(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165198
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法並びに映像表示システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241121BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20241121BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B6/03 333A
G01T1/161 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081131
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】横浜 亘
(72)【発明者】
【氏名】中山 武
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA33
4C093EE15
4C093EE16
4C093FB12
4C093FG07
4C093FG14
4C093FG15
4C093FG16
4C096AA18
4C096AB46
4C096AD14
4C096AD15
4C096AD19
4C096CA15
4C096CA17
4C096DC22
4C096DD01
4C096DD14
4C096DD15
4C096DD16
4C096EA07
4C096FC09
4C096FC10
4C096FC20
4C188EE02
4C188FF07
4C188KK24
4C188KK37
4C188MM09
4C188MM10
(57)【要約】
【課題】画像診断装置による検査中の被検者向けの映像を、その被検者のバイタル情報に基づいて表示することができる医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法並びに映像表示システムを提供する。
【解決手段】医用画像診断システムは、MRI検査中の被検者がボア内で視認可能な態様で映像を表示する投影機17と、検査中の被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器19と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、バイタル情報検出器18からバイタル情報を取得し、取得したバイタル情報に基づいて投影機17により所定の映像を投影表示させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置による被検者の検査中に前記被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、
前記検査中の前記被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記バイタル情報検出器からバイタル情報を取得し、
前記取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を前記映像表示器に表示させる、
医用画像診断システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が第1閾値を超えたか否かを判定し、
前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が前記第1閾値を超えたと判定すると、前記画像診断装置による検査が続行可能か否かの前記被検者の意思を確認する映像を前記映像表示器に表示させる、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記画像診断装置を操作する操作者を撮影する第1カメラを更に備え、
前記プロセッサは、
前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が第2閾値を超えたか否かを判定し、
前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が前記第2閾値を超えたと判定すると、前記第1カメラが撮影する前記操作者の映像を前記映像表示器に表示させる、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
第1マイクが検出した音声であって、前記画像診断装置を操作する操作者が発する音声、又は自動音声を前記検査中の前記被検者に伝達する第2スピーカを更に備えた、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記被検者の意思を確認する映像に対する前記被検者の意思を検出する意思検出器と、
前記意思検出器が検出した検出結果を、前記画像診断装置を操作する操作者に伝達する意思確認器と、を備えた、
請求項2に記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記意思検出器は、検査中の前記被検者の音声を検出する第2マイク、前記被検者を撮影する第2カメラ、又は前記被検者により操作される操作器であり、
前記意思確認器は、前記第2マイクが検出した音声を、前記画像診断装置を操作する操作者に伝達する第1スピーカ、前記第2カメラが撮影した前記被検者の映像から前記被検者の口唇の動きを解析して前記被検者の発言内容を認識する発言認識器、前記第2カメラが撮影した前記被検者の映像から前記被検者の手又は指の動きを解析して前記被検者の意思を検知する検知器、又は前記操作器の操作結果を出力する報知器である、
請求項5に記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記被検者のバイタル情報は、心電情報、心拍数、血中酸素濃度、呼吸数、血圧、及び体温のうちの1以上である、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
前記バイタル情報検出器は、検査中に前記被検者を撮影する第3カメラを含み、前記第3カメラが撮影した画像を解析して前記被検者の心拍数及び呼吸数の少なくとも一方を検出する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項9】
前記バイタル情報検出器は、心電情報及び/又は心拍数を検出するECGセンサ、血中酸素濃度を測定するSpO2センサ、呼吸数を検出するベローズ、血圧を検出する圧力センサ、体温の検出が可能な光学カメラ、赤外線カメラ又はサーモグラフィのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項10】
前記バイタル情報検出器は、前記画像診断装置が撮影した画像、前記画像診断装置が磁気共鳴イメージング装置の場合に前記磁気共鳴イメージング装置から得られるNMR信号、又はパルスシーケンスに基づいてバイタル情報を検出する信号処理装置である、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項11】
前記映像表示器は、前記被検者が視認可能なスクリーンに投影する投影機、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイである、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項12】
前記画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置、X線CT装置、PET装置、放射線治療装置、又は粒子線治療装置を含む、
請求項1又は2に記載の医用画像診断システム。
【請求項13】
画像診断装置による被検者の検査中に前記被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、前記検査中の前記被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、プロセッサと、を備えた医用画像診断システムの作動方法において、
前記プロセッサが、前記バイタル情報検出器から前記被検者のバイタル情報を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を前記映像表示器に表示させるステップと、
を含む医用画像診断システムの作動方法。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が第1閾値を超えたか否かを判定するステップと、
前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が前記第1閾値を超えたと判定すると、前記画像診断装置による検査が続行可能か否かの前記被検者の意思を確認する映像を前記映像表示器に表示させるステップと、
を含む請求項13に記載の医用画像診断システムの作動方法。
【請求項15】
前記画像診断装置を操作する操作者を撮影する第1カメラを更に備え、
前記プロセッサが、前記バイタル情報が第2閾値を超えたか否かを判定するステップと、
前記プロセッサが、前記バイタル情報又は前記バイタル情報の変化量が前記第2閾値を超えたと判定すると、前記第1カメラが撮影する前記操作者の映像を前記映像表示器に表示させるステップと、
を含む請求項13又は14に記載の医用画像診断システムの作動方法。
【請求項16】
画像診断装置による被検者の検査中に前記被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、
前記検査中の前記被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記バイタル情報検出器からバイタル情報を取得し、
前記取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を前記映像表示器に表示させる、
映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法並びに映像表示システムに係り、特に画像診断装置による検査中の被検者が視認可能な映像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置)、X線CT(Computed Tomography)装置などの画像診断装置による被検者の検査時間は、比較的長く、MRI装置の場合には20分~30分程度、X線CT装置の場合には、単純検査で5~10分程度、造影検査で5~20分程度の時間を要する。
【0003】
また、MRI装置等による撮影は、「ボア」と呼ばれる円筒状の撮影空間内で行われ、検査中は体動が画像アーチファクトになりうるため、呼吸を含め、体動を極力抑える必要がある。「ボア」という閉所空間で、長時間にわたり、体動を抑制して検査を受けることは、被検者にとってストレスとなっている。
【0004】
その結果、被検者は、不安を感じたり、体温上昇(発熱)、心拍数の上昇、薬剤注入後などによる体調不良になる場合がある。緊急用スイッチを被検者に持たせる場合があるが、被検者は、検査を止めたくないという心理も働くため、緊急用スイッチを押さずに(緊急ブザーを鳴らさずに)、我慢してしまうことがある。更に、MRI装置等の操作者は、緊急検査等では意識が清明でない被検者を注視しながら検査を進めるが、操作画面にも集中しているため、被検者の変化に目が行き届かない場合がある。
【0005】
特許文献1には、X線CT装置による患者の検査において、患者のバイタル情報を取得する医用画像診断システムが記載されている。特許文献1に記載の医用画像診断システムは、患者を検査するためのワークフローに含まれる複数のステップのそれぞれの遷移を制御する際に、複数のステップのうち、第1ステップにおける患者の準備状況を表す第1情報を取得し、第1ステップから第2ステップへの遷移を許可することを表す第2情報を取得し、第1情報及び第2情報に基づいて、第1ステップから第2ステップへの遷移を制御する。
【0006】
ここで、バイタル情報は、ワークフローに含まれる複数のステップのうち、患者がCT室の扉を閉める動作をしたか、寝台装置の天板に患者が寝たか、といった患者の姿勢や動作を判定するための情報として使用している。
【0007】
また、特許文献2には、目的の異なる2つの映像を異なる位置にそれぞれ投影する医用画像診断システムが記載されている。特許文献2に記載の医用画像診断システムは、1台の投影機から患者の検査中のストレスを緩和する目的の第1映像を、医用画像診断装置におけるボアの内壁に投影し、また、患者に対する撮像に関する情報を示す目的の第2映像を、架台の外装におけるボアの開口を有する面(リア面)に投影している。
【0008】
ここで、第2映像は、患者の心電情報、体温、呼吸数、脈拍数等の生体情報、医用画像診断システムにおける操作画面、再構成画像、撮像条件等の情報を有する映像であり、医療従事者が必要とする映像である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-94号公報
【特許文献2】特開2018-29763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1、2には、画像診断装置による検査中の被検者のバイタル情報を取得する記載があるが、バイタル情報に基づいて被検者向けの所定の映像を表示する記載はない。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、画像診断装置による検査中の被検者向けの映像を、その被検者のバイタル情報に基づいて表示することができる医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法並びに映像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1態様に係る発明は、画像診断装置による被検者の検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、検査中の被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、バイタル情報検出器からバイタル情報を取得し、取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を映像表示器に表示させる、医用画像診断システムである。
【0013】
本発明の第1態様によれば、検査中の被検者のバイタル情報に基づいて被検者向けの所定の映像を映像表示器に表示させることができる。
【0014】
本発明の第2態様に係る医用画像診断システムは、第1態様において、プロセッサは、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超えたか否かを判定し、バイタル情報が第1閾値を超えたと判定すると、画像診断装置による検査が続行可能か否かの被検者の意思を確認する映像を映像表示器に表示させる。
【0015】
検査中の被検者のバイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超える場合、被検者が体調不良を感じていると考えられる。本発明の第2態様によれば、検査中の被検者のバイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超える場合には、検査が続行可能か否かの被検者の意思を確認する映像を映像表示器に表示させる。
【0016】
本発明の第3態様に係る医用画像診断システムは、第1態様又は第2態様において、画像診断装置を操作する操作者を撮影する第1カメラを更に備え、プロセッサは、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第2閾値を超えたか否かを判定し、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第2閾値を超えたと判定すると、第1カメラが撮影する操作者の映像を映像表示器に表示させることが好ましい。
【0017】
検査中の被検者のバイタル情報が第1閾値を超える場合、被検者が体調不良を感じていると考えられる。本発明の第3態様によれば、検査中の被検者のバイタル情報が第2閾値を超える場合には、操作者の映像を映像表示器に表示させることで、被検者の心理的負担を軽減させる。
【0018】
本発明の第4態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、第1マイクが検出した音声であって、画像診断装置を操作する操作者が発する音声、又は自動音声を検査中の被検者に伝達する第2スピーカを更に備えることが好ましい。これにより、音声を通じて被検者の心理的負担を軽減させることができる。
【0019】
本発明の第5態様に係る医用画像診断システムは、第2態様において、被検者の意思を確認する映像に対する被検者の意思を検出する意思検出器と、意思検出器が検出した検出結果を、画像診断装置を操作する操作者に伝達する意思確認器と、を備えることが好ましい。これにより、被検者と操作者との間でコミュニケーションを図ることができ、被検者の心理的負担を軽減させることができる。
【0020】
本発明の第6態様に係る医用画像診断システムは、第5態様において、意思検出器は、検査中の被検者の音声を検出する第2マイク、被検者を撮影する第2カメラ、又は被検者により操作される操作器であり、意思確認器は、第2マイクが検出した音声を、画像診断装置を操作する操作者に伝達する第1スピーカ、第2カメラが撮影した被検者の映像から被検者の口唇の動きを解析して被検者の発言内容を認識する発言認識器、第2カメラが撮影した被検者の映像から被検者の手又は指の動きを解析して被検者の意思を検知する検知器、又は操作器の操作結果を出力する報知器である。
【0021】
本発明の第7態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第7態様のいずれかにおいて、被検者のバイタル情報は、心電情報、心拍数、血中酸素濃度、呼吸数、血圧、及び体温のうちの1以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の第8態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第7態様のいずれかにおいて、バイタル情報検出器は、検査中に被検者を撮影する第3カメラを含み、第3カメラが撮影した画像を解析して被検者の心拍数及び呼吸数の少なくとも一方を検出することが好ましい。
【0023】
本発明の第9態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、バイタル情報検出器は、心電情報及び/又は心拍数を検出するECGセンサ、血中酸素濃度を測定するSpO2センサ、呼吸数を検出するベローズ、血圧を検出する圧力センサ、体温の検出が可能な光学カメラ、赤外線カメラ又はサーモグラフィのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0024】
本発明の第10態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第9態様のいずれかにおいて、バイタル情報検出器は、画像診断装置が撮影した画像、画像診断装置が磁気共鳴イメージング装置の場合に磁気共鳴イメージング装置から得られるNMR信号、又はパルスシーケンスに基づいてバイタル情報を検出する信号処理装置である。
【0025】
本発明の第11態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第10態様のいずれかにおいて、映像表示器は、被検者が視認可能なスクリーンに投影する投影機、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイであることが好ましい。
【0026】
本発明の第12態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第11態様のいずれかにおいて、画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置、X線CT装置、PET装置、放射線治療装置、又は粒子線治療装置を含むことが好ましい。
【0027】
第13態様に係る発明は、画像診断装置による被検者の検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、検査中の被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、プロセッサと、を備えた医用画像診断システムの作動方法において、プロセッサが、バイタル情報検出器から被検者のバイタル情報を取得するステップと、プロセッサが、取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を映像表示器に表示させるステップと、を含む医用画像診断システムの作動方法である。
【0028】
本発明の第14態様に係る医用画像診断システムの作動方法は、第13態様において、プロセッサが、取得したバイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超えたか否かを判定するステップと、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超えたと判定すると、画像診断装置による検査が続行可能か否かの被検者の意思を確認する映像を映像表示器に表示させるステップと、を含むことが好ましい。
【0029】
本発明の第15態様に係る医用画像診断システムの作動方法は、第13態様又は第14態様において、画像診断装置を操作する操作者を撮影する第1カメラを更に備え、プロセッサが、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第2閾値を超えたか否かを判定するステップと、プロセッサが、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が第2閾値を超えたと判定すると、第1カメラが撮影する操作者の映像を映像表示器に表示させるステップと、を含むことが好ましい。
【0030】
第16態様に係る発明は、画像診断装置による被検者の検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器と、検査中の被検者のバイタル情報を検出するバイタル情報検出器と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、バイタル情報検出器からバイタル情報を取得し、取得したバイタル情報に基づいて所定の映像を映像表示器に表示させる、映像表示システムである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、画像診断装置による検査中の被検者のバイタル情報に基づいて被検者向けの所定の映像を映像表示器に表示させることができ、被検者の心理的負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明に係る医用画像診断システムが適用される画像診断装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したMRI装置の模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、MRI装置に対する被検者の身体の向きの入れ替えを示す図である。
【
図4】
図4は、MRI装置を操作する操作室の内部の様子を示す図である。
【
図5】
図5は、バイタル情報等を表示する表示器の表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、バイタル情報等を表示する表示器の表示画面の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、バイタル情報等を表示する表示器の表示画面の更に他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る医用画像診断システムの構成図である。
【
図9】
図9は、医用画像診断システムを構成する主要な機器である信号処理装置のハードウェアの実施形態を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、被検者側に表示する映像の第1例を示す図である。
【
図11】
図11は、被検者側に表示する映像の第2例を示す図である。
【
図12】
図12は、被検者側に表示する映像の第3例を示す図である。
【
図13】
図13は、被検者側に表示する映像の第4例を示す図である。
【
図14】
図14は、被検者側に表示する映像の第5例を示す図である。
【
図15】
図15は、発言認識器の実施形態を示す概念図である。
【
図16】
図16は、被検者により操作される操作器の一例を示す要部外観図である。
【
図17】
図17は、被検者により操作される操作器の他の例を示す要部外観図である。
【
図18】
図18は、MRI装置による検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器の他の実施形態を示す図である。
【
図19】
図19は、バイタル情報の検出例と、被検者の状態と、被検者側に表示する映像の表示内容との関係を示す図表である。
【
図20】
図20は、本発明に係る医用画像診断システムの作動方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に従って本発明に係る医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法並びに映像表示システムの好ましい実施形態について説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る医用画像診断システムが適用される画像診断装置の一例を示す斜視図である。
【0035】
図1に示す画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)10であり、ガントリ11と、ガントリ11に設けられた円筒上の撮影空間であるボア12の前方側に配置された天板13Aを備えた寝台13とを備えている。
【0036】
本例の画像診断装置は、MRI装置10であるが、本発明はこれに限らず、X線CT装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、放射線治療装置、又は粒子線治療装置を含む。本発明は、検査時間、治療時間が比較的長くなる装置に対して好適である。
【0037】
図2は、
図1に示したMRI装置の模式的な断面図である。
【0038】
図2において、ガントリ11には、MRI磁石10A、その他各種のコイルが配設されており、天板13Aに仰臥している被検者5は、天板13Aをボア12に移動させることで、被検者5の検査部位が、ボア12内の静磁場中心に位置するように移動させられる。被検者5の検査部位には、人体からのFID(Free Induction Decay)を受信するためのRF(Radio Frequency)コイル10Bが配置される。本例では、被検者5の腹部が検査部位であり、RFコイル10Bは腹部に配置されている。
【0039】
ボア12の両端の上部には、可視光カメラである第2カメラ15(15A、15B)、及び第2マイク16(16A、16B)が配置されている。尚、
図2上で、ボア12の左端の上部に第2カメラ15A、第2マイク16Aが配置され、ボア12の右端の上部に第2カメラ15B、第2マイク16Bが配置されている。
【0040】
2台の第2カメラ15A、15Bは、それぞれ被検者5を撮影し、動画(映像)を出力するもので、2台の第2カメラ15A、15Bの少なくとも一方は、被検者5の顔領域を含む映像を撮影する。
【0041】
また、2台の第2マイク16A、16Bは、それぞれ被検者5が発する音声を検出する。第2マイク16A、16Bは、受音体部に非磁性体である圧電セラミックを使用した非磁性マイクが好ましい。
【0042】
天板13Aの一端(
図2上では、左端)には、投影機17が配置されており、投影機17は、ボア12内の天井部分に配設されたスクリーン17Aに映像を投影する。この投影機17は、MRI装置10による検査中に被検者5が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器として機能し、被検者5は、スクリーン17Aに投影された映像を検査中に視認することがきる。尚、スクリーン17Aを設けずに、ボア12内の天井部分をスクリーンとして使用するようにしてもよい。
【0043】
また、
図2において、18は、バイタル情報検出器であり、被検者5の心電情報、心拍数(脈拍数)、血中酸素濃度、呼吸数、血圧、及び体温のうちの1以上を測定する。バイタル情報検出器18は、被検者5の背中部分に配置されているものに限らない。
【0044】
具体的なバイタル情報検出器18としては、心電情報及び/又は心拍数を検出するECG(electrocardiogram)センサ、血中酸素濃度を測定するSpO2センサ、呼吸数を検出するベローズ、血圧を検出する圧力センサ、体温の検出が可能な光学カメラ、赤外線カメラ又はサーモグラフィのうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
また、画像診断装置(MRI装置10)が撮影したMRI画像、画像診断装置がMRI装置の場合にMRI装置から得られるNMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号(MRI検査で取得した信号自体)、又はパルスシーケンスに基づいてバイタル情報を検出する信号処理装置をバイタル情報検出器としてもよい。その他のセンサ(光学センサ、超音波センサなど)、及びこれらを組み合わせたものをバイタル情報検出器とすることができる。
【0046】
例えば、MRI画像から横隔膜の動き、心臓の動きを検出することで、呼吸数や心拍数を検出することができる。尚、これらの動き検出は、MRI画像のアーチファクトを低減するために使用される。また、バイタル情報は、被検者を撮影した映像、MRI画像等を入力する機械学習モデルを使用して検出するようにしてもよい。
【0047】
図3は、MRI装置に対する被検者の身体の向きの入れ替えを示す図である。
【0048】
図3(A)は、被検者5がボア12内に頭から入る場合(ヘッドファースト)を示し、
図3(B)は、被検者5がボア12内に足から入る場合(フットファースト)を示している。
【0049】
被検者5の検査部位に応じてヘッドファースト又はフットファーストが選択される。本例では、ヘッドファースト又はフットファーストの何れが選択されても、被検者5の顔領域の撮影及び音声の検出ができるように、ボア12の両端部にそれぞれ第2カメラ15A、15B、及び第2マイク16A、16Bが配設されている。
【0050】
尚、第2カメラ15(15A、15B)、及び第2マイク16(16A、16B)は、本例では2台であるが、これに限らず、1台でもよいし、3台以上でもよい。また、第2カメラ15及び第2マイク16は、MRI装置10に配置する場合に限らず、MRI装置10の近傍に配置するようにしてもよい。
【0051】
図4は、MRI装置を操作する操作室の内部の様子を示す図である。
【0052】
図4に示すように操作室2には、検査室に設置されたMRI装置10を制御し、また、MRI装置10から出力されるNMR信号を処理し、MRI画像を生成する信号処理装置20が設置されている。
【0053】
信号処理装置20は、コンピュータを用いて構成することができる。信号処理装置20に適用されるコンピュータは、パーソナルコンピュータであってもよいし、ワークステーションであってもよい。操作者32は、キーボード、マウス等の操作部28を使用し、信号処理装置20を通じてMRI装置10の動作を制御することができる。
【0054】
また、本例の信号処理装置20は、本発明に係る医用画像診断システムの一部の機能(即ち、被検者向けの映像等を表示させる「映像表示システム」としての機能)を備えているが、その詳細については後述する。
【0055】
信号処理装置20は、MRI画像等を表示する表示器24、操作者32の音声を検出する第1マイク25、及び検査中に被検者5が発する音声等を発生する第1スピーカ26を備えている。
【0056】
また、
図4において、2Aは、操作者32が検査室の様子を観るための窓である。29は、第2カメラ15A、15Bが撮影した映像、バイタル情報等を表示する表示器であり、30は、操作者32を撮影する第1カメラである。
【0057】
図5は、バイタル情報等を表示する表示器の表示画面の一例を示す図であり、
図4に示した表示器29の表示画面の拡大図である。
【0058】
図5に示すように表示器29の表示画面には、第2カメラ15A、15Bが撮影した被検者5の映像が表示されており、本例では第2カメラ15Aが撮影している被検者5の上半身側の映像と、第2カメラ15Bが撮影している被検者5の下半身側の映像とが表示されている。
【0059】
また、検査中の被検者5のバイタル情報として、血中酸素濃度(SpO2)29A、脈拍数29B、呼吸数29C、体動(振動波形)29D等が表示されている。
【0060】
操作者32は、表示器29の表示画面から、検査中の被検者5の様子(例えば、顔面蒼白、顔の表情の強張り、目の動き等)を観察することができ、また、被検者5のバイタル情報を確認することができる。尚、
図5は、被検者5の検査開始時におけるバイタル情報等を示している。
【0061】
図6及び
図7は、それぞれバイタル情報等を表示する表示器の表示画面の他の例を示す図であり、
図5に示した検査開始時のバイタル情報に対してバイタル情報が変化した場合に関して示している。
【0062】
図6に示す例では、被検者5の脈拍数29Bが上昇し、かつ呼吸数29Cが増加している状態を示している。
【0063】
また、
図7に示す例では、被検者5の血中酸素濃度(SpO2)29Aが低下し、また、呼吸数29Cが測定不能「-」、呼吸が停止している状態を示している。
【0064】
顕著な変化をしたバイタル情報は、表示器29の表示画面上で、例えば、色や輝度を変化させ、操作者32が注目できるようにすることが好ましい。
【0065】
[医用画像診断システムの構成図]
図8は、本発明に係る医用画像診断システムの構成図である。
【0066】
図8に示す医用画像診断システムは、MRI装置10に配設された第2カメラ15、第2マイク16、第2スピーカ16-1(
図18参照)、投影機17、バイタル情報検出器18、後述する操作器19、及びMRI装置10のパルスシーケンス部を含む撮像部(図示せず)等と、操作室2の信号処理装置20とが、LAN(Local area network)等のネットワーク50を介して相互に接続されて構成されている。
【0067】
図9は、医用画像診断システムを構成する主要な機器である信号処理装置のハードウェアの実施形態を示すブロック図である。
【0068】
図9に示す信号処理装置20は、前述したようにコンピュータ等により構成され、プロセッサ21、メモリ22、入出力インターフェース23、表示器24、29、第1スピーカ26、操作部28、及び第1カメラ30等を備える。
【0069】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、信号処理装置20の各部、及びMRI装置10に配設された各種の機器を統括制御するとともに、メモリ22に記憶された信号処理プログラムを実行することで、後述する各種の機能を実現させる。
【0070】
メモリ22は、フラッシュメモリ、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置等を含む1以上のメモリである。フラッシュメモリ、ROM及びハードディスク装置は、オペレーションシステム、プロセッサ21を信号処理装置20として機能させる信号処理プログラム、機械学習モデルを含む各種のプログラム、及び投影機17が投影する映像等を記憶する不揮発性メモリである。
【0071】
RAMは、プロセッサ21による処理の作業領域として機能し、また、不揮発性メモリに格納されたプログラム等を一時的に記憶する。尚、プロセッサ21が、メモリ22の一部(RAM)を内蔵していてもよい。
【0072】
入出力インターフェース23は、ネットワーク50と接続可能な通信部、及び外部機器と接続可能な接続部等を含む。外部機器と接続可能な接続部としては、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(HDMIは登録商標)等を適用することができる。
【0073】
プロセッサ21は、入出力インターフェース23及びネットワーク50を介してMRI装置10に配設された各種の機器との間で通信し、これにより必要な情報の送受信を行う。
【0074】
表示器24は、MRI画像、検査中に被検者5が発する発言内容を示す文字、MRI画像等を表示するとともに、操作部28からの入力を受け付ける場合のGUI(Graphical User Interface)の一部として使用される。
【0075】
また、表示器29は、
図5に示したように被検者の映像、及びバイタル情報等を表示する。本例では、2つの表示器24、29が設けられているが、これらの表示器24,29が表示する情報を、1つの表示器の表示画面を2画面に分割して表示するようにしてもよいし、画面を切り替えて表示するようにしてもよい。
【0076】
第1マイク25は、操作者32が発する音声を検出し、検出した音声を示す音声信号をプロセッサ21に出力する。プロセッサ21は、第1マイク25から入力する音声信号を音声認識し、認識した文字を被検者向けの映像の一部として投影表示させ、又は被検者用のスピーカ(
図18に示す第2スピーカ16-1)から操作者32が発した音声として発生させる。
【0077】
第1スピーカ26は、検査中の被検者5が発した音声を発生するもので、プロセッサ21は、第2マイク16から被検者5が発した音声を示す音声信号を入力すると、その音声信号を第1スピーカ26に出力し、第1スピーカ26から被検者5が発した音声として発生させる。尚、プロセッサ21は、第2マイク16から入力する音声信号に対してフィルタ処理を行い、MRI装置10が発生する騒音を低減させることが好ましい。
【0078】
操作部28は、マウス、キーボード等を含み、表示器24の表示操作ウィンドウを使用し、操作者32の入力を受け付けるGUIの一部として機能する。
【0079】
第1カメラ30は、
図4に示したように操作者32を撮影するもので、プロセッサ21は、第1カメラ30が撮影する操作者32の映像を投影機17により表示させることができる。
【0080】
[医用画像診断システムの概要]
上記構成の医用画像診断システムは、検査中の被検者5のバイタル情報を検出し、検出したバイタル情報に基づいて被検者向けの所定の映像を映像表示器に表示させる。本例では、投影機17により所定の映像をスクリーン17Aに投影させる。
【0081】
具体的な一態様では、医用画像診断システムは、検出したバイタル情報又はバイタル情報の変化量が第1閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合には、MRI装置10による検査が続行可能か否かの被検者の意思を確認する映像を、投影機17により投影表示させる。これにより、医用画像診断システム又は操作者32は、検査が続行可能か否かの被検者5の意思を確認することができ、また、被検者5の心理的負担を軽減させることができる。
【0082】
また、具体的な他の態様では、医用画像診断システムは、検出したバイタル情報又はバイタル情報の変化量が第2閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合には、操作者32の映像を投影機17により投影表示させる。被検者5は、操作者32の映像を見ることで安心感が得られ、これにより被検者5の心理的負担を軽減させることができる。
【0083】
尚、第1閾値と第2閾値とは、同一の閾値でもよいし、異なる閾値でもよい。また、第1閾値及び第2閾値は、それぞれ操作者32により任意に設定できるようにしてもよい。更に、これらの閾値は、バイタル情報の種類に応じて異なることは言うまでもない。
【0084】
[医用画像診断システムの作用]
信号処理装置20のプロセッサ21は、バイタル情報検出器18からバイタル情報を取得し、そのバイタル情報又はバイタル情報の変化量と閾値(第1閾値、又は第2閾値)とを比較し、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が閾値を超えたと判定すると、投影機17から被検者向けの映像を投影表示させる。
【0085】
<被検者側に表示する映像の第1例>
図10は、被検者側に表示する映像の第1例を示す図である。
【0086】
図10に示す映像は、例えば、以下の場合に表示させる。
【0087】
図10に示す映像170は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量(例えば、心拍あるいは脈拍、心電情報の変化、顔の表情の変化)によって、被検者の身体に異常が検出された場合、体内装置(MR対応のペースメーカー等)や身体の異常を検査中に悪化させないように表示させる映像である。
【0088】
検査中の被検者5の心拍数(脈拍数)あるいは心電情報の乱れ、表情の強張りが出現した際に、被検者の状態としては、意識は清明だがMR対応のペースメーカーの誤作動や身体に異変が起きている可能性が考えられる。
【0089】
そこで、プロセッサ21は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量を基に、上記の被検者5の状態を判定すると、
図10に示す映像170を表示させる。
【0090】
図10に示す映像170は、「バイタルを示す数値に異常を検出しました」という文字情報171と、検査が続行可能か否かの被検者の意思を確認する映像として、「検査続行」を示すアイコン172及び「検査停止」を示すアイコン173を含んでいる。
【0091】
被検者5は、後述するようにアイコン172、又は173を選択することで、医用画像診断システム又は操作者32に、検査が続行可能か否かの被検者の意思を伝えることができる。
【0092】
図10に示す例によれば、将来的に増加するであろうMR対応デバイスが挿入された被検者に対する、より安全なMRI検査を施行することができる。
【0093】
尚、本例のバイタル情報としては、心拍数(脈拍数)、心電情報の他に、「顔の表情の変化」もバイタル情報の変化量の一つとして使用するが、これらのバイタル情報に限定されない。
【0094】
<被検者側に表示する映像の第2例>
図11は、被検者側に表示する映像の第2例を示す図である。
【0095】
図11に示す映像は、例えば、以下の場合に表示させる。
【0096】
図11に示す映像170は、血中酸素濃度(SpO2)、脈拍、呼吸数、場合によっては顔の変化によって、被検者5に薬剤による副作用が発現している様子が検出された場合、被検者5、操作者32に副作用の疑いを知らせ、かつ検査の安全性を補助するために表示させる映像である。
【0097】
造影剤注入後に被検者5のSpO2の急激な変化、血圧の低下(顔面蒼白を含む)、呼吸数の増加が出現した際に、被検者5の状態としては、意識がある場合もあれば、意識が薄れている場合もあり、造影剤による副作用が出現している可能性が考えられる。
【0098】
そこで、プロセッサ21は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量を基に、上記の被検者5の状態を判定すると、
図11に示す映像170を表示させる。
【0099】
図11に示す映像170は、「造影剤による副作用の可能性があります」という文字情報171と、「検査続行」を示すアイコン172及び「検査停止」を示すアイコン173と、第1カメラ30で撮影されている操作者32を示す映像(画像サイズの小さい映像)174とを含んでいる。
【0100】
被検者5は、アイコン172又は173を選択することで、医用画像診断システム又は操作者32に、検査が続行可能か否かの被検者の意思を伝えることができる。
【0101】
図11に示す例によれば、被検者5に無理をさせない検査が可能であり、かつ迅速な応急措置の対応が可能である。
【0102】
<被検者側に表示する映像の第3例>
図12は、被検者側に表示する映像の第3例を示す図である。
【0103】
図12に示す映像は、例えば、以下の場合に表示させる。
【0104】
図12に示す映像170は、MR撮像することで被検者5の身体に与える温度あるいは体温の変化によって、被検者5の発熱状況、及び付随して起こるであろう不安の高まりが検出された場合、発熱の具合を被検者5に確認しつつ、残検査ステータスを知らせることで被検者5の不安を軽減させるために表示させる映像である。
【0105】
検査中、撮像シーケンスの種類によって被検者5の体温が急激に上昇したり(SAR(specific absorption ratio:比吸収率)の上昇)、時間経過とともに累積することによって、検査部位周辺の身体に熱さを感じさせる場合がある。被検者5の状態としては、意識は清明であるが、熱さを我慢していたり、今後、MRI検査を受けたくないと思う程のストレスや不安を抱える可能性が考えられる。極端なケースでは、軽度の火傷を起こしている可能性も考えられる。
【0106】
そこで、プロセッサ21は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量を基に、上記の被検者5の状態を判定すると、
図12に示す映像170を表示させる。
【0107】
図12に示す映像170は、「高い温度を感じていませんか?」という文字情報171と、「検査続行」を示すアイコン172及び「検査停止」を示すアイコン173と、検査の残り時間の目安を示す175とを含んでいる。
【0108】
被検者5は、アイコン172又は173を選択することで、医用画像診断システム又は操作者32に、検査が続行可能か否かの被検者の意思を伝えることができる。
【0109】
図12に示す例によれば、被検者5に無理をさせない検査が可能であり、その結果、被検者5の心理的負担の軽減や常に安全な検査が施行できる。
【0110】
<被検者側に表示する映像の第4例>
図13は、被検者側に表示する映像の第4例を示す図である。
【0111】
図13に示す映像は、例えば、以下の場合に表示させる。
【0112】
図13に示す映像170は、心拍あるいは脈拍、呼吸数の変化によって、被検者5の不安の高まりが検出された場合、操作者32の映像と残検査ステータスを被検者5に知らせることで被検者5の不安を軽減させるために表示させる映像である。
【0113】
検査中に被検者5の心拍数あるいは脈拍数、呼吸数の顕著な増加が出現した際に、被検者5の心理としては、意識は清明であるが、長時間の検査や閉所空間に徐々に耐えられなくなることで、不安に陥ったり、緊張が高まる可能性が考えられる。
【0114】
そこで、プロセッサ21は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量を基に、上記の被検者5の状態を判定すると、
図13に示す映像170を表示させる。
【0115】
図13に示す映像170は、「バイタルを示す数値が顕著に増加しています」という文字情報171と、「検査続行」を示すアイコン172及び「検査停止」を示すアイコン173と、第1カメラ30で撮影されている操作者32を示す映像174と、検査の残り時間の目安を示す175とを含んでいる。
【0116】
被検者5は、アイコン172又は173を選択することで、医用画像診断システム又は操作者32に、検査が続行可能か否かの被検者の意思を伝えることができる。
【0117】
図13に示す例によれば、被検者5に無理をさせない検査が可能であり、その結果、被検者5の心理的負担の軽減や常に安全な検査が施行できる。
【0118】
<被検者側に表示する映像の第5例>
図14は、被検者側に表示する映像の第5例を示す図である。
【0119】
図14に示す映像は、例えば、以下の場合に表示させる。
【0120】
図14に示す映像170は、SpO2と呼吸数の変化によって(
図7参照)、被検者5が重篤な状態に陥っていることが検出された場合、被検者5と操作者32とのコミュニケーションを通じて被検者5を救済するために表示させる映像である。
【0121】
被検者5の検査中に被検者5のSpO2の顕著な低下や呼吸停止が出現した際に、被検者5の状態としては、バイタルが悪化し急変状態にあり、意識朦朧あるいは意識がなくなっている可能性が考えられる。
【0122】
そこで、プロセッサ21は、バイタル情報又はバイタル情報の変化量を基に、上記の被検者5の状態を判定すると、
図14に示す映像170を表示させる。
【0123】
図14に示す映像170は、第1カメラ30で撮影されている操作者32を示す映像176と、「私の声が聞こえますか?」という文字情報177とを含んでいる。
【0124】
この場合、操作者32が発生する音声は、第1マイク25により検出され、被検者用の第2スピーカ16-1により再生され、逆に被検者5が発生する音声は、第2マイク16により検出され、操作者用の第1スピーカ26により再生され、これにより被検者5と操作者32とは音声によるコミュニケーションを行うことができる。また、第2スピーカ16-1は、表示する映像等に応じて予め設定された自動音声を再生させるようにしてもよい。
【0125】
また、操作者32が発生する音声を音声認識して文字情報に変換して投影する映像170に表示させ、同様に被検者5が発する音声を音声認識し、又は被検者5の口唇の動作から被検者5の発言内容を認識し、認識した情報を操作者用の表示器24又は29に表示させるようにしてもよい。これによれば、被検者5と操作者32とは、表示させる文字情報によるコミュニケーションを行うことができる。
【0126】
図14に示す例によれば、被検者5に無理をさせない検査が可能であり、かつ迅速な応急措置の対応が可能である。
【0127】
[意思検出器及び意思確認器の実施形態]
被検者5の意思を確認する映像170に対する被検者5の意思を検出する意思検出器としては、被検者5が発生する音声を検出する第2マイク16と、被検者5の顔領域又は手の領域を撮影する第3カメラとして機能する第2カメラ15と、被検者5の手動操作を受け付ける操作器19とが考えられる。
【0128】
一方、意思確認器は、意思検出器が検出した検出結果を、操作者32に伝達するもので、
意思検出器である第2マイク16に対する意思確認器は、第2マイク16が検出した音声を操作者32に伝達する操作者用の第1スピーカである。
【0129】
また、第2カメラ15に対する意思確認器は、第2カメラ15が撮影した映像を解析し、被検者5の口唇の動き(いわゆる「口パク」)に基づいて被検者5の発言内容を認識する発言認識器、又は第2カメラ15が撮影した映像を解析し、被検者5の手又は指の動きに基づいて被検者5の意思を検知する検知器である。
【0130】
更に、操作器19に対する意思認識器は、操作器19の操作結果を出力する報知器である。
【0131】
<発言認識器>
図15は、発言認識器の実施形態を示す概念図である。
【0132】
図15に示すようにプロセッサ21は、発言認識器21Aとして機能する。
【0133】
発言認識器21Aは、被検者5の口唇の動きから文字を読み取る読唇部分であり、本例では、学習済みの機械学習モデルを使用し、第2カメラ15が撮影した被検者5の顔領域を含む映像を入力する。
【0134】
尚、プロセッサ21は、予めメモリ22に記憶された学習済みの機械学習モデルを読み出して使用することができる。また、機械学習モデルとしては、エンドツーエンドの深層学習ネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、サポートベクターマシンなどの種々の学習モデルを使用することができる。
【0135】
本例の発言認識器21Aは、入力する被検者5の口唇の動きを示す映像から被検者5が発した複数の文字(発言内容を示す文字列)を1文字ずつ出力するが、更に発言認識器21Aから出力される文字列に対して自然言語処理を行い、文字列が意味のある発言か否かを判別したり、文字列に対して自然言語処理した結果、誤りがある場合に、正しい発言内容になるように修正する機能を備えることが好ましい。
【0136】
発言認識器21Aは、第2マイク16によって検出される被検者5の音声が聞き取れない場合(声が小さい場合やMRI検査中の騒音が大きい場合)に有効である。
【0137】
<検知器>
プロセッサ21は、第2カメラ15が撮影した被検者5の映像から被検者5の手又は指の動きを解析して被検者5の意思を検知する検知器として機能する。
【0138】
この検知器は、第2カメラ15が撮影した動画(映像)を取得し、映像中の被検者5の手の動きを検出する。検出器は、例えば、
図10に示した映像170に、手のアイコンを合成し、手の動きに応じて手のアイコンを移動させる。
【0139】
被検者5は、映像170を見ながら自分の手を移動させることで、手のアイコンを、「検査続行」のアイコン172上、又は「検査停止」のアイコン173上に移動させる。
【0140】
被検者5は、手のアイコンを、「検査続行」のアイコン172上、又は「検査停止」のアイコン173上に移動させたのち、例えば、人指し指をタップ動作させることで、「検査続行」又は「検査停止」の意思を発信する。検知器は、第2カメラ15が撮影した映像から被検者5の手の上記の動作を検知することで、被検者5の「検査続行」又は「検査停止」の意思を検知する。
【0141】
<操作器>
図16は、被検者により操作される操作器の一例を示す要部外観図である。
【0142】
図16に示す操作器19は、例えば、緊急用スイッチを兼ねるゴム球スイッチ190である。
【0143】
ゴム球スイッチ190は、緊急用に被検者5に所持させるものであり、検査中の被検者5は、緊急時にゴム球スイッチ190を押す(強く握る)。このゴム球スイッチ190の操作に伴う圧力変化が、チューブ190Bを介して図示しない圧力スイッチにより検知される。
【0144】
本例では、このゴム球スイッチ190は、検査が続行可能か否かの被検者5の意思を検出する意思検出器として兼用される。
【0145】
例えば、被検者5は、ゴム球スイッチ190を通常の緊急用に使用する場合には、ゴム球スイッチ190を長押し、「検査続行」を選択する場合には、ゴム球スイッチ190を短く1回押し、「検査停止」を選択する場合には、短く2回押す。尚、ゴム球スイッチ190の押しパターンは、これに限定されない。
【0146】
プロセッサ21は、ゴム球スイッチ190が長押しされたことを検知すると、MRI装置10を停止させる等の処理を行う。
【0147】
一方、プロセッサ21は、「検査続行」又は「検査停止」を示す押しパターンでゴム球スイッチ190が押されたことを検知すると、その押しパターンに応じて割り当てられた操作結果(「検査続行」又は「検査停止」)を出力する検知器として機能する。
【0148】
図17は、被検者により操作される操作器の他の例を示す要部外観図である。
【0149】
図17に示す操作器19は、2つのエアバルーンからなる押しボタン部192A、192Bを有する押しボタンスイッチ192である。
【0150】
押しボタンスイッチ192は、押しボタン部192A、又は192Bの押下に応じて内部の圧力が変化する2本のチューブ192Cを有し、チューブ192C内の圧力変化が、図示しない圧力センサにより検知される。
【0151】
プロセッサ21は、例えば、押しボタン部192Aが押下されたことを検知すると、押しボタン部192Aに割り当てられた「検査続行」を示す操作結果を出力する報知器として機能し、押しボタン部192Bが押下されたことを検知すると、押しボタン部192Bに割り当てられた「検査停止」を示す操作結果を出力する報知器として機能する。
【0152】
<映像表示器の他の実施形態>
図18は、MRI装置による検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器の他の実施形態を示す図である。
【0153】
図18に示す映像表示器は、図示しない投影機と、この投影機から映像が投影されるリア投影スクリーン60と、リア投影スクリーン60を、天板13Aに仰臥している被検者5が視認するための反射ミラー62とから構成されている。
【0154】
リア投影スクリーン60及び反射ミラー62は、天板13Aに取り付けられた支持部材63に配設されている。
【0155】
被検者5は、投影機からリア投影スクリーン60に映像が投影されると、反射ミラー62を介してリア投影スクリーン60に投影された映像を視認することができる。
【0156】
また、被検者5の顔領域を撮影するカメラは、反射ミラー62の外周部に取り付けることができる。更に、被検者5の頭部が移動しないように保持する頭部保持具70に、被検者用の第2スピーカ16-1を埋め込むことができる。この第2スピーカ16-1は、操作者32との間で通話する際の操作者32の音声を発生することができる。また、第2スピーカ16-1は、発音体部に非磁性体である圧電セラミックを使用した非磁性スピーカであることが好ましい。
【0157】
尚、MRI装置による検査中に被検者が視認可能な態様で映像を表示する映像表示器の他の実施形態としては、
図18に示したものに限らず、虚像(空中像)を表示させるヘッドアップディスプレイ、被検者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイを使用することができる。
【0158】
<被検者側に表示する映像等の表示内容>
図19は、バイタル情報の検出例と、被検者の状態と、被検者側に表示する映像の表示内容との関係を示す図表である。
【0159】
図10から
図14を使用し、被検者側に表示する映像の第1例から第5例について説明したが、
図19に示した図表は、
図10から
図14に対応する映像の表示内容を含んでいる。
【0160】
即ち、
図10に示した映像を表示する場合のバイタル情報、被検者の状態、及び映像の表示内容は、
図19に示した図表の3番目に相当する。
【0161】
【0162】
尚、バイタル情報に基づく被検者側に表示する映像は、
図10から
図14に示した映像、及び
図19の図表に示した表示内容に限らず、種々の映像を表示することが可能である。
【0163】
[医用画像診断システムの作動方法]
図20は、本発明に係る医用画像診断システムの作動方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0164】
図20に示す医用画像診断システムの作動方法の各ステップの処理は、
図9に示した信号処理装置20のプロセッサ21により行われる処理に対応する。
【0165】
図20において、プロセッサ21は、MRI装置10による被検者5の検査がしたか否かを判別し(ステップS10)、終了していない場合には、以下のステップの処理を実行する。
【0166】
まず、プロセッサ21は、バイタル情報検出器18から検査中の被検者のバイタル情報を取得する(ステップS12)。尚、プロセッサ21は、検査開始前、又は検査開始直後の被検者5のバイタル情報を、一時的に保持しておくことが好ましい。検査中のバイタル情報の変化量を求める場合の基準にするためである。
【0167】
続いて、プロセッサ21は、ステップS12で取得したバイタル情報に基づいて被検者5の状態を判断する(ステップS14、
図19の図表参照)。
【0168】
プロセッサ21は、被検者5に検査続行又は検査停止の意思確認をする必要があるか否かを判別する(ステップS16)。この判別は、ステップS14で判断した被検者5の状態に応じて行うことができる。具体的には、プロセッサ21は、バイタル情報と予め設定された閾値(第1閾値、第2閾値)とを比較し、あるいはバイタル情報の変化量とその変化量に対して設定された閾値とを比較し、バイタル情報又はバイタル情報の変化量が、対応する閾値を超えているか否かを判定し、この判定結果に基づいて検査続行又は検査停止の意思確認を行う。
【0169】
ステップS16において、被検者5の意思を確認する必要があると判別すると、プロセッサ21は、意思確認用の映像、操作者の映像等を表示させる(ステップS18、
図10~
図14参照)。
【0170】
続いて、プロセッサ21は、被検者5が検査続行の意思表示をしたか否かを判別する(ステップS20)。この意思表示の確認は、前述したように被検者用の第2マイク16が検出する被検者の音声、被検者5を撮影する第2カメラ15が撮影する被検者5の口唇の動き、手又は指の動き、又は操作器19の手動操作に基づいて行うことができる。
【0171】
ステップS20において、被検者5が検査続行の意思表示をした場合(「Yes」の場合)には、プロセッサ21は、ステップS18で表示させた映像を非表示にした後、ステップS10に遷移させる(ステップS22)。この場合、再度、ステップS16において、被検者5に検査続行又は検査停止の意思確認をする必要があるか否かを判別するが、この時の判断基準(閾値)は、前回の判別時より大きくしておくことが好ましい。非表示にされた映像が、繰り返し表示されないようにするためである。
【0172】
ステップS20において、検査続行の意思表示がされない場合には、ステップS24に遷移し、ここで、プロセッサ21は、被検者5が検査停止の意思表示をしたか否かを判別する。
【0173】
ステップS24において、被検者5が検査停止の意思表示をした場合(「Yes」の場合)には、プロセッサ21は、被検者5が検査停止の意思表示をしている旨と、検査続行/停止の選択肢とを、操作者32が視認可能な表示器24及び/又は表示器29に表示させる(ステップS28)。
【0174】
操作者32は、表示器24及び/又は表示器29に表示された被検者5の検査停止の意思表示、及び被検者5のバイタル情報等に基づいてMRI検査を続行するか、又は停止するかを判断し、検査続行又は停止の選択をマウス等の操作部28を操作して行う(ステップS30)。
【0175】
ステップS30において、操作者32が検査続行を選択すると、プロセッサ21は、検査続行を示すメッセージ(例えば「検査を続行します」というメッセージ)を被検者向けの映像として表示させ(ステップS32)、その後、ステップS10に遷移させる。
【0176】
また、ステップS32において、「残り検査時間はあと〇分です。」というメッセージを合わせて表示してもよい。残り時間は、検査の進捗から自動で算出してもよいし、操作者32が手入力してもよい。更に、メッセージは、操作者32が手入力してもよいし、定型文から選択できるようにしてもよい。
【0177】
一方、ステップS30において、操作者32が検査停止を選択すると、プロセッサ21は、MRI装置10による検査を停止させる(ステップS34)。
【0178】
また、ステップS24において、被検者5が検査停止の意思表示をしない場合(「No」の場合)には、プロセッサ21は、映像を表示してから一定時間経過したか否かを判別する(ステップS26)。
【0179】
映像を表示してから一定時間経過していない場合には、ステップS20に遷移する。映像を表示してから一定時間経過した場合には、ステップS30に遷移させる。この場合のステップS30では、操作者32は、検査続行又は検査停止の意思確認をする映像を表示しても被検者5が反応しないため、被検者5の意識が朦朧としているか、あるいは意識を失っているかを考慮し、及び/又はバイタル情報を考慮して、検査続行又は停止を判断し、検査続行又は停止の選択をマウス等の操作部28を操作して行う。
【0180】
[その他]
本実施形態では、被検者5に検査続行又は検査停止の意思確認をする映像を表示する必要がない場合(例えば、バイタル情報が閾値以下の場合や検査続行の意思表示をした場合)には、検査中の被検者5をリラックスさせるための映像を表示させるようにしてもよい。
【0181】
また、本実施形態において、例えば、CPU等の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0182】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0183】
また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0184】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0185】
10…MRI装置
15…第2カメラ
16…第2マイク
17…投影機
18…バイタル情報検出器
19…操作器
20…信号処理装置
24…表示器
25…第1マイク
26…第1スピーカ
30…第1カメラ
50…ネットワーク