(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165408
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス、連結ケーブル群、連結ケーブル群の製造方法及びワイヤーハーネスの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241121BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B60R16/02 621C
H02G3/04 087
B60R16/02 620J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081583
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】川村 恒久
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊亮
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
(57)【要約】
【課題】ケーブル群の配索構造の一部を簡略化できるワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスを構成する連結ケーブル群、連結ケーブル群の製造方法及びワイヤーハーネスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】車両に搭載された電気機器類Xに対して接続される複数の接続コネクタ21と、接続コネクタ21に収容される端子が端部に設けられた複数のケーブルを束ねたケーブル群22及びケーブル群40とを有し、電気機器類X同士を接続するワイヤーハーネス1は、接続コネクタ21が一端に備えられるとともに、他端に第一コネクタ23が備えられた複数の機器側ケーブル群2と、各機器側ケーブル群2同士を連結する連結ケーブル群3とが設けられ、連結ケーブル群3の端部に、機器側ケーブル群2に設けられた第一コネクタ23と連結する第二コネクタ30が備えられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電気機器類に対して接続される複数の接続コネクタと、前記接続コネクタに収容される端子が端部に設けられた複数のケーブルを束ねたケーブル群とを有し、前記電気機器類同士を接続するワイヤーハーネスであって、
前記接続コネクタが一端に備えられるとともに、他端に第一コネクタが備えられた複数の機器側ケーブル群と、
各機器側ケーブル群同士を連結する連結ケーブル群とが設けられ、
前記連結ケーブル群の端部に、前記機器側ケーブル群に設けられた前記第一コネクタと連結する第二コネクタが備えられた
ワイヤーハーネス。
【請求項2】
前記連結ケーブル群は、三以上の前記機器側ケーブル群同士を接続する
請求項1に記載のワイヤーハーネス。
【請求項3】
前記第二コネクタは、所定方向に積層できる積層コネクタで構成され、
前記積層コネクタと接続される複数の前記ケーブルをケーブル小群とするとともに、前記積層コネクタに接続された前記ケーブル小群をコネクタ付ケーブル小群とし、
前記連結ケーブル群は、
所定方向に積層された複数の前記コネクタ付ケーブル小群で構成された
請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項4】
前記連結ケーブル群は、前記ケーブル小群の配索経路に沿う配索部材が備えられ、
前記コネクタ付ケーブル小群が前記配索部材に積層されて配置された
請求項3に記載のワイヤーハーネス。
【請求項5】
前記連結ケーブル群は、積層された前記ケーブル小群と前記配索部材とを保持する保持部が備えられた
請求項4に記載のワイヤーハーネス。
【請求項6】
前記配索部材に、前記第二コネクタを固定するコネクタ固定部が設けられた
請求項4に記載のワイヤーハーネス。
【請求項7】
前記配索部材の少なくとも一部が、プロテクタで構成された
請求項4に記載のワイヤーハーネス。
【請求項8】
前記配索部材の少なくとも一部が、樹脂製シート材で構成された
請求項4に記載のワイヤーハーネス。
【請求項9】
前記連結ケーブル群を構成する前記ケーブルは、前記機器側ケーブル群のうちの少なくともひとつの前記機器側ケーブル群を構成する前記ケーブルの数以下の本数である
請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項10】
複数のケーブルを束ねたケーブル群と、
車両に搭載された電気機器類に対して接続される接続コネクタが端部に設けられるとともに、前記接続コネクタに収容される端子が一端に設けられた複数のケーブルを束ねた機器側ケーブル群の他端に設けられた第一コネクタと連結する第二コネクタとが備えられ、
前記第二コネクタを介して、前記機器側ケーブル群と連結することで、前記電気機器類同士を接続するワイヤーハーネスの一部を構成する
連結ケーブル群。
【請求項11】
前記第二コネクタは、所定方向に積層できる積層コネクタで構成され、
前記積層コネクタと接続される複数の前記ケーブルをケーブル小群とするとともに、前記積層コネクタに接続された前記ケーブル小群をコネクタ付ケーブル小群とし、
所定方向に積層された複数の前記コネクタ付ケーブル小群で構成された
請求項10に記載の連結ケーブル群。
【請求項12】
請求項11に記載の連結ケーブル群の製造方法であって、
複数のケーブルを前記積層コネクタに接続し、前記コネクタ付ケーブル小群を製造する接続工程と、
前記コネクタ付ケーブル小群を所定の方向に積層する積層工程を有する
連結ケーブル群の製造方法。
【請求項13】
前記ケーブル小群の配索経路に沿う配索部材を、所定の箇所に固定された配索治具に保持させる保持工程と、
積層された前記コネクタ付ケーブル小群を前記配索部材に配置する配置工程とをこの順で行う
請求項12に記載の連結ケーブル群の製造方法。
【請求項14】
前記配置工程において、前記配索部材に設けられたコネクタ固定部に前記積層コネクタを固定する
請求項13に記載の連結ケーブル群の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
前記機器側ケーブル群における他端に設けられた前記第一コネクタと、前記連結ケーブル群の端部に設けられた前記第二コネクタとを連結し、前記連結ケーブル群を介して各機器側ケーブル群同士を接続する連結工程を有する
ワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項16】
前記第二コネクタは、所定方向に積層できる積層コネクタで構成され、
前記連結ケーブル群は、
複数のケーブルで構成されたケーブル小群を、前記積層コネクタに接続し、コネクタ付ケーブル小群を製造する接続工程と、
前記コネクタ付ケーブル小群を所定の方向に積層する積層工程を有する
請求項15に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に搭載された電気機器類に接続されるワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスを構成する連結ケーブル群、連結ケーブル群の製造方法及びワイヤーハーネスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている電気機器類同士を電気的に接続する長尺状のワイヤーハーネスは、車両の凹凸形状に合わせて二次元的、又は、三次元的に複雑な配索経路で配索されている。そして、ワイヤーハーネスの端部には、例えば電気機器類と接続するための接続コネクタなどが接続されており、電気機器類に設けられた機器側接続部と接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、安全性や快適性を向上させることを目的として、車両に搭載される電気機器類は増加傾向にある。このため、車両に配索されるワイヤーハーネスも増加するとともに、関連する個々の電気機器類を電気的に接続する、あるいは通信するケーブル群の配索構造も複雑化するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、ケーブル群の配索構造の一部を簡略化できるワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスを構成する連結ケーブル群、連結ケーブル群の製造方法及びワイヤーハーネスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両に搭載された電気機器類に対して接続される複数の接続コネクタと、前記接続コネクタに収容される端子が端部に設けられた複数のケーブルを束ねたケーブル群とを有し、前記電気機器類同士を接続するワイヤーハーネスであって、前記接続コネクタが一端に備えられるとともに、他端に第一コネクタが備えられた複数の機器側ケーブル群と、各機器側ケーブル群同士を連結する連結ケーブル群とが設けられ、前記連結ケーブル群の端部に、前記機器側ケーブル群に設けられた前記第一コネクタと連結する第二コネクタが備えられたことを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、複数のケーブルを束ねたケーブル群と、車両に搭載された電気機器類に対して接続される接続コネクタが端部に設けられるとともに、前記接続コネクタに収容される端子が一端に設けられた複数のケーブルを束ねた機器側ケーブル群の他端に設けられた第一コネクタと連結する第二コネクタとが備えられ、前記第二コネクタを介して、前記機器側ケーブル群と連結することで、前記電気機器類同士を接続するワイヤーハーネスの一部を構成する連結ケーブル群であることを特徴とする。
【0008】
さらにまたこの発明は、上述のワイヤーハーネスの製造方法であって、前記機器側ケーブル群における他端に設けられた前記第一コネクタと、前記連結ケーブル群の端部に設けられた前記第二コネクタとを連結し、前記連結ケーブル群を介して各機器側ケーブル群同士を接続する連結工程を有することを特徴とする。
【0009】
前記ケーブルは、前記電気機器類同士を電気的に接続する導電線、ツイスト電線、フレキシブルフラットケーブルなどの電線や、前記電気機器類同士を通信する光ファイバーケーブルのような通信線を含む。
【0010】
この発明によると、ケーブル群の配索構造の一部を簡略化できる。
詳述すると、複数のケーブルと接続された第一コネクタと第二コネクタとを連結することにより、機器側ケーブル群同士は連結ケーブル群を介して接続される。ここで、接続コネクタを一端に有する機器側ケーブル群は、接続コネクタを電気機器類と接続する必要があるため、ケーブルの一端に備えられた接続コネクタの配置パターンが規定されている。しかしながら、第二コネクタによって機器側ケーブル群と連結される連結ケーブル群は、電気機器類と直接接続されていないため、接続コネクタのように第二コネクタの配置パターンが規定されることがない。したがって、連結ケーブル群は、ケーブルの配索構造を簡略化することができ、連結ケーブル群を容易に設計、製造することができる。
なお、上述のように、機器側ケーブル群から連結ケーブル群を分割できるため、連結ケーブル群の取扱性や組付性を向上させることができる。
【0011】
この発明の態様として、前記連結ケーブル群は、三以上の前記機器側ケーブル群同士を接続してもよい。
この発明によると、より複雑に規定される接続コネクタを備える機器側ケーブル群から連結ケーブル群を分割できるため、よりケーブル群の配索構造を簡素化することができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記第二コネクタは、所定方向に積層できる積層コネクタで構成され、前記積層コネクタと接続される複数の前記ケーブルをケーブル小群とするとともに、前記積層コネクタに接続された前記ケーブル小群をコネクタ付ケーブル小群とし、前記連結ケーブル群は、所定方向に積層された複数の前記コネクタ付ケーブル小群で構成されてもよい。
【0013】
この発明によると、例えば、第二コネクタに接続されるケーブル群の配索経路ごと、電線やツイスト電線、通信線などのようなケーブルの種類ごと、第一コネクタと接続した際に導通する電気機器類に接続されるケーブルごと、又は、ケーブルの外径ごとなどのように、それぞれの積層コネクタに接続するケーブルを所定のグループにグループ化されたケーブル小群とし、ケーブル小群をそれぞれの積層コネクタに接続させることができる。すなわち、グループ化されたケーブル小群を積層コネクタに対して個別に接続することができるため、積層コネクタにケーブルを接続する接続作業を簡略化することができる。
【0014】
また、グループ化されたケーブル小群が積層コネクタに接続されたコネクタ付ケーブル小群を所定方向に積層させるだけで、積層された積層コネクタで構成された第二コネクタを端部に有するとともに、ケーブル小群が所定方向に積層された連結ケーブル群を製造することができる。
【0015】
このように、適宜選択したケーブル小群のみを積層コネクタに接続させたコネクタ付ケーブル小群を製造する作業と、コネクタ付ケーブル小群を積層させて連結ケーブル群を製造する作業を分担できるため、連結ケーブル群をより容易に製造することができる。また、製造を自動化に適した連結ケーブル群とすることができる。
【0016】
また、連結ケーブル群は、グループ化したケーブル小群を積層コネクタに接続させたコネクタ付ケーブル小群を積層させた構成であるため、ケーブルをグループ化せずに第二コネクタに接続させた連結ケーブル群と比べて、低背化を図ることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記連結ケーブル群は、前記ケーブル小群の配索経路に沿う配索部材が備えられ、前記コネクタ付ケーブル小群が前記配索部材に積層されて配置されてもよい。
前記配索部材は、前記連結ケーブル群を収容できるプロテクタ、折り曲げが可能な樹脂製シートや硬質樹脂等で構成された板状の樹脂板などを含む。なお、前記配索部材は、前記プロテクタや前記樹脂板の組み合わせであってもよい。
【0018】
この発明によると、連結ケーブル群の配索経路に沿った配索部材に、コネクタ付ケーブル小群を積層させて配置できるため、コネクタ付ケーブル小群を所望の配索経路に規制させることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記連結ケーブル群は、積層された前記ケーブル小群と前記配索部材とを保持する保持部が備えられてもよい。
前記保持部は、前記ケーブル小群と前記配索部材とを一体に保持できればよく、例えば、結束バンドやテープなどを含む。
【0020】
この発明により、積層させて配索部材に配置させたコネクタ付ケーブル小群を、配索部材とともに保持することができるため、コネクタ付ケーブル小群を配索経路に沿ってより確実に規制することができる。また、連結ケーブル群を持ち運びする際に、配索経路に沿って規制させながら、コネクタ付ケーブル小群を積層させた連結ケーブル群が崩れることを抑制できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記配索部材に、前記第二コネクタを固定するコネクタ固定部が設けられてもよい。
この発明により、配索部材の端部に第二コネクタを固定できるため、より容易に第二コネクタを配索部材に配置させることができる。
【0022】
また、配索部材にコネクタ固定部を設けることにより、第二コネクタを確実に所定の位置に固定できるため、コネクタ付ケーブル小群の公差に影響されることなく、積層コネクタを積層させた第二コネクタを第一コネクタに対して接続することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記配索部材の少なくとも一部が、プロテクタで構成されていてもよい。
この発明により、コネクタ付ケーブル小群を保護できるとともに、所望の配索経路に規制することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記配索部材の少なくとも一部が、樹脂製シート材で構成されてもよい。
前記樹脂製シート材は、折り曲げが可能であれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂製シート材及び熱硬化性樹脂製シート材のいずれも含まれる。また、前記樹脂製シート材として、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。これにより、可撓性及び緩衝性に優れた前記ハーネス取付部材とすることができ、装着性や加工性をより向上することができる。
【0025】
この発明によると、樹脂製シート材で構成された配索部材が、プロテクタなどの成型に用いられるポリプロピレンなどの樹脂と比べて加工性に優れているとともに、軽量であるため、コネクタ付ケーブル小群を積層させた連結ケーブル群やワイヤーハーネスの生産性を向上させるとともに、軽量化を図ることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記連結ケーブル群を構成する前記ケーブルは、前記機器側ケーブル群のうちの少なくひとつの前記機器側ケーブル群を構成する前記ケーブルの数以下の本数であってもよい。
この発明により、連結ケーブル群を構成するケーブルの本数が削減できるため、連結ケーブル群をより簡略化できるとともに、より容易に連結ケーブル群を製造することができる。また、連結ケーブル群を構成するケーブルの本数を削減することにより、連結ケーブル群のコンパクト化を図ることができる。
【0027】
また上述の連結ケーブル群の製造方法として、複数のケーブルを前記積層コネクタに接続し、前記コネクタ付ケーブル小群を製造する接続工程と、前記コネクタ付ケーブル小群を所定の方向に積層する積層工程を有することを特徴とする。
【0028】
この発明によると、例えば、第二コネクタに接続されるケーブル群の配索経路ごとや、電線やツイスト電線、通信線などのようなケーブルの種類ごと、第一コネクタと接続した際に導通する電気機器類に接続されるケーブルごと、又は、ケーブルの外径ごとなどのように、それぞれの積層コネクタに接続するケーブルを所定のグループにグループ化されたケーブル小群とし、ケーブル小群をそれぞれの積層コネクタに接続させることができる。すなわち、グループ化されたケーブル小群を積層コネクタに対して個別に接続することができるため、積層コネクタにケーブルを接続する接続作業を簡略化することができる。
【0029】
また、グループ化されたケーブル小群を積層コネクタに接続されたコネクタ付ケーブル小群を所定方向に積層させるだけで、積層された積層コネクタで構成された第二コネクタを端部に有するとともに、ケーブル小群が所定方向に積層された連結ケーブル群を容易に製造することができる。
【0030】
このように、適宜選択したケーブル小群のみを積層コネクタに接続させたコネクタ付ケーブル小群を製造する作業と、コネクタ付ケーブル小群を積層させて連結ケーブル群を製造する作業を分担できるため、連結ケーブル群をより容易に製造することができる。また、製造を自動化に適した連結ケーブル群とすることができる。
【0031】
また、グループ化したケーブル小群を積層コネクタに接続させたコネクタ付ケーブル小群を積層させるだけで、ケーブルをグループ化せずに第二コネクタに接続させた場合と比べて、低背化された連結ケーブル群を製造することができる。
【0032】
また上述の連結ケーブル群の製造方法の態様として、前記ケーブル小群の配索経路に沿う配索部材を、所定の箇所に固定された配索治具に保持させる保持工程と、積層された前記コネクタ付ケーブル小群を前記配索部材に配置する配置工程とをこの順で行ってもよい。
【0033】
この発明により、連結ケーブル群を製造する過程において、配索治具に保持された配索部材に、ケーブル群を配置することができる。すなわち、ケーブル群の配索経路に沿った配索部材を所定の位置に配置できるため、配索部材の寸法を確認する必要がなく、連結ケーブル群を製造する作業の効率を向上させることができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記配置工程において、前記配索部材に設けられたコネクタ固定部に前記第二コネクタを固定してもよい。
この発明により、配索部材における所定箇所に第二コネクタを固定できるため、より容易に第二コネクタを配索部材に配置させることができる。したがって、容易に連結ケーブル群を製造することができる。
【0035】
また、配索部材にコネクタ固定部を設けることにより、コネクタ付ケーブル小群の公差に影響されることなく、第二コネクタの位置を確定できる。このため、積層コネクタを積層させた第二コネクタを確実に第一コネクタに対して接続できる連結ケーブル群を製造することができる。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、ケーブル群の配索構造の一部を簡略化できるワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスを構成する連結ケーブル群、連結ケーブル群の製造方法及びワイヤーハーネスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図4】連結ケーブル群を構成する複数のコネクタ付ケーブル群の概略斜視図。
【
図11】連結ケーブル群の製造方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明の一実施形態を、以下
図1乃至
図16とともに説明する。
図1はワイヤーハーネス1の概略模式図を示し、
図2は連結ケーブル群3の概略斜視図を示し、
図3は連結ケーブル群3の概略分解斜視図を示し、
図4は連結ケーブル群3を構成する複数のコネクタ付ケーブル群4を分離させた状態の概略斜視図を示し、
図5はコネクタ付ケーブル群4の概略斜視図を示し、
図6はコネクタ付ケーブル群4の概略分解斜視図を示す。なお、
図6において、第一積層コネクタ31などの構造を明確にするため、ハウジング37の図示を省略している。
【0039】
図7は第一積層コネクタ31の説明図を示し、
図8は第二積層コネクタ32の説明図を示す。
図9は規制部材5を構成する規制シート材50の説明図を示し、
図10はベース61の説明図を示す。
図7乃至
図10について詳述する。
図7(a)は第一積層コネクタ31の概略平面図を示し、
図7(b)は
図7(a)におけるA-A矢視断面図を示す。
図8(a)は第二積層コネクタ32の概略平面図を示し、
図8(b)は第二積層コネクタ32の概略側面図を示し、
図8(c)は
図8(a)におけるB-B矢視断面図を示す。
図9(a)は規制シート材50の概略正面図を示し、
図9(b)は
図9(a)におけるC-C矢視断面図を示す。なお、
図9(b)は規制シート材50の端面凹部521及び係止固定部53が設けられた位置を拡大して表示する。
図10(a)はベース61の概略平面図を示し、
図10(b)は
図10(a)におけるa部の拡大概略平面図を示し、
図10(c)はベース61の背面図を示す。
【0040】
図11は、連結ケーブル群3の製造方法のフローチャートを示し、
図12乃至
図16は機器側ケーブル群2の製造方法の説明図を示す。
図12乃至
図16について詳述する。
図12(a)は治具70が固定された配索盤80の概略斜視図を示し、
図12(b)は中央治具71bの概略斜視図を示し、
図12(c)は最も先端側LAに配置された中央治具71bに対応する箇所の概略断面図を示す。
図13(a)及び
図13(b)は配索盤80に固定された治具70に対して規制部材5を設置した状態の概略斜視図及び概略断面図を示す。
図14(a)及び
図14(b)は治具70に設置された規制部材5に第一ケーブル群4aを配置した状態の概略斜視図及び概略断面図を示す。
図15(a)及び
図15(b)は治具70に設置されたコネクタ付ケーブル群4に保持部材6を巻き回した状態の概略斜視図及び概略断面図を示す。
図16(a)及び
図16(b)は連結ケーブル群3を治具70から取り外した状態の概略斜視図及び概略断面図を示す。なお、
図13(b)、
図14(b)、
図15(b)及び
図16(b)は、
図12(c)に対応する箇所の概略断面図を示す。
【0041】
ここで、
図2中における上下方向を高さ方向Hとし、高さ方向Hと直交するとともに第一ケーブル群4aの延出する方向を長手方向Lとする。そして、長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向を幅方向Wとする。また、
図2において、長手方向Lに沿って左方を先端側LAとし、右方を後端側LBとし、高さ方向Hに沿って下方を下方側HDとし、上方を上方側HUとし、幅方向Wに沿って左側を左方側WLとし、幅方向Wに沿って右側を右方側WRとする。上述の方向は、
図3乃至
図16において対応する方向を同様とする。
【0042】
ワイヤーハーネス1は、例えば、インパネハーネスや、フロアハーネスなどの一部に用いられる。このワイヤーハーネス1は、
図1に示すように、車両に搭載された複数の電気機器類Xに対して接続される三つの機器側ケーブル群2と、三つの機器側ケーブル群2同士を連結する連結ケーブル群3とで構成されており、複数の電気機器類X同士を接続することができる。
【0043】
なお、機器側ケーブル群2は、
図1において、連結ケーブル群3を中心として左方向、右方向、及び下方向の3方向に配置されているが、連結ケーブル群3を中心として2方向でもよいし、4方向以上に機器側ケーブル群2が設けられていてもよい。
【0044】
機器側ケーブル群2は、
図1に示すように、車両に搭載された電気機器類Xに設けられた機器側コネクタX1に対して接続される複数の接続コネクタ21と、接続コネクタ21に収容される端子が端部に設けられた複数のケーブルを束ねた複数のケーブル群22と、ケーブル群22の他端側に設けられた第一コネクタ23とを有する。
【0045】
ケーブル群22は、電気機器類X同士を電気的に接続する導電線、ツイスト電線、フレキシブルフラットケーブルなどの電線や、前記電気機器類同士を通信する光ファイバーケーブルのような通信線などのケーブルを束ねて構成されており、それぞれのケーブルの一端には、接続コネクタ21に収容される端子が設けられ、他端には、第一コネクタ23に収容される端子が備えられている。
【0046】
このように構成された機器側ケーブル群2は、接続コネクタ21を電気機器類Xに設けられた機器側コネクタX1に接続する必要があるため、ケーブル群22の一端に設けられた接続コネクタ21の配置パターンが規定されている。すなわち、機器側ケーブル群2を構成するケーブル群22の配索構造も必然的に規定されている。
ここで、機器側ケーブル群2における第一コネクタ23の数は、途中にジョイントコネクタを設けることにより、接続コネクタ21の数よりも少なくなるように設計されている。
【0047】
連結ケーブル群3は、
図2及び
図3に示すように、複数のケーブルで構成された三本のコネクタ付ケーブル群4と、コネクタ付ケーブル群4の配索経路を規制する規制部材5とで構成されている。なお、コネクタ付ケーブル群4と規制部材5とは、保持部材6などで保持されている。
【0048】
ここで、先端側LAにおいて幅方向Wに沿って並んだ三本のコネクタ付ケーブル群4のうち、右方側WRに配置されたコネクタ付ケーブル群4を第一ケーブル群4aとし、第一ケーブル群4aの隣に配置されたコネクタ付ケーブル群4を第二ケーブル群4bとする。また、第二ケーブル群4bの左方側WLに配置されたコネクタ付ケーブル群4を第三ケーブル群4cとする。
【0049】
このように第一ケーブル群4aの左方側WLに配置される第二ケーブル群4b及び第三ケーブル群4cは、
図3及び
図4に示すように、後端側LBの端部近傍が右方側WRに向けて湾曲している。より詳しくは、第二ケーブル群4b及び第三ケーブル群4cの先端部分は、後端側LBに向かうに伴い上方側HUに傾斜するように、長手方向Lに沿って延びている。そして、第二ケーブル群4b及び第三ケーブル群4cの後端側LBの端部近傍部分は、第一ケーブル群4aの上方側HUを跨ぐように、第一ケーブル群4aの上方側HUを湾曲しながら幅方向Wに沿って延びている。
【0050】
以下、第一ケーブル群4aに基づいて、コネクタ付ケーブル群4について説明する。
コネクタ付ケーブル群4は、
図5に示すように、第一コネクタ23と接続できる第二コネクタ30と、第二コネクタ30が両端に接続されたケーブル群40とで構成されている。
【0051】
第二コネクタ30は、
図5及び
図6に示すように、高さ方向Hに積層することができる第一積層コネクタ31と、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33と、第四積層コネクタ34と、積層カバー35とを積層させたコネクタ群36と、コネクタ群36を収容するハウジング37とで構成されている。
【0052】
第一積層コネクタ31は、
図6及び
図7に示すように、扁平な直方体であり、長手方向Lに沿って貫通する挿通孔が幅方向Wに沿って複数並んで設けられている。この第一積層コネクタ31に設けられた挿通孔の長手方向Lの一方側には、後述する第一導電線41の先端に接続された端子を収容することができ、挿通孔の長手方向Lの他方側には、第一コネクタ23に収容された対応する端子を挿入可能に構成されている。
このように構成された第一積層コネクタ31の上面には、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、長手方向Lの中央部分を下方側HDに向けて窪ませた第一凹部311が設けられている。
【0053】
第二積層コネクタ32は、第一積層コネクタ31と略同じ構成をしている。すなわち、第二積層コネクタ32は、
図6及び
図8に示すように、扁平な直方体であり、長手方向Lに沿って貫通する挿通孔が幅方向Wに沿って複数並んで設けられている。この第二積層コネクタ32に設けられた挿通孔の長手方向Lの一方側には、第一積層コネクタ31と同様に、第一導電線41の先端に接続された端子を収容することができ、挿通孔の長手方向Lの他方側には、第一コネクタ23に収容された対応する端子を挿入可能に構成されている。
【0054】
このように構成された第二積層コネクタ32の上面には、
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、長手方向Lの中央部分を下方側HDに向けて窪ませた第二凹部321が設けられ、第一積層コネクタ31の下面には、長手方向Lの中央部分から下方側HDに向けて突出する第二突部322が設けられている。このように構成された第二突部322は、第一凹部311の長手方向Lに沿った長さと等しい板厚を有しており、第一凹部311に嵌合可能に構成されている。
【0055】
第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34は、幅方向Wに沿った挿通孔の大きさが、第二積層コネクタ32に比べて大きいことを除き、第二積層コネクタ32と略同じ構成をしている。すなわち、第三積層コネクタ33の上面には、長手方向Lの中央部分を下方側HDに向けて窪ませて第三凹部331が設けられている(
図6参照)。また、第三積層コネクタ33の底面には、第二積層コネクタ32に設けられた第二凹部321に嵌合可能な凸部(図示省略)が設けられている。
【0056】
同様に、第四積層コネクタ34の上面には、長手方向Lの中央部分を下方側HDに向けて窪ませた第四凹部341が設けられている(
図6参照)。また、第四積層コネクタ34の底面には、第二積層コネクタ32に設けられた第三凹部331に嵌合可能な凸部(図示省略)が設けられている。
積層カバー35は、下方側HDの主面における長手方向Lの中央部分に、第四凹部341と嵌合可能な凸部(図示省略)が設けられている平板体である。
【0057】
このように構成された第一積層コネクタ31の第一凹部311に第二突部322を挿入することで、第一積層コネクタ31と第二積層コネクタ32とを積層させることができる。同様に、第二積層コネクタ32に対して第三積層コネクタ33、第三積層コネクタ33に対して第四積層コネクタ34を積層させることができる。そして、第四積層コネクタ34に対して積層カバー35を積層させることができる。これにより、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33,第四積層コネクタ34、積層カバー35を積層させたコネクタ群36を製造することができる。
【0058】
ハウジング37は、長手方向Lに沿って貫通する挿通孔を有する略長方形状の筒状体である。より詳しくは、ハウジング37は、長手方向Lの一方側が長手方向Lの他方側よりも一回り小さな長方形状をしている。すなわち、ハウジング37は、長手方向Lに沿って段差状となっている。
【0059】
このハウジング37の長手方向Lの一方側には、コネクタ群36の外形と略同じ形状の収容空間が形成されている。このため、長手方向Lの一方側にコネクタ群36を収納することができる(
図5参照)。また、長手方向Lの他方側には、第一コネクタ23の外形と略同じ形状の収容空間が形成されており、第一コネクタ23の一部を挿入することができる。このように、ハウジング37にコネクタ群36を収容した状態において、長手方向Lの他方側から第一コネクタ23を挿入することで、コネクタ群36及び第一コネクタ23に収納された端子同士を接続することができる。
【0060】
なお、本実施形態において、第二コネクタ30は、高さ方向Hに積層できる第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33、第四積層コネクタ34とで構成されているが、この構成に限らない。例えば、第二コネクタ30は、ワイヤーハーネス1の設計に合わせて、第一積層コネクタ31と第三積層コネクタ33のように二つのみを積層させてもよいし、五つ以上を積層させてもよい。
【0061】
ケーブル群40は、導電性を有する電線で構成された複数の第一導電線41と、第一導電線41よりも太径の電線である複数の第二導電線42と、光ファイバーケーブルで構成された複数の通信ケーブル43とで構成されている。
【0062】
第一導電線41の両端には、第一積層コネクタ31及び第二積層コネクタ32に設けられた挿通孔に、長手方向Lの一方側から挿通できる端子が備えられている。同様に、第二導電線42は、第三積層コネクタ33に設けられた挿通孔に、長手方向Lの一方側から挿通できる端子が備えられ、通信ケーブル43は、第四積層コネクタ34に設けられた挿通孔に、長手方向Lの一方側から挿通できる端子が備えられている。
【0063】
なお、ケーブル群40を構成する第一導電線41、第二導電線42、通信ケーブル43の本数は、連結ケーブル群3の先端側LAに接続される機器側ケーブル群2を構成するケーブル群22のケーブルの数よりも少ない。
【0064】
規制部材5は、ケーブル群40を所望の配索経路に沿うように規制する。詳しくは、規制部材5は、第一ケーブル群4aの一部を長手方向Lに沿って規制する規制シート材50と、第一ケーブル群4aの先端部分及び第二ケーブル群4b及び第三ケーブル群4cの配索経路を規制するプロテクタ60とで構成されている(
図2及び
図3参照)。
【0065】
規制シート材50は、折り曲げが可能な可撓性を有する平板状の樹脂製シートを折り曲げて構成されている。
規制シート材50を構成する樹脂製シートは、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された熱可塑性樹脂発泡シートであり、所定の剛性を有し、かつ、可撓性や弾性、熱可塑性を有する。また、規制シート材50は、シート状に構成されているため、加工性に優れている。さらにまた、規制シート材50は、規制シート材50と同一形状の成型樹脂品(例えばポリプロピレン製)などと比べて軽量である。
【0066】
樹脂製シートを構成する樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、規制シート材50の設計の自由度を向上させ、また、規制シート材50に外装されたワイヤーハーネス1への応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m3以上1000Kg/m3以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m3以上600Kg/m3以下がより好ましく、350Kg/m3以上550Kg/m3以下が特に好ましい。
【0067】
また、樹脂製シートの厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、規制シート材50に外装されたワイヤーハーネス1への応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。
【0068】
すなわち、樹脂製シート(熱可塑性樹脂発泡シート)は、発泡層と発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、規制シート材50の機械的強度が向上して、外装されるワイヤーハーネス1の保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0069】
また、樹脂製シートの発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm3以上が好ましく、1000個/mm3以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm3以下を挙げることができる。
【0070】
このような樹脂製シートで構成される規制シート材50は、平板状の樹脂製シートにおける幅方向Wの両側部分を長手方向Lに沿って上方側HUに向けて折り曲げて形成された、長手方向Lから視て上方側HUが開放された正面視凹形状をしている。すなわち、規制シート材50は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、長手方向Lに沿った平板状の底部51と、底部51の幅方向Wの両端部分を上方側HUに折り曲げて形成された立設部52とで一体に構成されている。
【0071】
底部51は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、底部51の底面には、所定の間隔を隔てて係止固定部53が三つ設けられている。
係止固定部53は、いわゆるアンカーであり、底部51の底面から下方側HDに向けて延出する円柱状の挿入軸部531と、挿入軸部531の先端に設けられた一対の係止アーム532とを備えている。
【0072】
挿入軸部531は、底部51の底面から下方側HDに向けて延出する中空状の略円柱体であり、長手方向Lに沿って貫通させた側方貫通孔533が設けられている。
係止アーム532は、一端が挿入軸部531の下端と連結されているとともに、他端側に向かうに伴い長手方向Lに沿って外側に膨出している。この係止アーム532の膨出した先端部分には、挿入軸部531に向けて窪んだ係止凹部534が形成されており、パネルなどと係止可能に構成されている。
【0073】
立設部52は、
図9(b)に示すように、長手方向Lに沿った略長方形状の平板であり、上方側HUの端部には、下方側HDに向けて窪ませた端面凹部521が所定の間隔で設けられている。より詳しくは、端面凹部521は、立設部52の端部と長手方向Lの端部に配置された係止固定部53との中央部分、及び、係止固定部53同士の間に設けられている。
【0074】
プロテクタ60は、射出成型で形成された樹脂製の保護部材であり、上方側HUが開口したベース61と、ベース61の開口の一部分を覆うカバー62とで構成されている(
図2及び
図3参照)。
ベース61は、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、左方側WLの外縁が後端側LBに向かうに伴い右方側WRに向けて傾斜する平面視略台形状の底面部611と、底面部611の外縁から立設する側壁部612とを有する。
【0075】
このように構成されたベース61には、
図10(a)に示すように、第二コネクタ30を固定する複数のコネクタ固定部63と、規制シート材50を係止するシート係止部64が設けられている。
【0076】
コネクタ固定部63は、コネクタ群36を収容するハウジング37の長手方向Lの一方側を係止できる構造となっている。より詳しくは、コネクタ固定部63は、
図10(b)に示すように、ハウジング37の幅方向Wの長さと同じ長さだけ間隔を隔てるように、所定の長さだけ側壁部612の一部を内側に折り曲げて形成された一対の折り曲げ部631で構成されている。このように対となった折り曲げ部631は、ハウジング37の長手方向Lの一方側を挟み込むことで第二コネクタ30を係止できる。これにより、ハウジング37の長手方向Lの他方側を側壁部612よりも外側に突出させることができる。
【0077】
このように構成されたコネクタ固定部63は、
図10(a)に示すように、ベース61における先端側LAの端部に三つ設けられ、右方側WRにおける後端側LBの端部に二つ設けられている。なお、先端側LAに設けられた三つのコネクタ固定部63は幅方向Wに沿って配置され、後端側LBに設けられた二つのコネクタ固定部63は長手方向Lに沿って設けられている。
【0078】
シート係止部64は、先細りするベース61の後端側LBの端部に設けられている。詳述すると、シート係止部64は、
図10(b)及び
図10(c)に示すように、後端側LBに向けてわずかに突出する固定底部641と、固定底部641の幅方向Wの両端から立設する一対の固定側壁部642とで構成されている。
【0079】
固定底部641は、規制シート材50の幅方向Wの長さと同じ幅を有する平板であり、底面部611の一部を構成している。
固定側壁部642は、固定底部641の幅方向Wの両端から立設する壁であり、側壁部612と一体に構成されている。この固定側壁部642の内面には、立設部52を係止する係止突片643が設けられており、固定底部641に底部51を配置させた場合に立設部52の上端を係止することができる。
【0080】
カバー62は、ベース61の底面と略同じ形状をした蓋であり、ベース61に対して係止可能に構成されている。このように構成されたカバー62は、ベース61に対してカバー62を係止固定することにより、ベース61に配置される第一ケーブル群4a、第二ケーブル群4b、第三ケーブル群4c(第一ケーブル群4aなどとする。)を保護できることに加えて、第一ケーブル群4aなどがバラけることを抑制できるとともに、第一ケーブル群4aなどを低背化させることができる。
【0081】
次に、連結ケーブル群3の製造方法について、
図11乃至
図16に基づいて簡単に説明する。
連結ケーブル群3の製造方法は、
図11に示すように、第一積層コネクタ31や第三積層コネクタ33などに第一導電線41や第二導電線42などを接続する接続工程s1と、第一導電線41が接続された第一積層コネクタ31や第二積層コネクタ32などを積層させてコネクタ付ケーブル群4を製造する積層工程s2と、治具70が固定された配索盤80に対して規制部材5を設置する設置工程s3と、コネクタ付ケーブル群4を規制部材5に配置する配置工程s4と、コネクタ付ケーブル群4と規制部材5とを保持させる保持工程s5と、治具70からコネクタ付ケーブル群4と規制部材5とを取り外す取外工程s6とを有する。
【0082】
以下、各工程について説明する。
はじめに、第一積層コネクタ31の幅方向Wに沿って設けられた挿通孔に対して、長手方向Lの一方側から第一導電線41の先端に接続された端子を挿入して、収容する。なお、第一導電線41の両端において、同じ作業を行う。これにより、第一積層コネクタ31に対して複数の第一導電線41が幅方向Wに沿って接続されたコネクタ付ケーブル小群7(第一コネクタ付ケーブル小群7a)を製造することができる(
図6参照)。同様に、第二積層コネクタ32に対して複数の第一導電線41を接続して、コネクタ付ケーブル小群7(第二コネクタ付ケーブル小群7b)を製造する。また、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に対して複数の第二導電線42及び通信ケーブル43をそれぞれ接続して、コネクタ付ケーブル小群7(第三コネクタ付ケーブル小群7c及び第四コネクタ付ケーブル小群7d)を製造する(接続工程s1)。ここで、コネクタ付ケーブル小群7において、第一積層コネクタ31などに接続された複数の第一導電線41などを、ケーブル小群8とする。すなわち、ケーブル群40は、ケーブル小群8を積層させたものである(
図6参照)。
【0083】
次に、複数の第一導電線41が接続された第一積層コネクタ31に対して、複数の第一導電線41が接続された第二積層コネクタ32を上方側HUに積層させる。具体的には、第一凹部311に第二突部322を上方側HUから挿入することで、第一積層コネクタ31に対して第二積層コネクタ32を積層させることができる。これにより、第一積層コネクタ31に接続された第一導電線41の上方側HUに、第二積層コネクタ32に接続された第一導電線41が並列配置される。このように、第一積層コネクタ31と第二積層コネクタ32とを積層させることで、第一コネクタ付ケーブル小群7aに対して第二コネクタ付ケーブル小群7bを積層させることができる。
【0084】
同様に、第二積層コネクタ32に対して第三積層コネクタ33を積層させることで、第二コネクタ付ケーブル小群7bの上方側HUに第三コネクタ付ケーブル小群7cを積層させることができる。また、第三積層コネクタ33に対して第四積層コネクタ34を積層させることで、第三コネクタ付ケーブル小群7cの上方側HUに第四コネクタ付ケーブル小群7dを積層させることができる。そして、第四積層コネクタ34に対して積層カバー35を嵌合することにより、第四積層コネクタ34の上方側HUに設けられた第四凹部341を塞ぐことができる。
【0085】
そして、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33,第四積層コネクタ34、積層カバー35が積層されたコネクタ群36をハウジング37の一方側に収容することにより、複数のケーブル小群8が積層されたケーブル群40が第二コネクタ30に接続されたコネクタ付ケーブル群4を製造することができる。
【0086】
次に、コネクタ付ケーブル群4に対して規制部材5を組み付ける方法について詳述する。
はじめに、
図12(a)及び
図13(a)に示すように、配索盤80における所望の位置に固定された治具70に対して規制シート材50及びプロテクタ60を設置する。
【0087】
ここで、配索盤80は、設計に合わせて連結ケーブル群3を所望の配索経路に沿って配索するための配索板であり、治具70を組み付けるための被固定部(図示省略)が複数設けられている。
治具70は、
図12(a)に示すように、設計に合わせて連結ケーブル群3を所望の配索経路となるように、規制部材5を保持する補助具であり、規制シート材50を設置するシート用治具71と、プロテクタ60を設置するプロテクタ用治具72とで構成されている。
【0088】
シート用治具71は、上方側HUが開口した正面視凹状の台であり、規制シート材50の幅長さと略等しい幅を有する中空状の配置部711と、配置部711から上方側HUに向けて延出する延出片712とを有する。より詳しくは、シート用治具71として、
図12(a)に示すように、規制シート材50の後端側LBの端部を配置する端部治具71aと、所定の間隔を隔てて配置された複数の中央治具71bとがある。
【0089】
ここで、端部治具71aは、中央治具71bと比べて配置部711が長手方向Lに向けて延出しており、ハウジング37の長手方向Lの他方側を配置することができる。一方で、中央治具71bにおける配置部711には、
図12(b)に示すように、平面視長孔状に形成された凹部713が設けられているとともに、延出片712には、配置部711に底部51を配置した場合に、立設部52を係止して保持する係止保持部714が設けられている。
凹部713は、配置部711の中央部分を下方側HDに窪ませて形成されており、係止固定部53を挿通して係止することができる(
図13(b)参照)。
【0090】
プロテクタ用治具72は、
図12(a)に示すように、プロテクタ60を設置可能に構成された台であり、プロテクタ60の外形に合わせた凹状の窪み部721と、ハウジング37の一部を配置可能に構成されたコネクタ配置部722とを有している。なお、プロテクタ用治具72として、プロテクタ60の先端部分、すなわち、平面視略矩形状に窪ませた凹状の窪み部721を有する先端側治具72aと、プロテクタ60の後端部分、すなわち、平面視略三角形状に窪ませた凹状の窪み部721を有する後端側治具72bとがある。
【0091】
このように構成されたシート用治具71は、端部治具71a及び中央治具71bが長手方向Lに沿って一直線状となるように、配索盤80に固定されている。また、中央治具71bの先端側LAに端部治具71a及び後端側治具72bが配置される。すなわち、先端側LAから後端側LBに向けて先端側治具72a、後端側治具72b、先端側治具72a、後端側治具72bがこの順で長手方向Lに沿って配置されている(
図12(a)参照)。
【0092】
このような位置関係で配索盤80に固定された治具70に対して、規制部材5を設置する。より詳しくは、
図12及び
図13に示すように、先端側治具72aの窪み部721に対してプロテクタ60の先端部分を嵌合するとともに、後端側治具72bの窪み部721に対してプロテクタ60の後端部分を嵌合する。これにより、コネクタ配置部722に対応する位置にコネクタ固定部63が配置される。
【0093】
また、プロテクタ用治具72に設置されたプロテクタ60のシート係止部64に、規制シート材50の先端部分を設置するとともに、規制シート材50の後端部分を端部治具71aに設置し、規制シート材50の中央部分を所定の間隔を隔てた中央治具71bに設置する(設置工程s3)。
【0094】
この際、
図12(c)及び
図13(b)に示すように、係止固定部53を凹部713に係止固定させることができるため、規制シート材50を確実に治具70に固定することができる。このように、係止固定部53を凹部713に係止固定させることで、規制シート材50の公差に影響されることなく、規制シート材50を配置することができる。
【0095】
次に、
図13及び
図14に示すように、治具70に設置された規制シート材50及びプロテクタ60に対してコネクタ付ケーブル群4を配置する(配置工程s4)。
詳しくは、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、先端側治具72a及び後端側治具72bに嵌合するように設置されたプロテクタ60における先端側LAに設けられた複数のコネクタ固定部63のうち、最も左方側WLに設けられたコネクタ固定部63に第一ケーブル群4aの先端側LAに接続された第二コネクタ30を一対の折り曲げ部631で挟み込んで、固定するとともに、端部治具71aに配置された規制シート材50の後端側LB端部に第一ケーブル群4aの後端側LBに接続された第二コネクタ30を配置する。これにより、第一ケーブル群4aが長手方向Lに沿って配索されるとともに(
図14参照)、プロテクタ60に固定された第二コネクタ30の先端部分がコネクタ配置部722に配置される。
【0096】
次に、プロテクタ60における先端側LAに設けられた複数のコネクタ固定部63のうち、幅方向Wの中央に設けられたコネクタ固定部63に第二ケーブル群4bの先端側LAに接続された第二コネクタ30を一対の折り曲げ部631で挟み込んで、固定する。そして、第一ケーブル群4aに沿って第二ケーブル群4bを配索するとともに、第一ケーブル群4aを右方側WRから左方側WLに跨ぐように第二ケーブル群4bを湾曲させ、第二ケーブル群4bの先端側LAに接続された第二コネクタ30を、左方側WLに設けられたコネクタ固定部63のうち先端側LAのコネクタ固定部63に固定する。
【0097】
同様に、
図14(a)に示すように、プロテクタ60における先端側LAに設けられたコネクタ固定部63のうち、右方側WRに設けられたコネクタ固定部63に第三ケーブル群4cの先端側LAに接続された第二コネクタ30を一対の折り曲げ部631で挟み込んで、固定する。そして、第一ケーブル群4aを右方側WRから左方側WLに跨ぐように、第二ケーブル群4bに第三ケーブル群4cを沿わせて配索し、第三ケーブル群4cの先端側LAに接続された第二コネクタ30を、左方側WLに設けられたコネクタ固定部63のうち後端側LBのコネクタ固定部63に固定する(
図15参照)。
【0098】
このように、第二コネクタ30をコネクタ固定部63に固定することにより、保持部材6の公差に影響されることなく、第二コネクタ30を第一コネクタ23に接続できる位置に配置することができるため、連結ケーブル群3の製造の作業性を向上させることができる。
【0099】
次に、
図15(a)及び
図15(b)に示すように、第一ケーブル群4a、第二ケーブル群4b、第三ケーブル群4cが規制シート材50及びプロテクタ60に配置された状態において、端面凹部521に対応する位置に結束バンドなどの保持部材6を規制シート材50と第一ケーブル群4aとに巻き付けるとともに、ベース61に対してカバー62を係止固定する(保持工程s5)。
【0100】
このように、第一ケーブル群4a、第二ケーブル群4b、第三ケーブル群4cを配置したベース61に対してカバー62を係止固定することにより、ベース61に配置された第一ケーブル群4a、第二ケーブル群4b、第三ケーブル群4c(第一ケーブル群4aなどとする。)を保護できることに加えて、第一ケーブル群4aなどがバラけることを抑制できるとともに、第一ケーブル群4aなどを低背化させることができる。
【0101】
そして、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、コネクタ付ケーブル群4及び規制部材5を治具70から取り外すことで(取外工程s6)、コネクタ付ケーブル群4と規制部材5とが組み付けられた連結ケーブル群3を製造することができる。
【0102】
このように、高さ方向Hに沿って積層された複数の保持部材6で構成された連結ケーブル群3は、コネクタ付ケーブル群4と規制部材5とが組み付けられているとともに、保持部材6で複数のコネクタ付ケーブル群4を規制シート材50に巻き回されている。このため、ケーブル群40を所望の配索経路に沿ってより確実に規制することができる。また、連結ケーブル群3を持ち運びする際に、コネクタ付ケーブル小群7が崩れることを抑制できるため、持ち運びによる影響を抑制できる。このため、例えば、連結ケーブル群3を輸送する際や、同じ工場内において場所を移動させる場合などにコネクタ付ケーブル小群7が崩れることを抑制できる。このように連結ケーブル群3の形状を維持することができるため、連結ケーブル群3の製造の自動化にも適している。
【0103】
このように製造された連結ケーブル群3は、他の場所で製造された機器側ケーブル群2の第一コネクタ23と第二コネクタ30とを連結することで、機器側ケーブル群2と複数の連結ケーブル群3とが接続される。すなわち、連結ケーブル群3を介して電気機器類X同士を接続することができるワイヤーハーネス1を製造することができる。
【0104】
このように、車両に搭載された電気機器類Xに対して接続される複数の接続コネクタ21と、接続コネクタ21に収容される端子が端部に設けられた複数のケーブルを束ねたケーブル群22及びケーブル群40とを有し、電気機器類X同士を接続するワイヤーハーネス1は、接続コネクタ21が一端に備えられるとともに、他端に第一コネクタ23が備えられた複数の機器側ケーブル群2と、各機器側ケーブル群2同士を連結する連結ケーブル群3とが設けられ、連結ケーブル群3の端部に、機器側ケーブル群2に設けられた第一コネクタ23と連結する第二コネクタ30が備えられている。
【0105】
すなわち、連結ケーブル群3は、複数のケーブルを束ねたケーブル群40と、車両に搭載された電気機器類Xに対して接続される接続コネクタ21が端部に設けられるとともに、接続コネクタ21に収容される端子が一端に設けられた複数のケーブルを束ねた機器側ケーブル群2の他端に設けられた第一コネクタ23と連結する第二コネクタ30とが備えられ、第二コネクタ30を介して、機器側ケーブル群2と連結することで、電気機器類X同士を接続するワイヤーハーネス1の一部を構成する。
【0106】
また、ワイヤーハーネス1の製造方法は、機器側ケーブル群2における他端に設けられた第一コネクタ23と、連結ケーブル群3の端部に設けられた第二コネクタ30とを連結し、連結ケーブル群3を介して各機器側ケーブル群2同士を接続する連結工程を有する。
【0107】
このように構成されたワイヤーハーネス1は、ケーブル群40の配索構造の一部を簡略化できる。
詳述すると、複数のケーブルと接続された第一コネクタ23と第二コネクタ30とを連結することにより、機器側ケーブル群2同士は連結ケーブル群3を介して接続される。ここで、接続コネクタ21を一端に有する機器側ケーブル群2は、接続コネクタ21を電気機器類Xと接続する必要があるため、ケーブルの一端に備えられた接続コネクタ21の配置パターンが規定されている。しかしながら、第二コネクタ30によって機器側ケーブル群2と連結される連結ケーブル群3は、電気機器類Xと直接接続されていないため、接続コネクタ21のように第二コネクタ30の配置パターンが規定されることがない。したがって、連結ケーブル群3では、ケーブルの配索構造を簡略化することができ、連結ケーブル群3を容易に設計、製造することができる。なお、上述のように、機器側ケーブル群2から連結ケーブル群3を分割できるため、連結ケーブル群3の取扱性や組付性を向上させることができる。すなわち、自動化に適した連結ケーブル群3とすることができる。
【0108】
また、連結ケーブル群3は、三以上の機器側ケーブル群2同士を接続している。これにより、より複雑に規定される接続コネクタ21を備える機器側ケーブル群2から連結ケーブル群3を分割できるため、よりケーブル群22及びケーブル群40の配索構造をより簡素化することができる。
【0109】
また、第二コネクタ30は、所定方向(高さ方向H)に積層できる第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34で構成され、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34と接続される複数のケーブル(第一導電線41、第二導電線42、通信ケーブル43)をケーブル小群8とするとともに、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続されたケーブル小群8をコネクタ付ケーブル小群7とし、連結ケーブル群3は、所定方向(高さ方向H)に積層された複数のコネクタ付ケーブル小群7で構成されている。
【0110】
これにより、第二コネクタ30に接続されるケーブル群40の配索経路ごとや、電線やツイスト電線、通信線などのようなケーブルの種類ごと、第一コネクタ23と接続した際に導通する電気機器類Xに接続されるケーブルごと、又は、ケーブルの外径ごとなどのように、それぞれの第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続するケーブル(第一導電線41、第二導電線42、通信ケーブル43)を所定のグループにグループ化されたケーブル小群8とし、ケーブル小群8をそれぞれの第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させることができる。すなわち、グループ化されたケーブル小群8を第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に対して個別に接続することができるため、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34にケーブルを接続する接続作業を簡略化することができる。
【0111】
より具体的には、第一ケーブル群4a、第二ケーブル群4b、第三ケーブル群4cのように、第二コネクタ30に接続されるケーブル群40の配索経路ごとや、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続するケーブルを選択して接続できる。また、第一ケーブル群4aに設けられた第一積層コネクタ31及び第三積層コネクタ33などのように、対応するケーブル(第一導電線41、第二導電線42)などを選択的に接続するなど、目的に合わせてグループ化することができる。
【0112】
また、グループ化されたケーブル小群8が第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続されたコネクタ付ケーブル小群7を所定方向(高さ方向H)に積層させるだけで、積層された第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34で構成された第二コネクタ30を端部に有するとともに、ケーブル小群8が所定方向(高さ方向H)に積層された連結ケーブル群3を製造することができる。
【0113】
このように、適宜選択したケーブル小群8のみを第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させたコネクタ付ケーブル小群7を製造する作業と、コネクタ付ケーブル小群7を積層させて連結ケーブル群3を製造する作業を分担できるため、連結ケーブル群3をより容易に製造することができる。また、製造を自動化に適した連結ケーブル群3とすることができる。
【0114】
また、連結ケーブル群3は、グループ化したケーブル小群8が第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させたコネクタ付ケーブル小群7を積層させた構成であるため、ケーブルをグループ化せずに第二コネクタ30に接続させた連結ケーブル群3と比べて、低背化を図ることができる。
【0115】
また、連結ケーブル群3は、ケーブル小群8の配索経路に沿う規制部材5が備えられ、コネクタ付ケーブル小群7が規制部材5に積層されて配置されていることにより、連結ケーブル群3の配索経路に沿った規制部材5に、コネクタ付ケーブル小群7を積層させて配置できる。したがって、コネクタ付ケーブル小群7を積層させて構成されたコネクタ付ケーブル群4を所望の配索経路に規制させることができる。
【0116】
また、連結ケーブル群3は、積層されたケーブル小群8と規制シート材50とを保持する保持部材6が備えられていることにより、積層させて規制シート材50に配置させたコネクタ付ケーブル小群7(コネクタ付ケーブル群4)を、規制シート材50とともに保持することができるため、コネクタ付ケーブル小群7を配索経路に沿ってより確実に規制することができる。また、連結ケーブル群3を持ち運びする際に、配索経路に沿って規制させながら、コネクタ付ケーブル小群7を積層させた連結ケーブル群3が崩れることを抑制できる。
【0117】
さらにまた、規制部材5の少なくとも一部が、プロテクタ60で構成されていることにより、コネクタ付ケーブル小群7を保護できるとともに、所望の配索経路に規制することができる。
【0118】
また、規制部材5を構成するプロテクタ60には、第二コネクタ30を固定するコネクタ固定部63が設けられていることにより、プロテクタ60の端部に第二コネクタ30を固定できる。このため、より容易に第二コネクタ30をプロテクタ60に配置させることができる。
【0119】
さらにまた、プロテクタ60にコネクタ固定部63を設けることにより、第二コネクタ30を確実に所定の位置に固定できるため、コネクタ付ケーブル小群7の公差に影響されることなく、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34を積層させた第二コネクタ30を第一コネクタ23に対して接続することができる。
【0120】
さらにまた、規制部材5を構成する規制シート材50が、樹脂製シート材で構成されていることにより、樹脂製シート材で構成された規制シート材50が、プロテクタ60などの成型に用いられるポリプロピレンなどの樹脂と比べて加工性に優れているとともに、軽量である。このため、規制シート材50は、コネクタ付ケーブル小群7を積層させた連結ケーブル群3やワイヤーハーネス1の生産性を向上させるとともに、軽量化を図ることができる。
【0121】
さらにまた、連結ケーブル群3を構成するケーブル(第一導電線41、第二導電線42、通信ケーブル43)は、機器側ケーブル群2のうちの少なくともひとつの機器側ケーブル群2を構成するケーブルの数以下の本数である。これにより、連結ケーブル群3を構成するケーブルの本数が削減できるため、連結ケーブル群3をより簡略化できるとともに、より容易に連結ケーブル群3を製造することができる。また、連結ケーブル群3を構成するケーブルの本数を削減することにより、連結ケーブル群3のコンパクト化を図ることができる。
【0122】
また上述の連結ケーブル群3の製造方法として、複数のケーブルを第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続し、コネクタ付ケーブル小群7を製造する接続工程s1と、コネクタ付ケーブル小群7を所定の方向に積層する積層工程s2を有する。
【0123】
これにより、例えば、第二コネクタ30に接続されるケーブル群40の配索経路ごとや、電線やツイスト電線、通信線などのようなケーブルの種類ごと、第一コネクタ23と接続した際に導通する電気機器類Xに接続されるケーブルごと、又は、ケーブルの外径ごとなどのように、それぞれの第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続するケーブルを所定のグループにグループ化されたケーブル小群8とし、ケーブル小群8をそれぞれの第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させることができる。すなわち、グループ化されたケーブル小群8を第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に対して個別に接続することができるため、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34にケーブルを接続する接続作業を簡略化することができる。
【0124】
また、グループ化されたケーブル小群8が第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続されたコネクタ付ケーブル小群7を所定方向(高さ方向H)に積層させるだけで、積層された第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34で構成された第二コネクタ30を端部に有するとともに、ケーブル小群8が所定方向(高さ方向H)に積層された連結ケーブル群3を容易に製造することができる。
【0125】
このように、適宜選択したケーブル小群8のみを第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させたコネクタ付ケーブル小群7を製造する作業と、コネクタ付ケーブル小群7を積層させて連結ケーブル群3を製造する作業を分担できるため、連結ケーブル群3をより容易に製造することができる。また、製造を自動化に適した連結ケーブル群3とすることができる。
【0126】
また、グループ化したケーブル小群8が第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34に接続させたコネクタ付ケーブル小群7を積層させるだけで、ケーブルをグループ化せずに第二コネクタ30に接続させた場合と比べて、低背化された連結ケーブル群3を製造することができる。
【0127】
また連結ケーブル群3の製造方法は、積層工程s2の後に、ケーブル小群8の配索経路に沿う規制部材5を、所定の箇所に固定された治具70に保持させる設置工程s3と、積層されたコネクタ付ケーブル小群7を規制部材5に配置する配置工程s4とをこの順で行う。
【0128】
これにより、連結ケーブル群3を製造する過程において、治具70に保持させた規制部材5に、コネクタ付ケーブル群4を配置することができる。すなわち、ケーブル小群8の配索経路に沿った規制部材5を治具70に保持させることができるため、規制部材5の寸法を確認する必要がなく、連結ケーブル群3を製造する作業の効率を向上させることができる。
【0129】
また、配置工程s4において、プロテクタ60に設けられたコネクタ固定部63に第二コネクタ30を固定することにより、プロテクタ60における所定箇所に第二コネクタ30を固定できる。このため、より容易に第二コネクタ30を規制部材5に配置させることができる。したがって、容易に連結ケーブル群3を製造することができる。
【0130】
また、プロテクタ60にコネクタ固定部63を設けることにより、コネクタ付ケーブル小群7の公差に影響されることなく、第二コネクタ30の位置を確定できる。このため、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33及び第四積層コネクタ34を積層させた第二コネクタ30を確実に第一コネクタ23に対して接続することができる連結ケーブル群3を製造することができる。
【0131】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の積層コネクタは、第一積層コネクタ31、第二積層コネクタ32、第三積層コネクタ33、及び第四積層コネクタ34に対応し、以下同様に、
配索治具は、治具70に対応し、
配索部材は、規制部材5に対応し、
保持工程は、設置工程s3に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0132】
例えば、本実施形態において、規制部材5は、連結ケーブル群3を収容できるプロテクタ60、折り曲げが可能な樹脂製シートで構成された保持部材6以外にも、硬質樹脂等で構成された板状の樹脂板などとしてもよい。また、規制部材5は、これらの組み合わせとしてもよい。
【0133】
また、本実施形態において、ケーブル群40と規制シート材50とは保持部材6で保持されているが、例えば、テープやひもなど、ケーブル群40と規制シート材50とを保持できるものであれば、保持部材6に限定されない。
【0134】
また、本実施形態において、第一積層コネクタ31や第三積層コネクタ33に接続する第一導電線41や第二導電線42などは、配索経路と、ケーブルの種別、第一導電線41などの外径に基づいて接続するべき第一積層コネクタ31などを選択しているが、必ずしもこれらすべてを満たす必要はなく、例えば、配索経路のみ、又は、ケーブルの種別のみなどでグループ化してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…ワイヤーハーネス
2…機器側ケーブル群
3…連結ケーブル群
5…規制部材
6…保持部材
7…コネクタ付ケーブル小群
8…ケーブル小群
21…接続コネクタ
22…ケーブル群
23…第一コネクタ
30…第二コネクタ
31…第一積層コネクタ
32…第二積層コネクタ
33…第三積層コネクタ
34…第四積層コネクタ
40…ケーブル群
41…第一導電線
42…第二導電線
43…通信ケーブル
60…プロテクタ
63…コネクタ固定部
70…治具
s1…接続工程
s2…積層工程
s3…設置工程
s4…配置工程
H…高さ方向
X…電気機器類