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特開2024-167075受信装置、送信装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167075
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】受信装置、送信装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/434 20110101AFI20241122BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20241122BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20241122BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20241122BHJP
【FI】
H04N21/434
H04N21/442
H04H20/28
H04H40/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080639
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2023082840
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】井口 和久
(72)【発明者】
【氏名】岩村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雄一
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164MB13S
5C164SB15S
5C164SC03S
5C164SC04S
5C164TA04S
5C164UB11P
5C164UB21S
5C164UB41P
5C164YA08
5C164YA09
5C164YA10
(57)【要約】
【課題】個人情報を保護しながら視聴者の嗜好に合った映像の視聴を可能にしつつ、映像切り替えに伴う不具合も抑制可能とする。
【解決手段】受信装置は、マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている受信手段と、前記複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報に基づいて、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段と、前記選択手段により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている受信手段と、
前記複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報に基づいて、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段と、
前記選択手段により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号手段と、を備える
受信装置。
【請求項2】
視聴者の視聴番組に関する個人情報を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記番組情報及び前記個人情報に基づいて前記自動選択を行う
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記個人情報は、視聴者の過去の視聴番組に関する視聴履歴を含み、
前記選択手段は、現在の番組視聴条件に対応する前記過去の視聴番組の番組分類を前記視聴履歴に基づいて特定し、特定した番組分類に対応するレイヤを前記番組情報に基づいて前記複数のレイヤの中から選択する
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記複数のレイヤは、
メイン番組映像が符号化されたベースレイヤと、
前記メイン番組映像との差し替えが可能な差し替え番組映像が前記ベースレイヤと独立したレイヤとして符号化された1つ又は複数のエンハンスメントレイヤと、を含む
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項5】
前記受信手段は、
前記ベースレイヤのビットストリーム及び前記番組情報を、放送伝送路を介して受信し、
前記選択手段により選択されたエンハンスメントレイヤのビットストリームを、通信伝送路を介して受信する
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリームを生成し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている符号化手段と、
前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を前記複数のレイヤのビットストリームに多重化する多重化手段と、
前記多重化手段の出力信号を受信側に送信する送信手段と、を備え、
前記番組情報は、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを受信側で選択する自動選択を行うために用いられる
送信装置。
【請求項7】
前記複数のレイヤは、
メイン番組映像が符号化されたベースレイヤと、
前記メイン番組映像との差し替えが可能な差し替え番組映像が前記ベースレイヤと独立したレイヤとして符号化された1つ又は複数のエンハンスメントレイヤと、を含む
請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記送信手段は、
前記ベースレイヤのビットストリーム及び前記番組情報を、放送伝送路を介して送信し、
受信側で選択されたエンハンスメントレイヤのビットストリームを、通信伝送路を介して送信する
請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項1に記載の受信装置又は請求項6に記載の送信装置として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、送信装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットでは、CookieのようなWeb閲覧者のWebサイトの閲覧情報や購買情報を蓄積する技術があり、通信の双方向性を利用してその蓄積情報をもとに閲覧者の嗜好にあった広告を配信するターゲッティング広告手法が導入されている。
【0003】
一方、片方向の情報伝達手段である放送を代表とする映像配信システムでは、送信側において個人の嗜好を取得することが技術的に不可能であるため、時間帯や放送番組の視聴動向調査などをもとにした視聴者の代表的な層を想定して広告が配信されている。
【0004】
しかしながら、受信装置においては視聴履歴などの番組視聴に関する個人情報はすでに収集されており、ハイブリッドキャストやデータ放送などの一部の放送技術では、テレビ受信装置に通信ネットワークを接続することにより、匿名化するなど他の情報と容易に照合できない形にした非特定視聴履歴として放送局で取得し、番組作りや番組編成に活用している。
【0005】
また、ハイブリッドキャストの応用技術では、特定の時間帯に、放送波による番組ではなく特定の視聴者をターゲットとした番組(例えばCM)をインターネット経由でテレビ受信装置に配信・ダウンロードし、放送番組を差し替えて表示する技術などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-136480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の放送技術では、放送番組の一部として事前に設定された番組がサービス範囲内の視聴者に一律に放送されており、視聴者個々人をターゲットとした広告の手法は用いられていない。また、番組の予告なども、時間帯などを考慮して視聴者を想定し、想定した視聴者の好みを想定した広告を提示しているが、個別の視聴者の趣味嗜好を反映していない。
【0008】
また、Cookieを使用した手法は、受信側に保存されている個人情報がサーバの求めに応じて送信されることから、セキュリティ上の懸念になっており、個人情報を保護した形での個人適応の映像配信技術が求められている。
【0009】
また、ハイブリッドキャストの場合、放送されている符号化データと無関係に事前に符号化されたストリームをダウンロードし、通常の番組からストリームを強制的に切り替えることで復号処理しなければならないため、切り替えの際に符号化信号の論理的不連続が生じ、映像乱れなどが生じるため、受信装置側では内蔵する黒画面の挿入などが必要となり得る。
【0010】
そこで、本発明は、個人情報を保護しながら視聴者の嗜好に合った映像の視聴を可能にしつつ、映像切り替えに伴う不具合も抑制可能な受信装置、送信装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様に係る受信装置は、マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている受信手段と、前記複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報に基づいて、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段と、前記選択手段により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号手段と、を備える。
【0012】
第2の態様に係る送信装置は、マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリームを生成し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている符号化手段と、前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を前記複数のレイヤのビットストリームに多重化する多重化手段と、前記多重化手段の出力信号を受信側に送信する送信手段と、を備える。前記番組情報は、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを受信側で選択する自動選択を行うために用いられる。
【0013】
第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを第1の態様に係る受信装置又は第1の態様に係る送信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、個人情報を保護しながら視聴者の嗜好に合った映像の視聴を可能にしつつ、映像切り替えに伴う不具合も抑制可能な受信装置、送信装置、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る映像配信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る送信装置の構成を示す図である。
図3】実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
図4】実施形態に係る送信装置の第1変更例を示す図である。
図5】実施形態に係る受信装置の第1変更例を示す図である。
図6】実施形態に係る送信装置の第2変更例を示す図である。
図7】実施形態に係る受信装置の第2変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、実施形態に係る映像配信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0017】
(1)実施形態の概要
従来の放送の映像伝送では、基本的に1チャンネルに1映像しか伝送できないモードを用いており、且つ、視聴者の嗜好を把握できないため、視聴者の嗜好に適した番組を配信することが難しい課題があった。通信を用いた映像配信サービスにおいてはCookieを用いて個人情報を取得しているが、個人情報保護の観点からCookieの利用を停止すると、やはり個人情報を取得困難であり、一般的な情報のダウンロードを促すことしかできない。
【0018】
近年、複数映像をまとめて符号化するマルチレイヤ符号化の実用性が高まってきている。マルチレイヤ符号化に対応する映像符号化方式としては、MPEG(Moving Picture Experts Group)によって標準化されたHEVC(High Efficiency Video Coding)やVVC(Versatile Video Coding)、MPEG-5 Part2 LCEVC(Low Complexity Enhancement Video Codec)が用いられてもよい。HEVCは、ISO/IEC 23008-2、勧告ITU-T H.265、VVCは、ISO/IEC 23090-3、勧告ITU-T H.266で規定される方式であると考えてもよい。LCEVCは、ISO/IEC 23094-2で規定される方式であると考えてもよい。HEVCやVVC、LCEVCでは、2K/4Kの2レイヤの解像度に関するスケーラビリティに加えて、2K/4K/8Kの3レイヤの解像度に関するスケーラビリティがサポートされ、アップコンバートではなくエンハンスメントレイヤをテロップやサブ映像等の付加情報の重畳に用いることもサポートされ得る。
【0019】
マルチレイヤ符号化においては、符号化対象の複数の入力映像をレイヤ構造で符号化する。具体的には、マルチレイヤ符号化は、複数の映像をそれぞれ1つの映像の層として取り扱うことで、1つの符号化ストリームとして複数の映像をまとめて符号化可能な技術である。一般的なマルチレイヤ符号化では、最も下位のレイヤであるベースレイヤをまず符号化し、ベースレイヤの復号映像を上位のレイヤであるエンハンスメントレイヤの符号化処理による予測に用いることで、上位のレイヤの予測効率が向上し、それぞれを独立して符号化する場合に比べて符号化効率が向上する。例えば、マルチレイヤ符号化に対応する映像符号化方式では、ベースレイヤとして低解像度映像を符号化し、低解像度映像の復号画像を用いて高解像度映像であるエンハンスメントレイヤを符号化する空間スケーラブル符号化が適用され得る。空間スケーラブル符号化では、例えば、送信装置100は、2K解像度の映像をベースレイヤとして符号化し、2K解像度の映像を用いて4K解像度の映像の予測処理を行い、高解像度映像と予測画像との差分情報を予測情報とともにエンハンスメントレイヤとして符号化してもよい。また、ベースレイヤとエンハンスメントレイヤの解像度を同じにしてベースレイヤの差分をエンハンスメントレイヤとして符号化してもよい。
【0020】
本実施形態では、上述の課題を解決するために、ベースレイヤとして広いターゲット層に向けた番組映像を配信するとともに、エンハンスメントレイヤとして順次優先度の高い異なる番組映像を配信可能とする。本実施形態に係る映像配信システムでは、エンハンスメントレイヤの入力としてベースレイヤとは異なる映像を入力するが、ベースレイヤとはコンテンツ(番組)が異なる映像が入力されることを想定し、マルチレイヤ符号化における独立レイヤ(例えば、VVCにおけるindependent layer)として符号化し、復号側の内部状態の依存関係を保持したまま独立した映像として符号化を行う。
【0021】
具体的には、本実施形態に係る送信装置は、マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリームを生成し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている符号化手段と、前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を前記複数のレイヤのビットストリームに多重化する多重化手段と、前記多重化手段の出力信号を受信側に送信する送信手段と、を備える。前記番組情報は、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを受信側で選択する自動選択を行うために用いられる。
【0022】
また、本実施形態に係る受信装置は、マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている受信手段と、前記複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報に基づいて、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段と、前記選択手段により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号手段と、を備える。
【0023】
このような送信装置及び受信装置によれば、マルチレイヤ符号化によって複数の番組映像を1つの符号化ストリームとして1つのチャンネルで配信でき、多様なニーズに適した選択肢を視聴者に与えることができるため、視聴者個人の嗜好に適した映像の視聴を実現できる。また、独立レイヤ(Independent layer)は異なる映像を独立して符号化するものであるため、マルチレイヤ符号化の特徴の一つである映像間の信号の冗長性を削減することによる映像信号の圧縮効果を得ることはできないが、1つの符号化ストリームとして複数の映像を復号できることから、復号側において信号の不連続によるエラー回避処理(例えば、黒挿入や復号処理のリセット)に起因する信号乱れを生じさせない効果がある。
【0024】
また、伝送されるストリームには、各レイヤの番組分類を示す番組情報が多重化されている。例えば、各レイヤには番組映像の分類(例えば、ニュース、音楽、文化、アニメなど)を示す分類コードを付与されている。受信装置では、例えば内部に保存されている個人情報(視聴履歴など)としての分類情報をもとに、最も関心が近いと思われるレイヤを選択し、選択したレイヤの復号映像を出力する。これによって、個人情報は受信装置の中から出ることなく、個人の嗜好に最も適した番組提供を実現する。
【0025】
よって、本実施形態に係る送信装置及び受信装置は、個人情報を保護しながら視聴者の嗜好に合った映像の視聴を可能にしつつ、映像切り替えに伴う不具合も抑制可能である。
【0026】
(2)映像配信システム
図1は、本実施形態に係る映像配信システム10の構成を示す図である。本実施形態に係る映像配信システム10は、送信装置100と、受信装置200とを有する。
【0027】
送信装置100は、伝送路500を介して番組映像を受信装置200に配信する。本実施形態では、伝送路500は、片方向の伝送を行う放送伝送路である。なお、伝送路500は、双方向の伝送が可能な通信伝送路であってよく、通信伝送路がインターネットを含んでもよいが、本実施形態では、通信伝送路の特徴である双方向性を用いないため、放送伝送路を用いた映像配信サービスを例に説明する。
【0028】
映像配信システム10では、マルチレイヤ符号化に対応する映像符号化方式が採用されている。マルチレイヤ符号化に対応する映像符号化方式は、VVCであってもよい。但し、VVCに限定されるものではなく、HEVCやLCEVCのマルチレイヤ拡張が用いられてもよい。
【0029】
映像配信システム10では、伝送方式として、RTP(Realtime Transport Protocol)が採用されてもよく、MMT(MPEG Media Transport)が採用されてもよい。RTPは、IETF RFC 3550で規定される方式であると考えてもよい。MMTは、ISO/IEC 23008-1で規定される方式であると考えてもよく、ARIB STD-B60で規定される方式であると考えてもよい。或いは、伝送方式として、MPEG-DASHが採用されてもよく、MPEG-TS(Transport Stream)が採用されてもよい。
【0030】
(3)送信装置
図2は、本実施形態に係る送信装置100の構成を示す図である。本実施形態に係る送信装置100は、マルチレイヤ符号化部110と、制御部120と、多重化部130と、送信部140とを有する。
【0031】
マルチレイヤ符号化部110は、マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリームを生成する符号化手段の一例である。マルチレイヤ符号化部110は、ベースレイヤ(「BL」とも表記する)の符号化を行うBL符号化部111と、エンハンスメントレイヤ(「EL」とも表記する)の符号化を行うEL符号化部112と、を有する。図示の例では、マルチレイヤ符号化部110が3つのEL符号化部112a乃至112cを有しているが、これに限定されない。EL符号化部112は1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。本実施形態では、マルチレイヤ符号化部110は、BL及び各ELを独立レイヤとして符号化するため、BL符号化部111及び各EL符号化部112を個別の符号化部として図示している。
【0032】
本実施形態では、マルチレイヤ符号化部110は、BLとして、広いターゲット層に向けた番組映像(「メイン番組」とも称する)を符号化する。また、マルチレイヤ符号化部110は、ELとして、順次優先度の高い異なる番組映像を配信可能とする。ここで、マルチレイヤ符号化部110は、各レイヤをマルチレイヤ符号化における独立レイヤ(independent layer)として符号化する。
【0033】
本実施形態では、各ELには、メイン番組映像との差し替えが可能な差し替え番組映像がBLと独立したレイヤとして符号化される。差し替え番組は、広告コンテンツであってもよい。広告コンテンツは、商品又はサービスの広告(いわゆる、CM)であってもよいし、別の番組についての告知であってもよい。図示の例では、BL符号化部111がメイン番組を符号化してBLビットストリームを制御部120に出力し、EL符号化部112aが差し替え番組aを符号化してELビットストリームaを制御部120に出力し、EL符号化部112bが差し替え番組bを符号化してELビットストリームbを制御部120に出力し、EL符号化部112cが差し替え番組cを符号化してELビットストリームcを制御部120に出力している。説明のためそれぞれの符号化部の出力をそれぞれ制御部120への入力としているが符号化部でプロトコルに則り1本の符号化ビットストリームとして制御部120へ出力し、制御部120において個別に処理してもよい。
【0034】
また、現在のデジタル放送では、スポーツ中継などの中継番組の延伸によるマルチ編成放送が行われている。マルチ編成放送では、同じチャンネルを2つのサブチャンネルに分割して映像配信し、サブチャンネル1で中継番組を継続しながら、サブチャンネル2で番組編成通りの番組(例えば、ニュース番組)も同時に放送する。このような場合において、マルチレイヤ符号化部110は、BLで中継番組を、ELで番組編成通りの番組をそれぞれ符号化してもよい。受信装置200では、例えばスポーツ中継を視聴していたらそのままスポーツ中継のサブチャンネルに自動選局したり、例えばマルチ編成放送途中でチャンネルを選局したり、その時間帯にニュースを視聴したりする習慣があることが視聴者の視聴履歴からわかる場合、自動的にサブチャンネル2を選局するなどユーザーに操作を求めることなくユーザーに適した番組を提示することができる。なお、現状のマルチ編成放送の場合、初期設定されたサブチャンネル1には自動で切り替わる一方で、サブチャンネル2への切り替えは手動操作を求められ、サブチャンネル切り替えが分かり難いという問題があるが、それがある程度解決される。
【0035】
制御部120は、マルチレイヤ符号化部110が出力する各レイヤのビットストリームを蓄積し、番組送出スケジュールにしたがったタイミングにてマルチレイヤビットストリームを多重化部130に出力する。このような構成の場合、制御部120は、マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリーム(マルチレイヤビットストリーム)を生成する符号化手段の一部を構成してもよい。
【0036】
或いは、マルチレイヤ符号化部110がメイン番組及び差し替え番組を入力としてマルチレイヤ符号化により1つのマルチレイヤビットストリームを制御部120に出力する構成である場合、制御部120は、マルチレイヤ符号化部110が出力する各レイヤのビットストリームを蓄積し、番組送出スケジュールにしたがったタイミングにてマルチレイヤビットストリームを多重化部130に出力する。
【0037】
但し、制御部120は、必ずしもビットストリームを蓄積しなくてもよい。制御部120は、生放送の番組などでは、当該番組のビットストリームを蓄積せずに多重化部130に出力してもよい。
【0038】
また、制御部120は、各レイヤの番組分類を示す番組情報を多重化部130に出力する。番組分類は、符号化されている番組の内容に基づき付与されており、例えば、ニュース、音楽、文化、アニメなどの分類コードであってもよい。分類コードは、番組の種別(カテゴリ)を大別した情報(例えばニュース番組、娯楽番組、情報番組、広告番組)を体系化したコードであってもよいし、より詳細な情報(例えば、事件、事故、経済、天気、季節の話題、漫才、ドラマ、映画、アニメ、トーク、芸能、時事、生活用品、不動産、金融など)を体系化したコードであってもよい。
【0039】
多重化部130は、複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を当該複数のレイヤのビットストリーム(マルチレイヤビットストリーム)に多重化する多重化手段の一例である。多重化部130は、マルチレイヤビットストリームに番組情報が多重化された多重化ストリームを送信部140に出力する。
【0040】
多重化部130は、番組情報をService Information(SI)として多重化してもよい。SIは、制御メッセージの形式で多重化される。例えば、多重化部130は、番組情報を周期的に(繰り返して)多重化ストリームに含めてもよい。多重化部130は、番組情報を、番組と対応付けられたSI(制御メッセージ)に含めてもよい。このようなSIは、例えば、デジタル放送の番組を視聴するために必要な情報やEIT(Event Information Table)と呼ばれる番組タイトルや放送時間、番組出演者等を含むテーブルであってもよい。このようにして、多重化部130は、番組情報をSIの一部として含む多重化ストリームを出力する。
【0041】
但し、多重化部130は、番組情報をSI以外のメッセージ又はテーブル等に含めてもよい。例えば、多重化部130は、番組情報をISOBMFF(ISO Base Media File Format)のメタデータに含めてもよい。このようなメタデータは、SIよりも頻繁に伝送されてもよい。
【0042】
なお、多重化部130における多重化方式は、特に限定されるものではないが、例えば、MPEG-2やMPEG-4のTransport stream(TS)、MPEG Media Transport(MMT)、又はCMAF(Common Media Application Format)等であってもよい。MMTを利用する場合、上述のSIは、MMT-SIであってもよい。
【0043】
送信部140は、多重化部130が出力する多重化ストリームに対して伝送路符号化などを施し、放送信号として伝送路500(本実施形態では、放送伝送路)に送出する。
【0044】
(4)受信装置
図3は、本実施形態に係る受信装置200の構成を示す図である。本実施形態に係る受信装置200は、受信部210と、制御部220と、視聴履歴記憶部230と、選択部240と、復号部250とを有する。
【0045】
受信部210は、マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリーム(マルチレイヤビットストリーム)を受信する受信手段の一例である。複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている。本実施形態では、受信部210は、伝送路500を介して放送信号を受信し、復調等を行って多重化ストリームを制御部220に出力する。多重化ストリームは、マルチレイヤビットストリームと、各レイヤの番組分類を示す番組情報とを含む。
【0046】
制御部220は、受信部210が受信した信号のチャンネル情報及び番組情報などを検出し、検出した番組情報を選択部240に出力する。また、制御部220は、選択部240により選択された番組(レイヤ)を示す選択情報に基づいて視聴レイヤ(すなわち、視聴番組)を特定し、特定したレイヤのビットストリームを復号部250に出力する。制御部220は、独立レイヤからなるマルチレイヤビットストリームが受信された場合、視聴レイヤを自動で選択可能な状態であると判定してもよい。
【0047】
視聴履歴記憶部230は、受信装置200を用いて視聴者により視聴された過去の視聴番組に関する視聴履歴を記憶する。視聴履歴は、視聴者の視聴番組に関する個人情報の一例である。視聴履歴は、各視聴番組の番組分類(分類コード)、日付・曜日、及び視聴時間帯などを含む。
【0048】
選択部240は、視聴番組の自動選択を行う自動選択部241と、視聴番組の手動選択に用いる手動選択部242とを有する。
【0049】
自動選択部241は、マルチレイヤビットストリームに多重化された情報であって且つ各レイヤの番組分類を示す番組情報に基づいて、複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段の一例である。本実施形態では、自動選択部241は、マルチレイヤビットストリームに多重化された番組情報と、視聴履歴記憶部230が記憶する視聴履歴とに基づいて自動選択を行う。
【0050】
自動選択部241は、現在の番組視聴条件(例えば、現在視聴している番組、現在の曜日・時間帯)に対応する過去の視聴番組の番組分類を視聴履歴に基づいて特定し、特定した番組分類に合致するレイヤを番組情報に基づいて複数のレイヤの中から選択してもよい。これにより、視聴履歴から最も関心が高いと推測される番組分類のレイヤを自動で選択できる。
【0051】
例えば、CMにおいて提供会社に子供向け玩具メーカーや生活用品メーカーがいた場合、従来であれば時間帯によって放送するCMが固定していたのに対し、本実施形態では、複数のCMを同時に放送しつつ、その中から視聴者に適したCM(例えば、玩具のもととなっている番組の視聴履歴があれば玩具のCMを、料理番組などの家事をトピックスとした番組の視聴履歴が多ければ生活用品のCM)を選択できる。
【0052】
或いは、自動選択部241は、視聴履歴に基づいて視聴者の視聴頻度が高い順に番組分類を順位付けし、順位が高い番組分類に合致するレイヤを番組情報に基づいて複数のレイヤの中から選択してもよい。例えば、自動選択部241は、最上位からn個(n≧2)までの番組分類を特定し、特定した番組分類に合致する順位が高いレイヤを選択してもよい。
【0053】
但し、選択するレイヤについては、自動での選択動作を初期設定とするものの、視聴者が手動選択部242(リモコンを含む)による手動切り替えで、敢えて視聴履歴と異なる映像出力を選択することもできる。手動選択部242は、リモコンなどからの視聴者による選択制御を出力する。手動選択部242による選択結果は、視聴履歴記憶部230に記憶・蓄積される。
【0054】
なお、視聴履歴に基づく自動選択を行うためには、視聴履歴記憶部230にある程度の量の視聴履歴が蓄積されている必要がある。そのため、制御部220は、初期状態から一定期間(例えば、数日間程度)が経過するまでは手動での選択動作を行うよう選択部240を制御し、自動選択が可能になったらその旨を視聴者に通知したうえで自動選択動作を自動選択部241に開始させてもよい。
【0055】
また、視聴履歴は利用者のプロファイル選択によって視聴者を指定(選択)した状態で視聴することによってより個人を特定し、蓄積してもよい。この場合、視聴履歴記憶部230は、視聴者の個人ID(利用者ID)と当該個人の視聴履歴とを対応付けて蓄積してもよい。自動選択部241は、現在視聴中の個人がプロファイル選択によって指定されると、当該指定された個人と対応付けられた視聴履歴に基づいて自動選択動作を行ってもよい。
【0056】
選択部240により選択された番組(レイヤ)を示す選択情報に基づいて視聴レイヤ(すなわち、視聴番組)が特定されると、特定されたレイヤのビットストリームが制御部220から復号部250に出力される。このようにして、選択部240を用いた選択に基づいて、復号するレイヤの切り替えによって視聴番組の切り替えが行われる。チャンネル間で同様の切り替えを行う場合とは異なり、チューナーの選局の切り替え処理が必要とならないため、切り替えが瞬時に行えることがマルチレイヤ符号化における独立レイヤを用いるメリットである。また、受信装置200(視聴履歴記憶部230)に蓄積された視聴履歴をもとに、複数番組送出時に自動で視聴者に適した番組を選択し、選択した番組を提示できる。差し替え番組がCMなどの広告である場合、個人情報を送信側に提供することなくターゲット広告を実現できる。
【0057】
復号部250は、制御部220が出力するビットストリームに対して復号処理を施し、復号映像信号を外部の表示装置に出力する。但し、表示装置は、受信装置200と一体化されていてもよい。
【0058】
なお、上述の実施形態では、自動選択部241が、視聴履歴記憶部230が記憶する視聴履歴を用いて視聴レイヤ(すなわち、視聴番組)の自動選択を行う一例について説明したが、これに限定されない。受信装置200は、視聴者が好む番組分類を示す個人情報が受信装置200に手動(例えば、リモコン)で事前設定され、このような事前設定情報が記憶部に記憶されていてもよい。自動選択部241は、視聴履歴に加えて又は視聴履歴に代えて、事前設定情報に基づいて視聴レイヤの自動選択を行ってもよい。
【0059】
ここで、事前設定情報は、利用者のプロファイル選択によって視聴者を指定(選択)した状態で事前設定することによってより個人を特定し、記憶してもよい。この場合、視聴履歴記憶部230は、視聴者の個人ID(利用者ID)と当該個人の事前設定情報とを対応付けて蓄積してもよい。自動選択部241は、現在視聴中の個人がプロファイル選択によって指定されると、当該指定された個人と対応付けられた事前設定情報に基づいて自動選択動作を行ってもよい。
【0060】
或いは、視聴者が好む番組分類を示す個人情報が外部サーバから受信装置200に配信・設定され、このような設定情報が受信装置200の記憶部に記憶されていてもよい。このような外部サーバは、視聴者のインターネット上での行動(例えば、Web閲覧、動画閲覧など)の履歴から視聴者が好む番組分類を推定し、推定した結果を受信装置200に配信・設定してもよい。
【0061】
(5)実施形態のまとめ
本実施形態に係る送信装置100は、マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリーム(マルチレイヤビットストリーム)を生成し、複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されているマルチレイヤ符号化部110と、複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を複数のレイヤのビットストリームに多重化する多重化部130と、多重化部130の出力信号を受信側に送信する送信部140と、を有する。
【0062】
本実施形態に係る受信装置200は、マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信する受信部210と、複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ各レイヤの番組分類を示す番組情報に基づいて、複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う自動選択部241と、自動選択部241により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号部250と、を有する。
【0063】
このような送信装置100及び受信装置200によれば、個人情報を保護しながら視聴者の嗜好に合った映像の視聴を可能にしつつ、映像切り替えに伴う不具合も抑制可能である。
【0064】
(6)第1変更例
上述の実施形態では、伝送路500が放送伝送路である一例について説明したが、これに限定されない。映像配信の手段として放送や通信を使用した形態があり、さらに近年では放送と通信を併用した手法(例えばハイブリッドキャスト)も実用化されている。そのため、メイン番組は放送伝送路で伝送し、差し替え番組は通信伝送路(例えばインターネット経由)で伝送するという構成もあり得る。
【0065】
図4は、上述の実施形態に係る送信装置100の第1変更例を示す図である。本変更例に係る送信装置100は、BLのビットストリーム及び番組情報を、放送伝送路500aを介して送信する送信部140と、1つ又は複数のELのビットストリームを、通信伝送路500bを介して送信する通信部150とを有する。
【0066】
図5は、上述の実施形態に係る受信装置200の第1変更例を示す図である。本変更例に係る受信装置200は、BLのビットストリーム及び番組情報を、放送伝送路500aを介して受信する受信部210と、1つ又は複数のELのビットストリームを、通信伝送路500bを介して受信する通信部260とを有する。
【0067】
(7)第2変更例
本変更例では、ELのビットストリームを受信装置200から送信装置100に要求する一例について説明する。
【0068】
図6は、上述の実施形態に係る送信装置100の第2変更例を示す図である。本変更例に係る送信装置100は、BLのビットストリーム及び番組情報を、放送伝送路500aを介して送信する送信部140と、受信装置200で選択された1つ又は複数のELのビットストリームを、通信伝送路500bを介して送信する通信部150とを有する。
【0069】
本変更例では、通信部150は、受信装置200で選択されたレイヤ(EL)を示す選択情報を、通信伝送路500bを介して受信装置200から受信し、受信した選択情報を制御部120に出力する。制御部120は、選択情報が示すレイヤ(EL)のビットストリームを取得し、取得したELビットストリームを多重化部130に出力する。制御部120は、取得したELビットストリームを、多重化部130を介さずに通信部150に出力してもよい。通信部150は、制御部120が取得したELビットストリームを、通信伝送路500bを介して受信装置200に送信する。
【0070】
図7は、上述の実施形態に係る受信装置200の第2変更例を示す図である。本変更例に係る受信装置200は、BLのビットストリーム及び番組情報を、放送伝送路500aを介して受信する受信部210と、選択部240で選択されたELのビットストリームを、通信伝送路500bを介して受信する通信部260とを有する。
【0071】
本変更例では、制御部220は、選択部240で選択されたレイヤ(EL)を示す選択情報を、通信伝送路500bを介して送信装置100に送信するよう通信部260を制御する。ここで、制御部220は、番組情報として提供される次の番組の情報を取得し、切り替え可能な番組が次にくる場合には、その分類情報を自動選択部241で解析し、差し替え番組を選択すると判定された場合に事前に先取りして送信装置100から差し替え番組(ELビットストリーム)を取得するよう通信部260を制御する。これにより、通信でビットストリームを取得する際に生じる遅延を隠ぺいできる。
【0072】
(8)他の実施形態
送信装置100又は受信装置200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストール可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、送信装置100又は受信装置200が行う各処理を実行する回路を集積化し、送信装置100又は受信装置200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0073】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on/in response to)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0074】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
【0075】
(9)付記
上述の実施形態の特徴に関して付記する。
【0076】
(付記1)
マルチレイヤ符号化を用いて得られた複数のレイヤのビットストリームを受信し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている受信手段(受信部210、通信部260)と、
前記複数のレイヤのビットストリームに多重化された情報であって且つ前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報に基づいて、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを選択する自動選択を行う選択手段(自動選択部241)と、
前記選択手段により選択されたレイヤのビットストリームに対して復号処理を行って復号映像信号を出力する復号手段(復号部250)と、を備える
受信装置(受信装置200)。
【0077】
(付記2)
視聴者の視聴番組に関する個人情報を記憶する記憶手段(視聴履歴記憶部230)をさらに有し、
前記選択手段は、前記番組情報及び前記個人情報に基づいて前記自動選択を行う
付記1に記載の受信装置。
【0078】
(付記3)
前記個人情報は、視聴者の過去の視聴番組に関する視聴履歴を含み、
前記選択手段は、現在の番組視聴条件に対応する前記過去の視聴番組の番組分類を前記視聴履歴に基づいて特定し、特定した番組分類に対応するレイヤを前記番組情報に基づいて前記複数のレイヤの中から選択する
付記2に記載の受信装置。
【0079】
(付記4)
前記複数のレイヤは、
メイン番組映像が符号化されたベースレイヤと、
前記メイン番組映像との差し替えが可能な差し替え番組映像が前記ベースレイヤと独立したレイヤとして符号化された1つ又は複数のエンハンスメントレイヤと、を含む
付記1乃至3のいずれか1項に記載の受信装置。
【0080】
(付記5)
前記受信手段は、
前記ベースレイヤのビットストリーム及び前記番組情報を、放送伝送路(放送伝送路500a)を介して受信し、
前記選択手段により選択されたエンハンスメントレイヤのビットストリームを、通信伝送路(通信伝送路500b)を介して受信する
付記4に記載の受信装置。
【0081】
(付記6)
マルチレイヤ符号化を用いて複数のレイヤのビットストリームを生成し、前記複数のレイヤにはそれぞれ異なる番組映像が独立して符号化されている符号化手段(マルチレイヤ符号化部110)と、
前記複数のレイヤのそれぞれの番組分類を示す番組情報を前記複数のレイヤのビットストリームに多重化する多重化手段(多重化部130)と、
前記多重化手段の出力信号を受信側に送信する送信手段(送信部140、通信部150)と、を備え、
前記番組情報は、前記複数のレイヤの中から視聴者の嗜好に合ったレイヤを受信側で選択する自動選択を行うために用いられる
送信装置。
【0082】
(付記7)
前記複数のレイヤは、
メイン番組映像が符号化されたベースレイヤと、
前記メイン番組映像との差し替えが可能な差し替え番組映像が前記ベースレイヤと独立したレイヤとして符号化された1つ又は複数のエンハンスメントレイヤと、を含む
付記6に記載の送信装置。
【0083】
(付記8)
前記送信手段は、
前記ベースレイヤのビットストリーム及び前記番組情報を、放送伝送路(放送伝送路500a)を介して送信し、
受信側で選択されたエンハンスメントレイヤのビットストリームを、通信伝送路(通信伝送路500b)を介して送信する
付記7に記載の送信装置。
【0084】
(付記9)
コンピュータを付記1に記載の受信装置又は付記6に記載の送信装置として機能させる
プログラム。
【符号の説明】
【0085】
10 :映像配信システム
100 :送信装置
110 :マルチレイヤ符号化部
111 :BL符号化部
112 :EL符号化部
120 :制御部
130 :多重化部
140 :送信部
150 :通信部
200 :受信装置
210 :受信部
220 :制御部
230 :視聴履歴記憶部
240 :選択部
241 :自動選択部
242 :手動選択部
250 :復号部
260 :通信部
500 :伝送路
500a :放送伝送路
500b :通信伝送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7