IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特開-定温液体供給装置 図1
  • 特開-定温液体供給装置 図2
  • 特開-定温液体供給装置 図3
  • 特開-定温液体供給装置 図4
  • 特開-定温液体供給装置 図5
  • 特開-定温液体供給装置 図6
  • 特開-定温液体供給装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166781
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】定温液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/14 20060101AFI20241122BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20241122BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20241122BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20241122BHJP
   F24H 1/10 20220101ALI20241122BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B23Q11/14
B23Q11/10 E
B24B55/02 Z
B24B49/14
F24H1/10 C
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083117
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 正臣
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
3L034
5F057
【Fターム(参考)】
3C011EE08
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB87
3C034CA19
3C034CB20
3C034DD07
3C034DD10
3C047FF04
3C047FF17
3C047GG00
3L034BA12
5F057AA39
5F057BA11
5F057CA14
5F057DA11
5F057DA35
5F057FA42
5F057GA04
(57)【要約】
【課題】ヒーターの追加を容易に施せることができる定温液体供給装置を提供すること。
【解決手段】定温液体供給装置1は、液体供給源2からの液体8を定温に調整して加工装置100へ供給する装置であって、液体供給源2からの液体8を流入させる入口4と、加工装置100に液体8を流出させる出口5と、入口4と出口5とを連通する連通路10と、連通路10に配設され、液体8を加温して温度を調整する加温ユニット20と、を備え、加温ユニット20は、液体8を加温する第1ヒーター30と、第1ヒーター30および増設する第2ヒーター39を着脱自在に内蔵する空間25を有するヒーターケース21と、を有し、第1ヒーター30のみでは液体8を加温する能力が足りない際、ヒーターケース21の空間25に第2ヒーター39を容易に増設可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置であって、
該液体供給源からの液体を流入させる入口と、
該加工装置に液体を流出させる出口と、
該入口と該出口とを連通する連通路と、
該連通路に配設され、液体を加温して温度を調整する加温ユニットと、を備え、
該加温ユニットは、
液体を加温する第1ヒーターと、
該第1ヒーターおよび増設する第2ヒーターを着脱自在に内蔵する空間を有するヒーターケースと、を有し、
該第1ヒーターのみでは液体を加温する能力が足りない際、該ヒーターケースの該空間に該第2ヒーターを容易に増設可能であることを特徴とする定温液体供給装置。
【請求項2】
該ヒーターケースは、第1の底壁と、該第1の底壁と対向する第2の底壁と、側壁と、を有して該空間を画成し、
該第1ヒーターは、該空間内に該第1の底壁に連結して配設され、
該第2ヒーターは、該空間内に該第2の底壁に連結して配設されて該第1ヒーターと対向することを特徴とする請求項1に記載の定温液体供給装置。
【請求項3】
該第1の底壁は、該第2の底壁よりも下方に位置することを特徴とする請求項2に記載の定温液体供給装置。
【請求項4】
該ヒーターケースは、該側壁の該第1の底壁側に設けられた液体の流入口と、該側壁の該第2の底壁側に設けられた液体の流出口と、を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の定温液体供給装置。
【請求項5】
該加温ユニットの下流側の該連通路に配設され、液体の温度を測定する温度計をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の定温液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に研削装置や切削装置等の加工装置では、加工水やスピンドルの冷却水等の水温が一定温度に管理されている。一定温度の加工水や冷却水の供給によって、機械部品の熱膨張及び熱収縮による加工精度の悪化や、スピンドルのかじり等のように部品同士の接触によって装置自体を損傷させることを防止している。
【0003】
従来、加工装置に供給される水を一定温度に保つ定温水供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1等に示された定温水供給装置は、工場設備等から供給される水をタンクに貯水し、タンク内の水をポンプで加工装置に送水する流路の途中で温度調整手段によって一定温度に調整して加工装置に水を供給する。温度調整手段は、冷却ユニットと加温ユニットとで形成されている。
【0005】
加温ユニットは、水を加温するためのヒーターと、ヒーターを内蔵し内部を水が流れるヒーターケースと、で構成され、通常、1つのヒーターケース内に1つのヒーターを内蔵する。定温水供給装置における加温能力として、1つのヒーターの容量では目標の仕様を満たさない場合、追加のヒーターを内蔵した新たなヒーターケースを加温ユニットに追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-150901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、新たなヒーターケースを流路内の加温ユニットに追加する際、新たにヒーターケースを設置するためのスペースを準備しなければならず、追加の際には、流路内の水抜き作業やヒーターケース同士を繋ぐ流路の増設などの手間がかかり、作業者にとって煩わしいという問題があった。
【0008】
そのため、加工装置へ定温の液体を供給する定温液体供給装置において、加温ユニットとしてのヒーターの追加を容易に施せる定温液体供給装置が提供されるべきという課題がある。
【0009】
本発明の目的は、ヒーターの追加を容易に施せることができる定温液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の定温液体供給装置は、液体供給源からの液体を定温に調整して加工装置へ供給する定温液体供給装置であって、該液体供給源からの液体を流入させる入口と、該加工装置に液体を流出させる出口と、該入口と該出口とを連通する連通路と、該連通路に配設され、液体を加温して温度を調整する加温ユニットと、を備え、該加温ユニットは、液体を加温する第1ヒーターと、該第1ヒーターおよび増設する第2ヒーターを着脱自在に内蔵する空間を有するヒーターケースと、を有し、該第1ヒーターのみでは液体を加温する能力が足りない際、該ヒーターケースの該空間に該第2ヒーターを容易に増設可能であることを特徴とする。
【0011】
前記定温液体供給装置において、該ヒーターケースは、第1の底壁と、該第1の底壁と対向する第2の底壁と、側壁と、を有して該空間を画成し、該第1ヒーターは、該空間内に該第1の底壁に連結して配設され、該第2ヒーターは、該空間内に該第2の底壁に連結して配設されて該第1ヒーターと対向しても良い。
【0012】
前記定温液体供給装置において、該第1の底壁は、該第2の底壁よりも下方に位置しても良い。
【0013】
前記定温液体供給装置において、該ヒーターケースは、該側壁の該第1の底壁側に設けられた液体の流入口と、該側壁の該第2の底壁側に設けられた液体の流出口と、を有しても良い。
【0014】
前記定温液体供給装置において、該加温ユニットの下流側の該連通路に配設され、液体の温度を測定する温度計をさらに備えても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ヒーターの追加を容易に施せることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態1に係る定温液体供給装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、図1に示された定温液体供給装置が用いられる加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1に示された定温液体供給装置の加温ユニットの構成を模式的に一部断面で示す側面図である。
図4図4は、図3に示された加温ユニットの第1ヒーター及び第2ヒーターの構成を模式的に一部断面で示す側面図である。
図5図5は、図1に示された定温液体供給装置の加温ユニットに第2のヒーターが取り付けられた状態を模式的に示すブロック図である。
図6図6は、実施形態1の変形例に係る定温液体供給装置のヒーターケースの構成を模式的に示す断面図である。
図7図7は、図6に示されたヒーターケースに第1ヒーター及び第2ヒーターを取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0018】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る定温液体供給装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る定温液体供給装置の構成例を模式的に示すブロック図である。図2は、図1に示された定温液体供給装置が用いられる加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【0019】
(加工装置)
実施形態1に係る図1に示す定温液体供給装置1は、定温の液体8を図2に示す加工装置100へ供給する装置である。なお、定温液体供給装置1が供給する定温の液体8は、図2に示す加工装置100が被加工物を加工する際に、被加工物等に供給する液体8であって、実施形態1では、純水であり、スピンドル等の冷却に用いられるものではない。なお、本発明では、液体8は、市水でも良い。また、定温の液体8とは、温度が、所定の下限温度以上でかつ所定の上限温度(下限温度よりも高い温度)以下の液体8をいう。
【0020】
図2に示された加工装置100は、被加工物を研削加工(加工に相当)する研削装置である。図2に示された加工装置100の加工対象である被加工物は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。被加工物は、基板の表面に格子状に設定された分割予定ラインによって区画された各領域に図示しないデバイスが形成されている。
【0021】
デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(記憶装置)である。
【0022】
また、実施形態1において、被加工物は、加工装置100により表面の裏側の裏面が研削加工されて、所定の仕上げ厚みまで薄化された後、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割される。
【0023】
加工装置100は、図2に示すように、装置基台101と、ターンテーブル104と、ターンテーブル104上に設置された複数(実施形態1では3つ)の保持テーブル105と、粗研削ユニット110と、仕上げ研削ユニット120と、研削送りユニット130と、カセット107と、支持ユニットである位置合わせユニット140と、搬送ユニット150と、洗浄ユニット160と、制御ユニット170とを備えている。
【0024】
ターンテーブル104は、装置基台101の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内でZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行な方向である。このターンテーブル104上には、例えば3つの保持テーブル105が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。
【0025】
これら3つの保持テーブル105は、図2に示すように、円板状に形成され、上面がポーラスセラミックス等の多孔質材で構成された保持面106である。保持テーブル105は、保持面106が図示しない吸引源と接続した真空チャックを備えた真空チャックテーブル構造のものであり、被加工物の表面側が保持面106上に載置されて、保持面106が吸引源により吸引されることで、被加工物を保持面106に吸引保持する。
【0026】
また、保持テーブル105は、研削加工時には、図示しない回転機構によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転駆動される。保持テーブル105は、ターンテーブル104の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順次移動される。
【0027】
なお、搬入出領域301は、保持テーブル105に被加工物を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット110で保持テーブル105に保持された被加工物を粗研削加工(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット120で保持テーブル105に保持された被加工物を仕上げ研削加工(研削に相当)する領域である。
【0028】
粗研削ユニット110は、保持テーブル105が保持する被加工物の上方に露出した裏面を粗研削加工する粗研削用の研削砥石を環状に配設した粗研削用の研削ホイール111(加工具に相当)を装着して、粗研削領域302の保持テーブル105の保持面106に保持された被加工物の裏面を粗研削加工する加工ユニットである。仕上げ研削ユニット120は、保持テーブル105が保持する被加工物の裏面を仕上げ研削加工する仕上げ研削用の研削砥石を環状に配設した仕上げ研削用の研削ホイール121(加工具に相当)を装着して、仕上げ研削領域303の保持テーブル105の保持面106に保持された被加工物の裏面を仕上げ研削加工する加工ユニットである。
【0029】
研削ユニット110,120は、研削ホイール111,121をモータ113,123によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンドルの下端(先端に相当)に装着し、研削ホイール111,121の研削砥石を保持テーブル105の保持面106に対向配置する。研削ユニット110,120は、モータ113,123によりスピンドル及び研削ホイール111,121が軸心回りに回転されるとともに定温液体供給装置1から供給される液体8を研削領域302,303の保持テーブル105に保持された被加工物の裏面に供給しながら研削送りユニット130により研削ホイール111,121の研削砥石が保持テーブル105に所定の送り速度で近づけられることによって、被加工物の裏面を粗研削加工又は仕上げ研削加工する。
【0030】
研削送りユニット130は、研削ユニット110,120をZ軸方向に移動させて、研削ユニット110,120と保持テーブル105とを相対的に接近および離間させるものである。実施形態1において、研削送りユニット130は、装置基台101の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設柱102に設けられている。研削送りユニット130は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット110,120のスピンドルハウジング115,125をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0031】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット110及び仕上げ研削ユニット120は、研削ホイール111,121の回転中心である軸心と、保持テーブル105の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石が保持テーブル105に保持された被加工物の裏面の中心上を通る。
【0032】
カセット107は、複数のスロットを有して、被加工物を複数収容するための収容容器である。カセット107は、研削加工前後の被加工物を複数枚収容する。実施形態1では、カセット107は、一対設けられ、それぞれカセット載置台108に設置される。位置合わせユニット140は、カセット107から取り出された被加工物が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0033】
搬送ユニット150は、被加工物を搬送するものである。搬送ユニット150は、搬入ユニット151と、搬出ユニット152と、搬入出ユニット153とを備える。
【0034】
搬入ユニット151は、被加工物を吸着する吸着パッドを先端部に有し、基端部を中心として装置基台101に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬入ユニット151は、位置合わせユニット140で位置合わせされた研削加工前の被加工物を吸着パッドに吸着保持して搬入出領域301に位置する保持テーブル105上に搬入する。
【0035】
搬出ユニット152は、被加工物を吸着する吸着パッドを先端部に有し、基端部を中心として装置基台101に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬出ユニット152は、搬入出領域301に位置する保持テーブル105上の研削加工後の被加工物を吸着パッドに吸着保持して洗浄ユニット160に搬出する。
【0036】
搬入出ユニット153は、研削加工前の被加工物をカセット107から取り出して、位置合わせユニット140に搬送するとともに、研削加工後の被加工物を洗浄ユニット160から取り出して、カセット107に搬送する。搬入出ユニット153は、例えばU字型ハンドを備えるロボットピックであり、U字型ハンドによって被加工物を吸着保持して搬送する。
【0037】
洗浄ユニット160は、研削加工後の被加工物を洗浄し、研削された裏面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0038】
制御ユニット170は、加工装置100を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット170は、少なくとも保持テーブル105と研削ユニット110,120の動作を制御して、被加工物に対する加工動作を加工装置100に実行させるものである。制御ユニット170は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0039】
制御ユニット170の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置100を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置100の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット170は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット及びオペレータに報知する報知ユニットと接続されている。
【0040】
入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光とタッチパネル上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0041】
また、実施形態1において、加工装置100は、定温液体供給装置1から液体8が供給される供給口に設けられた開閉バルブ103を備えている。加工装置100は、被加工物を研削加工する際に、開閉バルブ103が開いて、定温液体供給装置1から液体8が供給され、供給された液体8を研削加工中に研削領域302,303の保持テーブル105に保持された被加工物の裏面に供給する。また、加工装置100は、被加工物の研削加工の停止時に、開閉バルブ103が閉じて、定温液体供給装置1からの液体8の供給が停止される。
【0042】
実施形態1において、加工装置100は、オペレータにより裏面を上向きにして被加工物を収容したカセット107が装置基台101のカセット載置台108に設置され、加工条件が制御ユニット170に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット170が受け付けると、加工動作を開始する。加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が、各研削ユニット110,120のスピンドルを加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、搬入出ユニット153にカセット107のいずれかから被加工物を1枚取り出させて、位置合わせユニット140へ搬入させて、位置合わせユニット140に被加工物の中心位置合わせを行わせ、搬入ユニット151に搬入出領域301に位置する保持テーブル105の保持面106に被加工物を支持して搬送させる。
【0043】
加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が被加工物を搬入出領域301の保持テーブル105の保持面106に吸引保持させ、ターンテーブル104を回転して、搬入出領域301で被加工物を保持した保持テーブル105を粗研削領域302と仕上げ研削領域303に順に移動して、保持テーブル105を軸心回りに回転しながら液体8を供給して粗研削ユニット110と仕上げ研削ユニット120により順に被加工物を研削加工する。加工動作では、加工装置100は、制御ユニット170が被加工物を粗研削加工した後、ターンテーブル104を回転して、仕上げ研削加工後の被加工物を保持した保持テーブル105を搬入出領域301に移動させて、搬出ユニット152に仕上げ研削加工後の被加工物を搬入出領域301の保持テーブル105から洗浄ユニット160に搬送して、洗浄ユニット160で洗浄した後、搬入出ユニット153にカセット107に収容させる。
【0044】
加工動作において、加工装置100は、制御ユニット170がターンテーブル104を120度回転する度に、仕上げ研削加工後の被加工物を保持している搬入出領域301の保持テーブル105から被加工物を洗浄ユニット160に搬送し、仕上げ研削加工後の被加工物を保持していない搬入出領域301の保持テーブル105に研削加工前の被加工物を搬入し、粗研削領域302の保持テーブル105に保持された研削加工前の被加工物を粗研削加工し、仕上げ研削領域303の保持テーブル105に保持された粗研削加工後の被加工物を粗研削加工する。こうして、加工装置100は、制御ユニット170がターンテーブル104を120度回転する度に搬入出領域301の保持テーブル105に被加工物を搬出、搬入し、保持テーブル105の保持面106に保持した被加工物を粗研削領域302及び仕上げ研削領域303に順に位置付けて、粗研削加工及び仕上げ研削加工を順に施す。加工装置100は、制御ユニット170がカセット107内の全ての被加工物に粗研削加工、仕上げ研削加工を施すと、加工動作を終了する。
【0045】
(定温液体供給装置)
次に、定温液体供給装置1を説明する。図3は、図1に示された定温液体供給装置の加温ユニットの構成を模式的に一部断面で示す側面図である。図4は、図3に示された加温ユニットの第1ヒーター及び第2ヒーターの構成を模式的に一部断面で示す側面図である。図5は、図1に示された定温液体供給装置の加温ユニットに第2のヒーターが取り付けられた状態を模式的に示すブロック図である。
【0046】
定温液体供給装置1は、図1に示す液体供給源2からの液体8の温度を前述した定温に調整して、加工装置100へ供給する装置である。定温液体供給装置1は、図1に示すように、筐体3と、筐体3に設けられた入口4と、筐体3に設けられた出口5と、筐体3内に収容された連通路10と、筐体3内に収容された冷却ユニット11と、筐体3内に収容された加温ユニット20と、温度計12と、コントローラ40とを備えている。
【0047】
入口4は、液体供給源2からの液体8を流入させるものである。出口5は、加工装置100に液体8を流出させるものである。出口5は、加工装置100の開閉バルブ103と配管6により接続されている。
【0048】
連通路10は、入口4と、出口5とを連通する配管である。連通路10は、入口4から出口5へと液体8を導くものである。冷却ユニット11は、連通路10に配設され、連通路10内を流れる液体8を冷却するものである。冷却ユニット11は、駆動することで、連通路10内を流れる液体8を冷却するとともに、停止することで連通路10内を流れる液体8を冷却しない。実施形態1では、冷却ユニット11は、周知のチラーである。
【0049】
加温ユニット20は、連通路10に配設され、連通路10内を流れる液体8を加温して温度を調整するものである。実施形態1では、加温ユニット20は、連通路10内を流れる液体8の流れる方向の冷却ユニット11の下流側に配設されている。
【0050】
加温ユニット20は、図3に示すように、ヒーターケース21と、第1ヒーター30と、蓋体38とを有する。ヒーターケース21は、第1の底壁22と、第1の底壁22と間隔をあけて対向する第2の底壁23と、第1の底壁22と第2の底壁23とに連なった側壁24とを備えて、液体8を貯留し、液体8を流す空間25を内側に画成している。即ち、ヒーターケース21は、空間25を有している。また、実施形態1では、ヒーターケース21は、側壁24の一端部に第1の底壁22を設け、側壁24の他端部に第2の底壁23を設けている。
【0051】
実施形態1では、第1の底壁22と、第2の底壁23とは、それぞれ、円環状に形成されており、中央に貫通孔26が形成されている。また、実施形態1では、第1の底壁22は、第2の底壁23よりも下方に位置する。実施形態1では、側壁24は、第1の底壁22と第2の底壁23の貫通孔26の外周側に連なって、円筒状に形成されている。底壁22,23の外縁は、側壁24の外周面から外周方向に突出している。
【0052】
また、ヒーターケース21は、液体8の流入口27と、液体8の流出口28とを有する。流入口27は、側壁24を貫通しかつ側壁24の長手方向の中央よりも第1の底壁22側に設けられている。流入口27は、連通路10及び冷却ユニット11等を介して液体供給源2から液体8をヒーターケース21内に流入させる。流出口28は、側壁24を貫通しかつ側壁24の長手方向の中央よりも第2の底壁23側に設けられている。流出口28は、ヒーターケース21内から液体8を流出させる。
【0053】
第1ヒーター30は、ヒーターケース21に取り付けられて、ヒーターケース21内の液体8を加温する。第1ヒーター30は、図3及び図4に示すように、フランジ31と、ヒーター部32と、ヒーターキャップ33とを備えている。フランジ31は、外径が底壁22,23の外径と同径の円板状にされている。
【0054】
実施形態1において、ヒーター部32は、フランジ31の一方の表面34から立設している。実施形態1において、ヒーター部32は、ステンレス鋼などで構成されたパイプ内に電力が印加されることで発熱するスパイラル状の発熱体を収容し、熱伝導性を有する絶縁物で満たされた所謂シーズヒータである。実施形態1において、ヒーター部32は、フランジ31の一方の表面34から複数立設し、その全長がヒーターケース21の全長の1/2よりも短い。
【0055】
ヒーターキャップ33は、ドーム状に形成され、フランジ31の他方の表面35上に設けられている。ヒーターキャップ33は、ヒーター部32に電力を供給するケーブル36を通す図示しない孔が設けられている。
【0056】
第1ヒーター30は、ヒーター部32が第1の底壁22の貫通孔26を通してヒーターケース21の空間25内に配設され、フランジ31の一方の表面34が第1の底壁22上に重ねられて、ヒーターケース21に取り付けられる。実施形態1では、第1ヒーター30は、フランジ31が第1の底壁22に例えば図示しないボルト及びナット等により連結されて、ヒーターケース21に取り付けられる。このように、第1ヒーター30は、第1の底壁22にボルト及びナット等により着脱自在である。
【0057】
蓋体38は、ヒーターケース21に取り付けられて、ヒーターケース21内の空間25を密閉する。蓋体38は、外径が底壁22,23の外径と同径の円板状にされている。蓋体38は、第2の底壁23上に重ねられて、ヒーターケース21に取り付けられる。実施形態1では、蓋体38は、第2の底壁23に例えば図示しないボルト及びナット等により連結されて、ヒーターケース21に取り付けられる。
【0058】
加温ユニット20は、第1ヒーター30がヒーターケース21の第1の底壁22に連結して配設され、蓋体38がヒーターケース21の第2の底壁23に連結されて配設されて、空間25に第1ヒーター30のヒーター部32を内蔵する。加温ユニット20は、ヒーター部32にケーブル36を介して電力が印加されることで、流入口27から流入した液体8を加温して流出口28から流出し、ヒーター部32にケーブル36を介して電力が印加されないことで、流入口27から流入した液体8を加温せずに流出口28から流出する。冷却ユニット11と、加温ユニット20とは、共同して、連通路10内を流れる液体8の温度を前述した定温に調整する。なお、実施形態1では、第1ヒーター30の最大出力は、6Wである。
【0059】
温度計12は、連通路10に配設され、連通路10内を流れる液体8の温度を測定し、測定結果をコントローラ40に出力するものである。実施形態1において、温度計12は、連通路10内を流れる液体8の流れる方向の加温ユニット20の下流側に配設されている。
【0060】
コントローラ40は、定温液体供給装置1を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、コントローラ40は、少なくとも冷却ユニット11と加温ユニット20の動作を制御して、液体8の加工装置100への供給動作を定温液体供給装置1に実行させるものである。
【0061】
コントローラ40は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。コントローラ40の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、定温液体供給装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して定温液体供給装置1の上述した構成要素に出力する。
【0062】
また、実施形態1において、加温ユニット20は、図5に示すように、第2ヒーター39を増設可能である。第2ヒーター39の構成は、第1ヒーター30の構成と等しいので、第2ヒーター39の第1ヒーター30と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
第2ヒーター39は、蓋体38がヒーターケース21の第2の底壁23から取り外された後、ヒーター部32が第2の底壁23の貫通孔26を通してヒーターケース21の空間25内に配設され、フランジ31の一方の表面34が第2の底壁23上に重ねられて、ヒーターケース21に取り付けられる。実施形態2では、第2ヒーター39は、フランジ31が第2の底壁23に例えば図示しないボルト及びナット等により連結されて、ヒーターケース21に取り付けられる。このように、第2ヒーター39は、第2の底壁23にボルト及びナット等により着脱自在である。
【0064】
第2ヒーター39は、第1ヒーター30と同様に、ヒーターケース21の第2の底壁23に連結して配設され、空間25にヒーター部32が内蔵される。このように、ヒーターケース21は、第1ヒーター30及び増設する第2ヒーター39のヒーター部32を着脱自在に内蔵する空間25を有することとなる。また、第2ヒーター39のヒーター部32は、空間25に収容された第1ヒーター30のヒーター部32とヒーターケース21の長手方向に沿って間隔をあけて対向する。
【0065】
第2ヒーター39は、ヒーター部32にケーブル36を介して電力が印加されることで、流入口27から流入した液体8を加温して流出口28から流出し、ヒーター部32にケーブル36を介して電力が印加されないことで、流入口27から流入した液体8を加温せずに流出口28から流出する。なお、実施形態1では、第2ヒーター39の最大出力は、6Wである。
【0066】
加温ユニット20は、第1ヒーター30のみでは液体8を加温する能力が足りない際(前述した定温まで液体8を加温できない際)、ヒーターケース21から蓋体38を取り外して空間25に第2ヒーター39のヒーター部32を挿入して、ヒーターケース21の空間25に第2ヒーター39を前述したボルト及びナット等により容易に増設可能である。
【0067】
前述した構成の定温液体供給装置1は、図1に示すように、加温ユニット20のヒーターケース21に少なくとも第1ヒーター30が取り付けられ、液体8を加温する温度に応じて、図5に示すように、第2ヒーター39が取り付けられる。定温液体供給装置1は、入口4から液体供給源2からの液体8が流入し、温度計12の測定結果及び前述した定温に応じて、コントローラ40が冷却ユニット11の駆動状況、ヒーター30,39のヒーター部32に電力を印加して、液体供給源2から流入した液体8の温度を定温に調整して、定温の液体8を加工装置100に向けて流出する。
【0068】
以上説明したように、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、加温ユニット20が、液体8を加温する第1ヒーターと、第1ヒーター30および第2ヒーター39のヒーター部32を内蔵する空間25を有するヒーターケース21と、を有しているので、第1ヒーター30のみでは液体8を加温する能力が足りない際、蓋体38が取り外されたヒーターケース21に第2ヒーター39を取り付けることで、ヒーターケース21の空間25に第2ヒーター39を容易に増設可能である。
【0069】
その結果、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、第2ヒーター39を追加する際、第1ヒーター30とは干渉せずに、第2ヒーター39を追加することができるため、ヒーターの追加を容易に施せることができるという効果を奏する。
【0070】
また、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、ヒーターケース21から蓋体38を取り外して、ヒーターケース21の第2の底壁23に第2ヒーター39を連結することができるために、ヒーターケース21内等の液体8を抜き取ることなく第2ヒーター39を増設可能であるので、第2ヒーター39の増設にかかる煩雑さを抑制することができる。
【0071】
また、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、ヒーターケース21から蓋体38を取り外して、ヒーターケース21の第2の底壁23に第2ヒーター39を連結することができるために、第2ヒーター39を第1ヒーター30が配設された連通路10に増設することができる。このために、実施形態1に係る定温液体供給装置1は、連通路10を増設することなく、第2ヒーター39を増設できるので、連通路10内の温度変化を低減することができ、液体8の温度応答性を向上することができる。
【0072】
〔変形例〕
実施形態1の変形例に係る定温液体供給装置を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態1の変形例に係る定温液体供給装置のヒーターケースの構成を模式的に示す断面図である。図7は、図6に示されたヒーターケースに第1ヒーター及び第2ヒーターを取り付けた状態を模式的に示す断面図である。なお、図5及び図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
変形例に係る定温液体供給装置1は、加温ユニット20のヒーターケース21-1が実施形態1と異なること以外、実施形態1と同じである。変形例に係る定温液体供給装置1は、ヒーターケース21-1が、図6に示すように、第1の底壁22と、第2の底壁23とが同一平面上に配置され、側壁24の一方の開口が底壁22,23に塞がれ、他方の開口が壁29により塞がれて構成されている。
【0074】
変形例に係る定温液体供給装置1は、実施形態1と同様に、加温ユニット20が、第1ヒーター30のフランジ31が第1の底壁22に例えば図示しないボルト及びナット等により連結されてヒーターケース21-1に取り付けられ、第2ヒーター39のフランジ31が第2の底壁23に例えば図示しないボルト及びナット等により連結されてヒーターケース21-1に取り付けられて、図7に示すように、ヒーター30,39のヒーター部32がヒーターケース21-1の空間25内に内蔵される。変形例に係る定温液体供給装置1は、ヒーターケース21-1の空間25内にヒーター30,39のヒーター部32を互いに平行な状態で内蔵する。
【0075】
変形例に係る定温液体供給装置1は、実施形態1と同様に、入口4から液体供給源2からの液体8が流入し、温度計12の測定結果及び前述した定温に応じて、コントローラ40が冷却ユニット11の駆動状況、ヒーター30,39のヒーター部32に電力を印加して、液体供給源2から流入した液体8の温度を定温に調整して、定温の液体8を加工装置100に向けて流出する。
【0076】
変形例に係る定温液体供給装置1は、加温ユニット20が、液体8を加温する第1ヒーターと、第1ヒーター30および第2ヒーター39のヒーター部32を内蔵する空間25を有するヒーターケース21-1と、を有しているので、実施形態1と同様に、第2ヒーター39を追加する際、第1ヒーター30とは干渉せずに、第2ヒーター39を追加することができるため、ヒーターの追加を容易に施せることができるという効果を奏する。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明では、加工装置100は、被加工物に定温液体供給装置1から供給された定温の液体8を供給しながら研削加工する研削装置に限らず、被加工物に定温液体供給装置1から供給された定温の液体8を供給しながら切削加工する切削装置であっても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 定温液体供給装置
2 液体供給源
4 入口
5 出口
8 液体
10 連通路
11 冷却ユニット
12 温度計
20 加温ユニット
21 ヒーターケース
22 第1の底壁
23 第2の底壁
24 側壁
25 空間
27 流入口
28 流出口
30 第1ヒーター
39 第2ヒーター
100 加工装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7