(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166782
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ビーム加工装置の観察装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/03 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B23K26/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083119
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】谷田 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA06
4E168CA07
4E168CB03
4E168CB07
4E168CB22
4E168FB03
(57)【要約】
【課題】ガス通路を有するカバーがノズルに設けられた状態でビームが照射される箇所(所定箇所)を光で照らすことが可能な技術を提供する。
【解決手段】ビーム加工装置1の観察装置5は、所定箇所P1に向けてビームBmを照射するように構成されたノズル20と、ノズルの周囲に設けられて、所定箇所に向けてパージガスGsを供給するように構成されたガス通路32を有するカバー30と、を有するビーム加工装置1の観察装置5であって、光Ltを発生させるように構成された、少なくとも1つの光源40を備え、少なくとも1つの光源は、当該光源が発生した光がガス通路を通過して所定箇所に到達するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定箇所に向けてビームを照射するように構成されたノズルと、前記ノズルの周囲に設けられて、前記所定箇所に向けてパージガスを供給するように構成されたガス通路を有するカバーと、を有するビーム加工装置の観察装置であって、
光を発生させるように構成された、少なくとも1つの光源を備え、
前記少なくとも1つの光源は、当該光源が発生した前記光が前記ガス通路を通過して前記所定箇所に到達するように構成されている、ビーム加工装置の観察装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記ガス通路に接続する接続孔を有し、
前記少なくとも1つの光源が発生した前記光は、前記接続孔を通過した後に、前記ガス通路を通過し、
前記接続孔における前記ガス通路への接続箇所には、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光が透過可能な光透過部材によって構成された光透過窓が設けられている、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源は、前記カバーに埋め込まれている、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光源は、前記カバーの外部に配置されている、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光源は、複数の光源を含む、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【請求項6】
前記ガス通路は、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光が前記ガス通路の内壁面を反射しながら通過するように構成されている、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源が発生した前記光によって照らされた前記所定箇所の画像を取得するように構成された撮像装置をさらに備える、請求項1に記載のビーム加工装置の観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム加工装置の観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定箇所に向けてビームを照射するように構成されたノズルを備えるビーム加工装置が知られている(例えば特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1には、レーザービームを所定箇所に向けて照射するように構成されたノズルを備えるビーム加工装置(具体的には、レーザー加工装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような従来のビーム加工装置において、例えば所定箇所の酸化等を抑制するために、パージガスが通過可能なガス通路を有するカバーをノズルの周囲に設け、このガス通路を通過したパージガスを所定箇所に供給しながらビーム加工を行うことが考えられる。しかしながら、従来、このようなカバーがノズルに設けられた状態で、ビームが照射される箇所(所定箇所)を観察するために、この所定箇所を光で照らすことが可能な技術は開発されていなかった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、ガス通路を有するカバーがノズルに設けられた状態でビームが照射される箇所(所定箇所)を光で照らすことが可能な技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るビーム加工装置の観察装置は、所定箇所に向けてビームを照射するように構成されたノズルと、前記ノズルの周囲に設けられて、前記所定箇所に向けてパージガスを供給するように構成されたガス通路を有するカバーと、を有するビーム加工装置の観察装置であって、光を発生させるように構成された、少なくとも1つの光源を備え、前記少なくとも1つの光源は、当該光源が発生した前記光が前記ガス通路を通過して前記所定箇所に到達するように構成されている。
【0007】
この態様によれば、光源が発生した光がカバーのガス通路を通過して所定箇所に到達するように構成されているので、カバーをノズルから取り外すことなく(すなわち、カバーがノズルに設けられた状態で)、所定箇所(ビームが照射される箇所)を光で照らして、この所定箇所を観察することができる。これにより、所定箇所の観察を容易に行うことができる。
【0008】
(態様2)
上記の態様1において、前記カバーは、前記ガス通路に接続する接続孔を有し、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光は、前記接続孔を通過した後に、前記ガス通路を通過し、前記接続孔における前記ガス通路への接続箇所には、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光が透過可能な光透過部材によって構成された光透過窓が設けられていてもよい。
【0009】
(態様3)
上記の態様1又は2において、前記少なくとも1つの光源は、前記カバーに埋め込まれていてもよい。
【0010】
(態様4)
上記の態様1又は2において、前記少なくとも1つの光源は、前記カバーの外部に配置されていてもよい。
【0011】
(態様5)
上記の態様1~4のいずれか1態様において、前記少なくとも1つの光源は、複数の光源を含んでいてもよい。
【0012】
(態様6)
上記の態様1~5のいずれか1態様において、前記ガス通路は、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光が前記ガス通路の内壁面を反射しながら通過するように構成されていてもよい。
【0013】
(態様7)
上記の態様1~6のいずれか1態様は、前記少なくとも1つの光源が発生した前記光によって照らされた前記所定箇所の画像を取得するように構成された撮像装置をさらに備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るビーム加工装置の概略構成を説明するための模式図である。
【
図2】実施形態に係るビーム加工装置の加工ヘッドの周辺構成を説明するための模式図である。
【
図4】実施形態に係る光源が使用されない場合における加工ヘッドの断面図である。
【
図5】
図5(A)は実施形態の変形例1に係る加工ヘッドの断面図である。
図5(B)は実施形態の変形例2に係る加工ヘッドの断面図である。
図5(C)は実施形態の変形例3に係る加工ヘッドの断面図である。
【
図6】実施形態の変形例4に係る加工ヘッドの断面図である。
【
図7】実施形態の変形例5に係る加工ヘッドの断面図である。
【
図8】実施形態の変形例6に係る加工ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、図面には、必要に応じて、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0016】
まず、本実施形態に係るビーム加工装置1の概略について説明し、次いで、このビーム加工装置1に適用された本実施形態に係る観察装置5(すなわち、「ビーム加工装置1の観察装置5」)の詳細について説明する。
図1は、本実施形態に係るビーム加工装置1の概略構成を説明するための模式図である。
図1に例示するビーム加工装置1は、一例として、材料を積層することによって立体物を造形するように構成された付加製造装置(Ad
itive Manufacturing装置(「AM装置」))によって構成されている。
【0017】
但し、ビーム加工装置1の具体例は、AM装置に限定されるものではなく、例えば、ビームを利用して溶接するビーム溶接装置や、ビームを利用して溶断するビーム溶断装置等、種々のビーム加工装置を用いることができる。
【0018】
本実施形態に係るビーム加工装置1としてのAM装置は、立体物の材料となる粉体(Pd)にビーム(Bm)を照射することで当該粉体を溶融させるように構成されている。この溶融した粉体が凝固することで、立体物が造形される。
【0019】
具体的には、
図1に例示するビーム加工装置1(AM装置)は、加工テーブル100と、加工ヘッド10と、駆動装置110と、ビーム発生装置120と、ガス供給装置130と、材料供給装置140と、制御装置150とを備えている。なお、ビーム加工装置1は、後述する観察装置5も備えているが、
図1において、この観察装置5の図示は省略されている。
【0020】
制御装置150は、ビーム加工装置1の動作を統合的に制御するための装置である。具体的には、本実施形態に係る制御装置150は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、プロセッサ151や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置152、等を備えている。制御装置150においては、プロセッサ151が、記憶装置152に記憶されているプログラムの指令に基づいて作動することで、ビーム加工装置1の動作を制御する。
【0021】
加工テーブル100は、加工物(本実施形態では、立体物)が造形されるテーブルである。加工ヘッド10は、ノズル20と、カバー30とを備えている。この加工ヘッド10の詳細は後述する。
【0022】
図1に例示する駆動装置110は、一例として、加工ヘッド10を駆動するように構成されている。具体的には、
図1に例示する駆動装置110は、制御装置150の指令を受けて、加工ヘッド10を、X軸の方向及びY軸の方向(すなわち、水平面内の方向)に駆動させる。また、この駆動装置110は、加工ヘッド10をさらにZ軸の方向(すなわち、上下方向)に駆動させてもよい。但し、駆動装置110の構成はこれに限定されるものではない。他の一例を挙げると、駆動装置110は、加工ヘッド10に代えて加工テーブル100を駆動させてもよい。具体的には、この場合、駆動装置110は、加工テーブル100をX軸及びY軸の方向に駆動(又は移動)させてもよく、さらに、加工テーブル100をZ軸の方向に駆動(又は移動)させてもよい。すなわち、この場合、加工ヘッド10は移動せずに固定された状態で、加工テーブル100がX軸、Y軸、及び、Z軸の方向に移動する。上記のような駆動装置110としては、例えば、特開2022-144848号公報に開示されているような公知のビーム加工装置用の駆動装置を適用することができる。このため、駆動装置110の詳細な説明は省略する。
【0023】
ビーム発生装置120は、ビーム(Bm)を発生させるための装置である。ビーム発生装置120は、ノズル20と接続されており、ビーム発生装置120が発生したビームはノズル20から加工テーブル100の所定箇所(P1;これは加工テーブル100における任意の箇所である)に照射される。ビーム発生装置120が発生するビームの具体的な種類は、特に限定されるものではなく、例えば、レーザービームや電子ビーム等の高エネルギービームを用いることができる。本実施形態に係るビーム発生装置120は、一例として、レーザービームを発生させる。
【0024】
ガス供給装置130は、パージガス(Gs)を供給するための装置である。ガス供給装置130は、カバー30の後述するガス通路32と接続されており、このガス通路32に向けてパージガスを供給する。パージガスとしては、例えば、窒素等の不活性ガスを用いることができる。なお、パージガスは、主として、所定箇所(P1)の酸化や材料の酸化等を抑制することを目的として用いられる。ガス供給装置130として、例えば、ガスボンベ等を用いることができる。
【0025】
材料供給装置140は、立体物の材料となる粉体(Pd)をノズル20に供給するための装置である。具体的には、材料供給装置140は、ノズル20に接続されており、非溶融状態の粉体をノズル20に供給する。ノズル20に供給された粉体は、ノズル20から所定箇所(P1)に向けて供給される。
【0026】
なお、材料供給装置140は、粉体の流動性を高めて粉体の供給を容易にするために、粉体のみならず、この粉体を輸送するためのガス(これを「キャリアガス」と称する)もノズル20に供給してもよい。このキャリアガスとしては、例えば、窒素等の不活性ガスを用いることができる。
【0027】
粉体の具体的な材質は特に限定されるものではなく、樹脂や金属等、公知の材質を用いることができる。本実施形態では、粉体の材質の具体例として、金属を用いている。
【0028】
上述したようなビーム加工装置1は、加工時に、パージガスを所定箇所(P1)に供給しながら、ビームを所定箇所に照射するとともに粉体を所定箇所に供給する。これにより、所定箇所や粉体の酸化を抑制しつつ、ビームによって粉体を溶融し、この溶融した粉体が凝固することで、立体物を造形することができる。
【0029】
図2は、ビーム加工装置1の加工ヘッド10の周辺構成を説明するための模式図である。なお、
図2において、加工ヘッド10の内部は断面図示されている。前述したように、加工ヘッド10は、ノズル20とカバー30とを備えている。
図3は、加工ヘッド10の断面図(
図2のA1線で切断した断面図)である。なお、
図3において、後述する内筒22の図示は省略されている(これは、後述する
図5(A)~
図5(C)でも同様である)。
【0030】
図2及び
図3を参照して、ノズル20は、ビーム(Bm)が通過するための通路である「ビーム通路21」を有している。ビーム通路21は、ノズル20の中心軸線XLの方向に延在している。ビーム通路21は、ビーム通路21を通したビームが所定箇所(P1)に向けて照射されるように構成されている。具体的には、本実施形態に係るビームは、ビーム通路21を通過した後に、カバー30に設けられた吐出孔31(これは
図2において、隠れ線で図示されている)を通過してから、所定箇所(P1)に照射される。
【0031】
本実施形態に係るビーム通路21には、レンズ25が配置されている。ビーム発生装置120が発生したビームは、レンズ25によって集光されてから所定箇所(P1)に照射される。レンズ25の枚数は特に限定されるものではなく、1枚でもよく、複数枚でもよい。
【0032】
また、本実施形態のように、ビーム加工装置1として付加製造装置を用いる場合、
図2の一部拡大図に例示するように、ノズル20は、ビーム通路21を有する内筒22と、この内筒22の外側(外周側)に配置された外筒23と、を有していてもよい。この場合、この内筒22の外周面と外筒23の内周面との間の空間は、粉体が通過する粉体通路24として機能する。具体的には、この粉体通路24には、前述した材料供給装置140から供給された粉体が通過する。この粉体通路24を通過した粉体は、吐出孔31を通過した
後に、所定箇所(P1)に供給される。
【0033】
カバー30は、ノズル20の周囲に設けられている。カバー30には、ガス通路32と、接続孔36とが設けられている。
【0034】
ガス通路32は、パージガス(Gs)が通過するための通路である。パージガスは、このガス通路32を通過して、所定箇所(P1)に向けて供給される。
図2を参照して、本実施形態に係るガス通路32は、一例として、入口部33と、中間部34と、出口部35とを備えている。入口部33、中間部34、及び、出口部35は、この順序で連通されている。一例として、本実施形態に係る入口部33は上下方向に延在し、中間部34は水平方向に延在している。本実施形態に係る出口部35は、一例として、下方に向かうほど(所定箇所に近づくほど)中心軸線XLに近づくように延在している。
【0035】
接続孔36は、ガス通路32に接続するように設けられている。具体的には、本実施形態に係る接続孔36は、ガス通路32における中間部34と出口部35との接続箇所に接続するように設けられている。より具体的には、本実施形態に係る接続孔36の一端は、カバー30の所定面に連通し(一例として、本実施形態では、カバー30の上面に開口している)、接続孔36の他端は、ガス通路32における中間部34と出口部35との接続箇所に連通している。
【0036】
また、本実施形態に係る接続孔36の軸線(中心軸を示す線)は、ガス通路32の出口部35の軸線と一致している。すなわち、接続孔36は、ガス通路32の出口部35を中間部34よりも上方側に仮想的に延伸させた箇所に設けられている。接続孔36には、後述する光源40が配置されている。
【0037】
続いて、観察装置5の詳細について説明する。
図2を参照して、本実施形態に係る観察装置5は、少なくとも1つの光源40を備えている。また、
図2に例示するように、観察装置5は、ミラー50と、撮像装置60とをさらに備えていてもよい。
【0038】
光源40は、光(Lt)を発生させるように構成された部材である。光源40としては、所定箇所(P1)の観察用の光(すなわち、所定箇所をその周囲よりも明るく照らすことが可能な光)を発生させることができればよく、LED(LED電球を含む)や白熱電球等の発光体を用いることができる。あるいは、光源40として、光ファイバーのような、光を伝送可能な部材(光伝送部材)を用いることもできる。この場合、光源40としての光伝送部材よりも上流側に、電球等の発光体が配置されており、この発光体からの光が光伝送部材に伝送される。
【0039】
光源40は、光源40が発生した光がガス通路32を通過して所定箇所(P1)に到達するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る光源40は、一例として、カバー30に埋め込まれている。より具体的には、本実施形態に係る光源40は、一例として、カバー30の接続孔36に配置されている。そして、光源40が発生した光がガス通路32の出口部35を通過して所定箇所(P1)に到達するように、光源40の向き(光の照射方向)等が調整されている。なお、光源40として、電球等の発光体を用いる場合、光源40は、配線(図示せず)を介して、カバー30の外部に配置された電源(図示せず)と電気的に接続されている。光源40の動作(点灯及び消灯)は制御装置150が制御している。
【0040】
図3を参照して、本実施形態に係る光源40は、一例として、複数個(一例として4個)設けられている。具体的には、本実施形態に係る複数個の光源40は、ノズル20の周囲に、等間隔で設けられている。
【0041】
図2を参照して、撮像装置60は、光源40が発生した光によって照らされた所定箇所(P1)の画像を取得するように構成された装置である。撮像装置60の動作は制御装置150が制御している。
【0042】
具体的には、光源40が発生した光(Lt)は所定箇所(P1)に到達して、その一部は反射する。そして、この所定箇所(P1)からの反射光(Lr)は、吐出孔31及びビーム通路21を通過した後に、ミラー50によって、その進行方向が撮像装置60の方向に変更されて、撮像装置60に到達する。本実施形態に係る撮像装置60は、この反射光(Lr)に基づいて所定箇所(P1)の画像を取得する。なお、この撮像装置60の構成自体は、特許文献1に開示されているような公知の撮像装置(例えばCCDカメラ等)を用いることができるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0043】
なお、前述したビーム発生装置120は、ビーム発生装置120が発生したビーム(Bm)がミラー50を通過してからレンズ25に到達するように、構成されていてもよい。この場合、ミラー50として、いわゆる「部分透過性のミラー」を用いてもよい。
【0044】
本実施形態に係る光源40は、主として、所定箇所(P1)の観察時に使用される。また、本実施形態において、所定箇所(P1)の観察は、主として、撮像装置60が所定箇所(P1)の画像を取得することで行われる。この観察は、任意の時期に行うことができる。例えば、ビームによる加工(ビーム加工)の実行中に観察(具体的には加工状態の観察)を行ってもよく、ビーム加工の非実行時に観察を行ってもよい。
【0045】
また、ビーム加工の非実行時に光源40を使用する場合、例えば、加工テーブル100の原点位置とノズル20の中心(中心軸線XL)との位置合わせを行う場合や、加工テーブル100に照射されるビームの中心と加工テーブル100に供給される粉体の収束点(供給点)との位置合わせを行う場合等に、光源40を使用して、光源40からの光で所定箇所(P1)を照らしてもよい。
【0046】
図4は、光源40が使用されない場合における加工ヘッド10の断面図である。光源40が使用されない場合、光源40を接続孔36から取り外して、接続孔36にプラグ45を挿入することで、接続孔36をプラグ45で閉塞してもよい。この構成によれば、ヒューム等の異物がガス通路32を逆流して接続孔36に侵入することを効果的に抑制することができる。
【0047】
以上説明したような本実施形態によれば、光源40が発生した光がカバー30のガス通路32を通過して所定箇所(P1)に到達するように構成されているので、カバー30をノズル20から取り外すことなく(すなわち、カバー30がノズル20に設けられた状態で)、所定箇所(すなわち、ビームが照射される箇所)を光で照らして、この所定箇所(P1)を観察することができる。これにより、所定箇所(P1)の観察を容易に行うことができる。
【0048】
具体的には、本実施形態によれば、カバー30をノズル20から取り外すことなく、所定箇所(P1)の画像を撮像装置60によって取得することができる。これにより、撮像装置60による観察を容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、例えば、光源40がビームの吐出孔31と所定箇所(P1)との間に配置されている場合に比較して、加工時に発生するヒューム等の異物によって光源40が汚染されることを抑制することもできる。
【0050】
また、本実施形態によれば、所定箇所(P1)と光源40との間に、レンズ25が配置されていないので、仮にレンズ25にコーティングが施されている場合であっても、光源40から所定箇所(P1)に到達する光がレンズ25のコーティングの影響を受けることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、前述したように、カバー30がノズル20に設けられた状態で所定箇所(P1)を光で照らすことができるので、例えば、加工テーブル100の原点位置とノズル20の中心との位置合わせや、ビームの中心と粉体の収束点との位置合わせ等を容易に行うこともできる。
【0052】
(変形例1)
図5(A)は、実施形態の変形例1に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図(A1線で切断した断面図)である。本変形例に係る加工ヘッド10は、光源40を一つのみ備えている(すなわち、単一の光源40を備えている)点において、
図3に例示した実施形態に係る加工ヘッド10と異なっている。本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
なお、前述した実施形態と本変形例とを比較すると、実施形態の場合(光源40が複数の場合)の方が本変形例の場合(光源40が一つのみの場合)に比較して、所定箇所(P1)を明るく照らすことが容易である。
【0054】
(変形例2)
図5(B)は、実施形態の変形例2に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図(A1線で切断した断面図)である。本変形例に係る加工ヘッド10は、光源40がN角形(Nは3以上の自然数)の形状を有する点において、
図3に例示した実施形態に係る加工ヘッド10と異なっている。具体的には、
図5(B)に例示する光源40は、一例として、4角形である。
【0055】
なお、本変形例に係る光源40は、光を発生した場合にN角形に見えればよい。したがって、本変形例に係る光源40は、例えば、複数の発光体がN角形状に配列された構成を有していてもよい。あるいは、本変形例に係る光源40は、N角形状の「単一の発光体」を有する構成とすることもできる。本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
(変形例3)
図5(C)は、実施形態の変形例3に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図(A1線で切断した断面図)である。本変形例に係る加工ヘッド10は、光源40が円形状を有する点において、
図3に例示した実施形態に係る加工ヘッド10と異なっている。
【0057】
なお、本変形例に係る光源40は、光を発生した場合に円形に見えるように構成されていればよい。したがって、本変形例に係る光源40は、例えば、複数の発光体が円形状に配列された構成を有していてもよい。あるいは、本変形例に係る光源40は、円形状の「単一の発光体」を有していてもよい。本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
(変形例4)
図6は、実施形態の変形例4に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図である。なお、
図6において、内筒22やレンズ25等の図示は省略されている。本変形例に係る加工ヘッド10は、光源40が接続孔36の下流端よりも所定距離だけ上流側に配置されている点と、光透過窓46をさらに備える点と、において、前述した実施形態に係る加
工ヘッド10(
図2)と異なっている。
【0059】
光透過窓46は、接続孔36の下流端(すなわち、接続孔36におけるガス通路32への接続箇所)に配置されている。光透過窓46は、光源40が発生した光が透過可能な光透過部材によって構成されている。この光透過部材としては、透明ガラスや透明プラスチック等を用いることができる。
【0060】
本変形例において、光源40が発生した光は、接続孔36における光源40よりも下流側の箇所を通過し、次いで、光透過窓46を通過した後に、ガス通路32(具体的には出口部35)を通過して所定箇所(P1)に到達する。
【0061】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
また、本変形例によれば、光透過窓46を備えているので、例えば光源40を使用しない場合にプラグ45(
図4)で接続孔36を閉塞しなくても、ヒューム等の異物がガス通路32を逆流して接続孔36に侵入することを効果的に抑制することができる。
【0063】
(変形例5)
図7は、実施形態の変形例5に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図である。なお、
図7において、内筒22やレンズ25等の図示は省略されている。本変形例に係る加工ヘッド10は、主として、光源40がカバー30の外部に配置されている点において、前述した実施形態に係る加工ヘッド10(
図2)と異なっている。
【0064】
具体的には、本変形例に係る「カバー30の外部に配置された光源40」は、カバー30の外部において、所定の支持部材(図示せず)によって支持されている。そして、この光源40は、光源40が発生した光が接続孔36を通過した後にガス通路32を通過して所定箇所(P1)に到達するように、その配置位置や光軸等が調整されている。この具体例として、本変形例に係る光源40は、カバー30の外部であって、接続孔36及びガス通路32の出口部35の軸線上に配置されており、且つ、所定箇所(P1)に向けて光を照射するように、その光軸が調整されている。
【0065】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
なお、
図7に例示するように、本変形例に係る加工ヘッド10も、前述した変形例4の場合と同様に、光透過窓46を備えていてもよい。
【0067】
(変形例6)
図8は、実施形態の変形例6に係るビーム加工装置1の加工ヘッド10の断面図である。なお、
図8において、内筒22やレンズ25等の図示は省略されている。本変形例に係る加工ヘッド10は、カバー30における光源40の配置箇所が、前述した実施形態に係る加工ヘッド10(
図2)と異なっている。
【0068】
具体的には、本変形例に係る光源40は、カバー30に埋め込まれている点は前述した実施形態と同様であるが、「ガス通路32の中間部34における入口部33への接続箇所(すなわち、中間部34の上流端)」に配置されている点において、前述した実施形態と異なっている。
【0069】
本変形例に係る出口部35の内壁面は、光を反射する材質(光反射材質)によって構成されている。この具体例を挙げると、例えば、出口部35の内壁面は、光を反射しない材質からなる内壁部材の表面に、光反射物質がコーティングされた構成とすることができる
。光反射物質の具体例は特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウムや銀等のような光反射機能を有する金属を用いることができる。
【0070】
図8に例示するように、本変形例において、光源40が発生した光は、ガス通路32の中間部34を通過した後に、ガス通路32の出口部35の内壁面を反射しながら通過して、所定箇所(P1)に到達する。
【0071】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態等について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ビーム加工装置
5 観察装置(ビーム加工装置の観察装置)
20 ノズル
30 カバー
32 ガス通路
36 接続孔
40 光源
46 光透過窓
60 撮像装置
P1 所定箇所
Bm ビーム
Gs パージガス
Lt 光
Pd 粉体