(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168144
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】手指採血装置及び穿刺方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B5/151
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084579
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小山田 祐志
(72)【発明者】
【氏名】竹中 啓
(72)【発明者】
【氏名】堀江 陽介
(72)【発明者】
【氏名】入江 隆史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 公一
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA02
4C038UE02
4C038UE07
(57)【要約】
【課題】
指のいずれの面に対しても、穿刺器を穿刺可能な手指採血装置及び穿刺方法を提供する。
【解決手段】
指10を針で穿刺する穿刺機構を備えた手指採血装置101であって、指10の輪郭を検出する検出部と、指の腹上の指血管像を撮影する検出部を備え、検出された指の輪郭及び指の腹上の指血管像に基づき穿刺位置を決定する制御機構121を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指を針で穿刺する穿刺機構を備えた手指採血装置であって、
指の輪郭を検出する検出部と、指の腹上の指血管像を撮影する検出部を備え、
検出された指の輪郭及び指の腹上の指血管像に基づき穿刺位置を決定する制御部を有することを特徴とする手指採血装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手指採血装置であって、
前記指の輪郭を検出する検出部は、指の輪郭を撮影する指先撮影用カメラであり、
前記指の腹上の指血管像を撮影する検出部は、指の腹上の指血管像を撮影する指血管撮影用カメラ及び指血管像取得用光源であり、
前記制御部が、指の輪郭上の穿刺位置を決定することを特徴とする手指採血装置。
【請求項3】
請求項2に記載の手指採血装置であって、
前記制御部は、穿刺位置近傍の指の輪郭点から、穿刺位置の法線を決定し、穿刺器ホルダの回転角を決定することを特徴とする手指採血装置。
【請求項4】
請求項3に記載の手指採血装置であって、
前記穿刺器ホルダにて保持される穿刺器を上下動するための穿刺用垂直方向駆動機構を更に備え、
前記制御部は、前記指先撮影用カメラの画像から穿刺位置と穿刺器の距離を計測し、前記穿刺用垂直方向駆動機構の移動量と、ターンテーブル用回転方向駆動機構の回転角を決定することを特徴とする手指採血装置。
【請求項5】
請求項4に記載の手指採血装置であって、
生体の穿刺対象部位を穿刺する穿刺器と、
前記穿刺対象部位の穿刺痕より流出する血液を捕集する採血管と、
前記穿刺痕に接触するガーゼと、
前記穿刺痕を封止する絆創膏と、
前記穿刺対象部位と前記穿刺器、前記採血管、前記ガーゼ、前記絆創膏の水平面上の相対位置を変化させ、且つ、前記穿刺対象部位と前記穿刺器、前記採血管、前記ガーゼ及び前記絆創膏の垂直方向の相対位置を変化させる駆動機構と、を有することを特徴とする手指採血装置。
【請求項6】
請求項5に記載の手指採血装置であって、
前記指血管撮影用カメラ或いは指先撮影用カメラで穿刺対象の指の動きを検知した場合、前記制御部は、穿刺位置を修正又は穿刺を中止することを特徴とする手指採血装置。
【請求項7】
請求項5に記載の手指採血装置であって、
指置き部と、前記指置き部を回転可能に支持する指置き部用回転方向駆動機構と、を有することを特徴とする手指採血装置。
【請求項8】
請求項7に記載の手指採血装置であって、
前記指先撮影用カメラで穿刺器による穿刺位置と、指の輪郭上の穿刺位置を表示する表示部を備えることを特徴とする手指採血装置。
【請求項9】
指を針で穿刺する穿刺機構を備えた手指採血装置の穿刺方法であって、
指の輪郭を検出する検出部により検出された指の輪郭、及び指の腹上の指血管像を撮影する検出部により検出された指の腹上の指血管像に基づき、制御部が穿刺位置を決定することを特徴とする穿刺方法。
【請求項10】
請求項9に記載の穿刺方法であって、
前記制御部が、穿刺位置近傍の指の輪郭点から、穿刺位置の法線を決定し、穿刺器ホルダの回転角を決定することを特徴とする穿刺方法。
【請求項11】
請求項10に記載の穿刺方法であって、
前記制御部が、
指先撮影用カメラの画像から穿刺位置と穿刺器の距離を計測し、穿刺器を上下動するための穿刺用垂直方向駆動機構の移動量と、ターンテーブル用回転方向駆動機構の回転角を決定することを特徴とする穿刺方法。
【請求項12】
請求項11に記載の穿刺方法であって、
前記制御部が、穿刺対象の指の動きを検知した場合、穿刺位置を修正又は穿刺を中止することを特徴とする穿刺方法。
【請求項13】
請求項11に記載の穿刺方法であって、
前記指先撮影用カメラで穿刺器による穿刺位置と、指の輪郭上の穿刺位置を表示部に表示することを特徴とする穿刺方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の指から採血を実施する手指採血装置及び穿刺方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康的な生活を送るためには、定期的に健康診断を受診することが重要である。健康診断にて一般的によく実施されている検査の一つが、被験者から採血し血液の成分を分析することで全身の組織や臓器の状態を診断する血液検査である。一般的な血液検査は医療機関で実施することが多いが、血糖値のように測定項目を限定した自己検査として、家庭内で実施することも多い。
【0003】
血糖値測定などの自己検査のための採血として実施されることが多い採血方法が、毛細血管採血である。毛細血管採血は、被験者の指に専用の皮膚穿刺器具を押し当てることで指の毛細血管を穿刺し、流出した血液を採血する方法である。毛細血管採血は、静脈血採血よりも簡便な採血方法である。
【0004】
特許文献1には、指からの採血を自動化する採血装置が開示されている。この採血装置は、穿刺器、採血管、絆創膏を保持するカートリッジと、カートリッジの位置を変化させ、かつ穿刺器、容器、絆創膏を指先に押し当てる動作をするための駆動機構と、指先の一部を固定するための固定機構と、指の根元を圧迫するための圧迫機構を備えていることを特徴とし、指先を圧迫したのち穿刺器で被験者の指先を穿孔し、穿刺痕から採血管に血液を採取し、圧迫を解放したのち絆創膏で穿刺痕を止血する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
採血装置に求められる機能の一つが、指の血管の位置と指表面の輪郭に応じて最適な角度から穿刺することである。穿刺器は、指の接面に対して垂直に穿刺することが望ましい。穿刺器は垂直に力が加えられることを想定しており、想定していない方向に力を加えても採血針が出ず、採血することができないことがあるといった問題があるからである。
特許文献1に記載されている採血装置は、穿刺機構を備えた手指採血装置の発明で、穿刺器具を制御し指に穿刺する採血装置である。しかしながら同構成では、穿刺器は一方向の上下動のみ許されるため、穿刺器の動作方向と穿刺位置の接面が垂直でない指の側面付近への穿刺は困難である。
【0007】
そこで、本発明は、指のいずれの面に対しても、穿刺器を穿刺可能な手指採血装置及び穿刺方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る手指採血装置は、指を針で穿刺する穿刺機構を備えた手指採血装置であって、指の輪郭を検出する検出部と、指の腹上の指血管像を撮影する検出部を備え、検出された指の輪郭及び指の腹上の指血管像に基づき穿刺位置を決定する制御部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る穿刺方法は、指を針で穿刺する穿刺機構を備えた手指採血装置の穿刺方法であって、指の輪郭を検出する検出部により検出された指の輪郭、及び指の腹上の指血管像を撮影する検出部により検出された指の腹上の指血管像に基づき、制御部が穿刺位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指のいずれの面に対しても、穿刺器を穿刺可能な手指採血装置及び穿刺方法を提供することが可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る手指採血装置の構成図である。
【
図3A】
図1に示す指血管撮影用カメラと指先撮影用カメラの配置図である。
【
図3B】
図1に示す指血管撮影用カメラと指先撮影用カメラで撮影された画像例である。
【
図3C】
図1に示す指血管撮影用カメラと指先撮影用カメラで撮影された画像から指先撮影用カメラで撮影された画像上に穿刺位置を表示させた図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る手指採血装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5A】本発明の実施例2に係る手指採血装置における指の配置図である。
【
図5B】本発明の実施例2に係る手指採血装置における穿刺位置に応じた指の回転を表す図である。
【
図5C】本発明の実施例2に係る手指採血装置におけるガイダンスのユーザーインターフェース(UI)である。
【
図6】本発明の実施例2に係る手指採血装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例0014】
図1は、本発明の実施例1に係る手指採血装置101の構成図である。
図1に示すように、手指採血装置101は、穿刺、採血、及び止血と、を行うターンテーブル102と、指の腹の指血管を撮影する指血管撮影用カメラ118(指の腹上の指血管像を撮影する検出部とも称される)と、指の輪郭を検出する指先撮影用カメラ120(指の輪郭を検出する検出部とも称される)と、これらを制御する制御機構121(制御部とも称される)を備える。
【0015】
ターンテーブル102には、血算用採血管108を保持する血算用採血管ホルダ109、生化学・免疫用採血管110を保持する生化学・免疫用採血管ホルダ111、ガーゼ112を保持するガーゼホルダ113、絆創膏114を保持する絆創膏ホルダ115を保持するための血算用採血管ホルダ用保持穴(図示せず)、生化学・免疫用採血管ホルダ用保持穴(図示せず)、ガーゼホルダ用保持穴(図示せず)、及び絆創膏ホルダ用保持穴(図示せず)がある。それぞれの保持穴は貫通穴であるが、血算用採血管ホルダ109、生化学・免疫用採血管ホルダ111、ガーゼホルダ113、絆創膏ホルダ115の一部分がそれぞれの保持穴より大きいため、血算用採血管ホルダ109、生化学・免疫用採血管ホルダ111、ガーゼホルダ113、及び絆創膏ホルダ115は各保持穴から落下することはない。血算用採血管ホルダ109、生化学・免疫用採血管ホルダ111、ガーゼホルダ113、及び絆創膏ホルダ115は、各ホルダを指定の位置に回転させるターンテーブル用回転方向駆動機構117と各ホルダを上下動させるターンテーブル用垂直方向駆動機構116によって、採血と止血を行う。
【0016】
以上の構成に加えて、ターンテーブル102は、穿刺器103を置くためのスライド板104、穿刺器103を上下動するための穿刺用垂直方向駆動機構105、穿刺器103を保持する穿刺器ホルダ106、及び穿刺位置に合わせて穿刺器ホルダ106を回転させる穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107を備える。穿刺器103は穿刺針と穿刺針を内蔵するホルダで構成されている一回使用の皮膚穿刺用器具であり、穿刺器103の先を指に押し付けると、穿刺針が一瞬飛び出し指の皮膚及び毛細血管を穿刺する。指の腹の指血管を撮影する指血管撮影用カメラ118と、指の輪郭を検出する指先撮影用カメラ120によって、指の輪郭における穿刺位置を決定する。換言すれば、指先撮影用カメラ120により検出された指の輪郭、及び指血管撮影用カメラ118により検出された指の腹の指血管像に基づき穿刺位置を決定する。穿刺位置の指の接面に応じて、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107によって穿刺器ホルダ106を回転させ、穿刺用垂直方向駆動機構105によって穿刺器103を押し上げ、穿刺器103を指に押し付けることで穿刺する。
【0017】
血算用採血管108や生化学・免疫用採血管110は血液採取用の容器であり、採血管の口を指10の穿刺箇所に押しつけることで、穿刺箇所から出血した血液を採取する。血算用採血管108は内面に抗凝固剤が塗布された採血管であり、採血後の血液の凝固反応を抑制する効果を備える。生化学・免疫用採血管110は、分離剤を内蔵した採血管であり、採血後に遠心力をかけることで比重差から、血球と血清の分離を行うことができる。ガーゼ112は吸水性の布であり、指10に押し当てることで余分な血液を指10の穿刺箇所からふき取る。絆創膏114は、粘着性のシートの中心に吸収性のパッドを備えたもので、指10の穿刺箇所を覆う。絆創膏ホルダ115へのセットの際には粘着面を上向きにして取り付ける。
【0018】
また、採血時におけるターンテーブル102への血液付着の防止のため、ターンテーブル102の上に使い捨ての保護シートを乗せて使用してもよい。保護シートは、ターンテーブル102の各保持穴に対応する位置に貫通穴を備えた形状であり、紙、布、樹脂フィルムなど安価で軽量の素材を用いる。
【0019】
本実施例では、指血管撮影用カメラ118と、指先撮影用カメラ120と、を備え、ターンテーブル102に穿刺用垂直方向駆動機構105と、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107とを備えることを特徴とする。
【0020】
図2は、
図1に示す穿刺器103の動作を示す図であり、穿刺器103が採血対象の指10の側面付近の血管20を穿刺する動作を示している。穿刺器103は、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107で回転し、穿刺用垂直方向駆動機構105がスライド板104を持ち上げ、穿刺対象の指10を穿刺する。穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107の回転角と、穿刺用垂直方向駆動機構105の移動量と、ターンテーブル用回転方向駆動機構117の回転角は、指血管撮影用カメラ118と指先撮影用カメラ120で撮影された画像から制御機構121によって計算される。
【0021】
図3Aは、穿刺対象の指10に対する指血管撮影用カメラ118と指先撮影用カメラ120の配置図である。指先撮影用カメラ120は指10の輪郭を撮影するため、装置形状によって決定される指の挿入角度ηに対して±60度以内に配置し、指血管撮影用カメラ118は角度η-90度に対し、±60度以内に配置する。
【0022】
図3Bは、指血管撮影用カメラ118と指先撮影用カメラ120で撮影された画像の例であり、
図3Cは、
図3Bの画像から指の輪郭上の穿刺位置を決定した図である。指血管像取得用光源119が指10に対して対向配置される指血管撮影用カメラ118は、指血管内のヘモグロビンの近赤外光の吸収特性を利用し、血管が暗線となった画像を撮影する。指血管撮影用カメラ118で撮影した画像では、指の腹上の穿刺位置を決定する。指の太さと指の腹上の穿刺位置から指表面上の穿刺位置を制御機構121によって計算し、指先撮影用カメラ120で撮影した指先画像の穿刺位置を決定する。指先画像の穿刺位置近傍で画像上の指表面の位置を検出するため、エッジ検出をし、穿刺位置近傍の指表面位置を二か所求める。求めた二か所の座標から接線、法線を算出し、角度θを求めることで、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107(
図1)の回転角が得られる。ここで、指表面位置を二か所とは、指10の輪郭上で、且つ、穿刺位置を挟むように2個所設定する。また、穿刺器103と穿刺対象の指10との距離は、穿刺器103と指先撮影用カメラ120で撮影した指先画像の下端との距離を事前に計測し、指先撮影用カメラ120で撮影した指先画像から計測することができる。計測した穿刺器103と穿刺対象の指10との距離と角度θから、制御機構121(
図1)によって、穿刺用垂直方向駆動機構105(
図1)の移動量と、ターンテーブル用回転方向駆動機構117(
図1)の回転角を計算することができる。
【0023】
指先撮影用カメラ120はレーザやアレーレーダを穿刺対象の指10の下部に設置し、指の曲面を計測することで代用できる。一度、採血を行った被験者に対しては、個人情報と指の形を紐づけておくことで、指先撮影用カメラ120を使用せず角度を決定することができ、採血時間の短縮につながる。また、ターンテーブル102は穿刺器用水平方向駆動機構やロボットアームを設置することで代用してもよい。
【0024】
穿刺位置の決定後、指血管撮影用カメラ118或いは指先撮影用カメラ120で穿刺対象の指10の動きを検知した場合、修正可能な小さな動きであれば、制御機構121によって穿刺位置が自動修正され、穿刺が行われる。穿刺対象の指10が大きく動き、穿刺位置の修正が不可能な場合は制御機構121によって手指採血装置101の動作を止めることができ、被験者の安全が確保される。また、穿刺の影響によって穿刺対象の指10が動き、指血管撮影用カメラ118或いは指先撮影用カメラ120で検知した場合、制御機構121によってターンテーブル用回転方向駆動機構117の回転角を修正することで、血算用採血管108と、生化学・免疫用採血管110と、ガーゼ112と、絆創膏114が正しく採血および止血できる。他の要因で、指血管撮影用カメラ118或いは指先撮影用カメラ120で穿刺対象の指10の動きを検知した場合も、制御機構121によってターンテーブル用回転方向駆動機構117の回転角を修正することで、一連の採血動作を安全に実施可能である。
【0025】
図4は本実施例に係る手指採血装置101の動作を示すフローチャートである。すなわち、手指採血装置101を用いた採血工程のフローチャートである。採血開始は被験者或いは手指採血装置101の操作者が行う。手指採血装置101にボタンを用意し、被験者が押す設計にすることで被験者の準備が完了次第、採血可能となり安全である。
【0026】
図4に示すように、ステップS401にて採血が開始されると、指血管撮影用カメラ118で穿刺対象の指10の指血管を強調した画像を撮影し、指の腹上の穿刺位置を決定する。
ステップS402では、指先撮影用カメラ120で指の輪郭を撮影し、制御機構121によってステップS401にて決定した穿刺位置を指の輪郭上に当てはめる。
ステップS403では、指先撮影用カメラ120で撮影した画像から、指の輪郭上の穿刺位置近傍の二点を求め、穿刺位置における接線と法線を計算する。画像の画素数が大きく穿刺位置近傍に多くの輪郭上の点が存在する場合、閾値を決め、範囲中の輪郭上の点に対して接線と法線を求めてもよい。
ステップS404では、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107の回転角を決定するため、ステップS403で求めた法線の角度θを算出する。
【0027】
ステップS405では、指先撮影用カメラ120で撮影される画像の下端と穿刺器103までの距離を事前に計測し、指先撮影用カメラ120で撮影された指10の穿刺位置と画像の下端との距離から穿刺位置と穿刺器103の距離を算出する。さらに、穿刺器103が指表面に到達してから、穿刺するために必要な移動距離を加えることで安定した穿刺を可能にする。
ステップS406では、ステップS405で算出した穿刺位置と穿刺器103間の高さとステップS403で求めた角度θから穿刺器103を水平移動するためのターンテーブル用回転方向駆動機構117の回転角Φを算出し、制御機構121によって角度Φまでターンテーブル102を回転させる。
ステップS407では、穿刺器ホルダ用回転方向駆動機構107で、ステップS403で求めた角度θだけ穿刺器ホルダ106を回転させる。穿刺位置の指10の接面と穿刺器ホルダ106が垂直となる。
ステップS408では、穿刺器ホルダ106内の穿刺用垂直方向駆動機構105がスライド板104と穿刺器103をステップS405で算出した距離まで押し上げる。穿刺器103は指表面に到達後、指10に穿刺する。穿刺後は穿刺用垂直方向駆動機構105を初期値に戻す。
ステップS409では、ターンテーブル102を回転させ、血算用採血管108と、生化学・免疫用採血管110と、ガーゼ112と、絆創膏114をターンテーブル用垂直方向駆動機構116で順に指に押し当てることで採血と止血を行う。
【0028】
以上の通り本実施例によれば、指のいずれの面に対しても、穿刺器を穿刺可能な手指採血装置及び穿刺方法を提供することが可能となる。
また、穿刺対象の指10の動きを検知した場合、修正可能な小さな動きであれば、制御機構121によって穿刺位置が自動修正され、穿刺することが可能となる。なお、穿刺対象の指10が大きく動き、穿刺位置の修正が不可能な場合は制御機構121によって手指採血装置101の動作を止めることができ、被験者の安全を確保することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。