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特開2024-166601アルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法
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  • 特開-アルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法 図1
  • 特開-アルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166601
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】アルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/52 20060101AFI20241122BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G01N33/52 B
G01N21/78 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082800
(22)【出願日】2023-05-19
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】油屋 吉宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】松野 忠宏
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045BB36
2G045DA38
2G045FB17
2G045GC12
(57)【要約】
【課題】測定時の湿度の影響を受けないアルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法を提供すること。
【解決手段】
支持体と、支持体上に設けられた試薬保持層とを含む、アルブミン測定用試験片であって、試薬保持層は、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、非イオン性界面活性剤、及び、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む、アルブミン測定用試験片。
【化1】
式中、R~Rは、明細書に定義した意味を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に設けられた試薬保持層とを含む、アルブミン測定用試験片であって、前記試薬保持層は、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、非イオン性界面活性剤、及び、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む、アルブミン測定用試験片。
【化1】
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つは水素原子を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にアルキル基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい。
【請求項2】
、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよく、
、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい、請求項1に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項3】
前記アルキル基がメチル基である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項4】
前記ハロゲンが臭素である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項5】
及びRが水素であり、R及びRがヒドロキシ基であり、R及びRの一方が臭素であり、他方がメチル基であり、R及びRの一方がメチル基であり、他方が臭素である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項6】
式(1)で表される化合物の含有量が、ブロモクレゾールパープルの含有量の0.8質量%以上25質量%以下である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項7】
タンパク質変性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項8】
SH試薬が、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のアルブミン測定用試験片に、アルブミン含有試料を点着し、試薬保持層における発色を測定することを含む、アルブミンの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロモクレゾールパープルを用いた、アルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血清アルブミン測定用試験片として、ブロモクレゾールグリーン法(BCG法)を用いた試験片が普及している。BCG法は、グロブリンの影響を受けグロブリンの存在で発色するため、グロブリンの影響を受けずアルブミンとの特異性が高いブロモクレゾールパープル法(BCP法)を用いた試験片が望まれている。
【0003】
BCP法を用いたアルブミン試験片として特許文献1で示される試験片が開示されているが、BCP法は血清中の共存物質の影響を受けやすい弊害が知られている。一方、血清アルブミン測定試薬として、血清中の共存物質の影響を受けないBCP測定試薬を用いて溶液法によりアルブミンを測定することが特許文献2に開示されている。さらに、血清中の共存物質の影響を受けやすい弊害を克服する試験片としては、蛋白変性剤、SH試薬を含ませることで還元型アルブミンを酸化型アルブミンに変化させたのち、BCPと反応させる試験片が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-270249号公報
【特許文献2】特開平10-232233号公報
【特許文献3】特開2022-085876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような試験片は血清中の共存物質の影響を受けにくい試験片として有用であるが、このような試験片は、様々な温度湿度範囲で測定されることが想定されるため、試験片の環境温度湿度による測定値に与える影響や、測定前に一時的に維持する環境温度湿度から受ける測定値への影響は可能な限り小さく抑えることが望まれる。しかしながら、ブロモクレゾールパープル(以下、BCPとも表示する)と反応させる試験片を用いてアルブミンを測定する場合において、測定前に一時的に維持される環境温度湿度で測定値が影響を受けること、特に環境湿度の影響を受けることがわかり、環境温度湿度の影響を受けない、BCPと反応させるアルブミン試験片を作製することが課題である。即ち、本発明は、測定時の湿度の影響を受けないアルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題の解決のための検討の中で、BCP粉末のロット違いによりアルブミンの試験片の環境温度湿度による影響、特に環境湿度による影響を受ける程度が異なることがわかり、更に鋭意検討を続けた結果、下記の式(1)に示す化合物を有するアルブミン測定用試験片において、環境湿度の影響を受け難くなることを見出した。本発明は上記の知見に基づいて完成したものである。本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0007】
<1> 支持体と、支持体上に設けられた試薬保持層とを含む、アルブミン測定用試験片であって、試薬保持層は、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、非イオン性界面活性剤、及び、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む、アルブミン測定用試験片。
【化1】
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つは水素原子を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にアルキル基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい。
<2> R、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよく、
、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい、<1>に記載のアルブミン測定用試験片。
<3> 上記アルキル基がメチル基である、<1>又は<2>に記載のアルブミン測定用試験片。
<4> 上記ハロゲンが臭素である、<1>~<3>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<5> R及びRが水素であり、R及びRがヒドロキシ基であり、R及びRの一方が臭素であり、他方がメチル基であり、R及びRの一方がメチル基であり、他方が臭素である、<1>~<4>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<6> 式(1)で表される化合物の含有量が、ブロモクレゾールパープルの含有量の0.8質量%以上25質量%以下である、<1>~<5>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<7> タンパク質変性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、<1>~<6>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<8> SH試薬が、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)である、<1>~<7>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<9> 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤である、<1>~<8>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片。
<10> <1>~<9>の何れか一に記載のアルブミン測定用試験片に、アルブミン含有試料を点着し、試薬保持層における発色を測定することを含む、アルブミンの測定方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアルブミン測定用試験片及びアルブミンの測定方法によれば、測定前の環境温度湿度、特に湿度による影響を小さく抑えられ、正確なアルブミンの測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、分離した化合物1、2、3の混合物のHPLCクロマトグラム(254nm)を示す。
図2図2は、分離した化合物1、2、3の混合物の1H-NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「~」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0011】
本発明は、支持体と、支持体上に設けられた試薬保持層とを含む、アルブミン測定試験片であって、試薬保持層は、タンパク質変性剤、SH試薬、BCP、非イオン性界面活性剤、及び、式(1)で表される化合物とを含むアルブミン測定用試験片である。
【0012】
【化2】
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つは水素原子を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にアルキル基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの2つはそれぞれ独立にハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい。
【0013】
好ましくは、
、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよく、
、R、R、及びRのうちの1つは水素原子を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはアルキル基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはヒドロキシ基を示し、R、R、R、及びRのうちの1つはハロゲンを表し、これらは置換基を有していてもよい。
【0014】
本明細書における置換基としては、ハロゲン、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシル基などを挙げることができるが、特に限定されない。
【0015】
本明細書におけるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1から6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1から4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
本明細書におけるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素が挙げられ、好ましくは臭素である。
【0016】
より好ましくは、R及びRが水素であり、R及びRがヒドロキシ基であり、R及びRの一方が臭素であり、他方がメチル基であり、R及びRの一方がメチル基であり、他方が臭素である。
【0017】
式(1)で表される化合物としては、具体的には、以下の構造を有する化合物がさらに好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】
これらの化合物は、BCP粉末に含まれる合成副生成物と予想される化合物であり、BCP粉末を解析し、以下の情報をもとに構造を特定し、分画して回収することにより得ることができる。
【0020】
構造の特定方法は、一般に行われている方法で行うことができる。具体的には、BCP粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分画し、BCP以外の画分に対して、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)、1H-NMR等で構造を特定することが可能である。
【0021】
式(1)で表される化合物の使用量に関しては、本発明の効果が発揮できる範囲においては特に制限はないが、BCP量に対して0.4質量%以上含有することが好ましく、0.8質量%以上含有することがより好ましく、1質量%以上含有することが更に好ましく、2質量%以上含有することが特に好ましく、3質量%以上含まれることが最も好ましい。また、使用量の上限としては、BCP量に対して、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、12質量%以下が最も好ましい。
【0022】
式(1)で表される化合物は、市販されているBCPの購入物から精製して入手することが可能である。また、有機合成により合成したものを使用することも可能である。さらには、式(1)で表される化合物が、本発明の効果を発揮する程度に含まれているBCPの購入物をそのまま使用することも可能である。
【0023】
本発明における試薬保持層は、BCPと式(1)で表される化合物以外には、タンパク質変性剤、SH試薬、及び非イオン性界面活性剤を含有する。
【0024】
タンパク質変性剤としては、陰イオン性界面活性剤が好ましい。陰イオン性界面活性剤しては、一又は複数の実施形態において、アルキル硫酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。アルキル硫酸エステル系界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、ドデシル硫酸ナトリム(SDS)及びセチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、一又は複数の実施形態において、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びセチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でドデシル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
試薬保持層におけるタンパク質変性剤の使用量としては、0.075g/m2~7.5g/mが好ましい。
【0026】
SH試薬としては、例えば5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(5,5’-Dithiobis(2-nitrobenzoic Acid):DTNB)、2,2’-ジチオビス(5-ニトロピリジン)(2,2’-dithiobis(5-nitropyridin):DTNP)、2,2’-ジチオジピリジン(2,2’-Dithiodipyridine:2-PDS)、4,4’-ジチオジピリジン(4,4’-dithiodipyridine:4-PDS)、4,4’-ジチオビス(1-アジドベンゼン)(4,4’-Dithiobis-(phenylazide):DTBPA)、酸化型グルタチオン等のジスルフィド体、例えばヨウ素、フェリシアン化物、ヨードソ安息香酸、ヨウ素酸塩、亜塩素酸塩類、水銀、亜鉛等の酸化剤、例えばヨード酢酸、クロロ酢酸、ヨードアセトアミド、クロロアセトフェノン等のアルキル化剤、マレイミド、例えばN-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N,N’-p-フェニレンジマレイミド等のマレイミド誘導体、チオフタルイミド等が挙げられる。これらの中でも特に例えばDTNB、2-PDS、4-PDS等のジスルフィド体、マレイミド、N-エチルマレイミド等のマレイミド誘導体等が好ましく用いられる。SH試薬としては、DTNBが特に好ましい。また、これらは単独で用いても、適宜組み合わせて用いてもよい。
試薬保持層におけるSH試薬の使用量としては、0.01g/m~1g/mが好ましい。
【0027】
ブロモクレゾールパープル(BCP)としては、通常市販されているものを使用することができる。BCPは、アルブミン測定のための発色剤として使用される。
本発明においては、試薬保持層におけるブロモクレゾールパープルの含有量が0.78g/m~3.81g/mであり、好ましくは0.78g/m~2.21g/mである。
【0028】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤が好ましい。より好ましくは、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンtert-オクチルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテルからなる群から選択される1以上の非イオン性界面活性剤を使用することができる。
【0029】
ポリオキシエチレンオレイルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35)、ポリオキシエチレン(50)オレイルエーテルなどが挙げられる。
【0030】
非イオン性界面活性剤としては、Triton X-100、Tween20、Tween80、Triton X-405、エマルゲン108、エマルゲン120、エマルゲン150、又はエマルゲン430などを使用することもできる。
【0031】
アルブミン測定用試験片における非イオン性界面活性剤の塗設量は、0.01g/m~0.4g/mであることが好ましい。
【0032】
本発明においては、ブロモクレゾールパープルの含有量に対する非イオン性界面活性剤の含有量の比率が、0.01~0.3であり、好ましくは0.01~0.2である。
【0033】
本発明のアルブミン測定用試験片は、支持体と、上記支持体上に設けられた試薬保持層を含む。
好ましくは、本発明のアルブミン測定用試験片は、支持体と試薬保持層との間に、中間層をさらに含む。この場合、本発明のアルブミン測定用試験片は、支持体、中間層及び試薬保持層を含む。
【0034】
より好ましくは、本発明のアルブミン測定用試験片は、支持体;中間層;及び試薬保持層を含む展開層を含む。
【0035】
中間層は、好ましくは、水を吸収して膨潤する水溶性ポリマーを主成分として構成される層(吸水層)である。
展開層は、アルブミン測定用試験片の上側表面に点着供給された水性液体試料を、水性液体試料中に含有されている成分を実質的に偏在させることなしに横方向に広げ、単位面積当たりほぼ一定容量の割合で吸水性の水溶性ポリマーを含む中間層に供給する作用(メータリング作用)を有する層である。
【0036】
また、支持体とその上に設ける層との間、並びに支持体の上に設けられる各層の間には、接着層などの層を設けることもできる。
【0037】
また、上記した中間層及び展開層はそれぞれ別個の層として設けてもよいが、同一の層に上記した2以上の機能を同時に持たせることにより、一つの層として設けることもできる。即ち、中間層と展開層は、同一の層として設けてもよい。
【0038】
支持体としては、水不透過性支持体が好ましい。水不透過性支持体の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフエノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等)等のポリマーが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。支持体としては、厚さ約50μmから約1mm、好ましくは約80μmから約300μmの範囲の透明な、例えば、波長約200nmから約900nmの範囲内の少なくとも一部の範囲の波長の電磁輻射線を透過させる、平滑平面状の支持体を用いることができる。支持体の表面には公知の下塗層又は接着層を設けて中間層との接着を強くすることができる。
【0039】
中間層は、好ましくは、水に接触して膨潤し水を吸収できる水溶性ポリマーを含有する層である。中間層は分析操作時に展開層に点着された水性液体試料中の水がこの層の上側表面に到達した時に、展開層での水性液体試料の展開を良好にする作用を有している。
【0040】
中間層における水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは10~100g/mであり、より好ましくは20~70g/mである。
【0041】
中間層に用いられる水溶性ポリマーは、好ましくは、水との接触時に膨潤して吸水する性質を有する非蛋白性の水溶性ポリマーである。非蛋白性の水溶性ポリマーの例として、ポリアクリルアミド、アガロース、特開昭57-50660、特開昭58-77664等に記載のアクリルアミド-N-ビニルピロリドンコポリマー等のアクリルアミド系コポリマー、特開昭62-137564に記載のメタリルアルコールとアクリルアミド又はその誘導体、アクリル酸又はその誘導体、メタクリル酸又はその誘導体、又はN-ビニル-2-ピロリドンとの2元又は3元コポリマー等のメタリルアルコール系コポリマー(メタリルアルコール系コポリマーは架橋硬化可能である。例えば、アクリルアミド-N-ビニル-2-ピロリドン-メタリルアルコール3元コポリマー)等がある。
【0042】
これらの非蛋白性水溶性ポリマーのうちでは、アクリルアミド-N-ビニルピロリドンコポリマー等のアクリルアミド系コポリマー、又はアクリルアミド-N-ビニル-2-ピロリドン-メタリルアルコール3元コポリマー等のメタリルアルコール含有コポリマーが好ましい。
【0043】
中間層には、BCPの能力に悪影響を及ぼさない諸種の成分を含有させることができる。その例として非イオン性界面活性剤がある。非イオン性界面活性剤の具体例として、試薬保持層に含有させることができる界面活性剤と同様のものがある。非イオン性界面活性剤を中間層に含有させることにより分析操作時に水性液体試料中の水が中間層に実質的に一様に吸収されやすくなり、また展開層との液体接触が迅速にかつ実質的に一様になる。また、中間層には後述する緩衝剤を含有させることができる。
【0044】
中間層には架橋剤(硬化剤又は硬膜剤ともいわれる)を含有させることができる。架橋剤としては、有機ポリマー化学分野で周知の諸種の無機及び有機架橋剤を用いることができる。ポリビニルアルコール用の有機架橋剤の例としてジメチル尿素、メタリルアルコール含有ポリマー用の有機架橋剤の例としてホルムアルデヒドがある。架橋剤の中間層中での含有量は、架橋硬化させる中間層の被覆量と硬化の程度に応じて選択しうるが、一般的に被覆量で約50mg/m~約5000mg/m、好ましくは約100mg/m~約2000mg/mの範囲である。
【0045】
展開層としては、例えば、特開昭55-164356、特開昭57-66359等に記載の織物展開層(例えば、ブロード、ポプリン等の平織物)、特開昭60-222769等に記載の編み物展開層(例えば、トリコット編み物布地、ダブルトリコット編み物布地、ミラニーズ編み物布地等)、特開昭57-148250に記載の有機ポリマー繊維パルプ含有抄造紙からなる展開層、特公昭53-21677、米国特許第3,992,158等に記載のメンブランフィルタ(ブラッシュポリマー層)、ポリマーミクロビーズ、ガラスミクロビーズ、珪藻土が水溶性ポリマーバインダーに保持されてなる連続微空隙含有多孔性層等の非繊維等方的多孔性展開層、特開昭55-90859に記載のポリマーミクロビーズが水で膨潤しないポリマー接着剤で点接触状に接着されてなる連続微空隙含有多孔性層(三次元格子状粒状構造物層)からなる非繊維等方的多孔性展開層等を用いることができる。展開層としては、編み物展開層(例えば、トリコット編み物布地、ダブルトリコット編み物布地、ミラニーズ編み物布地等)が好ましい。
【0046】
展開層には、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、非イオン性界面活性剤、及び式(1)で表される化合物を含む試薬保持層が含まれている。試薬保持層には、さらに、pH調整剤、及び水溶性ポリマーを含めることができる。
【0047】
試薬保持層に含めることができる水溶性ポリマーとしては、アクリル系(ポリアクリルアミドなど)、セルロース系(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど)などが挙げられる。水溶性ポリマーとしては、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン等を使用することができる。
【0048】
試薬保持層における水溶性ポリマーの被覆量は約0.1g/mから約30g/m、好ましくは約0.5g/mから約20g/mの範囲である。
【0049】
試薬保持層の液pHは、好ましくは4.5~5.8であり、より好ましくは4.6~5.7であり、さらに好ましくは4.7~5.6である。アルブミンとブロモクレゾールパープルとの反応は、pHが7に近づく方が反応量が増えるが、ブロモクレゾールパープル体の呈色(バックグラウンド)も増加するため、上記の範囲が好ましいと考えられる。試薬保持層の液pHとは、試薬保持層を形成するために使用する塗布液のpHを意味する。
試薬保持層のpHを上記した範囲のpHに調整するpH調整剤としては、コハク酸、コハク酸二ナトリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、コハク酸がより好ましい。
【0050】
中間層及び展開層には、緩衝剤を含有させることができる。
【0051】
緩衝剤としてはヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種の有機酸が用いられる。ヒドロキシカルボン酸の例としては、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸がある。ジカルボン酸の例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、3,3-ジメチルグルタル酸がある。上記の中でもコハク酸が好ましい。
【0052】
緩衝剤の含有量は、1m当り約30ミリ当量から約500ミリ当量、好ましくは約50ミリ当量から約300ミリ当量の範囲である。緩衝剤は他の試薬と一緒に水溶性ポリマー中に分散させ、中間層、試薬保持層及び展開層のうちの一以上の層に分散保持させることが好ましい。
【0053】
展開層に試薬保持層を含有させる方法としては、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、及び非イオン性界面活性剤を含む、水溶液、水-有機溶媒混合溶媒溶液又は有機溶媒溶液(有機溶媒の例:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のジアルキルケトン;ジメチルエーテル等のジアルキルエーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の脂肪族環状エーテル;アセトニトリル;ヘキサン;β-メトキシエタノール;エチレングリコール等)を公知の方法により実質的に一様に展開層の上から塗布又は噴霧し乾燥する方法、並びに、タンパク質変性剤、SH試薬、ブロモクレゾールパープル、及び非イオン性界面活性剤を含む溶液に展開層用の素材を浸漬し乾燥又は半乾燥状態で中間層(水溶性ポリマーバインダー層)の上に積層し一体化する方法等がある。
【0054】
本発明のアルブミン測定用試験片は、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、支持体上に、中間層塗布液として調合した塗布液を塗布して乾燥し、40μm厚程度の乾燥膜を作製し、その後、展開層の織布を貼合したものを作製する。その後、展開層の織布側から、試薬保持層液として調合した塗布液を塗布して乾燥することによってアルブミン測定用試験片を作製することができる。アルブミン測定用試験片は一辺約15mmから約30mmの正方形又はほぼ同サイズの同形等の小片に裁断し、特公昭57-28331、実開昭56-142454、特開昭57-63452、実開昭58-32350、特表昭58-501144等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが、製造、包装、輸送、保存、測定操作等諸種の観点から好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセット又はマガジンに収めて用いること、又は小片を開口のあるカードに貼付又は収めて用いることなどもできる。
【0055】
本発明によれば、本発明のアルブミン測定用試験片に、アルブミン含有試料を点着し、試薬保持層における発色を測定することを含む、アルブミンの測定方法が提供される。
【0056】
例えば、約5μLから約30μL、好ましくは約8μLから約15μLの範囲の全血、血漿、血清、リンパ液、尿等の水性液体試料を展開層に点着し、約20℃から約40℃の範囲の実質的に一定の温度で、好ましくは37℃近傍の実質的に一定の温度で約1分から約10分、好ましくは約2分から約7分の範囲でインキュベーションし、支持体側から、アルブミン測定用試験片内の色変化、発色などの検出可能な変化を反射測光し、比色測定法の原理により液体試料中のアルブミンの含有量を求めることができる。本発明においては、アルブミン-BCP結合の吸収極大波長又はその近傍の波長の光を用いて展開層の光学濃度を反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により液体試料中のアルブミン含有量を求めることができる。点着する水性液体試料の量、インキュベーション時間と温度を一定にすることによりアルブミンの定量分析を高精度で実施できる。測定操作は特開昭60-125543、特開昭60-220862、特開昭61-294367、特開昭58-161867等に記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。
【0057】
次に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例0058】
<参考例1>
ゼラチン下塗りされている180μmのポリエチレンテレフタレート無色透明平滑フィルムに下記組成の水溶液を塗布し乾燥した。
(中間層)
ポリマーAAm-VP-MAOH 44.0g/m
コハク酸 3g/m
【0059】
水溶液のpHは5.0とした。
ポリマーAAm-VP-MAOHは、ポリアクリルアミド-N-ビニル-2-ピロリドン-メタリルアルコール3元コポリマー(モノマーモル比57:38:5(富士フイルム(株)社製))を示す(以下、同様)。
【0060】
次に上記フィルム上に約30g/mの供給量で水を全面に供給して湿潤させた後50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。
【0061】
次に下記組成のエタノール(30質量%)水溶液(pH4.7)を各々の成分が下記の量となるように塗布し乾燥させ、一体型多層分析要素を作製した。
【0062】
(試薬保持層)
コハク酸 3.5g/m
ポリビニルピロリドン 8g/m
BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA) 1.7g/m
界面活性剤Briji35 0.3g/m
蛋白質変性剤(成分A)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS) 0.76g/m
SH試薬(成分B)5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)0.1g/m
【0063】
ここで、界面活性剤は非イオン性の界面活性剤であるポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35 富士フイルム和光純薬(株)社製)を用いた。試薬保持層を形成するために使用する塗布液のpHが4.8となるようにコハク酸で調整した。
【0064】
上記の一体型多層分析要素を12mm×13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57-63452号公報に記載)に収めて、本発明によるアルブミン測定用試験片1(参考例1)を作製し、低湿(20%RH)環境で防湿袋に密閉した。
【0065】
<参考例2>
参考例1で作製したアルブミン測定用試験片1において、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)を、BCP(東京化成工業(株)社製、ロットB)に変更した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片2(参考例2)を作製し、低湿(20%RH)環境で防湿袋に密閉した。
【0066】
<アルブミン量の評価>
アルブミン(ALB)4g/dLを含む検査液を作成し、参考例1及び参考例2で作製したアルブミン試験片1及びアルブミン試験片2を防湿袋から取り出した後、直ぐに、検査液を試験片に10μL点着して富士ドライケム7000(富士フイルム株式会社製)を用いてアルブミン量を測定した。測定結果は、3回繰り返し測定した時の平均値で評価した。
【0067】
<環境依存性の評価>
アルブミン量の評価を行う過程で、アルブミン試験片1、2を防湿袋から取り出した後、32℃80%RHの環境下で1時間保存した後に、同様にして、アルブミン量を測定し、環境依存性を評価した。結果は、防湿袋から取り出した後直ぐに評価したときのアルブミンの値に対する、32℃80%RHの環境下で1時間保存した後に評価した値の割合として、変化の度合いを示した。結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1より、BCPのロット違いで、測定前の環境温度湿度に影響の受けやすさが異なることが分かった。
【0070】
(BCP純度の測定)
参考例1及び参考例2で使用したBCPの純度を解析した。解析はHPLCを用いて行った。
【0071】
その結果、参考例1で使用した測定前の環境温度湿度に対して影響が少ないBCPの純度(BCP粉末全体に対するBCP量)は90%であり、参考例2で使用した測定前の環境温度湿度に対して影響が大きいBCPの純度は97%であり、測定前の環境温度湿度に影響を受けにくいBCPの純度が低いことが分かった。
【0072】
(BCPに含まれるBCP以外の化合物の特定)
参考例1及び参考例2で用いたBCP粉末をエタノールに十分に溶解し、0.45μmフィルターで1回ろ過することで測定試料を得た。測定試料は、等量の水で希釈したのち、測定に用いることもできる。HPLC測定条件は以下の通りとした。
【0073】
分析装置:Agilent HP1100series (アジレント・テクノロジー社製)
逆相カラム:Tskgel ODS 100V(東ソー株式会社製)粒子径3μm、内径2.0mm×長さ150mm
溶離液:A液:10mmol/L酢酸アンモニウムを含む水 B液:10mmol/L酢酸アンモニウムを含むアセトニトリル/水=95/5(体積%)
0min(A液:B液=10:90)から30min(A液:B液=0:100)まで直線濃度勾配
カラム温度:40℃
流速:0.2mL/min
注入量:2μL
検出器UV:254nm
【0074】
下記に示すように、HPLCの3つのピークが示すBCP以外の化合物を特定したところ、参考例1において以下の化合物4つのうち3つ(以下、化合物1、2、3と称する)が、混入していることが分かった。
【0075】
【化4】
【0076】
混入物の構造式の同定はESI-MSと1H-NMRの情報により特定した。
【0077】
BCPと分離した混入物をエタノールに溶解し、等量の水で希釈したのち、0.45μmフィルターで1回ろ過することで測定試料を得た。HPLC測定条件は、前述のHPLCの測定で記載した条件と同様であり、検出はESI-MS(陽イオンモード及び負イオンモード)にて行った。
【0078】
分離した化合物1、2、3の混合物のHPLCクロマトグラム(254nm)を図1に示した。分子式はいずれもC2114BrSであった。
MS:m/z 552.896([M+H])、m/z 550.881([M-H]
【0079】
分離した化合物1、2、3の混合物を重DMSOに溶解し、5mm径のNMRチューブに移した。チューブにキャップをし、パラフィルムを巻いて、1H-NMR測定に用いた。
装置は、400MHzの核磁気共鳴装置を使用した。
1H-NMRスペクトルを図2に示した。
【0080】
参考例1に関し、上記の3つの化合物が含有する割合を算出したところ、BCPに対して、5.8質量%の割合で含有していることが分かった。参考例2に関しては、上記の3つの化合物のHPLC情報は得られなかった。
【0081】
(純粋なBCPと、混入物の回収)
BCP粉末に非アルコール系溶媒を添加し、BCPを溶解させた。その後、遠心分離して赤色の混入物を沈殿物として得た。上澄みを除去したのち、再度非アルコール系溶媒を添加し超音波処理にて沈殿物を分散させ、遠心分離後に上清を除去する操作を繰り返すことで化合物1、2、3の混合物を得た。これらをエタノールに溶解し、バイヤルビンに移したのち窒素パージにより溶媒を留去した。
【0082】
このようにして、化合物1、2及び3(98%以上の純度)が混合した粉末を取得した。
【0083】
(実施例1)
参考例1で、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)の代わりに、別途化合物1,2,3の量を特定したBCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットC(BCPの純度97.1%:化合物1、2、3は0.1%))を使用した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片3(実施例1)を作製した。
【0084】
(実施例2)
参考例1で、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)の代わりに、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットC(BCPの純度97.1%:化合物1、2、3は0.1%))と、このBCP(ロットC)に対して0.4質量%の化合物1、2、3の混合物を使用した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片4(実施例2)を作製した。
【0085】
(実施例3)
参考例1で、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)の代わりに、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットC(BCPの純度97.1%:化合物1、2、3は0.1%))と、このBCP(ロットC)に対して1質量%の化合物1、2、3の混合物を使用した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片5(実施例3)を作製した。
【0086】
(実施例4)
参考例1で、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)の代わりに、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットC(BCPの純度97.1%:化合物1、2、3は0.1%))と、このBCP(ロットC)に対して5質量%の化合物1、2、3の混合物を使用した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片6(実施例4)を作製した。
【0087】
(実施例5)
参考例1で、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットA)の代わりに、BCP(富士フイルム和光純薬社製、ロットC(BCPの純度97.1%:化合物1、2、3は0.1%))と、このBCP(ロットC)に対して10質量%の化合物1、2、3の混合物を使用した以外は同様にして、アルブミン測定用試験片7(実施例5)を作製した。
【0088】
(環境依存性の評価)
参考例と同様にして、環境依存性の評価を行った。結果は表2に示した
【0089】
【表2】
【0090】
表2より、式(1)で表される化合物を用いることで、測定前の環境温度湿度に影響の受けにくいアルブミン試験片を作製できることが確認された。
図1
図2