IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図1
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図2
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図3
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図4
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図5
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図6
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図7
  • 特開-液体吐出装置及び印刷方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168155
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241128BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20241128BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/21
B41M5/00 112
B41M5/00 114
B41M5/00 132
B41J2/01 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084594
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】宮部 由佳
(72)【発明者】
【氏名】津田 直明
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EE10
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA42
2H186AA03
2H186AA05
2H186AB03
2H186AB12
2H186AB16
2H186AB23
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186DA17
2H186FA07
2H186FA08
(57)【要約】
【課題】DTF方式の印刷とDTG方式の印刷が可能であり、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制し、画像が白く濁ることを抑制できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液と、前記カラーインクを吐出するノズル、前記ホワイトインクを吐出するノズル、前記前処理液を吐出するノズル、及び、前記バインダ液を吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備え、前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行うことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、
カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液と、前記カラーインクを吐出するノズル、前記ホワイトインクを吐出するノズル、前記前処理液を吐出するノズル、及び、前記バインダ液を吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備え、
前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行う
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体吐出部は、
前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、
前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記転写用基材は非浸透性基材であり、前記記録媒体は布である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出部は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出する
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、
前記第1の方式及び前記第2の方式は、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液を吐出可能な液体吐出部により吐出を行う吐出工程を有し、
前記吐出工程は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行う
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
前記吐出工程は、
前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、
前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記第1の方式を行った後、前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する転写工程を含み、
前記転写工程は、前記転写用基材上の前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させて前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記転写工程は、前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させた後、前記転写用基材側から熱を加える
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記転写用基材は非浸透性基材であり、前記記録媒体は布である
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記吐出工程は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出する
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、DTF(Digital to Film又はDirect To Film)方式のプリンタが知られている。DTF方式のプリンタは、着色用のインクをフィルム等の基材に付与し、更にバインダ(接着液、接着剤などとも称される)を付与し、フィルム上の着色用のインクを衣類などの記録媒体に転写する。
【0003】
特許文献1には、基材にインクを吐出して着色層を形成し、所定の接着液を吐出して接着層を形成する転写媒体の製造方法が開示されている。特許文献1では、着色層形成用のインク及び接着層形成用の接着液をインクジェットヘッドから吐出する際の吐出安定性に優れ、着色層のパターンを高解像度で得ることができ、かつ、転写性、転写後の接着性、及び耐ブロッキング性に優れるとしている。
【0004】
DTF方式では、着色用のインクとして、例えばカラーインクとホワイトインクを用いる。従来技術では、フィルムにカラーインクを付与した後、ホワイトインクを付与して着色層を形成している。特許文献1においても、ホワイト色のインクは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー色のインクの各々によって形成された画像の表面を覆うように付着させることが開示されている。
【0005】
一方、DTF方式以外の画像形成装置として、DTG(Digital to Garment又はDirect To Garment)方式のプリンタも知られている。DTG方式のプリンタは、例えばカラーインクとホワイトインクを用い、直接、衣類などの記録媒体に画像を形成する。DTG方式では、例えば、記録媒体に前処理液を付与した後、ホワイトインクを付与し、ホワイトインクを凝集させてからカラーインクを付与する。DTG方式のプリンタでもDTF方式の印刷(画像形成)を行いたいという要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、DTG方式のプリンタでDTF方式の印刷を行う場合、前処理液によるホワイトインクの凝集が起こらない。そのため、フィルムにカラーインクを付与した後、ホワイトインクを付与すると、ホワイトインクがカラーインクの層に滲んでしまい、画像が白く濁ってしまう。
【0007】
そこで本発明は、DTF方式の印刷とDTG方式の印刷が可能であり、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制し、画像が白く濁ることを抑制できる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液と、前記カラーインクを吐出するノズル、前記ホワイトインクを吐出するノズル、前記前処理液を吐出するノズル、及び、前記バインダ液を吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備え、前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、DTF方式の印刷とDTG方式の印刷が可能であり、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制し、画像が白く濁ることを抑制できる液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る液体吐出装置の各カバー部材が閉じた状態の斜視図である。
図2図1の液体吐出装置の平面図である。
図3】液体吐出装置の各カバー部材が開いた状態の斜視図である。
図4図3の液体吐出装置の平面図である。
図5】DTF方式により転写用基材に画像を形成した場合の一例を説明するための概略図である。
図6】液体吐出ヘッドの一例を説明するための平面図である。
図7】液体吐出ヘッドの他の例を説明するための平面図である。
図8】転写工程の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る液体吐出装置及び印刷方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明の液体吐出装置は、記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液と、前記カラーインクを吐出するノズル、前記ホワイトインクを吐出するノズル、前記前処理液を吐出するノズル、及び、前記バインダ液を吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備え、前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の印刷方法は、記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、前記第1の方式及び前記第の方式は、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液を吐出可能な液体吐出部により吐出を行う吐出工程を有し、前記吐出工程は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行うことを特徴とする。
【0014】
図1に各カバーが閉じた状態の液体吐出装置1の斜視図、図2に平面図を示す。また図3に各カバーが開いた状態の液体吐出装置1の斜視図、図4に平面図を示す。図1の方向Xを液体吐出装置の前後方向あるいは副走査方向あるいは記録媒体搬送方向、方向Yを液体吐出装置の幅方向あるいは主走査方向、方向Zを上下方向とする。方向Xおよび方向Yはプラテン上に配置された基材や記録媒体の液体吐出面に平行な方向であるが、多少の誤差があってもよい。方向X,Y,Zは互いに直交する方向である。なお図3では、便宜上後述の仕切り板の記載を省略している。
【0015】
図1および図2に示すように、液体吐出装置1は、筐体2の前方にプラテン3(ステージなどと称してもよい)を有する。プラテン3はガイドレール4上に設けられる。ガイドレール4は方向Xに延在している。筐体2の前側に操作パネル5が設けられる。筐体2の側面にはインクカートリッジ6が着脱される。筐体2の上方には、開閉部材あるいはカバー部材としての前カバー7および後ろカバー8が設けられる。
【0016】
プラテン3の上面は基材又は記録媒体を載置する載置面であり、平坦状をなしている。プラテン3の上面は方向Xおよび方向Yに平行な面である。プラテン3はガイドレール4上を移動し、方向Xの両方向に往復移動可能に設けられる。またプラテン3はZ方向に昇降可能に設けられる。これにより、プラテン3に配置された基材又は記録媒体の高さを調整できる。
【0017】
本実施形態の液体吐出装置及び印刷方法は、記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能である。第1の方式には、DTF(Digital to Film又はDirect To Film)方式の印刷が含まれ、第2の方式には、DTG(Digital to Garment又はDirect To Garment)方式の印刷が含まれる。以下の説明では、第1の方式を行うことを、DTF方式を行う、DTF方式の印刷を行う、DTF方式で画像を形成するなどとも称することがある。第2の方式を行うことを、DTG方式を行う、DTG方式の印刷を行う、DTG方式で画像を形成するなどとも称することがある。
【0018】
第1の方式を行う場合、プラテン3にはフィルムなどの転写用基材(単に基材とも称する)を配置し、液体吐出部は基材に対して吐出を行う。第2の方式を行う場合、プラテン3には布などの記録媒体を配置し、液体吐出部は記録媒体に対して吐出を行う。
【0019】
前カバー7および後ろカバー8は方向Xの両方向に移動可能に設けられる。前カバー7が後ろ方向に移動し、後ろカバー8が前方向に移動した図1の状態がそれぞれのカバーが閉じた状態である。これに対して、前カバー7が前方向に移動し、後ろカバー8が後ろ方向に移動した図3の状態がそれぞれのカバーが開いた状態である。
【0020】
このように前カバー7および後ろカバー8をスライドにより開閉する構成とすることにより、例えば上下に開閉する構成と比較すると、各カバーの開閉領域を含めた液体吐出装置の占有領域を小さくできる。前カバー7および後ろカバー8はその前後方向の両端に開口部を有する。前カバー7および後ろカバー8が閉じられた状態で、前カバー7と後ろカバー8とが前後方向に連続して配置される。
【0021】
図3および図4に示すように、液体吐出装置1の装置本体部50は、筐体2、筐体2上に設けられる液体吐出部9A、9Bなどを有する。本実施形態では特に、装置本体部50は、液体吐出装置1の前カバー7および後ろカバー8以外の部分である。この装置本体部50に対して、前カバー7および後ろカバー8がX方向にスライド可能に設けられる。
【0022】
前カバー7および後ろカバー8が開くことで、液体吐出装置1内の液体吐出部が外側に開放される。液体吐出部を外部に開放することにより、メンテナンスユニット30や液体吐出ヘッドおよびその周辺の清掃、あるいはキャリッジの交換が可能になる。また、画像形成時には前カバー7および後ろカバー8が閉じられた状態になる。これにより、前カバー7あるいは後ろカバー8により液体吐出部9A、9Bが覆われ、液体吐出部9A、9Bのキャリッジなどの動作部が外部からアクセスできない状態になる。
【0023】
また前カバー7あるいは後ろカバー8内の閉じられた空間に液体吐出部9A、9Bを配置することにより、液体吐出動作時にインクミストが周辺に飛散することを防止するとともに、液体吐出部9A、9Bに設けられるファンによって前カバー7あるいは後ろカバー8内で気流を循環させ、発生したインクミストを前カバー7あるいは後ろカバー8内で循環させて回収することができる。
【0024】
本実施形態の液体吐出装置1は、方向Xに二つの液体吐出部9A、9Bを有する。
液体吐出部9A、9Bの構成は、適宜選択できる。例えば、液体吐出部9Aはカラーおよび白色のインクを吐出する。例えば、液体吐出部9Bは前処理液とバインダ液を吐出する。液体吐出部9A、9Bの構成、キャリッジ10A、10Bの構成例は、これに限られるものではなく、後述する。
【0025】
液体吐出部9A、9Bは同様の構成を有するため、以下、液体吐出部9Aについて説明する。液体吐出部9Aは、キャリッジ10Aと、ガイドロッド11と、電装部12と、メンテナンスユニット30とを有する。液体吐出部9A、9Bあるいはキャリッジ10A、10Bを単に液体吐出部9あるいはキャリッジ10とも称する。
【0026】
ガイドロッド11は主走査方向に延在する。キャリッジ10はガイドロッド11に沿って主走査方向に移動可能に設けられる。キャリッジ10は複数の液体吐出ヘッドを有する。メンテナンスユニット30は、ガイドロッド11に対向する位置で、左右方向の一方側の液体吐出領域外に設けられる。
【0027】
電装部12は、基板や基板を覆う電装カバーなどからなる。電装部12は、液体吐出動作を制御する制御部を有する。
【0028】
メンテナンスユニット30は、液体吐出ヘッドのノズル面を清掃する払拭部材やノズル面を吸引する吸引機構などを有する。払拭部材は、ゴム等で構成されたワイパーでもよいし、不織布等から構成されるウェブでもよい。
【0029】
以上の液体吐出ヘッドについて、画像を形成する過程について説明する。
【0030】
DTG方式の印刷を行う場合、まず記録媒体をプラテン3に載置し、ガイドレール4上を搬送する。そして、液体吐出装置の後方側まで搬送し、液体吐出部9Bにより前処理液を記録媒体に吐出する。具体的には、キャリッジ10Bをガイドロッド11に沿って主走査方向へ移動させながら液体吐出ヘッドに設けられたノズルから前処理液を記録媒体に対して主走査方向にわたって吐出する。これを副走査方向の各位置で繰り返し行うことにより、記録媒体に前処理液が付与される。その後、プラテン3を前方向へ移動させ、同様の方法で液体吐出部9Aによりホワイトインクを記録媒体に吐出し、カラーインクを記録媒体に吐出する。これにより、記録媒体に画像を形成できる。
【0031】
このように、本実施形態の液体吐出装置は、従来技術のDTG方式のプリンタと同様のカラーインク、ホワイトインク、前処理液を有しており、DTG方式の印刷が可能である。DTG方式では、例えば、記録媒体に前処理液を付与した後、ホワイトインクを付与し、ホワイトインクを凝集させてからカラーインクを付与する。
【0032】
なお、後述するように、液体吐出部9Aと液体吐出部9Bのどちらがカラーインク、ホワイトインク、前処理液、バインダ液を吐出するかについて、適宜変更できる。また、液体吐出部は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0033】
本実施形態の液体吐出装置は、DTF方式の印刷を行う際に用いられるバインダ液を搭載しており、DTF方式の印刷も可能である。また、本実施形態の液体吐出装置及び印刷方法は、第1の方式(DTF方式が含まれる)の印刷を行う際、前処理液の吐出を行う。DTF方式の印刷を行う際に、前処理液の吐出を行うことで、ホワイトインクを凝集させ、転写用基材上のカラーインクの層にホワイトインクが滲むことを抑制することができる。本実施形態では、ホワイトインクがカラーインクの層へ滲むことによって画像が白く濁る現象を防ぐことができ、高品質の画像を形成することができる。
【0034】
本実施形態では、第1の方式を行う際、転写用基材の画像形成領域に対してカラーインク、前処理液、ホワイトインク、バインダ液の順に吐出を行うことが好ましい。カラーインクの吐出とホワイトインクの吐出の間に前処理液を挟むことで、ホワイトインクを凝集させ、ホワイトインクがカラーインクの層へ滲むことをより抑制できる。
【0035】
前処理液は、前処理インクなどと称してもよい。バインダ液は、接着液、接着剤、バインダインクなどと称してもよい。印刷は、画像形成、印字などと称してもよい。また、転写用基材に吐出されたカラーインクによって形成される層をカラーインクの層又はカラーインク層などとも称する。ホワイトインク、前処理液、バインダ液についても同様に、基材に吐出されたホワイトインク、前処理液、バインダ液によって形成される層をホワイトインクの層又はホワイトインク層、前処理液の層又は前処理液層、バインダ液の層又はバインダ液層などとも称する。
【0036】
DTF方式の印刷を行う場合、まず転写用基材をプラテン3に載置し、ガイドレール4上を搬送する。そして、液体吐出部9Aによりカラーの各色を転写用基材に吐出する。次いで、プラテン3を後方向へ移動させ、液体吐出部9Bにより前処理液を転写用基材に吐出する。次いで、プラテン3を前方向へ移動させ、液体吐出部9Aによりホワイトインクを転写用基材に吐出する。次いで、プラテン3を後方向へ移動させ、液体吐出部9Bによりバインダ液を転写用基材に吐出する。
【0037】
これにより、転写用基材に画像が形成され、画像が形成された転写用基材を得ることができる。画像が形成された転写用基材を転写シートなどと称してもよい。DTF方式の印刷を行った後、転写シートの画像を記録媒体に転写する転写工程を行ってもよい。必要に応じて画像が形成された転写用基材(転写シート)をカットする。次いで、転写用基材に形成されたバインダ液の層と記録媒体とを接触させ、転写用基材に形成された画像を記録媒体に転写させる。これにより、布などの記録媒体に画像を形成することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、DTF方式を含む第1の方式と、DTG方式を含む第2の方式の両方を行うことが可能である。どの方式を行うかの制御や、各方式における液体吐出部の制御は、例えば液体吐出装置が備える制御部が行う。制御部は、CPU等を含んで構成される。
【0039】
前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する。
このようにすることで、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制でき、画像品質を向上させることができる。また、DTG方式の印刷を行う際に、前処理液によりホワイトインクを凝集させることができ、画像品質を向上させることができる。なお、画像形成領域については、図5等を用いて後述する。
【0040】
本実施形態における印刷方法は、前記第1の方式及び前記第2の方式は、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液を吐出可能な液体吐出部により吐出を行う吐出工程を有しており、前記吐出工程は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行う。
【0041】
また、本実施形態の印刷方法における吐出工程は、前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する。
このようにすることで、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制でき、画像品質を向上させることができる。また、DTG方式の印刷を行う際に、前処理液によりホワイトインクを凝集させることができ、画像品質を向上させることができる。
【0042】
本実施形態の印刷方法では、前記第1の方式を行った後、前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する転写工程を行ってもよい。この場合、前記転写工程は、前記転写用基材上の前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させて前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する。
このようにすることで、DTF方式の印刷を行う際に、ホワイトインクがカラーインクに滲むことを抑制でき、画像品質を向上させることができる。
【0043】
前記転写工程は、前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させた後、前記転写用基材側から熱を加えることが好ましい。熱を加えることで、転写用基材上のバインダ液の層が溶けて、バインダ液の接着機能が発揮されやすくなる。また熱を加えることで、転写用基材上の画像を記録媒体に転写しやすくなる。
【0044】
転写用基材側から熱を加える方法としては、適宜選択することができ、例えばアイロン等を用いて加熱する方法が挙げられる。
【0045】
転写工程では、転写用基材と記録媒体に圧力を加えてもよい。圧力を加えることで、転写用基材に形成された画像を記録媒体に転写しやすくなる。
【0046】
前記液体吐出部は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出することが好ましい。また、前記吐出工程は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出することが好ましい。
このように、所定の乾燥待ち時間を設けることで、インクの付着量が多すぎる場合に生じる滲みのほか、インク溢れを防止できる。乾燥待ち時間は、吐出するカラーインクやホワイトインクの量、種類、前処理液の量、種類などに応じて適宜選択することができる。
【0047】
上述のように、本実施形態の液体吐出装置及び印刷方法は、DTG方式もDTF方式も可能であるという利点を有する。前処理液は、一般的なDTGプリンタにおける前処理液と同じく、ホワイトインクを凝集させる機能を持つ。バインダ液は、一般的なDTF方式の印刷で用いられる接着剤(パウダー)と同じくカラーインク層やホワイトインク層と記録媒体とを接着させる機能を持つ。このため、本実施形態の液体吐出装置でDTG方式の印刷もDTF方式の印刷も可能である。
【0048】
DTG方式の印刷の場合、例えば衣類に直接、画像を形成していくため、画像の風合いが損なわれにくい等の利点がある。DTG方式の場合、ホワイトインクを使用する場合などにおいて、前処理液を記録媒体に吐出し、必要に応じて乾燥させる。前処理液はホワイトインクを凝集させて、布地の表面にホワイトインクの顔料を留めることができる。これにより、発色が向上する。DTF方式の印刷の場合、インクの使用量を低減できる等の利点がある。目的に応じて印刷方式を選択することができる。
【0049】
転写用基材としては、非浸透性基材を好適に用いることができる。
非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
【0050】
記録媒体としては、布を好適に用いることができる。布としては、例えばTシャツなど衣料用等の布が挙げられる。記録媒体は、布以外にも、紙などを用いることができる。
【0051】
カラーインク、ホワイトインクとしては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、水性顔料インクを用いることができる。
【0052】
前処理液は、ホワイトインクを凝集させる機能を有する。公知の前処理液を用いることができ、一般的なDTG方式で用いられる前処理液を用いることができる。
【0053】
バインダ液は、カラーインクやホワイトインクと記録媒体とを接着させる機能を有する。DTF方式に用いられる公知のバインダ液(接着剤、接着液、パウダーなどと称してもよい)を用いることができる。バインダ液に含まれる成分は、適宜選択でき、例えば、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0054】
バインダ液としては、ホットメルトバインダを用いてもよい。転写用基材にバインダ液を吐出した後、転写用基材に熱を加えることでバインダ液が固まり、画像の崩れがない転写シートを作製することができる。
【0055】
バインダ液は、転写用基材上に均一に付与されることが好ましい。転写用基材の場所によってバインダ液の量が変わると、場所によって接着力にばらつきが生じ、接着力の弱いところから剥がれてしまう可能性がある。そのため、転写用基材におけるバインダ液が付与される箇所で、バインダ液が均一に付与されていることにより、接着力のばらつきを抑制することができ、カラーインクやホワイトインクが記録媒体から剥がれることを抑制できる。
【0056】
図5は、DTF方式の印刷を行う場合について、吐出の順番の一例を説明するための図である。DTF方式の印刷では、プラテン3に載せた転写用基材40に対して吐出を行う。本例における転写用基材40は、DTF用PETフィルムを用いている。本例では、転写用基材40の画像形成領域に、カラーインク、前処理液、ホワイトインク、バインダ液の順に吐出する。
【0057】
図示するように、転写用基材40上に、カラーインク51、前処理液52、ホワイトインク54、バインダ液56の層が形成されている。カラーインクは、符号50a、50b、50cで表しており、特に制限されるものではないが、例えば、カラーインク51aをイエローインク、カラーインク51bをマゼンタインク、カラーインク51cをシアンインクなどのようにすることができる。カラーインクの種類を区別なく説明する場合、カラーインク51などと称する。
【0058】
カラーインク51は、画像形成領域42に吐出される。カラーインク51a~50cは、それぞれ画像形成領域42a~42cに吐出されている。カラーインクの種類を区別なく説明する場合、画像形成領域42などと称する。画像形成領域42は、カラーインク51が吐出される領域である。本実施形態では、カラーインク51が吐出された領域に、ホワイトインク54を吐出しているため、画像形成領域42は、カラーインク51及びホワイトインク54の両方が吐出される領域でもある。
【0059】
非画像形成領域43は、カラーインク51が吐出されない領域である。本実施形態では、非画像形成領域43にホワイトインク54を吐出してもよく、非画像形成領域43にホワイトインク54を吐出する場合、前処理液52、ホワイトインク54、バインダ液56を吐出する。
【0060】
DTF方式の印刷の場合、カラーインクとホワイトインクは、画像データを鏡像反転して転写用基材40に印字する。鏡像反転して印字することで、記録媒体に転写したときに画像データの画像を記録媒体に形成できる。
【0061】
カラーインクとホワイトインクが吐出される量によって、前処理液の適切な付着量が異なる。このため、前処理液がホワイトインクを凝集させるのに適した量で、前処理液を各所に吐出する。バインダ液は、カラーインクとホワイトインクのうちの少なくとも一方が吐出されている領域に吐出する。
【0062】
転写用基材40上に、カラーインク、前処理液、ホワイトインク、バインダ液の順に吐出することで、転写用基材40上に画像を形成することができる。図5に示すように、画像が形成された状態の転写用基材40を転写シート、転写媒体などとも称する。転写シートを記録媒体に接触させて、必要に応じて熱を加えることで、転写用基材40上の画像を記録媒体に転写することができる。
【0063】
次に、本実施形態の液体吐出装置におけるヘッドの構成の例について説明する。例えば、図3に示すような2つのキャリッジを有する液体吐出の場合、奥側のキャリッジ(キャリッジ10B)に前処理液とバインダ液を搭載させ、手前側のキャリッジ(キャリッジ10A)にカラーインクとホワイトインクを搭載させる。ただし、本発明はこの構成に限られず、適宜変更することが可能である。
【0064】
図6は、図3の液体吐出装置におけるキャリッジ10A、10Bのヘッド配置の一例及びインク構成の一例を説明するための平面概略図である。ただし、本発明の液体吐出装置において、キャリッジの数は2つに限定されるものではなく、適宜変更できる。また、ヘッドの配置や数は、図示する例に限られるものではなく、適宜変更できる。
【0065】
図6に示す例では、キャリッジ10Aに4つのヘッド21a~21dを搭載させており、キャリッジ10Bに4つのヘッド21e~21hを搭載させている。図示する例では、1つのヘッド21に2つのノズル列22を設けているが、本発明はこれに限られず、1つのヘッド21に設けるノズル列22の数は、適宜変更できる。なお、ヘッドを区別なく説明する場合、ヘッド21などと称し、ノズル列を区別なく説明する場合、ノズル列22などと称する。
【0066】
本例のキャリッジ10Aにおけるヘッド21a~21dでは、以下のようにしている。
ヘッド21aは、ブラックのカラーインクを吐出するノズル列22Kと、シアンのカラーインクを吐出するノズル列22Cを有する。
ヘッド21bは、ホワイトインクを吐出するノズル列22W1と、ホワイトインクを吐出するノズル列22W2を有する。
ヘッド21cは、ホワイトインクを吐出するノズル列22W3と、ホワイトインクを吐出するノズル列22W4を有する。
ヘッド21dは、マゼンタのカラーインクを吐出するノズル列22Mと、イエローのカラーインクを吐出するノズル列22Yを有する。
【0067】
本例のキャリッジ10Bにおけるヘッド21e~21hでは、以下のようにしている。
ヘッド21eは、バインダ液を吐出するノズル列22B1と、バインダ液を吐出するノズル列22B2を有する。
ヘッド21fは、バインダ液を吐出するノズル列22B3と、バインダ液を吐出するノズル列22B4を有する。
ヘッド21gは、前処理液を吐出するノズル列22P1と、前処理液を吐出するノズル列22P2を有する。
ヘッド21hは、前処理液を吐出するノズル列22P3と、前処理液を吐出するノズル列22P4を有する。
【0068】
なお、吐出するカラーインクの種類、数等は、図示する例に限られるものでない。カラーインクの種類はKCMYに限られない。カラーインクの数は1つであってもよい。また、ホワイトインクを吐出するノズル列の数は、図示する例に限られるものではない。また、バインダ液を吐出するノズル列の数は、図示する例に限られるものではなく、前処理液を吐出するノズル列の数は、図示する例に限られるものではない。
【0069】
図6に示す例において、ホワイトインク、前処理液及びバインダ液は、2ヘッド分使用しているが、本発明はこれに限られない。例えば、キャリッジ10Aで、ホワイトインクを吐出するヘッドを1つとし、代わりにバインダ液を吐出するようにして、バインダ液をヘッド3つ分使用する等の構成にしてもよい。吐出量などを考慮してヘッドの構成を適宜変更する。
【0070】
DTF方式の場合、プラテン3は、キャリッジ10Aの吐出領域とキャリッジ10Bの吐出領域を移動する。例えば、プラテン3上の基材は、キャリッジ10A側でカラーインクが吐出され、次いでキャリッジ10B側で前処理液が吐出され、次いでキャリッジ10A側でホワイトインクが吐出され、次いでキャリッジ10B側でバインダ液が吐出される。このようにすることで、例えば図5に示すように、基材上に各液を吐出することができる。
【0071】
本実施形態における液体吐出部は、カラーインクを吐出するノズル、ホワイトインクを吐出するノズル、前処理液を吐出するノズル、及び、バインダ液を吐出するノズルを有している。上記の例のように、液体吐出ヘッド(単にヘッドなどとも称する)がノズルを有している場合も、液体吐出部がノズルを有することに含まれる。
【0072】
ヘッドの構成について、他の例を説明する。
図7は、図3の液体吐出装置におけるキャリッジ10A、10Bのヘッド配置の他の例及びインク構成の他の例を説明するための平面概略図である。
【0073】
本例のキャリッジ10Aにおけるヘッド21a~21dでは、以下のようにしている。
ヘッド21aは、ホワイトインクを吐出するノズル列22W1と、ホワイトインクを吐出するノズル列22W2を有する。
ヘッド21bは、バインダ液を吐出するノズル列22B1と、バインダ液を吐出するノズル列22B2を有する。
ヘッド21cは、バインダ液を吐出するノズル列22B3と、バインダ液を吐出するノズル列22B4を有する。
ヘッド21dは、ホワイトインクを吐出するノズル列22W3と、ホワイトインクを吐出するノズル列22W4を有する。
【0074】
本例のキャリッジ10Bにおけるヘッド21e~21hでは、以下のようにしている。
ヘッド21eは、ブラックのカラーインクを吐出するノズル列22Kと、シアンのカラーインクを吐出するノズル列22Cを有する。
ヘッド21fは、前処理液を吐出するノズル列22P1と、前処理液を吐出するノズル列22P2を有する。
ヘッド21gは、前処理液を吐出するノズル列22P3と、前処理液を吐出するノズル列22P4を有する。
ヘッド21hは、マゼンタのカラーインクを吐出するノズル列22Mと、イエローのカラーインクを吐出するノズル列22Yを有する。
【0075】
DTF方式の場合、プラテン3は、キャリッジ10Aの吐出領域とキャリッジ10Bの吐出領域を移動する。例えば、プラテン3上の転写用基材は、キャリッジ10B側でカラーインクが吐出され、次いでキャリッジ10B側で前処理液が吐出され、次いでキャリッジ10A側でホワイトインクが吐出され、次いでキャリッジ10A側でバインダ液が吐出される。このようにすることで、例えば図5に示すように、転写用基材上に各液を吐出することができる。
【0076】
図8は、転写用基材上の画像を記録媒体に転写する転写工程を模式的に説明するための概略図である。図8(A)は、第1の方式を行った後、画像が形成された転写用基材40を記録媒体60に接触させた状態を模式的に示す図である。図示するように、転写用基材40上のバインダ液56と記録媒体60とを接触させている。上述したように、転写用基材40側(図示する例では紙面上方)から熱を加えることが好ましい。
【0077】
図8(B)は、転写用基材40を剥がし、記録媒体60に画像を転写した後の状態を模式的に示す図である。本実施形態によれば、記録媒体60に品質の良い画像を形成することができる。
【0078】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、
カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液と、前記カラーインクを吐出するノズル、前記ホワイトインクを吐出するノズル、前記前処理液を吐出するノズル、及び、前記バインダ液を吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備え、
前記液体吐出部は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行う
ことを特徴とする液体吐出装置。
<2>
前記液体吐出部は、
前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、
前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する
ことを特徴とする<1>に記載の液体吐出装置。
<3>
前記転写用基材は非浸透性基材であり、前記記録媒体は布である
ことを特徴とする<1>又は<2>に記載の液体吐出装置。
<4>
前記液体吐出部は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出する
ことを特徴とする<2>に記載の液体吐出装置。
<5>
記録媒体に画像を転写する転写用基材に画像を形成する第1の方式と、記録媒体に画像を形成する第2の方式とを行うことが可能であり、
前記第1の方式及び前記第2の方式は、カラーインク、ホワイトインク、凝集剤を含む前処理液、及び、樹脂を含むバインダ液を吐出可能な液体吐出部により吐出を行う吐出工程を有し、
前記吐出工程は、前記第1の方式を行う際、前記前処理液の吐出を行う
ことを特徴とする印刷方法。
<6>
前記吐出工程は、
前記第1の方式を行う場合、前記転写用基材の画像形成領域に前記カラーインク、前記前処理液、前記ホワイトインク及び前記バインダ液をこの順に吐出し、
前記第2の方式を行う場合、前記記録媒体の画像形成領域に前記前処理液、前記ホワイトインク、前記カラーインクをこの順に吐出する
ことを特徴とする<5>に記載の印刷方法。
<7>
前記第1の方式を行った後、前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する転写工程を含み、
前記転写工程は、前記転写用基材上の前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させて前記転写用基材上の前記カラーインク及び/又は前記ホワイトインクを前記記録媒体に転写する
ことを特徴とする<6>に記載の印刷方法。
<8>
前記転写工程は、前記バインダ液と前記記録媒体とを接触させた後、前記転写用基材側から熱を加える
ことを特徴とする<7>に記載の印刷方法。
<9>
前記転写用基材は非浸透性基材であり、前記記録媒体は布である
ことを特徴とする<5>に記載の印刷方法。
<10>
前記吐出工程は、前記前処理液を吐出してから所定の乾燥待ち時間が経過した後、前記ホワイトインクを吐出する
ことを特徴とする<6>に記載の印刷方法。
【符号の説明】
【0079】
1 液体吐出装置
3 ステージ
7 前カバー(カバー部材)
8 後ろカバー(カバー部材)
9A、9B 液体吐出部
10 キャリッジ
40 基材
42 画像形成領域
43 非画像形成領域
51 カラーインク
52 前処理液
54 ホワイトインク
56 バインダ液
60 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2013-141787号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8