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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167514
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241127BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20241127BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20241127BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20241127BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241127BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241127BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L21/304 631
B24B55/06
B24B7/00 A
B24B7/04 A
B24B41/06 A
B23Q11/00 N
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083635
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 利光
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C043
3C047
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C011BB12
3C011BB36
3C034BB82
3C043BA04
3C043CC04
3C043CC11
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
3C047FF03
3C047FF19
3C047HH14
3C047HH15
5F057AA21
5F057BA11
5F057CA11
5F057CA25
5F057DA11
5F057DA38
5F057FA36
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA37
5F131DA22
5F131DA42
(57)【要約】
【課題】二流体を噴射してチャックテーブル保持面またはウェーハの上面を洗浄する加工装置で、噴霧の飛散を防止する。
【解決手段】ウェーハ(W)を保持するチャックテーブル(30)と、加工具(65、66)でウェーハを加工する加工機構(50、51)と、チャックテーブルと加工具とを収容する加工室(23)と、チャックテーブルを加工室内の加工位置と加工室外の搬送位置とに移動させる水平移動機構(25、27)と、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面(33)に対してウェーハを搬送する搬送機構(40、41)と、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面、または、保持面に保持されたウェーハの上面の上方から下方に向かって二流体を噴射する二流体ノズル(94)と、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面を露出させる開口(37)を有してチャックテーブルを収容し加工室内に連通する洗浄室(22)と、を備える加工装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によってウェーハを保持するチャックテーブルと、
加工具で該ウェーハを加工する加工機構と、
該チャックテーブルと該加工具とを収容する加工室と、
該チャックテーブルを水平方向に該加工室内の加工位置と該加工室外の搬送位置とに移動させる水平移動機構と、
該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面に対して該ウェーハを搬送する搬送機構と、
該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面、または、該保持面に保持された該ウェーハの上面の上方から下方に向かって二流体を噴射する二流体ノズルと、を備え、
該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面を露出させる開口と有し、該チャックテーブルを収容し該加工室内に連通する洗浄室とを備える、加工装置。
【請求項2】
該水平移動機構は、該チャックテーブルを少なくとも2つ配置するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる回転機構とで構成され、
該ターンテーブルは、少なくとも2つの該チャックテーブルの間を仕切る仕切り板と、該仕切り板を流体が通過する通過口とを備える、請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャックテーブルに保持されたウェーハを研削砥石で研削する研削装置は、チャックテーブルと研削砥石とを収容可能な加工室内で研削加工を行っている。チャックテーブルを加工室内の加工位置と、加工室外の搬送位置とに移動させ、搬送位置に移動させたチャックテーブルの保持面に対してウェーハを搬送している。
【0003】
特許文献1や特許文献2に開示のように、搬送位置に移動させウェーハを取り外したチャックテーブルの保持面に向けて、水とエアを混合した二流体を噴射して、保持面に付着した研削屑を除去している。また、搬送位置に移動させ研削加工され保持面に保持されたウェーハの上面に二流体を噴射して、ウェーハの上面を洗浄している。
【0004】
洗浄の際に噴射される二流体が、チャックテーブルの保持面またはウェーハの上面で反射して、研削装置内に飛散する。飛散した二流体には研削屑などが含まれており、研削装置内を汚す原因となる。その対策として、特許文献2に開示のように、二流体洗浄をしているときに噴出した二流体を気液分離手段において受け止めて収容して、二流体の噴霧の飛散を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-200785号公報
【特許文献2】特開2020-119931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、チャックテーブルの保持面と、ウェーハの上面とで高さが異なり、保持面を洗浄する場合とウェーハの上面を洗浄する場合とで、二流体の反射の状態などが異なるため、特許文献2に開示された従来の対策では、二流体の噴霧が飛散することを十分に抑制することが難しいという問題がある。また、ウェーハの上面の細かな研削屑を除去するために、二流体の噴霧の水滴径を小さくすると、噴霧が飛散しやすくなるという問題がある。
【0007】
なお、研削装置に限らず、研磨装置などにおいても上記と同様の問題があり、チャックテーブルによって保持したウェーハを加工する加工装置全般に共通した問題が存在する。
【0008】
したがって、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面または保持面が保持するウェーハに二流体を噴射して保持面またはウェーハの上面を洗浄する機能を備える加工装置は、噴霧の飛散を防止する、という解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の加工装置は、保持面によってウェーハを保持するチャックテーブルと、加工具で該ウェーハを加工する加工機構と、該チャックテーブルと該加工具とを収容する加工室と、該チャックテーブルを水平方向に該加工室内の加工位置と該加工室外の搬送位置とに移動させる水平移動機構と、該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面に対して該ウェーハを搬送する搬送機構と、該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面、または、該保持面に保持された該ウェーハの上面の上方から下方に向かって二流体を噴射する二流体ノズルと、を備え、該搬送位置に移動した該チャックテーブルの該保持面を露出させる開口と有し、該チャックテーブルを収容し該加工室内に連通する洗浄室とを備える。
【0010】
例えば、該水平移動機構は、該チャックテーブルを少なくとも2つ配置するターンテーブルと、該ターンテーブルを回転させる回転機構とで構成され、該ターンテーブルは、少なくとも2つの該チャックテーブルの間を仕切る仕切り板と、該仕切り板を流体が通過する通過口とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加工装置によれば、搬送位置に移動したチャックテーブルを収容する洗浄室を備えることによって、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面または保持面が保持するウェーハに二流体を噴射して洗浄する際に、噴霧の飛散を防ぐことができる。洗浄室は、チャックテーブルの保持面を露出させる開口を備えるので、搬送位置での保持面に対するウェーハの搬送を妨げない。また、洗浄室は加工室内に連通しているので、洗浄室内に取り込んだ噴霧を逃さずに加工室内へ送って回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研削装置の斜視図である。
図2】研削装置の一部を拡大した斜視図である。
図3】ターンテーブルとチャックテーブルの斜視図である。
図4図3に示す構成にテーブルカバーと二流体洗浄機構と厚み測定ユニットとを追加した斜視図である。
図5】研削装置の一部の断面図である。
図6】洗浄室の変形例を示す断面図である。
図7】洗浄室の変形例を示す断面図である。
図8】研削装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る加工装置の一例である研削装置1について説明する。研削装置1は、加工機構として研削機構(粗研削機構50、仕上げ研削機構51)を備え、被加工物であるウェーハWに対して研削加工を行う加工装置である。各図に示すX軸方向(+X方向および-X方向)、Y軸方向(+Y方向および-Y方向)、Z軸方向(+Z方向および-Z方向)は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は水平方向である。Z軸方向は上下方向であり、+Z方向が上方、-Z方向が下方である。
【0014】
なお、本発明は、研削装置には限定されず、チャックテーブルを加工室内の加工位置と加工室外の搬送位置とに移動させ、加工位置において、チャックテーブルの保持面に保持したウェーハを加工具で加工する加工装置全般に適用が可能である。例えば、加工機構として研磨機構を備えてウェーハを研磨加工する研磨装置や、加工機構として切削機構を備えてウェーハを切削加工する切削装置などにも適用できる。
【0015】
研削装置1は、各種処理を実行するプロセッサやプログラムを記憶したメモリなどによって構成された制御部2を備えている。研削装置1は、制御部2の制御によって、ウェーハWに対して、搬入処理、粗研削加工、仕上げ研削加工、洗浄処理、搬出処理からなる一連の作業を全自動で実施するように構成されている。
【0016】
ウェーハWは、例えばシリコンなどからなる半導体ウェーハである。なお、ウェーハWの材質や種類はこれに限定されない。ウェーハWは、略円板状に形成されており、カセット11に収容された状態で研削装置1に搬入され、研削加工や洗浄処理を行ってからカセット12に収容される。カセット11およびカセット12にはそれぞれ複数のウェーハWを収納可能である。
【0017】
研削装置1の基台10はX軸方向を長手方向としており、X軸方向における基台10上の領域を、+X方向側から-X方向側に向けて順に、カセット配置領域EA、中間領域EB、受け渡し領域EC、加工領域EDとする。
【0018】
カセット配置領域EAには、基台10の上面にカセット載置台13とカセット載置台14が設けられている。カセット載置台13はカセット配置領域EAの+Y方向側に位置し、カセット載置台14はカセット配置領域EAの-Y方向側に位置している。カセット載置台13にカセット11が載置され、カセット載置台14にカセット12が載置される。
【0019】
基台10には、Y軸方向でカセット載置台13とカセット載置台14の間に凹部15が形成されている。凹部15内に、カセット11とカセット12に対してウェーハWを出し入れするロボットハンド16が設けられている。ロボットハンド16は、多節リンクからなるアームの先端にハンド部を備えた構成である。
【0020】
中間領域EBには、+Y方向側に仮置きテーブル17が設けられており、-Y方向側にスピンナ洗浄機構18が設けられている。仮置きテーブル17とスピンナ洗浄機構18は、ロボットハンド16によってウェーハWを搬送可能な範囲内に位置しており、ロボットハンド16を用いて、カセット11、カセット12、仮置きテーブル17、スピンナ洗浄機構18の間で、ウェーハWを搬送することができる。
【0021】
仮置きテーブル17は、チャックテーブル30にウェーハWを搬送する前にウェーハWを仮置きするテーブルである。仮置きテーブル17は、上方に突出する複数の位置決めピン19を備え、各位置決めピン19はウェーハWの半径方向へ移動可能である。ウェーハWを仮置きテーブル17に載置した状態で、複数の位置決めピン19を移動させてそれぞれウェーハWの外周縁に当接させることによって、仮置きテーブル17に対してウェーハWが所定の位置に定められる。
【0022】
スピンナ洗浄機構18は、研削後のウェーハWの洗浄を行う。スピンナ洗浄機構18は、Z軸方向に延在する軸を中心として回転可能なスピンナ洗浄テーブル20と、スピンナ洗浄テーブル20側に向けて洗浄水及び乾燥エアを噴射するノズル21と、を備えている。スピンナ洗浄機構18でウェーハWを洗浄する際には、ウェーハWを保持した状態のスピンナ洗浄テーブル20を回転させ、スピンナ洗浄テーブル20上のウェーハWに向けてノズル21から洗浄水を噴射する。ウェーハWの洗浄後に、ノズル21から乾燥エアが吹き付けられてウェーハWを乾燥させる。
【0023】
受け渡し領域ECには洗浄室22が設けられ、加工領域EDには加工室23が設けられている。洗浄室22および加工室23の構成については後述する。
【0024】
洗浄室22および加工室23の内部に、円板状のターンテーブル25が設けられている。図3に示すように、ターンテーブル25は、支柱部26を中心として回転可能であり、エアスピンドルなどを備えた回転機構27によって回転駆動される。支柱部26は、受け渡し領域ECと加工領域EDの境界付近に位置し、Z軸方向に延在する円柱形状であり、ターンテーブル25と共に回転せずに基台10に対して固定されている。ターンテーブル25は支柱部26が挿入される円形開口を備えており、支柱部26がターンテーブル25の上面から上方に突出している。
【0025】
図3および図4に示すように、ターンテーブル25上に3つのチャックテーブル30が支持されている。3つのチャックテーブル30は、ターンテーブル25の周方向に均等間隔(120°間隔)で配置されている。図5に示すように、個々のチャックテーブル30は、枠体31と、枠体31の上面側の凹部内に取り付けた円板状のポーラス板32と、を備えている。ポーラス板32は、セラミックスなどの多孔質材からなり、微細な気孔が全体に亘って形成されている。枠体31の凹部内にポーラス板32を取り付けた状態で、枠体31の上面とポーラス板32の上面とが面一になる。ポーラス板32の上面は、ウェーハWを載置して保持する保持面33を構成する。
【0026】
チャックテーブル30は、ターンテーブル25上で、回転機構34によって回転可能に支持されている。チャックテーブル30の回転中心軸は、Z軸方向に対して僅かに傾いている。保持面33は、チャックテーブル30の回転中心軸を頂点とする円錐形状の面である。チャックテーブル30の回転中心軸に直交する方向に対する保持面33の傾斜は、肉眼では判別できない程度の非常に小さなものである。
【0027】
図示を省略するが、チャックテーブル30内に設けた吸引路が吸引源に連通しており、吸引源の動作によって、吸引路を通してポーラス板32側のエア(空気)が吸引されて、保持面33に吸引力が作用する。この吸引力によって、ウェーハWを保持面33に吸引保持することができる。
【0028】
研削装置1でウェーハWの研削加工を行う際には、回転機構27は、ターンテーブル25を図3および図4に示す回転方向Raに120度間隔で回転させる。ターンテーブル25が当該回転を行うことによって、3つのチャックテーブル30は、洗浄室22内(加工室23の外側)の搬送位置と、加工室23内の+Y方向側の第1の加工位置と、加工室23内の-Y方向側の第2の加工位置と、に順次移動される。つまり、ターンテーブル25および回転機構27は、各チャックテーブル30を水平方向に加工室23内の加工位置と加工室23外の搬送位置とに移動させる水平移動機構を構成している。
【0029】
図2および図5に示すように、洗浄室22は、搬送位置にあるチャックテーブル30と、ターンテーブル25のうち加工室23の外側に露出している部分と、を覆う形状を有している。詳しくは、洗浄室22は、ターンテーブル25の外周縁を囲む円弧形状の側壁35と、側壁35の上端に接続してターンテーブル25の上面に平行な扇形の天板36と、を有している。天板36は、チャックテーブル30の保持面33よりもZ軸方向で高い位置に位置している。天板36には、搬送位置にあるチャックテーブル30の上方に位置して洗浄室22の内部と外部とをZ軸方向に連通する開口37が形成されている。開口37は円形の開口であり、開口37の直径はチャックテーブル30およびウェーハWの直径よりも大きく、Z軸方向にウェーハWを通過させることができる。つまり、開口37を通して、上方から洗浄室22内にウェーハWを出し入れすることが可能である。
【0030】
なお、洗浄室22に設ける開口は、楕円であってもよい。チャックテーブル30に保持されたウェーハWをチャックテーブル30の上面で水平方向にスライドさせたのち、+Z方向に上昇させ、チャックテーブル30からウェーハWを搬出させることを可能にしてもよい。
【0031】
基台10上には、中間領域EBと受け渡し領域ECとの間でウェーハWを搬送する第1搬送機構40および第2搬送機構41が設けられている。第1搬送機構40が+Y方向側に位置し、第2搬送機構41が-Y方向側に位置する。第1搬送機構40は、仮置きテーブル17に載置された研削前のウェーハWを、搬送位置に位置するチャックテーブル30へ搬送する。第2搬送機構41は、チャックテーブル30に保持されている研削後のウェーハWを、搬送位置に位置するチャックテーブル30から受け取って、スピンナ洗浄機構18のスピンナ洗浄テーブル20へ搬送する。つまり、第1搬送機構40、第2搬送機構41は、搬送位置に移動したチャックテーブル30の保持面33に対してウェーハWを搬送する搬送機構を構成している。
【0032】
第1搬送機構40は、Z軸方向に延在する支持軸42を中心とする旋回動作とZ軸方向への昇降動作とが可能な支持アーム43の先端に、搬送パッド44を備えている。搬送パッド44は上方からウェーハWの上面を吸引保持可能である。仮置きテーブル17に載置された研削前のウェーハWの上面を搬送パッド44によって上方から吸引保持し、支持アーム43を上昇および旋回させて搬送パッド44を洗浄室22の開口37の上方に移動させ、続いて支持アーム43を下降させることによって、搬送位置に位置するチャックテーブル30の保持面33にウェーハWを載置することができる。
【0033】
第2搬送機構41は、Z軸方向に延在する支持軸45を中心とする旋回動作とZ軸方向への昇降動作とが可能な支持アーム46の先端に、搬送パッド47を備えている。搬送パッド47は上方からウェーハWの上面を吸引保持可能である。研削後のウェーハWが搬送位置に位置するチャックテーブル30の保持面33に保持されている状態で、洗浄室22の開口37の上方に搬送パッド47を位置させ、支持アーム46を下降させることによって、研削後のウェーハWの上面を搬送パッド47によって上方から吸引保持することができる。続いて、支持アーム46を上昇および旋回させて搬送パッド47をスピンナ洗浄機構18のスピンナ洗浄テーブル20の上方に移動させ、支持アーム46を下降させることによって、スピンナ洗浄テーブル20にウェーハWを載置することができる。
【0034】
加工領域EDでは、加工室23内の第1の加工位置にあるチャックテーブル30に保持されたウェーハWに対して、粗研削機構50によってウェーハWが所定の厚みまで粗研削される。また、加工室23内の第2の加工位置にあるチャックテーブル30に保持されたウェーハWに対して、仕上げ研削機構51によってウェーハWが仕上げ厚みまで仕上げ研削される。加工室23に対して-X方向側に隣接する領域には、基台10から上方に向けてコラム52が立設されており、コラム52に対してZ軸方向へ移動可能に粗研削機構50および仕上げ研削機構51が支持されている。
【0035】
コラム52の+X方向側の面に、粗研削機構50をZ軸方向に昇降させる第1昇降機構53と、仕上げ研削機構51をZ軸方向に昇降させる第2昇降機構54と、が設けられている。第1昇降機構53と第2昇降機構54は略同じ構造であり、第1昇降機構53と第2昇降機構54に共通する構成要素を同じ符号で説明する。
【0036】
第1昇降機構53と第2昇降機構54はそれぞれ、コラム52の+X方向側の面に配置されてZ軸方向に延びる平行な一対のガイドレール55と、一対のガイドレール55に沿ってZ軸方向に移動する昇降テーブル56と、Z軸方向に延びて昇降テーブル56に螺合するボールネジ57と、ボールネジ57を回転駆動するモータ58と、を有している。モータ58の駆動力によってボールネジ57を回転させると、昇降テーブル56がガイドレール55に沿ってZ軸方向に移動する。
【0037】
第1昇降機構53の昇降テーブル56には、ホルダ59を介して粗研削機構50が支持されており、昇降テーブル56がZ軸方向へ移動することによって、粗研削機構50が昇降する。第2昇降機構54の昇降テーブル56には、ホルダ60を介して仕上げ研削機構51が支持されており、昇降テーブル56がZ軸方向へ移動することによって、仕上げ研削機構51が昇降する。粗研削機構50と仕上げ研削機構51は略同じ構造であり、粗研削機構50と仕上げ研削機構51に共通する構成要素を同じ符号で説明する。
【0038】
粗研削機構50と仕上げ研削機構51はそれぞれ、Z軸方向に延在するスピンドル61と、スピンドル61を回転可能に支持するハウジング62と、ハウジング62内に設けられてスピンドル61を回転駆動するモータ(図示略)と、スピンドル61の下端に接続する円板形状のマウント63と、マウント63の下面に着脱可能な研削ホイール64と、を備える。
【0039】
粗研削機構50では、研削ホイール64のホイール基台に複数の粗研削砥石65が環状に配設されている。仕上げ研削機構51では、研削ホイール64のホイール基台に複数の仕上げ研削砥石66が環状に配設されている。粗研削砥石65は、砥石中に含まれる砥粒が比較的大きな砥石である。仕上げ研削砥石66は、粗研削砥石65よりも粒径が細かい砥粒で構成された砥石である。
【0040】
粗研削機構50と仕上げ研削機構51のそれぞれのスピンドル61の内部には、Z軸方向に延びる研削水流路が形成されており、研削水流路に研削水供給源67が接続している。研削水供給源67から供給される研削水は、研削水流路の下端に設けた開口から下方に噴出して、研削加工時に粗研削砥石65や仕上げ研削砥石66がウェーハWに接触する加工点およびその周辺に研削水が供給される。
【0041】
粗研削機構50と仕上げ研削機構51は、加工具である粗研削砥石65と仕上げ研削砥石66でウェーハWに対して研削加工を行う加工機構を構成している。第1の加工位置に位置するチャックテーブル30の保持面33に保持されたウェーハWが、粗研削機構50の粗研削砥石65の下方に位置付けられる。第2の加工位置に位置するチャックテーブル30の保持面33に保持されたウェーハWが、仕上げ研削機構51の仕上げ研削砥石66の下方に位置付けられる。
【0042】
研削装置1の加工室23は、第1の加工位置と第2の加工位置とに配置される2つのチャックテーブル30と、第1昇降機構53によって下降した粗研削機構50の研削ホイール64および粗研削砥石65と、第2昇降機構54によって下降した仕上げ研削機構51の研削ホイール64および仕上げ研削砥石66と、を収容するように基台10上に配置されている。詳しくは、加工室23は、受け渡し領域EC側(+X方向側)に向く正面壁70と、受け渡し領域ECとは反対側(-X方向側)に向く背面壁71と、Y方向の両側に位置して正面壁70と背面壁71を接続する一対の側壁72と、正面壁70と背面壁71と一対の側壁72との上端側に接続して上側を覆う天板73と、を備えている。Z軸方向における加工室23の天板73の高さ位置は、洗浄室22の天板36の高さ位置よりも高い。
【0043】
図2および図5に示すように、正面壁70は下部側の一部が切り欠かれて出入口74が形成されている。出入口74は、ターンテーブル25とチャックテーブル30が通過可能な大きさの開口である。出入口74は、後述するターンテーブル25上の仕切り板81によって塞がれる。
【0044】
加工室23の天板73には、粗研削機構50の下方に位置するホイール通過口75と、仕上げ研削機構51の下方に位置するホイール通過口76とが形成されている。ホイール通過口75は、粗研削機構50の研削ホイール64が通過可能な円形状の開口であり、ホイール通過口76は、仕上げ研削機構51の研削ホイール64が通過可能な円形状の開口である。
【0045】
図1及び図5に示すように、加工室23内の空気を吸い込んで外部に排出する排気口77を備えている。排気口77には排気管路78が接続しており、排気管路78は排気源79に接続している。排気源79は、排気用のファンやポンプなどで構成されており、排気源79を駆動させると、加工室23内の空気を排気口77に吸引するエアの流れが形成される。また、図5に示すように、加工室23の底部には、ウォータケース(図示略)に接続する排水口80が設けられている。
【0046】
粗研削機構50や仕上げ研削機構51で研削水を供給しながら粗研削砥石65や仕上げ研削砥石66をウェーハWに接触させて研削すると、研削水に研削屑が混ざって加工廃液になる。加工廃液は、加工室23内で下方に流れて、加工室23の底部側に設けた排水口80からウォータケースに排水される。
【0047】
また、加工室23の内部において、研削屑を含む加工廃液が霧化して噴霧(ミスト)が発生する。研削加工時に排気源79を駆動することによって、加工室23内に生じた加工廃液の噴霧を排気口77に吸い込んで、排気管路78を通して加工室23の外部に排出することができる。排気管路78の途中などに、排気口77から排出される加工廃液の噴霧に含まれる研削屑などを除去する集塵装置を備えてもよい。
【0048】
図1に示す構成例では、粗研削機構50の研削ホイール64がホイール通過口75を通して加工室23内に入り込む位置の近傍と、仕上げ研削機構51の研削ホイール64がホイール通過口76を通して加工室23内に入り込む位置の近傍とに、加工室23の天板73を貫通するように排気口77を設けている。この構成により、粗研削機構50による粗研削加工の際に発生する加工廃液の噴霧と、仕上げ研削機構51による仕上げ研削加工の際に発生する加工廃液の噴霧とを、効率的に加工室23内から排出できる。
【0049】
なお、排気口77を設ける位置や排気口77の個数は、図1の構成例に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、加工室23の背面壁71側に排気口77を設けてもよい。また、加工室23に1つだけ排気口77を設けてもよいし、3つ以上の排気口77を設けてもよい。
【0050】
図3に示すように、ターンテーブル25は、3つのチャックテーブル30の間を仕切る3つの仕切り板81を備えている。個々の仕切り板81は、ターンテーブル25の上面から上方に突出してターンテーブル25の半径方向に延設されており、ターンテーブル25の半径方向における仕切り板81の一端が支柱部26の外周面付近に位置し、仕切り板81の他端がターンテーブル25の外周縁付近に位置している。3つの仕切り板81は、ターンテーブル25の周方向に均等間隔で配置されている。ターンテーブル25が120°ごとに回転すると、2つの仕切り板81が加工室23の出入口74を塞ぐように構成されている。仕切り板81と出入口74との間に、密閉性を向上させるパッキン(シール材)などを配設してもよい。
【0051】
個々の仕切り板81の下縁側(ターンテーブル25の上面に近い-Z方向側)には、通過口82が形成されている。通過口82は、ターンテーブル25の周方向(仕切り板81の厚み方向)に向けて仕切り板81を貫通している。2つの仕切り板81が加工室23の出入口74を塞いでいる状態で、当該2つの仕切り板81の通過口82を流体が通過することが可能である。つまり、通過口82によって、洗浄室22が加工室23内に連通している。なお、本実施形態では通過口82を側面視で矩形状としているが、通過口82の形状はこれに限定されない。例えば、1つの仕切り板81に複数の通過口82がメッシュ状に形成されていてもよい。
【0052】
図4に示すように、ターンテーブル25の上面側を覆うテーブルカバー83が設けられている。3つの仕切り板81によって仕切られた3つの扇形の範囲に分けられてテーブルカバー83が設けられており、個々のテーブルカバー83がチャックテーブル30の周りを囲んでいる。テーブルカバー83は、ターンテーブル25の外周縁から上方に延びる円弧形状の側壁84と、側壁84の上端に接続してターンテーブル25の上面に平行な扇形の天板85と、を有している。
【0053】
テーブルカバー83の側壁84には、側面貫通孔86が形成されている。側面貫通孔86は、側壁84の下縁側(ターンテーブル25の上面に近い-Z方向側)に形成されて、ターンテーブル25の周方向に延在する孔である。粗研削機構50および仕上げ研削機構51でウェーハWを研削する際に供給されてテーブルカバー83内に入った研削水は、側面貫通孔86からテーブルカバー83の外側に排水される。
【0054】
テーブルカバー83の天板85には、露出孔87と上面貫通孔88とが形成されている。露出孔87は円形孔であり、露出孔87の直径はチャックテーブル30の直径よりも大きい。チャックテーブル30の上部は露出孔87を通して天板85の上方に突出しており、保持面33が天板85よりもZ軸方向で高い位置に位置している。これにより、テーブルカバー83に妨げられることなく、保持面33にウェーハWを保持させることができる。上面貫通孔88は、ターンテーブル25の半径方向と平行に延びる矩形の長孔であり、仕切り板81によって仕切られる天板85の直線部分の近傍に位置している。
【0055】
図2および図4に示すように、支柱部26の上面に二流体洗浄機構90が支持されている。二流体洗浄機構90は、洗浄室22内の搬送位置に移動したチャックテーブル30の保持面33、または、搬送位置に移動したチャックテーブル30の保持面33に保持されたウェーハWの上面の上方から下方に向かって、洗浄水とエアとを混合した二流体(混合流体)を噴射して、保持面33やウェーハWの上面を洗浄する洗浄機構である。
【0056】
二流体洗浄機構90は、支柱部26上に設けたブラケット91に対してZ軸方向の軸を中心として旋回可能に支持される旋回アーム92と、旋回アーム92を旋回させる駆動源であるモータ93と、旋回アーム92の先端に設けた二流体ノズル94と、を備えている。旋回アーム92は水平方向に延在しており、モータ93を駆動することにより、旋回アーム92がターンテーブル25の周方向に向けて旋回動作を行う。
【0057】
図5に示すように、二流体ノズル94に水供給流路95とエア供給流路96が接続している。水供給流路95は、洗浄水を供給する洗浄水源97に連通しており、エア供給流路96は、エアを供給するエア源98に連通している。洗浄水源97が備えるポンプなどの動作によって、水供給流路95を経由して二流体ノズル94に洗浄水が供給される。エア源98が備えるコンプレッサーなどの動作によって、エア供給流路96を経由して二流体ノズル94にエアが供給される。供給された洗浄水とエアが二流体ノズル94の内部で混合して二流体になり、-Z方向側を向いた噴射口99から二流体を噴射する。
【0058】
旋回アーム92の旋回動作と回転機構34によるチャックテーブル30の回転動作とを組み合わせて行うことによって、二流体ノズル94の噴射口99から噴射される二流体を、チャックテーブル30の保持面33の全体、または、保持面33に保持されたウェーハWの上面全体に届かせることができる。
【0059】
二流体による洗浄を行わない状態では、二流体洗浄機構90は、図2および図4に示す退避位置に保持される。退避位置では、旋回アーム92および二流体ノズル94が、搬送位置にあるチャックテーブル30の上方領域から逸れた位置にあり、第1搬送機構40によって搬送したウェーハWを保持面33に載置する動作や、第2搬送機構41によって保持面33からウェーハWを搬出する動作を妨げない。
【0060】
図4および図5に示すように、二流体ノズル94は、噴射口99からの二流体の噴射方向が、Z軸方向から傾けられている。詳しくは、二流体ノズル94は、噴射口99から噴射する二流体がターンテーブル25の回転方向Raとは反対方向に向かうような傾きで配置されている。テーブルカバー83の上面貫通孔88は、二流体ノズル94の噴射口99から噴射する二流体の噴射方向の下流側(二流体ノズル94に対して回転方向Raとは反対側)に配置されている。これにより、二流体ノズル94の噴射口99から噴射する二流体は、保持面33、または保持面33に保持されたウェーハWの上面に当たって反射した後で、上面貫通孔88に向かって流れる。
【0061】
図2に示すように、二流体洗浄機構90は洗浄室22の外側(上方)に配置されており、旋回アーム92および二流体ノズル94は、洗浄室22の天板36よりも上方に位置している。つまり、二流体洗浄機構90の二流体ノズル94は、洗浄室22の上方から、開口37を通して、チャックテーブル30の保持面33、または保持面33に保持されたウェーハWの上面に向けて、二流体を噴射する。
【0062】
図4に示すように、支柱部26には、洗浄室22および加工室23の外側に位置している二流体洗浄機構90の他に、研削中にウェーハWの厚みを測定する厚み測定ユニット100が取り付けられている。Z軸方向における加工室23の天板73の高さ位置は、洗浄室22の天板36の高さ位置よりも高く、厚み測定ユニット100は加工室23の内部(天板73の下方)に配置されている。
【0063】
厚み測定ユニット100は2つ設けられている。+Y方向側に位置する一方の厚み測定ユニット100は、第1の加工位置に位置するチャックテーブル30の保持面33に保持されたウェーハWの厚みを測定する粗研削用の測定ユニットである。-Y方向側に位置する他方の厚み測定ユニット100は、第2の加工位置に位置するチャックテーブル30の保持面33に保持されたウェーハWの厚みを測定する仕上げ研削用の測定ユニットである。
【0064】
厚み測定ユニット100は接触式のハイトゲージであり、チャックテーブル30の保持面33に接触する基準側ハイトゲージ101と、ウェーハWの上面に接触するウェーハ側ハイトゲージ102とを備えている。基準側ハイトゲージ101が測定した保持面33の高さと、ウェーハ側ハイトゲージ102が測定したウェーハWの上面の高さとの差を、算出部によって算出して、ウェーハWの厚みを測定する。
【0065】
以上のように構成された研削装置1によってウェーハWを加工する一連の動作を説明する。なお、研削装置1の各部の動作について、制御の主体が明記されていない場合は、制御部2から送られる制御信号によって動作が制御されているものとする。また、1つのウェーハWおよびチャックテーブル30に着目した動作を説明するが、以下の説明と同じ動作を繰り返すことによって、複数のウェーハWの加工を連続して行うことが可能である。また、加工室23内において、Y軸方向に隣接する2つのチャックテーブル30上で、粗研削機構50による粗研削加工と、仕上げ研削機構51による仕上げ研削加工とを、同時進行で行うことも可能である。
【0066】
カセット載置台13に載置したカセット11に収容されている研削前のウェーハWを、ロボットハンド16を用いてカセット11から取り出して仮置きテーブル17に搬送して載置し、複数の位置決めピン19をウェーハWの外周縁に当接させてウェーハWを位置決めする。
【0067】
次に、仮置きテーブル17に載置したウェーハWの上面を第1搬送機構40の搬送パッド44で上方から吸引保持し、支持アーム43を上昇および旋回させて、搬送位置に位置するチャックテーブル30の上方にウェーハWを位置付ける。搬送位置のチャックテーブル30が他のウェーハWを保持していない状態で、保持面33に向けて搬送パッド44を下降させる。搬送パッド44の下降によって、搬送パッド44が保持するウェーハWが洗浄室22の開口37を通過して、搬送位置のチャックテーブル30の保持面33にウェーハWの下面が載せられる。チャックテーブル30に接続する吸引源からの吸引力を保持面33に作用させ、第1搬送機構40からチャックテーブル30に受け渡されたウェーハWを保持面33に吸引保持する。ウェーハWをチャックテーブル30に受け渡したら、第1搬送機構40は支持アーム43を上昇および旋回させて、搬送パッド44をウェーハWの上面から離間させる。
【0068】
続いて、ターンテーブル25を回転方向Raに120°回転させ、保持面33にウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30を、搬送位置から第1の加工位置へ移動させる。このターンテーブル25の回転によって、ウェーハWを保持したチャックテーブル30が、出入口74を通過して洗浄室22内から加工室23内に進入する。
【0069】
第1の加工位置に移動したチャックテーブル30が保持するウェーハWに対して、粗研削機構50によって粗研削加工を行う。粗研削加工は、ウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30を回転機構34により回転させ、スピンドル61を回転させながら粗研削機構50を第1昇降機構53によって下降(研削送り)させる。粗研削機構50の下降によって、研削ホイール64および粗研削砥石65が加工室23のホイール通過口75を通過して加工室23内に進入し、回転しながら下降する粗研削砥石65がウェーハWの上面に接触して、ウェーハWの上面が粗研削される。厚み測定ユニット100(図3)によって、粗研削加工中のウェーハWの厚み測定が行われ、予め設定された粗研削用の厚みになるまで粗研削加工が継続される。
【0070】
粗研削加工の際に、粗研削砥石65とウェーハWの上面とが接触する加工点に向けて、研削水供給源67から送られた研削水が供給され、研削水によって、加工点およびその付近の冷却と、研削によって発生する研削屑の洗浄とが行われる。研削水に研削屑が含まれた加工廃液は、加工室23内で下方に流れて、加工室23の底部側に設けた排水口80から外部のウォータケースに排水される。テーブルカバー83の内部に入り込んだ加工廃液は、側面貫通孔86を通してテーブルカバー83の外側(加工室23の底部側)に排出される。また、ウェーハWの粗研削加工中には、排気源79を駆動させて排気口77に吸引力を作用させ、研削屑を含む加工廃液の噴霧を排気口77に吸い込んで、排気管路78を通して加工室23の外部に排出する。
【0071】
粗研削が完了したら、粗研削機構50を第1昇降機構53によって上昇させて粗研削砥石65をウェーハWの上面から離間させる。続いて、ターンテーブル25を回転方向Raに120°回転させ、保持面33にウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30を、第1の加工位置から第2の加工位置へ移動させる。
【0072】
第2の加工位置に移動したチャックテーブル30が保持するウェーハWに対して、仕上げ研削機構51によって仕上げ研削加工を行う。ウェーハWの仕上げ研削加工は、ウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30を回転機構34により回転させ、スピンドル61を回転させながら仕上げ研削機構51を第2昇降機構54によって下降(研削送り)させる。仕上げ研削機構51の下降によって、研削ホイール64および仕上げ研削砥石66が加工室23のホイール通過口76を通過して加工室23内に進入し、回転しながら下降する仕上げ研削砥石66がウェーハWの上面に接触して、ウェーハWの上面が仕上げ研削される。厚み測定ユニット100(図3)によって、仕上げ研削加工中のウェーハWの厚み測定が行われ、予め設定された仕上げ厚みになるまで仕上げ研削加工が継続される。
【0073】
仕上げ研削加工の際に、仕上げ研削砥石66とウェーハWの上面とが接触する加工点に向けて、研削水供給源67から送られた研削水が供給され、研削水によって、加工点およびその付近の冷却と、研削によって発生する研削屑の洗浄とが行われる。研削水に研削屑が含まれた使用済みの加工廃液は、加工室23内で下方に流れて、加工室23の底部側に設けた排水口80から外部のウォータケースに排水される。テーブルカバー83の内部に入り込んだ加工廃液は、側面貫通孔86を通してテーブルカバー83の外側(加工室23の底部側)に排出される。また、ウェーハWの仕上げ研削加工中には、排気源79を駆動させて排気口77に吸引力を作用させ、研削屑を含む加工廃液の噴霧を排気口77に吸い込んで、排気管路78を通して加工室23の外部に排出する。
【0074】
仕上げ研削が完了したら、仕上げ研削機構51を第2昇降機構54によって上昇させて仕上げ研削砥石66をウェーハWの上面から離間させる。続いて、ターンテーブル25を回転方向Raに120°回転させ、保持面33にウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30を、第2の加工位置から搬送位置へ移動させる。このターンテーブル25の回転によって、ウェーハWを保持したチャックテーブル30が、出入口74を通過して加工室23内から洗浄室22内に進入する。
【0075】
粗研削および仕上げ研削を完了したウェーハWを保持したチャックテーブル30が搬送位置に移動すると、当該ウェーハWの上面に向けて、二流体洗浄機構90の二流体ノズル94から二流体を噴射して洗浄する。ウェーハWを二流体洗浄機構90によって洗浄する際には、モータ93を駆動して旋回アーム92を退避位置(図2および図4)から旋回させて、二流体ノズル94をウェーハWの上方に位置付ける。そして、噴射口99から二流体の噴射を開始させると共に、二流体ノズル94が、ウェーハWの中心から外周縁までの範囲の上方を往復するように旋回アーム92を旋回移動させる。また、回転機構34を動作させてチャックテーブル30を回転させ、チャックテーブル30上のウェーハWを回転させる。これらの複合的な動作により、二流体ノズル94から噴射する二流体によって、ウェーハWの上面全体を洗浄することができる。ウェーハWの上面には、加工室23内で行った研削加工の際に発生した研削屑などが付着しており、二流体の噴射によって、研削屑などを除去することができる。特に、ブラシなどの洗浄器具をウェーハWに接触させて行う洗浄方法に比べて、二流体の噴射による洗浄は、ウェーハWを傷つけずに効率的な洗浄を実現できるという利点がある。二流体によるウェーハWの上面の洗浄が完了したら、二流体ノズル94からの二流体の噴射を終了し、旋回アーム92を旋回させて二流体洗浄機構90を退避位置へ移動させる。
【0076】
続いて、第2搬送機構41を用いて、搬送位置のチャックテーブル30からスピンナ洗浄機構18へウェーハWを搬送する。搬送位置のチャックテーブル30の上方に第2搬送機構41の搬送パッド47を位置付け、保持面33に保持されたウェーハWの上面に向けて搬送パッド47を下降させる。下降する搬送パッド47は、開口37を通過して洗浄室22に入り、ウェーハWの上面を上方から吸引保持する。このときに、二流体洗浄機構90は退避位置へ移動されているので、ウェーハWの上面に接近する搬送パッド47の下降を妨げない。次に、支持アーム46を上昇および旋回させて、ウェーハWを吸引保持した搬送パッド47をスピンナ洗浄テーブル20の上方に移動させる。そして、搬送パッド47をスピンナ洗浄テーブル20に向けて下降させて、ウェーハWの下面をスピンナ洗浄テーブル20に載置する。ウェーハWをスピンナ洗浄テーブル20に受け渡したら、第2搬送機構41は支持アーム46を上昇および旋回させて、搬送パッド47をウェーハWの上面から離間させる。
【0077】
第2搬送機構41によって搬送位置のチャックテーブル30からスピンナ洗浄機構18へウェーハWを搬送する前に、二流体洗浄機構90を用いて二流体の噴射によってウェーハWの上面を洗浄しているので、第2搬送機構41によるウェーハWの搬送を行う際に、ウェーハWの上面に付着した研削屑が搬送パッド47を汚すことを防止できる。その結果、搬送パッド47のメンテナンスの頻度を少なくする効果や、搬送パッド47の長期使用が可能になるという効果が得られる。
【0078】
スピンナ洗浄機構18では、研削後のウェーハWを保持したスピンナ洗浄テーブル20を回転させ、スピンナ洗浄テーブル20上のウェーハWに対してノズル21から洗浄水を噴射する。スピンナ洗浄テーブル20は、チャックテーブル30の保持面33よりも面積が小さく、二流体洗浄機構90では十分に洗浄されなかったウェーハWの下面側にも洗浄水を行き渡らせて、ウェーハWの全体を洗浄することができる。ウェーハWの洗浄後に、ノズル21から乾燥エアが吹き付けられてウェーハWを乾燥させる。
【0079】
スピンナ洗浄機構18での洗浄後に、ロボットハンド16を用いて、スピンナ洗浄テーブル20からウェーハWを受け取って、カセット載置台14に載置したカセット12へウェーハWを搬送する。研削および洗浄を行った後のウェーハWは、カセット12に収容されて、研削加工の後の加工を行う別の加工装置へ搬送される。なお、ウェーハWをカセット12に収容する前に、仮置きテーブル17にウェーハWを載置して複数の位置決めピン19を用いたウェーハWの位置決めを行ってもよい。以上のようにして、研削装置1においてウェーハWに対する一連の加工が完了する。
【0080】
また、研削装置1では、搬送位置に位置するチャックテーブル30がウェーハWを保持していない状態で、二流体洗浄機構90を用いて当該チャックテーブル30の保持面33を洗浄する。二流体洗浄機構90による保持面33の洗浄を実施するタイミングは、例えば、研削後のウェーハWを第2搬送機構41によってチャックテーブル30からスピンナ洗浄機構18に搬送してから、次に加工する未研削のウェーハWを第1搬送機構40によってチャックテーブル30の保持面33に搬送するまでの間などである。あるいは、研削装置1を起動して最初のウェーハWを研削加工する前の準備段階で、二流体洗浄機構90による保持面33の洗浄を行ってもよい。
【0081】
チャックテーブル30を洗浄することによって、研削屑の詰まりを原因とした保持面33の吸引力の低下や吸引力のばらつき、研削屑などの異物が付着することによる保持面33の面精度の悪化、などを防ぐことができ、ウェーハWを保持面33に安定して保持して高精度な研削加工を行うことが可能になる。
【0082】
二流体洗浄機構90を用いた保持面33の洗浄は、先に説明した二流体洗浄機構90によるウェーハWの上面の洗浄と同様の動作で実施可能である。二流体ノズル94をウェーハWの上方に位置付け、噴射口99から二流体の噴射を開始させると共に旋回アーム92を旋回移動させて、二流体ノズル94に保持面33の中心から外周縁までの範囲の上方を往復させる。また、回転機構34を動作させてチャックテーブル30を回転させる。これらの複合的な動作により、二流体ノズル94から噴射する二流体によって、保持面33の全体を洗浄することができる。
【0083】
多孔質材からなるポーラス板32の上面である保持面33には、多数の微細な気孔が形成されており、保持面33からポーラス板32の内部に入り込んだ細かい研削屑は、ブラシなどの擦動型の洗浄器具で除去することが難しい。二流体洗浄機構90によって保持面33に向けて二流体を噴射する洗浄は、チャックテーブル30を損傷させずに、ポーラス板32に入り込んだ細かい研削屑などを効率的に除去できるという利点がある。また、ポーラス板32の内部に水と高圧エアを供給して保持面33から二流体と共に研削屑を噴き出させる構造の洗浄機構が存在するが、このタイプの洗浄機構を備えていないチャックテーブル30であっても、上方から二流体を噴射する二流体洗浄機構90を用いることによって、保持面33の洗浄を行うことができる。
【0084】
本実施形態の研削装置1は、二流体洗浄機構90から二流体を噴射してウェーハWの上面や保持面33を洗浄する際に、ウェーハWの上面や保持面33に当たって反射した二流体の噴霧が飛散して周囲を汚すことを防ぐ構成を備えている。特に、ウェーハWの上面や保持面33に付着した細かな研削屑を除去するために、二流体の噴霧の水滴径を小さくすると、噴霧が飛散しやすくなるので、噴霧の飛散を防ぐ対策が求められる。
【0085】
チャックテーブル30はテーブルカバー83によって囲まれており、チャックテーブル30の保持面33の周囲には、保持面33よりもZ軸方向のやや低い位置にテーブルカバー83の天板85が配置されている。天板85には上面貫通孔88が形成されており、ウェーハWの上面や保持面33で反射して飛散しようとする二流体の噴霧を、上面貫通孔88から吸い込んでテーブルカバー83内に導くことができる。
【0086】
詳しくは、図5に示すように、テーブルカバー83の内部は、出入口74および通過口82によって加工室23の内部に連通しており、排気源79を駆動して加工室23内に作用する排気口77側への吸引力によって、テーブルカバー83内から加工室23内に向かうエアの流れが形成されている。また、上面貫通孔88の箇所には、天板85の上方のエアをテーブルカバー83内に吸引する力が作用している。そのため、二流体の噴霧が上面貫通孔88からテーブルカバー83内に吸い込まれ、テーブルカバー83内に進入した二流体の噴霧は、出入口74および通過口82を通って加工室23内に進む。加工室23内に進入した二流体の噴霧は、先に説明した研削時に発生する加工廃液(研削水)の噴霧と同様に、加工室23内で排気口77に向かって吸引され、排気管路78を通して加工室23の外部に排出される。
【0087】
上面貫通孔88は、二流体ノズル94から噴射する二流体の噴射方向の下流側に配置されているので、二流体ノズル94から噴射された二流体が、洗浄の対象であるウェーハWの上面または保持面33に当たった後で、上面貫通孔88に向かって流れやすくなっている。また、上面貫通孔88は、ターンテーブル25の半径方向に長い矩形(帯状)の形状であるため、二流体の噴霧がテーブルカバー83の周囲に散逸する前に広範囲に吸い込むことができる。また、上面貫通孔88は、ターンテーブル25の周方向において、仕切り板81の通過口82に近い位置に形成されているので、上面貫通孔88から吸い込んだ二流体の噴霧を、素早く効率的に通過口82から加工室23内に進入させることができる。
【0088】
二流体洗浄機構90を用いて、ウェーハWの上面または保持面33を洗浄する場合、チャックテーブル30を図4に示す回転方向Rbに回転させることが好ましい。この回転方向Rbは、ウェーハWの上面や保持面33に当たった二流体に対して、上面貫通孔88から通過口82にスムーズに進行させる流れを形成させやすいという効果がある。
【0089】
本実施形態の研削装置1はさらに、加工室23の外側の受け渡し領域ECにおいて、搬送位置に移動したチャックテーブル30を収容する洗浄室22を備えている。洗浄室22は、搬送位置に移動したチャックテーブル30の保持面33を露出させる開口37を有し、開口37以外の部分では、チャックテーブル30およびその下方のターンテーブル25を覆っている。
【0090】
図5に示すように、洗浄室22の天板36は、Z軸方向においてチャックテーブル30の保持面33よりも高い位置にあり、二流体ノズル94から噴射されてウェーハWの上面または保持面33で反射した二流体の噴霧が上方へ飛散することを、天板36によって防ぐことができる。特に、二流体ノズル94は、Z軸方向に対する傾きをもって二流体を斜めに噴射するので、また、チャックテーブル30の回転によって、ウェーハWの上面または保持面33に当たった後の二流体は、開口37の周囲の天板36が存在する領域に向かって進み、天板36によって二流体の噴霧の飛散を防ぎやすくなっている。
【0091】
洗浄室22の側壁35は、搬送位置に移動したチャックテーブル30の外周面と、その下方のターンテーブル25の外周面とを囲んでおり、二流体ノズル94から噴射されてウェーハWの上面または保持面33を洗浄した二流体の噴霧が、チャックテーブル30やターンテーブル25の側方に飛散することを防止する。
【0092】
図5に示すように、洗浄室22の天板36の下方には、テーブルカバー83の露出孔87と上面貫通孔88が形成されている。また、洗浄室22の側壁35の内側には、テーブルカバー83の側面貫通孔86が形成されている。側壁35や天板36によって周囲への飛散が防がれて洗浄室22の内側に取り込まれた二流体の噴霧は、側面貫通孔86、露出孔87、上面貫通孔88を通ってテーブルカバー83の内部に進入する。上記の通り、テーブルカバー83内から加工室23内に向かうエアの流れが形成されており、このエアの流れは、洗浄室22内のエアをテーブルカバー83の内部に吸い込ませるように作用する。したがって、洗浄室22の内側に取り込まれた二流体の噴霧は、開口37から外部に出ずにテーブルカバー83内に進み、さらにテーブルカバー83内から加工室23内に進んで、排気口77から排出される。
【0093】
図2に示すように、洗浄室22は、加工室23の正面壁70に形成された出入口74の全体を覆っている。そのため、洗浄室22の内側に取り込まれた二流体の噴霧は、洗浄室22と加工室23の境界部分で外部に漏出せずに、出入口74および仕切り板81の通過口82を通って加工室23内に進入する。
【0094】
つまり、排気源79に接続した排気口77から加工室23内を吸気することで、加工室23に連通する洗浄室22の開口37から外気を吸気している状態で、二流体洗浄機構90から二流体を噴射してチャックテーブル30の保持面33またはウェーハWの上面を洗浄しているので、洗浄室22の外へ二流体の噴霧の漏出を防止している。
【0095】
以上のように、二流体洗浄機構90から二流体を噴射してチャックテーブル30の保持面33またはウェーハWの上面を洗浄する機能を備える研削装置1において、搬送位置に移動したチャックテーブル30を収容する洗浄室22を備えたことによって、二流体の噴霧の飛散を防止することができる。洗浄室22は、側壁35と天板36で構成されて、天板36に開口37を形成したシンプルな構造であるため、低コストに導入することができる。また、保持面33および保持面33上のウェーハWに対して天板36の高さを十分に高くすることで、二流体が保持面33で反射した場合と、二流体がウェーハWの上面で反射した場合のいずれにおいても、噴霧の飛散を確実に防止できる。
【0096】
また、ターンテーブル25上に設けた仕切り板81に、流体が通過する通過口82を備えたことによって、洗浄室22によって飛散を防止した二流体の噴霧を、通過口82を通して加工室23内に導くことができる。加工室23は、研削加工時の加工廃液(研削水)の噴霧を排気口77から排出する構造を備えており、この排出構造を利用して、二流体の噴霧を排出することができる。つまり、二流体の噴霧を研削装置1の外部へ排出するための専用の構造を必要とせず、構造の簡略化を実現できる。
【0097】
なお、洗浄室22の構成は上記の実施形態には限定されない。図6および図7は、上記実施形態から洗浄室22の一部の構成を変更した変形例を示している。
【0098】
図6に示す洗浄室22は、天板36のうち、加工室23の正面壁70に近い-X方向側の部分を、水平方向に対して傾斜する傾斜壁110として構成した変形例である。傾斜壁110は、加工室23の正面壁70に隣接する-X方向側の端部から、開口37が形成されている+X方向側の端部へ進むにつれて、Z軸方向の高さが増加する(上方への突出量が大きくなる)傾斜を有している。
【0099】
図7に示す洗浄室22は、天板36のうち、開口37に隣接する一部分のみを、水平方向に対して傾斜する傾斜壁111として構成した変形例である。傾斜壁111は、開口37と加工室23の正面壁70との間に位置しており、開口37に近づくにつれて、Z軸方向の高さが増加する(上方への突出量が大きくなる)傾斜を有している。
【0100】
これらの変形例における傾斜壁110や傾斜壁111を備えることによって、二流体ノズル94から噴射されてウェーハWの上面またはチャックテーブル30の保持面33で反射した二流体を、洗浄室22の外側へ飛散させずに洗浄室22内に取り込む効果が向上する。
【0101】
また、洗浄室の全体的な形状が、上記実施形態の洗浄室22とは異なっていてもよい。例えば、洗浄室22のような扇形の平面視形状ではなく、平面視形状が矩形である箱型の洗浄室を適用することも可能である。
【0102】
上記実施形態の研削装置1は、ターンテーブル25上に3つのチャックテーブル30を備え、加工室23内の第1の加工位置と第2の加工位置に2つのチャックテーブル30を位置させて、粗研削機構50と仕上げ研削機構51によってウェーハWを研削加工しているが、変形例として、加工室内でウェーハの研削加工を行う研削機構が1つであり、ターンテーブル上に2つのチャックテーブルを備える形態の研削装置にも適用が可能である。この変形例では、例えば、ターンテーブルが180°ずつ回転して、2つのチャックテーブルをそれぞれ洗浄室内の搬送位置と加工室内の加工位置とに移動させる。ターンテーブルには、2つのチャックテーブルの間を仕切る2つの仕切り板が設けられる。
【0103】
また、チャックテーブルを洗浄室内の搬送位置と加工室内の加工位置とに移動させる水平移動機構として、ターンテーブル以外を適用することも可能である。図8は、水平移動機構の構成を変更した変形例に係る研削装置3を示している。なお、図8の研削装置3において、上記実施形態の研削装置1と役割が共通する構成要素については、形状や配置が若干異なる場合でも、上記実施形態の研削装置1における構成要素と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0104】
研削装置3は、チャックテーブル30を1つ備えている。チャックテーブル30は、基台10上に設けた水平移動機構120によって、X軸方向へ直線的に移動される。水平移動機構120は、X軸方向に延在するガイドレール121と、X軸方向に延在するボールネジ122と、ボールネジ122を回転駆動するモータ123と、ガイドレール121によってX軸方向に移動可能に支持された台座124と、を備えている。台座124上に、チャックテーブル30と、チャックテーブル30を回転させる回転機構34とが支持されている。台座124は、ボールネジ122に螺合する螺合部を備えている。モータ123によってボールネジ122を回転させると、台座124がガイドレール121に沿ってX軸方向へ移動し、台座124と共にチャックテーブル30および回転機構34がX軸方向へ移動する。
【0105】
基台10上には、+X方向側の搬送位置(図8に示す位置)に移動したチャックテーブル30を収容する洗浄室22と、-X方向側の加工位置に移動したチャックテーブル30を収容する加工室23と、が設けられている。
【0106】
加工室23内の加工位置にチャックテーブル30が位置する状態で、保持面33に保持されたウェーハWの上面側を、研削機構125の研削砥石126によって研削する。コラム52に支持された昇降機構127によって研削機構125が下降して、研削砥石126がウェーハWの上面に接触する。加工室23の天板73には、研削ホイール64および研削砥石126が通過可能なホイール通過口128が形成されている。
【0107】
研削機構125による研削が完了したら、水平移動機構120のモータ123を駆動してチャックテーブル30を洗浄室22内の搬送位置に移動させる。搬送位置に位置するチャックテーブル30に保持されたウェーハWの上面に向けて、二流体洗浄機構90の二流体ノズル94から二流体を噴射し、ウェーハWの上面を洗浄する。また、搬送位置に位置するチャックテーブル30の保持面33にウェーハWが保持されていない状態で、二流体洗浄機構90の二流体ノズル94から二流体を噴射し、保持面33を洗浄する。
【0108】
上記実施形態の研削装置1と同様に、図8の研削装置3では、水平移動機構120によって搬送位置に移動させたチャックテーブル30を収容する洗浄室22を備えることによって、二流体ノズル94から二流体を噴射して、ウェーハWの上面、または、チャックテーブル30の保持面33を洗浄する際に、二流体の噴霧が周囲に飛散することを防止できる。図8に示すように、洗浄室22は、少なくともチャックテーブル30を収容する構造であればよく、水平移動機構120の構成要素は洗浄室22には収容されていない。
【0109】
本発明は、上記実施形態および変形例で説明した研削装置に適しているが、研削装置以外の加工装置にも適用が可能である。例えば、加工機構として研磨機構を備えてウェーハを研磨加工する研磨装置や、加工機構として切削機構を備えてウェーハを切削加工する切削装置などにおいても、チャックテーブルが搬送位置に位置する状態で、二流体ノズルからの二流体の噴射を用いて加工後のウェーハの上面やチャックテーブルの保持面を洗浄する場合には、本発明が有用である。
【0110】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本発明は、搬送位置に移動したチャックテーブルの保持面または保持面が保持するウェーハに二流体を噴射して保持面またはウェーハの上面を洗浄する機能を備える加工装置において、噴霧の飛散を防止する効果が得られ、加工装置のメンテナンスの頻度や労力を軽減して加工装置の効率的な運用を実現できる。
【符号の説明】
【0112】
1 :研削装置
2 :制御部
3 :研削装置
10 :基台
16 :ロボットハンド
17 :仮置きテーブル
18 :スピンナ洗浄機構
20 :スピンナ洗浄テーブル
22 :洗浄室
23 :加工室
25 :ターンテーブル(水平移動機構)
27 :回転機構(水平移動機構)
30 :チャックテーブル
31 :枠体
32 :ポーラス板
33 :保持面
34 :回転機構
35 :側壁
36 :天板
37 :開口
40 :第1搬送機構(搬送機構)
41 :第2搬送機構(搬送機構)
43 :支持アーム
44 :搬送パッド
46 :支持アーム
47 :搬送パッド
50 :粗研削機構(加工機構)
51 :仕上げ研削機構(加工機構)
53 :第1昇降機構
54 :第2昇降機構
61 :スピンドル
63 :マウント
64 :研削ホイール
65 :粗研削砥石(加工具)
66 :仕上げ研削砥石(加工具)
67 :研削水供給源
70 :正面壁
71 :背面壁
72 :側壁
73 :天板
74 :出入口
75 :ホイール通過口
76 :ホイール通過口
77 :排気口
78 :排気管路
79 :排気源
80 :排水口
81 :仕切り板
82 :通過口
83 :テーブルカバー
84 :側壁
85 :天板
86 :側面貫通孔
87 :露出孔
88 :上面貫通孔
90 :二流体洗浄機構
91 :ブラケット
92 :旋回アーム
93 :モータ
94 :二流体ノズル
95 :水供給流路
96 :エア供給流路
97 :洗浄水源
98 :エア源
99 :噴射口
100 :厚み測定ユニット
110 :傾斜壁
111 :傾斜壁
120 :水平移動機構
121 :ガイドレール
122 :ボールネジ
123 :モータ
124 :台座
125 :研削機構(加工機構)
126 :研削砥石(加工具)
127 :昇降機構
128 :ホイール通過口
EA :カセット配置領域
EB :中間領域
EC :受け渡し領域
ED :加工領域
W :ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8