(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165265
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光導波路装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20241121BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G02B6/122
G02B6/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081305
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 和尚
(72)【発明者】
【氏名】兼田 悠
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137BA35
2H137BA53
2H137BA55
2H137BB33
2H137CA78
2H137CB03
2H137CB24
2H137CC05
2H137DA34
2H137EA03
2H137EA05
2H137EA07
2H147BG17
2H147CC07
2H147CC14
2H147DA05
2H147DA09
2H147DA11
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147EA17C
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147EA20C
2H147FA25
2H147FB04
2H147FC09
2H147FE02
2H147FF05
(57)【要約】
【課題】シリコンフォトニクスチップがコア層の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減可能な光導波路装置を提供する。
【解決手段】本光導波路装置は、配線基板と、前記配線基板の上に形成された第1クラッド層と、前記第1クラッド層の上に形成されたコア層と、前記第1クラッド層の上に形成され、前記コア層を選択的に被覆する第2クラッド層と、前記第1クラッド層の上に、前記コア層と離隔して形成された1又は複数の台座と、を有し、前記コア層の長手方向の一端、及び前記台座は、前記第2クラッド層から露出する部品搭載領域に配置され、前記台座は、前記コア層と同一材料により、前記コア層と同一厚さに形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の上に形成された第1クラッド層と、
前記第1クラッド層の上に形成されたコア層と、
前記第1クラッド層の上に形成され、前記コア層を選択的に被覆する第2クラッド層と、
前記第1クラッド層の上に、前記コア層と離隔して形成された1又は複数の台座と、を有し、
前記コア層の長手方向の一端、及び前記台座は、前記第2クラッド層から露出する部品搭載領域に配置され、
前記台座は、前記コア層と同一材料により、前記コア層と同一厚さに形成されている、光導波路装置。
【請求項2】
前記配線基板は、前記部品搭載領域に、接続端子となる電極を有し、
前記電極は、前記第1クラッド層に設けられた開口部内に露出している、請求項1に記載の光導波路装置。
【請求項3】
前記台座の少なくとも1つは、平面視で、前記電極を挟んで、前記コア層の前記一端と反対側に配置されている、請求項2に記載の光導波路装置。
【請求項4】
配線基板と、
前記配線基板の上に形成された第1クラッド層と、
前記第1クラッド層の上に形成されたコア層と、
前記第1クラッド層の上に形成され、前記コア層を選択的に被覆する第2クラッド層と、
前記第1クラッド層の上に、前記コア層と離隔して形成された1又は複数の台座と、
シリコンフォトニクスチップと、を有し、
前記コア層の長手方向の一端、及び前記台座は、前記第2クラッド層から露出する部品搭載領域に配置され、
前記台座は、前記コア層と同一材料により、前記コア層と同一厚さに形成され、
前記シリコンフォトニクスチップは、前記部品搭載領域に、前記コア層の前記一端、及び前記台座の、それぞれの少なくとも一部と接して配置され、前記コア層と光結合している、光導波路装置。
【請求項5】
前記配線基板は、前記部品搭載領域に、接続端子となる電極を有し、
前記配線基板の電極は、前記第1クラッド層に設けられた開口部内に露出し、
前記シリコンフォトニクスチップの電極は、前記配線基板の電極と電気的に接続されている、請求項4に記載の光導波路装置。
【請求項6】
前記台座の少なくとも1つは、平面視で、前記配線基板の電極を挟んで、前記コア層の前記一端と反対側に配置されている、請求項5に記載の光導波路装置。
【請求項7】
前記シリコンフォトニクスチップは、前記第1クラッド層と対向する面に4つの角部を備え、
前記台座は、少なくとも2つの前記角部と接する位置に1つずつ配置されている、請求項6に記載の光導波路装置。
【請求項8】
前記台座の少なくとも1つは、平面視で、前記シリコンフォトニクスチップと重なる領域と前記シリコンフォトニクスチップからはみ出る領域とを有する、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の光導波路装置。
【請求項9】
前記第1クラッド層と、前記シリコンフォトニクスチップとの間に、アンダーフィル樹脂が配置されている、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の光導波路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のコンピュータやデータ通信などの装置が設置されたデータセンター等において、シリコンフォトニクスチップと光導波路とを有する光導波路装置を用いて光信号の送受信が行われている。このような光導波路装置では、光導波路のコア層とシリコンフォトニクスチップのシリコン導波路とが光結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光導波路装置では、光導波路のコア層と、シリコンフォトニクスチップのシリコン導波路との高さ合わせが困難である。そのため、シリコンフォトニクスチップが、コア層の上面に対して傾いて搭載される場合があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シリコンフォトニクスチップがコア層の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減可能な光導波路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本光導波路装置は、配線基板と、前記配線基板の上に形成された第1クラッド層と、前記第1クラッド層の上に形成されたコア層と、前記第1クラッド層の上に形成され、前記コア層を選択的に被覆する第2クラッド層と、前記第1クラッド層の上に、前記コア層と離隔して形成された1又は複数の台座と、を有し、前記コア層の長手方向の一端、及び前記台座は、前記第2クラッド層から露出する部品搭載領域に配置され、前記台座は、前記コア層と同一材料により、前記コア層と同一厚さに形成されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、シリコンフォトニクスチップがコア層の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減可能な光導波路装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る光導波路装置を例示する図である。
【
図2】第1実施形態に係る光導波路装置の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る光導波路装置の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第2実施形態に係る光導波路装置を例示する図である。
【
図5】第2実施形態に係る光導波路装置の製造工程を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[光導波路装置]
図1は、第1実施形態に係る光導波路装置を例示する図であり、
図1(a)は、平面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0011】
図1を参照すると、光導波路装置1は、配線基板10と、光導波路20と、台座30とを有する。
図1(a)では、便宜上、台座30をドットパターンで示している。
【0012】
配線基板10は、基部11と、電極12とを有する。基部11は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂材料から形成される。基部11は、ガラスクロス等の補強部材を有していてもよい。基部11は、1以上の絶縁層と1以上の配線層との積層構造であってもよい。電極12は、接続端子として使用することができる。電極12は、例えば、銅等から形成することができる。電極12上に金層等の表面処理層が形成されてもよい。
【0013】
配線基板10は、剛性の強いリジッド基板であってもよく、剛性の弱いフレキシブル基板であってもよい。配線基板10は、例えば、ビルドアップ基板、シリコン基板、セラミック基板等である。
【0014】
光導波路20は、第1クラッド層21と、コア層22と、第2クラッド層23とを有する。
【0015】
第1クラッド層21は、配線基板10の上に形成されている。第1クラッド層21の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。第1クラッド層21の屈折率は、例えば、1.5程度とすることができる。第1クラッド層21は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリノルボルネン樹脂等の感光性樹脂から形成することができる。
【0016】
コア層22は、第1クラッド層21の上に形成されている。コア層22の幅は、例えば、5μm~10μm程度とすることができる。コア層22の厚さは、例えば、5μm~10μm程度とすることができる。コア層22の屈折率は、第1クラッド層21及び第2クラッド層23の屈折率よりも高く、例えば、1.6程度とすることができる。コア層22は、例えば、第1クラッド層21の材料として例示した中から適宜選択した材料により形成することができる。
【0017】
なお、光導波路装置1では4個のコア層22が所定間隔で並置されている構造を示しているが、複数のコア層22が所定間隔で並置されている構造、あるいは1個のコア層22のみが設けられた構造であってもよい。又、コア層22は直線状に形成しなくてもよく、湾曲する部分を含んでいてもよい。隣接するコア層22の間隔は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
【0018】
第2クラッド層23は、第1クラッド層21の上に形成され、コア層22を選択的に被覆する。第2クラッド層23の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。第2クラッド層23の屈折率は、例えば、1.5程度とすることができる。第2クラッド層23は、硬化した感光性樹脂である。第2クラッド層23は、例えば、第1クラッド層21の材料として例示した中から適宜選択した材料により形成することができる。
【0019】
1又は複数の台座30は、第1クラッド層21の上に、コア層22と離隔して形成されている。
図1の例では、第1クラッド層21の上に、4つの台座30が形成されている。各々の台座30は、コア層22と同一材料により、コア層22と同一厚さに形成されている。なお、これは、台座30とコア層22とが設計上同一厚さであることを意味し、両者の厚さにフォトリソグラフィ法による製造上のばらつき程度の誤差があっても同一厚さの範囲内とする。
【0020】
光導波路装置1は、第2クラッド層23から露出する部品搭載領域Eを備えている。部品搭載領域Eには、コア層22の長手方向の一端、及び各々の台座30が配置されている。また、部品搭載領域Eには、配線基板10の電極12が配置されている。部品搭載領域Eにおいて、電極12は、第1クラッド層21に設けられた開口部21x内に露出している。
【0021】
部品搭載領域Eは、後述のように、シリコンフォトニクスチップが搭載される予定の領域である。シリコンフォトニクスチップは、部品搭載領域Eにおいて、コア層22の長手方向の一端、及び台座30の上に配置される。コア層22と台座30とは同一平面(第1クラッド層21の上面)に形成され同一厚さであるため、シリコンフォトニクスチップがコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減できる。
【0022】
また、シリコンフォトニクスチップは、コア層22の長手方向の一端、及び台座30の上に配置されるため、シリコンフォトニクスチップからの応力はコア層22と台座30とで分散される。その結果、シリコンフォトニクスチップからの応力によりコア層22が破壊されるおそれを低減できる。
【0023】
[光導波路装置の製造方法]
次に、光導波路装置1の製造方法について説明する。
図2及び
図3は、第1実施形態に係る光導波路装置の製造工程を例示する図である。
【0024】
第1実施形態に係る光導波路装置の製造方法では、
図2に示すように、まず、基部11及び電極12を有する配線基板10を準備する。配線基板10は、例えば、複数の製品領域Rが区画された多面取り用の大型基板であり、最終的に製品領域Rの外周部に沿って切断されて個々の光導波路装置が得られる。配線基板10は、剛性の強いリジッド基板であってもよく、剛性の弱いフレキシブル基板であってもよい。配線基板10は、例えば、ビルドアップ基板、シリコン基板、セラミック基板等である。
【0025】
図3は、1つの製品領域Rにおいて、
図1(b)に相当する断面を示している。
図3(a)に示す工程では、配線基板10の上に第1クラッド層21を形成する。第1クラッド層21は、感光性樹脂に紫外光を照射した後に、150℃~200℃の温度で加熱処理して、感光性樹脂を硬化させることにより得られる。
【0026】
第1クラッド層21は、
図2に示した複数の製品領域Rが区画された配線基板10の全面に形成される。第1クラッド層21をパターニングして外形を調整する場合は、フォトマスクを介して感光性樹脂に紫外線を照射し、現像することにより第1クラッド層21が得られる。
【0027】
感光性樹脂の形成方法としては、樹脂シートを貼付してもよいし、あるいは、液状樹脂を塗布してもよい。第1クラッド層21の厚さは、例えば、10μm~30μm程度である。
【0028】
次に、
図3(b)に示す工程では、第1クラッド層21の上に、並置された複数の細長状のコア層22、及び台座30を形成する。具体的には、第1クラッド層21の上にコア層22及び台座30を得るための感光性樹脂を形成し、フォトマスクを介して感光性樹脂に紫外線を照射し、現像した後に、感光性樹脂を150℃~200℃程度の温度で加熱処理することにより硬化させる。
【0029】
これにより、複数のコア層22が第1クラッド層21の上に帯状パターンとして並んで配置される。また、第1クラッド層21の上に台座30がコア層22と離隔して形成される。コア層22の幅は例えば5μm~10μmに設定され、コア層22の厚さは例えば5μm~10μmに設定される。本実施形態では、シングルモードの光導波路を得るために、微小な断面積を有するコア層22が形成される。台座30の厚さは、コア層22の厚さと同様に例えば5μm~10μmに設定される。コア層22と離隔していれば、台座30の平面形状は、要求仕様に応じて任意に設定することができる。また、コア層22と離隔していれば、台座30の個数は、要求仕様に応じて任意に設定することができる。
【0030】
複数のコア層22は、前述した
図2の複数の製品領域Rの間の領域を跨ぐように各製品領域Rに横方向に延在して配置される。
【0031】
次に、
図3(c)に示す工程では、第1クラッド層21の上に第2クラッド層23を形成する。第2クラッド層23は、感光性樹脂に紫外光を照射した後に、150℃~200℃の温度で加熱処理して、感光性樹脂を硬化させることにより得られる。第2クラッド層23は、コア層22の上面及び側面を被覆した状態で上面が平坦になって形成される。
【0032】
第2クラッド層23は、
図2に示した複数の製品領域Rが区画された配線基板10の全面に形成される。その後、フォトマスクを介して感光性樹脂に紫外線を照射し、現像することにより。コア層22を選択的に被覆し台座30を露出する第2クラッド層23が得られる。第2クラッド層23から露出する領域は、部品搭載領域Eとなる。部品搭載領域Eには、コア層22の長手方向の一端、及び各々の台座30が配置される。
【0033】
この工程で、第1クラッド層21と、コア層22と、第2クラッド層23とにより、光導波路20が構築される。光導波路20では、コア層22の屈折率が第1クラッド層21及び第2クラッド層23の屈折率よりも高くなるように設定される。
【0034】
次に、
図3(d)に示す工程では、第1クラッド層21に、電極12を露出する開口部21xを形成する。電極12は、部品搭載領域Eに露出する。開口部21xは、例えば、レーザ加工法により形成することができる。開口部21xは、
図3(a)に示す工程で、フォトリソグラフィ法により形成してもよい。
【0035】
次に、
図3(d)に示す工程の後、各製品領域Rの外周部に沿って、第2クラッド層23、コア層22、第1クラッド層21及び配線基板10を切削装置の回転ブレードなどによって切断して個片化する。これにより、
図1に示す光導波路装置1が複数個完成する。
【0036】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、シリコン導波路と光結合された光導波路装置の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
【0037】
図4は、第2実施形態に係る光導波路装置を例示する図であり、
図4(a)は、平面図、
図4(b)は
図4(a)のB-B線に沿う断面図である。なお、
図4(a)では、
図4(b)に示すアンダーフィル樹脂60の図示が省略されている。
【0038】
図4を参照すると、光導波路装置2は、部品搭載領域Eにシリコンフォトニクスチップ40が搭載されている点が、光導波路装置1と相違する。
【0039】
シリコンフォトニクスチップ40は、シリコン基板41と、シリコン基板41の一方の面側に設けられた電極42とを備えている。また、シリコン基板41の一方の面側に、シリコン導波路が設けられている。シリコン導波路は、シリコンチップに作り込まれた微細な光導波路であり、シリコンチップに光回路などを集積化するシリコンフォトニクス技術に使用される。
【0040】
シリコン基板41の厚さは、例えば、100μm~800μm程度である。シリコン導波路は、例えば、シリコン基板41上に設けられた保護膜上に設けることができる。保護膜は、例えば、SiO2やSiOX等から形成することができる。保護膜の厚さは、例えば、2μm~6μm程度である。シリコン導波路は、シリコン基板41に埋め込まれていてもよい。電極42は、例えば、銅等により形成することができる。
【0041】
シリコンフォトニクスチップ40は、部品搭載領域Eに、シリコン導波路をコア層22の側に向けて配置されている。シリコンフォトニクスチップ40は、シリコン基板41の下面がコア層22の一端、及び台座30の、それぞれの少なくとも一部と接して配置され、シリコン導波路がコア層22と光結合している。シリコン導波路がシリコン基板41からコア層22側に突出している場合、シリコン導波路の一部又は全部はコア層22に埋め込まれてもよい。シリコン導波路において、コア層22の光結合する部分は、テーパー形状になっていてもよい。
【0042】
シリコンフォトニクスチップ40の電極42は、配線基板10の電極12と電気的に接続されている。電極42と電極12とは、例えば、はんだ等の接合部材50を介して電気的に接続することができる。電極42と電極12とは、例えば、金属接合等により直接接続されてもよい。
【0043】
台座30の少なくとも1つは、平面視で(第1クラッド層21の上面の法線方向から視て)、電極12を挟んで、コア層22の長手方向の一端と反対側に配置されていることが好ましい。このような配置により、台座30の少なくとも1つとコア層22の長手方向の一端との距離が離れるため、シリコンフォトニクスチップ40がコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減できる。これにより、シリコンフォトニクスチップ40とコア層22との間に、良好な光結合を実現できる。
【0044】
シリコンフォトニクスチップ40のシリコン基板41は、例えば、第1クラッド層21と対向する面に4つの角部を備える矩形状である。この場合、台座30は、平面視で、電極12を挟んで、コア層22の長手方向の一端と反対側において、少なくとも2つの角部と接する位置に1つずつ配置されていることが好ましい。このような配置により、シリコンフォトニクスチップ40がコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれをより低減できる。また、
図4に示す例のように、台座30は、4つの角部と接する位置に1つずつ配置されてもよい。このような配置により、シリコンフォトニクスチップ40がコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれをより低減できる。
【0045】
台座30の少なくとも1つは、平面視で、シリコンフォトニクスチップ40と重なる領域とシリコンフォトニクスチップ40からはみ出る領域とを有することが好ましい。台座30のすべては、平面視で、シリコンフォトニクスチップ40と重なる領域とシリコンフォトニクスチップ40からはみ出る領域とを有してもよい。台座30がシリコンフォトニクスチップ40からはみ出る領域を有することにより、シリコン基板41の第1クラッド層21と対向する面の最外部を保持できる。そのため、シリコンフォトニクスチップ40がコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれをより低減可能となる。
【0046】
また、光導波路装置2において、シリコンフォトニクスチップ40からの応力はコア層22と台座30とで分散されるため、シリコンフォトニクスチップ40からの応力によりコア層22が破壊されるおそれを低減できる。
【0047】
第1クラッド層21と、シリコンフォトニクスチップ40のシリコン基板41との間に、アンダーフィル樹脂60が配置されてもよい。アンダーフィル樹脂60は、少なくとも電極42の周囲を被覆することが好ましい。アンダーフィル樹脂60は、シリコン基板41の側面の一部又は全部を被覆してもよい。アンダーフィル樹脂60が設けられることにより、配線基板10とシリコンフォトニクスチップ40との接続信頼性を向上することができる。
【0048】
なお、光導波路装置2において、シリコンフォトニクスチップ40とコア層22とが光結合している側と反対側の端面(
図4の右側の端面)には、コネクタ等(図示せず)が結合されていてもよい。また、配線基板10において、シリコンフォトニクスチップ40とコア層22とが光結合している側と反対側(
図4の左側)には、半導体素子等が実装されていてもよい。
【0049】
図5は、第2実施形態に係る光導波路装置の製造工程を例示する図である。光導波路装置2を作製するには、まず、
図5(a)に示す工程では、第1実施形態で示した光導波路装置1を準備する。そして、開口部21x内に露出する電極12上に、はんだ等の接合部材50を配置する。
【0050】
次に、
図5(b)に示す工程では、部品搭載領域Eにシリコンフォトニクスチップ40を配置する。この際、半導体素子の実装等に用いられるアライメントマークを使用したアライメント手法等により、接合部材50上に電極42が位置し、コア層22上にシリコン導波路が位置するように、アライメントを行う。そして、接合部材50を溶融後凝固させ、接合部材50を介して、電極12と電極42とを接合する。シリコンフォトニクスチップ40のシリコン導波路は、コア層22と光結合される。
【0051】
この工程では、シリコンフォトニクスチップ40は、部品搭載領域Eにおいて、コア層22の長手方向の一端、及び台座30の上に配置される。コア層22と台座30とは同一平面(第1クラッド層21の上面)に形成され同一厚さであるため、シリコンフォトニクスチップ40がコア層22の上面に対して傾いて搭載されるおそれを低減できる。
【0052】
次に、
図5(c)に示す工程では、必要に応じ、第1クラッド層21とシリコンフォトニクスチップ40との間に、アンダーフィル樹脂60を配置する。アンダーフィル樹脂60の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。アンダーフィル樹脂60の材料としては、流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。高い流動性により、第1クラッド層21とシリコンフォトニクスチップ40との間にアンダーフィル樹脂60を充填しやすくなる。アンダーフィル樹脂60を硬化させることにより、光導波路装置2が完成する。
【0053】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1,2 光導波路装置
10 配線基板
11 基部
12 電極
20 光導波路
21 第1クラッド層
21x 開口部
22 コア層
23 第2クラッド層
30 台座
40 シリコンフォトニクスチップ
41 シリコン基板
42 電極
50 接合部材
60 アンダーフィル樹脂