(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167175
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】エネルギー拡散イオンビームのための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/30 20060101AFI20241126BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/30 A
H01J37/317 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110122
(22)【出願日】2024-07-09
(62)【分割の表示】P 2023560384の分割
【原出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】17/221,033
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, ポール ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ティーガー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】レナウ, アンソニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】イオン注入動作において、鋸歯状吸収フィルタを用いずにイオンエネルギーの拡散を発生させる。
【解決手段】イオン注入装置は、連続イオンビームを生成するように構成されたイオン源、連続イオンビームを加速させるDC加速システム、及び連続イオンビームを受信し、束ねられたイオンビームを出力するAC線形加速器を含み得る。イオン注入装置は、束ねられたイオンビームを受信し、束ねられたイオンビームの局所的な伝搬方向に沿って、エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にRF電圧を印加するエネルギー拡散電極アセンブリをさらに含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入装置であって、
連続イオンビームを生成するように構成されたイオン源、
前記連続イオンビームを加速させるDC加速システム、
前記連続イオンビームを受信し、束ねられたイオンビームを出力するAC線形加速器、及び
前記束ねられたイオンビームを受信し、前記束ねられたイオンビームの局所的な伝搬方向に沿って、エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にRF電圧を印加する前記エネルギー拡散電極アセンブリ
を備えているイオン注入装置。
【請求項2】
前記束ねられたイオンビームが、束周波数で束ねられており、前記束周波数に等しい拡散周波数でRF信号を前記エネルギー拡散電極アセンブリへ出力するRF電源をさらに備えている、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記エネルギー拡散電極アセンブリヘの入口において、前記束ねられたイオンビームの位相を測定する検出器を備えている、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記エネルギー拡散電極アセンブリに出力されるRF信号と、前記束ねられたイオンビームの位相との間で一定の位相関係を維持するコントローラをさらに備えている、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記束ねられたイオンビームが、束周波数で駆動され、前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記束ねられたイオンビームをペンシルビームとして受信するように構成され、前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記束周波数に等しい拡散周波数で駆動される、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項6】
第1の方向に沿って伝搬する、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って前記束ねられたイオンビームを走査するスキャナ、及び
前記スキャナの下流に配置されたコリメータであって、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記束ねられたイオンビームを、束ねられたリボンビームとして前記エネルギー拡散電極アセンブリへ出力するコリメータ
をさらに備えている、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項7】
前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記束ねられたリボンビームを包含するように細長い断面で構成された複数の中空導電性円筒を備えている、請求項6に記載のイオン注入装置。
【請求項8】
前記束ねられたリボンビームが、伝播の局所的方向に対して垂直な横方向に沿って伸長し、前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記横方向に沿った、前記束ねられたリボンビームの幅にわたって、前記束ねられたリボンビームに対して均一なエネルギー拡散をもたらすように構成されている、請求項6に記載のイオン注入装置。
【請求項9】
第1の方向に沿って伝搬する、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って前記束ねられたイオンビームを走査するスキャナをさらに備え、
前記スキャナが、前記束ねられたイオンビームを束ねられたリボンビームとして生成し、
前記コントローラが、前記束ねられたリボンビームの瞬間的な走査位置を決定することによって、前記一定の位相関係を維持するように構成されている、請求項4に記載のイオン注入装置。
【請求項10】
イオン注入装置であって、
イオンビームを連続イオンビームとして生成するイオン源、
前記連続イオンビームを束ねて、前記連続イオンビームを束ねられたイオンビームとして出力する線形加速器、
第1の方向に沿って伝搬する、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って前記束ねられたイオンビームを走査するように構成されたスキャナ、
前記スキャナの下流に配置されたコリメータであって、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記束ねられたイオンビームを束ねられたリボンビームとして出力するコリメータ、並びに
前記線形加速器の下流に配置されたエネルギー拡散電極アセンブリであって、前記リボンビームの伝搬の局所的な方向に沿って、当該エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にAC電圧を印加するように構成されたエネルギー拡散電極アセンブリ
を備えているイオン注入装置。
【請求項11】
前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記リボンビームを包含するように細長い断面で構成された複数の中空導電性円筒を備えている、請求項10に記載のイオン注入装置。
【請求項12】
前記束ねられたイオンビームが、束周波数で束ねられており、前記束周波数に等しい拡散周波数でRF信号を前記エネルギー拡散電極アセンブリへ出力するRF電源をさらに備えている、請求項10に記載のイオン注入装置。
【請求項13】
前記リボンビームが、伝播の局所的方向に対して垂直な横方向に沿って伸長し、前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記横方向に沿った、前記束ねられたリボンビームの幅にわたって、前記束ねられたリボンビームに対して均一なエネルギー拡散をもたらすように構成されている、請求項10に記載のイオン注入装置。
【請求項14】
前記エネルギー拡散電極アセンブリが、ダイオードセットを備えている、請求項10に記載のイオン注入装置。
【請求項15】
ビーム調整装置であって、
第1の方向に沿って伝搬する、束ねられたイオンビームを受信し、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って前記束ねられたイオンビームを走査するように構成されたスキャナ、
前記スキャナの下流に配置されたコリメータであって、前記束ねられたイオンビームを受信し、前記束ねられたイオンビームをリボンビームとして出力するコリメータ、
前記コリメータの下流に配置されたエネルギー拡散電極アセンブリであって、前記リボンビームの伝搬の局所的な方向に沿って、前記エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にAC電圧を印加するように構成されたエネルギー拡散電極アセンブリ、並びに
前記スキャナ及び前記エネルギー拡散電極アセンブリを制御して、前記リボンビームの前記局所的な伝搬方向に垂直な方向に沿った、前記リボンビームの幅にわたって、前記リボンビームの均一なエネルギー拡散を発生させるように構成されたコントローラ
を備えているビーム調整装置。
【請求項16】
前記エネルギー拡散電極アセンブリが、前記リボンビームを包含するように細長い断面で構成された複数の中空導電性円筒を備えている、請求項15に記載のビーム調整装置。
【請求項17】
前記束ねられたイオンビームが、束周波数で束ねられており、前記束周波数に等しい拡散周波数でRF信号を前記エネルギー拡散電極アセンブリへ出力するRF電源をさらに備えている、請求項15に記載のビーム調整装置。
【請求項18】
前記コントローラが、前記エネルギー拡散電極アセンブリに出力されるRF信号と、前記リボンビームの位相との間で一定の位相関係を維持するように構成されている、請求項15に記載のビーム調整装置。
【請求項19】
前記エネルギー拡散電極アセンブリヘの入口において、前記リボンビームの位相を測定する検出器を備えている、請求項18に記載のビーム調整装置。
【請求項20】
前記コントローラが、前記リボンビームの瞬間的な走査位置を決定することによって、前記一定の位相関係を維持する、請求項18に記載のビーム調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、イオン注入装置に関し、より具体的には、高エネルギービームラインイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]現在、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、CMOSイメージセンサ、及びその他の半導体デバイスなどの特定のデバイスは、複数のイオン注入を用いて製造されている。複数のイオン注入を使用することで、半導体基板内の深さの関数としての目標の形状を有する滑らかなドーパントプロファイルを生成することが容易になる。このアプローチは、比較的深いイオン注入プロファイルに特に有用である。現在のプラクティスでは、この目標形状は、様々なイオンエネルギーで比較的少量のイオンを注入することによって達成することが可能である。例えば、CMOSイメージセンサ(CIS)デバイスの現在の技術水準では、500keVから10MeV超までの範囲の20の離散的なエネルギーを、1E10から1E12/cm2の線量で使用することがあるが、自動車や他の用途に必要とされているより短い波長のセンシングでは、注入ステップの回数が倍又はそれ以上となり得る。
【0003】
[0003]所与のイオン注入動作でイオンエネルギーの拡散を発生させるために、複数の注入を用いるのではなく、鋸歯状吸収フィルタを使用することが提案されている。しかし、このアプローチには汚染、粒子、フィルタ寿命のリスクが伴い、これらのリスクが、実際的な生産環境においてこのアプローチを制限する恐れがある。
【0004】
[0004]本開示は、上記の考察及びその他の考察に関連して提示される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、イオン注入装置は、連続イオンビームを生成するように構成されたイオン源、連続イオンビームを加速させるDC加速システム、及び連続イオンビームを受信し、束ねられたイオンビームを出力するAC線形加速器を含み得る。イオン注入装置は、束ねられたイオンビームを受信し、束ねられたイオンビームの局所的な伝搬方向に沿って、エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にRF電圧を印加するエネルギー拡散電極アセンブリをさらに含み得る。
【0006】
[0006]別の実施形態では、イオン注入装置が提供されており、イオン注入装置は、イオンビームを連続イオンビームとして生成するイオン源、及び連続イオンビームを束ねて、イオンビームを束ねられたイオンビームとして出力する線形加速器を含む。イオン注入装置は、第1の方向に沿って伝搬する、束ねられたイオンビームを受信し、第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って束ねられたイオンビームを走査するように構成されたスキャナを含み得る。イオン注入装置は、スキャナの下流に配置されたコリメータであって、束ねられたイオンビームを受信し、束ねられたイオンビームをリボンビームとして出力するコリメータをさらに含み得る。イオン注入装置は、線形加速器の下流に配置されたエネルギー拡散電極アセンブリであって、リボンビームの伝搬の局所的な方向に沿って、エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にAC電圧を印加するように構成されたエネルギー拡散電極アセンブリをさらに含み得る。
【0007】
[0007]別の実施形態では、ビーム調整装置は、第1の方向に沿って伝搬する、束ねられたイオンビームを受信し、第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿ってイオンビームを走査するように構成されたスキャナをさらに含み得る。ビーム調整装置は、スキャナの下流に配置されたコリメータであって、束ねられたイオンビームを受信し、束ねられたイオンビームをリボンビームとして出力するコリメータをさらに含み得る。ビーム調整装置は、線形加速器の下流に配置されたエネルギー拡散電極アセンブリであって、リボンビームの伝搬の局所的な方向に沿って、エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間にAC電圧を印加するように構成されたエネルギー拡散電極アセンブリをさらに含み得る。ビーム調整装置は、スキャナ及びエネルギー拡散電極アセンブリを制御して、リボンビームの局所的な伝搬方向に垂直な方向に沿った、リボンビームの幅にわたって、リボンビームの均一なエネルギー拡散を発生させるように構成されたコントローラを追加的に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るイオン注入装置を示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る、別の例示的なイオン注入装置を示す。
【
図3】
図3は、本開示のさらなる実施形態に従って構成されたイオン注入装置を示す。
【
図4】
図4は、本開示のさらなる実施形態に従って構成されたイオン注入装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0012]図面は必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを表すことを意図していない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことが意図されており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。図面では、同様の番号が同様の要素を表す。
【0010】
[0013]ここで、本開示に係る装置、システム、及び方法を、システム及び方法の実施形態が示された添付の図面を参照しながら、以下により十分に説明する。システム及び方法は、多くの異なる形態で具現化されてよく、ここで提示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。その代わりに、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、システム及び方法の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。
【0011】
[0014]本明細書では、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」、「横方向(lateral)」、及び「縦方向(longitudinal)」といった用語は、図に見られるような半導体製造デバイスの構成要素の形状寸法および配向に対して、これらの構成要素及びこれらを構成する部分の相対的な配置及び配向を説明するために使用され得る。用語には、具体的に言及された単語、その派生語、及び同様の趣旨の単語が含まれ得る。
【0012】
[0015]ここでは、単数形で記載された、「1つ」又は「ある」(a、an)という文言に続く要素又は操作は、複数の要素又は操作も潜在的に含むものとして理解される。さらに、本開示の「一実施形態(one embodiment)」への言及は、記載された特徴も組み込む追加的な実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図しない。
【0013】
[0016]ここでは、ビームラインアーキテクチャに基づく、改善されたイオン注入システム及び構成要素、具体的には、線形加速器に基づくイオン注入装置などの高エネルギーイオン注入装置のためのアプローチが提供される。簡潔性のために、本明細書ではイオン注入システムが「イオン注入装置」とも呼ばれ得る。様々な実施形態には、線形加速器又はLINACにおける処理のための束ねられたリボンイオンビームを生成する新規なアプローチが伴う。
【0014】
[0017]様々な実施形態では、電極アセンブリは、LINACの下流に設けられており、高周波で電極アセンブリに供給されるAC信号を使用して、束ねられたイオンビームのエネルギーを修正する。基板を処理するために基板及び/又はイオンビームの走査が行われる様々な実施形態では、エネルギー変動の周波数が基板の走査よりも遙かに速く設定されることがあり、その結果、電極アセンブリによって発生するエネルギー変動が、制御されかつ反復可能なエネルギー拡散として基板上の各点に現れる。
【0015】
[0018]
図1は、本開示の実施形態に係るイオン注入装置100を示す。イオン注入装置100は、イオンビーム120として示される連続イオンビームを生成するように構成されたイオン源102を含む。イオン注入装置100は、イオンビーム120を受信するようにイオン源102の下流に配置された、線形加速器104と表されるAC線形加速器を含み得る。線形加速器104は、束ねられたイオンビーム122が生成されるようにイオンビーム120を修正するために、当該技術分野で知られているバンチャー(別途図示せず)を含み得る。様々な非限定的な実施形態によれば、線形加速器104の複数の段階では、束ねられたイオンビーム122のエネルギーを、1MeV、2MeV、5MeV、又は他の適切なイオンエネルギーなどの目標イオンエネルギーまで増加させることができる。
【0016】
[0019]本開示の幾つかの非限定的な実施形態によれば、イオン注入装置100は、束ねられたイオンビーム122を成形、コリメート、フィルタリング、若しくは走査するか、又はこれらの操作の任意の組合せを実行するための、線形加速器104の下流に配置された追加の構成要素を含み得る。これらの追加の構成要素は、下流構成要素106によって示されており、この構成要素は、線形加速器104とエネルギー拡散電極アセンブリ108との中間に配置されている。エネルギー拡散電極アセンブリ108は、束ねられたイオンビーム122を受信し、束ねられたイオンビーム122のエネルギーを変調し、エネルギー拡散イオンビーム124を基板110へ出力するように構成されている。
【0017】
[0020]様々な実施形態では、エネルギー拡散電極アセンブリ108にわたって高周波電圧を印加することによって、束ねられたイオンビーム122のエネルギーを変調することが可能である。この電圧は、図示のデカルト座標系でZ軸として表される束ねられたイオンビーム122の伝搬方向に沿って、対応する高周波電界を生成し得る。具体的には、本実施形態及び後に続く他の実施形態では、エネルギー拡散電極アセンブリ108は、伝播方向に沿って高周波電界を印加しながら、束状イオンビーム122を導電する中空電極として構成され得る。このようにして、可変エネルギーが、エネルギー拡散電極アセンブリを通過する間、束ねられたイオンビーム122に印加され得る。例えば、RF電源130を利用して、1MHzを超えるような適切な周波数で、エネルギー拡散電極アセンブリ108内における種々の電極間でAC電圧信号(ここで使用される用語「AC電圧」又は「AC電圧信号」は、1kHz、1MHzなどを含む任意の適切な周波数範囲を包含し得る)を発生させることができる。様々な非限定的な実施形態では、線形加速器の加速段及びエネルギー拡散電極アセンブリ108を駆動させる適切な加速周波数の例としては、13.56MHzと40MHzの間の周波数が挙げられる。
【0018】
[0021]本開示の様々な実施形態によれば、エネルギー拡散電極アセンブリ108に供給されるAC電圧は、基板110に供給されるエネルギー拡散イオンビーム124内に目標エネルギー拡散を発生させるのに適した振幅を有し得る。例えば、幾つかの非限定的な実施形態によれば、エネルギー拡散イオンビーム124は、1%の公称イオンビームエネルギー、2%の公称エネルギー、5%の公称エネルギー、10%の公称エネルギー、又は20%の公称エネルギーに等しい半値全幅(full width at half maximum:FWHM)を有するエネルギー分布を有し得る。したがって、公称イオンビームエネルギーは、異なる実施形態では、500keV超、1MeV超、2MeV超、5MeV超であり得る。このようにして、所与の公称イオンビームエネルギーにおいて、エネルギー拡散イオンビーム124は、同じ公称イオンビームエネルギーを有する単一エネルギーイオンビームによって発生する注入プロファイルに比べてより広い注入プロファイルをもたらすように、基板110に注入され得る。
【0019】
[0022]
図2は、本開示の追加の実施形態に係るイオン注入装置200を示す。イオン注入装置100の場合と同様に、イオン注入装置200は、イオン源102、及びイオン源102の下流に配置された線形加速器104を含む。
【0020】
[0023]イオン注入装置200は、線形加速器104の下流に配置され、スキャナ202、コリメータ204、及びエネルギー拡散電極アセンブリ208を含むビーム調整装置220を含み得る。
【0021】
[0024]線形加速器104は、イオンビーム120から束ねられたイオンビーム122を生成するバンチャー(図示せず)を含んでもよい。このイオンビームは、連続イオンビームとして線形加速器104に入り得る。スキャナ202は、束ねられたイオンビーム122(塗りつぶされた楕円によって表されるイオン束として概略的に示される)を受信するように構成され、かつ、スキャン周期によって規定されるように、スキャン信号を供給するよう構成されており、第1のビームライン側と第2のビームライン側との間の束ねられたイオンビーム122を走査する。この実施例では、束ねられたイオンビーム122は、ペンシルビーム又はスポットイオンビームであってもよく、束ねられたイオンビーム122は、図示のX-Z平面内で走査される。例えば、走査発生器230は、幾つかの非限定的な実施形態によれば、振動電圧などの走査信号を、(1kHz、2kHz、5kHzなどのkHz範囲の)走査周波数で振動電界を発生させる一対の電極板に供給し得る。したがって、所与の走査周波数に対して、走査発生器230の周期よりも長い時間尺度にわたって平均化された場合、走査された束ねられたイオンビームは、X軸に沿って細長い断面を形成するように扇状に展開し得る。本実施形態では、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、束ねられたイオンビーム122の所望のエネルギー拡散を実現するよう適切な位相を選択するために、束ねられたイオンビーム122の走査位置の情報を使用する位相制御システムに連結された一連のAC電極を含む。
【0022】
[0025]コリメータ204は、スキャナ202の下流に配置されており、この場合、扇状のビームの形で束ねられたイオンビーム122を受信する。コリメータ204は、束ねられたイオンビーム122を、X軸に沿って伸長したリボンビーム222として成形かつ出力するように構成され得る。
図2にさらに示すように、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、コリメータ204の下流に配置され、リボンビーム222を受信する。以下に詳述するように、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、エネルギー拡散を発生させるために、リボンビームの伝搬方向に沿って複数の電極間にRF電圧を印加するように構成される。
【0023】
[0026]
図2の実施例では、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、第1の接地電極212及び第2の接地電極216を含み、2つの接地電極の間に給電された電極214が配置されている。RF電源234は、適切な周波数でRF電力信号を給電された電極214へ供給し得る。例えば、RF電源234は、RF電圧信号を給電された電極214へ供給する共振器(別途図示せず)へRF信号を誘導し得る。したがって、RF電圧が、給電された電極214と第1の接地電極212及び第2の接地電極216との間に発生する。そして、RF電圧は、RF電圧信号の周波数に対応する周波数を有する、リボンビーム222の伝搬方向のZ軸に沿った振動電界を発生させる。
【0024】
[0027]本開示の様々な実施形態によれば、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、リボンビーム222を包含するように設計された(X軸に沿った)細長い断面を有する一連の複数の中空導電性円筒として構成されてもよい。このように、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、線形加速器においてイオンビームを束ねたり又は加速させたりするために使用される既知のドリフトチューブアセンブリの幾つかの特徴を示し得る。リボンビーム222がエネルギー拡散電極アセンブリの所与の中空電極を通過する際に、リボンビーム222は、電界が存在しない中空電極内でドリフト領域に遭遇することになる。第1の接地電極212と給電された電極214との間に振動電界が発生するが、給電された電極214と第2の接地電極216との間にも振動電界が発生する。このようにして、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、2つの加速ギャップに特徴付けられた、いわゆるダブルギャップ構成を画定し得る。本開示の様々な実施形態によれば、イオンエネルギー拡散という所望の作用効果を得るために、幾つかの要因を考慮して、エネルギー拡散電極アセンブリ208に印加される振動電圧の周波数及び位相が選択される。これらの要因には、イオンの速度、イオン束における位相の拡散、及びダブルギャップ構成の2つのギャップ間の長さが含まれる。
【0025】
[0028]リボンビーム222がエネルギー拡散電極アセンブリ208内の加速ギャップに進入する際には、リボンビーム222の所与のイオン束の進入のタイミングが、イオンがギャップにわたってどのように加速又は減速するかに影響を与える。例えば、正弦波RF電圧信号が給電された電極214に印加される場合があり、この場合、加速ギャップにわたって正弦波電界が発生する。イオンが加速ギャップを横切るときの電界の瞬間的な振幅と徴候によって、イオンは、多かれ少なかれ、加速されたり減速されたりする。したがって、加速ギャップを通過する所与のイオン束では、束の先端のイオンが、束の後端のイオンとは異なる程度で加速又は減速するので、エネルギー拡散電極アセンブリ208を通過する間にリボンビーム222のイオンエネルギーの拡散がもたらされることになる。
【0026】
[0029]本開示の実施形態によれば、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、所望の範囲のイオンエネルギーを有するエネルギー拡散イオンビーム224(エネルギー拡散を示すためにより伸長した塗りつぶされた楕円として示される)を基板110に供給するため、リボンビーム222のエネルギーを目標量だけ広げたり拡散させたりすることができる。例えば、ある事例では、線形加速器104が1MeVのイオンエネルギーをリボンビーム222に付与する一方で、80keVの振幅のRF電圧信号が給電された電極214に供給される。リボンビーム222が初期的に単一エネルギーであると仮定すると、80kVの信号により、エネルギー拡散イオンビーム224が、1MeVの平均エネルギー及び最大160keVのFWHMで基板110に衝突し得る。
【0027】
[0030]本開示の様々な非限定的な実施形態によれば、エネルギー拡散電極アセンブリは、1Meから10MeVの範囲の初期イオンエネルギーに対して、イオンエネルギー(FWHM)を1%から30%拡散させるように、イオンビームを処理することができる。上述したように、リボンビーム222は、互いに時間と空間において分離された、束ねられたイオンビーム(すなわち、離散された一連のイオンパケット又はイオン束)としてエネルギー拡散電極アセンブリに進入する。この束ねる作業は、ドリフトチューブ装置によって行われる。ドリフトチューブ装置は、一連のドリフトチューブ電極における少なくとも1つの給電された電極にRF信号が印加されるエネルギー拡散電極アセンブリ108の動作と同様に動作し得る。バンチャーのこれらのドリフトチューブアセンブリは、2つ以上の加速ギャップを生成することになる。この2つ以上の加速ギャップは、RF電界が加速ギャップにわたって振動する際に種々のイオンが加速ギャップを通過するタイミングによって、イオンビーム中の種々のイオンをそれぞれ異なるように加速又は減速させる傾向がある。さらに、本開示の様々な実施形態によれば、束ねられたイオンビーム(リボンビーム222)は、RF電源234によって出力される拡散周波数(spreading frequency)に等しい束周波数(bunch frequency)で束ねられ得る。このようにして、リボンビーム222のイオン束の到着のタイミングは、エネルギー拡散電極アセンブリ208にわたって発生する電界と同期し得る。
【0028】
[0031]特定の実施形態では、エネルギー拡散電極アセンブリ208の拡散周波数(例えば、数MHz又は数十MHz程度)が、スキャナ202の走査周波数(例えば、1kHz程度)よりも遙かに高速であり得る場合、エネルギー拡散が、均一かつ反復可能に、エネルギー拡散イオンビーム224の種々の束にもたらされ得る。例えば、リボンビーム222が伝搬方向(Z軸)に垂直な横方向(X軸)に沿って伸長している間、エネルギー拡散電極アセンブリ208は、X軸に沿った束ねられたリボンビームの幅にわたる種々のイオン束について、束ねられたリボンビーム(リボンビーム222)に均一なエネルギー拡散をもたらすことができる。このエネルギー拡散の均一性は、RF電源234からエネルギー拡散電極アセンブリ208へ出力されるRF信号と、リボンビームにおける束群の到達時間との位相関係を一定に保つことによって達成することができる。
【0029】
[0032]一実施形態では、イオン注入装置200は、検出器210、及びリボンビーム222のイオン束の位相をエネルギー拡散電極アセンブリ208への入口で測定するための位相測定構成要素232を含み得る。イオン注入装置200は、
図2に示すように、この位相情報をRF電源234と同期させるコントローラ236をさらに含み得る。代替的に、コントローラ236は、走査発生器230から信号を取得又は受信して、リボンビーム222のイオン束の(X軸に沿った)瞬間的な走査位置を決定することができる。イオン束の瞬間的な走査位置を知ることにより、RF電源234によって生成されるRF信号の同期が可能となり、確実に所与のイオン束が適切な間隔でエネルギー拡散電極アセンブリ208を通過し、目標とするエネルギー拡散が発生する。
【0030】
[0033]
図3は、本開示のさらなる実施形態に従って構成されたイオン注入装置300を示す。イオン注入装置100及びイオン注入装置200の場合にように、イオン注入装置300は、イオン源102、及びイオン源102の下流に配置された線形加速器104を含む。この実施形態(並びに
図1、
図2、及び
図4の実施形態の変形例)では、イオン注入装置は、線形加速器104でイオンビームのさらなる加速が行われる前に、幾つかの非限定的な実施形態によれば、イオンビーム120を250keVから500keVなどの適切なエネルギーまで加速するためのDC加速システム103をさらに含み得る。
【0031】
[0034]本実施形態では、エネルギー拡散装置は、エネルギー拡散電極アセンブリ310に連結された電源を含み得る。この場合、エネルギー拡散電極アセンブリ310は、上流電極312及び下流電極314を含むダイオードセットとして具体化される。幾つかの実施形態によれば、AC電圧が、上流電極312と下流電極314の間に印加され得る。
図3に示すように、ビームラインの上流部分322は、ビームラインの下流部分324から電気的に絶縁されている。異なる実施形態によれば、基板110を収容するエンドステーション(図示せず)を含め、ビームラインの上流部分322が電気的に浮遊してもよく、又は下流部分324が電気的に浮遊してもよい。このアプローチの利点を挙げると、この実施例では、エネルギー拡散電極アセンブリ310が、線形加速器104に印加されるRF電圧と同じ周波数に設定されたRF電圧信号を受信する必要がないことである。
図3の実施形態では、エネルギー拡散電極アセンブリ310にギャップが1つしかなく、かつ、他の問題を引き起こすことなく、エネルギー発振の周波数をかなり広い範囲から自由に選択することができるので、幾つかの態様において
図2の実施形態よりも単純化されている。しかしながら、
図3の実施形態は、より複雑な機械的な設計を有しており、接地電位から大型アセンブリを分離し、アセンブリを絶縁体に取り付ける必要がある。
【0032】
[0035]上流電極312と下流電極314との間にAC電圧が印加される実施形態では、線形加速器104(バンチャーを含む)に印加されるRF電圧の走査周波数及び/又は束周波数とAC電圧とのエイリアシングを回避するために、AC電圧周波数を注意深く選択する必要がある。線形加速器104の複数の段で印加される束周波数は数MHz超であると推定されるので、スキャナ202の走査周波数は、1kHz以下の範囲であってもよい。幾つかの実施形態によれば、100kHz以下の範囲(例えば、50kHzから500kHzの範囲)のAC電圧周波数が、エネルギー拡散電極アセンブリ310に用いられてもよい。
図3の実施形態に示されるように、第1の電源332が上流部分322に連結されるか、又は代替的に電源334が下流部分324に連結されてもよく、各電源がコントローラ330に連結されてもよい。後者の周波数は、線形加速器104の束周波数よりも遙かに低い(10倍以下又はそれ以上)場合があるため、エネルギー拡散電極アセンブリ310を通過するイオンの各束は、実質的にDC加速又は減速を経ることになる。別の言い方をすれば、例えば13.56MHzの周波数で束ねられたイオン束の場合、エネルギー拡散電極アセンブリ310を通るイオン束の長さ、ひいては移動時間が十分に短いので、エネルギー拡散磁界周波数が遙かに低い(100kHz以下)ことに起因してその束が経験する有効磁界は準一定(quasi-constant)に見える。
【0033】
[0036]
図4は、本開示のさらなる実施形態に従って構成されたイオン注入装置400を示す。イオン注入装置100、イオン注入装置200、及びイオン注入装置300の場合と同様に、イオン注入装置300は、イオン源102、及びイオン源102の下流に配置された線形加速器104を含む。
図2及び
図3の実施形態とは異なり、本実施形態では、イオン注入装置400は、ペンシルビーム(又はスポットビーム)を生成し、基板110へ方向付ける。
【0034】
[0037]上述の実施形態のように、様々な非限定的な実施形態によれば、線形加速器104の複数の段階では、束ねられたイオンビーム122を生成し、1MeV、2MeV、5MeV、又は他の適切なイオンエネルギーなどの目標イオンエネルギーまで加速させることができる。上述の実施形態とは異なり、基板110に衝突する前に、束ねられたイオンビーム122を目標値のイオンエネルギーを有するスポットビームとして処理するために、エネルギー選択磁石404などの構成要素が設けられ得る。エネルギー選択磁石404(「最終エネルギー磁石」と呼ばれることもある)は、ビームラインのそのポイントにおけるイオンのエネルギーを個別に測定する役割を負う。イオン注入装置400は、高周波電源412として具現化されたエネルギー拡散装置、及びエネルギー拡散電極アセンブリ406をさらに備えている。簡略化のため、エネルギー拡散電極アセンブリ406は、2つの電極として示される。しかしながら、異なる実施形態によれば、エネルギー拡散電極アセンブリ406は、エネルギー拡散電極アセンブリ208と同様に、ダブルギャップドリフトチューブアセンブリとして具現化されてもよく、又は代替的に、2つの接地電極の間に2つの給電された電極が設けられたトリプルギャップ電極アセンブリとして具現化されてもよい。したがって、高周波電源412は、電源アセンブリ410が線形加速器104のバンチャー及び様々な段にRF電圧を供給するのと同じ周波数でRF電圧を生成することができる。
図4の構造の利点は、線形加速器からエネルギー拡散電極アセンブリ406までの束ねられたイオンビーム122のイオンの経路長が一定であるため、両者の間の位相関係も一定であることである。一連のイオン束の所望の及び反復性の加速又は減速を実現するためには、加速又は減速するAC磁界の位相が、AC磁界が作用するイオン束の到着時間に一致する必要がある。言い換えれば、エネルギー拡散電極アセンブリ406に到着するそれぞれの連続的なイオン束は、印加されたAC磁界と同じ振幅と位相を経験するはずである。したがって、電源アセンブリ410によって生成された束状信号、及び高周波電源412によって送信された拡散信号と同じ周波数を確立し、束状信号と拡散信号を適切に同期することにより、所与のイオン経路に沿ったそれぞれの連続的なイオン束が、同じようにエネルギー拡散電極アセンブリからの印加されたAC磁界によって処理されることになる。
図2の構成では、この位相関係は、所定の時点の走査角度に応じて種々のイオン経路の経路長が変化するにつれて変化するが、
図4の構成では、経路長を変化させる高速走査はない。したがって、コントローラ414は、線形加速器104を通過する束ねられたイオンビーム122の加速と、エネルギー拡散電極アセンブリ406によって実行されるエネルギー拡散とをより容易に同期させることができる。
【0035】
[0038]
図4に示すように、イオン注入装置400は、基板110をZ軸の周りで回転させるとともに、基板をX軸などの垂直軸に沿って移動させるように構成された基板ステージ408を含み得る。このようにして、束ねられたイオンビーム122は、所定の段階では基板110の一部だけを照射し得るが、基板110の全体又はその任意の目標部分は、基板110が適切に回転及び/又は並進することにより、エネルギー拡散イオンビーム420に曝露され得る。
【0036】
[0039]上記に鑑みて、本明細書に開示される実施形態によって、少なくとも以下の利点が達成される。本実施形態のイオン注入装置によってもたらされる第1の利点は、既知の単一エネルギーの高エネルギー注入装置を使用した場合よりも、所与の注入プロセス内でより広範な注入プロファイルを達成する能力である。さらなる利点は、エネルギー拡散構成要素に印加される電圧を単に調整することにより、注入プロファイルの幅を容易に調整できる能力である。
【0037】
[0040]本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はこれらに限定されない。なぜなら、本開示は、当該技術分野が許す限り範囲が広く、本明細書も同様に解することができるからである。したがって、上記の記載は限定として解釈するべきではない。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲及び本質の範囲内での他の変更を想定するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入装置であって、
イオンビームを生成するように構成されたイオン源、
前記イオンビームの移動方向において前記イオン源の下流に配置されたスキャナ、及び、
エネルギー拡散電極アセンブリであって、前記スキャナの下流に配置されて、前記イオンビームを受信し、かつ前記エネルギー拡散電極アセンブリの複数の電極間に時間変動電圧バイアス信号を印加して前記イオンビームのエネルギー拡散を生成する、エネルギー拡散電極アセンブリ
を備えているイオン注入装置。
【請求項2】
前記エネルギー拡散は、前記時間変動電圧バイアス信号に依存する、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記エネルギー拡散は、公称イオンエネルギーに対する基板内の第1の注入プロファイルをもたらし、前記第1の注入プロファイルは、同じ公称エネルギーの単エネルギーイオンビームが前記基板に向けられたときに生成される、該基板内の第2の注入プロファイルよりも広い、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記エネルギー拡散は、前記イオンビームの初期エネルギーの1%~30%に等しいエネルギー分布を有する、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記時間変動電圧バイアス信号は、RF電圧である、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項6】
前記時間変動電圧バイアス信号は、交流電圧である、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項7】
前記スキャナは、第1の周波数で前記イオンビームをスキャンするように動作し、かつ、前記時間変動電圧バイアス信号は、前記第1の周波数の少なくとも10倍大きい第2の周波数で印加される、請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項8】
前記イオンビームは、前記イオンビームの局所的な伝播方向に対して垂直な横方向に沿って細長く、前記エネルギー拡散電極アセンブリは、前記イオンビームの幅にわたり前記横方向に沿って、前記イオンビームに均一なエネルギー拡散を施すように構成されている、請求項7に記載のイオン注入装置。
【請求項9】
前記イオン源と前記エネルギー拡散電極アセンブリとの間に配置され、前記イオンビームのエネルギーを増加させるように構成された線形加速器をさらに備える、請求項1に記載のイオン注入装置。
【外国語明細書】