(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165725
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20241121BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20241121BHJP
B24B 49/08 20060101ALI20241121BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20241121BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241121BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B24B41/06 A
B24B41/06 L
B24B49/10
B24B49/08
B24B37/10
B24B7/04 A
H01L21/304 622S
H01L21/304 622L
H01L21/68 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082150
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C158
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA07
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(57)【要約】
【課題】加工装置で安価にウェーハの厚みを測定する。
【解決手段】搬送機構(21、22)の搬送パッド(50)を昇降させる昇降機構(61)と、高さ認識部(72)が認識した搬送パッドの高さによってウェーハの厚みを測定する厚み測定機構(80)と、を備える。厚み測定機構は、昇降機構によって搬送パッドをテーブル(20)の保持面(28)に向けて下降させ圧力センサ(75)で測定する吸引領域の負圧値が陽圧方向に変化したときの搬送パッドの高さを保持面高さとして測定する保持面高さ測定部(81)と、昇降機構によって搬送パッドを下降させ搬送パッドの下面と保持面との間にウェーハを介在させ圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化したときの搬送パッドの高さをウェーハ上面高さとして測定するウェーハ上面高さ測定部(82)と、保持面高さとウェーハ上面高さとの差をウェーハの厚みとして算出する厚み算出部(83)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によってウェーハを保持するテーブルと、該ウェーハを加工する加工機構と、該テーブルに対して該ウェーハを搬送する搬送機構と、を備える加工装置であって、
該搬送機構は、
下面から該ウェーハの上面に向かって該ウェーハの外形及び該保持面の外形よりも小さいリング状にエアを噴射するエア噴射口を備え、該下面と該ウェーハの上面との間の該エア噴射口の内側の吸引領域を負圧にして該ウェーハを吸引保持する搬送パッドと、
該吸引領域の気圧と大気圧との圧力差を測定する圧力センサと、
該搬送パッドを昇降させる昇降機構と、
該昇降機構によって昇降した該搬送パッドの高さを認識する高さ認識部と、
該高さ認識部が認識した該搬送パッドの高さによって該ウェーハの厚みを測定する厚み測定機構と、を備え、
該厚み測定機構は、
該昇降機構によって該搬送パッドを該保持面に向かって下降させ該圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化したときの該搬送パッドの高さを保持面高さとして測定する保持面高さ測定部と、
該昇降機構によって該搬送パッドを該保持面に向かって下降させ該搬送パッドの下面と該保持面との間に該ウェーハを介在させ該圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化したときの該搬送パッドの高さを該ウェーハ上面高さとして測定するウェーハ上面高さ測定部と、
該保持面高さと該ウェーハ上面高さとの差を該ウェーハの厚みとして算出する厚み算出部と、を備える、加工装置。
【請求項2】
該保持面高さ測定部は、該圧力センサで測定する負圧値が陽圧値になったときの該搬送パッドの高さを保持面高さとして測定し、
該ウェーハ上面高さ測定部は、該圧力センサで測定する負圧値が陽圧値になったときの該搬送パッドの高さを該ウェーハ上面高さとして測定する、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該テーブルの該保持面を吸引源に連通させ該保持面で該ウェーハを吸引保持する吸引機構を備え、
該ウェーハ上面高さ測定部は、該吸引機構によって吸引力が付与されている該保持面に向かって該搬送パッドを下降させ、該搬送パッドが吸引保持する該ウェーハを該保持面に吸引保持させてから、該圧力センサで測定する負圧値の変化によって該ウェーハ上面高さを測定する、請求項1または請求項2記載の加工装置。
【請求項4】
該テーブルは、該加工機構によって加工される該ウェーハを保持するチャックテーブルである、請求項1記載の加工装置。
【請求項5】
該テーブルは、該ウェーハを仮置きする仮置きテーブルである請求項1記載の加工装置。
【請求項6】
該テーブルは、該ウェーハを洗浄するスピンナ洗浄テーブルである請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを搬送する搬送機構を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のように、ウェーハを研磨パッドで研磨する研磨装置は、チャックテーブルが保持したウェーハの上面に研磨パッドの下面を押し付けて研磨を行う。また、複数のウェーハを収容したカセットを研磨装置のカセットステージに配置し、カセットからチャックテーブルにウェーハを搬送している。カセットに収容されている複数のウェーハは、ウェーハ毎に厚み差がある。
【0003】
そのため、研磨の際に、ウェーハの上面に研磨パッドの下面が接触するまでの時間が、ウェーハ毎に異なっている。詳しくは、ウェーハの上方に位置する研磨パッドを高速で降下させてウェーハに接近させ、その後、研磨パッドの降下速度を低速にしてウェーハに接触させて研磨を行う。高速で下降する研磨パッドがウェーハに接触してウェーハを破損させないように、ウェーハの上にわずかな隙間が形成される高さ位置を設定して、その高さ位置まで研磨パッドを高速下降させている。そして、カセットに収納されている最も厚いウェーハに対して高速下降する研磨パッドが接触しないようにマージンを持たせて、高速下降から低速下降に切り替える高さ位置を設定している。このような理由から、ウェーハの厚み差によって研磨パッドが接触するまでの時間が大きくなり、研磨時間が長くなるという問題があった。この問題を解決して研磨時間を短くしたいという要求がある。
【0004】
また、研磨装置に搬送されたカセットに間違ったウェーハが収容されていないかを、研磨加工を行う前に知りたいという要求がある。
【0005】
また、研磨後のウェーハの厚みを測定することで、正常に研磨加工が完了したことを知りたいという要求がある。
【0006】
特許文献2や特許文献3に開示のように、加工装置が備える搬送機構に厚み測定用のセンサ類を追加して、ウェーハの厚みを測定することが知られている。搬送機構でウェーハの厚みを測定することにより、以上の各要求を満たすことができる。
【0007】
なお、研磨パッドによる研磨を行う研磨装置だけではなく、研削砥石による研削を行う研削装置や、切削ブレードによる切削を行う切削装置などにおいても、上記と同様の要求がある。例えば、研削装置において研削砥石を高速下降から低速下降に切り替える高さ位置や、切削装置において切削ブレードを高速下降から低速下降に切り替える高さ位置を、ウェーハ毎の厚みに応じて最適化することによって、研削時間や切削時間を短くできる。また、研削や切削を行う前のウェーハの厚みを測定することによって、間違ったウェーハが供給されていないかを判別できる。また、研削後のウェーハの厚みを測定することによって、研削砥石による研削加工が正常に完了したか否かを判別できる。従って、上記の要求は、研磨装置や研削装置や切削装置などを含む、ウェーハを加工する加工装置全般に対応したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-200960号公報
【特許文献2】特開2021-053716号公報
【特許文献3】特開2021-062418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来は、搬送機構を用いてウェーハの厚みを測定する場合に、厚み測定用のセンサなどを追加する必要があり、装置構成が複雑で高価になるという問題があった。従って、研磨装置のようにウェーハを加工する加工装置は、安価にウェーハの厚みを測定するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、保持面によってウェーハを保持するテーブルと、該ウェーハを加工する加工機構と、該テーブルに対して該ウェーハを搬送する搬送機構と、を備える加工装置であって、該搬送機構は、下面から該ウェーハの上面に向かって該ウェーハの外形及び該保持面の外形よりも小さいリング状にエアを噴射するエア噴射口を備え、該下面と該ウェーハの上面との間の該エア噴射口の内側の吸引領域を負圧にして該ウェーハを吸引保持する搬送パッドと、該吸引領域の気圧と大気圧との圧力差を測定する圧力センサと、該搬送パッドを昇降させる昇降機構と、該昇降機構によって昇降した該搬送パッドの高さを認識する高さ認識部と、該高さ認識部が認識した該搬送パッドの高さによって該ウェーハの厚みを測定する厚み測定機構と、を備え、該厚み測定機構は、該昇降機構によって該搬送パッドを該保持面に向かって下降させ該圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化したときの該搬送パッドの高さを保持面高さとして測定する保持面高さ測定部と、該昇降機構によって該搬送パッドを該保持面に向かって下降させ該搬送パッドの下面と該保持面との間に該ウェーハを介在させ該圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化したときの該搬送パッドの高さを該ウェーハ上面高さとして測定するウェーハ上面高さ測定部と、該保持面高さと該ウェーハ上面高さとの差を該ウェーハの厚みとして算出する厚み算出部と、を備える。
【0011】
例えば、該保持面高さ測定部は、該圧力センサで測定する負圧値が陽圧値になったときの該搬送パッドの高さを保持面高さとして測定し、該ウェーハ上面高さ測定部は、該圧力センサで測定する負圧値が陽圧値になったときの該搬送パッドの高さを該ウェーハ上面高さとして測定する。
【0012】
別の形態として、該テーブルの該保持面を吸引源に連通させ該保持面で該ウェーハを吸引保持する吸引機構を備え、該ウェーハ上面高さ測定部は、該吸引機構によって吸引力が付与されている該保持面に向かって該搬送パッドを下降させ、該搬送パッドが吸引保持する該ウェーハを該保持面に吸引保持させてから、該圧力センサで測定する負圧値の変化によって該ウェーハ上面高さを測定する。
【0013】
具体的には、該テーブルは、該加工機構によって加工される該ウェーハを保持するチャックテーブルや、該ウェーハを仮置きする仮置きテーブルや、該ウェーハを洗浄するスピンナ洗浄テーブルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加工装置によれば、ウェーハを搬送する搬送機構を利用して、安価にウェーハの厚みを測定することが可能である。また、搬送機構がウェーハを搬送する際の動作を利用して、効率的にウェーハの厚みを測定できる。また、ウェーハを吸引保持する搬送パッドの圧力を参照した測定を行うので、ウェーハに対して非接触でウェーハの厚みを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】研磨装置が備える搬送機構の一部を示す斜視図である。
【
図3】搬送機構とチャックテーブルの断面図である。
【
図4】搬送機構の搬送パッドによってウェーハを吸引保持している状態の断面図ある。
【
図7】変形例において、搬送機構の搬送パッドによってウェーハを吸引保持している状態の断面図ある。
【
図8】変形例におけるウェーハの上面高さ測定時の断面図ある。
【
図9】変形例におけるテーブルの保持面高さ測定時の断面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る加工装置の一例である研磨装置1について説明する。まず、
図1から
図3を参照して、研磨装置1の全体構成について説明する。
図1に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は略水平な方向であり、Z軸方向は上下方向(垂直方向)である。Y軸方向を研磨装置1における前後方向とする。
【0017】
研磨装置1は、加工具として研磨パッド44を備え、被加工物であるウェーハWに対して研磨加工を行う加工装置である。ウェーハWは、例えばシリコンなどからなる半導体ウェーハである。なお、ウェーハWの材質や種類はこれに限定されない。ウェーハWは、カセットCに収容された状態で研磨装置1に搬入される。カセットCの内部にはZ軸方向に仕切られた複数のウェーハ収容部が形成されており、1つのカセットCに複数のウェーハWを収容可能である。
【0018】
研磨装置1は、各種処理を実行するプロセッサやプログラムを記憶したメモリなどによって構成された制御部2を備えている。研磨装置1は、制御部2の制御によって、ウェーハWの搬入処理、研磨加工、洗浄処理、搬出処理などの一連の作業を全自動で実施するように構成されている。
【0019】
図1に示すように、研磨装置1の基台10のY軸方向の前方側には、カセットCを載置するカセットステージ11が設けられている。
図1の研磨装置1では1つのカセットステージ11を備えているが、X軸方向に位置を異ならせて複数のカセットステージ11を設けて、複数のカセットCを同時に載置可能な構成にしてもよい。
【0020】
カセットステージ11の近傍には、カセットCに対してウェーハWを出し入れするロボットハンド12が設けられている。ロボットハンド12によってウェーハWを搬送可能な範囲内には仮置きテーブル13と洗浄部14とが設けられており、ロボットハンド12を用いて、カセットCと仮置きテーブル13と洗浄部14の間でウェーハWを搬送することができる。
【0021】
仮置きテーブル13は、チャックテーブル20にウェーハWを搬送する前にウェーハWを仮置きするテーブルであり、ウェーハWを載置して保持する保持面15を有する。仮置きテーブル13の周囲には、仮置きテーブル13の半径方向へ移動可能な複数の位置決めピン16が設けられている。ウェーハWを仮置きテーブル13の保持面15に保持した状態で、複数の位置決めピン16を移動させてそれぞれウェーハWの外周部分に当接させることによって、仮置きテーブル13に対してウェーハWが所定の位置に定められる。
【0022】
洗浄部14は、研磨後のウェーハWの洗浄を行う。洗浄部14は、Z軸方向に延在する軸を中心として回転可能なスピンナ洗浄テーブル17と、スピンナ洗浄テーブル17に向けて洗浄水及び乾燥エアを噴射するノズル18と、を備えている。スピンナ洗浄テーブル17は、ウェーハWを載置して保持する保持面19を有する。また、スピンナ洗浄テーブル17は、図示を省略する吸引機構に接続しており、吸引機構によって保持面19に吸引力を作用させてウェーハWを吸引保持することができる。
【0023】
洗浄部14でウェーハWを洗浄する際には、保持面19にウェーハWを保持した状態でスピンナ洗浄テーブル17を回転させ、スピンナ洗浄テーブル17上のウェーハWに対してノズル18から洗浄水を噴射する。ウェーハWの洗浄後に、ノズル18から乾燥エアが吹き付けられてウェーハWを乾燥させる。
【0024】
X軸方向で仮置きテーブル13と洗浄部14との間には、研磨前のウェーハWを仮置きテーブル13からチャックテーブル20に搬送する第1搬送機構21と、研磨後のウェーハWをチャックテーブル20から洗浄部14に搬送する第2搬送機構22と、が設けられている。第1搬送機構21と第2搬送機構22の詳細な構成は後述する。
【0025】
基台10の上面には、Y軸方向に延在する矩形状の開口が形成されており、この開口は、チャックテーブル20と共にY軸方向に移動可能な移動板23と、移動板23の両側に設けた蛇腹状の防水カバー24と、によって覆われている。移動板23及び防水カバー24の下方には、チャックテーブル20をY軸方向に移動させるテーブル移動機構(図示略)が設けられている。テーブル移動機構は、Y軸方向に延びるガイドレールとボールネジとを備え、チャックテーブル20及び移動板23を支持する台座がガイドレールに沿ってY軸方向へ移動可能に支持されている。ボールネジが台座に螺合しており、モータによってボールネジを回転させると、台座と共にチャックテーブル20及び移動板23がY軸方向に移動する。テーブル移動機構によってチャックテーブル20を移動させて、Y軸方向の前方側の受け渡し位置(仮置きテーブル13及び洗浄部14の近傍位置)と、Y軸方向の後方側の加工位置(後述する研磨機構32の近傍位置)とに、チャックテーブル20を位置させることができる。
【0026】
図3に示すように、チャックテーブル20は、枠体25と、枠体25の上面側の凹部26内に取り付けた円板状のポーラス板27と、を備えている。ポーラス板27は、セラミックスなどの多孔質材からなり、微細な気孔が全体に亘って形成されている。凹部26内にポーラス板27を取り付けた状態で、枠体25の上面とポーラス板27の上面とが面一となる。ポーラス板27の上面は、ウェーハWを載置して保持する保持面28を構成する。
【0027】
図3に示すように、チャックテーブル20には、凹部26に連通する吸引路29が形成されている。吸引路29は、開閉バルブ30を介して吸引源31に接続されている。開閉バルブ30を開いて吸引源31を動作させると、吸引路29を介してポーラス板27側のエア(空気)が吸引されて、保持面28に吸引力が作用する。この吸引力によって、ウェーハWを保持面28に吸引保持することができる。
【0028】
図1に示すように、研磨装置1は、ウェーハWを加工する加工機構として、研磨機構32を備えている。基台10の上面に立設したコラム33には、チャックテーブル20に対して研磨機構32を接近及び離間させる方向(Z軸方向)に移動させる昇降機構34が設けられている。昇降機構34は、コラム33の前面側に配置されてZ軸方向に延在する一対のガイドレール35と、一対のガイドレール35に沿ってZ軸方向へ移動可能に支持された昇降テーブル36と、Z軸方向に延在して昇降テーブル36の螺合部(図示略)に螺合するボールネジ37と、ボールネジ37を回転させるモータ38と、を備えている。モータ38の駆動力によってボールネジ37が回転すると、昇降テーブル36がZ軸方向に移動する。
【0029】
研磨機構32は、ハウジング40を介して昇降テーブル36の前面に取り付けられており、スピンドルユニット41で研磨ホイール42を回転させるように構成されている。スピンドルユニット41は、例えばエアスピンドルであり、ケーシングの内側で高圧エアを介してスピンドル軸を回転可能に支持している。スピンドル軸はZ軸方向に延びる軸体である。スピンドル軸の下端にはマウント43が連結されており、マウント43に研磨ホイール42が装着されている。研磨ホイール42には、チャックテーブル20の保持面28をカバーする大きさの研磨パッド44が支持されている。
【0030】
研磨機構32は、スピンドルユニット41によって研磨ホイール42を回転させ、チャックテーブル20に吸引保持されたウェーハWの上面に研磨パッド44の下面を接触させることによって、ウェーハWを研磨する。研磨機構32は、図示を省略する研磨液供給部を備えており、研磨パッド44がウェーハWに接触する箇所に研磨液を供給しながら研磨を行う。
【0031】
続いて、主に
図2及び
図3を参照して、第1搬送機構21及び第2搬送機構22の構成を説明する。第1搬送機構21と第2搬送機構22は略同じ構成を備えており、第1搬送機構21と第2搬送機構22で共通する構成要素は同じ符号で示す。また、第1搬送機構21と第2搬送機構22に共通する内容を説明する際には、「第1搬送機構21(第2搬送機構22)」と記載する。
【0032】
第1搬送機構21(第2搬送機構22)は、円板状の搬送パッド50を備えている。搬送パッド50は、下方に向く下面51と上方に向く上面52とを有する。搬送パッド50の下面51には、リング状のエア噴射口53が設けられている。搬送パッド50の上面52の中央には、上方に向けて突出する筒状部54が設けられている。また、搬送パッド50の上面52には、筒状部54を囲む配置で3つのスライド軸55が設けられている。
【0033】
搬送パッド50の内部には、パッド内流路56が形成されている。パッド内流路56は、搬送パッド50の略中央に位置してZ軸方向に延在して筒状部54の上端に開口する垂直流路561と、垂直流路561の下端から搬送パッド50の外形側に向けて延在する径方向流路562と、径方向流路562に接続してエア噴射口53まで延在する傾斜流路563と、を備えている。傾斜流路563は、径方向流路562に接続する上端側からエア噴射口53に接続する下端側に進むにつれて径が大きくなる円錐台形状の流路である。径方向流路562は、垂直流路561の下端を中心として放射状に延びる複数の直線状の流路であってもよいし、Z軸方向に対して直交する円板状の流路であってもよい。
【0034】
筒状部54の先端には、パッド内流路56の垂直流路561に連通するエア供給路57が接続している。エア供給路57は、開閉バルブ58を介してエア供給源59に接続されている。開閉バルブ58を開いてエア供給源59を動作させると、エア供給路57を介してパッド内流路56にエアが供給される。パッド内流路56に供給されたエアは、垂直流路561、径方向流路562、傾斜流路563を通って、エア噴射口53から噴射される。下面51側に進むにつれて搬送パッド50の外形側に広がる形状の傾斜流路563の下端にエア噴射口53が配置されているため、エア噴射口53から噴射されるエアは、傾斜流路563の延在方向に沿って搬送パッド50の外形側に斜めに広がるように進む。
【0035】
図3に示すように、搬送パッド50のエア噴射口53は、Z軸方向と直交する方向において、ウェーハWの外形及びチャックテーブル20における保持面28の外形よりも小さい範囲に形成されている。また、
図3には示していないが、搬送パッド50のエア噴射口53は、Z軸方向と直交する方向において、仮置きテーブル13における保持面15の外形及びスピンナ洗浄テーブル17における保持面19の外形よりも小さい範囲に形成されている。従って、エア噴射口53は、ウェーハWの外形及び各保持面15、19、28の外形よりも小さいリング状にエアを噴射する。
【0036】
図3に示すように、第1搬送機構21(第2搬送機構22)は、搬送パッド50の移動を行わせる回転機構60と昇降機構61とを備えている。回転機構60によって、Z軸方向に延びる軸を中心とする旋回動作を搬送パッド50に行わせ、昇降機構61によって、Z軸方向の昇降動作を搬送パッド50に行わせる。
【0037】
第1搬送機構21においては、回転機構60で行わせる搬送パッド50の旋回動作によって、搬送パッド50を、仮置きテーブル13の上方の位置と、チャックテーブル20(Y軸方向の前方側の受け渡し位置にあるチャックテーブル20)の上方の位置と、に移動させることができる。また、第1搬送機構21においては、昇降機構61で行わせる搬送パッド50の昇降動作によって、仮置きテーブル13とチャックテーブル20に対して搬送パッド50をZ軸方向に接近させたり離間させたりすることができる。
【0038】
第2搬送機構22においては、回転機構60で行わせる搬送パッド50の旋回動作によって、搬送パッド50を、スピンナ洗浄テーブル17の上方の位置と、チャックテーブル20(Y軸方向の前方側の受け渡し位置にあるチャックテーブル20)の上方の位置と、に移動させることができる。また、第2搬送機構22においては、昇降機構61で行わせる搬送パッド50の昇降動作によって、スピンナ洗浄テーブル17とチャックテーブル20に対して搬送パッド50をZ軸方向に接近させたり離間させたりすることができる。
【0039】
搬送パッド50はアーム62によって支持されている。アーム62は水平方向に延びており、アーム62の先端側には、搬送パッド50の筒状部54を囲む環状のリング部63が設けられている(
図2参照)。リング部63には、Z軸方向に貫通する3つの貫通穴64(
図3から
図9において2つのみを示す)が形成されている。3つの貫通穴64はリング部63の円周方向に略等間隔で設けられており、それぞれの貫通穴64に搬送パッド50のスライド軸55が挿通されている。スライド軸55の上端には、貫通穴64よりも径が大きい頭部551が設けられており、頭部551がリング部63の上面に当接可能である。
【0040】
搬送パッド50の上面52と、アーム62のリング部63の下面との間に、個々のスライド軸55を囲む円筒形状のコイルバネ65が配置されている。コイルバネ65は、アーム62に対して搬送パッド50を下方に付勢しており、この付勢力によって、スライド軸55の頭部551がリング部63の上面に押し付けられる。従って、搬送パッド50がアーム62に対してZ軸方向で一定の位置に保持される。また、搬送パッド50が下方からの押圧力を受けると、コイルバネ65を収縮させながら搬送パッド50が上方に移動してアーム62に接近することが可能である。
【0041】
アーム62は、基台10から上方に突出する支持軸66によって支持されている。回転機構60は、支持軸66を回転可能に支持する回転支持部67を有し、モータ68の駆動力によって支持軸66を回転させる。支持軸66が回転すると、アーム62を介して搬送パッド50が水平方向に旋回動作を行う。
【0042】
昇降機構61は、ガイドレール69、ボールネジ70、モータ71、エンコーダ72を備えている。ガイドレール69とボールネジ70はそれぞれZ軸方向へ延在している。回転支持部67は、ガイドレール69に沿ってZ軸方向へ移動可能に支持され、さらにボールネジ70に螺合している。ボールネジ70の端部に接続するモータ71の駆動力によってボールネジ70が回転すると、回転支持部67がガイドレール69に沿ってZ軸方向へ移動する。モータ71の駆動方向と駆動量はエンコーダ72によって検出される。エンコーダ72の検出信号は制御部2に入力される。
【0043】
以上のように構成された研磨装置1によってウェーハWを加工する一連の工程を説明する。なお、研磨装置1の各部の動作について、制御の主体が明記されていない場合は、制御部2から送られる制御信号によって動作が制御されているものとする。
【0044】
研磨加工を行う前のウェーハWを収容したカセットCがカセットステージ11に載置されると、ロボットハンド12がカセットC内からウェーハWを取り出して仮置きテーブル13に搬送して、保持面15にウェーハWを保持させる。複数の位置決めピン16を仮置きテーブル13の中心側に移動させ、各位置決めピン16をウェーハWの外周部分に当接させる。この位置決めピン16の動作によって、ウェーハWの中心が仮置きテーブル13の中心に一致するようにウェーハWの位置が定められる。
【0045】
続いて、チャックテーブル20を受け渡し位置に位置させて、第1搬送機構21によって仮置きテーブル13からチャックテーブル20へウェーハWを搬送する。詳しくは、仮置きテーブル13の保持面15に保持されたウェーハWの上方に第1搬送機構21の搬送パッド50を位置させて、エア噴射口53からエアを噴射しながら、昇降機構61を動作させて搬送パッド50を下降させる。搬送パッド50の下面51がウェーハWに近づいてZ軸方向の間隔が小さくなる(搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間の流路が狭くなる)と、エア噴射口53から噴射されてウェーハWの上面側を通るエアの流速が大きくなり、ベルヌーイの定理により、エアの流速が増加した分だけ圧力が小さくなる。その結果、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間のエア噴射口53の内側の吸引領域Qaが大気圧に対して負圧になり、ウェーハWが搬送パッド50に引きつけられて吸引保持される(
図4参照)。搬送パッド50は、エア噴射口53からエアを噴射しながら、下面51がウェーハWの上面に対して非接触の状態でウェーハWを吸引保持する。
【0046】
第1搬送機構21の搬送パッド50によってウェーハWを吸引保持した状態で、昇降機構61によって搬送パッド50を上昇させると、ウェーハWが仮置きテーブル13の保持面15から上方に離間する。続いて、回転機構60によって支持軸66を中心として搬送パッド50を旋回させて、搬送パッド50をチャックテーブル20の上方に位置付ける。そして、昇降機構61によって搬送パッド50を下降させてウェーハWの下面をチャックテーブル20の保持面28に接近させる。
【0047】
その際に、吸引源31を動作させて開閉バルブ30を開き、チャックテーブル20の保持面28に吸引力が作用した状態にさせる。ウェーハWの下面と保持面28との間隔が所定以下になると、保持面28に作用する吸引力によってウェーハWの下面が保持面28に引きつけられて、ウェーハWの下面が保持面28に密着した状態で保持される(
図5参照)。これにより、第1搬送機構21によって搬送されたウェーハWが、チャックテーブル20へ受け渡される。ウェーハWは、保持面28に作用する吸引力によって全体が保持面28に倣った状態になり、保持面28からの浮き上がりが防止される。
【0048】
第1搬送機構21からチャックテーブル20へのウェーハWの受け渡しが完了したら、昇降機構61を動作させて搬送パッド50を上方へ引き上げる。
【0049】
ウェーハWを吸引保持したチャックテーブル20が、テーブル移動機構によってY軸方向の後方側に移動されて、研磨機構32の下方の加工位置に位置付けられる。続いて、スピンドルユニット41によって研磨ホイール42を回転させ、昇降機構34によって研磨機構32を下降させて研磨パッド44の下面をウェーハWの上面に接触させて、研磨パッド44をウェーハWに押し付けながらウェーハWの上面を研磨する。
【0050】
制御部2は、昇降機構34によって研磨機構32を下降させる際に、途中までは研磨機構32を高速で下降させ、その後、研磨機構32の降下速度を低速にしてから研磨パッド44をウェーハWに接触させる。研磨機構32の高速下降によって、研磨パッド44を迅速にウェーハWに近づけることができる。続く研磨機構32の低速下降によって、研磨パッド44がウェーハWに勢いよく衝突してウェーハWを破損させることを防止できる。従って、ウェーハWを研磨する際の加工効率の向上と加工精度の高さとを両立させることができる。
【0051】
ウェーハWの上面側が所望の厚みまで研磨されると、研磨ホイール42の回転を停止し、昇降機構34によって研磨機構32を上昇させて、チャックテーブル20上のウェーハWから研磨パッド44を離間させて、研磨加工を終了する。
【0052】
研磨加工後は、テーブル移動機構によってチャックテーブル20をY軸方向の前方側の受け渡し位置に移動させる。また、開閉バルブ30が閉じられて吸引源31との連通を解除し、チャックテーブル20の保持面28からウェーハWに吸引力が作用しないようにする。これにより、チャックテーブル20から第2搬送機構22の搬送パッド50にウェーハWを受け渡すことが可能になる。
【0053】
研磨後のウェーハWを、第2搬送機構22によって、チャックテーブル20から洗浄部14へ搬送する。先に説明した第1搬送機構21の搬送パッド50によるウェーハWの吸引保持と同様の原理によって、第2搬送機構22の搬送パッド50によってウェーハWを吸引保持する。つまり、チャックテーブル20の保持面28に保持されたウェーハWの上方に第2搬送機構22の搬送パッド50を位置させて、エア噴射口53からエアを噴射しながら、回転機構60の昇降機構61を動作させて搬送パッド50を下降させる。搬送パッド50の下面51がウェーハWに近づいてZ軸方向の間隔が小さくなると、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間のエア噴射口53の内側の吸引領域Qaが大気圧に対して負圧になり、ウェーハWが搬送パッド50に引きつけられて吸引保持される(
図4参照)。
【0054】
第2搬送機構22の搬送パッド50によってウェーハWを吸引保持した状態で、昇降機構61によって搬送パッド50を上昇させると、ウェーハWがチャックテーブル20の保持面28から上方に離間する。続いて、回転機構60によって支持軸66を中心として搬送パッド50を旋回させて、搬送パッド50をスピンナ洗浄テーブル17の上方に位置付ける。そして、昇降機構61によって搬送パッド50を下降させてウェーハWの下面をスピンナ洗浄テーブル17の保持面19に接近させる。
【0055】
その際に、洗浄部14が備える吸引機構によって、スピンナ洗浄テーブル17の保持面19に吸引力を作用させる。ウェーハWを保持した搬送パッド50が下降して、ウェーハWの下面と保持面19との間隔が所定以下になると、保持面19に作用する吸引力によってウェーハWの下面が保持面19に引きつけられて、ウェーハWの下面が保持面19に密着した状態で保持される。これにより、第2搬送機構22によって搬送されたウェーハWが、スピンナ洗浄テーブル17へ受け渡される。ウェーハWは、保持面19に作用する吸引力によって全体が保持面19に倣った状態になり、保持面19からの浮き上がりが防止される。
【0056】
第2搬送機構22からスピンナ洗浄テーブル17へのウェーハWの受け渡しが完了したら、昇降機構61を動作させて搬送パッド50を上方へ引き上げる。
【0057】
洗浄部14においてウェーハWの洗浄を行う。保持面19にウェーハWを保持したスピンナ洗浄テーブル17を回転させ、ノズル18からスピンナ洗浄テーブル17上のウェーハWに洗浄水を噴射する。洗浄後のウェーハWにノズル18からエアを噴射して乾燥させる。
【0058】
続いて、洗浄後のウェーハWをロボットハンド12によって洗浄部14から搬出してカセットCに収容する。なお、洗浄後のウェーハWを仮置きテーブル13へ搬送して、位置決めピン16を用いたウェーハWの位置決めを行ってから、カセットCにウェーハWを収容してもよい。また、
図1にはカセットCを1つのみ示しているが、加工前のウェーハWを収容するカセットCと、加工後のウェーハWを収容するカセットCを別々に備えてもよい。
【0059】
本実施形態の研磨装置1は、第1搬送機構21(第2搬送機構22)を用いて安価にウェーハWの厚みを測定することが可能であり、その詳細を説明する。なお、ウェーハWを保持するテーブルと保持面がチャックテーブル20と保持面28である場合を詳しく説明するが、テーブルと保持面が仮置きテーブル13と保持面15である場合や、テーブルと保持面がスピンナ洗浄テーブル17と保持面19である場合についても、同様に適用が可能である。
【0060】
第1搬送機構21(第2搬送機構22)のエンコーダ72は、昇降機構61によって昇降した搬送パッド50の高さを認識する高さ認識部として機能する。エンコーダ72によって検出したモータ71の駆動方向と駆動量が制御部2に入力され、エンコーダ72からの入力データに基づいて、制御部2が搬送パッド50の高さ位置を算出することができる。例えば、モータ71にパルスモータを用いて、エンコーダ72がモータ71の駆動パルスを検出することによって、搬送パッド50の高さを認識することが可能である。
【0061】
図3に示すように、第1搬送機構21(第2搬送機構22)は圧力センサ75を備えている。圧力センサ75は、搬送パッド50の下面51側の吸引領域Qa、Qb(
図4から
図9を参照)に接続して、例えば、搬送パッド50の上面52に設けられており、圧力センサ75が吸引領域Qa、Qbの圧力を検出することによって、搬送パッド50の下面51側の吸引領域Qa、Qbの気圧と大気圧との圧力差を測定することができる。なお、この吸引領域Qa、Qbは、搬送パッド50の下面51に平行な面が所定の距離内に接近した際に、形成される。つまり、吸引領域Qa、Qbは、搬送パッド50の下面51で、エア噴射口53の内側における所定の厚みの空気層である。
【0062】
詳しくは、
図4に示すように、搬送パッド50によってウェーハWを吸引保持した際には、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間のエア噴射口53の内側に吸引領域Qaが形成される。また、
図6に示すように、ウェーハWを保持していない状態の搬送パッド50を、ウェーハWを保持していない状態のチャックテーブル20の保持面28に近づけた場合には、搬送パッド50の下面51と保持面28との間のエア噴射口53の内側に吸引領域Qbが形成される。それぞれの吸引領域Qa、Qbの気圧と大気圧との圧力差を、圧力センサ75による測定結果を参照して検出可能である。したがって、搬送パッド50の下面51にウェーハWまたは保持面28が存在しない場合には、エア噴射口53の内側に吸引領域Qa、Qbは、形成されない。なお、吸引領域Qa、Qbが形成されていない状態において、搬送パッド50のエア噴射口53からエアを噴射することによってエア噴射口53の内側領域が負圧になるため、圧力センサ75の値は吸引領域Qa、Qbを形成したときよりも陽圧方向の負圧値になる。したがって、圧力センサ75の値が負圧値であっても、吸引領域Qa、Qbが形成されたか否かを判断することができる。つまり、ウェーハWの上面、チャックテーブル20の保持面28の高さを正確に認識することができる。
【0063】
また、研磨装置1は、高さ認識部(エンコーダ72)が認識した搬送パッド50の高さによってウェーハWの厚みを測定する厚み測定機構80を備えている。厚み測定機構80は、保持面高さ測定部81、ウェーハ上面高さ測定部82、厚み算出部83を含んでいる。保持面高さ測定部81、ウェーハ上面高さ測定部82、厚み算出部83は、制御部2の機能ブロックとして構成される。
【0064】
図6は、保持面高さ測定部81によって行われる保持面高さの測定状況を示している。保持面高さ測定部81は、搬送パッド50とチャックテーブル20の保持面28のいずれにもウェーハWを保持していない状態(搬送パッド50と保持面28の間にウェーハWが存在していない状態)で、搬送パッド50を保持面28に向かって下降させることによって、保持面28の高さを測定する。
【0065】
詳しくは、保持面高さ測定部81の制御によって、エア供給源59を動作させて開閉バルブ58を開き、エア噴射口53からリング状にエアを噴射する。その一方で、開閉バルブ30を閉じて保持面28に吸引力が作用しない状態にする。この状態で、昇降機構61によって搬送パッド50を保持面28に向かって下降させる。
【0066】
搬送パッド50の下面51が保持面28に向かってZ軸方向に近づいて搬送パッド50と保持面28との間の間隔が小さくなる(搬送パッド50と保持面28との間の流路が狭くなる)と、エア噴射口53から噴射されて下面51と保持面28との間を流れるエアの流速が大きくなり、エアの流速増加に伴って下面51と保持面28との間の吸引領域Qbの圧力の負圧が大きくなる。つまり、圧力センサ75によって測定する吸引領域Qbの負圧値が大きくなる。
【0067】
搬送パッド50がさらに下降して、下面51と保持面28との間隔が所定以下になると、エア噴射口53から噴射されるエアの流速が低下して吸引領域Qbの負圧が小さくなり、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qbの負圧値が陽圧方向に変化する。さらに下面51が保持面28に近づいて、搬送パッド50がエアの層を介して保持面28に押し付けられる状態になると、吸引領域Qbが陽圧になり、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qbの気圧が負圧値から陽圧値になる。
【0068】
保持面高さ測定部81は、搬送パッド50を保持面28に接近させながら、圧力センサ75を用いて下面51と保持面28との間の吸引領域Qbの圧力を継続的に監視し、圧力センサ75で測定する吸引領域Qbの負圧値が陽圧方向に変化したとき(負圧が小さくなったとき)の搬送パッド50の高さ(エンコーダ72によって認識される高さ位置)を保持面高さとして設定する。
【0069】
図5は、ウェーハ上面高さ測定部82によって行われるウェーハ上面高さの測定状況を示している。ウェーハ上面高さ測定部82は、搬送パッド50にウェーハWを吸引保持した状態で、搬送パッド50を保持面28に向かって下降させることによって、保持面28に保持されたウェーハWの上面の高さを測定する。
【0070】
詳しくは、ウェーハ上面高さ測定部82の制御によって、エア供給源59を動作させて開閉バルブ58を開き、エア噴射口53からリング状にエアを噴射して、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間の吸引領域Qaを負圧にして、搬送パッド50にウェーハWを吸引保持する。この段階では、圧力センサ75によって吸引領域Qaの負圧値が測定される。また、吸引源31を動作させて開閉バルブ30を開き、チャックテーブル20の保持面28に吸引力を作用させる。この状態で、昇降機構61によって搬送パッド50を保持面28に向かって下降させる。
【0071】
先に説明したように、搬送パッド50の下降によってウェーハWの下面と保持面28との間隔が所定以下になると、保持面28に作用する吸引力によってウェーハWの下面が保持面28に引きつけられて、ウェーハWの下面が保持面28に密着した状態で保持される。すると、吸引領域Qaの負圧が小さくなり、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qaの負圧値が陽圧方向に変化する。具体的な数値例として、チャックテーブル20の保持面28から離れた位置で搬送パッド50にウェーハWを吸引保持している
図4の状態では、吸引領域Qaの圧力が-0.20Kpaであり、吸引力が作用する保持面28にウェーハWを押し付けた
図5の状態では、吸引領域Qaの圧力が-0.10Kpaになった。
【0072】
ウェーハ上面高さ測定部82は、搬送パッド50を保持面28に接近させながら、圧力センサ75を用いて下面51とウェーハWの上面との間の吸引領域Qaの圧力を継続的に監視し、圧力センサ75で測定する吸引領域Qaの負圧値が陽圧方向に変化したときの搬送パッド50の高さ(エンコーダ72によって認識される高さ位置)をウェーハ上面高さとして設定する。
【0073】
厚み算出部83は、保持面高さ測定部81によって測定した保持面高さ(
図6の搬送パッド50の高さ位置)と、ウェーハ上面高さ測定部82によって測定したウェーハ上面高さ(
図5の搬送パッド50の高さ位置)との差を、ウェーハWの厚みとして算出する。
【0074】
このように、厚み測定機構80では、搬送パッド50とチャックテーブル20との間にウェーハWを配置せずに搬送パッド50を下降させて、圧力センサ75の検出結果(吸引領域Qbの負圧値が陽圧方向へ変化すること)に基づいてチャックテーブル20の保持面28の高さを測定し、搬送パッド50がウェーハWを吸引保持した状態で搬送パッド50を下降させて、圧力センサ75の検出結果(吸引領域Qaの負圧値が陽圧方向へ変化すること)に基づいてウェーハWの上面高さを測定し、測定した保持面高さとウェーハ上面高さとの差からウェーハWの厚みを算出している。
【0075】
なお、ウェーハ上面高さ測定部82、保持面高さ測定部81は、負圧値が陽圧方向に変化する瞬間に測定してもよいし、負圧値が陽圧方向に変化し予め設定した設定値になったときに測定するようにしてもよい。
【0076】
この構成によれば、搬送パッド50の昇降動作と、圧力センサ75を用いて行う搬送パッド50の下面51側の圧力値の測定と、によってウェーハWの厚み情報を取得できるので、ウェーハWの厚みを直接的に測るセンサ(厚みセンサやハイトゲージなど)などを備えずに、第1搬送機構21(第2搬送機構22)の構成要素を利用した簡単な構成で安価にウェーハWの厚みを測定することができる。また、ウェーハWに対して搬送パッド50が非接触でウェーハWの厚みを測定できるので、厚み測定の際にウェーハWを損傷させるおそれがない。
【0077】
図7から
図9は、厚み測定機構80によるウェーハWの厚み測定の変形例を示している。この変形例は、チャックテーブル20の保持面28に吸引力を作用させるテーブル側の吸引構造を備えていない点が上記の実施形態と異なっている。それ以外の構成要素については、上記の実施形態と共通である。
【0078】
図7は、第1搬送機構21(第2搬送機構22)の搬送パッド50にウェーハWの上面を吸引保持している状態である。上記の実施形態と同様に、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間の吸引領域Qaに作用する負圧を利用して、搬送パッド50に対してウェーハWを非接触で保持している。
【0079】
図9は、保持面高さ測定部81によって行われる保持面高さの測定状況を示している。上記の実施形態では、開閉バルブ30を閉じて保持面28に吸引力が作用しない状態にして保持面高さの測定を行っているので(
図6参照)、保持面28への吸引構造を備えない構成の変形例においても、保持面高さの測定における各部の動作状況は上記の実施形態と共通したものになる。つまり、搬送パッド50が下降して搬送パッド50の下面51と保持面28との間隔が所定以下になると、吸引領域Qbの負圧が小さくなり、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qbの負圧値が陽圧方向に変化する。さらに下面51が保持面28に近づくと、吸引領域Qbが陽圧になり、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qbの気圧が陽圧値になる。
【0080】
上記の実施形態との相違点として、変形例における保持面高さ測定部81は、圧力センサ75で測定する吸引領域Qbの圧力が負圧値から陽圧値になったときの搬送パッド50の高さ(エンコーダ72によって認識される高さ位置)を保持面高さとして設定する。
【0081】
図8は、ウェーハ上面高さ測定部82によって行われるウェーハ上面高さの測定状況を示している。ウェーハ上面高さ測定部82の制御によって、エア供給源59を動作させて開閉バルブ58を開き、エア噴射口53からリング状にエアを噴射して、搬送パッド50の下面51とウェーハWの上面との間の吸引領域Qaを負圧にして、搬送パッド50にウェーハWを吸引保持する。この段階では、圧力センサ75によって吸引領域Qaの負圧値が測定される。そして、搬送パッド50にウェーハWを吸引保持した状態で、搬送パッド50を保持面28に向かって下降させる。
【0082】
搬送パッド50が下降してウェーハWの下面がチャックテーブル20の保持面28に接触すると、搬送パッド50がエアの層を介してウェーハWを保持面28に押し付ける状態になる。下方の保持面28からの吸引力を用いてウェーハWを搬送パッド50から保持面28に受け渡す上記の実施形態とは異なり、保持面28に接触して下方への移動が規制されたウェーハWを搬送パッド50が上方から押し付ける形でウェーハWの受け渡しが行われるので、当該受け渡し時には、圧力センサ75によって測定される吸引領域Qaの気圧が負圧値から陽圧値になる。具体的な数値例として、チャックテーブル20の保持面28から離れた位置で搬送パッド50にウェーハWを吸引保持している
図7の状態では、吸引領域Qaの圧力が-0.20Kpaであり、吸引力が作用していない保持面28にウェーハWを押し付けた
図8の状態では、吸引領域Qaの圧力が0.02Kpaになった。
【0083】
ウェーハ上面高さ測定部82は、圧力センサ75で測定する吸引領域Qaの圧力が負圧値から陽圧値になったときの搬送パッド50の高さ(エンコーダ72によって認識される高さ位置)をウェーハ上面高さとして設定する。
【0084】
厚み算出部83は、保持面高さ測定部81によって測定した保持面高さと、ウェーハ上面高さ測定部82によって測定したウェーハ上面高さとの差を、ウェーハWの厚みとして算出する。この算出処理については、上記の実施形態と同様である。
【0085】
なお、この変形例のウェーハ上面高さ測定部82、保持面高さ測定部81は、負圧値が陽圧値に変化する瞬間に測定してもよいし、負圧値が陽圧値に変化し予め設定した設定値になったときに測定するようにしてもよい。このように吸引領域Qaの気圧を陽圧にしているため、搬送パッド50がウェーハWを保持面28に押し付けた状態(保持面28からのウェーハWの浮き上がりを抑えた状態)で、ウェーハWの上面高さを測定するので、保持面28を吸引源に連通させる機能を備えていないテーブルの場合に、保持面28とウェーハWの下面51との間の空気を排出してウェーハWの厚みを測定することができている。
【0086】
以上のように、保持面高さの測定で参照する吸引領域Qbの圧力と、ウェーハ上面高さの測定で参照する吸引領域Qaの圧力に関して、上記の実施形態(
図4から
図6)では、負圧の範囲内での陽圧方向への圧力変化を高さ位置決定のトリガーとして設定し、変形例(
図7から
図9)では、負圧値から陽圧値への変化を高さ位置決定のトリガーとして設定している。どちらの形態でも、保持面高さの測定とウェーハ上面高さの測定とで、トリガーとして扱う圧力変化の基準を揃えることによって、ウェーハWの厚みを適切に測定することが可能である。従って、本発明における「圧力センサで測定する負圧値が陽圧方向に変化」という記載は、上記の実施形態のように負圧の範囲内での陽圧方向への圧力変化が生じる(負圧が小さくなる)場合と、変形例のように負圧値から陽圧値への変化が生じる(負圧から陽圧に切り替わる)場合と、を包括した概念である。
【0087】
厚み測定機構80を用いたウェーハWの厚み測定は、ウェーハWを保持するテーブルがチャックテーブル20である場合だけではなく、ウェーハWを保持するテーブルが仮置きテーブル13やスピンナ洗浄テーブル17である場合についても適用が可能である。上記の実施形態及び変形例における「チャックテーブル20」及び「保持面28」を、「仮置きテーブル13」及び「保持面15」、あるいは「スピンナ洗浄テーブル17」及び「保持面19」に読み替えることによって、仮置きテーブル13やスピンナ洗浄テーブル17に対応した構成として成立する。
【0088】
例えば、本実施形態の研磨装置1において、スピンナ洗浄テーブル17は保持面19に吸引力を作用させる吸引構造を備えており、
図4から
図6に示す吸引構造付きのチャックテーブル20を、吸引構造付きのスピンナ洗浄テーブル17に置き換えることが可能である。また、本実施形態の研磨装置1において、仮置きテーブル13は保持面15に吸引力を作用させる吸引構造を備えておらず、
図7から
図9に示す吸引構造無しのタイプのチャックテーブル20を、吸引構造無しの仮置きテーブル13に置き換えることが可能である。
【0089】
保持面高さ測定部81による保持面高さの測定は、少なくともテーブルの保持面の高さが変更される可能性がある場合に行うことが好ましい。例えば、テーブルがチャックテーブル20である場合には、チャックテーブル20の交換や、チャックテーブル20の傾き調整などを行った後に、保持面高さ測定部81による保持面高さの測定を行うとよい。測定によって得られた保持面高さのデータを制御部2のメモリに記憶しておく。
【0090】
ウェーハ上面高さ測定部82によるウェーハ上面高さの測定は、第1搬送機構21や第2搬送機構22によって個々のウェーハWを搬送する際に行うことができる。上記の通り、搬送パッド50に吸引保持したウェーハWをチャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)の保持面28(あるいは、保持面15、保持面19)に受け渡す際に検出される吸引領域Qaの圧力値の変化に基づいて、ウェーハWの上面の高さを測定する。従って、第1搬送機構21や第2搬送機構22が通常の加工工程で行うウェーハWの搬送動作の流れの中で、ウェーハ上面高さの測定を実施可能であり、ウェーハ上面高さの測定のために第1搬送機構21や第2搬送機構22に特別な動作を行わせる必要が無く、研磨装置1での加工効率を低下させるおそれがない。
【0091】
詳しくは、第1搬送機構21によって仮置きテーブル13からチャックテーブル20へウェーハWを搬送する際の搬送パッド50の下降動作を利用して、研磨機構32による研磨を行う前のウェーハWの厚みを測定することが可能である。また、第2搬送機構22によってチャックテーブル20から洗浄部14へウェーハWを搬送する際の搬送パッド50の下降動作を利用して、研磨機構32による研磨を行った後のウェーハWの厚みを測定することが可能である。
【0092】
第1搬送機構21によって研磨前のウェーハWの厚みを測定した場合、個々のウェーハWの厚みデータが制御部2のメモリに記憶される。制御部2は、研磨機構32によってウェーハWを研磨する際に、当該ウェーハWの厚みデータを参照して、研磨機構32を高速下降から低速下降に切り替える高さ位置を算出する。詳しくは、できるだけウェーハWの上面に近い位置まで研磨パッド44を高速下降させ、且つ、高速下降する研磨パッド44がウェーハWに接触するのを防止できるように、個々のウェーハWに最適化された下降速度切り替えの高さ位置を算出する。これにより、複数のウェーハWに厚み差がある場合でも、研磨パッド44が各ウェーハWに接触するまでの時間を短くして、ウェーハWの破損を防ぎながら、研磨時間の短縮を図ることができる。
【0093】
また、第1搬送機構21によって研磨前のウェーハWの厚みを測定し、加工対象として適切なウェーハWであるか否かを制御部2が判断することができる。例えば、研磨前のウェーハWの厚みが所定の厚み範囲を外れている場合に、制御部2は、間違ったウェーハWがカセットCに収容されて研磨装置1に供給されたと判断する。
【0094】
また、第2搬送機構22によって研磨後のウェーハWの厚みを測定して、研磨加工が正常に完了したか否かを制御部2が判断することができる。研磨後のウェーハWの厚みが所定の範囲に収まっていない場合に、制御部2は、研磨加工において何らかの不良(研磨不足、過剰な研磨など)があったと判断する。
【0095】
制御部2がこれらのエラー状態を判定した場合、研磨装置1が備える報知部や、研磨装置1との通信が可能な外部端末などが備える報知部を通じて、オペレーターにエラー状態を報知させることができる。報知部による報知として、例えば、表示画面への文字やアイコンの表示、表示ランプの表示形態(色、点灯、点滅など)の変更、スピーカーからの発音、などを選択可能である。
【0096】
あるいは、制御部2が、正しいウェーハWが研磨装置1に供給されていると判定した場合や、研磨したウェーハWの厚みが正常であると判定した場合に、エラーが無いことを報知部を介して報知させてもよい。
【0097】
なお、上記の実施形態及び変形例では、ウェーハWを吸引保持した状態の搬送パッド50を下降させて、搬送パッド50が保持したウェーハWをチャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)に保持させ、ウェーハWの厚み(ウェーハWの上面高さ)を測定する内容について記載しているが、これに限定するものではない。チャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)にウェーハWを載置させた状態で、搬送パッド50のエア噴射口53からエアを噴射しながら、チャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)の上方から搬送パッド50を下降させ、搬送パッド50の下降に伴って形成される吸引領域Qaの圧力を圧力センサ75で測定することによってウェーハWの上面高さを測定してもよい。つまり、ウェーハ上面高さ測定部82によって行われるウェーハ上面高さの測定は、搬送パッド50を保持面28(15、19)に向かって下降させ、搬送パッド50の下面51と保持面28(15、19)との間にウェーハWを介在させて行われるものであればよく、搬送パッド50の下降を開始する際に、ウェーハWが搬送パッド50に吸引保持されていてもよいし、ウェーハWが保持面28(15、19)に載置されていてもよい。
【0098】
また、厚み算出部83は、チャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)にウェーハWを保持させた状態で、該ウェーハWの上方から搬送パッド50をエア噴射口53からエアを噴射しながら下降させ、圧力センサ75が測定する圧力値が、負圧値(所定の値)になったときの、搬送パッド50の高さをウェーハWの上面高さとして測定し、チャックテーブル20(あるいは、仮置きテーブル13、スピンナ洗浄テーブル17)のウェーハWを保持させない保持面28(15、19)の上方から搬送パッド50をエア噴射口53からエアを噴射しながら下降させ、圧力センサ75が測定する圧力値が、負圧値(所定の値)になったときの、搬送パッド50の高さを保持面高さとして測定し、その測定した互いの高さの差をウェーハWの厚みとして算出してもよい。
【0099】
上記の実施形態及び変形例は、研磨パッドによる研磨を行う研磨装置への適用例であるが、本発明の適用対象は研磨装置には限定されず、研削砥石による研削を行う研削装置や、切削ブレードによる切削を行う切削装置などの他の加工装置にも適用が可能である。つまり、ウェーハを保持するテーブルと、ウェーハを搬送する搬送機構と、を備えた加工装置全般に適用が可能である。研削装置や切削装置においても、複数のウェーハの厚み差に基づいた動作や制御を行う場合があり、安価な構成でウェーハの厚みを測定するという課題が存在し、本発明を適用することによって当該課題を解決できる。
【0100】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本発明の加工装置は、ウェーハを搬送する搬送機構を利用して簡単且つ安価な構成でウェーハの厚みを測定することが可能である。特に、複数のウェーハを連続的に搬送及び加工する加工装置において、測定したウェーハの厚み情報を利用して研磨パッドなどの加工具をウェーハの直上に高速移動させることができ、加工時間の短縮が可能となる。また、ウェーハに対して非接触でウェーハの厚みを測定できる。
【符号の説明】
【0102】
1 :研磨装置
2 :制御部
10 :基台
11 :カセットステージ
12 :ロボットハンド
13 :仮置きテーブル(テーブル)
14 :洗浄部
15 :保持面
16 :位置決めピン
17 :スピンナ洗浄テーブル(テーブル)
19 :保持面
20 :チャックテーブル(テーブル)
21 :第1搬送機構(搬送機構)
22 :第2搬送機構(搬送機構)
25 :枠体
26 :凹部
27 :ポーラス板
28 :保持面
29 :吸引路
30 :開閉バルブ
31 :吸引源
32 :研磨機構(加工機構)
34 :昇降機構
41 :スピンドルユニット
42 :研磨ホイール
44 :研磨パッド
50 :搬送パッド
51 :搬送パッドの下面
52 :搬送パッドの上面
53 :エア噴射口
56 :パッド内流路
57 :エア供給路
58 :開閉バルブ
59 :エア供給源
60 :回転機構
61 :昇降機構
62 :アーム
63 :リング部
65 :コイルバネ
66 :支持軸
67 :回転支持部
68 :モータ
69 :ガイドレール
70 :ボールネジ
71 :モータ
72 :エンコーダ(高さ認識部)
75 :圧力センサ
80 :厚み測定機構
81 :保持面高さ測定部
82 :ウェーハ上面高さ測定部
83 :厚み算出部
561 :垂直流路
562 :径方向流路
563 :傾斜流路
C :カセット
Qa :吸引領域
Qb :吸引領域
W :ウェーハ