(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165453
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
C09J 123/26 20060101AFI20241121BHJP
C08F 8/38 20060101ALI20241121BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C09J123/26
C08F8/38
C08F10/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081669
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】國脇 大樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 貴志
【テーマコード(参考)】
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J040DA181
4J040JA02
4J040JB01
4J040MA02
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA15
4J040PA30
4J040PA33
4J100AA02P
4J100AA03P
4J100AA03Q
4J100AG04Q
4J100BA57H
4J100CA01
4J100CA04
4J100CA31
4J100HA61
4J100HB04
4J100HB50
4J100HE14
4J100JA03
(57)【要約】
【課題】 基材との良好な接着性を有する接着剤、特に表面未改質の金属基材であっても、良好な接着を可能とする接着剤及びそれを接着相として含む積層体を提供する。
【解決手段】 塩素含有量5~50重量%、硫黄含有量0.2~6.0重量%であるクロロスルホン化ポリオレフィン。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有量5~50重量%、硫黄含有量0.2~6.0重量%であるクロロスルホン化ポリオレフィンである、金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
【請求項2】
クロロスルホン化ポリオレフィンが、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン-α-オレフィンコポリマー、クロロスルホン化ポリプロピレン、クロロスルホン化エチレン-プロピレンコポリマー及びクロロスルホン化リエチレン-酢酸ビニルコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のクロロスルホン化ポリオレフィンである、請求項1に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
【請求項3】
金属基材用である、請求項1に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
【請求項4】
金属基材用が、アルミニウム基材用、アルミニウム合金基材用、水酸化アルミニウム基材用及びベーマイト基材用からなる群より選択されるものである、請求項3に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンを含む接着相と金属基材とを含む、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に表面処理や表面改質等の処理を行っていない金属基材に接着を可能とする金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来金属の接合には溶接、リベット、ボルト接合などが主に用いられてきたが、今日の科学技術の進歩に伴い、要求される材料等の性能・機能が厳しくなると共に、異種材との接着が要求されており、これらの要求を達成する為、接着の技術が注目・進展されている。
【0003】
そして、接着技術に関する検討は古くから行われてきており、金属との接着メカニズムについては解析されてきている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
また、一方で、金属接着においては十分な接着力を確保するため様々な表面処理が必要とされている(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】表面技術66巻(2015)8号 338~341頁。
【非特許文献2】色材協会誌87巻(2014)8号 284~291頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献2に記載のように金属接着においては材料や使用方法に適した表面処理を選択することが必要であり、不適切な処理・未処理では接着剤が十分にその機能を発揮できないという現状があり、処理の選択が不要又は未処理であっても機能を十分に発揮する接着剤の出現が求められてきた。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は表面処理状況の影響を最小限のものとし良好な接着性を発揮することができる、金属接着用のクロロスルホン化ポリオレフィンを提供することを目的・効果とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明は以下[1]~[5]にかかるものである
[1] 塩素含有量5~50重量%、硫黄含有量0.2~6.0重量%であるクロロスルホン化ポリオレフィンである、金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
[2] クロロスルホン化ポリオレフィンが、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン-α-オレフィンコポリマー、クロロスルホン化ポリプロピレン、クロロスルホン化エチレン-プロピレンコポリマー及びクロロスルホン化リエチレン-酢酸ビニルコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のクロロスルホン化ポリオレフィンである、[1]に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
[3] 金属基材用である、[1]に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
[4] 金属基材用が、アルミニウム基材用、アルミニウム合金基材用、水酸化アルミニウム基材用及びベーマイト基材用からなる群より選択されるものである、[3]に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィン。
[5] [1]又は[2]に記載の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンを含む接着相と金属基材とを含む、積層体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは金属の表面加工無く良好な接着性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の一態様である金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、塩素含有量5~50重量%、硫黄含有量0.2~6.0重量%であるクロロスルホン化ポリオレフィンであり、特に金属基材との良好な接着性を発現することから塩素含有量10~40重量%、硫黄含有量0.5~5.0重量%のものであることが好ましい。ここで、塩素含有量5重量%未満、硫黄含有量0.2重量%未満のものである場合、接着剤とした際の接着性に劣るものとなる。また、塩素含有量50重量%を超える、硫黄含有量6.0重量%を超えるものである場合も接着剤とした際の接着性に劣るものとなる。
【0012】
また、上記金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、クロロスルホン化ポリオレフィンが、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン-α-オレフィンコポリマー、クロロスルホン化ポリプロピレン、クロロスルホン化エチレン-プロピレンコポリマー及びクロロスルホン化リエチレン-酢酸ビニルコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のクロロスルホン化ポリオレフィンであることが好ましい。
【0013】
上記金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、金属基材用であることが好ましく、金属基材用としては、アルミニウム基材用、アルミニウム合金基材用、水酸化アルミニウム基材用及びベーマイト基材用からなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0014】
上記金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、如何なる方法により得られたものであってもよく、例えばクロロスルホン化ポリオレフィンを構成する原料ポリオレフィンを塩素化及びクロロスルホン化することにより得ることができる。その際の原料ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、エチレン-α-オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等があげられ、これらを単独又は複数混合して用いることができる。その中でも金属基材との接着性、更にはその他被着体との複合化に優れるものとなることから、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン-α-オレフィンコポリマー、クロロスルホン化ポリプロピレン、クロロスルホン化エチレン-プロピレンコポリマー、クロロスルホン化エチレン-酢酸ビニルコポリマー等のクロロスルホン化ポリオレフィンが好ましい。
クロロスルホン化ポリオレフィンの調製方法としては、例えば原料ポリマーを溶剤に溶解し、選択した温度、圧力条件のもとクロロスルホン化剤を加えることでクロロスルホン化を行う溶液法を挙げることができる。
【0015】
溶液法でのクロロスルホン化に用いられる溶剤としては、特に限定されるものではなく、溶解性や反応性の点から四塩化炭素やトリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙げられ、特に良好な反応性となることからトリクロロエタンが好ましい。
また、クロロスルホン化する際のクロロスルホン化剤としては特に定めるものではなく、亜硫酸ガスと塩素、塩化スルフリル等を単独或いは複数用いてよい。また、必要に応じてクロロスルホン化反応を促進する触媒等を用いてもよい。触媒としては例えば、アゾ系化合物、有機化酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、α,α’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機化酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t-ブチル、過安息香酸t-ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ化合物であり、適度な塩素化及びクロロスルホン化反応が進行するため、特に好ましくはα,α’-アゾビスイソブチロニトリルである。更に、必要に応じてクロロスルホン化反応を促進する助触媒としてピリジン、キノリン等のアミノ化合物やリン酸エステル系化合物を添加してもよい。
【0016】
また、塩素化する際の塩素化剤としては特に定めるものではなく、塩素ガス、塩化チオニル、塩化スルフリル等の塩素化剤を単独或いは複数併用して用いてもよい。また、必要に応じて塩素化反応を促進する触媒等を用いてもよい。触媒としては例えば、アゾ系化合物、有機化酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、α,α’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機化酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t-ブチル、過安息香酸t-ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ化合物であり、適度な塩素化及びクロロスルホン化反応が進行するため、特に好ましくはα,α’-アゾビスイソブチロニトリルである。更に、必要に応じて塩素化反応を促進する助触媒としてピリジン、キノリン等のアミノ化合物やリン酸エステル系化合物を添加してもよい。
【0017】
そして、クロロスルホン化或いは塩素化する際の反応温度としては特に限定するものでは無く、原料ポリマーの融点等に合わせ適宜選択でき、中でも反応性及び取り扱い性を考慮すると50~150℃が好ましく、更に好ましくは60~130℃である。また、クロロスルホン化或いは塩素化する際の反応圧力としては特に限定するものでは無く、例えば、0~1.0メガパスカルであり、適度なクロロスルホン化及び塩素化反応が進行するためには好ましくは0~0.6メガパスカルである。
【0018】
クロロスルホン化或いは塩素化反応終了後、反応溶液中に残存する亜硫酸ガス又は塩化水素等は窒素を導入することによって除かれる。また、減圧下において亜硫酸ガス又は塩化水素等の除去を行っても何等問題ない。
【0019】
更に、クロロスルホン化或いは塩素化反応の前後何れかで酸化防止剤や安定剤等の添加剤を添加してもよい。添加剤の種類としては特に限定するものでは無く、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の無機化合物や、4-t-ブチルカテコール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系酸化防止剤や、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型樹脂等のエポキシ化合物等が挙げられ、これらを単独或いは2種類以上併用して用いてもよい。添加剤の添加タイミングとしては特に限定するものでは無いが、作業の簡便性や添加剤の効率を考慮するとクロロスルホン化或いは塩素化反応後、残存ガス除去後に添加するのが好ましい。
【0020】
クロロスルホン化或いは塩素化した生成物ポリマー溶液からポリマーと溶剤を分離する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、水蒸気蒸留、ドラムドライヤ、ベント付き押出機等を用いることができる。
【0021】
上記の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、溶剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、無機質充填剤、酸化防止剤、老化防止、接着促進剤、シランカップリング剤等を添加し金属用の接着剤として用いることができる。これらの添加剤の配合量は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0022】
金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンを含む接着剤は、各種基材との接着性に優れる接着剤として用いることができ、中でも金属、例えば鉄、ステンレス、鋼、炭素鋼、アルミニウム等、更にはその合金、金属酸化物、金属水酸化物等の基材、さらにそれを少なくとも表面に有する基材との接着においては、プライマー処理等の表面処理・表面改質の有無に関係なく優れた接着性を発揮する接着剤となり、特にアルミニウム、アルミニウム合金、ベーマイト、水酸化アルミニウムの基材、さらにそれを少なくとも表面に有する基材との接着性に優れるものとなる。
【0023】
そして、上記金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンを接着相として含む積層体、特に基材として金属基材を含む積層体は優れた接着性を有する上に、構造特性を有することから各種構造体用材料として用いることができる。
【実施例0024】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
なお、実施例におけるクロロスルホン化ポリオレフィンの塩素含有量、硫黄含有量、および合成方法、ならびに密着性評価および接着強度評価
[塩素含有量、硫黄含有量の測定]
クロロスルホン化ポリオレフィンにおける塩素含有量は、試料を燃焼フラスコ法にて燃焼させ、生じる塩酸を純水に吸収させた後、0.05mol/lの硝酸銀水溶液を用いて自動滴定装置により定量した。また、硫黄含有量はJIS K6233(1998年版)に準拠して、酸素燃焼フラスコ法にて測定した。
【0026】
[密着性評価]
密着性を測定する被膜に、カッターナイフを用いて乾燥被膜が2mm×2mm×100個となるよう碁盤状に切り込みを入れ、その上に粘着テープ(NICHIBAN社製セロテープ(登録商標);粘着力3.93N/10mm)を貼り、上から手でこすって良く密着させ、30秒後に約5cm/秒の速さでテープを瞬間的に剥がし、剥れた個数から密着性を比較した。
[接着強度評価]
接着強度は、せん断接着強さ試験で測定した。試験片は純アルミニウム(A1050P)(厚さ1.5mm,幅25mm,長さ100mm)を接着被膜により2枚重ね合わせて接着させた試験片接着面積312.5mm2)を使用した。試験温度が23℃では、接着被膜が凝集破壊し接着強度が正確に評価出来ないため、-60℃にて測定した。引張速度10mm/minの条件でせん断接着強度(MPa)を求めた。
【0027】
実施例1
500mlのガラス容器に、メルトインデックス23g/10分、密度0.92g/cm3のポリエチレン30gおよび1,1,2-トリクロロエタン150mlを入れて攪拌し、オイルバスにて100℃に加熱してポリエチレンを溶解させた。その後、反応の助触媒としてピリジン0.05mlを加えた後、塩素ガスを毎分0.1リットルの流速で吹き込むと同時に、1,1,2-トリクロロエタンに0.015g/lとなるよう溶解したα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを毎分0.06mlの速さで連続添加し反応を開始した。反応開始70分後に塩素ガスを停止し、スルフリルクロライド9mlを30分かけ少しずつ滴下した。その後、オイルバスを80℃に設定し、約2時間窒素バブリングを実施し、溶存している酸性ガスを系外へ排出し、反応を終了した。
【0028】
この反応液100mlを1リットルのメタノールに少しずつ混合し、乳白色の固体を析出させた後、100メッシュの金網でろ過し、更に真空乾燥機にて室温で5日間乾燥させてクロロスルホン化ポリエチレンであるクロロスルホン化ポリオレフィンAを得た。塩素含有量は41.0重量%、硫黄含有量は0.9重量%であった。
【0029】
得られたクロロスルホン化ポリオレフィンAを20重量%トルエン溶液とし、ドクターブレードにて0.15mmとなるよう純アルミニウム(A1050P)(厚さ0.5mm,幅50mm,長さ100mm)基材の上に塗布した。その後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させることで、0.03mmの膜厚を有するクロロスルホン化ポリオレフィン被膜を形成し、作製したクロロスルホン化ポリオレフィン被膜の密着性を評価したところ、剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。結果を表1に示す。
【0030】
また、得られたクロロスルホン化ポリオレフィンAの20重量%トルエン溶液をドクターブレードにて0.5mmとなるよう純アルミニウム試験片(厚さ1.5mm,幅25mm,長さ100mm)の上に塗布した後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させることで、0.1mmの膜厚を有するクロロスルホン化ポリオレフィン被膜を形成し、試験片のクロロスルホン化ポリオレフィン被膜同士を重ね合わせ、50℃にて1時間熱プレスにより圧着することで、2枚の試験片を接着させた。接着させた試験片のせん断接着強度を評価したところ、12.3MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
塩素ガスの吹き込み時間を60分にした以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンBを得た。塩素含有量は35.6重量%、硫黄含有量は1.0重量%であった。
【0032】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。また、せん断接着強度は、14.2MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
塩素ガスの吹き込み時間を50分にした以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンCを得た。塩素含有量は30.7重量%、硫黄含有量は1.2重量%であった。
【0034】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。また、せん断接着強度は、15.4MPaであり、接着強度は良好であった。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例4
塩素ガスの吹き込み時間を60分、スルフリルクロライド6mlを20分かけて滴下した以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンDを得た。塩素含有量は34.2重量%、硫黄含有量は0.6重量%であった。
【0036】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。せん断接着強度は、14.2MPaであり、接着強度は良好であった。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例5
塩素ガスの吹き込み時間を60分、スルフリルクロライド12mlを40分かけて滴下した以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンEを得た。塩素含有量は36.1重量%、硫黄含有量は1.6重量%であった。
【0038】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。また、せん断接着強度は、14.2MPaであり、接着強度は良好であった。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例6
塩素ガスの吹き込み時間を30分、スルフリルクロライド24mlを80分かけて滴下した以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンFを得た。塩素含有量は35.4重量%、硫黄含有量は3.6重量%であった。
【0040】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。せん断接着強度は、14.3MPaであり、接着強度は良好であった。その結果を表1に示す。
実施例7
メルトインデックス5g/10分、密度0.96g/cm3のポリエチレンを使用した以外は、実施例1と同様の方法によりクロロスルホン化ポリオレフィンGを得た。塩素含有量は40.8重量%、硫黄含有量は1.0重量%であった。
【0041】
そして、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。せん断接着強度は、11.9MPaであり、接着強度は良好であった。その結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
500mlのガラス容器に、メルトインデックス23g/10分、密度0.92g/cm3のポリエチレン30gおよび1,1,2-トリクロロエタン150mlを入れて攪拌し、オイルバスにて100℃に加熱してポリエチレンを溶解させた。その後、反応の助触媒としてピリジン0.05mlを加えた後、塩素ガスを毎分0.1リットルの流速で吹き込むと同時に、1,1,2-トリクロロエタンに0.015g/Lとなるよう溶解したα,α’-アゾビスイソブチロニトリルを毎分0.06mlの速さで連続添加し反応を開始した。反応開始90分後に塩素ガスを停止しその後、オイルバスを80℃に設定し、約2時間窒素バブリングを実施し、溶存している酸性ガスを系外へ排出し、反応を終了した。
【0043】
この反応液100mlを1リットルのメタノールに少しずつ混合し、乳白色の固体を析出させた後、100メッシュの金網でろ過し、更に真空乾燥機にて室温で5日間乾燥させて塩素化ポリエチレンである塩素化ポリオレフィンAを得た。塩素含有量は40.7重量%であった。
【0044】
塩素化ポリオレフィンAを使用した以外は、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。100全てが剥れ、密着性は低かった。また、せん断接着強度は、3.8MPaであり、接着強度は低かった。その結果を表1に示す。
【0045】
比較例2
塩素ガスの吹き込み時間を90分にした以外は、実施例1と同様の方法にてクロロスルホン化ポリオレフィンHを得た。塩素含有量は52.2重量%、硫黄含有量は1.1重量%であった。
【0046】
クロロスルホン化ポリオレフィンHを使用した以外は、実施例1と同様にして、密着性、接着性の評価を実施した。100全てが剥れ、密着性は低かった。また、せん断接着強度は、3.2MPaであり、接着強度は低かった。その結果を表1に示す。
【0047】
本発明の金属接着用クロロスルホン化ポリオレフィンは、基材、特に表面未処理の金属基材であっても良好な接着性を示すことから各種構造体用材料としての適用が期待される積層体を提供することが可能となる。