(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167524
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】生体信号検出システム及び生体状態判定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/11 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083657
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】笹原 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】城本 一馬
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB28
4C038VB33
4C038VC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、人間又は動物の生体信号を高精度に検出し、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに確実に通報する。
【解決手段】人間又は動物Bの生体信号を検出するマイクロ波センサ1と、人間又は動物Bの画像情報を取得する撮像センサ2と、人間又は動物Bの立体スキャンにおける生体信号の信号強度に基づいて、又は、人間又は動物Bの画像情報における生体信号の発生位置に基づいて、マイクロ波センサ1を生体信号の検出位置に接近させるマニピュレータ3と、を備えることを特徴とする生体信号検出システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物の生体信号を検出するマイクロ波センサと、
前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させるマニピュレータと、
を備えることを特徴とする生体信号検出システム。
【請求項2】
前記マニピュレータは、人間又は動物の立体スキャンにおける前記生体信号の信号強度に基づいて、前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体信号検出システム。
【請求項3】
人間又は動物の画像情報を取得する撮像センサ、をさらに備え、
前記マニピュレータは、人間又は動物の前記画像情報における前記生体信号の発生位置に基づいて、前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体信号検出システム。
【請求項4】
前記マイクロ波センサは、前記生体信号以外の外来信号の影響が低減されるように、マイクロ波ビームの指向性を向上させるとともに、前記マニピュレータは、前記生体信号の信号強度が最適化されるように、前記マイクロ波ビームの指向方向を制御する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の生体信号検出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の生体信号検出システムを用いて、
前記生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する異常状態判定部、
を備えることを特徴とする生体状態判定システム。
【請求項6】
請求項3に記載の生体信号検出システムを用いて、
前記画像情報が伏臥した人間又は動物の画像であると判定することができるにもかかわらず、前記生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する異常状態判定部、
を備えることを特徴とする生体状態判定システム。
【請求項7】
前記生体信号が異常な状態にあると判定されたときに、前記生体信号が検出された人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに通報する異常状態通報部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項5又は6に記載の生体状態判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人間又は動物の生体信号(心拍又は呼吸等)を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人間又は動物の生体信号(心拍又は呼吸等)を検出し、生体信号が異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあるかどうかを判定する技術が、特許文献1等に開示されている。周知技術では、人間又は動物に接触型センサを装着し、人間又は動物の生体信号を検出し、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを建物内の監視システムに通報する。特許文献1では、建物の室内にマイクロ波センサを設置し、人間又は動物の生体信号を検出し、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを建物内の監視システムに通報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、周知技術では、不特定の多数が出入りする建物内では、人間又は動物に接触型センサを装着していないことがあり、人間又は動物に接触型センサを装着しているときでも、接触型センサと監視システムとの間のリンクを確立していないことがある。そして、特許文献1では、人間又は動物とマイクロ波センサとの間の距離及び方向によっては、人間又は動物の生体信号を高精度に検出することができないことがある。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、人間又は動物の生体信号を高精度に検出し、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに確実に通報することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、見回りロボット等のマニピュレータにマイクロ波センサを装着し、マイクロ波センサを人間又は動物の生体信号の検出位置に接近させる。
【0007】
具体的には、本開示は、人間又は動物の生体信号を検出するマイクロ波センサと、前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させるマニピュレータと、を備えることを特徴とする生体信号検出システムである。
【0008】
この構成によれば、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、人間又は動物の生体信号を高精度に検出することできる。
【0009】
また、本開示は、前記マニピュレータは、人間又は動物の立体スキャンにおける前記生体信号の信号強度に基づいて、前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させることを特徴とする生体信号検出システムである。
【0010】
この構成によれば、人間又は動物の立体スキャンにおける生体信号の信号強度が高い位置を探索して、人間又は動物の生体信号を高精度に検出することできる。
【0011】
また、本開示は、人間又は動物の画像情報を取得する撮像センサ、をさらに備え、前記マニピュレータは、人間又は動物の前記画像情報における前記生体信号の発生位置に基づいて、前記マイクロ波センサを前記生体信号の検出位置に接近させることを特徴とする生体信号検出システムである。
【0012】
この構成によれば、人間又は動物の画像情報における生体信号の発生位置(胸又は腹等)を探索して、人間又は動物の生体信号を高精度に検出することできる。
【0013】
また、本開示は、前記マイクロ波センサは、前記生体信号以外の外来信号の影響が低減されるように、マイクロ波ビームの指向性を向上させるとともに、前記マニピュレータは、前記生体信号の信号強度が最適化されるように、前記マイクロ波ビームの指向方向を制御することを特徴とする生体信号検出システムである。
【0014】
この構成によれば、外来信号の影響を低減させて、かつ、生体信号の信号強度が高い方向を探索して、人間又は動物の生体信号を高精度に検出することできる。
【0015】
また、本開示は、以上に記載の生体信号検出システムを用いて、前記生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する異常状態判定部、を備えることを特徴とする生体状態判定システムである。
【0016】
この構成によれば、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、マイクロ波センサの生体情報のみを用いて(撮像センサの画像情報を用いず)、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定することができる。
【0017】
また、本開示は、以上に記載の生体信号検出システムを用いて、前記画像情報が伏臥した人間又は動物の画像であると判定することができるにもかかわらず、前記生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する異常状態判定部、を備えることを特徴とする生体状態判定システムである。
【0018】
この構成によれば、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、マイクロ波センサの生体情報と撮像センサの画像情報とを照合して、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定することができる。
【0019】
また、本開示は、前記生体信号が異常な状態にあると判定されたときに、前記生体信号が検出された人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに通報する異常状態通報部、をさらに備えることを特徴とする生体状態判定システムである。
【0020】
この構成によれば、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに確実に通報することができる。
【0021】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本開示は、人間又は動物に監視システムとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサを適用するときでも人間又は動物の位置及び姿勢によることなく、人間又は動物の生体信号を高精度に検出し、生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物が異常な状態にあることを監視システムに確実に通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の見回り監視システムの概略の構成を示す図である。
【
図2】本開示の見回り監視システムの詳細な構成を示す図である。
【
図3】本開示の見回り監視システムの詳細な構成を示す図である。
【
図4】本開示の生体信号検出処理の手順を示す図である。
【
図5】本開示の生体信号検出処理の具体例を示す図である。
【
図6】本開示の生体信号検出処理の具体例を示す図である。
【
図7】本開示の生体信号検出処理の具体例を示す図である。
【
図8】本開示の生体状態判定処理の手順を示す図である。
【
図9】本開示の生体状態判定処理の具体例を示す図である。
【
図10】本開示の生体状態判定処理の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0025】
(本開示の見回り監視システムの構成)
本開示の見回り監視システムの概略の構成を
図1に示す。見回り監視システムは、見回りロボットR、クラウドサーバC及び監視システムMを備える。見回りロボットRは、マイクロ波センサ1、撮像センサ2及びマニピュレータ3を備える。
【0026】
本開示では、特許文献1と異なり、建物の室内にマイクロ波センサを設置せず、見回りロボットRのマニピュレータ3にマイクロ波センサ1を装着し、マイクロ波センサ1を人間又は動物Bの生体信号(心拍又は呼吸等)の検出位置(胸又は腹等)に接近させる。
【0027】
マイクロ波センサ1は、パッチアンテナ、ホーンアンテナ又は電波レンズ等であり、人間又は動物Bの衣服の上からでも、人間又は動物Bの生体信号を検出する。
【0028】
撮像センサ2は、カメラ、サーモグラフィー又は赤外線センサ等であり、人間又は動物Bの生体信号と照合するために、人間又は動物Bの画像情報を取得する。
【0029】
マニピュレータ3は、見回りロボットRの腕等であり、人間又は動物Bの生体信号又は画像情報に基づいて、マイクロ波センサ1を生体信号の検出位置に接近させる。
【0030】
本開示の見回り監視システムの詳細な構成を
図2に示す。見回りロボットRは、生体信号検出システムD及び生体状態判定システムJを備える。生体信号検出システムDは、マイクロ波センサ1、撮像センサ2及びマニピュレータ3を備える。生体状態判定システムJは、異常状態判定部4及び異常状態通報部5を備える。
【0031】
図2では、見回りロボットRが、人間又は動物Bの生体信号を検出し、生体信号が異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあるかどうかを判定したうえで、クラウドサーバCを介して、人間又は動物Bが異常な状態にあることを監視システムMに通報する。
【0032】
本開示の見回り監視システムの詳細な構成を
図3にも示す。見回りロボットRは、生体信号検出システムDを備える。生体信号検出システムDは、マイクロ波センサ1、撮像センサ2及びマニピュレータ3を備える。クラウドサーバCは、生体状態判定システムJを備える。生体状態判定システムJは、異常状態判定部4及び異常状態通報部5を備える。
【0033】
図3では、見回りロボットRが、人間又は動物Bの生体信号を検出し、クラウドサーバCが、生体信号が異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあるかどうかを判定したうえで、人間又は動物Bが異常な状態にあることを監視システムMに通報する。
【0034】
以下では、
図2及び
図3の見回り監視システムに共通して、本開示の生体信号検出処理の手順と、本開示の生体状態判定処理の手順と、を詳細に説明する。
【0035】
(本開示の生体信号検出処理の手順)
本開示の生体信号検出処理の手順を
図4に示す。本開示の生体信号検出処理の具体例を
図5~7に示す。
図4~7では、生体信号検出システムDの処理の手順を説明する。
【0036】
マイクロ波センサ1が、人間又は動物Bの生体信号を検出するにあたり(ステップS4)、撮像センサ2が、人間又は動物Bの画像情報を取得したうえで、マニピュレータ3は、マイクロ波センサ1を生体信号の検出位置に接近させる(ステップS1又はS2)。
【0037】
図5では、マニピュレータ3が、人間又は動物Bの立体スキャンにおける生体信号の信号強度に基づいて、マイクロ波センサ1を生体信号の検出位置に接近させ(ステップS1)、マイクロ波センサ1は、人間又は動物Bの生体信号を検出する(ステップS4)。
【0038】
図5の左欄では、マニピュレータ3は、人間又は動物Bの頭等のスキャンにおける生体信号の信号強度が低いことに基づいて、マイクロ波センサ1をさらに立体スキャンさせる。
図5の右欄では、マニピュレータ3は、人間又は動物Bの胸又は腹等のスキャンにおける生体信号の信号強度が高いことに基づいて、マイクロ波センサ1を胸又は腹等に接近させ、マイクロ波センサ1は、人間又は動物Bの生体信号を検出する。
【0039】
図6では、マニピュレータ3が、人間又は動物Bの画像情報における生体信号の発生位置に基づいて、マイクロ波センサ1を生体信号の検出位置に接近させ(ステップS2)、マイクロ波センサ1は、人間又は動物Bの生体信号を検出する(ステップS4)。
【0040】
図6の左欄では、マニピュレータ3は、人間又は動物Bの画像情報Pに基づいて、AIによる画像識別又は人間による遠隔操作を用いて、生体信号の発生位置G(胸又は腹等)を探索する。
図6の右欄では、マニピュレータ3は、人間又は動物Bの画像情報Pにおける生体信号の発生位置G(胸又は腹等)に基づいて、マイクロ波センサ1を胸又は腹等に接近させ、マイクロ波センサ1は、人間又は動物Bの生体信号を検出する。
【0041】
図7では、マイクロ波センサ1は、生体信号以外の外来信号の影響(空調又は他人等)が低減されるように、マイクロ波ビームの指向性を向上させ、マニピュレータ3は、生体信号の信号強度が最適化されるように、マイクロ波ビームの指向方向を制御し(ステップS3)、マイクロ波センサ1は、人間又は動物Bの生体信号を検出する(ステップS4)。
【0042】
図7の左欄では、マイクロ波センサ1は、マイクロ波ビームの指向性を立体スキャンにあたり広げており、外来信号の影響を低減することができない。
図7の中欄では、マイクロ波センサ1は、外来信号の影響が低減されるように、マイクロ波ビームの指向性を立体スキャンの後に狭めている。
図7の右欄では、マニピュレータ3は、生体信号の信号強度が最も高くなるように、マイクロ波ビームの指向方向を回転させている。
【0043】
よって、人間又は動物Bに監視システムMとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサ1を適用するときでも人間又は動物Bの位置及び姿勢によることなく、人間又は動物Bの生体信号を高精度に検出することできる。
【0044】
そして、人間又は動物Bの立体スキャンにおける生体信号の信号強度が高い位置を探索して、又は、人間又は動物Bの画像情報Pにおける生体信号の発生位置G(胸又は腹等)を探索して、さらに、外来信号の影響を低減させて、かつ、生体信号の信号強度が高い方向を探索して、人間又は動物Bの生体信号を高精度に検出することができる。
【0045】
(本開示の生体状態判定処理の手順)
本開示の生体状態判定処理の手順を
図8に示す。本開示の生体状態判定処理の具体例を
図9、10に示す。
図8~10では、生体状態判定システムJの処理の手順を説明する。
【0046】
図9では、異常状態判定部4は、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する(ステップS6)。そして、異常状態通報部5は、生体信号が異常な状態にあると判定されたときに(ステップS6、YES)、生体信号が検出された人間又は動物Bが異常な状態にあることを監視システムMに通報する(ステップS7)。一方で、異常状態通報部5は、生体信号が正常な状態にあると判定されたときに(ステップS6、NO)、生体信号が検出された人間又は動物Bが正常な状態にあることを監視システムMに通報するまでもない。
【0047】
図9の左欄では、異常状態判定部4は、生体信号Vが規則的に心拍又は呼吸等を刻んでおり、正常な状態(心拍継続状態又は呼吸継続状態等)にあると判定する。そして、異常状態通報部5は、生体信号Vが検出された人間又は動物Bが正常な状態(心拍継続状態又は呼吸継続状態等)にあることを監視システムMに通報するまでもない。
【0048】
図9の右欄では、異常状態判定部4は、生体信号Vが不規則に心拍又は呼吸等を刻んでおり、異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあると判定する。そして、異常状態通報部5は、生体信号Vが検出された人間又は動物Bが異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあることを監視システムMに通報する。すると、監視システムMのオペレータは、その人間又は動物Bがいる建物の室内等へと救急に駆け付ける。
【0049】
図10では、異常状態判定部4は、撮像センサ2が取得した画像情報も用いて、伏臥した人間又は動物Bの画像であると判定することができるにもかかわらず(ステップS5、YES)、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定する(ステップS6)。そして、異常状態通報部5は、画像情報が伏臥した人間又は動物Bの画像であると判定されたとともに(ステップS5、YES)、生体信号が異常な状態にあると判定されたときに(ステップS6、YES)、生体信号が検出された人間又は動物Bが異常な状態にあることを監視システムMに通報する(ステップS7)。一方で、異常状態通報部5は、画像情報が伏臥した人間又は動物Bの画像であると判定されたものの(ステップS5、YES)、生体信号が正常な状態にあると判定されたときに(ステップS6、NO)、生体信号が検出された人間又は動物Bが正常な状態にあることを監視システムMに通報するまでもない。
【0050】
図10の左欄では、異常状態判定部4は、画像情報Pが伏臥した人間又は動物Bの画像であると判定するとともに、発生位置Gの生体信号Vが規則的に心拍又は呼吸等を刻んでおり、正常な状態(心拍継続状態又は呼吸継続状態等)にあると判定する。そして、異常状態通報部5は、発生位置Gの生体信号Vが検出された人間又は動物Bが正常な状態(心拍継続状態又は呼吸継続状態等)にあることを監視システムMに通報するまでもない。
【0051】
図10の右欄では、異常状態判定部4は、画像情報Pが伏臥した人間又は動物Bの画像であると判定するものの、発生位置Gの生体信号Vが不規則に心拍又は呼吸等を刻んでおり、異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあると判定する。そして、異常状態通報部5は、発生位置Gの生体信号Vが検出された人間又は動物Bが異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあることを監視システムMに通報する。すると、監視システムMのオペレータは、その人間又は動物Bがいる建物の室内等へと救急に駆け付ける。
【0052】
よって、人間又は動物Bに監視システムMとの間のリンクを確立している接触型センサを装着していないときでも、マイクロ波センサ1を適用するときでも人間又は動物Bの位置及び姿勢によることなく、以下の生体状態判定処理を実行することができる。
【0053】
(1)マイクロ波センサ1の生体情報のみを用いて(撮像センサ2の画像情報を用いず)、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定することができ、(2)マイクロ波センサ1の生体情報と撮像センサ2の画像情報とを照合して、生体信号が異常な状態にあるかどうかを判定することもでき、(3)生体信号が異常な状態にあると判定したときに、人間又は動物Bが異常な状態にあることを監視システムMに確実に通報することができる。
【0054】
ここで、異常状態判定部4は、人間又は動物Bを個別に識別するために、人間又は動物Bの顔面の特徴を抽出してもよく、人間又は動物Bの生体信号の特徴を抽出してもよく、人間又は動物Bのスマートフォン又は無線タグ等を検出してもよい。ただし、監視システムMは、人間又は動物Bの情報をあらかじめ登録しておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の生体信号検出システム及び生体状態判定システムは、不特定の多数が出入りする建物内(病院内、介護施設内、駅舎内、商業施設内又は道路上等)において、人間又は動物の生体信号(心拍又は呼吸等)を検出したうえで、生体信号が異常な状態(心拍停止状態又は無呼吸状態等)にあるかどうかを判定することができる。
【符号の説明】
【0056】
R:見回りロボット
B:人間又は動物
C:クラウドサーバ
M:監視システム
D:生体信号検出システム
J:生体状態判定システム
P:画像情報
G:発生位置
V:生体信号
1:マイクロ波センサ
2:撮像センサ
3:マニピュレータ
4:異常状態判定部
5:異常状態通報部