IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルバックの特許一覧

<>
  • 特開-ガス導入管 図1
  • 特開-ガス導入管 図2
  • 特開-ガス導入管 図3
  • 特開-ガス導入管 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167600
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ガス導入管
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
C23C14/34 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083793
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】須田 具和
(72)【発明者】
【氏名】立川 晋輔
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA43
4K029BA58
4K029BD01
4K029CA06
4K029DA05
4K029DA06
4K029DC02
4K029DC13
4K029DC16
4K029DC43
4K029DC45
4K029EA04
(57)【要約】
【課題】長手方向にて複数の異なる流量でガスを噴出できるという機構を損なうことなく、真空チャンバ内への取付作業性の良いガス導入管を提供する。
【解決手段】真空チャンバ1内でターゲットTg1,Tg2をスパッタリングして基板Sgに成膜する際に、真空チャンバ内に設置されてターゲットと基板との間の空間にガスを導入する本発明のガス導入管GPは、第1のガス噴出孔42が開設される主管4と、主管より小径で当該主管に夫々内挿されると共に第2のガス噴出孔51が夫々開設された複数本の副管5とを備える。主管内が複数個の空間51a~51cに仕切られ、これら仕切られた各空間にいずれかの副管の第2のガス噴出孔を夫々位置させると共に、各副管に供給されるガスを副管毎に流量調節する流量調節手段6a,6bを更に備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリング装置の真空チャンバ内でターゲットをスパッタリングして成膜対象物表面に成膜する際に、真空チャンバ内に設置されてターゲットと成膜対象物との間の空間にガスを導入するガス導入管において、
第1のガス噴出孔が開設される主管と、主管より小径で当該主管に夫々内挿されると共に第2のガス噴出孔が夫々開設された複数本の副管とを備え、
主管内が複数個の空間に仕切られ、これら仕切られた各空間にいずれかの副管の第2のガス噴出孔を夫々位置させると共に、各副管に供給されるガスを副管毎に流量調節する流量調節手段を更に備えることを特徴とするガス導入管。
【請求項2】
請求項1記載のガス導入管であって、前記ターゲットが筒状の輪郭を有し、ターゲットの長手方向に沿ってのびるようにレーストラック状に閉じる漏洩磁場を発生させる磁石ユニットを設けたスパッタリング装置に利用されるものにおいて、
前記主管は、ターゲットの母線方向長さと同等の長さを有し、ターゲットの母線方向両端部に対応する領域に前記空間を持つことを特徴とするガス導入管。
【請求項3】
前記ガスは、反応性スパッタリングにより成膜するときに導入される反応ガスであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のガス導入管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス導入管に関し、より詳しくは、スパッタリング装置の真空チャンバ内でターゲットをスパッタリングして成膜対象物表面に成膜する際に、真空チャンバ内に設置されてターゲットと成膜対象物との間の空間に放電用の希ガスや酸素などの反応ガスを導入するためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハやガラス基板といった成膜対象物表面に金属膜や金属化合物膜を効率よく成膜するためにマグネトロン方式のスパッタリング装置が広く利用されている。例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程にて比較的大面積のガラス基板(以下、「基板」という)に金属酸化物膜を成膜するスパッタリング装置は、その上部に基板が配置される真空チャンバを備える。真空チャンバ内の下部には、基板に対向させて一方向に長手で平板状のターゲットの複数枚がこれに直交する方向に等間隔で並設されている。真空チャンバ内にはまた、各ターゲットと成膜対象物との間の空間に流量調節された放電用の希ガスや反応ガスを導入するガス導入管が設けられている(例えば、特許文献1参照)。ガス導入管は、通常、等間隔で列設された複数個のガス噴出孔を有してターゲットの長手方向に沿って配置される。そして、真空雰囲気の真空チャンバ内にガス導入管を通して放電用の希ガスや酸素ガス等の反応ガスを導入し、ターゲットに例えば負の電位を持った所定電力を投入してターゲットをスパッタリングする。これにより、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとの反応物が基板表面に付着、堆積して金属酸化物膜が成膜される。
【0003】
この種のスパッタリング装置では、ターゲットのスパッタ面と背向する側に配置される磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットとしては、磁性材料製のヨーク片面にターゲットの長手方向に沿ってのびるように配置される中央磁石と、この中央磁石を囲うように配置される周辺磁石とを有してレーストラック状に閉じる漏洩磁場を発生させるものが一般に利用される。このような磁石ユニットを用いると、レーストラックのコーナー部では電子密度が局所的に高くなり易いので、ターゲットの長手方向両端とその内側の中央領域ではそのスパッタレートに差が出る。このため、ガス導入管の各ガス噴出孔から同等の流量(噴出量)で反応ガスを導入すると、基板に成膜される金属酸化物膜の膜厚や膜質の面内均一性が損なわれてしまう。
【0004】
そこで、ガス導入管を複数本のガス管で構成し、ターゲットをその長手方向で複数の領域に分け、これら分けられた領域毎にガス管を夫々配置して各ガス管から流量調節された反応ガスが導入されるようにしている。然し、これでは、真空チャンバ内の限られた狭いスペースに各ガス導入管を夫々取り付ける必要があり、その取付作業が著しく面倒であるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-133065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、ガス導入管の長手方向にて複数の異なる流量でガスを噴出できるという機構を損なうことなく、真空チャンバ内への取付作業性の良いガス導入管を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、スパッタリング装置の真空チャンバ内でターゲットをスパッタリングして成膜対象物表面に成膜する際に、真空チャンバ内に設置されてターゲットと成膜対象物との間の空間にガスを導入する本発明のガス導入管は、第1のガス噴出孔が開設される主管と、主管より小径で当該主管に夫々内挿されると共に第2のガス噴出孔が夫々開設された複数本の副管とを備え、主管内が複数個の空間に仕切られ、これら仕切られた各空間にいずれかの副管の第2のガス噴出孔を夫々位置させると共に、各副管に供給されるガスを副管毎に流量調節する流量調節手段を更に備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、主管内に副管を内挿してガス導入管が一体に纏められているため、真空チャンバ内の限られた狭いスペースにガス導入管を取り付ける場合でも、複数本のガス管を設置するために煩雑な配管を必要とする上記従来例と比較して格段にその取付作業性を向上することができる。しかも、副管から主管内に各空間に供給するガス流量を調整すれば、この空間に連通する主管の第1の噴出孔からのガス流量を変化させることができるため、ガス導入管の長手方向にて複数の異なる流量でガスを噴出できるという機能は損なわれない。
【0009】
この種のガス導入管は、通常、ガス導入管の流量断面積に対するガス噴出孔の孔径の比(例えば、1/10)を適宜設定することで、各ガス噴出孔から噴出されるガスの流量(噴出量)が均等になるようにしている。上記従来例のように複数本のガス管を設置するような場合、例えば、真空チャンバへのガス導入管の取付を考慮してガス導入管の外径を比較的小さく設定することがあり、このときには、ガス噴出孔の孔径が小さくなる。そのため、スパッタリングによる成膜中の着膜によりガス噴出孔が部分的に閉塞される虞がある。このため、例えば比較的大きなガス孔を形成した防着板を真空チャンバ内に設置してガス導入管への直接の着膜を防止することが一般である。然し、平板状のターゲットを用いるスパッタリング装置では、そのような防着板を設置することは比較的容易であるものの、筒状のターゲット(所謂ロータリーカソード)を用いるスパッタリング装置では、その構造上、防着板を設置することが困難である。それに対して、本発明では、複数本の副管が内挿される比較的大径の主管が防着板としての役割も果たすため、別途防着板を設けてガス導入管への着膜を防止するといったことを不要にできる。
【0010】
本発明においては、前記ターゲットが筒状の輪郭を有し、ターゲットの長手方向に沿ってのびるようにレーストラック状に閉じる漏洩磁場を発生させる磁石ユニットを設けたスパッタリング装置に利用される場合、前記主管は、ターゲットの母線方向長さと同等の長さを有し、ターゲットの母線方向両端部に対応する領域に前記空間を持つことが好ましい。また、前記ガスは、反応性スパッタリングにより成膜するときに導入される反応ガスとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のガス導入管を備えるスパッタリング装置の模式断面図。
図2図1のII―II線に沿う部分断面図。
図3】ガス導入管の説明する拡大断面図。
図4】変形例に係るガス導入管の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、成膜対象物を矩形のガラス基板(以下、「基板Sg」という)とし、スパッタリング装置として回転式カソードユニットを備えるものを例に本発明のガス導入管の実施形態を説明する。
【0013】
図1及び図2を参照して、スパッタリング装置Smは、真空成膜室1aを画成する真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1には、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプユニット(図示せず)が接続され、真空成膜室1aを所定圧力に真空排気して真空雰囲気を形成でき、スパッタリングによる成膜時には、スパッタガスを導入した状態で真空成膜室1aが所定圧力に保持される。真空成膜室1aの下部には、回転式カソードユニットRcが配置されている。回転式カソードユニットRcは、真空成膜室1a上部に設置される基板Sgに上下方向で対向させて且つ上下方向に直交する左右方向に間隔を置いて水平姿勢で夫々配置される2本の円筒状のターゲットTg1,Tg2を備える。ターゲットTg1,Tg2は、円筒状のバッキングチューブ21と、バッキングチューブ21の外表面にインジウムやスズなどのボンディング材(図示せず)を介して接合される円筒状のターゲット材22とで構成される。ターゲット材22としては、基板Sgの下面に成膜しようする膜の組成に応じて例えば金属や金属化合物の中から適宜選択されたものが用いられる。
【0014】
バッキングチューブ21には筒状の磁石ケース23が内挿され、磁石ケース23内には、ターゲットTg1,Tg2と基板Sgとの間に磁場の垂直成分がゼロとなる位置を通る線がターゲットTg1,Tg2の母線に沿ってのびてレーストラック状に閉じるようにターゲットTg1,Tg2表面から漏洩する磁場(図示せず)を発生する磁石ユニットMuが組み込まれている。磁石ユニットMuとしては、ターゲットTg1,Tg2の略全長に亘る長さのヨーク31を備え、ヨーク31の上面には中央磁石32と、その周囲を囲う周辺磁石33とが配置されている。中央磁石32及び周辺磁石33としては、同磁化のネオジウム磁石が用いられ、例えば一体に成形した断面略四角形の棒状のものが利用できる。
【0015】
各ターゲットTg1,Tg2の一端(図2中、下端)には、支持ブロックSb1,Sb2が夫々連結されると共に、各ターゲットTg1,Tg2の他端(図2中、上端)には駆動ブロックDb1,Db2が夫々連結され、各ターゲットTg1,Tg2が、夫々が真空チャンバ1の壁面に取り付けられる支持ブロックSb1,Sb2と駆動ブロックDb1,Db2とで回転自在に支持される。支持ブロックSb1,Sb2及び駆動ブロックDb1,Db2としては、各ターゲットTg1,Tg2に給電する機構、各ターゲットTg1,Tg2を回転させる機構や各ターゲットTg1,Tg2に冷却水を供給する機構などを有する公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。そして、各ターゲットTg1,Tg2と基板Sgとの間の空間に流量調節された放電用の希ガスや反応ガスを導入するために、同一の水平面内で且つ各ターゲットTg1,Tg2の両側に夫々位置するように3本のガス導入管GPが設けられている。本実施形態では、ガス導入管GPは、反応性スパッタリング法により成膜するときの酸素や窒素といった反応ガスを導入するために利用され、特に図示して説明しないが、放電用の希ガスは、各ターゲットTg1,Tg2と基板Sgとの間の空間を臨むように真空チャンバ1の壁面に開設したガス噴出孔から導入されるようにしている。
【0016】
図3も参照して、各ガス導入管GPは、同一の構造を有し、ターゲットTg1,Tg2と同等の長手方向長さを有する主管4と、主管4より小径で当該主管4に夫々内挿される2本の副管5a,5bとを備える。主管4は、例えば、その両端が閉塞されたステンレス製のものであり、その内部が長手方向で3個の第1~第3の各空間41a~41cに仕切られている。第1及び第3の各空間41a,41cの長手方向の長さは、磁石ユニットMuによって発生する漏洩磁場のレーストラックのコーナー部に応じて適宜設定される。主管4の外表面にはまた、第1~第3の各空間41a,41b,41cに夫々連通する複数個の第1のガス噴出孔42が列設されている。この場合、第1のガス噴出孔42の孔径は、主管4の流量断面積に対する比に応じて適宜設定され、第1の各ガス噴出孔42から噴出されるガスの流量(噴出量)が均等になるようにしている。また、第1のガス噴出孔42の数は、ターゲットTg1,Tg2の長手方向における反応ガスの分布を考慮して適宜設定される。
【0017】
本実施形態では、各ターゲットTg1,Tg2の間に位置するガス導入管GPは、主管4の第1の各ガス噴出孔42が鉛直方向上方を向く姿勢で真空チャンバ1の壁面に取り付けられている。他方で、各ターゲットTg1,Tg2の両外側に夫々位置するガス導入管GPは、各ターゲットTg1,Tg2の外周面に向けてガスを噴出できるように主管4の第1の各ガス噴出孔42が鉛直方向に対して傾く姿勢で真空チャンバ1の壁面に取り付けられている。なお、各ターゲットTg1,Tg2の間に位置するガス導入管GPの主管4に、例えば2列で第1の各ガス噴出孔42を列設し、第1の各ガス噴出孔42から各ターゲットTg1,Tg2の外周面に向けてガスを夫々噴出できるようにしてもよい。
【0018】
一方の副管5aは、その先端(図3中、右端)が閉塞されたステンレス製のものであり、主管4の一端面を貫通して第1、第2の各空間41a,41bを経て第3の空間41cに達する長さを有する。第1、第3の各空間41a,41cに位置する一方の副管5aの部分には、複数個の第2のガス噴出孔51が列設されている。この場合、第2のガス噴出孔51の孔径は、一方の副管5aの流量断面積に対する比に応じて適宜設定され、第2の各ガス噴出孔51から噴出されるガスの流量(噴出量)が均等になるようにしている。また、第2のガス噴出孔51の数は、第1の各ガス噴出孔42から均等にガスを噴出できるように適宜設定される。そして、主管4の一端面から外方に突出する一方の副管5aの部分には流量調整手段としてマスフローコントローラ6aが介設され、図外の反応ガスのガス源に連通している。
【0019】
他方の副管5bは、その先端(図3中、右端)が閉塞されたステンレス製のものであり、主管4の一端面を貫通して第1の空間41aを経て第2の空間41bに達する長さを有する。第2の空間41bに位置する他方の副管5bの部分には、複数個の第2のガス噴出孔51が列設されている。上記同様、第2のガス噴出孔51の孔径は、他方の副管5bの流量断面積に対する比に応じて適宜設定され、その数は、各第1のガス噴出孔42から均等にガスを噴出できるように適宜設定される。本実施形態では、各副管5a,5bとして同一の管径で、その上、第2のガス噴出孔51の孔径も同一としたものを用いているが、例えば、ガス導入管GPから噴出させるガスの流量に応じて、管径や孔径の異なるものを用いることもできる。そして、上記同様、主管4の一端面から外方に突出する他方の副管5bの部分にはマスフローコントローラ6bが介設され、図外の反応ガスのガス源に連通している。
【0020】
各ターゲットTg1,Tg2と基板Sgとの間の空間にガス(反応ガス)導入する場合、制御しようとする流量に応じて、各マスフローコントローラ6a,6bにより夫々流量調節されたガスが各副官5a,5bに供給される。そして、一方の副管5aの第2の各ガス噴出孔51から第1、第3の各空間41a,41cにガスが噴出されると共に、他方の副管5bの第2の各ガス噴出孔51から第2の空間41bにガスが夫々噴出される。これにより、主管4の第1の各ガス噴出孔42からガスが噴出され、このとき、各マスフローコントローラ6a,6bの流量調整により、第1及び第3の各空間41a,41cに連通するものと第2の空間41bに連通ものとでガス流量の異なるものにできる。
【0021】
以上の実施形態によれば、主管4内に副管5a,5bを内挿してガス導入管GPが1本に纏められているため、真空チャンバ1内の限られた狭いスペースにガス導入管GPを取り付ける場合でも、複数本のガス管を設置するために煩雑な配管を必要とする上記従来例と比較して、格段にその取付作業性を向上することができ、しかも、ガス導入管GPの長手方向にて複数の異なる流量でガスを噴出できるという機能も発揮できる。その上、複数本の副管5a,5bが内挿される比較的大径の主管4が防着板としての役割も果たすため、別途防着板を設けてガス導入管GPへの着膜を防止するといったことを不要にできる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、ターゲットTg1,Tg2の両端側とその内方部分との3個の空間に主管4を仕切るものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、主管4を任意の数に仕切ることもでき、第1及び第2のガス噴出孔42,51を単一の長孔で構成することもできる。また、上記実施形態では、第2の空間41bに位置する第1の副管5aの部分には第2のガス噴出孔51を形成していないが、当該部分に第2のガス噴出孔51を形成することもできる。
【0023】
上記実施形態では、ターゲットTg1,Tg2の両端側にて同等の流量でガスを供給すると共に、その内方部分で更に流量を変えてガス(反応ガス)を供給できるように、副管5a,5bを2本としたものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、変形例に係るガス導入管GPでは、主管4の仕切られた各空間40a~40cに副管50a~50cの一端が夫々位置するようにし、副管50a~50cにマスフローコントローラ60a~60cを介在させて各空間40a~40c毎にガス流量が調整できるようにしてもよい。また、上記実施形態では、回転式カソードユニットRcを備えるスパッタリング装置Smを例に説明したが、これに限定されるものではない。平板状のターゲットを備えるものだけでなく、真空チャンバ1内の一方向にて異なる流量でガスを導入する必要がある真空処理装置にも本発明は広く適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
CP…ガス導入管、Sm…スパッタリング装置、Tg1,Tg2…ターゲット、Mu…磁石ユニット、1…真空チャンバ、4…主管、41a~41c…空間、42…第1のガス噴出孔、5a,5b…副管、51…第2のガス噴出孔、6a,6b…マスフローコントローラ(流量調節手段)。
図1
図2
図3
図4