IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図1
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図2
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図3
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図4
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図5
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図6
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図7
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図8
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図9
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図10
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図11
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図12
  • 特開-媒体搬送装置及び画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166133
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/12 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65H5/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078728
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023082429
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 陽一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 寛亮
【テーマコード(参考)】
3F101
【Fターム(参考)】
3F101CA02
3F101CA14
3F101CC01
3F101CC07
3F101CC13
3F101LA01
3F101LB01
3F101LB07
3F101LB11
3F101LB12
(57)【要約】
【課題】媒体のスキューやダメージを抑制しつつ、画像が形成された媒体を適切に搬送可能な媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】受け渡し胴は、湾曲搬送路に沿って搬送される媒体の内周面側で回転する受け渡し胴と、湾曲搬送路の内周面側で受け渡し胴と一体回転すると共に、媒体の幅方向の一方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第一ガイドディスクと、湾曲搬送路の内周面側で受け渡し胴と一体回転すると共に、媒体の幅方向の他方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第二ガイドディスクと、第一ガイドディスク及び第二ガイドディスクを、媒体の幅方向にスライドさせるスライド機構とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲搬送路に沿って搬送される媒体の内周面側で回転する受け渡し胴と、
前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の一方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第一ガイドディスクと、
前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の他方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第二ガイドディスクと、
前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクを、前記媒体の幅方向にスライドさせるスライド機構とを備えることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記スライド機構は、
前記媒体の幅方向に沿って延設されたスクリューシャフトと、
前記スクリューシャフトを回転させる駆動力を発生させるスライドモータと、
前記スライドモータの回転に伴って回転する駆動ギヤと、
前記スクリューシャフトと一体回転する従動ギヤと、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを接離させる接離機構とを備え、
前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクは、前記スクリューシャフトに形成された雄ネジに螺合されて、前記スクリューシャフトの回転に伴って前記媒体の幅方向にスライドし、
前記スクリューシャフトは、
前記第一ガイドディスクが螺合される雄ネジが形成された第一部分と、
前記第二ガイドディスクが螺合され且つ前記第一部分とは逆向きの雄ネジが形成された第二部分とを含むことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記接離機構は、
前記駆動ギヤを回転可能に支持すると共に、前記駆動ギヤを前記従動ギヤから離間させる離間位置、及び前記駆動ギヤを前記従動ギヤに噛合させる噛合位置の間を揺動する揺動アームと、
前記揺動アームを揺動させる駆動力を発生させる揺動モータと、
前記揺動アームを前記噛合位置に向けて付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記接離機構は、
発光部から出力された光を受光部で受光しないときに検知信号を出力し、前記発光部から出力された光を前記受光部で受光したときに前記検知信号の出力を停止する光学センサと、
前記揺動アームが前記噛合位置のときに前記発光部及び前記受光部の間の光路を遮断し、前記従動ギヤの歯の高さ以上に前記揺動アームが前記噛合位置から前記離間位置に向けて移動したときに前記光路から外れるフィラーとを備えることを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記スライド機構による前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクのスライドを制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記スライドモータの回転中において、前記光学センサから前記検知信号の出力が停止された回数に応じて、前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクのスライド量を補正することを特徴とする請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記受け渡し胴、前記第一ガイドディスク、及び前記第二ガイドディスクを一体回転させる駆動力を発生させる回転モータと、
前記スライドモータ、前記接離機構、及び前記回転モータを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記受け渡し胴の回転を規制し且つ前記接離機構によって前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを噛合させた状態で、前記スライドモータを駆動させることによって、前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクをスライドさせ、
前記接離機構によって前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを離間させた状態で、前記回転モータを駆動させることによって、前記受け渡し胴、前記第一ガイドディスク、及び前記第二ガイドディスクを一体回転させることを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された前記媒体を搬送する請求項1に記載の媒体搬送装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート(媒体)に画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段で画像が形成されたシートを搬送する搬送手段とを備える画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、シートの画像が形成された部分に搬送手段が接触して、搬送手段にインクが付着したり、シートに形成された画像が掠れることがある。
【0003】
そこで、このような課題を解決するために、シートの余白部分を挟持搬送する搬送手段を備えた画像形成装置がある(例えば、特許文献1を参照)。また、特許文献1に記載の搬送手段は、シートのサイズに合わせて主走査方向に移動可能に構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにシートを挟持搬送する方法では、シートのカールや収縮状態によってスキューが発生したり、高速搬送時に発生する摩擦によってシートがダメージを受ける可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、媒体のスキューやダメージを抑制しつつ、画像が形成された媒体を適切に搬送可能な媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、湾曲搬送路に沿って搬送される媒体の内周面側で回転する受け渡し胴と、前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の一方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第一ガイドディスクと、前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の他方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第二ガイドディスクと、前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクを、前記媒体の幅方向にスライドさせるスライド機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、媒体のスキューやダメージを抑制しつつ、画像が形成された媒体を適切に搬送可能な媒体搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置の概略構成図。
図2】媒体搬送装置の一例である受け渡し胴の斜視図。
図3】一対のガイドディスクを離間させた状態を示す受け渡し胴の斜視図。
図4】一対のガイドディスクを近接させた状態を示す受け渡し胴の斜視図。
図5】受け渡し胴の要部断面図。
図6】駆動ギヤと従動ギヤとが離間した状態の接離機構の正面図。
図7】駆動ギヤと従動ギヤとが噛合した状態の接離機構の正面図。
図8】接離機構の背面図。
図9】フィラー及び歯飛びセンサを示す図。
図10】フィラーが歯飛びセンサの光路を遮断した状態を示す図。
図11】フィラーが歯飛びセンサの光路から外れた状態を示す図。
図12】インクジェット記録装置において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成図。
図13】スライドモータの回転及び歯飛びセンサの検知信号の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置1の概略構成図である。
【0010】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、搬入部10と、画像形成部20と、乾燥部30と、排出部40とを備える。インクジェット記録装置1は、搬入部10から搬入される用紙P(媒体)に対して、画像形成部20がインクを吐出することで画像を形成する。そして、インクジェット記録装置1は、用紙P上に付着したインクを乾燥部30で乾燥させた後、用紙Pを排出部40に排出する。
【0011】
また、インクジェット記録装置1の内部には、上流側搬送路Ph1と、下流側搬送路Ph2とが形成されている。上流側搬送路Ph1及び下流側搬送路Ph2は、インクジェット記録装置1の内部において、用紙Pが通過する空間を指す。上流側搬送路Ph1は、画像形成部20より用紙P搬送方向の上流側の(すなわち、搬入部10から画像形成部20に至る)搬送路である。下流側搬送路Ph2は、画像形成部20より用紙Pの搬送方向の下流側の(すなわち、画像形成部20から乾燥部30を経て排出部40に至る)搬送路である。
【0012】
なお、用紙Pの搬送方向とは、搬送路Ph1、Ph2に沿って、搬入部10から画像形成部20、乾燥部30を経て排出部40に至る方向である。また、上流側搬送路Ph1及び下流側搬送路Ph2は、用紙Pの搬送方向において、直線的に延びていてもよいし、湾曲していてもよいし、これらを組み合わせて構成されていてもよい。より詳細には、下流側搬送路Ph2のうち、後述するドラム51及び受け渡し胴25の対向位置から受け渡し胴25の外周面に沿う部分は、搬送方向に湾曲した湾曲搬送路である。
【0013】
搬入部10は、複数の用紙Pが積載される搬入トレイ11と、搬入トレイ11から用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、上流側搬送路Ph1を通じて用紙Pを画像形成部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。給送装置12には、ローラやコロを用いた装置、エア吸引を利用した装置など、給送機能を有する公知のあらゆる給送装置を採用できる。
【0014】
給送装置12により搬入トレイ11から上流側搬送路Ph1に送り出された用紙Pは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動されることにより、画像形成部20へ搬入される。なお、本実施形態において、搬入部10は、画像形成部20へ用紙Pを送り出す機能を備えていれば、特にその構成は限定されない。
【0015】
画像形成部20は、搬入部10によって搬入された用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを乾燥部30に排出する。画像形成部20は、用紙Pを搬送するシート搬送装置21と、シート搬送装置21によって搬送された用紙Pに液体を吐出する液体吐出部22と、受け取り胴24と、受け渡し胴25(媒体搬送装置)とを備える。
【0016】
シート搬送装置21は、用紙Pを周面に担持して回転するドラム51と、ドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である吸引装置52とを備える。受け取り胴24は、搬入部10から用紙Pを受け取って、ドラム51に受け渡す。受け渡し胴25は、画像が形成された用紙Pをドラム51から受け取って、乾燥部30に受け渡す。
【0017】
搬入部10から画像形成部20へ搬送されてきた用紙Pは、受け取り胴24の表面に設けられたグリッパによって先端が把持され、受け取り胴24の表面移動に伴って搬送される。受け取り胴24により搬送された用紙Pは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
【0018】
ドラム51の表面にもグリッパが設けられており、用紙Pの先端がグリッパによって把持される。また、ドラム51の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されている。各吸引孔には、吸引装置52によってドラム51の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。用紙Pは、この吸い込み気流によりドラム51の表面に吸着される。受け取り胴24からドラム51へ受け渡された用紙Pは、グリッパによって先端が把持されると共に、吸い込み気流によってドラム51の表面に吸着して、ドラム51の表面移動に伴って搬送される。
【0019】
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23E、23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0020】
吐出ユニット23A~23Fは、例えば、複数のノズルを配列したノズル列を有する複数の液体吐出ユニット(以下、単に「ヘッド」という。)をベース部材に配置したフルライン型ヘッドである。吐出ユニット23A~23Fは、画像データに応じた駆動信号により吐出動作が制御される。ドラム51によって搬送された用紙Pが液体吐出部22との対向領域を通過する際に、各吐出ユニット23A~23Fの下面(ノズル面)に設けられたノズルから各色インクが吐出される。これにより、当該画像データに応じた画像が用紙P上に形成される。
【0021】
なお、本実施形態において、画像形成部20は、用紙P上に液体を付着させて画像を形成する機能を備えていればよく、液体を吐出させ、あるいは液体を付着させる構成を特に限定するものではない。
【0022】
また、本実施形態に係る画像形成部20は、用紙Pの中央部の画像形成領域(図5参照)に画像を形成することができる。換言すれば、画像形成部20によって画像が形成された用紙Pは、幅方向の両端部に画像が形成されていない、所謂「余白」を有する。用紙Pの幅方向とは、用紙Pの搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向である。図5に示す左余白及び右余白は、用紙Pの幅方向において、画像形成領域を挟んで反対側に位置している。また、左余白及び右余白は、用紙Pの幅方向に所定の長さを有する領域である。さらに、左余白及び右余白は、用紙Pの搬送方向において、用紙Pの全域に設けられた領域である。
【0023】
ドラム51によって搬送された用紙P(換言すれば、画像形成部20によって画像が形成された用紙P)は、ドラム51との対向位置で受け渡し胴25に受け渡される。より詳細には、用紙Pは、受け渡し胴25の表面に設けられたグリッパによって先端が把持され、受け渡し胴25の表面移動に伴って搬送される。このとき、用紙Pの画像が形成された面(湾曲搬送路に沿って搬送される用紙Pの内周側の面)は、受け渡し胴25に対面している。受け渡し胴25により搬送された用紙Pは、下流側搬送路Ph2を通じて乾燥部30へ受け渡される。受け渡し胴25の詳細構成は、図2図11を参照して後述する。
【0024】
乾燥部30は、乾燥機構部31と、吸引搬送機構部32とを備えている。乾燥機構部31は、画像形成部20で用紙P上に付着したインクを乾燥させる。吸引搬送機構部32は、受け渡し胴25から受け渡された用紙Pを下流側搬送路Ph2に沿って排出部40側に搬送する。すなわち、受け渡し胴25を通じて画像形成部20から搬送されてきた用紙Pは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、吸引搬送機構部32により乾燥機構部31を通過するように搬送され、排出部40へ受け渡される。乾燥機構部31を通過する際、用紙P上のインクには乾燥処理が施され、インク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着するとともに、用紙Pのカールが抑制される。
【0025】
排出部40は、複数の用紙Pが積載される排出トレイ41を備えている。吸引搬送機構部32により乾燥部30から搬送されてくる用紙Pは、排出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。なお、本実施形態において、排出部40は、用紙Pを排出する機能を備えていればよく、その構成を特に限定するものではない。
【0026】
本実施形態のインクジェット記録装置1は、搬入部10、画像形成部20、乾燥部30、排出部40から構成されているが、他の機能部を適宜追加してもよい。インクジェット記録装置1は、例えば、搬入部10と画像形成部20との間に画像形成の前処理を行う前処理部を備えてもよいし、乾燥部30と排出部40との間に画像形成の後処理を行う後処理部を備えてもよい。
【0027】
前処理部としては、例えば、インクと反応して滲みを抑制するための処理液を用紙Pに塗布する処理液塗布処理を行うものなどが挙げられる。但し、前処理の内容は、前述の例に限定されない。後処理部としては、例えば、画像形成部20で画像が形成された用紙Pを反転させて再び画像形成部20へ送って用紙Pの両面に画像を形成するための用紙反転搬送処理、あるいは画像が形成された複数枚の用紙Pを綴じる処理などが挙げられる。但し、後処理の内容は、前述の例に限定されない。
【0028】
なお、本実施形態では、インクジェット記録装置1を画像形成装置の例として説明している。しかしながら、画像形成装置は、シート材の被乾燥面に向けて液体を吐出する液滴吐出部を備えていればよく、吐出された液滴によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されない。他の例として、画像形成装置は、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものでもよい。
【0029】
媒体は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよい。媒体は、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などでもよい。本実施形態においては、液体が一時的でも付着可能なものを「媒体」と称している。また、「液滴」の具体例は、液体吐出部22から吐出されるインクに限定されず、前処理部で用いられる処理液などもでよい。すなわち、本発明は、目標位置に液滴を着弾させる液滴吐出装置に広く適用できる。
【0030】
また、「吐出ヘッド」とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出または噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどの吐出エネルギー発生手段を使用することができる。但し、使用する吐出エネルギー発生手段は、前述の例に限定されない。
【0031】
図2は、媒体搬送装置の一例である受け渡し胴25の斜視図である。図3は、一対のガイドディスク66、67を離間させた状態を示す受け渡し胴25の斜視図である。図4は、一対のガイドディスク66、67を近接させた状態を示す受け渡し胴25の斜視図である。図5は、受け渡し胴25の要部断面図である。
【0032】
受け渡し胴25は、下流側搬送路Ph2の一部である湾曲搬送路の内周面側に配置されている。そして、受け渡し胴25は、湾曲搬送路上の用紙Pの内周面(画像形成部20によって画像が形成された面)のうち、画像形成領域外の余白部分のみに接触して、当該用紙Pを搬送方向に搬送する。図2図5に示すように、受け渡し胴25は、ガイドディスク66(第一ガイドディスク)と、ガイドディスク67(第二ガイドディスク)と、回転モータ63(図12参照)と、スライド機構64とを備える。
【0033】
図3及び図4に示すように、ガイドディスク66、67は、概ね扇形状の外形を呈する。また、ガイドディスク66、67は、所定の厚みを有する板状である。ガイドディスク66、67は、受け渡し胴25において、受け渡し胴25の軸方向にスライド可能に構成されている。また、ガイドディスク66、67は、扇形の中心角に相当する部分に、後述するスクリューシャフト65に螺合される雌ネジ部66a、67aを有する。さらに、ガイドディスク66、67は、雌ネジ部66a、67aを中心として、受け渡し胴25と一体回転可能に構成されている。
【0034】
ガイドディスク66、67の円弧形状の外周面は、用紙Pの内周面側の余白に当接して、用紙Pの搬送をガイドするガイド面66b、67bとして機能する。また、ガイドディスク66、67は、受け渡し胴25において、受け渡し胴25の胴体(受け渡し胴25の中心に位置する円柱形状の部材)を囲むように配置されている。そして、ガイドディスク66、67は、一体となってスライドし、一体となって回転する。
【0035】
回転モータ63は、受け渡し胴25を回転させる駆動力を発生させる。受け渡し胴25は、回転モータ63の駆動力が伝達されることによって回転する。また、受け渡し胴25は、支持部61、62、スクリューシャフト65、ガイドディスク66、67及びガイドシャフト68a、68cが一体回転する。なお、回転モータ63を省略して、ドラム51を回転させるモータで、ドラム51及び受け渡し胴25を同期して回転させてもよい。
【0036】
スライド機構64は、ガイドディスク66、67を用紙Pの幅方向にスライドさせる。より詳細には、スライド機構64は、ガイドディスク66、67を、互いに近接する向きと、互いに離間する向きとに連動してスライドさせる。図2図5に示すように、スライド機構64は、スクリューシャフト65と、ガイドディスク66、67と、ガイドシャフト68a、68c(以下、これらを総称して、「ガイドシャフト68」と表記することがある。)と、スライドモータ69(図12参照)と、駆動ギヤ70と、従動ギヤ71と、接離機構72とを備える。
【0037】
スクリューシャフト65は、受け渡し胴25において、用紙Pの幅方向に沿って延設されている。スクリューシャフト65は、用紙Pの幅方向の一方側の第一部分65aと、用紙Pの幅方向の他方側の第二部分65bとを含む。第一部分65aの外周面には、ガイドディスク66の雌ネジ部66aが螺合される雄ネジが形成されている。第二部分65bの外周面には、ガイドディスク67の雌ネジ部67aが螺合される雄ネジが形成されている。そして、第一部分65a及び第二部分65bに形成された雄ネジは、ネジの向き(ネジを構成する螺旋の向き)が互いに逆向きになっている。
【0038】
第一部分65a及び第二部分65bは、スクリューシャフト65の延設方向に隣接して配置されている。そして、下流側搬送路Ph2に沿って搬送される用紙Pの幅方向の中央は、用紙Pのサイズに拘わらず、第一部分65a及び第二部分65bに接続部分に対面する。また、ガイドディスク66、67は、常に第一部分65a及び第二部分65bの接続部分を中心として、用紙Pの幅方向の対称な位置に配置される。すなわち、ガイドディスク66、67は、用紙Pのサイズに拘わらず、下流側搬送路Ph2に沿って搬送される用紙Pの幅方向の中央を中心として、用紙Pの幅方向の対称な位置に配置される。
【0039】
ガイドシャフト68は、受け渡し胴25において、スクリューシャフト65と平行に延設されている。また、ガイドシャフト68a、68cは、ガイドシャフト68の周方向に離間して配置されている。そして、ガイドシャフト68は、ガイドディスク66、67に設けられた貫通孔に進入することによって、用紙Pの幅方向にスライドするガイドディスク66、67を案内する。また、スクリューシャフト65及びガイドシャフト68の両端は、支持部61、62によって支持されている。
【0040】
スライドモータ69は、ガイドディスク66、67をスライドさせる駆動力を発生させる。駆動ギヤ70は、スライドモータ69の回転に伴って回転する。従動ギヤ71は、スクリューシャフト65と一体回転する。接離機構72は、駆動ギヤ70及び従動ギヤ71を接離させる。より詳細には、接離機構72は、駆動ギヤ70を従動ギヤ71から離間させた状態(図6)と、駆動ギヤ70を従動ギヤ71に噛合させた状態(図7)とに切り替える。
【0041】
駆動ギヤ70を従動ギヤ71から離間させると、スライドモータ69の駆動力がスクリューシャフト65に伝達されない。一方、駆動ギヤ70を従動ギヤ71に噛合させると、スライドモータ69の駆動力が駆動ギヤ70及び従動ギヤ71を通じてスクリューシャフト65に伝達される。そして、ガイドディスク66、67及びスクリューシャフト65が回転することによって、用紙Pの幅方向に沿って互いに接離する向きにスライドする。
【0042】
より詳細には、ガイドディスク66、67の貫通孔には、ガイドシャフト68a、68cが挿通されている。そのため、ガイドディスク66、67は、スクリューシャフト65と共に回転せず、スクリューシャフト65の雄ネジに沿って、スクリューシャフト65の延設方向にスライドする。すなわち、スクリューシャフト65及びガイドシャフト68a、68cは、所謂「送りネジ機構」を構成する。
【0043】
また、第一部分65a及び第二部分65bには、逆向きの雄ネジが形成されている。そのため、ガイドディスク66、67は、互いに逆向きにスライドする。より詳細には、スクリューシャフト65が第一方向に回転することによって、ガイドディスク66、67は、ガイドシャフト68a、68cに沿って互いに近づく向きに移動する。一方、スクリューシャフト65が第一方向と逆方向の第二方向に回転することによって、ガイドディスク66、67は、ガイドシャフト68a、68cに沿って互いに離間する向きに移動する。
【0044】
図6は、駆動ギヤ70と従動ギヤ71とが離間した状態の接離機構72の正面図である。図7は、駆動ギヤ70と従動ギヤ71とが噛合した状態の接離機構72の正面図である。図8は、接離機構72の背面図である。図2図4に示すように、接離機構72は、用紙Pの幅方向において、用紙Pが通過する領域から外れた位置に配置されている。また、図6図8に示すように、接離機構72は、ベースプレート73と、揺動軸74と、揺動アーム75と、揺動モータ76と、コイルバネ77(付勢部材)とを備える。
【0045】
ベースプレート73は、インクジェット記録装置1のフレームに固定された板状の部材である。また、ベースプレート73は、スライドモータ69、揺動軸74、揺動アーム75、揺動モータ76、及びコイルバネ77を支持する。より詳細には、図6及び図7に示すように、揺動軸74、揺動アーム75、及びコイルバネ77は、ベースプレート73の表面に固定されている。一方、図8に示すように、スライドモータ69及び揺動モータ76は、ベースプレート73の裏面に固定されている。
【0046】
揺動軸74は、スクリューシャフト65と平行に延設されている。揺動アーム75は、揺動軸74周り揺動可能に支持されている。また、揺動アーム75は、駆動ギヤ70を回転可能に支持している。揺動モータ76は、揺動アーム75を揺動させる駆動力を発生させる。揺動アーム75は、揺動モータ76の駆動力が伝達されることによって、駆動ギヤ70を従動ギヤ71から離間させる離間位置(図6)と、駆動ギヤ70を従動ギヤ71に噛合させる噛合位置(図7)との間を揺動する。コイルバネ77は、一端がベースプレート73に接続され、他端が揺動アーム75に接続されている。
【0047】
受け渡し胴25は、回転センサ78(図12参照)を備える。回転センサ78は、受け渡し胴25の周方向におけるガイドディスク66の位置を検知して、コントローラ100(図12参照)に検知信号を出力する。より詳細には、回転センサ78は、ガイドディスク66が初期位置(ドラム51と受け渡し胴25との対向位置)に配置されているときに、検知信号を出力する。一方、回転センサ78は、ガイドディスク66が初期位置と異なる位置に配置されているときに、検知信号を出力しない。
【0048】
回転センサ78は、例えば、反射型の光学センサである。そして、回転センサ78は、ガイドディスク66に向けて光を出力する。また、回転センサ78は、初期位置に配置されたガイドディスク66によって反射された光を受光して、検知信号を出力する。一方、初期位置と異なる位置に配置されたガイドディスク66は光を反射しないので、このとき回転センサ78は検知信号の出力を停止する。但し、回転センサ78の具体的な構成は、これに限定されない。
【0049】
受け渡し胴25は、スライドセンサ79(図12参照)を備える。スライドセンサ79は、用紙Pの幅方向におけるガイドディスク66の位置を検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。より詳細には、スライドセンサ79は、ガイドディスク66が最も外側の原点位置(ガイドディスク67から最も離れた位置)に配置されているときに、検知信号を出力する。一方、スライドセンサ79は、ガイドディスク66が原点位置と異なる位置に配置されているときに、検知信号を出力しない。
【0050】
スライドセンサ79は、例えば、反射型の光学センサである。そして、スライドセンサ79は、ガイドディスク66に向けて光を出力する。また、スライドセンサ79は、原点位置に配置されたガイドディスク66によって反射された光を受光して、検知信号を出力する。一方、原点位置と異なる位置に配置されたガイドディスク66は光を反射しないので、このときスライドセンサ79は検知信号の出力を停止する。但し、スライドセンサ79の具体的な構成は、これに限定されない。
【0051】
受け渡し胴25は、揺動センサ80(図12参照)を備える。揺動センサ80は、揺動アーム75の位置を検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。より詳細には、揺動センサ80は、揺動アーム75が噛合位置に配置されているときに、検知信号を出力する。一方、揺動センサ80は、揺動アーム75が噛合位置と異なる位置に配置されているときに、検知信号を出力しない。
【0052】
揺動センサ80は、例えば、反射型の光学センサである。そして、揺動センサ80は、揺動アーム75に向けて光を出力する。また、揺動センサ80は、噛合位置に配置された揺動アーム75によって反射された光を受光して、検知信号を出力する。一方、噛合位置と異なる位置に配置された揺動アーム75は光を反射しないので、このとき揺動センサ80は検知信号の出力を停止する。但し、揺動センサ80の具体的な構成は、これに限定されない。
【0053】
図9は、フィラー81及び歯飛びセンサ82を示す図である。図10は、フィラー81が歯飛びセンサ82の光路を遮断した状態を示す図である。図11は、フィラー81が歯飛びセンサ82の光路から外れた状態を示す図である。図9図11に示すように、接離機構72は、フィラー81と、歯飛びセンサ82とを備える。
【0054】
図9に示すように、フィラー81は、揺動軸74に回動可能に支持されている。そして、フィラー81は、揺動モータ76の駆動力が伝達されることによって、揺動アーム75と一体なって揺動する。歯飛びセンサ82は、スライドモータ69の回転中に駆動ギヤ70及び従動ギヤ71が歯飛びしたことを検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。
【0055】
歯飛びセンサ82は、例えば、透過型の光学センサである。すなわち、歯飛びセンサ82は、光を出力する発光部と、発光部から出力された光を受光する受光部とを備える。そして、歯飛びセンサ82は、発光部から出力された光が受光部で受光されないときに、検知信号を出力する。一方、歯飛びセンサ82は、発光部から出力された光が受光部で受光されたときに、検知信号の出力を停止する。
【0056】
図10に示すように、フィラー81は、揺動アーム75が噛合位置のときに、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。このとき、歯飛びセンサ82は、検知信号を出力する。一方、図11に示すように、従動ギヤ71の歯の高さ以上に揺動アーム75が噛合位置から離間位置に向けて移動したときに、フィラー81は発光部及び受光部の間の光路から外れる。このとき、歯飛びセンサ82は、検知信号の出力を停止する。
【0057】
[インクジェット記録装置1の制御ブロック]
次に、インクジェット記録装置1の制御ブロック構成について、図12を用いて説明する。図12は、インクジェット記録装置1において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。図12に示すように、インクジェット記録装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0058】
CPU101は演算手段であり、インクジェット記録装置1全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0059】
インクジェット記録装置1は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、インクジェット記録装置1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、インクジェット記録装置1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、インクジェット記録装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、インクジェット記録装置1の動作を制御する制御手段としてのコントローラ100を構成する。
【0060】
I/F105は、回転モータ63、スライドモータ69、揺動モータ76、ロータリエンコーダ63a、69a、76a、回転センサ78、スライドセンサ79、揺動センサ80、及び歯飛びセンサ82を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、回転モータ63、スライドモータ69、揺動モータ76を動作させ、ロータリエンコーダ63a、69a、76a、回転センサ78、スライドセンサ79、揺動センサ80、歯飛びセンサ82の検知結果を取得する。なお、図12には受け渡し胴25(媒体搬送装置)の構成部品のみを図示しているが、搬入部10、画像形成部20、乾燥部30、排出部40も同様にコントローラ100によって制御される。
【0061】
ロータリエンコーダ63a、69a、76aは、回転モータ63、スライドモータ69、揺動モータ76の回転量を示すパルス信号を、コントローラ100に出力する。すなわち、コントローラ100は、ロータリエンコーダ63a、69a、76aから出力するパルス信号をカウントすることによって、回転モータ63、スライドモータ69、揺動モータ76の回転量(換言すれば、受け渡し胴25の回転量、ガイドディスク66、67のスライド量、揺動アーム75の揺動量)を把握することができる。
【0062】
コントローラ100は、受け渡し胴25の回転を規制(すなわち、回転モータ63を停止)し且つ揺動アーム75を噛合位置に配置した状態(すなわち、駆動ギヤ70及び従動ギヤ71を噛合させた状態)で、画像形成部20によって画像が形成される用紙Pのサイズに合わせて、スライドモータ69を第一方向または第二方向に回転させる。そして、コントローラ100は、回転センサ78から出力される検知信号と、ロータリエンコーダ69aから出力されるパルス信号との組み合わせに基づいて、用紙Pの左余白及び右余白に対面する位置にガイドディスク66、67が到達したタイミングで、スライドモータ69を停止させる。用紙Pのサイズ(より詳細には、用紙Pの幅方向のサイズ)は、例えば、操作パネルや外部装置から取得してもよいし、センサで検知してもよい。
【0063】
図13は、スライドモータ69の回転及び歯飛びセンサ82の検知信号の関係を示す図である。前述したように、コイルバネ77によって揺動アーム75を噛合位置に付勢しているので、スライドモータ69の回転中は駆動ギヤ70及び従動ギヤ71の噛合が維持されるはずである。しかしながら、様々な事情(例えば、塵埃の噛み込み、歯の摩耗)によって、駆動ギヤ70が従動ギヤ71の歯を乗り越えて(所謂、「歯飛び」)、駆動ギヤ70及び従動ギヤ71の間でスライドモータ69の駆動力が伝達されない場合がある。このとき、ロータリエンコーダ69aのパルス信号に基づいて特定されるガイドディスク66、67のスライド量は、ガイドディスク66、67の現実のスライド量と異なる。
【0064】
図13(A)に示すように、スライドモータ69の回転中に歯飛びが発生しない場合、歯飛びセンサ82からは、常に検知信号が出力(ON)されている。一方、図13(B)に示すように、スライドモータ69の回転中に歯飛びが発生しない場合、歯飛びセンサ82からは、検知信号の出力(ON)及び出力停止(OFF)が繰り返される。より詳細には、歯飛びセンサ82からの検知信号の出力が停止した区間が、従動ギヤ71の1つの歯を駆動ギヤ70が乗り越えた区間に相当する。すなわち、図13(B)の例では、従動ギヤ71の6つの歯を駆動ギヤ70が乗り越えたことになる。ここで、歯飛びセンサ82からの検知信号の出力が停止された区間には、N(自然数)個のパルス信号がロータリエンコーダ69aから出力されるものとする。
【0065】
そこで、コントローラ100は、スライドモータ69の回転中に歯飛びが発生した場合に、歯飛びセンサ82から検知信号の出力が停止された回数に応じて、ガイドディスク66、67スライド量を補正する。より詳細には、コントローラ100は、図13(B)の場合において、歯飛びセンサ82から検知信号の出力が停止した回数(=6)に、歯飛び1回当たりのパルス信号の数(=N)を乗じた分だけ、さらにスライドモータ69を回転させる。
【0066】
さらに、コントローラ100は、揺動アーム75を離間位置に配置した状態(すなわち、駆動ギヤ70及び従動ギヤ71を離間させた状態)で、画像形成部20から用紙Pが供給される(すなわち、ドラム51及び受け渡し胴25の対向位置に用紙Pの先端が到達した)タイミングで、回転モータ63の回転を開始する。
【0067】
これにより、湾曲搬送路の内周面側において、用紙Pの幅方向の端部(すなわち、余白部分)に、ガイドディスク66、67のガイド面66b、67bが当接した状態で、受け渡し胴25及びガイドディスク66、67が一体回転する。そして、コントローラ100は、ロータリエンコーダ63aから出力されるパルス信号に基づいて、用紙Pを所定の搬送速度で搬送する。また、コントローラ100は、回転センサ78から検知信号が出力された(すなわち、ガイドディスク66、67が1回転して初期位置に戻った)タイミングで、回転モータ63を停止させる。
【0068】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0069】
上記の実施形態によれば、用紙Pの余白部分にガイド面66b、67bを当接させた状態で、受け渡し胴25及びガイドディスク66、67を回転させることによって、用紙Pの画像形成領域に受け渡し胴25を触れさせることなく、用紙Pを適切に搬送することができる。また、用紙Pの湾曲搬送路の内周面のみにガイドディスク66、67を当接させることによって、用紙Pを挟持搬送するのと比較して、用紙Pのスキューやダメージを抑制することができる。
【0070】
また、上記の実施形態によれば、逆向きの雄ネジが形成された第一部分65a及び第二部分65bにガイドディスク66、67を螺合することによって、単一のスライドモータ69の駆動力でガイドディスク66、67を連動してスライドさせることができる。その結果、シンプルな構成でスライド機構64を実現することができる。
【0071】
また、上記の実施形態によれば、揺動アーム75を噛合位置に向けて付勢することによって、スライドモータ69の回転中に歯飛びするのを抑制できる。これにより、用紙Pの余白に対面する位置にガイドディスク66、67を到達させることができる。
【0072】
また、上記の実施形態によれば、歯飛びセンサ82を設けることによって、万一、歯飛びが発生したとしても、ガイドディスク66、67のスライド量を補正することができる。これにより、用紙Pの余白に対面する位置にガイドディスク66、67を正確に到達させることができる。但し、コントローラ100は、歯飛びセンサ82からの検知信号の出力が停止した場合に、スライド量の補正に代えて、スライドモータ69を停止させ、エラーの発生を報知してもよい。
【0073】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0074】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0075】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 湾曲搬送路に沿って搬送される媒体の内周面側で回転する受け渡し胴と、
前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の一方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第一ガイドディスクと、
前記湾曲搬送路の内周面側で前記受け渡し胴と一体回転すると共に、前記媒体の幅方向の他方側の端部に当接する円弧形状のガイド面を有する第二ガイドディスクと、
前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクを、前記媒体の幅方向にスライドさせるスライド機構とを備えることを特徴とする媒体搬送装置である。
<2> 前記スライド機構は、
前記媒体の幅方向に沿って延設されたスクリューシャフトと、
前記スクリューシャフトを回転させる駆動力を発生させるスライドモータと、
前記スライドモータの回転に伴って回転する駆動ギヤと、
前記スクリューシャフトと一体回転する従動ギヤと、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを接離させる接離機構とを備え、
前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクは、前記スクリューシャフトに形成された雄ネジに螺合されて、前記スクリューシャフトの回転に伴って前記媒体の幅方向にスライドし、
前記スクリューシャフトは、
前記第一ガイドディスクが螺合される雄ネジが形成された第一部分と、
前記第二ガイドディスクが螺合され且つ前記第一部分とは逆向きの雄ネジが形成された第二部分とを含むことを特徴とする前記<1>に記載の媒体搬送装置である。
<3> 前記接離機構は、
前記駆動ギヤを回転可能に支持すると共に、前記駆動ギヤを前記従動ギヤから離間させる離間位置、及び前記駆動ギヤを前記従動ギヤに噛合させる噛合位置の間を揺動する揺動アームと、
前記揺動アームを揺動させる駆動力を発生させる揺動モータと、
前記揺動アームを前記噛合位置に向けて付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする前記<2>に記載の媒体搬送装置である。
<4> 前記接離機構は、
発光部から出力された光を受光部で受光しないときに検知信号を出力し、前記発光部から出力された光を前記受光部で受光したときに前記検知信号の出力を停止する光学センサと、
前記揺動アームが前記噛合位置のときに前記発光部及び前記受光部の間の光路を遮断し、前記従動ギヤの歯の高さ以上に前記揺動アームが前記噛合位置から前記離間位置に向けて移動したときに前記光路から外れるフィラーとを備えることを特徴とする前記<3>に記載の媒体搬送装置である。
<5> 前記スライド機構による前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクのスライドを制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記スライドモータの回転中において、前記光学センサから前記検知信号の出力が停止された回数に応じて、前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクのスライド量を補正することを特徴とする前記<4>に記載の媒体搬送装置である。
<6> 前記受け渡し胴、前記第一ガイドディスク、及び前記第二ガイドディスクを一体回転させる駆動力を発生させる回転モータと、
前記スライドモータ、前記接離機構、及び前記回転モータを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記受け渡し胴の回転を規制し且つ前記接離機構によって前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを噛合させた状態で、前記スライドモータを駆動させることによって、前記第一ガイドディスク及び前記第二ガイドディスクをスライドさせ、
前記接離機構によって前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを離間させた状態で、前記回転モータを駆動させることによって、前記受け渡し胴、前記第一ガイドディスク、及び前記第二ガイドディスクを一体回転させることを特徴とする前記<2>乃至前記<4>のいずれか1つに記載の媒体搬送装置である。
<7> 媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された前記媒体を搬送する前記<1>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体搬送装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0076】
1 :インクジェット記録装置(画像形成装置)
10 :搬入部
11 :搬入トレイ
12 :給送装置
13 :レジストローラ対
20 :画像形成部
21 :シート搬送装置
22 :液体吐出部
23 :吐出ユニット
24 :受け取り胴
25 :受け渡し胴(媒体搬送装置)
30 :乾燥部
31 :乾燥機構部
32 :吸引搬送機構部
40 :排出部
41 :排出トレイ
51 :ドラム
52 :吸引装置
61,62 :支持部
66a,67a :雌ネジ部
63 :回転モータ
63a,69a,76a :ロータリエンコーダ
64 :スライド機構
65 :スクリューシャフト
65a :第一部分
65b :第二部分
66,67 :ガイドディスク
68a,68c :ガイドシャフト
69 :スライドモータ
70 :駆動ギヤ
71 :従動ギヤ
72 :接離機構
73 :ベースプレート
74 :揺動軸
75 :揺動アーム
76 :揺動モータ
77 :コイルバネ
78 :回転センサ
79 :スライドセンサ
80 :揺動センサ
81 :フィラー
82 :歯飛びセンサ
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2001-310837号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13