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特開2024-166041全固体電池の評価方法、全固体電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166041
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】全固体電池の評価方法、全固体電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241121BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241121BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20241121BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20241121BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/054
H01M50/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199428
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2023082604
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 優衣
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 大
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AL01
5H029AM12
5H029CJ02
5H043AA19
5H043BA20
5H043CA13
5H043EA56
5H043HA29E
(57)【要約】
【課題】参照電極が電池の作動に影響を与えずに高精度に全固体電池を評価することができる全固体電池の評価方法、参照電極が電池の作動に影響を与えない全固体電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】正極層10及び負極層20並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層2を具備する全固体電池1の評価方法であって、前記正極層10の前記固体電解質層2とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質層11と、第1参照電極12と、を形成し、前記負極層20の前記固体電解質層2とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質層21と、第2参照電極22と、を形成し、前記第1参照電極12及び前記第2参照電極22を短絡して、短絡した前記第1参照電極12及び前記第2参照電極22と、前記正極層10及び前記負極層20とのそれぞれの間で評価を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池の評価方法であって、
前記正極層の前記固体電解質層とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質層と、第1参照電極と、を形成し、
前記負極層の前記固体電解質層とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質層と、第2参照電極と、を形成し、
前記第1参照電極及び前記第2参照電極を短絡して、短絡した前記第1参照電極及び前記第2参照電極と、前記正極層及び前記負極層とのそれぞれの間で評価を行う、
ことを特徴とする全固体電池の評価方法。
【請求項2】
前記正極層、前記負極層、前記第1参照電極、前記第2参照電極、前記正極側固体電解質層及び前記負極側固体電解質層は、ナトリウムを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の全固体電池の評価方法。
【請求項3】
前記正極層及び前記負極層の充放電特性を個別に測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の全固体電池の評価方法。
【請求項4】
前記正極層及び前記負極層の何れか一方を作用電極、他方を対極、短絡した前記第1参照電極及び前記第2参照電極を参照電極として、充放電中の任意の充電状態において前記作用電極の電気化学インピーダンスを測定する、
ことを特徴とする全固体電池の評価方法。
【請求項5】
正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池であって、
前記正極層の前記固体電解質層とは反対側には、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質層と、第1参照電極と、を具備し、
前記負極層の前記固体電解質層とは反対側には、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質層と、第2参照電極と、を具備する、
ことを特徴とする全固体電池。
【請求項6】
前記正極側配線は、一部が前記正極層に埋設されており、
前記負極側配線は、一部が前記負極層に埋設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の全固体電池。
【請求項7】
正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池の製造方法であって、
前記正極層となる正極用電極合剤及び前記負極層となる負極用電極合剤と、前記正極用電極合剤及び前記負極用電極合剤の間に前記固体電解質層となる固体電解質材料と、を積層し、
前記正極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質材料を積層し、
前記負極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質材料を積層して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を焼成することで、前記正極用電極合剤から第1電極層を形成し、前記負極用電極合剤から第2電極層を形成し、前記固体電解質材料から前記固体電解質層を形成し、前記正極側固体電解質材料から正極側固体電解質層を形成し、前記負極側固体電解質材料から負極側固体電解質層を形成した焼結積層体を形成する焼結工程と、
前記正極側固体電解質層の前記第1電極層とは反対側に第1参照電極を設けると共に、前記負極側固体電解質層の前記第2電極層とは反対側に第2参照電極を設ける参照電極形成工程と、
を具備する、
ことを特徴とする全固体電池の製造方法。
【請求項8】
正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池の製造方法であって、
前記正極層となる正極用電極合剤及び前記負極層となる負極用電極合剤と、前記正極用電極合剤及び前記負極用電極合剤の間に前記固体電解質層となる固体電解質材料と、を積層し、
前記正極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質材料を積層し、
前記負極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質材料を積層し、
前記正極側電解質材料の前記正極側電極合剤とは反対側に、第1参照電極合剤を積層し、
前記負極側電解質材料の前記負極側電極合剤とは反対側に、第2参照電極合剤を積層して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を焼成することで、前記正極用電極合剤から第1電極層を形成し、前記負極用電極合剤から第2電極層を形成し、前記固体電解質材料から前記固体電解質層を形成し、前記正極側固体電解質材料から正極側固体電解質層を形成し、前記負極側固体電解質材料から負極側固体電解質層を形成し、前記第1参照電極合剤から第1参照電極層を形成し、前記第2参照電極合剤から第2参照電極層を形成した焼結積層体を形成する焼結工程と、
を具備する、
ことを特徴とする全固体電池の製造方法。
【請求項9】
前記第1電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、
前記第1参照電極は、前記正極用電極合剤に含まれる金属を含み、
前記焼結積層体の前記第1参照電極と前記第1電極層との間に電圧を印加して前記第1参照電極に含まれる金属イオンを前記第1電極層に移動して前記正極層を形成する正極形成工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項8に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、
前記第1参照電極層は、前記正極用電極合剤に含まれる金属を含み、
前記焼結積層体の前記第1参照電極層と前記第1電極層との間に電圧を印加して前記第1参照電極層に含まれる金属イオンを前記第1電極層に移動して前記第1電極層から前記正極層を形成すると共に前記第1参照電極層から第1参照電極を形成する正極及び第1参照電極形成工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項8に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項11】
前記金属がナトリウムである、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項12】
前記第2電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、
前記第2参照電極は、前記負極用電極合剤に含まれる金属を含み、
前記焼結積層体の前記第2参照電極と前記第2電極層との間に電圧を印加して前記第2参照電極に含まれる金属イオンを前記第2電極層に移動して前記負極層を形成する負極形成工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項7に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項13】
前記第2電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、
前記第2参照電極層は、前記負極用電極合剤に含まれる金属を含み、
前記焼結積層体の前記第2参照電極層と前記第2電極層との間に電圧を印加して前記第2参照電極層に含まれる金属イオンを前記第2電極層に移動して前記第2電極層から前記負極層を形成すると共に前記第2参照電極層から第2参照電極を形成する負極及び第2参照電極形成工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項8に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項14】
前記金属がナトリウムである、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の全固体電池の製造方法。
【請求項15】
前記積層工程は、前記正極側配線の一部を前記正極用電極合剤に埋設し、前記負極側配線の一部を前記負極用電極合剤に埋設する配線埋設工程を含む、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の全固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物型の固体電解質を有する全固体電池の参照電極を用いた各電極の評価方法、全固体電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池は、固体状態の正極、負極及び電解質を有する。全固体電池に使用される個体電解質には、硫化物型、ポリマー型、酸化物型等があり、それぞれの長所に応じて使い分けられる。
【0003】
例えば、硫化物型、ポリマー型の電解質は、比較的柔らかいため、電解質と電極との界面が形成し易いという長所があるものの、安全性が比較的低いという短所がある。
【0004】
酸化物型の電解質は、比較的硬いため、電解質と電極との界面が形成し難いという短所があるものの、安全性が比較的高いという長所がある。
【0005】
このような全固体電池には、参照電極を設けて、正極及び負極それぞれの充放電曲線を個別に観測するものがある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-07408号公報
【特許文献2】特開2021-64579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2は、何れも酸化物型の電解質ではないため、参照電極の導入が比較的容易なのに対し、酸化物型の電解質の場合、高温で焼結する必要があるため、電解質に参照電極を導入するのが困難であるという問題がある。
また、特許文献1のように、正極と負極との間に参照電極を挿入した構成の場合、参照電極が正負極からなる電池の作動に影響を及ぼしてしまうという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、参照電極が電池の作動に影響を与えずに高精度に全固体電池を評価することができる全固体電池の評価方法、参照電極が電池の作動に影響を与えない全固体電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の態様は、正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池の評価方法であって、前記正極層の前記固体電解質層とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質層と、第1参照電極と、を形成し、前記負極層の前記固体電解質層とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質層と、第2参照電極と、を形成し、前記第1参照電極及び前記第2参照電極を短絡して、短絡した前記第1参照電極及び前記第2参照電極と、前記正極層及び前記負極層とのそれぞれの間で評価を行うことを特徴とする全固体電池の評価方法にある。
【0010】
かかる態様では、焼結が必要な固体電解質層に参照電極を設けることなく、正極層の外側に正極側固体電解質層と第1参照電極とを設け、負極層の外側に負極側固体電解質層と第2参照電極とを設けて、第1参照電極と第2参照電極とを擬似的な参照電極として機能させることで、全固体電池を電池として作動させている最中に、参照電極が電池の作動に影響を与えずに、正極層及び負極層のそれぞれの充放電特性、すなわち、充放電曲線を個別に測定することや、充放電中の任意の充電状態における正極層及び負極層のそれぞれの電気化学インピーダンスを個別に測定して評価することができる。
【0011】
また、前記固体電解質層の一方面に酸化還元反応が起こる電位が2種類以上存在する第1電極層を形成した後、前記第1参照電極に含まれる金属イオンを前記第1電極層に移動することで酸化還元状態を電気化学的に調整して前記正極層を形成することが好ましい。これによれば、安定した第1電極層を容易に形成することができると共に、第1電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた正極層を形成して評価することができる。
【0012】
また、前記固体電解質層の他方面に酸化還元反応が起こる電位が2種類以上存在する第2電極層を形成した後、前記第2参照電極に含まれる金属イオンを前記第2電極層に移動することで酸化還元状態を電気化学的に調整して前記負極層を形成することが好ましい。これによれば、安定した第2電極層を容易に形成することができると共に、第2電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた負極層を形成して評価することができる。
【0013】
また、前記正極層、前記負極層、前記第1参照電極、前記第2参照電極、前記正極側固体電解質層及び前記負極側固体電解質層は、ナトリウムを含む、ことが好ましい。
【0014】
これによれば、ナトリウムイオン二次電池からなる全固体電池を評価することができる。
また、前記正極層及び前記負極層の充放電特性を個別に測定する、ことが好ましい。これによれば、焼結が必要な固体電解質層に参照電極を設けることなく、正極層の外側に正極側固体電解質層と第1参照電極とを設け、負極層の外側に負極側固体電解質層と第2参照電極とを設けて、第1参照電極と第2参照電極とを短絡させて擬似的な参照電極として機能させることで、全固体電池を電池として作動させている最中に、参照電極が電池の作動に影響を与えずに正極層及び負極層のそれぞれの充放電特性、すなわち、充放電曲線を個別に測定して評価することができる。
【0015】
また、前記正極層及び前記負極層の何れか一方を作用電極、他方を対極、短絡した前記第1参照電極及び前記第2参照電極を参照電極として、充放電中の任意の充電状態において前記作用電極の電気化学インピーダンスを測定する、ことが好ましい。これによれば、参照電極が電池の作動に影響を与えずに、充放電中の任意の充電状態における正極層及び負極層のそれぞれの電気化学インピーダンスを測定して全固体電池を評価することができ、より高精度な評価を行うことができる。
【0016】
また本発明の他の態様は、正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を含む固体電解質層を具備する全固体電池であって、前記正極層の前記固体電解質層とは反対側には、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質層と、第1参照電極と、を具備し、前記負極層の前記固体電解質層とは反対側には、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質層と、第2参照電極と、を具備する、ことを特徴とする全固体電池にある。
【0017】
かかる態様では、焼結が必要な固体電解質層に参照電極を設けることなく、全固体電池を電池として作動させている最中に、第1参照電極及び第2参照電極が電池としての作動に影響を与えることなく、第1参照電極及び第2参照電極を擬似的な参照電極として機能させて、正極層及び負極層のそれぞれの充放電曲線を測定して評価することができる。
【0018】
また、前記正極側配線は、一部が前記正極層に埋設されており、前記負極側配線は、一部が前記負極層に埋設されている、ことが好ましい。これによれば、正極層に埋設された正極側配線及び負極層に埋設された負極側配線を利用して、全固体電池として作動させることができる。
【0019】
また本発明の他の態様は、正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を含む固体電解質層を具備する全固体電池の製造方法であって、前記正極層となる正極用電極合剤及び前記負極層となる負極用電極合剤と、前記正極用電極合剤及び前記負極用電極合剤の間に前記固体電解質層となる固体電解質材料と、を積層し、前記正極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質材料を積層し、前記負極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質材料を積層して積層体を形成する積層工程と、前記積層体を焼成することで、前記正極用電極合剤から第1電極層を形成し、前記負極用電極合剤から第2電極層を形成し、前記固体電解質材料から前記固体電解質層を形成し、前記正極側固体電解質材料から正極側固体電解質層を形成し、前記負極側固体電解質材料から負極側固体電解質層を形成した焼結積層体を形成する焼結工程と、前記正極側固体電解質層の前記第1電極層とは反対側に第1参照電極を設けると共に、前記負極側固体電解質層の前記第2電極層とは反対側に第2参照電極を設ける参照電極形成工程と、を具備する、ことを特徴とする全固体電池の製造方法にある。
【0020】
かかる態様では、第1参照電極及び第2参照電極が焼結時の高温に曝されることがないため、第1参照電極及び第2参照電極が高温によって機能しなくなることがない。また、固体電解質層内に参照電極を設けなくていいため、固体電解質層に参照電極を設けることで、周囲の固体電解質材料等と期待されない反応を起こして別の組成や物質に変化し、電池としての作動に悪影響を及ぼす不具合が生じるのを防止することができる。したがって、第1参照電極及び第2参照電極を有し、電池として作動させている最中に、電池の作動に影響を与えず、正極層及び負極層のそれぞれの充放電曲線を個別に測定することや、充放電中の任意の充電状態における正極層及び負極層のそれぞれの電気化学インピーダンスを個別に測定して評価することができる全固体電池を容易に製造することができる。
【0021】
また、本発明の他の態様は、正極層及び負極層並びにそれらの間の酸化物固体電解質を含む固体電解質層と、前記正極層に接続された正極側配線及び前記負極層に接続された負極側配線と、を具備する全固体電池の製造方法であって、前記正極層となる正極用電極合剤及び前記負極層となる負極用電極合剤と、前記正極用電極合剤及び前記負極用電極合剤の間に前記固体電解質層となる固体電解質材料と、を積層し、前記正極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む正極側固体電解質材料を積層し、前記負極用電極合剤の前記固体電解質材料とは反対側に、酸化物固体電解質を含む負極側固体電解質材料を積層し、前記正極側電解質材料の前記正極側電極合剤とは反対側に、第1参照電極合剤を積層し、前記負極側電解質材料の前記負極側電極合剤とは反対側に、第2参照電極合剤を積層して積層体を形成する積層工程と、前記積層体を焼成することで、前記正極用電極合剤から第1電極層を形成し、前記負極用電極合剤から第2電極層を形成し、前記固体電解質材料から前記固体電解質層を形成し、前記正極側固体電解質材料から正極側固体電解質層を形成し、前記負極側固体電解質材料から負極側固体電解質層を形成し、前記第1参照電極合剤から第1参照電極層を形成し、前記第2参照電極合剤から第2参照電極層を形成した焼結積層体を形成する焼結工程と、を具備する、ことを特徴とする全固体電池の製造方法にある。
【0022】
かかる態様では、固体電解質層の内部に参照電極を設けることなく、固体電解質層の外部に第1参照電極及び第2参照電極を焼結によって形成することができるため、固体電解質層に参照電極を設けることで、周囲の固体電解質材料等と期待されない反応を起こして別の組成や物質に変化し、電池としての作動に悪影響を及ぼす不具合が生じるのを防止することができる。したがって、第1参照電極及び第2参照電極を有し、電池として作動させている最中に、電池の作動に影響を与えず、正極層及び負極層のそれぞれの充放電曲線を個別に測定することや、充放電中の任意の充電状態における正極層及び負極層のそれぞれの電気化学インピーダンスを個別に測定して評価することができる全固体電池を容易に製造することができる。
【0023】
ここで、前記第1電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、前記第1参照電極は、前記正極用電極合剤に含まれる金属を含み、前記焼結積層体の前記第1参照電極と前記第1電極層との間に電圧を印加して前記第1参照電極に含まれる金属イオンを前記第1電極層に移動して前記正極層を形成する正極形成工程をさらに具備する、ことが好ましい。
【0024】
これによれば、焼結工程によって安定した第1電極層を形成した後、焼結工程後に正極形成工程によって第1電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた正極層を形成することができる。また、焼結工程では、安定した第1電極層を形成するため、焼結条件を高精度に管理する必要がなく、生産性を向上することができる。
【0025】
また、前記第1電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、前記第1参照電極層は、前記正極用電極合剤に含まれる金属を含み、前記焼結積層体の前記第1参照電極層と前記第1電極層との間に電圧を印加して前記第1参照電極層に含まれる金属イオンを前記第1電極層に移動して前記第1電極層から前記正極層を形成すると共に前記第1参照電極層から第1参照電極を形成する正極及び第1参照電極形成工程をさらに具備する、ことが好ましい。
【0026】
これによれば、焼結工程によって安定した第1電極層及び第1参照電極層を形成した後、焼結工程後に正極及び第1参照電極形成工程によって第1電極層及び第1参照電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた正極層及び第1参照電極を形成することができる。また、焼結工程では、安定した第1電極層及び第1参照電極層を形成するため、焼結条件を高精度に管理する必要がなく、生産性を向上することができる。
【0027】
また、前記金属がナトリウムである、ことが好ましい。これによれば、第1参照電極のナトリウムイオンを第1電極層に移動させて第1電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整して正極層を形成することができる。
【0028】
また、前記第2電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、前記第2参照電極は、前記負極用電極合剤に含まれる金属を含み、前記焼結積層体の前記第2参照電極と前記第2電極層との間に電圧を印加して前記第2参照電極に含まれる金属イオンを前記第2電極層に移動して前記負極層を形成する負極形成工程をさらに具備する、ことが好ましい。
【0029】
これによれば、焼結工程によって安定した第2電極層を形成した後、焼結工程後に負極形成工程によって第2電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた負極層を形成することができる。また、焼結工程では、安定した第2電極層を形成するため、焼結条件を高精度に管理する必要がなく、生産性を向上することができる。
【0030】
また、前記第2電極層は、酸化還元反応が2種類以上存在し、前記第2参照電極層は、前記負極用電極合剤に含まれる金属を含み、前記焼結積層体の前記第2参照電極層と前記第2電極層との間に電圧を印加して前記第2参照電極層に含まれる金属イオンを前記第2電極層に移動して前記第2電極層から前記負極層を形成すると共に前記第2参照電極層から第2参照電極を形成する負極及び第2参照電極形成工程をさらに具備する、ことが好ましい。
【0031】
これによれば、焼結工程によって安定した第2電極層及び第2参照電極層を形成した後、焼結工程後に負極及び第2参照電極形成工程によって第2電極層及び第2参照電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、電極として優れた負極層及び第2参照電極を形成することができる。また、焼結工程では、安定した第2電極層及び第2参照電極層を形成するため、焼結条件を高精度に管理する必要がなく、生産性を向上することができる。
【0032】
また、前記金属がナトリウムである、ことが好ましい。これによれば、第2参照電極のナトリウムイオンを第2電極層に移動させて第2電極層の酸化還元状態を電気化学的に調整して負極層を形成することができる。
【0033】
また、前記積層工程は、前記正極側配線の一部を前記正極用電極合剤に埋設し、前記負極側配線の一部を前記負極用電極合剤に埋設する配線埋設工程を含む、ことが好ましい。これによれば、正極側配線を正極層に確実に接続することができると共に、負極側配線を負極層に確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、全固体電池を電池として作動させている最中に、参照電極が電池の作動に影響を与えずに正極層及び負極層のそれぞれの充放電曲線を個別に測定することや、充放電中の任意の充電状態における正極層及び負極層のそれぞれの電気化学インピーダンスを個別に測定して全固体電池の状態を評価することができる全固体電池の評価方法、全固体電池及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る全固体電池の分解斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る全固体電池の断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る全固体電池の製造方法を説明する側面図。
図4】本発明の一実施形態に係る全固体電池の製造方法を説明する側面図。
図5】本発明の一実施形態に係る全固体電池の評価方法を説明する断面図。
図6】本発明の一実施形態に係る全固体電池の充放電測定結果を示すグラフ。
図7】本発明の一実施形態に係る全固体電池の評価結果を示すグラフ。
図8】本発明の一実施形態に係る全固体電池のその他の製造方法を説明する側面図。
図9】本発明の一実施形態に係る全固体電池の電気化学インピーダンスの測定結果を示すグラフ。
図10】本発明の一実施形態に係る全固体電池の電気化学インピーダンスの測定結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0037】
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る全固体電池の分解斜視図である。図2は、全固体電池の断面図である。
【0038】
本実施形態の全固体電池1は、電極にナトリウムを含んだ化合物を用いて、ナトリウムイオンの移動によって充放電を行うナトリウムイオン二次電池である。
【0039】
具体的には、全固体電池1は、図1に示すように、固体電解質層2と、固体電解質層2の一方面に設けられた正極層10と、固体電解質層2の正極層10とは反対側の他方面に設けられた負極層20と、正極層10に接続された正極側配線14と、負極層20に接続された負極側配線24と、を具備する。
【0040】
正極層10の固体電解質層2とは反対側には、正極側固体電解質層11と、第1参照電極12と、正極側タブ13と、が積層されている。
【0041】
また、負極層20の固体電解質層2とは反対側には、負極側固体電解質層21と、第2参照電極22と、負極側タブ23と、が積層されている。
【0042】
つまり、本実施形態の全固体電池1は、正極側タブ13、第1参照電極12、正極側固体電解質層11、正極層10、固体電解質層2、負極層20、負極側固体電解質層21、第2参照電極22、負極側タブ23と、がこの順に積層されている。
【0043】
固体電解質層2は、固体電解質を含有する層であり、バインダーをさらに含有してもよい。固体電解質としては、焼結によって形成された酸化物固体電解質からなる。酸化物固体電解質としては、例えば、Li元素、Y元素(Yは、Na、Nb、B、Al、Si、P、Ti、Zr、Mo、W、S、K、Ca、Mgの少なくとも一種である)、および、O元素を含有する固体電解質が挙げられる。固体電解質層2に用いられるバインダーとしては、例えば、ブチレンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ化物系バインダーが挙げられる。本実施形態では、固体電解質層2の固体電解質として、例えば、ナトリウムとジルコニウムなどを含むナシコン型NaZr(SiO(PO)(NZSP)のNZSPセラミックス電解質を用いた。もちろん、固体電解質層2は、NZSPセラミックス電解質に限定されず、例えば、Na3.1Zr1.95Mg0.05SiPO12(NZMSP)を用いてもよい。
【0044】
正極層10及び負極層20は、固体電解質層2と接触している。正極層10及び負極層20は、少なくとも活物質と固体電解質とを含む。また、正極層10及び負極層20は、導電性カーボン等の導電助剤などを含むものであってもよい。また、正極層10及び負極層20は、本実施形態では、酸化還元反応が起きる電位が2種以上存在する活物質材料からなる。このような正極層10及び負極層20の活物質としては、固体電解質層2と同一の結晶構造を有し、且つ類似の化学組成を有するナトリウムとチタンとを含むナシコン型NaTi(POのNTP電極活物質を用いた。このように正極層10及び負極層20として、固体電解質層2と同じ結晶構造を有し、類似の化学組成を有するナシコン型のNTP電極活物質を用いることで、高い電池性能を得ることができる。また、正極層10及び負極層20の活物質としてNTP電極活物質を用いることで、詳しくは後述するが、酸化還元状態を調整して全固体電池1の正極としても負極としても利用することができる。もちろん、正極層10及び負極層20の活物質は、上述した材料に限定されず、例えば、Na(PO(NVP)、NaNi(PO(NNPP)、Na0.66Ni0.33Mn0.67等を用いてもよい。また、正極層10及び負極層20の活物質は、同じ材料を用いるものに限定されず、異なる材料を用いてもよい。例えば、正極層10の活物質にNaNi(PO(NNPP)、負極層20の活物質にNaTi(PO(NTP)を用いてもよい。
【0045】
正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21は、酸化物固体電解質からなる。正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21は、同じ材料(組成)であって、固体電解質層2と同じナトリウムが含まれるナトリウム伝導体であればよく、本実施形態では、正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21は、固体電解質層2と同じ材料、つまり、ナトリウムとジルコニウムなどを含むナシコン型のNZSPセラミックス電解質を用いた。また、正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21は、同じ量である必要がある。もちろん、正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21は、同じ材料で且つ第1参照電極12及び第2参照電極22に含まれる金属イオンのイオン伝導体であれば、固体電解質層2とは異なる組成の材料であってもよい。
【0046】
第1参照電極12及び第2参照電極22は、導電性を有する金属で形成された平板からなる。また、第1参照電極12及び第2参照電極22は、正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21を焼結する際に同時に加熱される場合には、焼結温度に耐える材料を用いる必要がある。また、第1参照電極12は、正極層10に含まれる金属元素を含むことが好ましい。また、第2参照電極22は、負極層20に含まれる金属元素を含むことが好ましい。すなわち、第1参照電極12及び第2参照電極22としては、ナトリウム金属の平板やナトリウムを含む合金等を用いることができる。本実施形態では、第1参照電極12及び第2参照電極22は、ナトリウム金属の平板からなる。第1参照電極12及び第2参照電極22は、同じ材料を用いる必要がある。
【0047】
また、第1参照電極12及び第2参照電極22は、金属で形成された平板に限定されるものではない。第1参照電極12及び第2参照電極22は、活物質と固体電解質とを含む材料で形成されてもよい。また、第1参照電極12及び第2参照電極22は、固体電解質を含まず、活物質のみを含む材料で形成されてもよい。つまり、第1参照電極11及び第2参照電極22は、少なくとも活物質を含む材料で形成されていればよい。また、第1参照電極12及び第2参照電極22は、導電性カーボン等の導電助剤などを含むものであってもよい。つまり、第1参照電極12は、正極層10に含まれる金属元素、例えば、ナトリウムの脱挿入反応を起こす活物質を含む第1参照電極合剤を正極側固体電解質層11となる焼結前の正極側固体電解質材料に積層し、正極側固体電解質材料と共に第1参照電極合剤を焼結することで正極側固体電解質層11と同時に形成してもよい。同様に、第2参照電極22は、負極層20に含まれる金属元素、例えば、ナトリウムの脱挿入反応を起こす活物質を含む第2参照電極合剤を負極側固体電解質層21となる焼結前の負極側固体電解質材料に積層し、負極側固体電解質材料と共に第2参照電極合剤を焼結することで負極側固体電解質層21と同時に形成してもよい。もちろん、第1参照電極12及び第2参照電極22と、正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21とを同時に焼結することで同時に形成することができる。このような第1参照電極12及び第2参照電極22の材料としては、例えば、Na(PO(NVP)等を用いることができる。なお、第1参照電極12と第2参照電極22とは、同じ材料を用いる必要がある。また、第1参照電極12及び第2参照電極22は、活物質の中で、反応電位が容量に対して一定なものを含む電極合剤を用いることが好ましい。これにより、第1参照電極12及び第2参照電極22を参照電極として測定した際に、測定電位の信頼性を向上することができる。また、第1参照電極12となる第1参照電極合剤と、第2参照電極22となる第2参照電極合剤とは同じ量であることが好ましい。
【0048】
正極側タブ13及び負極側タブ23は、導電性を有する材料、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、シート状のカーボン等で形成されている。正極側タブ13及び負極側タブ23は、同じ材料を用いるのが好ましい。
【0049】
また、正極層10及び負極層20のそれぞれには、正極側配線14及び負極側配線24が電気的に接続されている。本実施形態では、正極側配線14は、その先端部が正極層10に埋設されており、負極側配線24は、その先端部が負極層20に埋設されている。ここで、正極側配線14は、正極層10の厚さ、すなわち、正極層10、固体電解質層2及び負極層20の積層方向において、正極層10の中心部分に設けるのが好ましい。これにより、正極側配線14を正極層10と電気的に偏ることなく接続することができる。負極側配線24の負極層20に対する位置についても正極側配線14と同じである。
ここで正極側配線14及び負極側配線24を介して全固体電池1の充放電が行われる。
【0050】
このような全固体電池1では、図5(a)に示すように正極層10と負極層20とを対電極として電池として使用することができる。また、図5(b)に示すように、全固体電池1を電池として作動させている最中に、第1参照電極12及び第2参照電極22を短絡して参照電極とすることで、正極層10と負極層20とのそれぞれの充放電特性、すなわち、充放電曲線を個別に測定して評価することができる。つまり、本実施形態の全固体電池1では、固体電解質層2に参照電極を埋め込む必要がなく、固体電解質層2に埋め込んだ参照電極によって電池としての作動に悪影響を及ぼすことがない。したがって、参照電極が電池の作動に影響を与えない全固体電池1を実現できる。なお、正極層10と負極層20との評価結果については、詳しくは後述する。
【0051】
このような全固体電池1の製造方法は、積層工程と焼結工程と参照電極形成工程と正極形成工程及び負極形成工程とを有する。なお、図3および図4は、本実施形態の全固体電池1の製造方法を説明する断面図である。
【0052】
積層工程は、図3(a)に示すように、固体電解質層2となる固体電解質材料102の粉体と、正極層10となる少なくとも活物質と固体電解質とを含む正極用電極合剤210と、負極層20となる少なくとも活物質と固体電解質とを含む負極用電極合剤220と、正極側固体電解質層11となる正極側固体電解質材料211の粉体と、負極側固体電解質層21となる負極側固体電解質材料221の粉体と、を積層して積層体30を形成する。なお、積層工程では、加圧成型することで積層体30を形成する。
【0053】
また、本実施形態の積層工程は、正極用電極合剤210に正極側配線14の一部を埋め込むと共に、負極用電極合剤220に負極側配線24の一部を埋め込む配線埋設工程を含む。本実施形態では、正極側配線14の一端部を正極用電極合剤210に埋め込み、負極側配線24の先端部を負極用電極合剤220に埋め込むようにした。もちろん、正極側配線14を正極用電極合剤210に埋め込む部分は、先端部に限定されず、中央部であってもよい。つまり、正極用電極合剤210から正極側配線14の2つの端部が導出されていてもよい。負極側配線24についても同様である。
また、上述したように、正極側配線14は、正極用電極合剤210の積層方向の中心部分に設けるのが好ましい。また、負極側配線24は、負極用電極合剤220に積層方向の中心部分に設けるのが好ましい。
【0054】
焼結工程は、図3(b)に示すように、積層体30を焼成することで焼結積層体31を形成する。本実施形態では、積層体30を、放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)法により焼結した。これにより、積層体30の固体電解質材料102が焼結された固体電解質層2となる。同様に、正極側固体電解質材料211及び負極側固体電解質材料221が焼結されてそれぞれ正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21となる。正極用電極合剤210は焼結されて第1電極層10Aとなり、負極用電極合剤220は、焼結されて第2電極層20Aとなる。
【0055】
このように焼結工程によって正極用電極合剤210及び負極用電極合剤220を焼結した第1電極層10A及び第2電極層20Aは、安定したNTP、すなわち、NaTi(POを含む層として形成することができる。以降、NTPをNaの数[X]によってN[X]TPと表記する。このため、焼結工程によって形成された第1電極層10A及び第2電極層20Aは、N1TPと表記する。
【0056】
参照電極形成工程は、図3(c)に示すように、正極側固体電解質層11の第1電極層10Aとは反対側に第1参照電極12を形成すると共に、負極側固体電解質層21の第2電極層20Aとは反対側に第2参照電極22を形成する。これら第1参照電極12及び第2参照電極22は、金属の平板を圧着して形成する。
【0057】
正極形成工程、図4(a)に示すように、第1参照電極12と第1電極層10Aとの間に定電流を印加することで、第1参照電極12に含まれる金属イオン、本実施形態では、ナトリウムイオンを、正極側固体電解質層11を介して第1電極層10Aに移動し、図4(b)に示すようにN1TPの第1電極層10AからN3TPの正極層10を形成する。
【0058】
負極形成工程は、図4(a)に示すように、第2参照電極22と第2電極層20Aとの間に定電流を印加することで、第2参照電極22に含まれる金属イオン、本実施形態では、ナトリウムイオンを、負極側固体電解質層21を介して第2電極層20Aに移動し、図4(b)に示すように、N1TPの第2電極層20AからN3TPの負極層20を形成する。つまり、焼結工程によって安定したN1TPの第1電極層10A及び第2電極層20Aを形成した後、焼結工程後に正極形成工程及び負極形成工程で第1電極層10A及び第2電極層20Aのそれぞれの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N3TPの正極層10及び負極層20を形成する。正極層10及び負極層20を形成する際に印加する電流はできるだけ小さい方が好ましい。これは、大電流を印加すると十分な量のナトリウムイオンが移動できず、N3TPの正極層10及び負極層20を形成できない可能性があるためである。
【0059】
このように形成した正極層10及び負極層20は、N3TPを始状態として対称型電池となるため、ナトリウムイオンの伝導によって正極層10及び負極層20のチタンイオンの酸化還元反応を利用した高性能な電池とすることができる。つまり、図5(a)に示すように、全固体電池1の始状態では、正極層10及び負極層20は、N3TPであり、全固体電池1を充電することで、ナトリウムイオンを伝導して、正極層10がN1TPになり、負極層20がN4TPとなる。また、図5(b)に示す充電された全固体電池1が放電することで、図5(a)に示す状態、つまり、正極層10及び負極層20がN3TPになる。
【0060】
ちなみに、焼結工程によって直接、N3TPの正極層10及び負極層20を形成することも可能であるが、焼結時の雰囲気等の焼結条件を高精度に管理する必要があり製造が困難である。これに対して、本実施形態のように焼結工程によって安定したN1TPの第1電極層10A及び第2電極層20Aを形成した後、正負極形成工程によって第1電極層10A及び第2電極層20Aの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N3TPの正極層10及び負極層20を比較的容易に形成することができる。つまり、本実施形態では、焼結工程を容易に行って生産性を向上することができる。
【0061】
このように製造した全固体電池1において、正極層10と負極層20との間で充放電測定を行った。充放電測定は、電圧範囲2.0V~0.0Vで電流密度0.02mA/cmで行った。この結果を図6に示す。得られた結果から、正極層10と負極層20との電位差は約1.7Vであることが確認された。また1.7V付近にプラトーが観測されたことから、全固体電池1を二次電池として利用できる。
【0062】
また、図5に示すように全固体電池1の第1参照電極12、第2参照電極22を短絡して擬似的な参照電極とすることで、充放電時の正極層10及び負極層20の電位、すなわち、充放電曲線を別々に測定した。この結果を図7に示す。なお、図7では、正極層10の測定結果を実線で示し、負極層20の測定結果を点線で示す。得られた結果から分かるように、正極層10と負極層20との電極対を電池として作動させている最中に、正極層10と負極層20とのそれぞれの充放電特性、すなわち、充放電曲線を個別に測定して評価することができ、全固体電池1を評価できる。
【0063】
ここで、全固体電池1の第1参照電極12及び第2参照電極22として活物質であるNa(PO(NVP)と固体電解質とを含む参照電極を用いたその他の製造方法について図8を参照して説明する。なお、図8は、全固体電池1のその他の製造方法を説明する側面図である。また、上述した全固体電池1の製造方法と同様の工程については重複する説明は省略する。
【0064】
全固体電池1の製造方法は、積層工程と焼成工程と正極及び第1参照電極形成工程と負極及び第2参照電極形成工程とを有する。
【0065】
積層工程は、図8(a)に示すように、固体電解質層2となる固体電解質材料102の粉体と、正極層10となる少なくとも活物質と固体電解質とを含む正極用電極合剤210と、負極層20となる少なくとも活物質と固体電解質とを含む負極用電極合剤220と、正極側固体電解質層11となる正極側固体電解質材料211の粉体と、負極側固体電解質層21となる負極側固体電解質材料221の粉体と、第1参照電極12となる第1参照電極合剤212と、第2参照電極22となる第2参照電極合剤222と、を積層して積層体30Aを形成する。なお、積層工程では、加圧成型することで積層体30Aを形成する。また、第1参照電極合剤212及び第2参照電極合剤222は、上述したように、少なくとも活物質を含む材料で形成される。
また、積層工程は、上述した製造方法と同様に、配線埋設工程を含む。
【0066】
焼成工程は、図8(b)に示すように、上述した製造方法と同様に積層体30Aを焼成することで焼結積層体31Aを形成する。これにより、積層体30Aの固体電解質材料102が焼結された固体電解質層2となる。同様に、正極側固体電解質材料211及び負極側固体電解質材料221が焼結されてそれぞれ正極側固体電解質層11及び負極側固体電解質層21となる。正極用電極合剤210は焼結されて第1電極層10Aとなり、負極用電極合剤220は、焼結されて第2電極層20Aとなる。第1参照電極合剤212及び第2参照電極合剤222は焼結されてそれぞれ第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aとなる。なお、焼成工程の後、第1参照電極層12Aに正極側タブ13を固定すると共に第2参照電極層22Aに負極側タブ23を固定する。
【0067】
このように焼結工程によって正極用電極合剤210及び負極用電極合剤220を焼結した第1電極層10A及び第2電極層20Aは、安定したNTP、すなわち、NaTi(POを含む層として形成することができる。以降、NTPをNaの数[X]によってN[X]TPと表記する。このため、焼結工程によって形成された第1電極層10A及び第2電極層20Aの活物質は、N1TPと表記する。同様に、焼結工程によって第1参照電極合剤212及び第2参照電極合剤222を焼結した第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aは、安定したNVP、すなわち、Na(POを含む層として形成することができる。以降、NVPをNaの数[X]によってN[X]VPと表記する。このため、焼結工程によって形成された第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aは、N3VPと表記する。
【0068】
正極及び第1参照電極形成工程は、図8(c)に示すように、上述した正極形成工程と同様に、第1参照電極層12Aと第1電極層10Aとの間に定電流を印加することで、第1参照電極層12Aに含まれる金属イオン、本実施形態では、ナトリウムイオンを、正極側固体電解質層11を介して第1電極層10Aに移動し、図8(d)に示すように、N1TPの第1電極層からN3TPの正極層10を形成する。なお、第1参照電極層12A(第1参照電極合剤212)に含まれる活物質量は、第1電極層10A(正極用電極合剤210)に含まれる活物質量よりも十分大きい必要がある。これにより、第1参照電極層12Aから第1電極層10Aにナトリウムイオンを移動することで、N3VPを含む第1参照電極層12AからN3VP及びN1VPが混合状態の第1参照電極12を形成することができる。このように第1参照電極12は、N1VPとN3VPとの混合状態であることで第1参照電極12が一定の電位を示す。
【0069】
負極及び第2電極形成工程は、上述した負極形成工程と同様に、第2参照電極層22Aと第2電極層20Aとの間に定電流を印加することで、第2参照電極層22Aに含まれる金属イオン、本実施形態では、ナトリウムイオンを、負極側固体電解質層21を介して第2電極層20Aに移動し、N1TPの第2電極層20AからN3TPの負極層20を形成する。なお、第2参照電極層22A(第2参照電極合剤222)に含まれる活物質量は、第2電極層20A(負極用電極合剤220)に含まれる活物質量よりも十分大きい必要がある。これにより、第2参照電極層22Aから第2電極層20Aにナトリウムイオンを移動することで、N3VPを含む第2参照電極層22AからN3VP及びN1VPが混合状態の第2参照電極22を形成することができる。このように第2参照電極22は、N1VPとN3VPとの混合状態であることで第2参照電極12が一定の電位を示す。
【0070】
つまり、焼結工程によって安定したN1TPの第1電極層10A及び第2電極層20A、及び、安定したN3VPの第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aを形成した後、焼結工程後に正極及び第1参照電極形成工程及び負極及び第2参照電極形成工程で第1電極層10A及び第2電極層20Aのそれぞれの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N3TPの正極層10及び負極層20を形成する。また、第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aのそれぞれの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N1VP及びN3VPの混合状態の第1参照電極12及び第2参照電極22を形成する。正極層10及び負極層20と第1参照電極12及び第2参照電極22とを形成する際に印加する電流はできるだけ小さい方が好ましい。これは、大電流を印加すると十分な量のナトリウムイオンが移動できず、N3TPの正極層10及び負極層20を形成できず、また、N1VP及びN3VPの混在状態の第1参照電極12及び第2参照電極22を形成できない可能性があるためである。
【0071】
このように形成した正極層10及び負極層20は、N3TPを始状態として対称型電池となるため、ナトリウムイオンの伝導によって正極層10及び負極層20のチタンイオンの酸化還元反応を利用した高性能な電池とすることができる。
【0072】
また、本製造方法のように焼結工程によって安定したN1TPの第1電極層10A及び第2電極層20Aを形成した後、正負極及び第1第2参照電極形成工程によって第1電極層10A及び第2電極層20Aの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N3TPの正極層10及び負極層20を比較的容易に形成することができる。同様に、焼結工程によって安定したN3VPの第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aを形成した後、正負極及び第1第2参照電極形成工程によって第1参照電極層12A及び第2参照電極層22Aの酸化還元状態を電気化学的に調整することで、N1VP及びN3VPの混合状態の第1参照電極12及び第2参照電極22を比較的容易に形成することができる。つまり、本製造方法では、焼結工程を容易に行って生産性を向上することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の全固体電池1の評価方法によれば、酸化物型の固体電解質を有する全固体電池1を電池として作動させている最中に、第1参照電極12、第2参照電極22が電池としての作動に影響を及ぼすことなく、正極層10及び負極層20のそれぞれの充放電特性、すなわち、充放電曲線を測定して、全固体電池1を評価することができる。つまり、酸化物型の固体電解質を用いた固体電解質層を有する全固体電池の場合、固体電解質層を高温で焼結することで形成するため、固体電解質層の内部に参照電極を設けるのが困難である。つまり、固体電解質層2の内部に参照電極を埋め込む場合、固体電解質層2を焼結する際に、参照電極が焼結時の高温によって溶けて機能しなくなることや、焼結時の高温によって参照電極が周囲の固体電解質材料等と期待されない反応を起こして別の組成や物質に変化する場合がある。これに対して、本実施形態の全固体電池1の構成であれば、焼結により形成する固体電解質層2の内部に参照電極を埋め込む必要がなく、固体電解質層2を焼結した後に第1参照電極12、第2参照電極22を設けることができる。したがって、第1参照電極12、第2参照電極22が焼結時の高温によって溶けて機能しなくなることや周囲の固体電解質材料等と反応を起こすこことを防止することができる。
【0074】
また、評価を行った全固体電池1を二次電池として利用することができる。つまり、第1参照電極12及び第2参照電極22が設けられていても、全固体電池1としての機能に全く問題は生じない。さらに、本実施形態の全固体電池1の製造方法によれば、正極層10及び負極層20の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、二次電池の電極として最適な正極層10及び負極層20を比較的容易に形成することができる。つまり、正極層10及び負極層20を焼結により形成する際に安定した材料で形成することができるため、生産性を向上することができる。
【0075】
また、第1参照電極12及び第2参照電極22についても、正極層10及び負極層20と同様に、第1参照電極12及び第2参照電極22の酸化還元状態を電気化学的に調整することで、二次電池の参照電極として最適な第1参照電極12及び第2参照電極22を比較的容易に形成することができる。つまり、第1参照電極12及び第2参照電極22を焼結により形成する際に安定した材料で形成することができるため、生産性を向上することができる。
【0076】
また、全固体電池1のその他の評価方法としては、充放電中の任意の充電状態(SOC)における正極層10及び負極層20のそれぞれの電気化学インピーダンスの測定を行うことができる。すなわち、図5に示すように、全固体電池1の第1参照電極12、第2参照電極22を短絡して擬似的な参照電極とし、正極層10及び負極層20の何れか一方を作用電極とし他方を対極として、充放電中の任意の充電状態(SOC)において作用電極の電気化学インピーダンスを測定することができる。この結果を図9及び図10に示す。なお、図9は、SOC50%、温度20℃の環境で、正極層10を作用電極として電気化学インピーダンスを測定した測定結果と、負極層20を作用電極として電気化学インピーダンスを測定した測定結果とを示すグラフである。また、図10のフルセルは、SOC50%、温度20℃で正極層10と負極層20との間の2極間で電気化学インピーダンスを測定した測定結果、正極+負極は、図9の正極と負極のデータを各周波数(1MHz~20mHz)に対して足し合わせた結果を示す。また、図9及び図10では、第1参照電極12、第2参照電極22として、Na(PO(NVP)を用いた。つまり、全固体電池1を上述した他の製造方法によって製造した。
【0077】
図10に示すように、フルセルのインピーダンススペクトルと正極+負極のインピーダンススペクトルとは、非常によく一致しており、正極と負極のインピーダンススペクトルが別々に測定できることが分かる。すなわち、本実施形態の全固体電池1によれば、酸化物型の固体電解質を有する全固体電池1の任意の充放電状態において、第1参照電極12、第2参照電極22が電池としての作動に影響を及ぼすことなく、正極層10及び負極層20のそれぞれの電気化学インピーダンスの測定を個別に行って、全固体電池1を評価することができる。つまり、本実施形態の全固体電池1の構成であれば、焼結により形成する固体電解質層2の内部に参照電極を埋め込む必要がなく、第1参照電極12及び第2参照電極22を固体電解質層2の外部に参照電極合剤を他の材料と同時に焼結することにより設けることができる。したがって、第1参照電極12、第2参照電極22が焼結時の高温によって溶けて機能しなくなることや周囲の固体電解質材料等と反応を起こすこことを防止することができる。
【0078】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0079】
例えば、上述した一実施形態では、正極側配線14及び負極側配線24をそれぞれ、正極層10及び負極層20の内部に埋め込むようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、正極層10及び負極層20のそれぞれの側面に金属タブを圧着し、それぞれの金属タブに正極側配線及び負極側配線を接続するようにしてもよい。つまり、積層工程は、配線埋設工程を含まなくてもよい。
【0080】
また、上述した一実施形態の全固体電池1では、正極層10及び負極層20のそれぞれが酸化還元反応が起きる電位が2種類以上存在する材料としたが、特にこれに限定されず、正極層10及び負極層20の何れか一方のみが酸化還元反応が起きる電位が2種類以上存在する材料であってもよい。つまり、全固体電池1の製造方法では、正極形成工程及び負極形成工程の何れか一方のみを行ってもよい。また、正極形成工程及び負極形成工程のどちらも酸化還元反応が起きる電位が2種類以上存在しない材料を用いるようにしてもよい。つまり、正極形成工程及び負極形成工程の両方を行わない製造方法であってもよい。
【0081】
また、上述した一実施形態では、全固体電池1に正極側タブ13と負極側タブ23とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、正極側タブ13及び負極側タブ23の何れか一方又は両方を設けないようにしてもよい。例えば、上記の評価方法を行う場合には、プローブピンを第1参照電極12及び第2参照電極22に一時的に接触させて評価を行うことができる。
【0082】
さらに例えば、上述した一実施形態では、全固体電池1としてナトリウムイオン二次電池を例示したが、特にこれに限定されず、リチウムイオン二次電池であっても上述した実施形態と同様の構成で同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…全固体電池、2…固体電解質層、10…正極層、11…正極側固体電解質層、12…第1参照電極、12A…第1参照電極層、13…正極側タブ、14…正極側配線、20…負極層、21…負極側固体電解質層、22…第2参照電極、22A…第2参照電極層、23…負極側タブ、24…負極側配線、10A…第1電極層、20A…第2電極層、30…積層体、31…焼結積層体、102…固体電解質材料、210…正極用電極合剤、211…正極側固体電解質材料、220…負極用電極合剤、221…負極側固体電解質材料、212…第1参照電極合剤、222…第2参照電極合剤
図1
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図10