(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166825
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241122BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20241122BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20241122BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
C23C16/505
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083199
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084CC33
2G084DD15
2G084DD42
2G084DD55
2G084FF07
2G084FF08
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2G084HH05
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2G084HH52
4K030AA03
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4K030LA15
5F045AA08
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5F045EH04
5F045EH13
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5F045EK06
(57)【要約】
【課題】機差を調整可能なプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】高周波電源と、一対のプラズマ電極と、一対の前記プラズマ電極と前記高周波電源との間に配置される整合器と、を備え、前記整合器は、前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、接地される接地ラインと、一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、複数の可変リアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、少なくとも、前記第1負荷ラインと前記接地ラインとの電位差の波高値である第1波高値を検出する電圧センサと、前記高周波センサ、前記電圧センサの検出値が入力され、複数の前記可変リアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有する、プラズマ処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源と、
一対のプラズマ電極と、
一対の前記プラズマ電極と前記高周波電源との間に配置される整合器と、を備え、
前記整合器は、
前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、
接地される接地ラインと、
一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、
他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、
前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、複数の可変リアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、
前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、
少なくとも、前記第1負荷ラインと前記接地ラインとの電位差の波高値である第1波高値を検出する電圧センサと、
前記高周波センサ、前記電圧センサの検出値が入力され、複数の前記可変リアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記インピーダンス整合回路は、
前記高周波給電ラインと前記接地ラインとの間に配置される第1の可変リアクタンス素子と、
前記高周波給電ラインと前記第1負荷ラインとの間に配置される第2の可変リアクタンス素子と、
前記第1負荷ラインと前記第2負荷ラインとの間に配置される第3の可変リアクタンス素子と、
前記第2負荷ラインと前記接地ラインとの間に配置される第4の可変リアクタンス素子と、を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電圧センサは、
前記第1負荷ラインと前記接地ラインとの電位差の波高値である前記第1波高値を検出する第1電圧センサと、
前記第2負荷ラインと前記接地ラインとの電位差の波高値である第2波高値を検出する第2電圧センサと、を有する、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記電圧センサは、
前記第1負荷ラインと前記第2負荷ラインとの電位差の波高値である第3波高値を検出する第3電圧センサと、をさらに備える、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記インピーダンス整合回路は、
前記高周波給電ラインと前記接地ラインとの間に配置される第1の可変リアクタンス素子と、
前記高周波給電ラインと前記第1負荷ラインとの間に配置される第2の可変リアクタンス素子と、
前記第1負荷ラインと前記第2負荷ラインとの間に配置される第3の可変リアクタンス素子と、を有し、
前記第2負荷ラインと前記接地ラインとが接続される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記可変リアクタンス素子は、
キャパシタンスが調整可能な可変キャパシタ及び/又はインダクタンスが調整可能な可変インダクタである、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1の可変リアクタンス素子及び前記第2の可変リアクタンス素子は、可変キャパシタであり、
前記第3の可変リアクタンス素子及び前記第4の可変リアクタンス素子は、可変インダクタである、
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
一対の前記プラズマ電極は、対向配置され、
一対の前記プラズマ電極の間に、プラズマ生成空間を区画するプラズマ区画壁を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマを励起するための電極を有するプラズマ処理室と、前記電極に高周波電力を供給するための高周波電源と、入力端子と出力端子とを有し該入力端子に前記高周波電源が接続され前記出力端子に前記電極が接続されこれら入出力端子の間に接地電位部分が接続されるとともに前記プラズマ処理室と前記高周波電源とのインピーダンス整合を得るための整合回路と、を具備するプラズマ処理室ユニットを複数具備するプラズマ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、機差を調整可能なプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、高周波電源と、一対のプラズマ電極と、一対の前記プラズマ電極と前記高周波電源との間に配置される整合器と、を備え、前記整合器は、前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、接地される接地ラインと、一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、複数の可変リアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、少なくとも、前記第1負荷ラインと前記接地ラインとの電位差の波高値である第1波高値を検出する電圧センサと、前記高周波センサ、前記電圧センサの検出値が入力され、複数の前記可変リアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有する、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、機差を調整可能なプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】プラズマ電極に高周波電力を供給する回路の一例を示す回路図。
【
図3】プラズマ電極に高周波電力を供給する回路の他の一例を示す回路図。
【
図4】インピーダンス整合回路の一例を示す回路図。
【
図5】可変リアクタンス素子のリアクタンス容量、第1波高値、プラズマ強度の関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
〔基板処理装置〕
本実施形態に係る基板処理装置(プラズマ処理装置)100の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、基板処理装置100の構成例を示す概略図である。以下の説明において、基板処理装置100は、シリコン含有ガスと窒素含有ガスのプラズマとを用いてALD(Atomic Layer Deposition)プロセスで基板Wにシリコン窒化膜を形成する成膜装置である場合を例に説明する。
【0010】
基板処理装置100は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器1を有する。処理容器1の全体は、例えば石英により形成されている。処理容器1内の上端近傍には、石英により形成された天井板2が設けられており、天井板2の下側の領域が封止されている。処理容器1の下端の開口には、円筒体状に成形された金属製のマニホールド3がOリング等のシール部材4を介して連結されている。
【0011】
マニホールド3は、処理容器1の下端を支持しており、マニホールド3の下方から基板として多数枚(例えば25~150枚)の半導体ウエハ(以下「基板W」という。)を多段に載置したウエハボート5(基板保持具)が処理容器1内に挿入される。このように処理容器1内には、上下方向に沿って間隔を有して多数枚の基板Wが略水平に収容される。ウエハボート5は、例えば石英により形成されている。ウエハボート5は、3本のロッド6を有し(
図1では2本を図示する。)、ロッド6に形成された溝(図示せず)により多数枚の基板Wが支持される。
【0012】
ウエハボート5は、石英により形成された保温筒7を介してテーブル8上に載置されている。テーブル8は、マニホールド3の下端の開口を開閉する金属(ステンレス)製の蓋体9を貫通する回転軸10上に支持される。
【0013】
回転軸10の貫通部には、磁性流体シール11が設けられており、回転軸10を気密に封止し、且つ回転可能に支持している。蓋体9の周辺部とマニホールド3の下端との間には、処理容器1内の気密性を保持するためのシール部材12が設けられている。
【0014】
回転軸10は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム13の先端に取り付けられており、ウエハボート5と蓋体9とは一体として昇降し、処理容器1内に対して挿脱される。なお、テーブル8を蓋体9側へ固定して設け、ウエハボート5を回転させることなく基板Wの処理を行うようにしてもよい。
【0015】
また、基板処理装置100は、処理容器1内へ処理ガス、パージガス等の所定のガスを供給するガス供給部20(処理ガス供給部)を有する。
【0016】
ガス供給部20は、ガス供給管21,22,23を有する。ガス供給管21は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方へ屈曲されて垂直に延びる。ガス供給管21の垂直部分には、ウエハボート5のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、複数のガス孔21gが所定間隔で形成されている。各ガス孔21gは、水平方向にガスを吐出する。ガス供給管22は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方へ屈曲されて垂直に延びる。ガス供給管22の垂直部分には、ウエハボート5のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、複数のガス孔22gが所定間隔で形成されている。各ガス孔22gは、水平方向にガスを吐出する。ガス供給管23は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を貫通して設けられた短い石英管からなる。
【0017】
ガス供給管21は、その垂直部分(ガス孔21gが形成される垂直部分)が処理容器1内に設けられている。ガス供給管21には、ガス配管を介してガス供給源21aから処理ガス(原料ガス)が供給される。ガス配管には、流量制御器21b及び開閉弁21cが設けられている。これにより、ガス供給源21aからの処理ガスは、ガス配管及びガス供給管21を介して処理容器1内に供給される。なお、ガス供給源21aから供給される処理ガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスは、例えばDCS(ジクロロシラン、SiH2Cl2)である。
【0018】
ガス供給管22は、その垂直部分(ガス孔22gが形成される垂直部分)が後述するプラズマ生成空間に設けられている。ガス供給管22には、ガス配管を介してガス供給源22aから処理ガス(反応ガス、窒化ガス)が供給される。ガス配管には、流量制御器22b及び開閉弁22cが設けられている。これにより、ガス供給源22aからの処理ガスは、ガス配管及びガス供給管21を介してプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。なお、ガス供給源22aから供給される処理ガスは、例えば窒素含有ガスである。窒素含有ガスは、例えばNH3である。
【0019】
ガス供給管23には、ガス配管を介してパージガス供給源(図示せず)からパージガスが供給される。ガス配管(図示せず)には、流量制御器(図示せず)及び開閉弁(図示せず)が設けられている。これにより、パージガス供給源からのパージガスは、ガス配管及びガス供給管23を介して処理容器1内に供給される。なお、パージガス供給源から供給されるパージガスは、例えばアルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガスである。また、パージガスは、ガス供給管23を介して処理容器1内に供給される場合を説明したが、これに限定されず、パージガスはガス供給管21,22のいずれかを介して処理容器1内に供給されてもよい。
【0020】
処理容器1の側壁の一部には、プラズマ生成機構30が形成されている。プラズマ生成機構30は、ガス供給源22aからの処理ガスをプラズマ化する。
【0021】
プラズマ生成機構30は、プラズマ区画壁32と、一対のプラズマ電極33(
図1では1つを図示する。)と、給電ライン34と、整合器35と、同軸ケーブル36と、高周波電源37と、絶縁保護カバー38と、を備える。
【0022】
プラズマ区画壁32は、処理容器1の外壁に気密に溶接されている。プラズマ区画壁32は、例えば石英により形成される。プラズマ区画壁32は断面凹状をなし、処理容器1の側壁に形成された開口31を覆う。開口31は、ウエハボート5に支持されている全ての基板Wを上下方向にカバーできるように、上下方向に細長く形成される。プラズマ区画壁32により規定されると共に処理容器1内と連通する内側空間、すなわち、プラズマ生成空間には、処理ガスを吐出するためのガス供給管22が配置されている。なお、処理ガスを吐出するためのガス供給管21は、プラズマ生成空間の外の処理容器1の内側壁に沿った基板Wに近い位置に設けられている。
【0023】
一対のプラズマ電極33(
図1では1つを図示する。)は、それぞれ細長い形状を有し、プラズマ区画壁32の両側の壁の外面に、上下方向に沿って対向配置されている。各プラズマ電極33は、例えばプラズマ区画壁32の側面に設けられた保持部(図示せず)によって保持されている。各プラズマ電極33の下端には、給電ライン34が接続されている。
【0024】
給電ライン34は、各プラズマ電極33と整合器35とを電気的に接続する。図示の例では、給電ライン34は、一端が各プラズマ電極33の下端に接続されており、他端が整合器35と接続されている。
【0025】
整合器35は、インピーダンス整合回路510(後述する
図2参照)を有し、高周波電源37と基板処理装置100(一対のプラズマ電極33)とのインピーダンス整合を行う装置である。
【0026】
同軸ケーブル36は、整合器35と高周波電源37とを電気的に接続する。
【0027】
高周波電源37は、各プラズマ電極33の下端に、同軸ケーブル36、整合器35及び給電ライン34を介して接続され、一対のプラズマ電極33に例えば13.56MHzの高周波電力を供給する。これにより、プラズマ区画壁32により規定されたプラズマ生成空間内に、高周波電力が供給される。ガス供給管22から吐出された処理ガス(窒素含有ガス)は、高周波電力が供給されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。
【0028】
絶縁保護カバー38は、プラズマ区画壁32の外側に、該プラズマ区画壁32を覆うようにして取り付けられている。絶縁保護カバー38の内側部分には、冷媒通路(図示せず)が設けられており、冷媒通路に冷却された窒素(N2)ガス等の冷媒を流すことによりプラズマ電極33が冷却される。また、プラズマ電極33と絶縁保護カバー38との間に、プラズマ電極33を覆うようにシールド(図示せず)が設けられていてもよい。シールドは、例えば金属等の良導体により形成され、接地される。
【0029】
開口31に対向する処理容器1の側壁部分には、処理容器1内を真空排気するための排気口40(排気部)が設けられている。排気口40は、ウエハボート5に対応して上下に細長く形成されている。処理容器1の排気口40に対応する部分には、排気口40を覆うように断面U字状に成形された排気口カバー部材41が取り付けられている。排気口カバー部材41は、処理容器1の側壁に沿って上方に延びている。排気口カバー部材41の下部には、排気口40を介して処理容器1を排気するための排気管42が接続されている。排気管42には、処理容器1内の圧力を制御する圧力制御バルブ43及び真空ポンプ等を含む排気装置44が接続されており、排気装置44により排気管42を介して処理容器1内が排気される。
【0030】
処理容器1の周囲には、円筒体状の加熱機構50が設けられている。加熱機構50は、処理容器1及びその内部の基板Wを加熱する。加熱機構50は、処理容器1の温度が所望の温度となるように制御する。これにより、処理容器1内の基板Wは、処理容器1の壁面からの輻射熱等で加熱される。
【0031】
また、基板処理装置100は、制御部60を有する。制御部60は、例えば基板処理装置100の各部の動作の制御、例えば開閉弁21c,22cの開閉による各ガスの供給・停止、流量制御器21b,22bによるガス流量の制御、排気装置44による排気制御を行う。また、制御部60は、例えば高周波電源37による高周波電力のオン・オフ制御、加熱機構50による処理容器1及びその内部の基板Wの温度の制御を行う。また、制御部60は、整合器35の制御を行う。
【0032】
制御部60は、例えばコンピュータ等であってよい。また、基板処理装置100の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0033】
なお、
図1に示す基板処理装置100では、処理容器1の側方に設けられたプラズマ生成機構30で処理ガスのプラズマを生成し、活性化した処理ガスを処理容器1内の基板Wに供給する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。基板処理装置100は、処理容器1内で処理ガスのプラズマを生成し、活性化した処理ガスを処理容器1内の基板Wに供給する構成であってもよい。この場合、一対のプラズマ電極33は、処理容器1を挟んで対向して配置される。また、処理容器1の壁面がプラズマ生成空間を区画するプラズマ区画壁となる。
【0034】
〔基板処理装置の基板処理プロセス〕
次に、基板処理装置100の動作の一例について説明する。ここでは、シリコン含有ガスと、窒素含有ガスのプラズマと、を用いて、ALDプロセスで基板Wにシリコン窒化膜を形成する成膜プロセスを例に説明する。
【0035】
一例に示す成膜プロセスは、原料ガスを供給する工程、第1のパージ工程、窒化工程、第2のパージ工程、を所定サイクル繰り返し、基板Wにシリコン窒化膜を形成する。なお、各工程において、ガス供給管23からパージガスであるN2ガスが成膜プロセス中に常時(連続して)供給されている。
【0036】
原料ガスを供給する工程は、シリコン含有ガスを処理容器1内に供給する工程である。原料ガスを供給する工程では、制御部60は、開閉弁21cを開き、ガス供給源21aからガス供給管21を経て処理容器1内にシリコン含有ガスを供給する。これにより、基板Wの表面にシリコン含有ガスが吸着される。
【0037】
第1のパージ工程は、処理容器1内の余剰のシリコン含有ガス等をパージする工程である。第1のパージ工程では、制御部60は、開閉弁21cを閉じ、シリコン含有ガスの供給を停止する。これにより、ガス供給管23から常時供給されているパージガスが処理容器1内の余剰のシリコン含有ガス等をパージする。
【0038】
窒化工程は、窒素含有ガスのプラズマを生成して、窒素(N)を含む活性種(イオン、ラジカル等)を処理容器1内に供給する工程である。窒化工程では、制御部60は、開閉弁22cを開き、ガス供給源22aからガス供給管22を経てプラズマ区画壁32内のプラズマ生成空間に窒素含有ガスを供給する。また、制御部60は、高周波電源37を制御して、プラズマ電極33に高周波電力を供給し、プラズマ区画壁32内のプラズマ生成空間にプラズマを生成する。即ち、プラズマ生成空間で窒素(N)を含む活性種を生成し、開口31から処理容器1内に供給する。これにより、基板Wの表面に吸着されたシリコン含有ガスを窒化し、基板Wの表面にシリコン窒化膜を形成する。
【0039】
第2のパージ工程は、処理容器1内の余剰の窒素含有ガス等をパージする工程である。第2のパージ工程では、制御部60は、開閉弁22cを閉じ、窒素含有ガスの供給を停止する。また、制御部60は、高周波電源37を制御して、高周波電力の供給を停止し、プラズマ生成を停止する。これにより、ガス供給管23から常時供給されているパージガスが処理容器1内の余剰の窒素含有ガス等をパージする。
【0040】
以上の原料ガスを供給する工程、第1のパージ工程、窒化工程、及び、第2のパージ工程を1サイクルとし、所定のサイクル数を繰り返すことで、基板Wに所望の膜厚のシリコン窒化膜を形成する。
【0041】
なお、成膜プロセスは、シリコン窒化膜の面内膜厚の均一性、シリコン窒化膜の膜質改善を行うために、改質工程を含んでいてもよい。
【0042】
改質工程は、改質ガス(例えば水素ガス)のプラズマを生成して改質ガスの活性種(イオン、ラジカル等)を処理容器1内に供給する工程である。改質工程では、制御部60は、改質ガス供給源(図示せず)からガス供給管22を経てプラズマ区画壁32内のプラズマ生成空間に改質ガスを供給する。なお、改質ガスは、例えば水素(H2)ガスである。また、制御部60は、高周波電源37を制御して、プラズマ電極33に高周波電力を供給し、プラズマ区画壁32内のプラズマ生成空間にプラズマを生成する。即ち、プラズマ生成空間で改質ガスの活性種を生成し、開口31から処理容器1内に供給する。これにより、基板Wの表面に形成されたシリコン窒化膜を改質する。
【0043】
なお、改質工程は、プラズマを用いて活性化した改質ガスを処理容器1内に供給する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。改質工程は、改質ガスを処理容器1内に供給する構成であってもよい。
【0044】
このように、プラズマ生成空間に生成されるプラズマは、窒化工程、改質工程等に用いられる。
【0045】
ここで、基板処理装置100は、物理公差や設置誤差に起因する機差を有する。例えば、一対のプラズマ電極33の電極間距離、一方のプラズマ電極33(
図2で後述するプラズマ電極331)から接地される加熱機構50(又は接地されるシールド)までの距離、他方のプラズマ電極33(
図2で後述するプラズマ電極332)から接地される加熱機構50(又は接地されるシールド)までの距離、一対のプラズマ電極33の間に配置されるプラズマ区画壁32の厚さ等に機差を有する。
【0046】
これらの機差によって、プラズマ区画壁32内のプラズマ生成空間に生成されるプラズマ39(後述する
図2参照)の状態に影響を及ぼすおそれがある。更に、生成されたプラズマ39の状態によって、基板Wに形成される膜(シリコン窒化膜)のプロセス結果(例えば、膜厚、膜質等)に影響を及ぼすおそれがある。
【0047】
このため、機差を調整可能な基板処理装置100が求められている。具体的には、基板処理装置100の機差によるプロセス結果の影響を、整合器35によって調整可能な基板処理装置100が求められている。
【0048】
〔整合器〕
次に、整合器35について、
図2を用いて更に説明する。
図2は、プラズマ電極33に高周波電力を供給する回路の一例を示す回路図である。なお、
図2において、信号の流れを破線矢印で図示している。
【0049】
プラズマ電極33は、一方のプラズマ電極331及び他方のプラズマ電極332を有する。一対のプラズマ電極331,332は、プラズマ区画壁32の外側に対向配置されている。プラズマ区画壁32の内側には、プラズマ39を生成するプラズマ生成空間が形成されている。
【0050】
高周波電源37は、電源410と、高周波センサ420と、電源制御部430と、を備える。また、高周波電源37は、高周波ライン451を含む。
【0051】
高周波ライン451は、電源410から高周波電力が出力される。
【0052】
電源410は、例えば、高周波発振器と、アンプと、を含む。高周波発振器は、所定の周波数(例えば、13.56MHz)の正弦波または基本波を発生する発振器である。アンプは、高周波発振器より出力される正弦波または基本波のパワーを可変制御可能な利得または増幅率で増幅するアンプである。電源410は、電源制御部430によって制御される。
【0053】
高周波(RF(radio frequency))センサ420は、高周波ライン451上に設けられ、高周波電源37から出力される高周波電力を検出する。また、高周波センサ420は、高周波ライン451上に方向性結合器を備える。高周波センサ420は、高周波ライン451上を順方向に、即ち、高周波電源37から整合器35に伝搬する進行波の電力PF1を検出する。また、高周波センサ420は、高周波ライン451上を逆方向に、即ち、整合器35から高周波電源37に伝搬する反射波の電力RF1を検出する。そして、高周波センサ420は、検出結果を電源制御部430に出力する。
【0054】
電源制御部430は、制御部60からの制御信号にしたがって電源410を制御する。また、電源制御部430は、高周波センサ420で検出した検出結果にしたがって、電源410を制御する。また、電源制御部430は、高周波センサ420で検出した検出結果を制御部60に出力する。
【0055】
同軸ケーブル36は、高周波電源37と整合器35とを接続する。具体的には、同軸ケーブル36の内部導体(芯線)は、高周波電源37の高周波ライン451と整合器35の高周波給電ライン551と、を接続する。また、同軸ケーブル36の外部導体(シールド)は、接地されている。
【0056】
整合器35は、インピーダンス整合回路510と、高周波センサ520と、電圧センサ530と、整合器制御部540と、を備える。また、整合器35は、高周波給電ライン551と、接地ライン552と、第1負荷ライン553と、第2負荷ライン554と、を含む。
【0057】
高周波給電ライン551は、同軸ケーブル36を介して、高周波電源37の高周波ライン451と接続される。即ち、高周波給電ライン551は、高周波電源37から高周波電力が供給されるラインである。
【0058】
接地ライン552は、接地されるラインである。
【0059】
第1負荷ライン553は、給電ライン341を介して、一方のプラズマ電極331と接続される。第2負荷ライン554は、給電ライン342を介して、他方のプラズマ電極332と接続される。
【0060】
インピーダンス整合回路510は、複数の可変リアクタンス素子511~514を有する。また、インピーダンス整合回路510は、高周波給電ライン551、接地ライン552、第1負荷ライン553及び第2負荷ライン554と接続される。
【0061】
第1の可変リアクタンス素子511は、高周波給電ライン551と接地ライン552との間に配置される。第2の可変リアクタンス素子512は、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との間に配置される。第3の可変リアクタンス素子513は、高周波給電ライン551と第1負荷ライン553との間に配置される。第4の可変リアクタンス素子514は、接地ライン552と第2負荷ライン554との間に配置される。
【0062】
第1の可変リアクタンス素子511は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第1の可変リアクタンス素子511には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第1の可変リアクタンス素子511のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0063】
なお、第2の可変リアクタンス素子512は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第2の可変リアクタンス素子512には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第2の可変リアクタンス素子512のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0064】
なお、第3の可変リアクタンス素子513は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第3の可変リアクタンス素子513には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第3の可変リアクタンス素子513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0065】
なお、第4の可変リアクタンス素子514は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第4の可変リアクタンス素子514には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第4の可変リアクタンス素子514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0066】
高周波(RF(radio frequency))センサ520は、高周波給電ライン551上に設けられ、高周波電源37から供給される高周波電力を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上に方向性結合器を備える。高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を順方向に、即ち、高周波電源37から整合器35に伝搬する進行波の電力PF2を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を逆方向に、即ち、整合器35から高周波電源37に伝搬する反射波の電力RF2を検出する。そして、高周波センサ520は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0067】
電圧センサ530は、第1電圧センサ531と、第2電圧センサ532と、第3電圧センサ533と、を含む。
【0068】
第1電圧センサ531は、第1負荷ライン553と接地ライン552との電位差を検出し、この電位差の波高値を検出する。以下、第1電圧センサ531で検出された波高値を第1波高値Vpp1とも称する。そして、第1電圧センサ531は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0069】
第2電圧センサ532は、第2負荷ライン554と接地ライン552との電位差を検出し、この電位差の波高値を検出する。以下、第2電圧センサ532で検出された波高値を第2波高値Vpp2とも称する。そして、第2電圧センサ532は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0070】
第3電圧センサ533は、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との電位差を検出し、この電位差の波高値を検出する。以下、第3電圧センサ533で検出された波高値を第3波高値Vpp3とも称する。そして、第3電圧センサ533は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0071】
なお、
図2に示す電圧センサ530は、第1電圧センサ531、第2電圧センサ532、第3電圧センサ533の3つを含むものとして説明したが、これに限られるものではない。第3電圧センサ533を省略してもよい。この場合、整合器制御部540は、第1電圧センサ531で検出した電位差と第2電圧センサ532で検出した電位差との差分から、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との電位差を算出し、第3波高値Vpp3を算出してもよい。同様に、電圧センサ530は、第1電圧センサ531、第2電圧センサ532、第3電圧センサ533のうち、少なくとも2つを含む構成であってもよい。
【0072】
整合器制御部540は、制御部60からの制御信号にしたがって、インピーダンス整合回路510の可変リアクタンス素子511~514を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530(第1電圧センサ531、第2電圧センサ532、第3電圧センサ533)で検出した検出結果にしたがって、インピーダンス整合回路510の可変リアクタンス素子511~514を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530で検出した検出結果を制御部60に出力する。
【0073】
給電ライン34は、給電ライン341及び給電ライン342を含む。給電ライン341は、整合器35の第1負荷ライン553と一方のプラズマ電極331とを接続する。給電ライン342は、整合器35の第2負荷ライン554と他方のプラズマ電極332とを接続する。
【0074】
このような構成により、整合器35は、整合器制御部540によって可変リアクタンス素子511~514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御可能に構成されている。
【0075】
このため、整合器制御部540は、高周波センサ520の検出結果に基づいて、反射波の電力RF2が低減する(ゼロに近づく)ように、可変リアクタンス素子511~514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。換言すれば、整合器制御部540は、インピーダンス整合回路510を含む負荷側のインピーダンスが所定のインピーダンスとなるように、可変リアクタンス素子511~514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。
【0076】
加えて、整合器制御部540は、電圧センサ530の検出結果に基づいて、第1波高値Vpp1(即ち、一方のプラズマ電極331の波高値)が所定の設定値となるように、可変リアクタンス素子511~514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。
【0077】
更に、整合器制御部540は、電圧センサ530の検出結果に基づいて、第2波高値Vpp2(即ち、他方のプラズマ電極332の波高値)が所定の設定値となるように、可変リアクタンス素子511~514のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。
【0078】
換言すれば、
図2に示す整合器35は、インピーダンス整合を図るとともに、一方のプラズマ電極331の波高値(第1波高値Vpp1)及び他方のプラズマ電極332の波高値(第2波高値Vpp2)を調整することができる。また、プラズマ電極331,332間の電圧の波高値(第3波高値Vpp3)を調整することができる。これにより、基板処理装置100の機差によるプラズマ39の状態の差異を抑制することができる。また、基板処理装置100の機差によるプロセス結果の影響を、整合器35によって低減することができる。
【0079】
なお、整合器35の構成は、
図2に示すものに限られるものではない。他の整合器35Aについて、
図3を用いて更に説明する。
図3は、プラズマ電極33に高周波電力を供給する回路の他の一例を示す回路図である。なお、
図3において、信号の流れを破線矢印で図示している。
【0080】
図3に示す基板処理装置100の回路図は、
図2に示す基板処理装置100の回路図と比較して、整合器35Aが異なっている。その他の構成は同様であり、重複する説明を省略する。
【0081】
整合器35Aは、インピーダンス整合回路510Aと、高周波センサ520と、電圧センサ530Aと、整合器制御部540と、を備える。また、整合器35Aは、高周波給電ライン551と、接地ライン552と、第1負荷ライン553と、第2負荷ライン554と、を含む。
【0082】
高周波給電ライン551は、同軸ケーブル36を介して、高周波電源37の高周波ライン451と接続される。即ち、高周波給電ライン551は、高周波電源37から高周波電力が供給されるラインである。
【0083】
接地ライン552は、接地されるラインである。
【0084】
第1負荷ライン553は、給電ライン341を介して、一方のプラズマ電極331と接続される。第2負荷ライン554は、給電ライン342を介して、他方のプラズマ電極332と接続される。
【0085】
インピーダンス整合回路510Aは、複数の可変リアクタンス素子511~513を有する。また、インピーダンス整合回路510Aは、高周波給電ライン551、接地ライン552、第1負荷ライン553及び第2負荷ライン554と接続される。
【0086】
第1の可変リアクタンス素子511は、高周波給電ライン551と接地ライン552との間に配置される。第2の可変リアクタンス素子512は、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との間に配置される。第3の可変リアクタンス素子513は、高周波給電ライン551と第1負荷ライン553との間に配置される。また、接地ライン552と第2負荷ライン554とが接続される。
【0087】
第1の可変リアクタンス素子511は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第1の可変リアクタンス素子511には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第1の可変リアクタンス素子511のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0088】
なお、第2の可変リアクタンス素子512は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第2の可変リアクタンス素子512には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第2の可変リアクタンス素子512のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0089】
なお、第3の可変リアクタンス素子513は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタであってもよく、インダクタンスが調整可能な可変インダクタであってもよく、可変キャパシタ及び可変インダクタの組み合わせであってもよい。また、第3の可変リアクタンス素子513には、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。第3の可変リアクタンス素子513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスは、整合器制御部540によって制御される。
【0090】
高周波(RF(radio frequency))センサ520は、高周波給電ライン551上に設けられ、高周波電源37から供給される高周波電力を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上に方向性結合器を備える。高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を順方向に、即ち、高周波電源37から整合器35Aに伝搬する進行波の電力PF2を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を逆方向に、即ち、整合器35Aから高周波電源37に伝搬する反射波の電力RF2を検出する。そして、高周波センサ520は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0091】
電圧センサ530Aは、第1電圧センサ531を含む。
【0092】
第1電圧センサ531は、第1負荷ライン553と接地ライン552との電位差を検出し、この電位差の波高値を検出する。以下、第1電圧センサ531で検出された波高値を第1波高値Vpp1とも称する。そして、第1電圧センサ531は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0093】
なお、
図3に示す基板処理装置100の回路図の構成では、第2負荷ライン554は、接地ライン552と接続されている。このため、おり、第2波高値Vpp2はゼロであり、第3波高値Vpp3は第1波高値Vpp1と等しい。
【0094】
整合器制御部540は、制御部60からの制御信号にしたがって、インピーダンス整合回路510Aの可変リアクタンス素子511~513を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530A(第1電圧センサ531)で検出した検出結果にしたがって、インピーダンス整合回路510Aの可変リアクタンス素子511~513を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530Aで検出した検出結果を制御部60に出力する。
【0095】
このような構成により、整合器35Aは、整合器制御部540によって可変リアクタンス素子511~513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御可能に構成されている。
【0096】
このため、整合器制御部540は、高周波センサ520の検出結果に基づいて、反射波の電力RF2が低減する(ゼロに近づく)ように、可変リアクタンス素子511~513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。換言すれば、整合器制御部540は、インピーダンス整合回路510Aを含む負荷側のインピーダンスが所定のインピーダンスとなるように、可変リアクタンス素子511~513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。
【0097】
加えて、整合器制御部540は、電圧センサ530Aの検出結果に基づいて、第1波高値Vpp1(即ち、一方のプラズマ電極331の波高値)が所定の設定値となるように、可変リアクタンス素子511~513のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを制御する。
【0098】
換言すれば、
図3に示す整合器35Aは、インピーダンス整合を図るとともに、プラズマ電極331,332間の電圧の波高値(第1波高値Vpp1)を調整することができる。これにより、基板処理装置100の機差によるプラズマ39の状態の差異を抑制することができる。また、基板処理装置100の機差によるプロセス結果の影響を、整合器35Aによって低減することができる。
【0099】
〔インピーダンス整合回路〕
次に、インピーダンス整合回路510の一例について、
図4を用いて説明する。
図4は、インピーダンス整合回路510の一例を示す回路図である。
【0100】
図4に示す例において、第1の可変リアクタンス素子511は、キャパシタンスC1が調整可能な可変キャパシタである。第2の可変リアクタンス素子512は、キャパシタンスC2が調整可能な可変キャパシタである。第3の可変リアクタンス素子513は、インダクタンスL1が調整可能な可変インダクタである。第4の可変リアクタンス素子514は、インダクタンスL2が調整可能な可変インダクタである。
【0101】
図5は、第3の可変リアクタンス素子513のインダクタンスL1、第1波高値Vpp1、プラズマ強度の関係の一例を示す図である。
【0102】
ここでは、整合器制御部540は、第3の可変リアクタンス素子513のインダクタンスL1を変化させるとともに、インピーダンス整合を図るように他の可変リアクタンス素子511,512,514を制御する。
【0103】
図5に示すように、第3の可変リアクタンス素子513のインダクタンスL1が小から大に増大するほど、第1波高値Vpp1が小から大に増大することを示す。また、第3の可変リアクタンス素子513のインダクタンスL1が小から大に増大するほど、プラズマ強度が強から弱に減少することを示す。
【0104】
このように、整合器35は、インピーダンス整合回路510の各可変リアクタンス素子511~514を制御することにより、第1波高値Vpp1、プラズマ強度を制御することができる。
【0105】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 処理容器
20 ガス供給部
21,22,23 ガス供給管
30 プラズマ生成機構
31 開口
32 プラズマ区画壁
33,331,332 プラズマ電極
34,341,342 給電ライン
35,35A 整合器
36 同軸ケーブル
37 高周波電源
38 絶縁保護カバー
39 プラズマ
40 排気口
50 加熱機構
60 制御部
100 基板処理装置(プラズマ処理装置)
410 電源
420 高周波センサ
430 電源制御部
451 高周波ライン
510,510A インピーダンス整合回路
511~514 可変リアクタンス素子
520 高周波センサ
530~533,530A 電圧センサ
540 整合器制御部
551 高周波給電ライン
552 接地ライン
553 第1負荷ライン
554 第2負荷ライン