた所定の時間を超えたと判定する(ステップ402:Yes)と、待機モードに移行して、実施形態1では、ポンプ13の液体8の送出量を第1の流量よりも減少させて第2の流量とし、温度調整ユニット15の稼働を停止し、ソレノイドバルブ17を開く(ステップ403)。
【0070】
待機モードにおいて、コントローラ40は、
図5に示すフローチャートを繰り返し実行する。待機モードでは、定温液体供給装置1は、
図5に示すように、コントローラ40の第1判定部42が、流出量測定部30の測定結果に基づいて、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロか否かを判定する(ステップ501)。加工装置100の液体8の使用が再開されるなどして送出経路20を通って液体8が加工装置100に供給されると、定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロではないと判定し(ステップ501:No)、通常モードに移行する。実施形態1では、コントローラ40は、ポンプ13の液体8の送出量を第2の流量よりも増加させて第1の流量とし、温度調整ユニット15を稼働(ステップ502)し、ソレノイドバルブ17を閉じて、通常モードに移行して、ステップ401に戻る。
【0071】
定温液体供給装置1は、コントローラ40の第1判定部42が、送出経路20内を流れる液体8の流量即ち出口5から加工装置100に供給される液体8の流量がゼロであると判定する(ステップ501:Yes)と、コントローラ40の第2判定部43が、待機モード中に温度計16で測定した温度があらかじめ定められた所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップ503)。定温液体供給装置1は、コントローラ40の第2判定部43が、待機モード中に温度計16で測定した温度が所定の閾値を超えていないと判定する(ステップ503:No)と、ステップ501に戻る。
【0072】
定温液体供給装置1は、コントローラ40の第2判定部43が、待機モード中に温度計16で測定した温度が所定の閾値を超えたと判定する(ステップ503:Yes)と、ソレノイドバルブ17を開いたまま、ポンプ13の液体8の送出量を通常モードの送出量である第1の流量とし、温度調整ユニット15を稼働(ステップ504)する。
【0073】
以上説明したように、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、コントローラ40が流出量測定部30で測定する流量がゼロであると判定した際、加工装置100に液体8を供給する通常モードからソレノイドバルブ17を制御して液体8を循環経路10で循環させる待機モードへ切り替えることを判定する第1判定部42を有し、待機モードではポンプ13の送出量を通常モードよりも少なくし、かつ温度調整ユニット15の稼動を停止して、ポンプ13および温度調整ユニット15の消費電力を下げる。
【0074】
その結果、定温液体供給装置1は、加工装置100の稼動が停止していると判定した際にポンプ13および温度調整ユニット15の稼働を抑えることで、消費電力を抑制することができるという効果を奏する。実施形態1に係る定温液体供給装置1は、冷却手段154の最大能力が6.2kWでかつ加温手段155の最大能力が12kWである場合、待機モードにおいて、ポンプ13が第2の流量で液体8を送出しかつ温度調整ユニット15の冷却手段154と加温手段155との双方の稼働を停止すると、ポンプ13が第1の流量で液体8を送出しかつ温度調整ユニット15の冷却手段154と加温手段155との双方を稼働する場合よりも消費電力を約37%抑制(5475Whから2073Whへと低減)できることが明らかとなった。
【0075】
また、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、第1判定部42が流出量測定部30で測定する流量がゼロである継続時間があらかじめ定められた所定の時間を超えた際、流量がゼロであると判定して通常モードから待機モードへ切り替えることを判定するので、通常モードから誤って待機モードに切り替えることを抑制することができる。
【0076】
また、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、コントローラが待機モード中に温度計16で測定した温度があらかじめ定められた所定の閾値を超えた際、ポンプ13の送出量を通常モードの送出量である第1の流量とし、温度調整ユニット15を稼働することを判定する第2判定部43を有している。このために、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、待機モードであっても液体供給源2から供給された液体8の温度を所定の閾値に維持することができ、通常モードに移行しても定温の液体8を加工装置100に速やかに供給することができる。
【0077】
また、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、通常モードにおいて、
図6に示すように、加工装置100の液体8の使用量よりも加工装置100に送出する液体8の流量が多くてもよい。なお、
図6は、
図1に示された定温液体供給装置の液体8の送出量よりも加工装置の液体8の使用量が少ない場合を模式的に示す図である。なお、
図6は、
図1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
なお、
図6に示す場合、加工装置100は、前述した開閉バルブ103を開き、15L/minの流量で液体8を使用する。この場合、定温液体供給装置1は、ポンプ13が第1の流量である25L/minで液体8を供給路12に送出し、ソレノイドバルブ17が閉じている。このために、定温液体供給装置1は、
図6の太線の矢印で示すように、供給路12からの液体8の一部が送出経路20を介して加工装置100に送出されるとともに、供給路12からの液体8の残りの一部の圧力により循環経路10の他方の分岐路142に配設されたリリーフバルブ18が開いて、この液体8の残りの一部が循環路14、他方の分岐路142を介してタンク11に戻される。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、第1判定部42が流出量測定部30で測定する流量がゼロであると判定した際に、直ちに、待機モードに移行しても良い。また、本発明では、待機モードでは、温度調整ユニット15の稼働を停止させることなく、ポンプ13の送出量を通常モードの第1の流量よりも少ない第2の流量に減少させるのみでも良い。
【0080】
また、本発明では、加工装置100は、被加工物に定温液体供給装置1から供給された定温の液体8を供給しながら研削加工する研削装置に限らず、被加工物に定温液体供給装置1から供給された定温の液体8を供給しながら切削加工する切削装置であっても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 定温液体供給装置
2 液体供給源
4 入口
5 出口
8 液体
10 循環経路
11 タンク
13 ポンプ
15 温度調整ユニット
17 ソレノイドバルブ(開閉弁)
30 流出量測定部
40 コントローラ
41 タイマー
42 第1判定部
43 第2判定部
100 加工装置