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特開2024-166090基板の製造方法及び発光装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166090
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】基板の製造方法及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241121BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L23/48 F
H01L33/62
H01L33/58
H01L23/48 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068813
(22)【出願日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2023081742
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】板東 洋一
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA65
5F142AA74
5F142AA81
5F142BA24
5F142CA02
5F142CA13
5F142CB14
5F142CC14
5F142CC26
5F142CE08
5F142CE16
5F142CE32
5F142CG04
5F142CG05
5F142DB17
5F142FA01
5F142GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基体の側面に樹脂部材を配置する基板の製造方法及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板の製造方法は、上面と前記上面から連続する外側面11Aとを備える複数の基体11と、複数の前記基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記基体を支持する支持部材13と、を備える基板中間体を準備する工程と、開口部を備える板状部材30を準備する工程と、前記板状部材の前記開口部を画定する内側面30Sの少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、前記隙間に樹脂部材を供給して前記基体の外側面を覆う工程と、前記樹脂部材を硬化することで、前記基体の外側面を覆う被覆層を形成する工程と、を備える。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と前記上面から連続する外側面とを備える複数の基体と、前記複数の基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記複数の基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程と、
開口部を備える板状部材を準備する工程と、
前記板状部材の前記開口部を画定する内側面の少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、
前記隙間に樹脂部材を供給して前記複数の基体の外側面を覆う工程と、
前記樹脂部材を硬化することで、前記複数の基体の外側面を覆う被覆層を形成する工程と、
を備える基板の製造方法。
【請求項2】
前記板状部材の前記内側面は、第1内側面と、前記第1内側面よりも外側に位置する第2内側面とを有し、第1内側面と前記複数の基体の外側面の間の隙間に前記樹脂部材を配置する、請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
前記板状部材は、上面に前記開口部から連続する窪み部を有し、
前記樹脂部材を配置する工程において、前記窪み部を介して前記隙間に前記樹脂部材を配置する、請求項1又は請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
前記被覆層の明度は、前記基体の明度よりも低い、請求項1又は請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記支持部材はリードフレームであり、前記基体は樹脂を主成分とする成形体である、請求項1又は請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項6】
前記基体は、前記成形体と、前記成形体の上面に配置された遮光層と、を含む、請求項5に記載の基板の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂部材を配置する工程において、前記遮光層を被覆するよう前記樹脂部材を配置する、請求項6に記載の基板の製造方法。
【請求項8】
上面と前記上面から連続する外側面とを備える複数の基体と、前記基体に保持される発光素子と、を備える複数の発光装置中間体と、前記複数の基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記発光装置中間体を支持する支持部材と、を備える発光装置中間体を準備する工程と、
開口部を備える板状部材を準備する工程と、
前記板状部材の前記開口部を画定する内側面の少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、
前記隙間に樹脂部材を供給して基体の外側面を覆う工程と、
前記樹脂部材を硬化して前記基体の外側面を覆う被覆層とする工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【請求項9】
前発光素子は、青色発光素子、緑色発光素子、及び赤色発光素子を含む、請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の製造方法及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ成形体の上面及び側面に、スクリーン印刷法を用いて黒色に着色する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-093185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、基体の側面に樹脂部材を塗布する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の構成を含む。
上面と前記上面から連続する外側面とを備える複数の基体と、複数の前記基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程と、
開口部を備える板状部材を準備する工程と、
前記板状部材の前記開口部を画定する内側面の少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、
前記隙間に樹脂部材を供給して前記基体の外側面を覆う工程と、
前記樹脂部材を硬化することで、前記基体の外側面を覆う被覆層を形成する工程と、
を備える基板の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る実施形態によれば、基体の側面に樹脂部材を配置する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】実施形態に係る基板の製造方法によって得られる基板の模式上面図及び模式側面図である。
図1B図1Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式上面図である。
図1C図1Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式側面図である。
図1D図1BのID-ID線における断面を示す模式断面図である。
図2A】実施形態に係る基板中間体を示す模式上面図及び模式側面図である。
図2B図2Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式上面図である。
図2C図2Bにおいて支持部材が分かるように示す模式上面図である。
図2D図2Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式側面図である。
図3A】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図3B】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図3C】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図4A】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図4B】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図4C】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図4D】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図4E】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図5A】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図5B】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図5C】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図6】実施形態に係る基板の製造方法によって得られる基板の一部を拡大して示す模式断面図である。
図7A】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図7B】実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図である。
図8A】実施形態に係る基板の製造方法によって得られる模式上面図及び模式側面図である。
図8B図8Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式上面図である。
図8C図8Aにおいて基体を含む部分を拡大した模式側面図である。
図8D】実施形態に係る基板中間体を示す模式上面図及び模式側面図である。
図9A】実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置の模式上面図である。
図9B】実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置の模式側面図である。
図9C図9AのIXC-IXC線における断面を示す模式断面図である。
図10】実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置の模式上面図である。
図11A】実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置を示す模式上面図及び側面図である。
図11B図11AのXIB-XIB線における断面を示す模式断面図である。
図12A】実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置を示す模式上面図及び側面図である。
図12B図12AのXIIB-XIIB線における断面を示す模式断面図である。
図12C図12AのXIIC-XIIC線における断面を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本発明の実施形態に係る基板の製造方法および発光装置の製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、工程、その工程の順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
【0010】
(実施形態1)
本実施形態に係る基板の製造方法によって得られる基板は、複数の基体と、複数の基体の外側面が互いに離隔して配置されるように基体を支持する支持部材と、を備える。各基体は、それぞれ上面と側面とを有し、側面には被覆層が配置されている。
【0011】
基体は、発光装置の構成するパッケージの一部となることが可能な部材である。つまり、本実施形態で得られる基板は、後述の発光装置の製造方法に用いることが可能な部材である。
【0012】
このような基板の製造方法として、以下の方法が挙げられる。
1つは、発光装置のパッケージの一部を構成する部材を、支持部材として用いる方法である(基板の製造方法1)。別の方法としては、発光装置のパッケージを構成しない部材を、支持部材として用いる方法である(基板の製造方法2)。
【0013】
いずれの場合においても、基板の製造方法は以下の工程を備える。
(1-1)基体と、基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程
(1-2)開口部を備える板状部材を準備する工程
(1-3)板状部材の開口部内に基体が配置されるように、板状部材を支持部材上に配置する工程
(1-4)基体の側面と板状部材との隙間に樹脂部材を供給して基体の外側面を覆う工程
(1-5)樹脂部材を硬化することで、基体の側面を覆う被覆層を形成する工程
【0014】
<基板の製造方法1>
図1Aは、本実施形態に係る基板の製造方法で得られる基板10を示す上面図と、2つの側面図である。図1Bは、図1Aに示す基板10のうち、1つの基体11を含む部分を拡大した上面図である。図1Cは、図1Aに示す基板10のうち、1つの基体11を含む部分を拡大した側面図である。図1Dは、図1BのID-ID線における断面図である。また、図2Aは、本実施形態に係る基板の製造方法で用いる基板中間体10Aを示す上面図と、2つの側面図である。図2Bは、図2Aに示す基板中間体10Aのうち、1つの基体11を含む部分を拡大した上面図である。図2Cは、図2Bに示す基体中間体10Aにおいて基体11に埋まっている部分の支持部材S1(導電部材13)が分かるように示す上面図である。図2Dは、図2Aに示す基板中間体10Aのうち、1つの基体11を含む部分を拡大した側面図である。
【0015】
基板10は、基体11と、基体11に配置された被覆層12と、支持部材S1と、を備える。基板10は、1つの支持部材S1と、複数の基体11を備えている。図1Aに示す例では、7個×8個の合計56個の基体11が1つの支持部材S1に支持されており、各基体11は縦方向及び横方向においてそれぞれ等間隔に離隔して配置されている。そして、これらの基体11のそれぞれにおいて、基体11の外側面11Aに被覆層12が配置されている。図1A等に示す例では、被覆層12は基体11の上面11Cにも配置されている。なお基体11の数、基体11が配置される間隔等は、任意に選択することができる。基体11が配置される間隔は、例えば、1mm~5mmとすることができる。
【0016】
支持部材S1は、導電性の部材、または、導電性の部材を含む複合部材である。支持部材S1が導電部材のみからなる場合、例えば、リードフレームを用いることができる。また、導電性の部材を含む複合部材としては、絶縁性の基材と導電性の配線層を備えたリジッド基板またはフレキシブル基板が挙げられる。
【0017】
支持部材S1の上面視形状は、例えば、正方形、長方形とすることができる。支持部材S1の大きさは、例えば、短辺の長さが15mm~250mm、長辺の長さが15mm~250mm、厚さが50μm~1000μmである。支持部材S1を構成する導電性の材料としては、例えば、Fe、Cu、Ni、Al、Ag、Au、または、これらの一種を含む合金の金属材料を用いることができる。また、支持部材S1は、上記の金属材料の表面にめっき層を備えることができる。めっき層は、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、または、これらの一種を含む合金を用いることができ、これらの単一層または複数層とすることができる。支持部材S1がリジッド基板の場合、基材の材料としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等のセラミック、ガラスエポキシ基板(FR-4)、ガラスコンポジット基板(SEM3)、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、紙エポキシ等が挙げられる。支持部材S1がフレキシブル基板の場合、フィルム状の絶縁体(樹脂)と、例えば銅から形成された導体配線層とを有する。絶縁体を構成する樹脂材料として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。
【0018】
図1Aに示す基板10は、支持部材S1として、導電部材13であるリードフレームを備えている。
【0019】
支持部材S1として用いられる導電部材(リードフレーム)13は、図2Cに示すように、外側面11Aよりも内側に配置されて少なくとも一部が基体11に埋まっているインナーリード13Aと、基体11の外側面11Aから外側に突出して配置されているアウターリード13Bと、を備えている。インナーリード13Aとアウターリード13Bは、発光装置を構成するパッケージの一部を構成する部分である。また、アウターリード13Bと異なる外側面11Aに配置される吊りリード13Cは、基体11の外側面11Aにわずかに埋まっている部分である。さらに、アウターリード13Bと吊りリード13Cとを連結するフレーム部13Dを有している。吊りリード13Cは、フレーム部13Dとアウターリード13Bとを切断した後において基体11を支持する部分である。図1Aに示す基板10は、アウターリード13Bとフレーム部13Dとは連続した状態を示している。ただし、基板10は、アウターリード13Bとフレーム部13Dとを切断した状態の基板、または、アウターリード13Bとフレーム部13Dとを切断した後に、アウターリード13Bを屈曲させた状態の基板であってもよい。また、基板は、吊りリード13Cを含まなくてもよい。
【0020】
基体11は、基板10を用いて得られる発光装置において発光素子を保持するためのパッケージを構成する絶縁性の成形体である。基体11は、上面11Cと、上面11Cから連続する外側面11Aと、を備える。支持部材S1は、その一部が基体11に埋まっている。換言すると、支持部材S1の一部は、その上面と側面と下面とが基体11に覆われている。支持部材S1は、基体11の外側面11Aから突出している。
【0021】
基体11の上面11Cの外周形状は、例えば、長方形、正方形、円形等である。基体11の上面視における大きさは、例えば、一辺が0.5mm~5mmである。基体11は、上面11Cに開口する凹部Rを備える。つまり、基体11の上面11Cは、凹部Rの周囲に位置する枠状の部分である。凹部Rは、内側面11Bと底面R1で規定される空間であり、発光装置においては、例えば発光素子を配置するための空間である。凹部Rを規定する内側面11Bは基体11で構成され、凹部Rを規定する底面R1は基体11と支持部材S1(導電部材13)の一部とで構成される。凹部Rの開口形状は、例えば、長方形、正方形、円形である。
【0022】
図1Aに示す例では、基体11の高さ方向において、外側面11Aの中央近傍に支持部材S1が位置する。支持部材S1より上側に位置する基体11の厚さは、支持部材S1より下側に位置する基体11の厚さよりも厚い。支持部材S1より上側に位置する基体11の高さは、例えば、0.2mm~1.6mm、支持部材S1より下側に位置する基体11の高さは、例えば、0.1mm~0.6mmである。ただし、これに限らず、支持部材S1の下面は基体11の下面と面一となるような位置に配置されていてもよい。
【0023】
基体11の外側面11Aは、支持部材S1に近い側の幅が大きく、上面11C又は下面に近い側の幅が小さくなるように傾斜している。
【0024】
基体11の材料としては、例えば、PA(ポリアミド)、PPA(ポリフタルアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、または、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、または、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0025】
基体11のうち、被覆層12が配置される外側面11Aまたは上面11Cは、例えば、図1Dに示すよう成形体22のみから構成することができる。あるいは、基体11のうち、被覆層12が配置される外側面11Aまたは上面11Cは、図10に示すような、成形体22と、その上面に配置された遮光層18と、を備えるものであってもよい。
【0026】
被覆層12は、基体11の外側面11Aに配置されるものであり、所望の機能を備える部材である。例えば、被覆層12は、光学特性を調整する被覆層12とすることができる。具体的には、被覆層12として光吸収物質を含む光吸収層を備える基板とすることで、例えば、外光を吸収してコントラスト比を向上させることが可能なディスプレイ用発光装置を得ることができる。また、被覆層12として光反射物質を含む光反射層を備える基板とすることで、基体11の光反射性を向上させることができることが可能な発光装置を得ることができる。
【0027】
また、被覆層12は、耐水性または耐光性等を調整する機能を備えることができる。例えば、水分を透過しにくい耐水性層を備えることで、耐水性を向上させることができる。また、被覆層12として水蒸気又は腐食性ガス(SOx、HS等の硫黄化合物含有ガス)等が通過することを低減させるガスバリア性の高いガスバリア層を備える基板とすることで、基体11のガスバリア性を向上させる発光装置を得ることができる。耐水性層又はガスバリア層としては、例えば、エポキシ樹脂やフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。
【0028】
被覆層12として、耐光性の高い耐光層を備える基板とすることで、基体11の耐光性を向上させることが可能な発光装置を得ることができる。耐光層の材料としては、例えばジメチルシリコーン樹脂が挙げられる。また、上述の光吸収物質も光を吸収することで基体の耐光性を向上させることが可能な材料である。
【0029】
被覆層12として、例えば硫黄ガス等と反応するガス反応層を備えることで、基体11の耐ガス劣化性を向上させることが可能な発光装置を得ることができる。ガス反応層に含まれるガス反応粒子の材料としては、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、銀、ジルコニウム、コバルト、クロム、鉛、バリウムから選択される少なくとも1種の元素の酸化物、水酸化物若しくは炭酸化物、又はこれらの化合物を含むものが挙げられる。具体的には、塩基性炭酸亜鉛(ZnCO・Zn(OH))などの塩基性炭酸塩を粒子として含む樹脂層が挙げられる。
【0030】
これらの機能を備えた層は、単層で用いてもよく、あるいは積層させて用いてもよい。また1つの層が複数の機能を備えていてもよい。
【0031】
また、被覆層12として、このようなガスバリア層またはガス反応層を備えることで、支持部材として銀を備えたリードフレームを用いる場合に、リードフレームが硫黄ガス等によって変質することを低減することが可能な基板を得ることができる。同様に、基体11が、銀を含むリードを備える樹脂パッケージ、又は銀を含む配線を備えるセラミックパッケージの場合、リード又は配線が硫黄ガスにより変質することを低減することが可能な発光装置を得ることができる。
【0032】
被覆層12は、基体11の外側面11Aに配置される。例えば、被覆層12は、基体11の上面11Cの外周端、すなわち、外側面11Aの上端を上端とするように外側面11Aに配置されることができる。ただし、被覆層12の上端は、外側面11Aの上端から離れていても構わない。また、被覆層12の下端は、支持部材S1から離隔した位置に配置することができる。あるいは、被覆層12の下端は、支持部材S1に達するように配置することができる。例えば、ガスバリア層やガス反応層等は、基体11の外側面11Aの全面に配置することで、効果的にこれらの機能を発揮し易くすることができる。
【0033】
例えば、基体11が図9Aに示すようなディスプレイ用の発光装置のパッケージとして用いられる場合、被覆層12の明度は、基体11の明度よりも低いことが好ましい。例えば、マンセル表色系において被覆層12の明度1~6が好ましく、より好ましくは1~3であり、さらに好ましくは1である。具体的には、被覆層12は、黒色等の暗色系の樹脂材料を用いることが好ましい。そして、そのような被覆層12を備えた発光装置を配線基板に実装して発光モジュールとする際に、発光装置の周囲は防水樹脂で被覆される。このとき、防水樹脂から露出する発光装置の側面(基体11の外側面11A)が被覆層12で覆われるように、樹脂部材12Aの配置量を調整することが好ましい。例えば、高さが0.8mmの基体11の外側面11Aのうち、支持部材S1よりも上側に位置する部分において、外側面11Aの上端から下方に向けて0.1mm以上の幅の範囲を被覆層12で覆うことができる。さらに、被覆層12の下端の位置が支持部材S1から0.1mm隔離した位置までを被覆するように配置することができる。
【0034】
被覆層12の下端は、外側面11Aの上端または下端と平行な直線状であってもよいし、一部または全部が曲線状であってもよい。また、被覆層12は、図1Cに示すように、側面視において、基体11の外側面11Aの左側の端部から右側の端部までを被覆するように1つの被覆層12を配置することが好ましい。ただし、側面視において、2以上の部分に分かれて被覆層12を配置してもよい。
【0035】
基体11の上面11Cの外周形状が四角形であり、外側面11Aを4つ備える場合、被覆層12は、4つの外側面11Aの全てに配置されることが好ましい。但し、被覆層12が配置されない外側面11Aがあっても構わない。また、複数の外側面11Aに被覆層12が配置される場合、外側面11Aを被覆する面積は、それぞれ同じでもよく、一部又は全部が異なっていてもよい。
【0036】
被覆層12は、基体11の外側面11Aだけでなく、外側面11Aから連続する基体11の上面11Cにも配置することができる。基体11の上面11Cに配置される被覆層12は、凹部Rに達する位置まで配置されてもよく、凹部Rから離隔する位置に配置されてもよい。
【0037】
被覆層12の厚さは、例えば0.5μm~100μmとすることができる。なかでも、被覆層12の厚さは、1μm~30μmであることが好ましい。これにより、発光装置を形成する工程において、加熱又は冷却による基体11の伸び縮みに起因する被覆層12のひび割れを防ぐことができる。被覆層12は、例えば、基体11の1つの外側面11Aにおいて、同じ膜厚とすることができる。あるいは、被覆層12の端部、または、被覆層12が基体11の端部を覆う場合はその基体11の端部において、他の部分よりも膜厚の小さい部分があってもよい。図1Dに示す例では、被覆層12は、断面視において基体11の外側面11Aの上端を被覆しており、その部分の膜厚が、上端から離れた部分よりも薄くなっている。換言すると、上端から離れた位置において、被覆層12の厚さが厚くなっている。これにより、例えば黒色の被覆層12を備えるディスプレイ用の発光装置とすることで、発光素子により近い側に位置する被覆層12の厚さを厚くすることができ、よりコントラスト比を向上させることができる。また、このように被覆層12厚みが異なることで、被覆層12の表面が曲面となる。これにより、外光を拡散反射し易くなり、黒色の被覆層12をより黒く視認できるようにすることができる。
【0038】
被覆層12が基体11の上面11Cと外側面11Aとを連続して被覆している場合、基体11の上面11Cと外側面11Aの間の辺、つまり、図1Dに示すように断面視において基体11の角になる部分において、被覆層12は他の部分よりも薄くなっている。例えば、基体11が白色であり、被覆層12が黒色の場合、検査工程等において、上面11Cに配置された被覆層12と外側面11Aに配置された被覆層12との境界が認識しにくい場合がある。そのような場合において、上面11Cと外側面11Aの境界において被覆層12の膜厚が薄いと、黒色の被覆層12で覆われた白色の基体11が透けて見える。そのため、被覆層12を介して基体11の外形を視認し易くすることができる。
【0039】
また、被覆層12の下端は基体11の外側面11Aの中央近傍に位置しており、その部分においても下端から離れた部分よりも膜厚が薄くなっている。これにより、端部の被覆層12が伸びやすくなることで、被覆層12の収縮によって端部にかかる応力を低減することができる。応力を低減することで、被覆層12が端部から剥離しにくくすることができる。さらに、基体11の上面11Cに配置される被覆層12も、基体11の上面11Cの端部において、他の部分よりも膜厚が薄くなっている。これにより、上面11Cの端部においても剥離しにくくすることができる。
【0040】
被覆層12の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0041】
被覆層12は、上述の樹脂材料に光吸収物質、光反射物質等の、種々の添加物を含むことができる。被覆層12に含まれる光吸収物質としては、例えば、黒色、灰色等の暗色系の物質が好ましく、具体的にはカーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。被覆層12に含まれる光反射物質としては、例えば、白色系の物質が好ましく、具体的にはチタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を用いることができる。
【0042】
上述のような基板の製造方法の各工程について、以下、詳説する。
【0043】
(1-1)基体と、基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程
まず、図2Aに示すような基板中間体10Aを準備する。基板中間体10Aは、基板10から被覆層12を除いたものである。つまり、基板中間体10Aは、複数の基体11と、基体11を一体的に支持する支持部材S1と、を備える。基板中間体10Aは、予め基体11が支持部材S1に支持された状態のものを購入等によって準備することができる。あるいは、支持部材S1のみを準備し、支持部材S1に基体11を配置する工程を経て準備することができる。例えば、支持部材S1として、金属板を所望の形状に加工して得られるリードフレーム13を準備し、金型内にリードフレーム13をセットして射出成形等を行うことで、リードフレーム13に基体11として樹脂を主成分とする成形体22が支持された基板中間体10Aを準備することができる。
【0044】
(1-2)開口部を備える板状部材を準備する工程
次に、開口部を備える板状部材を準備する。板状部材は平板状であり、上面と下面と、上面から下面まで貫通する開口部を備える。板状部材の上面と下面は互いに平行であることが好ましい。また、板状部材の上面と下面は、平滑な面または粗面とすることできる。同様に、板状部材の開口部の内側面も、平滑な面または粗面とすることができる。上面、下面、及び内側面は、それぞれ同じ表面状態であってもよく、あるいは、異なった表面状態であってもよい。板状部材の上面、下面及び内面を粗面とすることで、毛細管現象によって化学的な濡れ性の悪さを低減することができる。つまり、樹脂部材12Aを濡れ広がり易くすることができる。また、板状部材の上面、下面及び内面を平滑な面とすることで、毛細管現象を生じにくくすることができる。例えば、板状部材の材質が濡れ性の低い材質(樹脂部材を弾く材料)であったとしても、粗面にすることで毛細管現象によって樹脂部材は濡れ広がり易くなる。これに対し、板状部材が濡れ性の低い材質である場合、その上面、下面及び内面を平滑な面とすることで、板状部材本来の濡れ性を維持することができる。
【0045】
例えば、板状部材30の開口部の内側面の濡れ性を、板状部材30の上面の濡れ性よりも高くすることができる。これにより、基体11の外側面11Aと板状部材の開口部の内側面との間の隙間Gの上側から供給された樹脂部材12Aを、隙間G内に広がり易くすることができる。また、板状部材30の開口部の内側面の濡れ性を、板状部材30の下面より低くすることができる。これにより、過剰な樹脂部材12Aが基体11の外側面11Aの下方に流動することを低減することができる。板状部材の形状の詳細等については後述する。
【0046】
板状部材の材料としては、例えば、金属、セラミック、樹脂とすることができる。また、板状部材の上面、下面、内側面のそれぞれにめっき層又はコーティング層を備えることができる。めっき層は、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、または、これらの一種を含む合金を用いることができ、これらの単一層または複数層とすることができる。コーティング層としては、例えばフッ素、シリコーン、ガラスを用いることができる。
【0047】
(1-3)板状部材の開口部内に基体が配置されるように、板状部材を支持部材上に配置する工程
次に、図3A図3Cに示すように、支持部材S1上に板状部材30を配置する。図3Bは、支持部材S1の上方に離れた位置に板状部材30を配置した状態を示す。そして、この後に板状部材30を降下させることで、図3Cに示すように板状部材30を支持部材S1上に配置する。なお、板状部材30については、IIIB-IIIB線における切断面のみを示す端面図を図示している。
【0048】
板状部材30は、支持部材S1の上に配置されるとともに、板状部材30の開口部30A内に基体11が配置されるようにする。詳細には、板状部材30の開口部30Aを画定する内側面30Sの少なくとも一部と、基体11の外側面11Aの少なくとも一部とが、隙間Gを介して対向するように、板状部材30を配置する。板状部材30は、支持部材S1と接して配置してもよい。また、板状部材30の上面30Uは、基体11の上面11Cと同じ高さとすることが好ましい。これにより、基体11の外側面11Aの上端に樹脂部材12Aを配置し易くすることができる。また、基体11の上面11Cにも樹脂部材12Aを配置する場合は、板状部材30の上面30Uは、基体11の上面11Cよりも高さが高い位置に配置してもよい。また、基体11の外側面11Aの上端から離れた位置に樹脂部材12Aを配置する場合は、板状部材30の上面30Uは、基体11の上面11Cよりも高さが低い位置に配置してもよい。
【0049】
板状部材30の開口部30Aの形状は、基体11の上面11Cの外周形状と相似形であることが好ましい。例えば、図3Aに示すように、基体11の上面11Cの外周形状が四角形である場合、板状部材30の開口部30Aの形状も四角形であることが好ましい。
【0050】
板状部材30の開口部30Aの形状と基体11の上面11Cの外周形状とが相似形である場合、開口部30Aの全周にわたって隙間Gの幅が一定となるような大きさの開口部30Aとすることが好ましい。つまり、板状部材30の開口部30Aの中心と、基体11の中心とが、上面視において一致していることが好ましい。これにより、基体11の4つの外側面11Aにおいて、被覆層12の厚さを同じ厚さにし易くすることができる。
【0051】
板状部材30の内側面30Sと、基体11の外側面11Aと間の距離、すなわち、隙間Gの長さは、例えば0.5μm~100μmとすることができる。この隙間Gの長さは、例えば、基体11の1つの外側面11Aにおいて、その外側面11Aと対向して配置される板状部材30の内側面30Sとの距離が一定でない場合は、最も距離が小さい部分における隙間Gの長さである。例えば、図3Cに示す例では、基体11の外側面11Aが上面11Cに対して傾斜しており、板状部材30の内側面30Sと平行ではない。このような場合は、これらの対向する面の最も近い部分における隙間Gを指す。図3B図3Cに示すように、板状部材30の内側面30Sが第1内側面30S1とそれよりも外側に位置する第2内側面30S2とを備える場合は、第1内側面30S1の下端と、その下端と対向する基体11の外側面11Aとの距離が最も近く、その部分における隙間Gの長さを指す。なお、第2内側面30S2よりも内側に位置する部分を凸部30Tと称する。このような凸部30Tを備える場合、下面30Dは、第1下面30D1とそれよりも下側に位置する第2下面30D2とを備える。図3B等に示す例では、凸部30Tの上面は板状部材30の上面30Uと一致する。つまり、凸部30Tは板状部材30の上側に位置する。ただし、上下を反転した形状、つまり、凸部30Tの下面が板状部材の下面と一致していてもよい。あるいは、凸部30Tは、板状部材30の上面30Uより下側に位置する上面と、板状部材30の下面30Dよりも上側に位置する下面とを備える形状であってもよい。
【0052】
板状部材30の開口部30Aの内側面30Sは、板状部材30の上面30U又は下面30Dに対して垂直な面又は傾斜した面とすることができる。
【0053】
また、板状部材30の開口部30Aの内側面30Sは、図3Bに示すように、開口部30Aの内側に突出した凸部30Tを備えることができる。つまり、開口部30Aの内側面30Sは、上面30U側に位置する第1内側面30S1と、下面30D側に位置するとともに第1内側面30S1よりも外側に位置する第2内側面30S2と、を備える。換言すると、第1内側面30S1は、第2内側面30S2よりも内側に位置する面であり、凸部30Tの内側面である。第1内側面30S1と第2内側面30S2との間には、第1下面30D1を有する。凸部30Tの上面は板状部材30の上面30Uと一致し、凸部30Tの下面である第1下面30D1は、板状部材30の下面である第2下面30D2と離れて位置する。これにより、板状部材30の凸部30Tの第1下面30D1と、支持部材S1の上面とを離れて配置することができる。
【0054】
このように板状部材30の開口部30Aの内側面30Sの一部に凸部30Tを有する場合、凸部30Tの内側面である第1内側面30S1と、基体11の外側面11Aとの間の隙間の距離が、上述において説明した隙間Gに相当する。樹脂部材12Aは、第1内側面30S1と基体11の外側面11Aとの両方の面に接し、対向するこれら2つの面によって保持される。つまり、第2内側面30S2には、樹脂部材12Aは配置されないことで、支持部材S1が樹脂部材12Aと接しにくくすることができる。このように、第1内側面30S1の長さによって濡れ広がる範囲を調整することができる。第2内側面30S2と第1内側面30S1の距離、つまり、第1下面30D1の長さは、樹脂部材12Aが濡れ広がったときに第2内側面30S2に配置されない距離とすることが好ましい。
【0055】
板状部材30が第1内側面30S1と第2内側面30S2とを備える場合、板状部材30の厚さ、つまり、上面30Uと下面30Dの距離は、基板10における支持部材S1の上面よりも上側に位置する基体11の高さと略等しくすることが好ましい。ただし、板状部材30と支持部材S1との間に、これらの間の距離を調整する調整部材(スペーサなど)を配置する場合は、板状部材30の厚さは基体11の外側面11Aに配置したい樹脂部材(被覆層)の縦方向の幅(高さ)に相当する厚さがあればよい。板状部材30の開口部30Aの内側面30Sが第1内側面30S1と第2内側面30S2とを備えない形状の場合は、板状部材30の厚さ、つまり、上面30Uと下面30Dの距離は、基板10における支持部材S1の上面よりも上側に位置する基体11の高さよりも小さくすることが好ましく、さらにスペーサなどを用いることが好ましい。また、スペーサに相当する脚部を備える板状部材30としてもよい。
【0056】
また、図3Bに示すように板状部材30の開口部30Aの内側面30Sが、第1内側面30S1と第2内側面30S2とを備える場合は、第1内側面30S1の長さは、例えば、0.1mm以上とすることができる。また、第1内側面30S1の長さの上限は、板状部材30の厚さ(上面と下面との距離)によって変化するものであるため、第2内側面30S2が0.1mm以上となるように調整することができる。この第1内側面30S1の長さによって、後述の工程において樹脂部材12Aが配置される領域が決められる。
【0057】
(1-4)隙間に樹脂部材を供給して基体の外側面を覆う工程
次に、基体11の外側面11Aと板状部材30の開口部30Aの内側面30Sとの間の隙間Gに樹脂部材12Aを供給して基体の外側面を覆う。樹脂部材12Aは、この時点では液状またはゾル状である。樹脂部材12Aの供給方法としては、例えば、ジェットディスペンサ、ポッティングのディスペンサを用いて供給する方法、等のマスクの開口部から供給する方法が挙げられる。そして、樹脂部材12Aは、板状部材30の上面30Uの上方側から供給する。樹脂部材12Aの粘度は、例えば、25℃で、10Pa・s/0.5rpm、1Pa・s/50rpm以下程度であることが好ましい。
【0058】
樹脂部材12Aを供給する位置は、隙間Gのみとすることができる。また、図4A及び図4Bに示すように、基体11の上面11Cと、板状部材30の上面30Uとに跨るように供給することができる。これにより、供給された樹脂部材12Aが板状部材30の開口部30Aの内側面30Sと基体11の外側面11Aの両方に接するように流動して、隙間Gに樹脂部材12Aを配置することができる。平面視において、基体11の各外側面11Aの外側に位置する隙間Gの全部または一部に樹脂部材12Aを配置することができる。例えば、図4Aに示すように、基体11の上面11Cの外周の形状が平面視において四角形の場合、その4つの角部における外側面11A及びその近傍に、それぞれ離隔して樹脂部材12Aを供給することができる。このように連続する1つの隙間Gに対して複数個所に樹脂部材12Aを供給した場合であっても、隙間Gの幅を上述の幅に調整することによって、界面張力によって横方向(隣に位置する角部に向かう方向)に樹脂部材12Aを流動させることができる。これにより、図4Cに示すように、樹脂部材12Aを供給した部分に位置する外側面11Aだけでなく、それらに挟まれた外側面11Aにも樹脂部材12Aを配置することができる。なお、樹脂部材12Aが隙間G内において横方向に流動する際に、板状部材30の上面30Uまたは基体11の上面11Cの上においても同様に樹脂部材12Aが流動する場合もある。このように、互いに離れた位置に供給した樹脂部材12Aが横方向に流動することで、図4Cに示すように連続した樹脂部材12Aとすることができる。ただし、流動した樹脂部材12Aが連続せずに、それぞれ離隔された状態であっても構わない。
【0059】
樹脂部材12Aの供給量は、基体11の外側面11Aの大きさに応じて、更に、その外側面11Aにおいて被覆層12を配置したい大きさ(面積)に応じて調整することができる。また、複数個所に樹脂部材12Aを供給する場合は、例えば、エアディスペンサやジェットディスペンサのディスペンサを用いて供給する場合は、1つのシリンジに接続された複数のノズルを用いて同時に行うことができる。また、複数のシリンジのそれぞれに1つのノズルが接続されたものを用いて同時に又は異なるタイミングで行うことができる。また、1つのシリンジに1つのノズルが接続されたジェットディスペンサを用いて、ノズルを移動させて異なる複数個所に供給してもよい。また、同じ位置において複数回樹脂部材12Aを供給してもよい。その場合、後述の工程において樹脂部材12Aを硬化させて被覆層12とした後、その被覆層12上にさらに樹脂部材12Aを配置してもよい。あるいは被覆層12と一部または全部が重ならないように、新たに樹脂部材12Aを配置してもよい。
【0060】
また、図4Cに示すように、板状部材30の開口部30Aの内側面30Sが凸部30Tの内側面である第1内側面30S1を有する場合は、第1内側面30S1の長さは基体11の外側面11Aの長さよりも短い。このような場合、第1内側面30S1よりも下側にはみ出した樹脂部材12Aは、基体11の外側面11Aの下方向に広がる部分と、凸部30Tの下面である第1下面30D1に広がる部分と、がある。これは、流動性のある樹脂部材12Aに表面張力(界面張力)が働くためであり、これにより、樹脂部材12Aが下方向に流動して支持部材S1に接触することを低減することができる。つまり、第1内側面30S1から連続する第1下面30D1において、過剰な樹脂部材12Aが逃げる空間が形成されるように、支持部材S1から離れた位置に第1下面30D1を有するようにすることで、所望の領域に樹脂部材12Aを配置し易くすることができる。このように、板状部材30と基体11の外側面11Aとの間の空間を利用して樹脂部材12Aの配置領域を制御することは、射出成形や圧縮成形等の成形方法では困難である。同様に、スクリーン印刷法のように、基体11の外側面11Aと対向する板状部材を備えない方法では、基体11の外側面11Aに樹脂部材12Aを配置することは可能であっても、その樹脂部材12Aが広がる領域、特に、基体11の外側面11Aに配置される樹脂部材12Aの下端の位置を制御することは困難である。
【0061】
図4Bに示す板状部材30は、第1内側面30S1と第2内側面30S2を備える開口部30Aを例示している。ただし、これに限らず、板状部材30全体の厚さが第1内側面30S1に相当する厚さの場合、つまり、板状部材30全体が薄い厚さの場合は、第2内側面30S2がなくても、上記のように樹脂部材12Aの下端の位置を制御することができる。その場合は、板状部材30の上面30Uと基体11の上面11Cがほぼ水平になるように配置されることが好ましい。
【0062】
また、図4Eに示すように、板状部材30の内側面30S(第1内側面30S1)に側面溝30S3を有していてもよい。側面溝30S3は、上面30U及び下面30D(第1下面30D1)から離間して配置されている。この側面溝30S3内に、樹脂部材12Aを流動させることもできる。
【0063】
(1-5)樹脂部材を硬化することで、基体の側面を覆う被覆層を形成する工程
次に、樹脂部材12Aを硬化する。具体的には、加熱することで樹脂部材12Aを硬化する。これにより被覆層12が形成される。加熱温度は、例えば60℃~200℃とすることができる。加熱時間は、例えば5分~480分とすることができる。
【0064】
樹脂部材12Aを硬化する前に、図4Dに示すように、板状部材30を移動して支持部材S1から離れた位置に配置する。板状部材30を移動した後、基体11の外側面11Aに配置された樹脂部材12Aは、表面張力(界面張力)が作用する。これにより、基体11の外側面11Aにおいて樹脂部材12Aの横方向の厚さWが、上端及び下端よりも中央近傍が厚くなっている。また、樹脂部材12A内にカーボンブラック等の微粒子が含まれている場合は、端部の濃度が低くなる。樹脂部材12Aの一部は、図4Dに示すように板状部材30の開口部の内側面30S(30S1)に付着した状態である。また、場合によっては板状部材30の下面30D(30D1)にも樹脂部材12Aは付着する。ただし、板状部材30の表面の樹脂部材に対する濡れ性が小さい場合は、樹脂部材12Aは板状部材30に付着しない場合がある。なお、板状部材30を移動させずに、樹脂部材12Aを硬化してもよい。例えば、樹脂部材12Aと板状部材30の密着力より、樹脂部材12Aと基体11の外側面11Aの密着力が高い場合、硬化後の被覆層12を板状部材30から剥離させるとともに、基体11の外側面11Aに被覆層12を配置することができる。
【0065】
以上の工程により、図1A等に示す基板10を得ることができる。
【0066】
上記の工程において適用可能な板状部材の変形例を用いる場合について説明する。
【0067】
変形例に係る板状部材31を図5A及び図5Bに示す。図5Bは、図5AのVB-VB線における断面図を示す。板状部材31は、上面視における開口部30Aの形状が、基体11の上面11Cの外周形状と一部異なる形状である。具体的には、上面11Cの外周形状が四角形である基体11の場合、板状部材31の上面30Uは、開口部30Aに連続する窪み部30Pを有する。窪み部30Pは、基体11の4つの外側面11Aに対向する内側面30Sの一部から連続しており、基体11の4つの角に対向する位置にそれぞれ配置されている。窪み部30Pの上面視形状は、図5Aに示すような半円形状のほか、四角形、三角形等の形状とすることができる。また、窪み部30Pは、図5Bに示すように、断面視においては上面30Uから下方に傾斜する傾斜面を有することができる。
【0068】
このように、開口部30Aの内側面30Sから連続し、上面30Uから窪んだ窪み部30Pを有することで、図5Cに示すように、樹脂部材12Aを窪み部30Pに供給することができる。これにより、窪み部30Pと連続する隙間Gに樹脂部材12Aを配置することができる。つまり、基体11の上面11Cの上に樹脂部材12Aを供給せずに、隙間Gに樹脂部材12Aを供給することができる。これにより、図6に示すように、基体11の上面30Uに樹脂部材12Aを配置しにくくすることができる。
【0069】
窪み部30Pは、図5Aに示す例では、基体11の4つの外側面11Aのそれぞれに対応するように4つの窪み部30Pが配置され、各窪み部30Pは基体11の上面11Cの角部に近い位置にそれぞれ配置されている。窪み部30Pの位置または形状は、これに限らない。例えば、窪み部30Pは、基体11の外側面11Aの角部から離れた位置に配置されてもよい。また、1つの外側面11Aに対して2以上の窪み部30Pが配置されるようにしてもよい。また、基体11の外側面11Aの一部に窪み部30Pが配置されなくてもよい。窪み部30Pの上面視形状は、半円形状のほか、四角形、三角形等の多角形、半楕円形、またはこれらを組み合わせた形状等とすることができる。例えば、樹脂部材12Aが0.5mm程度の大きさで供給されて1mm程度まで濡れ広がるのであれば、上面視において窪み部30Pの幅(窪み部と窪み部以外の部分との境界から、最も離れた位置までの距離)は、0.5mm~1mmとすることができる。その場合、窪み部30P内に樹脂部材12Aを供給し、基体11の上面11Cには樹脂部材12Aが供給されないようにすることができる。
【0070】
窪み部30Pの断面視形状は、図5Bに示すような傾斜面のほか、上面30Uに平行な面とすることができ、あるいは、凹曲面または凸曲面とすることができる。窪み部30Pの深さ(上面30Uから最も離れた位置までの距離)は、例えば、板状部材30の上面30Uが基体11の上面11Cと同じ高さの場合、窪み部30Pの深さは、板状部材30の上面30Uから0.1mmとすることができる。
【0071】
さらに別の変形例に係る板状部材32を図7A及び図7Bに示す。図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線における断面図を示す。板状部材32は、上面視における開口部30Aの形状が、基体11の上面11Cの外周形状と一部異なる形状である。具体的には、上面11Cの外周形状が四角形である基体11に対して、板状部材32の開口部30Aの内側面30Sは、基体11の上面11Cの上に重なるひさし部30Fを有する。ひさし部30Fは、基体11の上面11Cの4つの辺を含む部分の上に、隙間を介して配置されている。基体11の4つの角に対応する部分においては、基体11の上面11Cはひさし部30Fに覆われておらず、外側面11Aの外側に開口部30Aの内側面30Sが位置する。ひさし部30Fは、基体11の凹部Rとは重ならないように配置される。ひさし部30Fの下面と基体11の上面11Cとの間の距離(隙間)は、例えば、0mm~0.025mmである。
【0072】
このような板状部材32を用いる場合、樹脂部材12Aは、ひさし部30Fで覆われてない基体11の上面11Cと、その外側に配置された板状部材32の上面とに跨るように配置する。これにより、板状部材30の開口部30Aの内側面30Sと基体11の外側面11Aとの間の隙間Gに配置された樹脂部材12Aが界面張力によって横方向に広がるとともに、板状部材32のひさし部30Fの下面と基体11の上面11Cとの間の隙間においても界面張力によって樹脂部材12Aを広げることができる。なお、ひさし部30Fの下面と基体11の上面11Cとの間の距離が0mmである場合、つまり、接している場合は、樹脂部材12Aを硬化する前に板状部材30を上方に移動させる際に、ひさし部30Fの下面と基体11の上面11Cに新たに隙間が形成されることになる。そして、新たに形成されたこの隙間に樹脂部材12Aが流動する。これにより、基体11の上面11C上に樹脂部材12Aを配置することができる。また、ひさし部30Fの下面と基体11の上面11Cとが接触した状態で樹脂部材12Aを硬化する場合は、ひさし部30Fで覆われていた基体11の上面11Cには樹脂部材12Aは配置されにくい。
【0073】
<基板の製造方法2>
図8Aは、本実施形態に係る基板の製造方法で得られる基板20を示す上面図と、縦方向及び横方向から見た2つの側面図である。図8Bは、図1Aに示す基板20のうち、1つの基体21を含む部分を拡大した上面図である。図8Cは、図8BのVIIIC-VIIIC線における断面図である。図8Dは、本実施形態に係る基板の製造方法で用いる基板中間体20Aである。
【0074】
基板の製造方法2において得られる基板20は、製造方法1と同様に、基体21と、基体21の外側面21Aに配置される被覆層12と、支持部材S2と、を備える。本実施形態に係る基板20は、支持部材S2として粘着性を備えたシート部材23を用いており、基体21は支持部材S2の上面上に配置されている。そして、支持部材S2から基体21を取り外すことで、基体21と被覆層12とを備える発光装置のパッケージP1とすることができる。つまり、基板の製造方法1では支持部材S1の一部が発光装置の一部を構成する部材となるのに対し、基板の製造方法2では支持部材S2は発光装置には含まれない部材である。
【0075】
本実施形態において、支持部材S2であるシート部材23は、導電性又は絶縁性のもの、あるいは、これらを組み合わせたものを用いることができる。シート部材23は、上面視形状が、例えば、四角形、円形である。シート部材23の大きさは、例えば、四角形の場合は、短辺の長さが41mm~100mm、長辺の長さが100mm~200mm、厚さが0.035mm~0.2mmである。また、円形の場合は、直径が100mm~300mm、厚さが0.035mm~0.2mmである。シート部材23の材料としては、例えば、導電性の場合は基板の製造方法1であげた材料と同様のものを用いることができる。絶縁性の場合は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、シリコーン樹脂、ポリフタルアミド、液晶ポリマー等の樹脂材料を用いることができる。また、シート部材23は、それ自体が粘着性を備えていてもよく、あるいは、粘着性のない部材の表面に粘着剤を配置したものを用いることができ、例えば、図8Aに示すように、金属製の枠体と、枠体に保持されたUVシートと、を備えた支持部材S2を用いることができる。UVシートは、表面に粘着剤を備えた樹脂シートであり、UV光を照射することで粘着性が低下するシートである。
【0076】
本実施形態において、基体21は、後述の発光装置において発光素子を保持するための部材である。基体21の材料としては、基板の製造方法1であげた樹脂材料のほか、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミック材料、アルミニウム、銅等の金属材料等を用いることができる。また、本実施形態においては、基体21は、樹脂の成形体22と導電部材23を備えたパッケージP1であり、成形体22の外側面、つまり、基体21の外側面21Aに被覆層12をそなえたパッケージP1の状態で支持部材S2に支持されている。基体21としては、例えば、樹脂材料の基体にリードが埋められた樹脂パッケージ、又は、配線を備えたセラミックパッケージ等が挙げられる。これらの基体21は、基体21の下面と支持部材S2の上面とが対向するようにして支持部材S2に支持されている。
【0077】
被覆層12は、基板の製造方法1で例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0078】
このような基板20の製造方法については、基板の製造方法1と同様の工程を用いることができる。本実施形態では、図8Dに示すように、基板中間体20Aにおいて、基体21(パッケージP1)は、その全てが支持部材S2の上面上に配置されている。
【0079】
(実施形態2)
本実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる発光装置は、パッケージと、パッケージに保持された発光素子と、を備える。パッケージは、基体と、基体の外側面に配置された被覆層と、導電部材と、を備える。
【0080】
このような発光装置の製造方法は、以下の法が挙げられる。
1つは、実施形態1で用いられた基板中間体を準備し、その基板中間体の基板に発光素子を配置して発光装置中間体を形成した後に、基板の基体に被覆層を配置する工程を備える方法である(発光装置の製造方法1)。別の方法としては、実施形態1に係る基板、すなわち被覆層を備える基板を準備し、その基板の基体に発光素子を載置する工程を備える方法である(発光装置の製造方法2)。
【0081】
図9A及び図9Bは、本実施形態に係る発光装置の製造方法で得られる発光装置100を示す上面図及び側面図である。図9Cは、図9AのIXC-IXC線における断面図である。発光装置100は、パッケージP1と、発光素子14と、を備える。パッケージP1は、基体11と、基体11の外側面11Aに配置される被覆層12と、を備える。基体11は、成形体22と、導電部材13と、を備える。発光装置100は、更に発光素子14と導電部材13とを接合するワイヤ15と、発光素子14等を封止する透光性部材17等を備えることができる。
【0082】
発光素子14は、公知の半導体発光素子を利用することができる。本実施形態においては、発光素子として発光ダイオードを例示する。発光素子は、例えば、青色(ピーク波長430nm~490nm)、緑色(ピーク波長495nm~565nmの光)の光を出射する発光素子としては、窒化物系半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた発光素子を用いることができる。赤色(ピーク波長610nm~700nm)の光を出射する発光素子としては、上述の窒化物系半導体素子の他にもGaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。発光素子の平面視における形状は、正方形、長方形等の四角形や、三角形、六角形等の多角形とすることができる。図9A等に示す例では、発光装置100は、青色発光素子と、緑色発光素子と、赤色発光素子の、3つの発光素子14を備えている。例えば、ディスプレイに適用可能な発光装置100の場合、青色発光素子、緑色発光素子、及び赤色発光素子の3つの発光素子を備えることで、フルカラー表示することができる。
【0083】
また、発光装置100は、発光素子14と導電部材13とを接合する接合部材を備える。接合部材は、絶縁性または導電性のものを用いることができる。絶縁性の接合部材としては、例えば、シリコーン、エポキシ等の樹脂材料が挙げられる。導電性の接合部材としては、金、銀、銅等の金属を含むバンプ、導電ペースト、又は、Au-Sn等の共晶はんだが挙げられる。
【0084】
ワイヤ15は、導電部材13と、発光素子14とを電気的に接続する部材である。ワイヤ15の材料としては、金、銀、アルミニウム、または、これらの合金等が挙げられる。
【0085】
透光性部材17は、発光素子14等を保護する部材であり、凹部R内に配置される。透光性部材17に用いる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、透光性部材17は、拡散材として、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素を含んでもよい。さらに、透光性部材17は顔料または染料を含んでもよい。
【0086】
図10に示す発光装置200は、基体11として、成形体22と遮光層18と、を備えている。被覆層12は、図10に示す例では、遮光層18を含む基体11の外側面11A及び上面11Cを覆っている。但し、遮光層18は、被覆層12から露出していてもよい。
【0087】
遮光層18としては、例えば、光吸収物質としては、カーボンブラック、チタンブラックを含む樹脂材料等が挙げられる。遮光層18は、被覆層12と同じ材料でもよく、異なる材料でもよい。遮光層18は、成形体22の上面の全面を覆うことが好ましい。また、遮光層18の上面は、平坦な面又は凹凸を備えた面とすることができる。発光装置をディスプレイとして用いる場合、遮光層18の上面は凹凸を備えた面とすることが好ましい。上面に凹凸を備えた遮光層18が被覆層12から露出している場合、外光を散乱してテカリを低減することができる。また、上面に凹凸を備えた遮光層18が、その凹凸を覆うように被覆層12で覆われる場合、遮光層18と被覆層12との密着性を向上することができる。特に、発光装置が屋外用のディスプレイとして用いられる場合など、厳しい使用環境において用いられる際に、被覆層12が密着性よく配置されていることで、被覆層12の剥がれ等の問題が生じることを低減することができる。
【0088】
また、遮光層18の厚さは、例えば、1μm~25μmとすることができる。被覆層12が光吸収物質としてカーボンブラック等を含む遮光性の被覆層12である場合、遮光層18の上面を被覆層12で覆うことで、基体11の熱収縮や遮光層18自体の硬化収縮で割れてしまった、遮光層18の隙間を埋めることができる。遮光層18は、印刷、スタンプ、射出成形、圧縮成形等によって形成することができる。
【0089】
<発光装置の製造方法1>
発光装置の製造方法1は、以下の工程を備える。
(2-1)基体と、基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程
(2-2)基体に発光素子を配置する工程
(2-3)開口部を備える板状部材を準備する工程
(2-4)板状部材の開口部内に基体が配置されるように、板状部材を支持部材上に配置する工程
(2-5)基体の側面と板状部材との隙間に樹脂部材を配置する工程
(2-6)樹脂部材を硬化することで、基体の側面を覆う被覆層を形成する工程
【0090】
以上の工程において、工程(2-2)以外については、実施形態1と同様である。つまり、工程(2-1)は、実施形態1における工程(1-1)と同様であり、工程(2-3)は工程(1-2)と同様であり、工程(2-4)は工程(1-3)と同様であり、工程(2-5)は工程(1-4)と同様であり、工程(2-6)は工程(1-5)と同様であるため、説明を省略する。
以下、工程(2-2)について詳説する。
【0091】
(2-2)基体に発光素子を配置する工程
図2Aに示す基板中間体10Aの各基体11の凹部R内に発光素子14を配置する。例えば、凹部Rを規定する底面R1上に樹脂等の接合部材を配置し、その上に発光素子14を配置する。発光素子14は、例えば、コレットを用いて発光素子14を吸着して保持することで、凹部Rを規定する底面R1の所望の位置に発光素子14を配置することができる。
【0092】
また、この工程においては、ワイヤ15、透光性部材17等の部材を配置する工程を備えることができる。
【0093】
ワイヤ15は、ワイヤボンダ―等を用いて配置することができる。透光性部材17は、液状の樹脂材料をポッティングまたはスプレー等により凹部R内に配置し、その後、例えば60℃以上200℃以下の温度で加熱して硬化することで形成することができる。
【0094】
また、発光素子14のほかに、必要に応じてツェナーダイオード等の保護素子を配置してもよい。また、発光素子14の周囲に白色樹脂等の光反射性部材をポッティング、印刷等の方法により配置してもよい。また、導電部材13が銀を含む材料の場合、銀の硫化を低減する等の目的のために酸化チタン、酸化アルミニウム等の保護膜をスパッタ、蒸着、原子堆積法(ALD法)等の方法により配置してもよい。
【0095】
最後に、(2-6)の被覆層12を形成する工程の後、所望の位置で支持部材S1であるリードフレーム13を切断する、あるいは、基体11に埋まっていたリードフレーム13の一部(吊りリード13C)を基体11から外すことで、図9Aに示すように個片化された発光装置100を得ることができる。本実施形態では、支持部材S1はリードフレーム13であり、リードフレーム13から基体11を外す前に、発光装置100のアウターリード13Bとなる部分を所望の形状に折り曲げる工程を備えてもよい。
【0096】
図8Dに示すような、支持部材S2としてシート部材を用いる場合は、支持部材(シート部材)S2に保持されていた発光装置300を取り外す工程を備える。これにより、図11A及び図11Bに示す発光装置300を得ることができる。
【0097】
また、図12A及び図12Bに示すような発光装置400は、基体40が凹部を備えない構造であり、基体40は、成形体22と配線基板28と、を備える。成形体22と発光素子24とは接している。このような構造の発光装置400は、基板中間体を得ることは実質的に不可能であるため、被覆層を備えない発光装置中間体を形成した後に、被覆層を備える方法によって得ることができる。また、発光装置400は、4つの外側面40Aのうち、2つの外側面40Aには被覆層12が配置され、他の2つの外側面40Aには被覆層12が配置されていない。このように外側面40Aのうち、所望の外側面40Aのみに被覆層12を配置することで、例えば、発光素子24から出射された光が、被覆層12を配置した外側面40Aから外部にもれにくくすることができる。
【0098】
<発光装置の製造方法2>
発光装置の製造方法2は、以下の工程を備える。
(3-1)基体と、基体の側面に配置された被覆層と、基体を支持する支持部材と、を備える基板を準備する工程
(3-2)基体に発光素子を配置する工程
【0099】
以上の工程において、工程(3-1)は、実施形態1における工程(1-1)と同様の工程であり、工程(3-2)は、発光装置の製造方法1における工程(2-2)と同様であるため説明を省略する。
【0100】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0101】
(付記1)
上面と前記上面から連続する外側面とを備える複数の基体と、複数の前記基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記基体を支持する支持部材と、を備える基板中間体を準備する工程と、
開口部を備える板状部材を準備する工程と、
前記板状部材の前記開口部を画定する内側面の少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、
前記隙間に樹脂部材を供給して前記基体の外側面を覆う工程と、
前記樹脂部材を硬化することで、前記基体の外側面を覆う被覆層を形成する工程と、
を備える基板の製造方法。
【0102】
(付記2)
前記板状部材の前記内側面は、第1内側面と、前記第1内側面よりも外側に位置する第2内側面とを有し、第1内側面と前記複数の基体の外側面の間の隙間に前記樹脂部材を配置する、付記1に記載の基板の製造方法。
【0103】
(付記3)
前記板状部材は、上面に前記開口部から連続する窪み部を有し、
前記樹脂部材を配置する工程において、前記窪み部を介して前記隙間に前記樹脂部材を配置する、付記1または付記2に記載の基板の製造方法。
【0104】
(付記4)
前記被覆層の明度は、前記基体の明度よりも低い、付記1~付記3のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【0105】
(付記5)
前記支持部材はリードフレームであり、前記基体は樹脂を主成分とする成形体である、付記1~付記5のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【0106】
(付記6)
前記基体は、前記成形体と、前記成形体の上面に配置された遮光層と、を含む、付記5のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【0107】
(付記7)
前記樹脂部材を配置する工程において、前記遮光層を被覆するよう前記樹脂部材を配置する、付記6に記載の基板の製造方法。
【0108】
(付記8)
上面と前記上面から連続する外側面とを備える複数の基体と、前記基体に保持される発光素子と、を備える複数の発光装置中間体と、前記複数の基体の外側面が互いに離隔して配置されるように前記発光装置中間体を支持する支持部材と、を備える発光装置中間体を準備する工程と、
開口部を備える板状部材を準備する工程と、
前記板状部材の前記開口部を画定する内側面の少なくとも一部と前記基体の外側面の少なくとも一部とが隙間を介して対向するように前記板状部材を前記支持部材上に配置する工程と、
前記隙間に樹脂部材を供給して基体の外側面を覆う工程と、
前記樹脂部材を硬化して前記基体の外側面を覆う被覆層とする工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【0109】
(付記9)
前発光素子は、青色発光素子、緑色発光素子、及び赤色発光素子を含む、付記8に記載の発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0110】
10、20…基板
10A、20A…基板中間体
100、200,300、400…発光装置
100A、200A…発光装置中間体
11、21、40…基体(11A、21A、40A…外側面、11B…内側面、11C…上面)
12…被覆層
12A…樹脂部材
13、23…導電部材(リードフレーム)(13A…インナーリード、13B…アウターリード、13C…吊りリード、13D…フレーム部)
14、24…発光素子
15…ワイヤ
17、27…透光性部材
18…遮光層
22…成形体
25…保護素子
28…配線基板
R…凹部(R1…底面)
P1、P2…パッケージ
S1、S2…支持部材
30、31、32…板状部材
30A…板状部材の開口部
30U…板状部材の上面
30D…板状部材の下面
30D1…板状部材の第1下面(凸部分の下面)
30D2…板状部材の第2下面
30S…板状部材の内側面
30S1…板状部材の開口部の第1内側面(凸部分の内側面)
30S2…板状部材の開口部の第2内側面
30S3…板状部材の開口部の側面溝
30T…板状部材の凸部
30P…板状部材の上面の窪み部
30F…板状部材のひさし部
G…隙間
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C