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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167830
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20241127BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20241127BHJP
   B65D 1/40 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B65D81/38 F
B65D1/02 110
B65D1/40 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084184
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】池口 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】薦田 弦
(72)【発明者】
【氏名】松浦 亮
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA21
3E033BB08
3E033CA08
3E033CA16
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC04
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
3E067AA03
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067BC07A
3E067BC07B
3E067CA04
3E067CA18
3E067EA32
3E067EB27
3E067EC30
3E067EC35
3E067FA04
3E067FB11
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA14
3E067GA15
3E067GA19
(57)【要約】
【課題】外容器がいびつに変形することが抑制される、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、容器本体を備える、二重容器であって、前記容器本体は、内容器と、前記内容器を覆うように配置された外容器を備え、前記内容器と前記外容器の間に環状に構成された環状スペーサが配置されている、二重容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を備える、二重容器であって、
前記容器本体は、内容器と、前記内容器を覆うように配置された外容器を備え、
前記内容器と前記外容器の間に環状に構成された環状スペーサが配置されている、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記外容器は、前記容器本体の口部側の上側部材と、前記容器本体の底部側の下側部材を備え、
前記上側部材と前記下側部材は、直接接合されるか、又は前記環状スペーサを介して接合されている、二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器であって、
前記上側部材と前記下側部材は、前記環状スペーサに対向する位置において互いに重ねられた重畳部を備え、
前記重畳部では、前記上側部材と、前記下側部材と、前記環状スペーサが互いに接合される、二重容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記環状スペーサの内周面と、前記内容器の間には、隙間が設けられている、二重容器。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記内容器は、段差部を備え、
前記環状スペーサは、前記段差部に当接している、二重容器。
【請求項6】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記内容器と前記外容器の間に密閉空間が配置されている、二重容器。
【請求項7】
請求項6に記載の二重容器であって、
前記密閉空間は、減圧された減圧空間である、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器として利用可能な二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内容器と外容器とを空隙部を隔てて配置して一体に結合した断熱容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-68324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、内容器と外容器の間に間欠的にパッドを配置することによって、内容器と外容器の間に真空排気された空隙部を設けている。
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、外容器の軽量化等の目的で外容器の剛性が低下すると外容器がいびつに変形しやすいという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外容器がいびつに変形することが抑制される、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]容器本体を備える、二重容器であって、前記容器本体は、内容器と、前記内容器を覆うように配置された外容器を備え、前記内容器と前記外容器の間に環状に構成された環状スペーサが配置されている、二重容器。
[2][1]に記載の二重容器であって、前記外容器は、前記容器本体の口部側の上側部材と、前記容器本体の底部側の下側部材を備え、前記上側部材と前記下側部材は、直接接合されるか、又は前記環状スペーサを介して接合されている、二重容器。
[3][2]に記載の二重容器であって、前記上側部材と前記下側部材は、前記環状スペーサに対向する位置において互いに重ねられた重畳部を備え、前記重畳部では、前記上側部材と、前記下側部材と、前記環状スペーサが互いに接合される、二重容器。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記環状スペーサの内周面と、前記内容器の間には、隙間が設けられている、二重容器。
[5][1]~[4]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記内容器は、段差部を備え、前記環状スペーサは、前記段差部に当接している、二重容器。
[6][1]~[5]の何れか1つに記載の二重容器であって、前記内容器と前記外容器の間に密閉空間が配置されている、二重容器。
[7][6]に記載の二重容器であって、前記密閉空間は、減圧された減圧空間である、二重容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二重容器では、内容器と外容器の間に環状スペーサが配置されているので、外容器の剛性が低い場合でも、外容器がいびつに変形しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の二重容器10の正面図である。
図2図1中の容器本体1の縦断面図である。
図3図3A及び図3Bは、それぞれ、図2中の領域A及びBの拡大図である。
図4図2中の環状スペーサ5を示し、図4Aは斜視図、図4Bは平面図である。
図5】容器本体1の製造工程を示す図2に対応する縦断面図である。
図6】容器本体1の製造工程を示す図2に対応する縦断面図である。
図7】容器本体1の製造工程を示す図2に対応する縦断面図である。
図8】容器本体1の製造工程を示す図2に対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.二重容器10の構成
図1図8を用いて、本発明の第1実施形態の二重容器10について説明する。二重容器10は、容器本体1を備える。容器本体1は、口部1aと、胴部1bと、底部1cを備える。以下の説明での「上」又は「下」は、別段の言及がない限りは、底部1cが下側になるように容器本体1を正立させたときの「上」又は「下」を意味する。
【0012】
図2に示すように、容器本体1は、内容器2と、内容器2を覆うように配置された外容器3を備える。内容器2と外容器3の間には、環状に構成された環状スペーサ5が配置されている。また、内容器2と外容器3の間には密閉空間4が配置されていることが好ましい。密閉空間4が減圧された減圧空間であったり、空気よりも熱伝導率の低い気体(クリプトンガスやアルゴンガス)が密閉空間4に含まれていたりする場合には、密閉空間4の熱伝導率が低くなり、二重容器10は、断熱性に優れた断熱容器となっている。密閉空間4の減圧度が高すぎると、容器本体1が変形しやすくなるところ、空気よりも熱伝導率の低い気体を密閉空間4に含ませることで、密閉空間4の減圧度を下げつつ、密閉空間4の熱伝導率を低くすることができる。密閉空間4内に空気よりも熱伝導率の低い気体が含まれている場合、密閉空間4は、減圧されていなくてもよいが、減圧されていることが好ましい。
【0013】
二重容器10は、好ましくは、内容物を繰り返し充填して利用するリフィルボトルである。二重容器10の内容物としては、水、お茶、清涼飲料水、炭酸飲料などが挙げられる。以下、各構成について説明する。
【0014】
内容器2は、有底筒状であり、内容器2内に内容物が収容される。内容器2は、口部2aと、内容器本体2bを備える。口部2aが容器本体1の口部1aとなる。口部2aには、キャップ6を装着可能な係合部2cが設けられている。本実施形態では、キャップ6がネジ式であるので、係合部2cは、雄ねじ部2c1である。外容器3は、有底筒状であり、内容器2の内容器本体2bを覆うように配置される。言い換えると、外容器3で覆われた部位が内容器本体2bである。外容器3の胴部3d及び底部3eが容器本体1の胴部1b及び底部1cとなる。胴部3dは、開口端3aに向けて縮径する肩部3fを有する。
【0015】
内容器2及び外容器3は、それぞれ、PETやポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂製であることが好ましい。内容器2及び外容器3は、ブロー成形体又は射出成形体であることが好ましい。内容器2及び外容器3は、単層構造でも多層構造でもよいが、内容器2と外容器3の一方又は両方(好ましくは両方)は、ガスバリア層を有する多層構造体であることが好ましい。ガスバリア層は、EVOHやポリアミドのようなガスバリア性樹脂で構成される。多層構造は、好ましくは、ガスバリア層がポリオレフィン層で挟まれた構造である。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレンが挙げられる。このような構成によれば、内容器2及び/又は外容器3の壁面を通じて密閉空間4に外気が入って密閉空間4の熱伝導率が高くなることが抑制される。内容器2と外容器3は、多層ダイレクトブロー成形容器であることが好ましい。
【0016】
内容器本体2bの肉厚は、例えば、0.4~1.5mmであり、0.5~1.2mmが好ましい。この値は、具体的には例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。外容器3は、重畳部3g以外の部位の肉厚は、例えば、0.5~2.0mmであり、0.6~1.5mmが好ましい。この値は、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。重畳部3gの肉厚は、例えば、1.0~4.0mmであり、1.2~3.0mmが好ましい。この値は、具体的には例えば、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0017】
図2図3に示すように、外容器3の開口端3aの近傍には、内容器2に気密に接合される接合部3bが設けられる。内容器2及び外容器3が熱可塑性樹脂である場合、接合は、溶着であることが好ましい。溶着方法としては、超音波溶着やレーザー溶着などが挙げられる。内容器2には、口部2aに隣接した位置に、口部2aよりも拡径される段差部2dが設けられている。外容器3の開口端3aには縮径部3cが設けられている。段差部2dと縮径部3cの対向面を互いに当接させた状態で内容器2と外容器3を接合させることによって、接合部3bでの接合の気密性が高められると共に、内容器2及び外容器3の軸方向の位置決めが可能になる。外容器3の開口端3aには、口部2aが通過可能なサイズの開口部3hが設けられていることが好ましい。なお、本明細書において、軸方向とは、容器本体1の口部1aの中心軸が延びる方向を意味し、図1の上下方向である。
【0018】
外容器3は、開口端3aに向かって縮径する形状を有し、内容器本体2bの外径は、開口端3aでの開口部3hの開口径よりも大きい。このため、開口部3hを通じて内容器本体2bを外容器3内に挿入することが困難である。一方、本実施形態では、外容器3は、容器本体1の口部1a側の上側部材31と、容器本体1の底部1c側の下側部材32を備える。図5に示すように、上側部材31は、上側開口端31aと下側開口端31bを有する筒状である。上側開口端31aには、縮径部31eが設けられている。上側開口端31aが、外容器3の開口端3aとなり、縮径部31eが縮径部3cとなる。図7に示すように、下側部材32は、有底筒状であり、開口端32aを有する。外容器3は、上側部材31と下側部材32が互いに接合(好ましくは溶着)されて構成される。このような構成によれば、後述するように、内容器2と外容器3の間に密閉空間4を形成しやすい。
【0019】
外容器3の開口端3a及び接合部3bは、上側部材31に設けられ、外容器3の底部3eは、下側部材32に設けられる。上側部材31が内容器2に接合され、下側部材32が上側部材31に接合されることによって、容器本体1が構成される。図3Bに示すように、上側部材31と下側部材32は、上側部材31と下側部材32が互いに重ねられた重畳部3gにおいて接合される。本実施形態では、上側部材31には、段差部31cが設けられており、段差部31cよりも下側開口端31b側に接合部31dが設けられている。下側部材32は、開口端32aの近傍の部位が接合部31dに重ねられ、これによって重畳部3gが形成される。接合部31dでは下側部材32の開口端32aでの厚さの分だけ縮径されているので、重畳部3gにおいて下側部材32が外容器3の外周面から突出することがなく、美観にすぐれている。
【0020】
図1図2に示すように、下側部材32には、一対の環状凹リブ32bが設けられており、環状凹リブ32bを設けることによって、下側部材32の剛性が強化されている。また、一対の環状凹リブ32bの間には、下側部材32の内部に向かって凹むように湾曲する湾曲部32cが設けられており、これによって、下側部材32の部位において容器本体1を把持しやすくなっている。
【0021】
環状スペーサ5は、外容器3が変形することを抑制するように機能する。密閉空間4が減圧空間である場合は、密閉空間4内の圧力と大気圧の差によって外容器3が変形することを抑制するように機能する。環状スペーサ5が環状であるので、外容器3の剛性が小さい場合でも、外容器3がいびつに変形することが抑制される。また、外容器3の剛性が低い場合には、重畳部3gにおいて接合不良が発生しやすくなる。この問題が解決すべく、図3Bに示すように、環状スペーサ5に対向する位置に重畳部3gを設け、重畳部3gにおいて、上側部材31と、下側部材32と、環状スペーサ5を互いに接合させることが好ましい。これによって、上側部材31と下側部材32の接合不良が生じにくくなるので、接合不良による気密性低下が抑制できる。また、重畳部3gにおいて、上側部材31と、下側部材32と、環状スペーサ5が一体化されるので、容器本体1の形状安定性が向上する。
【0022】
上側部材31と下側部材32は、重畳部3gにおいて対向する層が同じ材料であることが好ましい。本実施形態のように、重畳部3gにおいて上側部材31の外側に下側部材32が重なる場合、上側部材31の最外層と、下側部材32の最内層が同じ材料であることが好ましい。この場合、上側部材31と下側部材32を溶着しやすいからである。上側部材31と下側部材32は、一体に成形した成形体を分割することによって形成することが好ましい。また、環状スペーサ5の最外層と、上側部材31と下側部材32のうち環状スペーサ5に溶着される層は、同じ材料であることが好ましい。この場合、環状スペーサ5と、上側部材31及び/又は下側部材32を溶着しやすいからである。本実施形態では、環状スペーサ5の最外層と上側部材31の最内層が同じ材料であることが好ましい。
【0023】
環状スペーサ5の外周面5eは、外容器3の、外周面5eに対向する部位の形状に沿った形状であればよく、JIS B 0621で規定される真円度が小さい形状であることが好ましい。真円度は、周方向の複数箇所(例えば、等間隔に16点以上)で外径を測定したときの、外径の最大値と最小値に基づいて以下の式によって算出することができる。
・真円度=(最大値-最小値)÷2
【0024】
真円度は、例えば0.0~5.0mmであり、具体的には例えば、0.0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0025】
環状スペーサ5の外周面5eの直径は、例えば、50~90mmであり、60~80mmが好ましい。この直径は、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。また、真円度は、外周面5eの直径に対して、例えば、0~10%であり、0~5%が好ましい。この値は、具体的には例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0026】
25℃での密閉空間4内の圧力は、例えば、0.5気圧以下であり、0.2気圧以下が好ましく、0.1気圧以下が好ましい。この値は、例えば、0~0.5気圧であり、0.0001~0.2気圧が好ましく、0.001~0.1気圧がさらに好ましい。この値は、具体的には例えば、0、0.0001、0.001、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5気圧であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。この値が大きすぎると、断熱性が不十分になりやすい。
【0027】
重畳部3gの軸方向の長さは、例えば、3~20mmであり、5~15mmが好ましい(本実施形態では9mm)。この厚さは、具体的には例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この値が小さすぎると、上側部材31と下側部材32の接合不良によって気密性が低下しやすくなる場合があり、この値が大きすぎると、接合面積が広くなって接合にかかる時間が過度に増大してしまう場合がある。
【0028】
環状スペーサ5は、PETやポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂製であることが好ましい。環状スペーサ5は、射出成形体であることが好ましい。内容器2と、外容器3と、環状スペーサ5が何れも熱可塑性樹脂製である場合、一度の工程でこれらの3つの部材を互いに溶着させることができる。
【0029】
図3Bに示すように、内容器2には、環状スペーサ5を位置決めするための段差部2eが設けられていることが好ましい。環状スペーサ5を段差部2eに当接させることによって、環状スペーサ5を重畳部3gに対向する位置に正確に配置しやすくなる。段差部2eは、内容器2の底部2f側が縮径されるように設けられている。段差部2eの段の高さは、例えば、0.5~4mmであり、1~3mmが好ましい(本実施形態では1.85mm)。この高さは、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この値が低すぎると環状スペーサ5を段差部2eに当接させにくくなり、この値が大きすぎると環状スペーサ5と内容器2の接触面積が大きくなって熱伝導が増大してしまう場合がある。
【0030】
環状スペーサ5が外容器3に固定された状態で、環状スペーサ5の内周面5aと内容器2の間には隙間7が設けられていることが好ましい。隙間7を設けることによって、外容器3からの熱が内容器2に伝導することが抑制される。隙間7の厚さは、例えば、0.1~3mmであり、0.3~1mが好ましい(本実施形態では0.5mm)。この厚さは、例えば、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この値が小さすぎると、隙間7による伝導抑制効果が小さくなる。この値が大きすぎると、その分だけ、内容器2の外径が小さくなって、内容量の低減につながる。隙間7がある場合、環状スペーサ5は、内容器2に押し付けられることなく、外容器3からの負荷を受ける必要があるので、この負荷を受けるのに十分な剛性を有する材料及び形状で構成されることが好ましい。
【0031】
環状スペーサ5の径方向の長さ(つまり、外周面5eの半径-内周面5aの半径)は、例えば、3~15mmであり、5~10mmが好ましい(本実施形態では7.4mm)。この厚さは、具体的には例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この値が小さすぎると、密閉空間4による伝導抑制効果が小さくなる。この値が大きすぎると、内容器2の外径が小さくなって、内容量の低減につながる。
【0032】
環状スペーサ5の軸方向の長さは、例えば、3~15mmであり、5~12mmが好ましい(本実施形態では8mm)。この厚さは、具体的には例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この値が小さすぎると、環状スペーサ5の剛性が不十分になりやすい。この値が大きすぎると、環状スペーサ5を通じた熱伝導が大きくなりやすい。
【0033】
図4に示すように、環状スペーサ5は、内容器2側の環状の内環部5bと、外容器3側の環状の外環部5cと、内環部5bと外環部5cを連結するように離散的に設けられた複数のブリッジ部5dを備える。このような構成によれば、外環部5cからの熱が内環部5bに伝導することが抑制される。内環部5bと外環部5cの間の中間部5fの体積に対する、複数のブリッジ部5dの合計の体積の割合は、例えば、1~50体積%であり、5~30体積%が好ましく、10~20体積%がさらに好ましい(本実施形態では約15体積%)。この体積割合は、例えば、具体的には例えば、1、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50体積%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。ブリッジ部5dの数は、例えば、3~50であり(本実施形態では36)、具体的には例えば、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。複数のブリッジ部5dは、周方向に等間隔に配置されることが好ましい。ブリッジ部5dが設けられる角度ピッチは、例えば、3~45度であり、5~20度が好ましく(本実施形態では10度)、具体的には例えば、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0034】
中間部5fの径方向の長さは、例えば、2~12mmであり(本実施形態では4.4mm)、具体的には例えば、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0035】
1-2.二重容器10の製造方法
二重容器10は、容器本体1を製造した後に、必要に応じて容器本体1内に内容物を充填し、その後、口部1aにキャップ6を装着することによって製造することができる。
【0036】
以下、図5図8を用いて、容器本体1の製造方法について説明する。図5図8では、組立工程及び接合工程は、正立状態で行っているが、これらの工程は、倒立状態や、横向き状態で行ってもよい。
【0037】
(1)組立工程
組立工程では、まず、図5図6に示すように、上側部材31の上側開口端31aの開口に内容器2の口部2aを挿入し、段差部2dを縮径部31eに当接させる。これによって、内容器2が上側部材31に対して軸方向に位置決めされる。
【0038】
次に、図6図7に示すように、内容器2の底部2fを環状スペーサ5の中央開口5g内に挿入し、内容器2に沿って環状スペーサ5を移動させて環状スペーサ5を段差部2eに当接させる。これによって、環状スペーサ5が内容器2に対して軸方向に位置決めされる。
【0039】
次に、図7図8に示すように、上側部材31の接合部31dに沿って下側部材32の開口端32aを移動させて、上側部材31と下側部材32が互いに重ねられた重畳部3gが形成される。重畳部3gは、環状スペーサ5に対向する位置に形成される。
【0040】
(2)接合工程
次に、上側部材31の上側開口端31a近傍の接合部31fを内容器2に気密に接合すると共に、上側部材31の接合部31dを環状スペーサ5及び下側部材32に気密に接合する。この接合によって、図2に示すように上側部材31と下側部材32によって構成される外容器3が形成される。また、この接合を減圧チャンバ内で行うことによって、密閉空間4が減圧空間となる。接合工程のみを減圧チャンバ間内で行ってもよく、組立工程と接合工程の両方を減圧チャンバ内で行ってもよい。また、組立工程が完了してから接合部31fでの接合と、接合部31dでの接合を行ってもよく、組立工程の途中で接合部31fでの接合を先に行って、組立工程の完了後に接合部31dでの接合を行ってもよい。
【0041】
以上の工程によって、容器本体1が得られる。
【0042】
2.その他の実施形態
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、重畳部3gでは、下側部材32が上側部材31の外側になっているが、上側部材31が下側部材32の外側になるようにしてもよい。
・上記実施形態では、容器本体1の口部1aは、内容器2に設けられているが、外容器3に設けるようにしてもよい。この場合、上側部材31に口部を設け、内容器2を上側部材31に気密に接合することによって、上記実施形態と同様の方法で容器本体1を製造することができる。
・上記実施形態では、部材を段差部で互いに当接させることによって部材間の位置決めを行っているが、部材間の位置決めは、別の方法で行ってもよい。
・上記実施形態では、減圧チャンバ内で接合を行うことによって密閉空間4を減圧空間にしているが、容器本体1の製造後に密閉空間4を減圧することによって密閉空間4を減圧空間にしてもよい。
・上記実施形態では、上側部材31と下側部材32は、直接接合しているが、上側部材31と下側部材32を重ねずに、上側部材31と環状スペーサ5を接合すると共に、下側部材32と環状スペーサ5を接合することによって、環状スペーサ5を介して上側部材31と下側部材32を接合するようにしてもよい。この場合、環状スペーサ5を通じて密閉空間4に外気が導入されることを抑制すべく、環状スペーサ5は、ガスバリア層を有することが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 :容器本体
1a :口部
1b :胴部
1c :底部
2 :内容器
2a :口部
2b :内容器本体
2c :係合部
2c1 :雄ねじ部
2d :段差部
2e :段差部
2f :底部
3 :外容器
3a :開口端
3b :接合部
3c :縮径部
3d :胴部
3e :底部
3f :肩部
3g :重畳部
3h :開口部
4 :密閉空間
5 :環状スペーサ
5a :内周面
5b :内環部
5c :外環部
5d :ブリッジ部
5e :外周面
5f :中間部
5g :中央開口
6 :キャップ
7 :隙間
10 :二重容器
31 :上側部材
31a :上側開口端
31b :下側開口端
31c :段差部
31d :接合部
31e :縮径部
31f :接合部
32 :下側部材
32a :開口端
32b :環状凹リブ
32c :湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8