(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168280
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644C
H01L21/304 644B
H01L21/304 644G
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084822
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好友
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA15
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BA03
5F157BA07
5F157CB13
5F157CD29
5F157CE07
5F157CE28
5F157CE29
5F157CE83
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】ブラシ洗浄の条件を自動で最適化する。
【解決手段】基板処理装置は、容器搬出入部にある容器から取り出された基板の第2面に対してブラシ処理を行うブラシ処理部と、ブラシ処理部で処理される前およびブラシ処理部で処理された後に基板を裏返す基板反転部と、基板の第2面に対して、基板がブラシ処理部で処理される前に撮像する処理前撮像を行うとともに、基板がブラシ処理部で処理された後に容器に戻される前に撮像する処理後撮像を行う基板撮像部と、制御部とを備え、制御部が、処理後撮像の結果に基づいて、処理済みの基板が良品か否かを判定し、かつ、処理前撮像および処理後撮像のうちの少なくとも一方に基づいて、処理前撮像が行われた基板、またはその後に処理される基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の処理条件を必要に応じて変更する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を、当該複数の基板の各々の第1面を上向きに第2面を下向きにした状態で収容する容器が載置される容器搬出入部と、
ブラシを用いて前記基板の前記第2面に対して研磨または異物除去のためのブラシ処理を行うブラシ処理部と、
前記容器から取り出された前記基板を、前記ブラシ処理部で処理される前に裏返して前記第2面を上向きにするとともに、当該基板を前記ブラシ処理部で処理された後であってかつ前記容器に戻す前に裏返して前記第1面を上向きにする基板反転部と、
前記容器から取り出された前記基板の前記第2面に対して、当該基板が前記ブラシ処理部で処理される前に撮像する処理前撮像を行うとともに、当該基板が前記ブラシ処理部で処理された後に前記容器に戻される前に撮像する処理後撮像を行う基板撮像部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記処理後撮像の結果に基づいて、処理済みの基板が良品か否かを判定し、かつ、前記処理前撮像および前記処理後撮像のうちの少なくとも一方に基づいて、前記処理前撮像が行われた基板、またはその後に処理される基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の処理条件を必要に応じて変更するように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記処理後撮像に基づいて求められたブラシ処理部による処理後の基板の前記第2面の状態が予め定められた基準を満たしていない場合に、その基板を不合格と判定するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、予め定められた枚数の不合格基板が発生した後に、前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の条件を変更するように構成されている、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ブラシ処理部において処理された基板の前記処理前撮像と前記処理後撮像の比較結果に基づいて、前記ブラシ処理部における処理条件の変更の要否、あるいは前記ブラシの交換の要否を判断するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記処理前撮像の結果に基づいて、当該処理前撮像の対象となった基板と同じ基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の条件を必要に応じて変更するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ブラシ処理部は、
前記基板の前記第2面を上向きにして前記基板を保持するとともに回転させる基板保持回転部と、
研磨または異物除去のためのブラシを回転させる回転機構、前記ブラシを前記基板保持回転部により保持された前記基板の前記第2面に押し付ける押圧機構、前記ブラシを前記基板の前記第2面上を水平方向に移動させる水平移動機構と、を有するブラシ駆動部と、を有しており
前記制御部は、前記比較結果に応じて、前記ブラシ処理の条件を定義するパラメータとしての、
前記基板保持回転部による前記基板の回転速度、
前記ブラシ駆動部の前記押圧機構による前記ブラシの前記基板に対する押し付け圧、
前記ブラシ駆動部の水平移動機構による前記ブラシの移動速度、および
前記ブラシ駆動部の水平移動機構による前記ブラシの移動回数、
のうちの少なくとも1つを変更するように構成されている、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板反転部と前記基板撮像部とが一体化されて1つの基板反転検査部を形成しており、
前記基板反転検査部は、当該基板反転検査部内において前記基板反転部および前記基板撮像部の間で基板を水平方向に搬送する基板水平搬送機構を備えている、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板撮像部は、撮像装置としてラインカメラを有しており、前記基板水平搬送機構による前記基板の水平移動を利用して前記基板の第2面をスキャン撮像するように構成されている、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板反転部は複数設けられ、これら複数の基板反転部は、前記ブラシ処理部で処理される前の基板を裏返すための第1基板反転部と、前記ブラシ処理部で処理された後の基板を裏返すための第2基板反転部とに分けられており、
前記基板撮像部は複数設けられ、これら複数の基板撮像部は、前記ブラシ処理部で処理される前の基板を撮像するための第1基板撮像部と、前記ブラシ処理部で処理された後の基板を裏返すための第2基板撮像部とに分けられている、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1基板反転部と前記第1基板撮像部とが一体化されて1つの第1基板反転撮像部を形成しており、
前記第1基板反転撮像部は、当該第1基板反転撮像部内において前記第1基板反転部および前記第1基板撮像部の間で基板を水平方向に搬送する第1基板水平搬送機構を備えており、
前記第2基板反転部と前記第2基板撮像部とが一体化されて1つの第2基板反転撮像部を形成しており、
前記第2基板反転撮像部は、当該第2基板反転撮像部内において前記第2基板反転部および前記第2基板撮像部の間で基板を水平方向に搬送する第2基板水平搬送機構を備えている、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
複数の基板を、当該複数の基板の各々の第1面を上向きに第2面を下向きにした状態で収容する容器が載置される容器搬出入部と、
ブラシを用いて前記基板の前記第2面に対して研磨または異物除去のためのブラシ処理を行うブラシ処理部と、
前記容器から取り出された前記基板を、前記ブラシ処理部で処理される前に裏返して前記第2面を上向きにするとともに、当該基板を前記ブラシ処理部で処理された後であってかつ前記容器に戻す前に裏返して前記第1面を上向きにする基板反転部と、
前記容器から取り出された前記基板の前記第2面に対して、当該基板が前記ブラシ処理部で処理される前に撮像する処理前撮像を行うとともに、当該基板が前記ブラシ処理部で処理された後に前記容器に戻される前に撮像する処理後撮像を行う基板撮像部と、
を備えた基板処理装置を用いて行われる基板処理方法において、
前記容器から取り出された前記基板の前記第2面を、当該基板が前記ブラシ処理部で処理される前に前記基板撮像部により撮像する処理前撮像を行うことと、
前記処理前撮像の後に、前記基板に前記ブラシ処理部でブラシ処理を施すことと、
前記ブラシ処理部で処理された前記基板の前記第2面を、前記容器に戻される前に前記基板撮像部により撮像する処理後撮像を行うことと、
前記処理後撮像の結果に基づいて、処理済みの基板が良品か否かを判定することと、
前記処理前撮像および前記処理後撮像のうちの少なくとも一方に基づいて、前記処理前撮像が行われた基板、またはその後に処理される基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の処理条件を必要に応じて変更することと、
を備えた基板処理方法。
【請求項12】
前記処理後撮像に基づいて求められたブラシ処理部による処理後の基板の前記第2面の状態が予め定められた基準を満たしていない場合に、その基板を不合格と判定することをさらに備えた、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
予め定められた枚数の不合格基板が発生した後に、前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の条件が変更される、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記ブラシ処理部において処理された基板の前記処理前撮像と前記処理後撮像の比較結果に基づいて、前記ブラシ処理部における処理条件の変更の要否、あるいは前記ブラシの交換の要否の判断が行われる、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記処理前撮像の結果に基づいて、当該処理前撮像の対象となった基板と同じ基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の条件が必要に応じて変更される、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記ブラシ処理部は、
前記基板の前記第2面を上向きにして前記基板を保持するとともに回転させる基板保持回転部と、
研磨または異物除去のためのブラシを回転させる回転機構、前記ブラシを前記基板保持回転部により保持された前記基板の前記第2面に押し付ける押圧機構、前記ブラシを前記基板の前記第2面上を水平方向に移動させる水平移動機構と、を有するブラシ駆動部と、を有しており
前記比較結果に応じて、前記ブラシ処理の条件を定義するパラメータとしての、
前記基板保持回転部による前記基板の回転速度、
前記ブラシ駆動部の前記押圧機構による前記ブラシの前記基板に対する押し付け圧、
前記ブラシ駆動部の水平移動機構による前記ブラシの移動速度、および
前記ブラシ駆動部の水平移動機構による前記ブラシの移動回数、
のうちの少なくとも1つが変更される、
請求項14に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、露光工程のデフォーカス対策等を目的として、半導体ウエハ等の基板の裏面(デバイスが形成されない面)に付着した異物を除去するために、ブラシ洗浄が行われている。特許文献1には、このようなブラシ洗浄を行うための装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ブラシ洗浄の条件を自動で最適化し得る技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態によれば、複数の基板を、当該複数の基板の各々の第1面を上向きに第2面を下向きにした状態で収容する容器が載置される容器搬出入部と、ブラシを用いて前記基板の前記第2面に対して研磨または異物除去のためのブラシ処理を行うブラシ処理部と、前記容器から取り出された前記基板を、前記ブラシ処理部で処理される前に裏返して前記第2面を上向きにするとともに、当該基板を前記ブラシ処理部で処理された後であってかつ前記容器に戻す前に裏返して前記第1面を上向きにする基板反転部と、前記容器から取り出された前記基板の前記第2面に対して、当該基板が前記ブラシ処理部で処理される前に撮像する処理前撮像を行うとともに、当該基板が前記ブラシ処理部で処理された後に前記容器に戻される前に撮像する処理後撮像を行う基板撮像部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記処理後撮像の結果に基づいて、処理済みの基板が良品か否かを判定し、かつ、前記処理前撮像および前記処理後撮像うちの少なくとも一方に基づいて、前記処理前撮像が行われた基板、またはその後に処理される基板の前記ブラシ処理部におけるブラシ処理の処理条件を必要に応じて変更するように構成されている基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記の本開示の一実施形態によればブラシ洗浄の条件を自動で最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】基板処理装置の第1実施形態に係る基板処理システムの概略横断面図である。
【
図2】
図1の基板処理システムの概略縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る基板処理システムに組み込み得るブラシ洗浄ユニットの一構成例を示す概略縦断面図である。
【
図4】
図3のブラシ洗浄ユニットの概略横断面図である。
【
図5】ブラシ洗浄ユニットで用いることができるブラシの概略構成を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る基板処理システムに組み込み得る反転/撮像複合ユニットの一構成例を示す概略縦断面図である。
【
図7】
図6の反転/撮像複合ユニットのトレイと周辺部品との関係の一例を示す概略平面図である。
【
図8】
図6の反転/撮像複合ユニットに組み込まれる反転機構の一例を示す斜視図である。
【
図9】基板処理装置の第2実施形態に係る基板処理システムの概略横断面図である。
【
図10】
図2の基板処理システムの概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して、基板処理装置の実施形態に係る基板処理システムの構成について説明する。方向の説明を容易にするため、XYZ直交座標系を設定し(
図1の左下を参照)ている。
【0009】
図1および
図2は、第1実施形態に係る基板処理システム1の全体構成を示している。
【0010】
基板処理システム1は、基板搬出入ブロック20と、インターフェースブロック30と、処理ブロック40とを備えている。
【0011】
基板搬出入ブロック20は、ステージ部(容器搬出入部)21と、第1搬送部22とを有している。ステージ部21には、基板処理システム1の外部から運ばれてきた複数の基板搬送容器F(例えばFOUP)を載置することができる。基板搬送容器F(以下、単に「容器F」と呼ぶ)は、鉛直方向に等間隔に設けられた複数のスロットを有し、各スロットに1枚のウエハW(基板)が水平姿勢で収容されている。
【0012】
第1搬送部22には、第1搬送ロボット23が設けられている。第1搬送ロボット23は、後述する搬送動作が可能であるならばその構成は任意であるが、例えば昇降機能付きの多軸水平多関節ロボットから構成することができる。第1搬送ロボット23は、エンドエフェクタとして、例えば二股フォーク状の基板把持アームを有する。この基板把持アームを用いて、第1搬送ロボット23はステージ部21上に置かれた任意の基板搬送容器Fの任意のスロットに対してウエハWの出し入れをすることができる。
【0013】
インターフェースブロック30には、複数台例えば8台のバッファユニット31と、複数台例えば8台の受け渡しユニット32とが、鉛直方向に積層されて設けられている。バッファユニット31は、第1搬送ロボット23がアクセス可能な高さ位置に設けられている。
【0014】
バッファユニット31は、ウエハWを一時的に保管するために用いられる。受け渡しユニット32は、搬送ロボット(後述の垂直搬送ロボット33および第2搬送ロボット65)との間のウエハWの受け渡しのために一時的にウエハWを載置するために用いられる。好ましくは、バッファユニット31および受け渡しユニット32はそれぞれ、未処理ウエハを置くためのものと、処理済みウエハを置くためのものとに分けられている。
【0015】
インターフェースブロック30には、さらに、1台以上の垂直搬送ロボット33が設けられている。図示例では、垂直搬送ロボット33は、バッファユニット31および受け渡しユニット32を積層してなる積層体の両脇に1台ずつ設けられている。垂直搬送ロボット33は、Z方向に移動可能な昇降体と、この昇降体にY方向に進退可能に設けられたエンドエフェクタとしての基板把持アームを有している。この基板把持アームを用いて、垂直搬送ロボット33は、任意のバッファユニット31および任意の受け渡しユニット32に対してウエハWの出し入れを行うことができる。
【0016】
処理ブロック40は、複数台例えば8台のブラシ洗浄ユニット41と、複数台例えば8台の反転ユニット42と、複数台例えば8台の撮像ユニット43と、第2搬送部45とを有している。第2搬送部45には、1台以上ここでは2台の第2搬送ロボット46が設けられている。
【0017】
反転ユニット42は、ウエハWを裏返すためのものであり、半導体製造装置の技術分野では「リバーサ」などとも呼ばれている。撮像ユニット43は、ウエハWの裏面にある異物あるいは傷等を検出するために、カメラまたはスキャナ等の撮像機器を用いてウエハWの裏面を撮像するものである。第1実施形態では、1台の反転ユニット42と1台の撮像ユニット43とが一体化されて単一の反転/撮像複合ユニット44を構成している。
【0018】
第1実施形態では、第2搬送部45の両側にそれぞれ4台ずつの、反転/撮像複合ユニット44と、ブラシ洗浄ユニット41とが上下に積層された状態で配置されている。第2搬送ロボット46は、後述する搬送動作が可能であるならばその構成は任意であるが、例えば昇降機能付きの多軸水平多関節ロボットから構成することができる。第2搬送ロボット46は、エンドエフェクタとして、例えば二股フォーク状の基板把持アームを有する。この基板把持アームを用いて、第2搬送ロボット46は、任意の反転/撮像複合ユニット44および任意のブラシ洗浄ユニット41に対してウエハWの出し入れを行うことができる。
【0019】
第1実施形態では、処理ブロック40は上層および下層の2層に分かれており、2台の第2搬送ロボット46の一方が上層にあるユニット(41,44)間でウエハを搬送し、他方が下層にあるユニット間でウエハを搬送する。
【0020】
なお、第1搬送ロボット23、第2搬送ロボット46および垂直搬送ロボット33は、いずれも半導体製造装置の技術分野において周知のものを用いることができる。これらの搬送ロボットについての詳細な構造の図示および説明は省略する。
【0021】
図1に示すように、基板処理システム1は、制御装置100を備えている。制御装置100は、たとえばコンピュータからなり、演算部101と記憶部102とを備える。記憶部102には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラム(処理レシピも含む)が格納される。演算部101は、記憶部102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0022】
プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置100の記憶部102にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0023】
次に、各ユニットの構成について説明する。
【0024】
図3および
図4を参照して、ブラシ洗浄ユニット41の構成について説明する。ブラシ洗浄ユニット41は、半導体製造装置の技術分野では「スクラバー」などとも呼ばれている。ブラシ洗浄ユニット41は、ハウジング411(ユニットチャンバ)を有している。ハウジング411内には、ウエハWを保持して回転させるスピンチャック412(基板保持回転部)が設けられている。スピンチャック412が有する基板保持機構4121は、メカニカルチャックと呼ばれる形式のものである。基板保持機構4121は、ウエハWの周縁を把持する複数(例えば4個)の把持爪4122によりウエハWを水平姿勢で保持するように構成されている。スピンチャック412は、電動モータ等の回転駆動機構4123により、保持したウエハWを鉛直軸線周りに回転させることができる。
【0025】
スピンチャック412の周囲には、回転するウエハWから飛散する液を受ける液受けカップ413が設けられている。液受けカップ413の底部には、排気口4131および排液口4132が設けられている。液受けカップ413が受け止めた液は、排液口4132を介して液受けカップ413から排出される。排気口4131を介して液受けカップ413内を吸引することにより、ファンフィルタユニット414から下向きに吹き出された清浄空気の流れが液受けカップ413内に引きこまれる。これにより、ウエハWの近傍に気流が形成され、ウエハWから飛散した液滴のウエハWへの再付着が防止される。
【0026】
ブラシ洗浄ユニット41は、2つのブラシ駆動アーム414G,414Wを有している(
図4を参照)。ブラシ駆動アーム414Gの先端部には研磨用のブラシ415Gが保持されており、ブラシ駆動アーム414Wの先端部には洗浄用のブラシ415Wが保持されている。ブラシ駆動アーム414G,414Wは、担持したブラシ415G、415Wを、平面視でカップ413の外側のホームポジション(待機位置)と、スピンチャック412により保持されたウエハWの中心部に対応する位置との間の任意の位置に、任意の移動速度で移動させることができる。図示された実施形態においては、ブラシ駆動アーム414G,414Wは、各々に割り当てられた並進駆動機構によりガイドレールに沿ってY方向に並進運動可能に構成されている。従って、ブラシ415G、415WもY方向に並進運動する。
【0027】
ブラシ駆動アーム414G,414Wには、保持したブラシ415G,415Wを昇降させることができる昇降機構418G,418Wが設けられている(鎖線で概略的に示した)。昇降機構418G,418Wを利用することにより、ブラシ415G,415Wを所望の押し付け力によりスピンチャック412により保持されたウエハWに押し付けることができる。
【0028】
ブラシ駆動アーム414G,414Wには、回転駆動機構419G,419Wが内蔵されている(鎖線で概略的に示した)。回転駆動機構419G,419Wは、ブラシ415G,415Wを任意の速度で回転させることができる。
【0029】
研磨用のブラシ415Gの構成の一例を、
図5に概略的に示した。研磨用のブラシ415Gは、PVAスポンジからなる基部に、研磨用砥粒を担持する研磨シートを張り付けた構成を有している。研磨シートは
図5においてハッチングを付けた領域に貼り付けられる。洗浄用のブラシ415Wは、研磨シートを有しない点を除き研磨用のブラシ415Gと概ね同じ構成を有している。また、図示はしていないが、コンビブラシと呼ばれる形式のブラシがあり、これは洗浄用のブラシ415Wに洗浄液(薬液)の吐出機能を設けたものである。これらのブラシはいずれも半導体製造装置の技術分野において周知のものであるため、詳細な図示および説明は省略する。
【0030】
ブラシ洗浄ユニット41は、さらに、複数ここでは2つのノズルアーム416A,416Bを有している。一実施形態においては、一方のノズルアーム416Aの先端部に洗浄液およびリンス液の一方を択一的に吐出するためのノズル417Aが担持され、他方のノズルアーム416Bの先端部に二流体吐出するためのノズル417B(二流体ノズル)が担持されている。ノズル417Bからは、例えば、リンス液のミストと窒素ガスとの混合流体が吐出される。その他の処理流体を吐出するノズルを追加してもよい。
【0031】
ノズルアーム416A,416Bは、担持したノズル417A,417Bを、平面視でカップ413の外側のホームポジション(待機位置)と、スピンチャック412により保持されたウエハWの中心部に対応する位置との間の任意の位置に、任意の移動速度で移動させることができる。図示された実施形態においては、ノズルアーム416A,416Bは各々に割り当てられた旋回駆動機構により、ノズルアーム416A,416Bの基端部を通過する鉛直軸線周りに旋回運動可能に構成されている。ノズルアーム416A,416Bの旋回駆動機構には、ノズルアーム416A,416Bを昇降させる昇降機構が併設されている。
【0032】
各ノズルには、処理流体の供給源から、処理流体供給制御機構が設けられた供給ラインを介して、所要の処理流体(洗浄液、リンス液、窒素ガス等)が供給される。処理流体供給制御機構としては、開閉弁、流量制御弁、流量計等の機器を含んでいる。
図3において、参照符号4171は洗浄液供給源を示し、参照符号4172はリンス液供給源を示し、参照符号4173は洗浄液用の処理流体供給制御機構を示し、参照符号4174はリンス液用の処理流体供給制御機構を示す。また、参照符号4175はリンス液供給源を示し、参照符号4176は窒素ガス供給源を示し、参照符号4177はリンス液用の処理流体供給制御機構を示し、そして、参照符号4178は窒素ガス用の処理流体供給制御機構を示している。
【0033】
次に、
図6~
図8を参照して、反転/撮像複合ユニット44の構成について説明する。
図6に示すように、反転/撮像複合ユニット44は、共通のハウジング441を有している。ハウジング441の内部は、反転エリア441Aと、撮像エリア441Bとを有している。
【0034】
ハウジング441の内部には、反転エリア441A内の待機位置と撮像エリア441B内の撮像位置との間を移動するトレイ442(基板支持体)が設けられている。図示された実施形態において、このトレイ442は、ガイドレール443に沿って移動する移動体444に固定されたベースプレート(基部)446により保持されている。
図6および
図7に示すように、トレイ442は、ウエハWの円周方向に沿って等間隔で設けられた小さな複数の(図示例では4つの)支持片445によりウエハWを下方から支持するように構成されている。
【0035】
反転エリア441A内には反転機構(「リバーサー」とも呼ばれる)420が設けられている。反転機構420としては、半導体製造装置の技術分野において公知の適当なものを用いることができるが、その一例が
図8に示されている。
【0036】
反転機構420は、ベース423に設けられた支柱424と、支柱に沿って昇降可能な昇降スライダ425と、図示しない回転機構を介して昇降スライダ425に回転可能に取り付けられた水平アーム426と、水平アーム426の先端に放射状に設けられた4本の保持アーム427と、各保持アーム427の先端に設けられた可動の把持爪428とを有している。
【0037】
なお、
図6には、図面の煩雑化を防止するため、反転機構420の構成要素のうちの水平アーム426および保持アーム427だけが示されていることに注意されたい。
【0038】
反転機構422の4つの把持爪428をウエハWの周縁に近づけるように移動させることにより、トレイ442の支持片445上に支持されたウエハWを把持爪428によって把持することができる。この状態で、昇降スライダ425を上昇させることにより、ウエハWをトレイ442の上方に持ち上げることができる。さらにこの状態で、水平アーム426を水平方向に延びる回転軸線周りに180度回転させることにより、ウエハWを裏返すことができる。次いで、昇降スライダ425を下降させ、さらに把持爪428を開放することにより、裏返したウエハWをトレイ442の支持片445上に載置することができる。反転エリア441Aは、上記のウエハWの反転操作を可能とするために十分な高さ方向寸法を有している。反転エリア441Aの高さ方向寸法は撮像エリア441Bの高さ方向寸法より大きい。
【0039】
上記のウエハWの反転操作を可能とするため、トレイ442には、水平アーム426を上下方向に通過させることができるように形成された第1切除部447が設けられている。また、ウエハWを保持するとともに
図8に示した状態から180度反転した保持アーム427が裏返したウエハWをトレイ442の支持片445上に載置する動作を可能とし得る程度に、トレイ442とベースプレート446との間の鉛直方向距離は十分に大きく設定されている。
【0040】
さらに、トレイ442には、第2切除部448が設けられている。この第2切除部448は、ハウジング441の入口4410から反転エリア441Aに侵入してきた、第2搬送ロボット46のエンドエフェクタである基板把持アーム47(例えば二股のフォーク状部材)とトレイ442の支持片445との間で、ウエハWの受け渡しを可能とする。つまり、第2切除部448を通って基板把持アーム47は、トレイ442よりも下方の高さ位置まで下降することができ、これによりトレイ442の支持片445上にウエハWを置くことができる。また、トレイ442とベースプレート446との間の隙間に空の基板把持アーム47を挿入し、基板把持アーム47を上昇させることにより、基板把持アーム47はトレイ442からウエハWを取り去ることができる。
【0041】
トレイ442は、1つ以上(図示例では例えば4本)の連結支柱450により、ベースプレート446に連結されている。連結支柱450は、例えば
図7に示すように、トレイ442の下面の4隅から、ベースプレート446に向けて延びている。
【0042】
トレイ442と反転機構422との間のウエハWの受け渡し、およびトレイ442と第2搬送ロボット46との間の受け渡しを補助するため、リフトピン(図示せず)を追加で設けてもよい。リフトピンは、例えば、ウエハWの下面の周縁部(エッジエクスクルージョン)のうちの支持片445と接する部分および反転機構422の把持爪428に把持される部分以外の部分を支持するように設けることができる。第2搬送ロボット46あるいは反転機構422とトレイ442との間でのウエハWの受け渡しをリフトピン介して行うことにより、トレイ442の構成をシンプルにすることができる。
【0043】
この場合、上昇位置にあるリフトピンの上に第2搬送ロボット46(あるいは反転機構422)がウエハWを置き、その後、リフトピンを下降させることによりウエハWをトレイ442に置くことができる。また、トレイ442に置かれたウエハWをリフトピンにより持ち上げ、その後、第2搬送ロボット46(あるいは反転機構422)がリフトピンからウエハを取り去ってもよい。このようにすることにより、トレイ442がウエハWの受け渡しの邪魔になることは無い。
【0044】
このようなリフトピンを介したウエハWの受け渡しは半導体製造装置の分野で良く知られており、図示および詳細な説明は省略する。なお、リフトピンおよびその昇降機構は、ガイドレール443および移動体444と干渉しない位置に設ければよい。
【0045】
撮像エリア441Bの奥の壁(反転エリア441Aから遠い側の壁)またはその近傍にはカメラ432が設けられている。このカメラ432は例えばエリアカメラであり、撮像位置に位置するトレイ442に載置されたウエハWの表面全域を一度に撮像することができるようになっている。
【0046】
撮像エリア441Bの手前側の壁(反転エリア441Aに近い側の壁)またはその近傍には照明装置433が設けられており、撮像位置に位置するトレイ442に載置されたウエハWの表面全域を照明することができるようになっている。照明装置433は撮像エリア441Bの天井壁に設けてもよい。
【0047】
なお、このようなエリアカメラを用いたウエハWの表面(裏面)検査技術は、本件出願人の先行特許出願に係る特許公開公報(例えば特開2016-157841号公報、特開2015-215193号公報、特開2014-115140号公報、特開2018-056574号公報等)に記載されており、これらの公報に開示された技術は、本開示における撮像技術に適用することができる。
【0048】
エリアカメラの代わりに、ラインカメラ(ラインスキャンカメラ)を用いてもよい。ラインカメラは、例えば参照符号434が付けられた鎖線の四角で概略的に示すように、撮像エリア441Bの反転エリア441Aに近い側において、トレイ442に載置されたウエハWの移動経路に近接して、移動経路の真上に設けることができる。画像光をラインカメラ434に導くために1つ以上の反射鏡を設けてもよい。そうすることによりラインカメラ434の設置位置の自由度が向上する。
【0049】
ラインカメラ434を用いる場合には、照明装置としてはラインライト(線状照明)を用いてもよい。このようなラインライトは、例えば参照符号435が付けられた鎖線の四角で概略的に示すように、ラインカメラ434と並べて設けることができる。2つのラインライト435をラインカメラ434の両脇に設け、これらのラインライトから線状の撮像領域に向けて照明光を照射してもよい。
【0050】
上記のラインカメラを用いた構成によれば、ウエハWを載置したトレイ442を移動させるときに、ラインカメラ434によりウエハWの裏面全域をスキャンすることができる。このため、スキャンのためだけに移動機構を設ける必要が無い。また、ウエハWの移動中に撮像が行われるため、ウエハWの検査に必要な時間を短縮することができる。
【0051】
<ウエハWの流れの説明>
次に、一枚のウエハWに対する搬送および処理の流れについて説明する。
【0052】
基板搬出入ブロック20のステージ部21上にある容器Fには、複数のウエハWが、各ウエハWの表面(デバイスが形成される面(第1面))が上向きとなるように収容されている。容器Fから、第1搬送ロボット23が1枚のウエハWを取り出し、インターフェースブロック30のバッファユニット31に搬入する。垂直搬送ロボット33がバッファユニット31からウエハWを取り出し、受け渡しユニット32に搬入する。
【0053】
第2搬送ロボット46が受け渡しユニット32からウエハWを取り出し、ウエハWを洗浄前検査専用の反転/撮像複合ユニット44の反転エリア441Aに搬入する。第2搬送ロボット46は、ウエハWをトレイ442に置く。
【0054】
次に、反転機構422の保持アーム427がトレイ442上のウエハWを把持して持ち上げ、ウエハWを裏返し、ウエハWの裏面(デバイスが形成されない面(第2面))が上面となるようにする。その後、保持アーム427は下降してトレイ442にウエハを置く。
【0055】
次に、ウエハWが載置されたトレイ442が撮像エリア441B内に移動する。撮像エリア441B内の所定位置にウエハWが載置されたトレイ442が停止すると、カメラ432によりウエハWの裏面が撮像される。カメラ432により取得された画像データは、制御装置100に送られる。制御装置100は、画像解析を行い、ウエハWの裏面の傷、異物、パーティクル等の欠陥の検査が行われる(洗浄前検査)。この洗浄前検査により、処理前のウエハWの裏面(被処理面)の欠陥の数、サイズ、形状等を把握することができる。
【0056】
なお、画像解析においては、画像からウエハWのノッチの位置を検出し、ノッチの位置と関連付けてウエハW上の欠陥の分布を示すマップを作成することが好ましい。これに代えて、ノッチアライナーを反転/撮像複合ユニット44に組み込んでもよい。この場合、ウエハWはノッチを特定の向きに位置決めされた状態で撮像される。
【0057】
ラインカメラ434が設けられる場合には、ウエハWが載置されたトレイ442が反転エリア441Aから撮像エリア441Bに移動するときに、トレイ442の動きを利用してウエハWの裏面がスキャン撮像され、これによりウエハWの裏面全体が撮像される。ウエハWが載置されたトレイ442が撮像エリア441Bから反転エリア441Aに戻るときに、ウエハWの裏面をスキャン撮像してもよい。
【0058】
他の実施形態として、ラインカメラ434およびラインライト435を、トレイ442に載置されたウエハWの移動経路に近接して、移動経路の真下に設けてもよい。この場合、反転/撮像複合ユニット44の反転エリア441Aに搬入されたウエハWは、裏返されずに撮像エリア441Bに移動され、検査の終了後に反転エリア441Aで裏返され、その後に第2搬送ロボット46により搬出される。なおこの場合、ラインカメラ434およびラインライト435は、移動するトレイ442と衝突しないように設けられる。具体的には例えば、連結支柱450の数を減らして
図7における下側のみに設けること、ラインカメラ434およびラインライト435を撮像エリア441Bの奥側から反転エリア441Aの方に向けて延びる片持ち支持体により支持する、等の構成が考えられる。
【0059】
なお、基板載置台に載置されて移動する基板の下向きの面を撮像することにより基板の下向きの面を検査する技術は、本件出願人の先行特許出願に係る特許公開公報(例えば特開2014-109436号公報、特開2014-109436号公報等)に記載されており、これらの公報に開示された技術は、本開示における撮像技術に適用することができる。また、基板の下方を移動する撮像ユニットにより基板の下向きの面を撮像することにより基板の下向きの面を検査する技術は、本件出願人の先行特許出願に係る特許公開公報(例えば特開2013-137292号公報等)に記載されており、このの公報に開示された技術は、本開示における撮像技術に適用することができる。
【0060】
処理前のウエハWの撮像の終了後、ウエハWが載置されたトレイ442が反転エリア441Aに戻される。第2搬送ロボット46が反転エリア441Aに入り、トレイ442上のウエハWを把持し、反転/撮像複合ユニット44から退出する。
【0061】
第2搬送ロボット46は、ウエハWの裏面が上向きのままの状態で、ウエハWをブラシ洗浄ユニット41に搬入する。ウエハWはスピンチャック412により保持される。
【0062】
ブラシ洗浄ユニット41で行われる処理の一例について簡単に説明する。まず、基板の回転を開始する。次に、研磨用のブラシ415Gを回転するウエハWの裏面に押し当て、研磨用のブラシ415GをウエハWの半径方向に沿って移動させる。ブラシ415Gは、ウエハWの半径方向に沿って、ウエハWの中心部と周縁部との間を1回以上往復移動させてもよい。これにより、ウエハWの裏面に存在する比較的大きな欠陥(例えば異物、固着物等)が除去される(ブラシ研磨処理)。
【0063】
次に、引き続き回転するウエハWの裏面の中心部にノズルから第1洗浄液を供給しつつ、洗浄用のブラシ415Wを回転するウエハWの裏面に押し当て、洗浄用のブラシ415WをウエハWの半径方向に沿って移動させる。ブラシ415Wは、ウエハWの半径方向に沿って、ウエハWの中心部と周縁部との間を1回以上往復移動させてもよい。これにより、ウエハWの裏面に付着した研磨屑、パーティクル等の異物が除去される(ブラシ洗浄処理)。
【0064】
次に、引き続き回転するウエハWのウエハWの裏面に二流体ノズルから二流体(第2洗浄液のミストと窒素ガス等の不活性ガスとの混合流体)を供給する。このとき、二流体がウエハWの裏面に衝突する衝突点がウエハWの中心部と周縁部との間を移動するように二流体ノズルを移動させながら、二流体ノズルから二流体を吐出する。これにより、ブラシ研磨処理およびブラシ洗浄処理により除去されなかった異物(例えばパーティクル)がウエハWの裏面から除去される(二流体洗浄処理)。
【0065】
次に、引き続き回転するウエハWの裏面の中央部にノズルからリンス液(例えばDIW)を供給する。これにより、ウエハWの裏面に残留している洗浄液由来の残渣、微小粒子などが洗い流される(リンス処理)。
【0066】
次に、ウエハWへの液の供給を停止し、ウエハWを引き続き回転させる(好ましくは回転速度を増す)ことにより、ウエハWの表面に残留した液を振り切って乾燥させる(振り切り乾燥処理)。
【0067】
以上によりブラシ洗浄ユニット41におけるウエハWへの処理が終了する。
【0068】
次に、第2搬送ロボット46がブラシ洗浄ユニット41からウエハWを取り出し、このウエハWを洗浄後検査専用の反転/撮像複合ユニット44の反転エリア441Aに搬入する。第2搬送ロボット46は、ウエハWをトレイ442に置く。
【0069】
次に、ウエハWの裏面を上向きのままにしてウエハWが載置されたトレイ442が撮像エリア441B内に移動する。撮像エリア441B内において、洗浄前の撮像と同様にして洗浄後の撮像が行われる。また洗浄前検査と同様に、制御装置100において、画像解析により、ウエハWの裏面の欠陥の検査が行われる(洗浄後検査)。
【0070】
洗浄後検査の終了後、ウエハWが載置されたトレイ442が反転エリア441Aに戻される。その後、前述した手順と同様の手順により、反転機構422が、ウエハWの表面(デバイスが形成される面)が上向きになるようにウエハWを裏返し、その後ウエハWをトレイ442に置く。
【0071】
次に、第2搬送ロボット46が反転エリア441Aに入り、トレイ442上のウエハWを把持し、反転/撮像複合ユニット44から退出する。第2搬送ロボット46は、ウエハWを受け渡しユニット32に搬入する。垂直搬送ロボット33が受け渡しユニット32からウエハWを取り出し、バッファユニット31に搬入する。
【0072】
第1搬送ロボット23がバッファユニット31からウエハWを取り出し、基板搬出入ブロック20のステージ部21上にある容器FにウエハWを搬入する。
【0073】
以上により、基板処理システム1内における一連のウエハWの搬送及び処理が終了する。
【0074】
制御装置100は、洗浄前検査(処理前撮像)の結果および/または洗浄後検査(処理後撮像)の結果に基づいてブラシ研磨処理およびブラシ洗浄処理におけるプロセス条件(例えば、ウエハ回転速度、ブラシの押し付け圧、ブラシのスキャン速度(半径方向の移動速度)、ブラシの往復回数、処理時間等)の変更の要否を判断し、変更が必要と判断された場合には、予め定められたルールに従ってプロセス条件を変更することができるように構成されている。以下に、制御装置100により行われるプロセス条件の変更のフローの例について説明する。なお、以下の例では、ウエハWの裏面に存在する欠陥として、傷(打痕、スクラッチ等)、噛み込み異物等(以下、記述の簡略化のため単に「傷」と呼ぶこととする)を例にとって説明する。
【0075】
制御装置100は、ブラシ洗浄ユニット41における洗浄処理後のウエハWの裏面の状態が予め定められた基準を満たしていない(例えば許容できないサイズまたは数の傷が存在する)のであれば、そのウエハWを不合格と判定する。この不合格と判定されたウエハWは、例えば、バッファユニット31に搬送してそこで一時的に保管して、その後に再処理してもよい。
【0076】
不合格と判定されたウエハWが発生した場合には、処理レシピの見直しの要否が判断される。
【0077】
不合格のウエハWが発生する原因としては、処理前からあった傷が(例えばブラシ研磨により)十分に除去されていないこと、あるいは、ブラシ研磨により新たな傷を形成してしまったこと、が挙げられる。
【0078】
不合格となった原因の判断のため、洗浄前検査の結果と洗浄後検査の結果との比較(例えば、洗浄前検査により得られた画像データと洗浄後検査により得られた画像データとの差分の算出)が行われる。
【0079】
洗浄前後の変化の第1の事例について説明する。洗浄前に存在していた不均一な(規則性の無い)傷が、同心円状の傷になったとする。この場合、ブラシ研磨により元の傷は消すことができたが、ブラシ研磨により新たな傷を生成してしまったものと判断される。ブラシ研磨処理において発生しうる同心円状の研磨傷は、(a)ブラシのスキャン速度を大きくすること、(b)ウエハWの回転速度を小さくすること、(c)ブラシの押し付け圧を大きくすること、により低減することができることがわかっているため、ブラシ研磨のプロセス条件を少なくとも(a)、(b)、(c)のいずれかを行うことにより変更することが考えられる。
【0080】
この場合、同心円状の研磨傷の発生状況に応じて、その研磨傷を減少させることが可能な修正されたブラシ研磨のプロセス条件を予め試験により求めておき、それを制御装置100のデータベースに格納してくことができる。そして、制御装置100は、洗浄後検査結果に基づいて、データベースを参照して最適なプロセス条件を選択して、その選択されたプロセス条件を用いて次に処理されるウエハWのブラシ研磨を行うことができる。
【0081】
なお、処理レシピは予備的な処理試験の結果に基づいて作成されたものであるため、ブラシ研磨のプロセス条件が不適切であることに起因して不合格ウエハWが生じた確率は比較的低く、何らかのイレギュラー(例えば研磨ブラシに不具合が生じた等)により不合格ウエハWが生じた可能性もある。このため、1枚の不合格ウエハWが発生した場合、制御装置100は、研磨ブラシの検査をオペレータに促す通知をユーザインターフェース(ディスプレイ等)を介して発生させてもよい。
【0082】
これに代えて、1枚の不合格ウエハWが発生した場合、直ちにブラシ研磨のプロセス条件を変更してもよい。あるいは、2枚の以上の予め定められた枚数の不合格ウエハWが連続して発生した場合に、ブラシ研磨のプロセス条件を変更してもよい。
【0083】
洗浄前後の変化の第2の事例について説明する。洗浄前に存在していた不均一な(規則性の無い)傷のサイズ(大きさ、深さ等)が洗浄により小さくなったが未だに許容範囲外であり、かつ、問題となるレベルの同心円状の傷は存在しないものとする。
【0084】
この場合、原因として、洗浄前に存在していた傷のサイズが大きすぎること、あるいは、ブラシの損耗等が考えられる。
【0085】
不合格のウエハWの洗浄前検査結果のデータを参照することによりそのウエハWに洗浄前に存在していた傷のサイズが大きすぎることが判明したら、その後に処理されるウエハWに対するブラシ研磨のプロセス条件は変更しないものと決定することができる。
【0086】
なお、洗浄前検査においてウエハWに存在している傷に関して例えばそのサイズが大きすぎることが判明したら、そのウエハWに対して処理を行うことを中止するか、あるいは、ウエハWに対してのみブラシ研磨のプロセス条件を変更(例えばブラシ研磨処理時間を長くするか、ブラシの往復回数を増やす)して処理を行ってもよい。
【0087】
洗浄前検査結果のデータを参照することにより洗浄前に存在していた傷のサイズが大きくないにも関わらず洗浄後のウエハWが不合格となった場合には、例えば、ブラシの損耗が原因と判断される。この場合、制御装置100は、研磨ブラシの交換をオペレータに促す通知をユーザインターフェース(ディスプレイ等)を介して発生させてもよい。これに代えて、その後に処理されるウエハWに対するブラシ研磨のプロセス条件を変更してブラシ研磨の処理時間を長くしてもよい。
【0088】
なお、1つの処理ユニット16内において連続して処理された複数のウエハWの各々における洗浄前検査の結果と洗浄後検査の結果との比較データを蓄積しておき、この蓄積されたデータに基づいてブラシの損耗状態の経時変化を把握することができる。このブラシの損耗状態の経時変化データに基づいて、徐々にブラシ研磨の条件を変更してもよい。
【0089】
また、各ウエハWに対して、そのウエハWの洗浄前検査結果に基づいて、そのウエハWのブラシ研磨のプロセス条件を修正して処理を行ってもよい。この場合、例えば傷の大きさおよびタイプに応じた最適なブラシ研磨の条件を予め試験により求めておき、それを制御装置100のデータベースに格納してくことができる。そして、制御装置100は、洗浄前検査結果に基づいて、データベースを参照して最適なプロセス条件を選択して、ウエハWのブラシ研磨を行わせることができる。この場合、そのウエハWに対する洗浄後検査結果は、単にそのウエハWの合否判定だけでなく、プロセス条件の修正の妥当性確認にも用いることができ、データベースのブラッシュアップにも役立てることができる。
【0090】
なお、上記の説明では、ブラシ研磨のプロセス条件の変更についてのみ記載したが、これに限定されるものではなく、処理前検査および処理後検査のデータは、二流体洗浄処理の条件(二流体ノズルのスキャンスピード、第2洗浄液および不活性ガスの流量等)の変更の要否判断にも用いることができる。
【0091】
上記実施形態によれば、1枚のウエハWが容器Fから取り出されて処理されて再び容器Fに戻されるまでの間に、当該1枚のウエハWに対して撮像による処理前検査および処理後検査が行われる。そして処理後検査の結果に基づいて、処理済みの基板が良品か否かが判定され、かつ、処理前検査および処理後検査うちの少なくとも一方に基づいて、処理前検査が行われた基板、またはその後(例えばその次)に処理されるウエハW(基板)に対するブラシ処理の処理条件を変更するようになっている。このため、妥当でない処理条件により処理されるウエハWが生じる可能性を大幅に低減することができ、処理の歩留まりを向上させることができる。なお、不良品(不合格)と判断されたウエハWは再処理(例えば再研磨)により救済することができる場合があるが、再処理が必要となるウエハWの発生を抑制することは有益である。
【0092】
次に、
図9および
図10を参照して別の実施形態(以下、「第2実施形態」と呼ぶ)について説明する。第2実施形態では、上述した実施形態(以下、「第1実施形態」と呼ぶ)に対して以下の点が異なる。
(1)反転/撮像複合ユニット44に代えて、互いに分離された反転ユニット42および撮像ユニット43が設けられていること。従って、反転/撮像複合ユニット44に設けられていた水平移動可能なトレイ442は存在しない。その代わりに、反転ユニット42および撮像ユニット43にそれぞれウエハ載置台が設けられている。ウエハ載置台は、ウエハWのエッジエクスクルージョンの領域を下方から支持する。
(2)反転ユニット42および撮像ユニット43は、インターフェースブロック30に設けられていること。
(3)反転ユニット42は、バッファユニット31および受け渡しユニット32と同じ水平方向位置において、バッファユニット31および受け渡しユニット32と一緒に積層されていること。
(4)反転ユニット42と撮像ユニット43との間のウエハWの受け渡しは、垂直搬送ロボット33’を介して行われること。このため、垂直搬送ロボット33’は、Z方向に移動可能な昇降体と、この昇降体にY方向に進退可能に設けられたエンドエフェクタとしての基板把持アームに加えて、昇降体をθ方向に回転させる(Z軸周りに回転させる)回転機構を備えている。
上記(1)~(4)以外の点については、第2実施形態は第1実施形態と同じである。
【0093】
次に、第2実施形態におけるウエハの流れについて第1実施形態との差異を中心に簡単に説明する。
【0094】
基板搬出入ブロック20のステージ部21上にある容器Fから、第1搬送ロボット23が1枚のウエハWを取り出し、インターフェースブロック30の未処理ウエハ用のバッファユニット31に搬入する。垂直搬送ロボット33’がバッファユニット31からウエハWを取り出し、このウエハWを未処理ウエハ用の反転ユニット42に搬送する。反転ユニット42は、ウエハWを裏返す。
【0095】
次に垂直搬送ロボット33’が、裏返されたウエハWを未処理ウエハ用の撮像ユニット43に搬送する。撮像ユニット43はウエハWの裏面の撮像を行い、この画像データに基づいて制御装置100がウエハWの裏面の状態の検査を行う(処理前検査)。
【0096】
次に垂直搬送ロボット33’が、ウエハWを未処理ウエハ用の受け渡しユニット32に搬送する。この第2実施形態では、受け渡しユニット32は、ウエハWの表面の周縁部(エッジエクスクルージョンの領域)を支持するように構成されている。
【0097】
次に、第2搬送ロボット46が受け渡しユニット32からウエハWを取り出し、ウエハWをブラシ洗浄ユニット41に搬入する。ブラシ洗浄ユニット41内で、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が行われる。
【0098】
次に、第2搬送ロボット46がブラシ洗浄ユニット41からウエハWを取り出し、このウエハWを処理済みウエハ用の受け渡しユニット32に搬入する。
【0099】
次に垂直搬送ロボット33’が、受け渡しユニット32からウエハWを取り出し、処理済ウエハ用の撮像ユニット43に搬送する。撮像ユニット43はウエハWの裏面の撮像を行い、この画像データに基づいて制御装置100がウエハWの裏面の状態の検査を行う(処理後検査)。
【0100】
次に垂直搬送ロボット33’が、ウエハWを処理済みウエハ用の反転ユニット42に搬送する。反転ユニット42は、ウエハWの表面(デバイスが形成される面)が上向きになるようにウエハWを裏返す。
【0101】
次に垂直搬送ロボット33が、反転ユニット42からウエハWを処理済みウエハ用のバッファユニット31に搬送する。
【0102】
次に、第1搬送ロボット23がバッファユニット31からウエハWを取り出し、基板搬出入ブロック20のステージ部21上にある容器FにウエハWを搬入する。
【0103】
以上により、基板処理システム1内における一連のウエハWの搬送及び処理が終了する。
【0104】
この第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
21 容器搬出入部(ステージ部)
41 ブラシ処理部(ブラシ洗浄ユニット)
42、441A 基板反転部
43、441B 基板撮像部
100 制御部(制御装置)