(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167797
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ヒートシンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21J 13/14 20060101AFI20241127BHJP
B21K 25/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B21J13/14 B
B21K25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084132
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 一夫
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087AA10
4E087CA25
4E087EC18
4E087EE02
4E087HB04
(57)【要約】
【課題】放熱性能の高いヒートシンクを提供するにあたり、安価で製造できるヒートシンクの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明のヒートシンクの製造方法は、板状のベース部と、前記ベース部の一方の面に立設された複数のピンフィンとを有するヒートシンクで、前記複数のピンフィンの少なくとも一部は平面視して、楕円形状又は略楕円形状を有するヒートシンクを製造する方法であって、先端形状が円形であって、前記ピンフィンの、前記楕円形状又は略楕円形状の短径と同じ寸法以下の直径を有するノックアウトピン18を用いて鍛造成形・排出を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部と、前記ベース部の一方の面に立設された複数のピンフィンとを有するヒートシンクで、前記複数のピンフィンの少なくとも一部は平面視して、楕円形状又は略楕円形状を有するヒートシンクを製造する方法において、
先端形状が円形であって、前記ピンフィンの、前記楕円形状又は略楕円形状の短径と同じ寸法以下の直径を有するノックアウトピンを用いて鍛造成形・排出を行う、ヒートシンクの製造方法。
【請求項2】
同じダイス孔に前記ノックアウトピンに加えてさらに、{(前記楕円形状又は略楕円形状の長径-前記楕円形状又は略楕円形状の短径)÷2}以下の直径である円形の先端形状を有するサブノックアウトピンを少なくとも1本以上を用いて鍛造成形・排出を行う、請求項1に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項3】
前記ノックアウトピンの円形先端径がφ0.1mm~20mmの範囲にある、請求項1に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項4】
前記ノックアウトピン及び前記サブノックアウトピンの円形先端径がφ0.1mm~20mmの範囲にある、請求項2に記載のヒートシンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシンクとして、板状のベース部と、このベース部の一方の表面に設けられた複数のピンフィンとを含む構造のものが知られている。このような構造のヒートシンクを製造する方法として、鍛造法が知られている。鍛造法としては、複数の孔を有するダイスの上に、ヒートシンクの原料である金属材料を配置し、パンチを用いて金属材料をダイスに向けて加圧することによって、金属材料をダイスの外周方向に延伸させてベース部を形成させると共に、複数の孔のそれぞれに流入させてピンフィンを形成させる方法が知られている。ダイスを用いた鍛造法には、バリ出し工法(半密閉工法ともいう)と密閉工法とが知られている。バリ出し工法は、パンチとダイスとの間に隙間が設けられていて、複数の孔に流入しなかった金属材料をその隙間から外部に流出させる工法である。密閉工法は、パンチとダイスとの間に隙間を設けずに、金属材料をパンチとダイスとの間に密閉する工法である(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
鍛造加工装置では、ピンフィンを成形するためのダイス孔に鍛造成形後に金型から製品を排出するためのノックアウトピン(ノックピン)がセットされるが、ノックアウトピンはダイス孔と同じ形状のものを使用するのが一般的である。その理由は、ダイス孔とは異なる形状ノックアウトピンを使用すると、ダイス孔とノックアウトピンの間に大きな隙間が発生する。そのため、鍛造成形時にその隙間に鍛造素材が流動してバリや余肉が発生し、後加工での処理(バリ取りや機械加工での除去)が必要となるからである。
【0004】
ピンフィンでは円柱状のピン形状のものが多いが、それを成形する際には円柱状の孔のダイス(下型)とその孔と同じ形状の円柱状の細長いノックアウトピンを用いるのが一般的である。
ノックアウトピンが円柱状の場合、センタレス研削加工などの工法を用いることができるため、比較的短時間で制作が可能で、加工も比較的容易であるため、安価で精度のよいピンを製作することが可能である。
【0005】
上記の理由から、楕円のピンフィンを成形する場合、楕円柱状の孔のダイス(下型)とその孔と同じ楕円柱状のノックアウトピンを用いることが最適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-155237号公報
【特許文献2】特開2019-107679号公報
【特許文献3】特開2014-75385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、楕円柱状の細長いノックアウトピンを製作する場合、センタレス研削加工方法では製作できないため、切削加工などの方法で製作せざるを得ない。その場合、細長いピンを製作する際、製品の保持や加工中の変形(曲がり)などが起こるため加工は非常に困難であり、製作にも多くの時間を要するため、製作費が非常に高価になってしまう。
それゆえ、金型費の増大につながり、それを用いて成形した場合、製品価格も高価になってしまう。
【0008】
一方、ピンフィンが楕円形状などの異形形状において、特に冷媒などの液体を使用した冷却器では、冷媒の圧力損出の増大を抑制しつつ、冷却効率の向上が見込まれる(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
楕円形状のピンフィンを成形する際、楕円柱状の孔のダイス(下型)に円柱形状のノックアウトピンを用いる場合、ダイス孔とノックアウトピン先端との間に隙間が発生し、バリや余肉などが発生するが、後加工での機械加工で除去すればよい。金型製作費に対して、切削加工費の方が安価で済むため、製品価格も安価となる。
【0010】
また、鍛造成形時並びにノックアウト時にピンの変形が抑制されるため、楕円形状のダイス孔の短径に対してノックアウトピン先端の直径はほぼ同寸法(短径に対して0.01~0.5mm程度小さい)の方が望ましい。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、放熱性能の高いヒートシンクを提供するにあたり、安価で製造できるヒートシンクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0013】
本発明の態様1は、板状のベース部と、前記ベース部の一方の面に立設された複数のピンフィンとを有するヒートシンクで、前記複数のピンフィンの少なくとも一部は平面視して、楕円形状又は略楕円形状を有するヒートシンクを製造する方法において、先端形状が円形であって、前記ピンフィンの、前記楕円形状又は略楕円形状の短径と同じ寸法以下の直径を有するノックアウトピンを用いて鍛造成形・排出を行う、ヒートシンクの製造方法である。
【0014】
本発明の態様2は、態様1のヒートシンクの製造方法において、同じダイス孔に前記ノックアウトピンに加えてさらに、{(前記楕円形状又は略楕円形状の長径-前記楕円形状又は略楕円形状の短径)÷2}以下の直径である円形の先端形状を有するサブノックアウトピンを少なくとも1本以上を用いて鍛造成形・排出を行う。
【0015】
本発明の態様3は、態様1のヒートシンクの製造方法において、前記ノックアウトピンの円形先端径がφ0.1mm~20mmの範囲にある。
【0016】
本発明の態様4は、態様2のヒートシンクの製造方法において、前記ノックアウトピン及び前記サブノックアウトピンの円形先端径がφ0.1mm~20mmの範囲にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明のヒートシンクの製造方法によれば、放熱性能の高いヒートシンクを提供するにあたり、安価で製造できるヒートシンクの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いることができる鍛造加工装置の断面図であって、金属材料Mを鍛造成形開始前の状態を模式的に示すものである。
【
図2】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いることができる鍛造加工装置の断面図であって、金属材料Mを加圧開始直後の状態を模式的に示すものである。
【
図3】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いることができる鍛造加工装置の断面図であって、金属材料Mを加圧完了直後の状態を模式的に示すものである。
【
図4】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いることができる鍛造加工装置の断面図であって、金属材料Mを金型より排出開始直後の状態を模式的に示すものである。
【
図5】(a)はノックアウトピンとダイスとの間の隙間が大きい場合を示す模式図であり、(b)は(a)のような場合に起こり得る不具合を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられるノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられるノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係の他の例を示す模式図である。
【
図8】本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられるノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係のさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るヒートシンク及びヒートシンクの製造方法について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0020】
本実施形態のヒートシンクの製造方法は、板状のベース部と、ベース部の一方の面に立設された複数のピンフィンとを有するヒートシンクで、複数のピンフィンの少なくとも一部は平面視して、楕円形状又は略楕円形状を有するヒートシンクを製造する方法であって、先端形状が円形であって、ピンフィンの、楕円形状又は略楕円形状の短径と同じ寸法以下の直径を有するノックアウトピンを用いて鍛造成形・排出を行うものである。
本明細書において、「略楕円形状」とは、本発明の効果を奏する範囲で、厳密な楕円形状に対して数%程度の加工誤差を許容する意図である。
【0021】
ヒートシンクの製造方法は、ダイスを準備する準備工程と、金属材料を密閉又は半密閉した状態でダイスに向けて加圧する加圧工程とを有する。加圧工程は鍛造加工装置を用いて実施することができる。鍛造素形材としての金属材料としては熱伝導性のよい材料を用いることが好ましい。例えば、アルミニウム、銅などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0022】
図1は、本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いることができる鍛造加工装置の断面図である。符号Mは金属材料(鍛造素形材)である。
図1は、金属材料Mを鍛造成形開始前の状態を模式的に示すものであり、
図2~
図4はそれぞれ、金属材料Mを加圧開始直後の状態、加圧完了直後の状態、鍛造成形材排出開始直後の状態を模式的に示すものである。
【0023】
図1に示すように、鍛造加工装置100は、パンチ(上金型)111と、ダイス(下金型)112と、ダイスホルダ114とを有する。ダイス112にはその上面側に下方に凹陥形成された成形孔112Aが設けられており、ヒートシンクの材料である金属材料(鍛造素形材)Mは成形孔112A上に配置される。
【0024】
パンチ111は、金属材料Mをダイス112に向けて加圧する。ダイス112における成形孔112Aの底壁には、上下方向に貫通する複数の貫通孔113(113a、113b、113c、113d)が形成されている。各貫通孔113内には上下方向に沿ってスライド自在にノックアウトピン118が配置されている。パンチ111は、ダイス112の内壁に沿って上下に移動可能とされている。
【0025】
ダイスホルダ114は、アンビル115と、円柱状のノックアウトピン118(118a、118b、118c、118d)と、ノックアウトプレート119と、エジェクタ120と、を有する。アンビル115は、底板116と、底板116の周囲に配置された筒状のダイス支持体117とを有する。底板116は中央にエジェクタ120が挿入される開口を有する。ノックアウトピン118a、118b、118c、118dは、ダイス112の複数の貫通孔113a、113b、113c、113dに挿入されている。ノックアウトピン118a、118b、118c、118dはノックアウトプレート119に支持されている。ノックアウトプレート119は底板116とエジェクタ120との上に配置されている。エジェクタ120は上下方向に移動可能とされている。エジェクタ120の上下方向の移動に合わせて、ノックアウトプレート119を介してノックアウトピン118a、118b、118c、118dが上下方向に移動する。
【0026】
図示した例では、貫通孔113とノックアウトピン118とによって、より詳細には貫通孔113の内周面とノックアウトピン118の上端面とによってフィン成形凹部142が構成されている。
この例では、フィン成形凹部142を形成するために、ダイス112に貫通孔113を形成しているが、それだけに限られず、ダイス112に有底の孔を形成して、その有底孔によってフィン成形凹部142を形成するようにしてもよい。さらにフィン成形凹部142のうち、一部を貫通孔113によって構成するようにしてもよい。例えばフィン成形凹部142のうち、半分を貫通孔113によって構成し、残り半分を有底孔によって構成するようにしてもよい。
【0027】
パンチ111をダイス112に打ち込んだ際に、パンチ111の先端面とダイス112の成形孔112Aとによって囲まれた空間部がベース成形部141として形成されるとともに、ベース成形部141の外周部上方におけるパンチ111の外周面と成形孔112Aの内周面との間の空間部がバリ成形部143として形成されている。
【0028】
このような鍛造加工装置100を用いて鍛造加工を行い、ヒートシンクを製造する過程の一例を
図1~
図4を用いて説明する。
【0029】
まず、ダイス112を、ダイスホルダ114のダイス支持体117の上に配置する。次いで、ダイス112の貫通孔113a、113b、113c、113dに、ノックアウトピン118a、118b、118c、118dを挿入し、ノックアウトピン118a、118b、118c、118dをノックアウトプレート119の接触するまでに押し込む。次いでノックアウトプレート119の位置を調整して、ノックアウトピン118a、118b、118c、118dの上側端部の位置、すなわち貫通孔113a、113b、113c、113dの深さを設定する。
【0030】
次に、金属材料Mをダイス112の中央(X方向およびY方向の中央)に配置する。金属材料Mは、ダイス112の成形孔112Aに収納可能であれば、その形状に制限はない。金属材料Mの形状は、角板形状(六面体)であってもよいし、丸板形状であってもよいし、異形形状であってもよい。金属材料Mは、ダイス112の成形孔112A内での位置ずれを抑えるために、成形孔112Aの形状に近い形状であることが好ましい。また、金属材料Mは面取りがなされていてもよい。金属材料Mは、圧延材からトリミングや機械加工にて切出されたものであってもよい。また、金属材料Mは、フラット形状や丸形状の押出材あるいは角形状や丸形状の連鋳棒を切断あるいは切出して製造したものであってもよい。金属材料Mは、展延性を向上させるために、焼きなまし処理(O処理)が施されていてもよい。また、金属材料Mは表面に潤滑剤を付着させる潤滑処理が施されていてもよい。潤滑処理を行ってから、焼きなまし処理を行ってもよい。
【0031】
次に、成形孔112Aに金属材料Mをセットした後は、パンチ111を降下させて金属材料Mを加圧する。パンチ111により金属材料Mに対する加圧を開始した直後の状態においては
図2に示すように、金属材料Mは中央(内径方向)に向けて流動するメタルと、外側(外径方向)に向けて流動するメタルとに分割される。このうち中央に向かうメタルが中央部の貫通孔113(フィン成形凹部142)に流入していく。また外側に流動するメタルが、外周部の貫通孔113(フィン成形凹部142)に流入していくとともに、パンチ111と成形孔112A内周面との間のバリ成形部143に流入していく。ここでベース成形部141の中央部を流動するメタルの量は十分に確保されるため、中央部のフィン成形凹部142内にはメタルが十分に充填される。
【0032】
さらに加圧を続け、加圧が完了すると、
図3に示すように、ベース部2及びピンフィン3と共に、バリ10aが一体の鍛造成形材10(
図4参照)が成形される。
【0033】
こうして、ベース部2及び複数のピンフィン3が形成された後は、
図4に示すように、エジェクタ120を上方に移動して、ノックアウトプレート119を介して、ノックアウトピン118a、118b、118c、118dを上方に移動させ、ピンフィンを押し出す。これによって、ダイス112から鍛造成形材10が取り出される。
この鍛造成形材10に対して、トリム加工等の仕上げ加工が施されてバリ10a等が除去されることにより、鍛造加工品としてのヒートシンクを得ることができる。
【0034】
図5(a)に示すように、ノックアウトピン118とダイス112の貫通孔113との間の隙間Sが大きいとノックアウトピン118を安定して固定することができない。この場合、
図5(b)に示すように、成型荷重でノックアウトピン118が曲がったり、折れてしまうなどの不具合が発生し得る。
【0035】
図6は、本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられるノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係の一例を示す模式図である。
ノックアウトピン18は先端形状が円形であって、ピンフィンの、楕円形状又は略楕円形状の短径と同じ寸法以下の直径を有する。楕円形状又は略楕円形状のピンフィンを成形するため、ダイスの貫通孔(ダイス孔)13は楕円形状又は略楕円形状である。
鍛造成形時並びにノックアウト時にノックアウトピンの変形が抑制されるため、楕円のダイス孔の短径に対してノックピン先端の直径はほぼ同寸法(短径に対して0.01~0.5mm程度小さい)であることが好ましい。
【0036】
このように、楕円形状又は略楕円形状のピンフィンを成形する際、楕円柱状のダイス孔13を有するダイスに円柱形状のノックアウトピン18を用いる場合、ダイス孔13とノックアウトピン18の先端との間に隙間が発生し、バリや余肉などが発生するが、後加工での機械加工で除去すればよい。このように楕円形状又は略楕円形状のピンフィンを成形する際に、楕円柱状のノックアウトピンを用いるのではなく、円柱形状のノックアウトピンを用いることで、金型製作費に対して切削加工費の方が安価で済むため、製品価格も安価となる。
【0037】
図7は、本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられる他の例のノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係の一例を示す模式図である。
図7に示す例では、楕円形状のダイス孔13の短径とほぼ同じ直径の円柱形状のノック
アウトピン18に加えて、(ダイス孔13の楕円形状の長径-楕円形状の短径)÷2以下の直径である円形形状の先端形状を有するサブノックアウトピン18-1、18-2をノックアウトピン18の両脇に配置する。
図7に示すように、ダイス孔13の楕円形状の長径と、ノックアウトピン18の直径+サブノックアウトピン18-1の直径+サブノックアウトピン18-2の直径とがほぼ一致すると、ノックアウトピン及びサブノックアウトピンを安定して固定することができる。
【0038】
図8は、本実施形態のヒートシンクの製造方法で用いられるさらに他の例のノックアウトピンとダイスの貫通孔との関係を示す模式図である。
図8に示す例では、楕円形状のダイス孔13の短径とほぼ同じ直径の円柱形状のノックアウトピン18に加えて、(ダイス孔13の楕円形状の長径-楕円形状の短径)÷2以下の直径である円形形状の先端形状を有するサブノックアウトピン18-1をノックアウトピン18の一方の脇に配置する。
【0039】
ノックアウトピン及びサブノックアウトピンの円形先端径がφ0.1mm~20mmの範囲にあることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
2 ベース部
3 ピンフィン
13 貫通孔(ダイス孔)
111 パンチ(上金型)
112 ダイス(下金型)
M 金属材料(鍛造素形材)