(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165931
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】高アミロース小麦粉を含有する多層麺類
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20241121BHJP
【FI】
A23L7/109 B
A23L7/109 C
A23L7/109 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082532
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦行
(72)【発明者】
【氏名】津田 恭征
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA02
4B046LA05
4B046LB04
4B046LB09
4B046LC01
4B046LE06
4B046LG16
4B046LG29
4B046LP03
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP64
4B046LP71
(57)【要約】
【課題】高アミロース小麦粉を含有し、かつ食感の良好な多層麺類の提供。
【解決手段】2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有し、該A層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がX質量%であり、該B層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がY質量%であるとき、0≦X<Y、かつ30≦Y≦100であり、該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、多層麺類。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層麺類であって、
2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有し、
該A層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がX質量%であり、該B層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がY質量%であるとき、0≦X<Y、かつ30≦Y≦100であり、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、
多層麺類。
【請求項2】
Y-X≧10である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項3】
0≦X≦30である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項4】
前記高アミロース小麦粉が、SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項5】
前記A層及びB層が小麦粉を含有する、請求項1記載の多層麺類。
【請求項6】
前記A層及びB層の原料粉における穀粉類と澱粉類の合計含有量が85質量%以上である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項7】
前記A層と前記B層との厚さの比が、A層/B層/A層=0.25~4:1:0.25~4である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項8】
三層麺である、請求項1記載の多層麺類。
【請求項9】
冷蔵麺又は冷凍麺である、請求項1記載の多層麺類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高アミロース小麦粉を含有する多層麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献1~4には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。しかし一方で、アミロースは食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたこと、一方で、高アミロース小麦粉の配合によりパスタのようなテクスチャーの中華麺が得られたことが記載されている。そのため、ベーカリーや麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。
【0003】
多層構造を有する麺類(多層麺類)が従来製造されている。特許文献5には、内層は小麦粉、グルテン、難消化性デンプン及び増粘剤を含むとともに、真空押出法によって麺帯に成形され、外層は小麦粉、グルテン及び増粘剤を含む多層麺類が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-504803号公報
【特許文献2】特表2008-526690号公報
【特許文献3】特表2015-504301号公報
【特許文献4】特表2019-527054号公報
【特許文献5】特開2022-138721号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
【非特許文献2】Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。本発明は、高アミロース小麦粉を含有し、かつ食感の良好な多層麺類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕多層麺類であって、
2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有し、
該A層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がX質量%であり、該B層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がY質量%であるとき、0≦X<Y、かつ30≦Y≦100であり、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、
多層麺類。
〔2〕Y-X≧10である、〔1〕記載の多層麺類。
〔3〕0≦X≦30である、〔1〕又は〔2〕記載の多層麺類。
〔4〕前記高アミロース小麦粉が、SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の多層麺類。
〔5〕前記A層及びB層が小麦粉を含有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載の多層麺類。
〔6〕前記A層及びB層の原料粉における穀粉類と澱粉類の合計含有量が85質量%以上である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の多層麺類。
〔7〕前記A層と前記B層との厚さの比が、A層/B層/A層=0.25~4:1:0.25~4である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の多層麺類。
〔8〕三層麺である、〔1〕~〔7〕のいずれか1項記載の多層麺類。
〔9〕冷蔵麺又は冷凍麺である、〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の多層麺類。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高アミロース小麦粉を含有する多層麺類を提供する。本発明で提供される多層麺類は、弾力ある食感を有し、かつ経時耐性及びレンジ耐性が高く、調理後時間が経過した後、又は電子レンジで再加熱した後にも良好な食感を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明により提供される多層麺類の種類としては、特に限定されず、例えば、うどん、中華麺、冷や麦、素麺、そば、パスタ類などが挙げられ、また麺線であっても麺皮であってもよい。このうち、うどん又は中華麺が好ましい。
【0010】
本発明の多層麺類は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する。すなわち、該積層構造において、該A層は該B層に対して外層であり、該B層は該A層に対して内層である。本発明の多層麺類は、少なくともB層に高アミロース小麦粉を含有する。
【0011】
本明細書において、高アミロース小麦粉とは、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉をいう。小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1~2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
【0012】
高アミロース小麦粉の原料小麦の例としては、澱粉分枝酵素SBEIIaの活性が低い改変小麦が挙げられる。そのような改変小麦の例としては、特許文献1~4に記載される、SBEIIaの遺伝子の変異を有し、SBEIIaの活性が低下している高アミロース小麦が挙げられる。より具体的な例としては、穀粒中のSBEIIaタンパク質の量又は活性が野生型小麦穀粒中の量又は活性の2%よりも低い高アミロース小麦、1つ以上、例えば1つ又は2つのSBEIIa遺伝子のnull変異を有する高アミロース小麦、などが挙げられる。
【0013】
本発明で用いる高アミロース小麦粉は、前述した高アミロース小麦の穀粒を通常の方法に従って製粉することによって製造することができる。本発明で用いる高アミロース小麦粉は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分のみを実質的に含む小麦粉であってもよく、又は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分に加えてさらに胚芽やふすま画分を含む小麦粉(例えば全粒粉)であってもよい。
【0014】
本発明の多層麺類において、前記A層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がX質量%、前記B層における穀粉類と澱粉類の合計質量中の高アミロース小麦粉の含有量がY質量%であるとき、0≦X<Yである。好ましくは、30≦Y≦100であり、より好ましくは、50≦Y≦100である。また好ましくは、0≦X≦30であり、より好ましくは、0≦X≦20である。好ましくは、Y-X≧10であり、より好ましくは、Y-X≧20である。
【0015】
前記A層及びB層は、前記高アミロース小麦粉以外の他の穀粉類及び/又は澱粉類を含有することができる。該他の穀粉類の例としては、小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉、ライ麦粉、ふすま粉などが挙げられる。上記に挙げた穀粉類は、製造する麺類の種類に応じて、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0016】
前記A層及びB層は、前記高アミロース小麦粉以外の他の小麦粉を含有することができる。該他の小麦粉の例としては、非高アミロース小麦粉、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、デュラム粉、熱処理粉(α化小麦粉、部分α化小麦粉、焙焼小麦粉等)が挙げられる。上記に挙げた小麦粉は、製造する麺類の種類に応じて、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。該A層及びB層それぞれにおける、前記高アミロース小麦粉を含めた小麦粉の合計含有量は、該A層及びB層それぞれに含まれる穀粉類と澱粉類の合計質量中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
【0017】
前記A層及びB層に用いられ得る澱粉類の例としては、特に限定されず、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉などの未加工澱粉、及びそれらを加工(例えば、架橋化、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化など)した加工澱粉などが挙げられる。上記に挙げた未加工澱粉及び加工澱粉は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、該澱粉類はタピオカ澱粉である。また好ましくは、該澱粉類は加工澱粉である。より好ましくは、該澱粉類は加工タピオカ澱粉であり、さらに好ましくは、アセチル化、エーテル化及び架橋化からなる群より選択される1種以上の加工を行った加工タピオカ澱粉である。該A層及びB層それぞれにおける、該澱粉類の含有量は、該A層及びB層それぞれに含まれる穀粉類と澱粉類の合計質量中、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。あるいは、該A層及び/又はB層は澱粉類を含有していなくともよい。
【0018】
前記A層及びB層は、前述した高アミロース小麦粉、他の穀粉類及び/又は澱粉類に加えて、麺類の製造に従来用いられる他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分としては、例えば、小麦蛋白質(グルテン)、大豆蛋白質、乳蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;油脂類;かんすい;食塩;糖類;甘味料;焼成カルシウム;食物繊維;香辛料;調味料;ビタミン、ミネラル、栄養強化剤;色素;香料;デキストリン(難消化性含む);膨張剤;乳化剤;増粘剤;保水剤;保存剤;酵素剤;pH調整剤;酸化還元剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の成分は、製造する麺類の種類に応じて、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで用いることができる。該原料粉中における他の成分の各々の含有量は、目的とする麺類の性質に応じて適宜決定することができる。該A層及びB層の原料粉における該他の成分の合計含有量は、該原料粉の全質量中、好ましくは0~15質量%、より好ましくは0~10質量%である。したがって、該A層及びB層の原料粉における、前記高アミロース小麦粉を含む穀粉類と澱粉類との合計含有量は、それぞれ該原料粉の全質量中、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。該A層及びB層の原料粉に含まれる、該高アミロース小麦粉以外の他の穀粉類、澱粉類、及び他の成分の種類は、同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
本発明の多層麺類は、前述した組成を有するA層とB層を含む積層構造を作製すること以外は、基本的には、従来の多層麺類の製造方法と同様の手順で製造することができる。好適には、前述した組成で前記高アミロース小麦粉、及び必要に応じて他の穀粉類、澱粉類、又は他の成分を含有するA層及びB層の原料粉のそれぞれに、常法に従って水分を添加し、混捏することにより、A層用生地及びB層用生地を調製する。該生地の調製に用いられる水分としては、麺生地の調製に通常用いられる練水、例えば水、塩水、かん水、酸性溶液などを用いることができる。
【0020】
次いで、得られたA層用生地及びB層用生地をそれぞれ圧延して、A層用麺帯及びB層用麺帯を作製する。該B層用麺帯を該A層用麺帯で両側から挟み込んで、2つのA層用麺帯の間にB層用麺帯が配置された積層構造を有する多層麺帯を作製する。該多層麺帯を圧延し、切断することにより、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺類を製造することができる。麺帯の圧延と切断の手段としては、公知の方法を使用することができる。例えば、圧延と製麺の手段としては、押出し、ロールによる圧延と切出し、などが挙げられるが、特に限定されない。麺帯の圧延と切断には、市販の製麺機を使用することができる。
【0021】
本発明の多層麺類における2つのA層とB層との厚さの比は、好ましくは、A層/B層/A層=0.25~4:1:0.25~4、より好ましくは、A層/B層/A層=0.25~2:1:0.25~2である。2つのA層の厚みは、互いに異なっていてもよいが、同程度であることが好ましい。A層に対してB層の厚さが薄くなりすぎると、得られた多層麺類の食感が充分に向上しない場合がある。該多層麺類におけるA層とB層の厚さの比は、該麺類の製造工程においてA層用麺帯とB層用麺帯の厚さの比を変更することによって調整することができる。
【0022】
本発明の多層麺類は、2つのA層の間にB層を含む三層以上の積層構造を有していればよい。一例において、該多層麺類は、2つのA層と、その間のB層からなる三層麺である。別の一例において、該多層麺類は、2つのA層と、その間の2層以上のB層とを有する四層以上の麺であってもよい。好ましくは、該多層麺類は三層麺である。該B層が2層以上である場合、各々のB層は、前述したB層の原料粉の組成の範囲内において、組成の異なる生地から調製されていてもよい。
【0023】
以上の手順により、本発明の多層麺類の生麺を製造することができる。製造した多層麺類は、生麺、調理済み麺類などの形態にして保存、流通、販売することができる。これらの麺類は、冷蔵又は冷凍されていてもよい。一実施形態において、本発明の多層麺類は、生麺のまま提供される。別の一実施形態において、本発明の多層麺類は、蒸し、茹でなどで加熱調理された調理済み麺類として提供される。別の一実施形態において、本発明の多層麺類は、冷蔵又は冷凍調理済み麺類として提供される。該冷凍調理済み麺類は、自然解凍又は加熱解凍して喫食することができる。また該冷蔵又は冷凍調理済み麺類は、冷たいまま喫食してもく、又は電子レンジ加熱、湯煎などにより再加熱して喫食してもよい。本発明の多層麺類は、弾力ある食感を有し、また経時耐性が高いので、調理後時間が経っても、例えば加熱調理し冷蔵した状態でも、茹で伸び感のない良好な食感を有する。また本発明の多層麺類は、電子レンジ加熱した後にもヒキの少ない良好な食感を有することができる。
【実施例0024】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】
(材料)
・高アミロース小麦由来小麦粉(HAW):SBEIIa変異遺伝子を有する、SBEIIaの発現量の低い小麦穀粒から得られた小麦粉。アミロース含有量47.4質量%(総澱粉中)
・準強力小麦粉(準強力粉):アミロース含量23.5%(総澱粉中)
・中力小麦粉(中力粉):アミロース含有量21.3質量%(総澱粉中)
・加工澱粉:アセチル架橋タピオカ澱粉
アミロース含量は、アミロース/アミロペクチン分析キット(Megazyme社)により測定した。
【0026】
試験1 中華麺
1)単層麺の製造
表1に示す組成の原料粉100質量部に水(35~42質量部)、かん水1質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を、製麺ロールで圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(♯18角)で切出して中華麺の生麺線(麺厚1.7mm)を製造した。
【0027】
2)多層麺の製造
A層:表1に示す組成の原料粉100質量部に水(35~37質量部)、かん水1質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を圧延して厚さ4mm、7mm又は9mmのA層用麺帯を得た。
B層:表1に示す組成の原料粉100質量部に水(35~42質量部)、かん水1質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を圧延して厚さ12mm、7mm又は3mmのB層用麺帯を得た。
2枚のA層用麺帯の間にB層用麺帯を配置して積層し、圧延して三層麺帯とした後、切り刃(♯18角)で切出して生麺線(麺厚1.7mm)を製造した。A層/B層/A層の厚さ比は0.33/1/0.33、1/1/1、又は3/1/3とした。
【0028】
3)評価
(茹で麺)
得られた生麺線を歩留り約180%となるように茹で、水洗冷却した。得られた茹で麺の食感を10名の訓練されたパネラーにより下記評価基準で評価し、その平均点を求めた。結果を表1に示す。
<評価基準>
(食感)
5点:対照例よりも弾力が優れる
4点:対照例よりも弾力がやや優れる
3点:対照例と同等
2点:対照例よりも弾力がやや劣る
1点:対照例よりも弾力が劣る
【0029】
(冷蔵麺)
得られた生麺線を歩留り約170%となるように茹で、水洗冷却した。得られた茹で麺にほぐれ剤を噴霧した後、個食に包装し、冷蔵庫(4℃)で24時間保存した。冷蔵後の麺の経時耐性を評価した。また、冷蔵後の麺の一部を電子レンジ加熱し、レンジ耐性を評価した。評価は、前記と同じ10名の訓練されたパネラーにより下記評価基準で評価し、その平均点を求めた。結果を表1に示す。
【0030】
<評価基準>
(経時耐性)
5点:対照例よりも茹でのび感が非常に少なく、非常に優れる
4点:対照例よりも茹でのび感が少なく、優れる
3点:対照例よりも茹でのび感がやや少なく、やや優れる
2点:対照例と同等である
1点:対照例よりも茹でのび感が強い
(レンジ耐性)
5点:対照例よりもヒキが非常に少なく、非常に優れる
4点:対照例よりもヒキが少なく、優れる
3点:対照例よりもヒキがやや少なく、やや優れる
2点:対照例と同等である
1点:対照例よりもヒキが強い
【0031】
【0032】
試験2 うどん
1)単層麺の製造
表2に示す組成の原料粉100質量部に水37~42質量部及び食塩4質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を、製麺ロールで圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(♯10角)で切出してうどんの生麺線(麺厚3mm)を製造した。
【0033】
2)多層麺の製造
A層:表2に示す組成の原料粉100質量部に水37質量部及び食塩4質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を圧延して厚さ7mmのA層用麺帯を得た。
B層:表2に示す組成の原料粉100質量部に水42質量部及び食塩4質量部を加え、混捏して生地を調製した。該生地を圧延して厚さ7mmのB層用麺帯を得た。
2枚のA層用麺帯の間にB層用麺帯を配置して積層し、圧延して三層麺帯とした後、切り刃(♯10角)で切出して生麺線(麺厚3mm)を製造した。A層/B層/A層の厚さ比は1/1/1とした。
【0034】
3)評価
(茹で麺)
得られた生麺線を歩留りが約220%となるように茹で、水洗冷却した。得られた茹で麺の食感を試験1と同様の手順で評価した。結果を表2に示す。
【0035】
(冷蔵麺)
得られた生麺線を歩留りが約200%となるように茹で、水洗冷却した。得られた茹で麺にほぐれ剤を噴霧した後、個食に包装し、冷蔵庫(4℃)で24時間保存した。冷蔵後の麺の経時耐性を評価した。また、冷蔵後の麺の一部を電子レンジ加熱し、レンジ耐性を評価した。評価は試験1と同様の手順で行った。結果を表2に示す。
【0036】