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特開2024-167583再油揚フライドガーリック及びこれを使用したソースの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167583
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】再油揚フライドガーリック及びこれを使用したソースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20241127BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20241127BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20241127BHJP
   A23L 35/00 20160101ALN20241127BHJP
【FI】
A23L19/00 C
A23L23/00
A23L5/10 D
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083761
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 美絵
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LG09
4B016LP07
4B035LC01
4B035LE17
4B035LG12
4B035LG32
4B035LK02
4B035LP07
4B035LP13
4B036LC01
4B036LF03
4B036LF19
4B036LH32
4B036LK01
4B036LP03
(57)【要約】
【課題】フライドガーリックの香ばしさを、より引き出すことが出来るフライドガーリックの製造方法及びこれを使用したソースの製造方法を提供すること。
【解決手段】フライドガーリックを、油揚温度100℃以上125℃以下で、フライドガーリックが元の質量の1質量%以上7質量%以下に減少するまで再油揚することを特徴とする再油揚フライドガーリックの製造方法、及び、前記製造方法で得られた再油揚フライドガーリックを使用したトッピング及びソースの製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライドガーリックを、油揚温度100℃以上125℃以下で、フライドガーリックが元の質量の1質量%以上7質量%以下に減少するまで再油揚することを特徴とする再油揚フライドガーリックの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法で得られた再油揚フライドガーリックを使用したトッピングの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法で得られた再油揚フライドガーリックを使用したソースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再油揚フライドガーリック及びこれを使用したソースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フライドガーリックとは油揚したニンニクをいい、パスタソース等のソースの原材料や、麺類、ベーカリー食品、サラダ等のトッピングとして利用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-238627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フライドガーリックは、前記のとおりソース等に油揚(フライ)したニンニクの香ばしい香りを付与するために使用されている。
本発明の目的は、フライドガーリックの香ばしさを、より引き出すことが出来るフライドガーリックの製造方法及びこれを使用したソースの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、フライドガーリックを特定温度で特定の油揚状態になるまで再油揚することで、フライドガーリックの香ばしい香りをより引き出すことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、フライドガーリックを、油揚温度100℃以上125℃以下で、フライドガーリックが元の質量の1質量%以上7質量%以下に減少するまで再油揚することを特徴とする再油揚フライドガーリックの製造方法、及び、前記製造方法で得られた再油揚フライドガーリックを使用したトッピング及びソースの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法で得られた再油揚フライドガーリックはフライドガーリックの香ばしさが、より引き出されており、これを使用したトッピング及びソースもフライドガーリックの香ばしさが再油揚していないフライドガーリックを使用した場合よりも強く感じられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法に使用するフライドガーリックには特に限定はなく、例えば油揚温度150℃~160℃で10分間程度油揚することでフライドガーリックを得ることができ、市販品も使用することができる。
再油揚する場合の油揚温度は100℃以上125℃以下である。
油揚温度は100℃未満では、フライドガーリックの香りを引き出す効果が十分得られず不適である。
また、油揚温度が125℃を超えると、焦げた香りとなりフライドガーリックの香りが感じられ難くなるとともに、苦みも出るため不適である。
油揚は、フライドガーリックの質量が1質量%以上7質量%以下減少するまで行う。
フライドガーリックの質量が1質量%未満の減少では、油揚が十分ではなく、フライドガーリックの香りを引き出す効果が十分得られず不適である。
また、フライドガーリックの質量が7質量%を超える減少では、焦げた香りとなりフライドガーリックの香りが感じられ難くなるとともに、苦みも出るため不適である。
なお、フライドガーリックの質量が1質量%減少するとは、例えば、油揚する前のフライドガーリックの質量が100gであった場合、これが99gになることをいう。
前記油揚状態を得るための時間の目安は、3~20分間程度である。
なお、フライドガーリックを再油揚する場合、フライドガーリックを前記の再油揚条件で再油揚できるのであれば、フライドガーリックを再油揚するとき、フライドガーリックだけではなく他の食材も同時に油揚することもできる。
【0008】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法において使用するフライドガーリックの形状は、特に限定はなく、スライス(目安:縦6~22mm×横6~18mm×厚さ0.8~1.5mm)、ミンス(目安:縦横3~5mm×厚さ0.8~1.5mm)、コース(20メッシュパス)等を使用することができる。
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法において再油揚に使用する油脂は植物油が好ましく、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、こめ油等を挙げることができる。
より好ましくはフライドガーリックの風味を妨げ難いサラダ油である。
【0009】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックの保存、使用方法は、従来のフライドガーリックと同様でよく特に限定はない。
例えば、パスタソース等のソースの原料や、麺類、ベーカリー食品、サラダ等のトッピングとして利用することができる。
トッピングとして使用する場合は、従来のトッピング原料と混合しトッピングミックスとしたり、単独で使用したりすることもできる。
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックは、油揚後すぐに使用することが出来るほか、従来のフライドガーリックと同様に保存することもできる。
いずれの場合も必要に応じて再油揚時に使用した油も同時に使用することができる。
【実施例0010】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~3、比較例1~2]油揚温度の影響
市販のフライドガーリック(スライス)100g、サラダ油500gを鍋に入れてフライドガーリックの質量が96gになるように、表1に示す温度で油揚し、油をきって再油揚フライドガーリックを得た。
得られた再油揚フライドガーリックを以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
評価の平均点が、3.5点以上であるものを合格とした。
結果を表1に示す。
なお、再油揚する前のフライドガーリックをコントロール(評価3点)とした。
<香り>
5点 フライドガーリックの香りが非常によく感じられ非常に良い
4点 フライドガーリックの香りがよく感じられ良い
3点 普通
2点 フライドガーリックの香りがあまり感じられずやや悪い。
1点 フライドガーリックの香りがほとんど感じられず悪い
【0011】
【表1】
【0012】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックは、いずれも満足できる結果が得られた。
【0013】
[実施例4~5、比較例3~4]油揚状態の影響
実施例1において、フライ温度を115℃、フライドガーリックの質量が表2に示す質量になるまで再油揚した以外は、実施例1と同様にしてフライドガーリックを得た。
得られた再油揚フライドガーリックを実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックは、いずれも満足できる結果が得られた。
【0016】
得られた再油揚フライドガーリックを単独でサラダのトッピングとして使用したが、単独で評価した前記評価結果と同様に、本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックを使用した場合は、いずれも満足できる結果が得られた。
【0017】
[実施例6~8、比較例5~6]ガーリックソースとして使用 油揚温度の影響
(1)フライドガーリックスライス2kgとサラダ油10kgを鍋に入れ、フライドガーリックの質量が1.92kgになるように表3に示す温度で油揚し、これにトマトペースト5kg、トマトのジュース漬け45kg、チキン風味調味料2.5kg、ソテーオニオン2.5kg、食塩1.5kg、コショウ0.10kg、上白糖1.00kg、唐辛子0.02kg、調味料(アミノ酸等)1.00kg、増粘剤1.00kg、及び水を全体で100kgになるように加え85℃まで加熱した。
これを20℃まで冷却しパスタソースを得た。
(2)耐熱容器に茹でて冷却したスパゲッティを200g収容し、前記パスタソースを120gかけて、-40℃の冷凍庫で一晩保管し凍結させた。
(3)これを密封して24時間保管した。
(4)これを電子レンジで600W、5分30秒温めてソースを以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
評価の平均点が、3.5点以上であるものを合格とした。
結果を表3に示す。
なお、フライドガーリックを油揚せず使用した場合をコントロール(評価3点)とした。
<香り>
5点 フライドガーリックの香りが非常によく感じられ非常に良い
4点 フライドガーリックの香りがよく感じられ良い
3点 普通
2点 フライドガーリックの香りがあまり感じられずやや悪い。
1点 フライドガーリックの香りがほとんど感じられず悪い
【0018】
【表3】
【0019】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックを使用した場合は、いずれも満足できる結果が得られた。
【0020】
[実施例9~10、比較例7~8]ガーリックソースとして使用 油揚状態の影響
実施例6において、フライ温度を115℃、フライドガーリックの質量が表4示す質量になるまで再油揚した以外は、実施例6と同様にしてパスタソースを得た。
得られたパスタソースを実施例6と同様にして評価を行った。
結果を表4に示す。
【0021】
【表4】
【0022】
本発明の再油揚フライドガーリックの製造方法により得られた再油揚フライドガーリックを使用した場合は、いずれも満足できる結果が得られた。