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特開2024-167623ウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167623
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241127BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241127BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 631
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083828
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
3C016
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA01
5F057AA05
5F057BA15
5F057BB03
5F057BB07
5F057BB09
5F057BB12
5F057BC03
5F057BC06
5F057BC10
5F057CA15
5F057DA10
5F057DA11
5F057EB20
5F131AA02
5F131BA01
5F131CA09
5F131DA12
5F131EB04
5F131EB33
5F131EB36
5F131EB37
5F131FA14
(57)【要約】
【課題】サポート基板を用いずにウエーハを適切に処理することを可能にする。
【解決手段】ウエーハ処理装置100は、表面にデバイス領域と、デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を有するウエーハ10を処理するウエーハ処理装置100であって、外周余剰領域を表面側と裏面側とから挟持する保持部110と、保持部110を収容し、保持部110に保持されたウエーハ10によって上室121と下室122とに区画される真空容器120と、上室121と下室122とを減圧するとともに、下室122を上室121に対して陽圧にして自重によるウエーハ10の撓みを相殺する減圧ユニット130と、真空容器120内に配置され、ウエーハ10に所定の処理をする処理ユニット140と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を有するウエーハを処理するウエーハ処理装置であって、
該外周余剰領域を表面側と裏面側とから挟持する保持部と、
該保持部を収容し、該保持部に保持されたウエーハによって上室と下室とに区画される真空容器と、
該上室と該下室とを減圧するとともに、該下室を該上室に対して陽圧にして自重によるウエーハの撓みを相殺する減圧ユニットと、
該真空容器内に配置され、ウエーハに所定の処理をする処理ユニットと、
を備えるウエーハ処理装置。
【請求項2】
該処理ユニットは、該デバイス領域に対応するウエーハの裏面側に金属膜を形成する請求項1に記載のウエーハ処理装置。
【請求項3】
該ウエーハは、該デバイス領域に凹部が形成され、該外周余剰領域に該凹部を囲繞する環状凸部が形成されている請求項1または2に記載のウエーハ処理装置。
【請求項4】
表面にデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を有するウエーハを処理するウエーハ処理方法であって、
該外周余剰領域を表面側と裏面側とから挟持する保持部を有する真空容器を準備する真空容器準備ステップと、
該保持部によって該ウエーハを保持する保持ステップと、
該保持部に保持された該ウエーハによって、該真空容器を上室と下室とに区画する区画ステップと、
該上室と該下室とを減圧するとともに、該下室を該上室に対して陽圧にして、自重による該ウエーハの撓みを相殺する減圧ステップと、
該減圧ステップの後に、該真空容器に設置された処理ユニットによって該ウエーハに所定の処理をする処理ステップと、
を備えるウエーハ処理方法。
【請求項5】
該処理ステップは、該デバイス領域に対応する該ウエーハの裏面側に金属膜を形成する、請求項4に記載のウエーハ処理方法。
【請求項6】
該ウエーハは、該デバイス領域に凹部が形成され、該外周余剰領域に該凹部を囲繞する環状凸部が形成されている請求項4または5に記載のウエーハ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが表面側に複数形成されたウエーハは、ダイシング装置等を用いて個々のデバイスに分割される。特許文献1には、デバイス領域と該デバイス領域を囲む外周余剰領域とを表面に有する板状の被加工物の表面とは反対側の裏面を、スピンドルに装着された研削砥石で研削する研削方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-44315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエーハを薄化する研削工程の後工程においては、取り扱い性を向上させるため、ウエーハにサポート基板を貼り付けて処理をすることが一般的であったが、サポート基板を用いずにウエーハを適切に処理することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、サポート基板を用いずにウエーハを適切に処理することができるウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハ処理装置は、表面にデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を有するウエーハを処理するウエーハ処理装置であって、該外周余剰領域を表面側と裏面側とから挟持する保持部と、該保持部を収容し、該保持部に保持されたウエーハによって上室と下室とに区画される真空容器と、該上室と該下室とを減圧するとともに、該下室を該上室に対して陽圧にして自重によるウエーハの撓みを相殺する減圧ユニットと、該真空容器内に配置され、ウエーハに所定の処理をする処理ユニットと、を備える。
【0007】
前記ウエーハ処理装置において、該処理ユニットは、該デバイス領域に対応するウエーハの裏面側に金属膜を形成してもよい。
【0008】
前記ウエーハ処理装置において、該ウエーハは、該デバイス領域に凹部が形成され、該外周余剰領域に該凹部を囲繞する環状凸部が形成されてもよい。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハ処理方法は、表面にデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を有するウエーハを処理するウエーハ処理方法であって、該外周余剰領域を表面側と裏面側とから挟持する保持部を有する真空容器を準備する真空容器準備ステップと、該保持部によって該ウエーハを保持する保持ステップと、該保持部に保持された該ウエーハによって、該真空容器を上室と下室とに区画する区画ステップと、該上室と該下室とを減圧するとともに、該下室を該上室に対して陽圧にして、自重による該ウエーハの撓みを相殺する減圧ステップと、該減圧ステップの後に、該真空容器に設置された処理ユニットによって該ウエーハに所定の処理をする処理ステップと、を備える。
【0010】
前記ウエーハ処理方法において、該処理ステップは、該デバイス領域に対応する該ウエーハの裏面側に金属膜を形成してもよい。
【0011】
前記ウエーハ処理方法において、該ウエーハは、該デバイス領域に凹部が形成され、該外周余剰領域に該凹部を囲繞する環状凸部が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、サポート基板を用いずにウエーハを適切に処理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、ウエーハの表面の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すウエーハの裏面の一例を示す斜視図である。
図3図3は、ウエーハの裏面を研削する研削ユニットの一例を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。
図5図5は、ウエーハ処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態2に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。
図7図7は、実施形態3に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
[実施形態1]
実施形態1に係るウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法を図面に基づいて説明する。図1は、ウエーハの表面の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すウエーハの裏面の一例を示す斜視図である。図3は、ウエーハの裏面を研削する研削ユニットの一例を示す斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すウエーハ10は、シリコン(Si)、サファイア(Al)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板11とする円板状の半導体ウエーハ、光デバイスウエーハ等のウエーハである。実施形態において、ウエーハ10は、シリコンウエーハである場合について説明する。
【0017】
ウエーハ10は、図1に示すように、基板11の表面13側にデバイス領域15と、デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を含む。デバイス領域15は、基板11の表面13に格子状に設定された複数の分割予定ライン17と、分割予定ライン17によって区画された各領域に形成されたデバイス18と、を有する。外周余剰領域16は、全周に亘ってデバイス領域15を囲繞し、かつデバイス18が形成されていない領域である。デバイス18は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(半導体記憶装置)を含む。
【0018】
ウエーハ10の裏面14は、図2に示すように、中央に形成された円形の凹部14-1と、凹部14-1を囲繞する環状凸部14-2とを有し、デバイス領域15と外周余剰領域16との間に段差14-3が形成されている。また、ウエーハ10の表面13は、デバイス領域15と外周余剰領域16とに亘って同一平面に形成されている。なお、本実施形態では、ウエーハ10は、裏面14に凹部14-1及び環状凸部14-2を有する場合について説明するが、表面13及び裏面14の両方が平坦であってもよい。
【0019】
ウエーハ10は、図3に示すように、周知の研削装置の研削ユニット300によりデバイス領域15の裏面14が研削されて、図2に示すように、デバイス領域15の裏面14に凹部14-1が形成され、外周余剰領域16がデバイス領域15よりも厚い環状凸部14-2に形成された、所謂TAIKO(登録商標)ウエーハである。
【0020】
凹部14-1は、裏面14のデバイス領域15と厚み方向に重なる領域に形成され、環状凸部14-2は、裏面14の外周余剰領域16と厚み方向に重なる領域に形成される。なお、本明細書では、裏面14のデバイス領域15と厚み方向に重なる領域を裏面14のデバイス領域15と記載し、裏面14の外周余剰領域16と厚み方向に重なる領域を裏面14の外周余剰領域16と記載する。
【0021】
研削ユニット300は、保持テーブル400に保持されたウエーハ10の上方に露出した裏面14の凹部14-1の底面を研削する円板状の研削パッド310が装着されて、保持テーブル400の保持面に保持されたウエーハ10の凹部14-1の底面を研削する。例えば、研削ユニット300は、図示しないモータにより軸心回りに回転されるスピンドルの下端に研削パッド310を装着している。研削ユニット300は、研削パッド310が鉛直方向と平行な軸心回りに回転されながら研削送りユニットにより研削パッド310が保持テーブル400に所定の送り速度で近づけられることによって、ウエーハ10の凹部14-1の底面を研削する。本実施形態では、研削ユニット300は、研削パッド310の外縁がウエーハ10の凹部14-1の底面の外縁に重なる位置と、凹部14-1の底面の中心に重なる位置に亘って移動ユニットにより保持テーブル400の径方向に移動されながらウエーハ10の凹部14-1の底面を研削する。
【0022】
研削によって薄化されたウエーハ10の後工程での取り扱い性を向上するため、ウエーハ10の中央のみを研削し、外周をそのまま残すことで、研削後のウエーハ10の剛性をある程度に保つことができる。しかし、ウエーハ10の径が大きくなると、外周を残して研削しても、ウエーハ10の剛性が不足し、反りや撓みなどの変形が発生することがある。また、研削後のウエーハ10は、薄化して剛性が十分でないと、撓む、反る等の変形が発生し、搬送やカセット収容時や後工程の処理において、破損する恐れがある。本実施形態では、サポート基板を用いずに研削後のウエーハ10を適切に処理することができるウエーハ処理装置及びウエーハ処理方法を提供する。
【0023】
(ウエーハ処理装置)
図4は、実施形態1に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。図4に示すウエーハ処理装置100は、表面13にデバイス領域15と、該デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を有するウエーハ10を処理する装置である。ウエーハ処理装置100は、保持部110と、真空容器120と、減圧ユニット130と、処理ユニット140と、差圧計150と、を備える。
【0024】
保持部110は、真空容器120の内部に設けられ、ウエーハ10の外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する。保持部110は、支持部111と、押さえ部112と、を有する。支持部111は、鉛直方向における真空容器120の下方の内部を下室122として区画する部材である。支持部111は、ウエーハ10の凹部14-1の直径よりも大きく、環状凸部14-2の外径よりも小さい円形の開口111-1を有する板状物である。本実施形態では、支持部111は、固定部111-2によって所定の高さに固定されている。支持部111は、ウエーハ10を位置決めする位置決め部111-3を上面に有しており、位置決め部111-3がウエーハ10の外周縁12と接触した状態でウエーハ10を支持する。
【0025】
押さえ部112は、支持部111が支持するウエーハ10の環状凸部14-2を上方から押さえるように、真空容器120の内部に設けられている。押さえ部112は、鉛直方向における真空容器120の上方の内部を上室121として区画する部材である。押さえ部112は、支持部111と同様に、ウエーハ10の凹部14-1の直径よりも大きく、環状凸部14-2の外径よりも小さい円形の開口112-1を有する板状物である。押さえ部112は、開口112-1がウエーハ10の凹部14-1と連通するように位置付けられる。押さえ部112は、弾性材料からなるシール部材113が設けられており、ウエーハ10を押さえることで、真空容器120の上室121を密閉する。また、保持部110は、支持部111と押さえ部112との間の空間を、真空容器120の下室122と連通させている。
【0026】
なお、保持部110の支持部111と押さえ部112とは、真空容器120の内部のいずれか一方で上室121と下室122とに区画できたらよいので、片方は空間を遮断する必要が無く、いずれか一方を、例えば120度間隔で3つなど、板状物を複数に分割して形成し、所定の間隔で配置する構成としてもよい。
【0027】
真空容器120は、保持部110を収容し、保持部110及び保持部110に保持されたウエーハ10によって上室121と下室122とに区画される容器である。本実施形態では、真空容器120は、中空円柱状に形成されているが、これに限定されない。真空容器120は、真空ポンプ131により内部が吸引されることで、内部を真空状態に維持することが可能な構成になっている。
【0028】
減圧ユニット130は、真空容器120の上室121と下室122とを減圧するとともに、下室122を上室121に対して陽圧にして自重によるウエーハ10の撓みを相殺する。陽圧とは、下室122の圧力を上室121の圧力よりも高い圧力にすることを意味する。ウエーハ10の撓みを相殺する上室121と下室122との圧力差は、例えば、ウエーハ10の撓みと相殺との関係の実験結果、シミュレーション結果等に基づいて、撓みを相殺する値が設定される。
【0029】
本実施形態では、減圧ユニット130は、真空容器120の上室121及び下室122と吸引管132を介して連通された真空ポンプ131を有し、真空ポンプ131により上室121及び下室122の内部の気体を吸引することで、真空容器120の内部を減圧する。減圧ユニット130は、真空ポンプ131と上室121との間の吸引管132に第1バルブ133、真空ポンプ131と下室122との間の吸引管132に第2バルブ134がそれぞれ設けられ、吸引管132の開閉を制御可能になっている。減圧ユニット130は、真空容器120の下室122と供給管136を介して連通されたエア供給源135を有し、エア供給源135により下室122の内部にエアを供給することで、下室122の内部の圧力を上昇させる。減圧ユニット130は、エア供給源135と下室122との間の供給管136に第3バルブ137が設けられ、供給管136の開閉が制御可能になっている。
【0030】
処理ユニット140は、真空容器120の内部に配置され、ウエーハ10に所定の処理を行う。所定の処理は、例えば、ウエーハ10の裏面14の凹部14-1に金属膜141を形成する処理、保護膜を形成する処理等を含む。本実施形態では、処理ユニット140は、ウエーハ10の凹部14-1と対向するように、真空容器120の上室121における天井に設けられている。処理ユニット140は、蒸着やスパッタリングにより金属膜141をウエーハ10の裏面14に形成するため構成を有する。例えば、処理ユニット140は、金属からなるスパッタ源が励磁部材に支持された状態で配設されており、このスパッタ源には高周波電源が連結されている。金属膜141は、チタン、ニッケル及び金のうち一以上の金属により構成された多層膜を含む。
【0031】
差圧計150は、真空容器120の上室121と下室122の気圧差を計測する。差圧計150は、上室121の内部の気圧及び下室122の内部の気圧を計測し、計測結果に基づいて気圧差を算出する。差圧計150は、算出した気圧差をウエーハ処理装置100に供給する。ウエーハ処理装置100は、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になるように、エア供給源135から下室122にエアを供給して下室122の圧力を上昇させて調整し、自重によるウエーハ10の撓みを相殺する。
【0032】
以上、実施形態1に係るウエーハ処理装置100の構成例について説明した。なお、図4を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態1に係るウエーハ処理装置100の構成は係る例に限定されない。実施形態1に係るウエーハ処理装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0033】
(ウエーハ処理方法)
次に、実施形態1に係るウエーハ処理装置100が実行するウエーハ処理方法1000を説明する。図5は、ウエーハ処理方法の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、実施形態1に係るウエーハ処理方法1000は、真空容器準備ステップ1100と、保持ステップ1200と、区画ステップ1300と、減圧ステップ1400と、処理ステップ1500と、を備える。ウエーハ処理方法1000は、表面13にデバイス領域15と、該デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を有するウエーハ10を処理するウエーハ処理方法である。ウエーハ処理方法1000は、ウエーハ処理装置100によって実現される。
【0034】
まず、ウエーハ処理装置100は、真空容器準備ステップ1100を実行することで、図4に示すように、真空容器120の内部において、ウエーハ10の外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する保持部110を有する真空容器120を準備する。図4では、ウエーハ処理装置100は、研削ユニット300で研削したウエーハ10を保持可能なように、保持部110を真空容器120に収容し、真空容器120を準備する。ウエーハ処理装置100は、真空容器120の準備が終了すると、ステップを図5に示す次の保持ステップ1200に進める。
【0035】
ウエーハ処理装置100は、保持ステップ1200を実行することで、図4に示すように、真空容器120の保持部110によってウエーハ10を保持する。図4では、ウエーハ処理装置100は、ウエーハ10の裏面14が上方を向いた状態で、支持部111の位置決め部111-3にウエーハ10の外周縁12が接触するように、ウエーハ10を支持部111に配置し、支持部111が支持するウエーハ10の環状凸部14-2を上方から押さえるように、支持部111と押さえ部112とで挟持する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の上室121において、処理ユニット140と保持部110が保持するウエーハ10の裏面14の凹部14-1とが対向するように配置する。ウエーハ処理装置100は、保持部110によってウエーハ10を保持すると、ステップを図5に示す次の区画ステップ1300に進める。
【0036】
ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300を実行することで、図4に示すように、真空容器120の保持部110に保持されたウエーハ10によって、真空容器120を上室121と下室122とに区画する。ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300が終了すると、ステップを図5に示す次の減圧ステップ1400に進める。
【0037】
ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400を実行することで、図4に示すように、真空容器120の上室121と下室122とを減圧するとともに、下室122を上室121に対して陽圧にして、自重によるウエーハ10の撓みを相殺する。例えば、ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を開状態に切り替え、真空ポンプ131を動作させることで、上室121及び下室122を減圧させる。この場合、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の上室121と下室122の圧力差が大きいとウエーハ10が破損するため、上室121及び下室122を同時に減圧する。ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を閉状態に切り替え、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になるように、第3バルブ137を開状態に切り替えてエア供給源135から下室122にエアを供給し、下室122の圧力を上昇させる。ウエーハ処理装置100は、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になると、第3バルブ137を閉状態に切り替えてエア供給源135からのエアの供給を停止する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120に収容したウエーハ10の下方(表面13側)をウエーハ10の上方(裏面14側)よりもわずかに陽圧にすることで、ウエーハ10が圧力差によって真空容器120の内部の上方(上室121の方向)に押し上げられ、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400が終了すると、ステップを図5に示す次の処理ステップ1500に進める。
【0038】
ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500を実行することで、図4に示すように、真空容器120に設置された処理ユニット140によってウエーハ10に所定の処理をする。本実施形態では、ウエーハ処理装置100は、処理ユニット140によって金属膜141をウエーハ10の裏面14の凹部14-1に形成する。例えば、ウエーハ処理装置100は、励磁部材によって磁化されたスパッタ源に高周波電源から高周波電力を加え、上室121にアルゴンガスを導入してプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴンイオンがスパッタ源に衝突して粒子がはじき出され、ウエーハ10の裏面14の凹部14-1に堆積するように処理ユニット140を動作させることで、金属膜141が形成される。ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500の処理が終了すると、図5に示すウエーハ処理方法1000を終了させる。
【0039】
例えば、ウエーハ処理装置100が処理したウエーハ10は、金属膜141が形成された裏面14側を保持テーブルにおいて保持し、保持テーブルをアースに接続することにより、金属膜141を介してウエーハ10をアースに接続する。そして、ウエーハ10は、表面13側のデバイス18に対してプローブを接触させることにより、各デバイス18の電気的特性が試験される。
【0040】
以上のように、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の内部に収容した保持部110でウエーハ10を保持すると、ウエーハ10の下方の圧力をウエーハ10の上方よりも陽圧にすることができる。これにより、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10が圧力差によって上方に押し上げられるので、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。その結果、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、サポート基板を用いずにウエーハ10を適切に処理することができるので、ウエーハ10の取り扱い性を向上させることができる。
【0041】
ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10のデバイス領域15に対応する裏面14側に金属膜141を形成することができる。これにより、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、真空容器120の内部でウエーハ10が自重によって撓まないので、薄型化したウエーハ10に金属膜141を適切に形成することができる。
【0042】
ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10のデバイス領域15の裏面14側に凹部14-1が形成され、外周余剰領域16に凹部14-1を囲繞する環状凸部14-2が形成されたウエーハ10を真空容器120に収容しても、薄型化された凹部14-1が自重によって撓むことを抑制することができる。これにより、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、平らな凹部14-1に処理を行うことができるので、サポート基板を用いずにウエーハ10を適切に処理することができる。
【0043】
[実施形態2]
実施形態2に係るウエーハ処理装置100を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態2に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。以下の説明では、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0044】
図6に示す実施形態2に係るウエーハ処理装置100は、実施形態1と同様に、表面13にデバイス領域15と、該デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を有するウエーハ10を処理する装置である。ウエーハ処理装置100は、保持部110と、真空容器120と、減圧ユニット130と、処理ユニット140と、差圧計150と、を備える。
【0045】
保持部110は、真空容器120の内部に設けられ、外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する。保持部110は、支持部114と、押さえ部112と、を有する。支持部114は、内径がウエーハ10の外径よりも小さな中空状の筒状部材で形成されている。本実施形態では、支持部114は、ウエーハ10の裏面14の凹部14-1の内径と略同一の内径になっている。支持部114は、真空容器120の内部において、ウエーハ10の凹部14-1の下方のみを真空容器120の下室122-1として区画している。すなわち、実施形態2に係る真空容器120の下室122-1は、実施形態1に係る真空容器120の下室122よりも内部空間が狭くなっている。
【0046】
支持部114の外形は、ウエーハ10の環状凸部14-2の外径よりも大きく形成されており、ウエーハ10を載置する載置部114-1を上端に有している。載置部114-1は、支持部114の内部の下室122-1を塞ぐように、上端にウエーハ10を載置可能な段差として形成されている。支持部114は、載置部114-1に載置されたウエーハ10と接触して下室122-1を封止するリング状のシール部材113を有している。
【0047】
押さえ部112は、支持部114が支持するウエーハ10の環状凸部14-2を上方から押さえるように、真空容器120の内部に設けられている。押さえ部112は、鉛直方向における真空容器120の上方の内部を上室121として区画する。押さえ部112は、ウエーハ10の凹部14-1の直径よりも大きく、環状凸部14-2の外径よりも小さい円形の開口112-1を有する板状物である。押さえ部112は、開口112-1がウエーハ10の凹部14-1と連通するように位置付けられる。
【0048】
なお、実施形態2では、保持部110は、支持部114が下室122-1を区画するので、押さえ部112が真空容器120の内部空間を遮断する必要がなく、例えば、120度間隔等の3か所等でウエーハ10の環状凸部14-2を上方から押さえる複数の板部材で押さえ部112を形成してもよい。
【0049】
以上、実施形態2に係るウエーハ処理装置100の構成例について説明した。なお、図6を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態2に係るウエーハ処理装置100の構成は係る例に限定されない。実施形態2に係るウエーハ処理装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0050】
(実施形態2に係るウエーハ処理方法)
次に、実施形態2に係るウエーハ処理装置100が実行するウエーハ処理方法1000を説明する。実施形態2に係るウエーハ処理方法1000は、実施形態1と同様に、図5に示した真空容器準備ステップ1100、保持ステップ1200、区画ステップ1300、減圧ステップ1400及び処理ステップ1500を備える。
【0051】
まず、ウエーハ処理装置100は、真空容器準備ステップ1100を実行することで、図6に示すように、真空容器120の内部において、ウエーハ10の外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する保持部110を有する真空容器120を準備する。図6では、ウエーハ処理装置100は、研削したウエーハ10を保持可能なように、保持部110を真空容器120に収容し、真空容器120を準備する。ウエーハ処理装置100は、真空容器120の準備が終了すると、ステップを図5に示す次の保持ステップ1200に進める。
【0052】
ウエーハ処理装置100は、保持ステップ1200を実行することで、図6に示すように、真空容器120の保持部110によってウエーハ10を保持する。図6では、ウエーハ処理装置100は、ウエーハ10の裏面14が上方を向いた状態で、支持部114の載置部114-1にウエーハ10の外周縁12が接触するように、ウエーハ10を支持部114に配置し、支持部114が支持するウエーハ10の環状凸部14-2を上方から押さえるように、支持部114と押さえ部112とで挟持する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の上室121において、処理ユニット140と保持部110が保持するウエーハ10の裏面14の凹部14-1とが対向するように配置する。ウエーハ処理装置100は、保持部110によってウエーハ10を保持すると、ステップを図5に示す次の区画ステップ1300に進める。
【0053】
ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300を実行することで、図6に示すように、真空容器120の保持部110に保持されたウエーハ10によって、真空容器120を上室121と下室122とに区画する。ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300が終了すると、ステップを図5に示す次の減圧ステップ1400に進める。
【0054】
ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400を実行することで、図6に示すように、真空容器120の上室121と下室122とを減圧するとともに、下室122を上室121に対して陽圧にして、自重によるウエーハ10の撓みを相殺する。例えば、ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を開状態に切り替え、真空ポンプ131を動作させることで、上室121及び下室122を同時に減圧させる。ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を閉状態に切り替え、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になるように、第3バルブ137を開状態に切り替えてエア供給源135から下室122にエアを供給し、下室122の圧力を上昇させる。ウエーハ処理装置100は、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になると、第3バルブ137を閉状態に切り替えてエア供給源135からのエアの供給を停止する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120に収容したウエーハ10の下方(表面13側)をウエーハ10の上方(裏面14側)よりもわずかに陽圧にすることで、ウエーハ10が圧力差によって真空容器120の内部の上方(上室121の方向)に押し上げられ、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400が終了すると、ステップを図5に示す次の処理ステップ1500に進める。
【0055】
ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500を実行することで、図6に示すように、真空容器120に設置された処理ユニット140によってウエーハ10に所定の処理をする。本実施形態では、ウエーハ処理装置100は、処理ユニット140によって金属膜141をウエーハ10の裏面14の凹部14-1に形成する。例えば、ウエーハ処理装置100は、励磁部材によって磁化されたスパッタ源に高周波電源から高周波電力を加え、上室121にアルゴンガスを導入してプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴンイオンがスパッタ源に衝突して粒子がはじき出され、ウエーハ10の裏面14の凹部14-1に堆積するように処理ユニット140を動作させることで、金属膜141が形成される。ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500の処理が終了すると、図5に示すウエーハ処理方法1000を終了させる。
【0056】
以上のように、実施形態2に係るウエーハ処理装置100は、真空容器120の内部に収容した保持部110でウエーハ10を保持すると、ウエーハ10の下方の圧力をウエーハ10の上方よりも陽圧にすることができる。これにより、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10が圧力差によって上方に押し上げられるので、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。また、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の下室122-1が実施形態1よりも小さな空間であるため、ウエーハ10の下方の圧力をウエーハ10の上方よりも容易に陽圧にすることができる。その結果、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、サポート基板を用いずにウエーハ10を適切に処理することができるので、ウエーハ10の取り扱い性を向上させることができる。実施形態2に係るウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0057】
[実施形態3]
実施形態3に係るウエーハ処理装置100を図面に基づいて説明する。図7は、実施形態3に係るウエーハ処理装置の一例を示す構成図である。図7に示す実施形態3に係るウエーハ処理装置100は、実施形態1と同様に、表面13にデバイス領域15と、該デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を有するウエーハ10を処理する装置である。ウエーハ処理装置100は、保持部110と、真空容器120と、減圧ユニット130と、処理ユニット140と、差圧計150と、を備える。
【0058】
保持部110は、真空容器120の内部に設けられ、ウエーハ10の外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する。実施形態3では、保持部110は、実施形態1と同一の構成となっており、ウエーハ10の凹部14-1が真空容器120の底部を向いた状態で、ウエーハ10の環状凸部14-2を挟持する点が実施形態1とは異なっている。
【0059】
処理ユニット140は、真空容器120の内部に配置され、ウエーハ10に所定の処理を行う。実施形態3では、処理ユニット140は、ウエーハ10の凹部14-1と対向するように、真空容器120の下室122における底部に設けられている。処理ユニット140は、蒸着やスパッタリングにより金属膜141をウエーハ10の裏面14に形成するため構成を有する。例えば、処理ユニット140は、金属からなるスパッタ源が励磁部材に支持された状態で配設されており、このスパッタ源には高周波電源が連結されている。
【0060】
以上、実施形態3に係るウエーハ処理装置100の構成例について説明した。なお、図7を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態3に係るウエーハ処理装置100の構成は係る例に限定されない。実施形態3に係るウエーハ処理装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0061】
(実施形態3に係るウエーハ処理方法)
次に、実施形態3に係るウエーハ処理装置100が実行するウエーハ処理方法1000を説明する。実施形態3に係るウエーハ処理方法1000は、実施形態1と同様に、図5に示した真空容器準備ステップ1100、保持ステップ1200、区画ステップ1300、減圧ステップ1400及び処理ステップ1500を備える。
【0062】
まず、ウエーハ処理装置100は、真空容器準備ステップ1100を実行することで、図7に示すように、真空容器120の内部において、ウエーハ10の外周余剰領域16を表面13側と裏面14側とから挟持する保持部110を有する真空容器120を準備する。図7では、ウエーハ処理装置100は、研削したウエーハ10を保持可能なように、保持部110を真空容器120に収容し、真空容器120を準備する。ウエーハ処理装置100は、真空容器120の準備が終了すると、ステップを図5に示す次の保持ステップ1200に進める。
【0063】
ウエーハ処理装置100は、保持ステップ1200を実行することで、図7に示すように、真空容器120の保持部110によってウエーハ10を保持する。図7では、ウエーハ処理装置100は、ウエーハ10の裏面14が真空容器120の下方を向いた状態で、支持部111の位置決め部111-3にウエーハ10の環状凸部14-2の外周が接触するように、ウエーハ10を支持部111に配置し、支持部111が支持するウエーハ10の環状凸部14-2の表面13側を上方から押さえるように、支持部111と押さえ部112とで挟持する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の下室122において、底部の処理ユニット140と保持部110が保持するウエーハ10の裏面14の凹部14-1とが対向するように配置する。ウエーハ処理装置100は、保持部110によってウエーハ10を保持すると、ステップを図5に示す次の区画ステップ1300に進める。
【0064】
ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300を実行することで、図7に示すように、真空容器120の保持部110に保持されたウエーハ10によって、真空容器120を上室121と下室122とに区画する。ウエーハ処理装置100は、区画ステップ1300が終了すると、ステップを図5に示す次の減圧ステップ1400に進める。
【0065】
ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400を実行することで、図7に示すように、真空容器120の上室121と下室122とを減圧するとともに、下室122を上室121に対して陽圧にして、自重によるウエーハ10の撓みを相殺する。例えば、ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を開状態に切り替え、真空ポンプ131を動作させることで、上室121及び下室122を同時に減圧させる。ウエーハ処理装置100は、第1バルブ133及び第2バルブ134を閉状態に切り替え、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になるように、第2バルブ134及び第3バルブ137を開状態に切り替えてエア供給源135から下室122にエアを供給し、下室122の圧力を上昇させる。ウエーハ処理装置100は、差圧計150が計測した気圧差に基づいて、真空容器120の下室122を上室121に対して陽圧になると、第2バルブ134及び第3バルブ137を閉状態に切り替えてエア供給源135からのエアの供給を停止する。これにより、ウエーハ処理装置100は、真空容器120に収容したウエーハ10の下方(裏面14側)をウエーハ10の上方(表面13側)よりもわずかに陽圧にすることで、ウエーハ10が圧力差によって真空容器120の内部の上方(上室121の方向)に押し上げられ、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。ウエーハ処理装置100は、減圧ステップ1400が終了すると、ステップを図5に示す次の処理ステップ1500に進める。
【0066】
ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500を実行することで、図7に示すように、真空容器120の下室122に設置された処理ユニット140によってウエーハ10に所定の処理をする。本実施形態では、ウエーハ処理装置100は、処理ユニット140によって金属膜141をウエーハ10の裏面14の凹部14-1に形成する。例えば、ウエーハ処理装置100は、励磁部材によって磁化されたスパッタ源に高周波電源から高周波電力を加え、下室122にアルゴンガスを導入してプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴンイオンがスパッタ源に衝突して粒子がはじき出され、ウエーハ10の裏面14の凹部14-1に堆積するように処理ユニット140を動作させることで、金属膜141が形成される。ウエーハ処理装置100は、処理ステップ1500の処理が終了すると、図5に示すウエーハ処理方法1000を終了させる。
【0067】
以上のように、ウエーハ処理装置100は、真空容器120の内部に収容した保持部110でウエーハ10を保持すると、ウエーハ10の下方の圧力をウエーハ10の上方よりも陽圧にすることができる。これにより、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10が圧力差によって上方に押し上げられるので、自重によってウエーハ10が撓むことを抑制することができる。その結果、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、サポート基板を用いずにウエーハ10を適切に処理することができるので、ウエーハ10の取り扱い性を向上させることができる。実施形態3に係るウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0068】
上述した実施形態では、ウエーハ処理方法1000は、真空容器準備ステップ1100、保持ステップ1200、区画ステップ1300、減圧ステップ1400及び処理ステップ1500を備える場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10の裏面14に凹部14-1及び環状凸部14-2を研削ユニット300で研削する研削ステップを真空容器準備ステップ1100の前処理として追加してもよい。あるいは、ウエーハ処理方法1000は、ウエーハ10の裏面14に凹部14-1及び環状凸部14-2を研削ユニット300で研削する処理を真空容器準備ステップ1100に含めてもよい。
【0069】
上述したウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、裏面14に凹部14-1及び環状凸部14-2を有するウエーハ10を処理する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ウエーハ処理装置100及びウエーハ処理方法1000は、凹部14-1及び環状凸部14-2を有さず、自重によって撓む平板状のウエーハに対しても適用することで、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、上述したいずれの実施形態においても、位置決め部111-3の内径側にリング状のシール部材を固定することで、より確実に上室121と下室122とが区画される状態にしても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 ウエーハ
11 基板
12 外周縁
13 表面
14 裏面
14-1 凹部
14-2 環状凸部
15 デバイス領域
16 外周余剰領域
17 分割予定ライン
18 デバイス
100 ウエーハ処理装置
110 保持部
111 支持部
111-1 開口
111-2 固定部
111-3 位置決め部
112 押さえ部
112-1 開口
120 真空容器
121 上室
122 下室
130 減圧ユニット
131 真空ポンプ
132 吸引管
133 第1バルブ
134 第2バルブ
135 エア供給源
136 供給管
137 第3バルブ
140 処理ユニット
141 金属膜
150 差圧計
300 研削ユニット
1000 ウエーハ処理方法
1100 真空容器準備ステップ
1200 保持ステップ
1300 区画ステップ
1400 減圧ステップ
1500 処理ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7