IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

特開2024-166124送受信システム、送信装置、及び、受信装置
<>
  • 特開-送受信システム、送信装置、及び、受信装置 図1
  • 特開-送受信システム、送信装置、及び、受信装置 図2
  • 特開-送受信システム、送信装置、及び、受信装置 図3A
  • 特開-送受信システム、送信装置、及び、受信装置 図3B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166124
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】送受信システム、送信装置、及び、受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2362 20110101AFI20241121BHJP
   H04N 21/235 20110101ALI20241121BHJP
   H04N 21/434 20110101ALI20241121BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20241121BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20241121BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20241121BHJP
   H04H 60/04 20080101ALI20241121BHJP
【FI】
H04N21/2362
H04N21/235
H04N21/434
H04N21/435
H04H20/28
H04H40/18
H04H60/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078136
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2023080932
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一博
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164MA08S
5C164MB13S
5C164SB07P
5C164SB15P
5C164UB10P
5C164UB11P
(57)【要約】
【課題】地上放送高度化方式における新たな放送システムにより適合した記述子を提供可能とする。
【解決手段】送信装置及び受信装置を有する送受信システムであって、前記送信装置は、放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、前記ストリーム情報を送信する送信部と、を備え、前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含み、前記受信装置は、前記送信装置から送信された前記ストリーム情報を受信する受信部と、受信した前記ストリーム情報の前記制御情報に含まれる前記グループ識別情報により識別される前記グループを構成する前記1つ以上の信号を復調する復調部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置及び受信装置を有する送受信システムであって、
前記送信装置は、
放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、
前記ストリーム情報を送信する送信部と、
を備え、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含み、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信された前記ストリーム情報を受信する受信部と、
受信した前記ストリーム情報の前記制御情報に含まれる前記グループ識別情報により識別される前記グループを構成する前記1つ以上の信号を復調する復調部と、
を備える、送受信システム。
【請求項2】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含む、請求項1に記載の送受信システム。
【請求項3】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含む、請求項1に記載の送受信システム。
【請求項4】
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含む、請求項1に記載の送受信システム。
【請求項5】
放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、
前記ストリーム情報を送信する送信部と
を備え、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含む、
送信装置。
【請求項6】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含む、請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含む、請求項5に記載の送信装置。
【請求項8】
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含む、請求項5に記載の送信装置。
【請求項9】
放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して生成されたストリーム情報であって、前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含む、ストリーム情報を受信する受信部と、
受信した前記ストリーム情報の前記制御情報に含まれる前記グループ識別情報により識別される前記グループを構成する前記1つ以上の信号を復調する復調部と、
を備える、受信装置。
【請求項10】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含む、請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含む、請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含む、請求項9に記載の受信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送受信システム、送信装置、及び、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送の高品質化及び高機能化に向けて、現行のISDB-T方式の特長を継承した、次世代地上放送の伝送方式(地上放送高度化方式)の検討が進められている。地上放送高度化方式においては、IP(Internet Protocol)化と大容量化を実現し、将来のメディア環境の変化に対応できるための仕組みが検討されている。地上放送高度化方式における多重方式として、新4K8K衛星放送で採用されている「MMT(MPEG Media Transport)・TLV(Type Length Value)方式」の採用が検討されている(非特許文献1及び2)。
【0003】
このような放送システムにおいては、リモコンボタン番号の割当て、及び、伝送階層等の情報が、制御情報のうちの詳細部分を規定している記述子により伝送される。放送システムでは、放送ネットワークという概念をベースに放送番組の構成が定義されている。例えば、既存の地上デジタル放送では、多重方式であるMPEG-2 Systemsの多重化の単位であるTS(Transport Stream)を用いて、1送出マスターを1ネットワークに対応付け、1ネットワークを1TSとする運用が行われている(非特許文献3)。このTSに対するリモコンボタン番号の割り当て、及び、TS内のサービスの伝送階層などのTSに関する情報は、「TS情報記述子」を用いて伝送されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ARIB STD-B60「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式」
【非特許文献2】ISO/IEC 23008-1, “Information technology - High efficiency coding and media delivery in heterogeneous environments - Part 1: MPEG media transport (MMT)”
【非特許文献3】ARIB TR-B14「地上デジタルテレビジョン放送運用規定」
【非特許文献4】ARIB STD-B10「デジタル放送に使用する番組配列情報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地上放送高度化方式では、多重方式として「MMT・TLV」方式を採用予定であり、1chに複数番組を多重できることなどの要件にあった情報提供の実現が求められる。しかし、「TS情報記述子」等の従来の記述子の構成は、このような新たな放送システムの要件に十分適合していなかった。
【0006】
本開示の目的は、地上放送高度化方式における新たな放送システムにより適合した記述子を提供可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、送受信システムは、
(1)送信装置及び受信装置を有する送受信システムであって、
前記送信装置は、
放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、
前記ストリーム情報を送信する送信部と、
を備え、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含み、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信された前記ストリーム情報を受信する受信部と、
受信した前記ストリーム情報の前記制御情報に含まれる前記グループ識別情報により識別される前記グループを構成する前記1つ以上の信号を復調する復調部と、
を備える。
【0008】
(2)(1)の送受信システムにおいて、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含んでもよい。
【0009】
(3)(1)又は(2)の送受信システムにおいて、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含んでもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれかの送受信システムにおいて、
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含んでもよい。
【0011】
本開示によれば、送信装置は、
(5)放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、
前記ストリーム情報を送信する送信部と
を備え、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含む。
【0012】
(6)(5)の送信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含んでもよい。
【0013】
(7)(5)又は(6)の送信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含んでもよい。
【0014】
(8)(5)から(7)のいずれかの送信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含んでもよい。
【0015】
本開示によれば、受信装置は、
(9)放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、前記1つ以上の信号の制御情報とを多重して生成されたストリーム情報であって、前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記1つ以上の信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報を含む、ストリーム情報を受信する受信部と、
受信した前記ストリーム情報の前記制御情報に含まれる前記グループ識別情報により識別される前記グループを構成する前記1つ以上の信号を復調する復調部と、
を備えてもよい。
【0016】
(10)(9)の受信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、当該信号に対応づけるべきリモコン番号を含んでもよい。
【0017】
(11)(9)又は(10)の受信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報に対応付けられる前記放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、前記信号毎に、当該信号に係るサービスを識別するサービス識別情報と、当該信号に対応づけるべきリモコン番号とを含んでもよい。
【0018】
(12)(9)から(11)のいずれかの受信装置において、
前記制御情報は、前記ストリーム情報の名称を含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一実施形態によれば、地上放送高度化方式における新たな放送システムにより適合した記述子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る送受信システムの構成例を示す図である。
図2】送受信システムにおいて生成されるTLVストリーム情報記述子の構造の一例を示す図である。
図3A図2のTLVストリーム情報記述子により定義可能な信号の構成例を示す図である。
図3B図2のTLVストリーム情報記述子により定義可能な信号の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0022】
図1は、一実施形態に係る送受信システム1の構成例を示す図である。送受信システム1は、演奏所10a,10b(以下まとめて「演奏所10」と称する場合がある。)、送信所20、及び、受信所30の各所に設置された後述の装置を有する。演奏所10は、放送コンテンツの映像、音声、及び、データを生成する。図1の例では、事業者Aが運営する演奏所10a、及び、事業者Bが運営する演奏所10bが設けられている。演奏所10a,10bは、それぞれ放送コンテンツを生成し、TLVストリームとして送信所20へ送信する。送信所20は、各演奏所10において生成された各TLVストリームを多重し、一つのストリームとして受信所30へ送信する。受信所30は、送信所20からストリームを受信して、ユーザにより選択されたコンテンツを再生する。なお、図1の例において、送受信システム1には、2つの演奏所10、1つの送信所20、及び、1つの受信所30が設けられているが、演奏所10、送信所20、及び、受信所30の各々の個数は任意である。
【0023】
具体的には、各演奏所10には、MMT-SI(Signaling Information)生成装置11、及び、TLV-SI生成装置16が設けられる。MMT-SI生成装置11は、放送コンテンツの映像、音声、及び、データをMMT-SIと共に多重する。TLV-SI生成装置16は、MMT-SIと共に多重された放送コンテンツに対して事業者を特定可能なTLV-SIを付し、TLVストリームを生成する。
【0024】
MMT-SI生成装置11は、MMT入力選択部12、及び、多重部13を備える。MMT入力選択部12は、MMT形式の放送コンテンツの入力及び選択を受け付ける。MMTは、メディアトランスポート方式であり、メディアの符号をカプセル化する形式、伝送する形式、及び、制御信号等を規定する。MMT入力選択部12は、入力及び選択を受け付けたMMT形式の放送コンテンツを多重部13へ出力する。
【0025】
多重部13は、MMT入力選択部12から入力された放送コンテンツをMMT-SIと共に多重する。MMT-SIは、MMTで伝送するパッケージに関する制御信号である。多重部13は、MMT-SIと共に多重化された放送コンテンツをTLV-SI生成装置16へ出力する。
【0026】
TLV-SI生成装置16は、TLV生成部17及び再多重部18を備える。TLV生成部17は、MMT-SI生成装置11から入力された放送コンテンツをTLV形式に変換する。TLVは、IPパケット等の可変長パケットを多重化する仕組みである。TLV生成部17は、TLV形式に変換された放送コンテンツを再多重部18へ出力する。
【0027】
再多重部18は、TLV生成部17から入力された放送コンテンツに対してTLV-SIを付して、再度、多重し、TLVストリームを生成する。TLV-SIは、放送伝送路のIPパケットを多重及び分離するための制御信号である。具体的には、TLV-SIは、TLV-NIT(Network Information Table)及びAMT(Address Map Table)を規定する。TLV-NITは、TLVパケットによる伝送において、伝送路の情報と放送番組を関連付けるテーブルである。AMTは、サービス識別子とそれに対応するIPアドレスの一覧を提供するテーブルである。TLV-SIは、このようなTLV-NIT及びAMTにより、演奏所10を運営する事業者を特定可能な情報を提供する。再多重部18は、TLV-SIと共に多重されたTLVストリームを送信所20へ送信する。
【0028】
送信所20には、再々多重装置21、及び、変調器22が設けられる。再々多重装置21は、複数の事業者の演奏所10からTLVストリームとして伝送された複数の放送コンテンツを、グループID(識別情報)等を含む制御情報を付して多重する。グループIDは、複数の事業者又は演奏所10からなる集合をグループとして識別するための情報である。グループIDは、1つ以上のサブフレーム及び1つ以上の階層からなる信号群に対して割り当てられ、一度に復調する必要がある信号群の単位を定める。再々多重装置21における多重により、各事業者により制作された複数の放送コンテンツを1つの物理チャンネルで放送することが可能となる。再々多重装置21は、多重された放送コンテンツを変調器22へ出力する。
【0029】
変調器22は、再々多重装置21において多重された放送コンテンツを変調し、放送波として出力する。変調器22は、放送コンテンツを変調する際に、FDM(Frequency Division Multiplexing)及びTDM(Time Division Multiplexing)等の任意の伝送路符号化方式により放送コンテンツを符号化する。
【0030】
受信所30には、受信装置31、及び、端末装置32が設けられる。受信装置31は、受信した放送波を復調し、TLV-SIを解析して事業者単位で各放送コンテンツを識別する。受信装置31は、端末装置32から得られるユーザ指示に従って選択及び復調された放送コンテンツを端末装置32へ出力する。
【0031】
端末装置32は、リモコン33等を用いたユーザの指示に応じて、各事業者の放送コンテンツをディスプレイ、及び、スピーカー等から出力して提示する。端末装置32は、例えば、テレビ受像機、タブレット端末、又は、PC(Personal Computer)等であるが、これらに限られない。端末装置32は、リモコン33によりサービスの選択等のユーザからの操作を受け付けるとともに得られたユーザ指示を受信装置31に出力する。なお、端末装置32をタブレット端末、スマートフォン、又は、PC等により実現した場合、リモコン33の機能をソフトウェアにより実現してもよい。ソフトウェアにより実現されたリモコン33は、タッチパネル、キーボード、及び、ポインティングデバイス等の操作によりユーザからサービスの選択等の操作を受け付けてもよい。
【0032】
以上のような構成において、再々多重装置21は、複数の演奏所10から受信した複数のTLVストリームを多重する際に、グループIDを含むTLVストリーム情報記述子を付与する。グループIDは、当該チャンネルの中で1つ以上のサブフレーム及び1つ以上の階層を一意に特定することができ、一度に復調する必要がある信号群を示すグループを識別する。TLVストリーム情報記述子は、そのTLVストリームに対応付けるべきグループのグループIDを記述する。したがって、受信側は、TLVストリーム情報記述子を参照することで、一度に復調する必要がある信号群(グループ)を特定して、適切に復調することが可能である。
【0033】
再々多重装置21が付与するTLVストリーム情報記述子の詳細について、図2を参照して説明する。図2は、送受信システム1において生成されるTLVストリーム情報記述子(TLV_Stream_information_descriptor())の構造の一例を示す図である。
【0034】
図2において、descriptor_tagは記述子タグであり、TLVストリーム情報記述子を示す所定の値が書き込まれる。descriptor_lengthは記述子長であり、これより後に続くデータバイト数が書き込まれる。group_idはグループIDであり、地上放送高度化方式による配信システムの情報として、当該チャンネルの中でサブフレーム及び階層を一意に特定し、一度に復調する必要があるグループの識別情報が書き込まれる。service_mux_flagは、当該TLVストリーム内で複数のサービスを提供しているか否かを示す。本実施形態において、service_mux_flag=0は、当該TLVストリーム内で提供されるサービスの個数が1つであることを示す。service_mux_flag=1は、当該TLVストリーム内で提供されるサービスの個数が複数(2つ以上)であることを示す。reservedは、予め予約されたビット列が書き込まれる。
【0035】
length_of_TLV_Stream_nameは、TLVストリーム名を表す文字列(TLV_Stream_name_char)のバイト長を示す。TLV_Stream_name_charは、当該TLVストリームの名称を記述する文字列である。remote_control_key_idは、ユーザ指示入力に用いられるリモコン33のボタン番号の推奨値である。num_of_serviceは、当該グループ内で指定されるサービスの個数を示す。service_idは、当該グループ内で指定されているサービスの識別情報を示す。
【0036】
なお、図2において、「データ表記」欄の「uimsbf」は、unsigned integer, most significant bit first(符号無し整数、最上位ビットが先頭)を意味する。「bslbf」は、bit string, left bit first(ビット列、左ビットが先頭)を意味する。
【0037】
図2に示すように、1つ以上のサービスを提供するTLVストリームには、グループ識別情報が割り当てられる。グループは、一度に復調すべき信号群を示す。TLVストリーム情報記述子においては、サービスごとに一つのリモコン33のボタン番号の推奨値が割り当てられる。図2の例では、サービスの個数が2つ以上の場合(service_mux_flag=1)に、各サービスに対してサービスの識別情報(service_id)が割り当てられるが、サービスの個数が1つの場合(service_mux_flag=0)もサービスの識別情報が割り当てられてもよい。
【0038】
図3A及び図3Bは、図2のTLVストリーム情報記述子により定義可能な信号の構成例を示す図である。図3A及び図3Bのいずれにおいても、横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。
【0039】
図3Aは、FDM(1サブフレーム、2階層(1A,1B))に2サービスを多重する場合を例示している。図3Aの例において、フレームの冒頭にフレーム同期信号及びTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)が格納され、その後、グループ101に相当するサブフレームが続いている。この場合、グループ識別情報は1つのみ(グループ1)で、その中に2つのサービス(サービス1、2)が多重されている。したがって、TLVストリーム情報記述子においては、service_mux_flag=1として、remote_control_key_idとservice_idの割り当てリストを、サービス1、2のそれぞれについて示すことになる。
【0040】
図3Bは、TDM(4サブフレーム(1A,2A,3A,4A)、1階層)に2サービスを多重する場合を例示している。図3Bの例において、フレームの冒頭にフレーム同期信号及びTMCCが格納され、その後、グループ102、103に相当するサブフレームが続いている。この場合、グループ識別情報は2つ(グループ2、3)となり、各グループの各々について、1つのサービスが多重されている。TLVストリー情報記述子はグループ102,103ごとに生成される。この場合、各TLVストリーム情報記述子は、service_mux_flag=0、及び、当該TLVストリームのremote_control_key_idを示す。
【0041】
地上放送高度化方式において、放送信号の多重方式は、地上デジタル放送で採用されているMPEG-2 SystemsのTSから、MMT・TLV方式のTLVストリームに置き換わる。地上放送高度化方式においては、1チャンネルに複数事業者の番組を多重できるようにする要件がある。そのため、TLVストリームの制御情報において、単純に当該TLVストリームとリモコン番号の割り当てを示すだけでは、1チャンネルに複数事業者の番組が多重された場合に、各事業者の番組をリモコン番号により特定することができない。仮に、制御情報において、リモコン番号とサービスIDの割り当てリストを含むようにしても、地上放送高度化方式における多様なネットワーク構成に十分対応することは難しい。
【0042】
そこで、本実施形態では、TLVストリームの制御情報に、グループID(group_id)という概念を導入する。グループIDは、地上放送高度化の配信システムの情報として、当該チャンネルの中でサブフレームと階層が一意に特定でき一度に復調して欲しい信号群を示すグループの識別情報である。図2に例示したTLVストリーム情報記述子は、TLVストリームとグループIDとの紐づけを記載する。したがって、このようなTLVストリーム情報記述子が多重されたTLVストリームを受信した装置は、TLVストリーム情報記述子を参照して、一度に復調すべき信号群を特定することが可能である。
【0043】
なお、伝送階層及び多重化のパターン等の情報は、TLVストリーム情報記述子とは別の記述子で記載され、グループIDを通じて、それらの記述子と、TLVストリーム情報記述子に記載の情報とを紐づけることができるようにしてもよい。このような構成によれば、伝送階層及び多重化のパターン等がどのような構成であっても、TLVストリーム情報記述子に対応付けることが可能である。
【0044】
加えて、TLVストリーム情報記述子は、当該TLVストリームの名前(TLV_Stream_name_char)及びサービスID(service_id)を記載できる構造を有する。TLVストリーム記述子は、TLVストリーム内で1つのサービスを提供している場合、リモコン番号(remote_control_key_id)の割り当てを示す。TLVストリーム記述子は、TLVストリーム内で複数のサービスを提供している場合、サービスごとに、サービスID(service_id)とリモコン番号(remote_control_key_id)の割り当てを示す。したがって、TLVストリームを受信した装置は、TLVストリーム情報記述子を参照して、サービス(各事業者により提供される放送コンテンツの番組)ごとに推奨されるリモコン番号を特定することが可能である。例えば、受信装置31は、TLVストリーム情報記述子を参照して、リモコン33の操作に応じて提供すべき番組を特定することが可能である。
【0045】
また、TLVストリーム情報記述子は、非特許文献1で規定されている、「TLV-NIT」の2つめの記述子領域(descriptor())に記載されてもよい。descriptor()は、TLVストリームに関する情報を記載するループに中にあり、その項目の1つにTLVストリームの識別情報であるtlv_stream_idがある。したがって、このtlv_stream_idにより「TLVストリーム」を一意に特定することが可能である。
【0046】
なお、本実施形態では、送信所20の再々多重装置21が、各事業者が制作した放送コンテンツに関する1つ以上の信号(TLVストリーム)と、1つ以上の信号の制御情報(TLVストリーム情報記述子)とを多重して、ストリーム情報(多重後のTLVストリーム)を生成するが、このような処理は、他の装置が行ってもよい。例えば、演奏所10のTLV-SI生成装置16が放送コンテンツに関する信号であるTLVストリームに、図2を参照して説明したTLVストリーム情報記述子を付して多重してもよい。このような構成においても、制御情報(TLVストリーム情報記述子)は、ストリーム情報(TLVストリーム)に対応付けられる信号からなるグループを識別するためのグループ識別情報(group_id)を含む。そのため、受信側は、グループ識別情報を参照して、一度に復調すべき信号を特定して適切に復調することが可能である。これらの送信側の装置は、放送コンテンツに関する1つ以上の信号と、1つ以上の信号の制御情報とを多重して、ストリーム情報を生成する多重部と、ストリーム情報を送信する送信部と、を備えてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、受信装置31が、制御情報(TLVストリーム情報記述子)が多重された放送コンテンツに関する1つ以上の信号を受信して復調する例を説明したが、このような処理は、他の装置が行ってもよい。例えば、端末装置32が、このような処理を行ってもよい。本実施形態では、ストリーム情報がTLVストリームである例を説明したが、ストリーム情報は他の方式に基づく信号でもよい。これらの受信側の装置は、送信装置から送信されたストリーム情報を受信する受信部と、受信したストリーム情報の制御情報に含まれるグループ識別情報により識別されるグループを構成する1つ以上の信号を復調する復調部と、を備えてもよい。
【0048】
前述のように、制御情報(TLVストリーム情報記述子)は、ストリーム情報(TLVストリーム)に対応付けられる放送コンテンツに関する信号の個数が1つの場合、その信号に対応づけるべきリモコン番号を含む。制御情報は、ストリーム情報に対応付けられる放送コンテンツに関する信号の個数が2つ以上の場合、信号毎に、その信号に係るサービスを識別するサービス識別情報(service_id)と、その信号に対応づけるべきリモコン番号(remote_control_key_id)とを含む。したがって、受信側は、制御情報を参照して、サービスごとに対応付けるべきリモコン番号を特定することができる。また、制御情報は、ストリーム情報の名称を含む。したがって、受信側は、制御情報を参照して、ストリーム情報の名称を特定することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る構成によれば、地上放送高度化においても、既存の地上デジタル放送と同様に事業者の番組チャンネルごとにリモコン番号を割り当てて、受信側において番組チャンネル選択を容易に実現することが可能となる。また、本実施形態に係る構成は、伝送路符号化の方式(例えば、FDM及びTDM等)に関わらず、サブフレームと階層が一意に特定でき一度に復調するべき信号群を示すグループIDを用いるため、汎用的にグループに関する情報を伝達することが可能となる。
【0050】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は一つのブロックは分割されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 送受信システム
10 演奏所
11 MMT-SI生成装置
12 MMT入力選択部
13 多重部
16 TLV-SI生成装置
17 TLV生成部
18 再多重部
20 送信所
21 再々多重装置
22 変調器
30 受信所
31 受信装置
32 端末装置
33 リモコン
101~103 グループ

図1
図2
図3A
図3B