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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168298
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】接合方法及び接合システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/66 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084846
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】永田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】増住 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】小濱 範史
(72)【発明者】
【氏名】田之上 隼斗
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106CA34
4M106DH12
4M106DH31
4M106DJ05
(57)【要約】
【課題】基板同士が接合された重合基板の接合強度を簡易に推定する。
【解決手段】基板同士を接合する接合方法であって、第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する工程と、測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板同士を接合する接合方法であって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、
前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する工程と、
測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、接合方法。
【請求項2】
前記接合速度を測定する工程では、前記中心部と前記外周部の間において径方向の2点間の接合速度を測定する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記接合速度を測定する工程では、少なくとも前記中心部を含まない前記外周部側の2点間の接合速度を測定する、請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記接合速度を測定する工程における前記2点は、前記第1基板を真空引きする同一の吸引領域に設けられる、請求項3に記載の接合方法。
【請求項5】
前記接合速度を測定する工程では、前記第1基板における異なる結晶方位に対応する、複数の径方向の2点間の接合速度を測定する、請求項2に記載の接合方法。
【請求項6】
接合された前記重合基板の反り量を測定する工程と、
測定された前記接合速度と前記反り量に基づいて、接合速度及び反り量の組み合わせと接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項7】
基板同士を接合する接合方法であって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、
接合された前記重合基板の反り量を測定する工程と、
測定された前記反り量に基づいて、反り量と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、接合方法。
【請求項8】
推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、当該重合基板の接合状態を判定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項9】
推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板と前記第2基板を接合する際の接合条件を制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項10】
前記第1基板と前記第2基板を接合する工程の前に、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを処理ガスのプラズマにより改質する工程を有し、
推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを改質する際の改質条件を制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項11】
推定された前記重合基板の接合強度の情報を、接合された前記重合基板を処理する処理装置に出力する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項12】
基板同士を接合する接合システムであって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する接合装置と、
前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する速度測定部と、
測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する制御装置と、を有する、接合システム。
【請求項13】
前記速度測定部は、前記中心部と前記外周部の間において径方向の2点間の接合速度を測定する、請求項12に記載の接合システム。
【請求項14】
前記速度測定部は、少なくとも前記中心部を含まない前記外周部側の2点間の接合速度を測定する、請求項13に記載の接合システム。
【請求項15】
接合された前記重合基板の反り量を測定する反り測定部を有し、
前記制御装置は、測定された前記接合速度と前記反り量に基づいて、接合速度及び反り量の組み合わせと接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する、請求項12に記載の接合システム。
【請求項16】
基板同士を接合する接合システムであって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する接合装置と、
接合された前記重合基板の反り量を測定する反り測定部と、
測定された前記反り量に基づいて、反り量と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する制御装置と、を有する、接合システム。
【請求項17】
前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、当該重合基板の接合状態を判定する、請求項12~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【請求項18】
前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板と前記第2基板を接合する際の接合条件を制御する、請求項12~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【請求項19】
前記接合装置において前記第1基板と前記第2基板を接合する前に、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを処理ガスのプラズマにより改質する改質装置を有し、
前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを改質する際の改質条件を制御する、請求項12~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【請求項20】
前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度の情報を、接合された前記重合基板を処理する処理装置に出力する、請求項12~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合方法及び接合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハ同士を接合する接合装置が開示されている。かかる接合装置は、上ウェハを吸着保持する上チャックと、上チャックの下方に設けられ、下ウェハを吸着保持する下チャックとを有している。接合装置は、2枚のウェハを上下に対向配置して接合し、重合ウェハを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-073455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板同士が接合された重合基板の接合強度を簡易に推定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板同士を接合する接合方法であって、第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する工程と、測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板同士が接合された重合基板の接合強度を簡易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
図2】上ウェハと下ウェハの構成の概略を示す側面図である。
図3】表面改質装置の構成の概略を示す断面図である。
図4】接合装置の構成の概略を示す断面図である。
図5】上チャックと下チャックの構成の概略を示す断面図である。
図6】ウェハ処理の主な工程を示す説明図である。
図7】ウェハ接合処理の主な工程を示す説明図である。
図8】接合速度を測定する様子を示す説明図である。
図9】センサの配置を示す説明図である。
図10】接合速度と接合強度の関係を示す説明図である。
図11】重合ウェハが反る様子を示す説明図である。
図12】重合ウェハが反る理由を示す説明図である。
図13】反り量と接合強度の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術では、2枚の半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の接合が行われる。接合処理では、例えばファンデルワールス力及び水素結合(分子間力)によってウェハ同士を接合する。
【0009】
特許文献1に開示された接合装置では、先ず、押圧ピンによって上チャックに吸着保持されている上ウェハの中心部を押圧して下降させ、下チャックに吸着保持されている下ウェハの中心部と当接させる。そうすると、押圧された上ウェハの表面の中心部と下ウェハの表面の中心部との間で、上述した分子間力による接合が開始する。次に、上ウェハの中心部から外周部に向けて上ウェハの真空引きを停止し、上ウェハが下ウェハ上に順次落下して当接し、上述した表面間の分子間力による接合が順次拡がる。こうして、上ウェハの表面と下ウェハの表面が全面で当接し、上ウェハと下ウェハが接合される。
【0010】
重合ウェハにおける上ウェハと下ウェハの接合強度は、重合ウェハの品質に影響する。従来、重合ウェハの接合強度の測定には、いわゆるブレード挿入法を用いることが知られている。ブレード挿入法では、製品用ウェハとは別の、表面にパターンが形成されていない測定用ウェハを用いる。この測定用ウェハを接合した後、測定用重合ウェハの端部から接合界面にブレードを挿入する。そして、測定用重合ウェハの端部が開いた際のクラックを撮像してクラックの径方向長さを測定し、当該クラックの径方向長さから公知の式を用いて接合エネルギーを算出する。
【0011】
しかしながら、ブレード挿入法を用いた場合、ブレードの挿入によって測定用ウェハが損傷を被るので、当該測定用ウェハは廃棄されて再利用ができず、無駄が生じる。また、ブレード挿入法では、使用されるウェハが損傷を被るので、製品用ウェハやパターン付きの高価なウェハを用いることはできず、簡易なパターン無しの測定用ウェハを用いることになる。そうすると、実際の接合強度を測定することが困難で、測定精度に改善の余地がある。
【0012】
本開示にかかる技術は、基板同士が接合された重合基板の接合強度を簡易に推定する。以下、本実施形態にかかる接合システム及び接合方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<接合システムの構成>
先ず、本実施形態にかかる接合システムの構成について説明する。図1は、接合システム1の構成の概略を示す平面図である。なお、以下の説明では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0014】
接合システム1では、図2に示す基板としてのウェハW、W同士を接合する。以下、後述の接合装置41で上側に配置されるウェハを第1基板としての「上ウェハW」といい、下側に配置されるウェハを第2基板としての「下ウェハW」という。また、上ウェハWにおいて下ウェハWと接合される接合面を「表面WU1」といい、反対側の面を「裏面WU2」という。同様に、下ウェハWにおいて上ウェハWと接合される接合面を「表面WL1」といい、反対側の面を「裏面WL2」という。以下の説明では、上ウェハWと下ウェハWを「ウェハW」と総称する場合がある。また、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1を「表面W」と総称し、上ウェハWの裏面WU2と下ウェハWの裏面WL2を「裏面W」と総称する場合がある。接合システム1では、上ウェハWと下ウェハW同士を接合して、重合基板としての重合ウェハWを形成する。
【0015】
図2に示すように接合システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2では、例えば外部との間で複数の上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される。処理ステーション3は、上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。
【0016】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y軸方向に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。なお、カセット載置板11の個数は、本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0017】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸正方向側に当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、各カセット載置板11上のカセットC、C、Cと、後述するトランジション装置50、51及び後述する反り測定装置52の間で上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWを搬送できる。
【0018】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3のY軸負方向側には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3のY軸正方向側には、第2処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のX軸負方向側には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0019】
第1処理ブロックG1には、ウェハWの表面Wを改質する表面改質装置30が配置されている。第2処理ブロックG2には、ウェハWの表面Wを親水化すると共に、当該表面Wを洗浄する表面親水化装置40と、上ウェハWと下ウェハWを接合する接合装置41がX軸方向に並べて配置されている。第3の処理ブロックG3には、上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWを一時的に保持するトランジション装置50、51と、重合ウェハWの反り量を測定する反り測定部としての反り測定装置52が積層して配置されている。
【0020】
表面親水化装置40では、例えばスピンチャックに保持されたウェハWを回転させながら、当該ウェハWの表面W上に純水を供給する。そうすると、供給された純水はウェハWの表面W上を拡散し、表面Wが親水化される。なお、以上の構成は一例であり、表面親水化装置40は、ウェハWの表面Wを親水化できれば任意の構成をとることができる。また、表面改質装置30と接合装置41の構成は後述する。
【0021】
トランジション装置50、51は、上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWを、ウェハ搬送部20のウェハ搬送装置22と、後述するウェハ搬送部60のウェハ搬送装置62との間で受け渡すため、これら上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWを一時的に保持する。反り測定装置52は、接合された重合ウェハWの反り量を測定する。反り測定装置52の構成は任意であるが、例えば変位計を用いて重合ウェハWの反り量を測定する。
【0022】
第1処理ブロックG1~第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送部60が設けられている。ウェハ搬送部60には、X軸方向に延伸する搬送路61上を移動自在なウェハ搬送装置62が設けられている。ウェハ搬送装置62は、表面改質装置30、表面親水化装置40、接合装置41、トランジション装置50、51及び反り測定装置52の間で上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWを搬送できる。
【0023】
以上の接合システム1には、制御装置70が設けられている。制御装置70は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、図示しないプログラム格納部を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハ処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置70にインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
【0024】
<表面改質装置の構成>
上述した表面改質装置30では、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンがウェハWの表面Wに照射されて、表面Wがプラズマ処理され、改質される。
【0025】
図3に示すように表面改質装置30は、処理容器100、処理ガス供給部110、プラズマ生成部120、イオン引き込み部130及び排気部140を有している。
【0026】
処理容器100は、内部を密閉可能に構成される。処理容器100には、図示しないウェハWの搬入出口が形成され、搬入出口には、図示しないゲートバルブが設けられている。処理容器100の底部側には、ウェハWの表面W側が上を向いた状態となるように、ウェハWの裏面Wを吸着保持するステージ101が配置される。ステージ101は、例えば、少なくとも一部が絶縁部材で構成される。
【0027】
処理ガス供給部110は、処理容器100の内部に処理ガスを供給する。処理ガス供給部110は、処理容器100の内部に処理ガスを導入するためのガス供給路111と、少なくとも1つのガス供給源112と、少なくとも1つの流量制御器113を備える。ガス供給路111は、ガス供給源112から供給された処理ガスを処理容器100の内部に導入する。流量制御器113は、例えばマスフローコントローラ、圧力制御式又は流量変調デバイスを含んでもよい。なお、ガス供給源112から供給される処理ガスは酸素ガスや窒素ガスに限られず、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスが供給されてもよい。
【0028】
プラズマ生成部120は、処理容器100の内部に処理ガスのプラズマを生成する。図示の例では、プラズマ生成部120は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)型のプラズマ生成装置を備えているが、プラズマ生成部120の構成は特に限定されない。プラズマ生成部120は、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance Plasma)、又は、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)等の任意のプラズマ生成装置で構成され得る。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。
【0029】
イオン引き込み部130は、処理容器100内に生成されたプラズマの内部に分布するイオンを、ステージ101上のウェハWの表面Wに引き込む。一例においてイオン引き込み部130は、少なくとも1つの電極131、高周波電源132及びコンデンサ133を有する。なお、高周波電源132は、ウェハWの表面Wへのイオンの引き込みに加え、処理容器100の内部へのプラズマの生成に用いられてもよい。従って高周波電源132は、ソース電力又はバイアス電力のうち少なくとも1つを、電極131に供給する。
【0030】
排気部140は、例えば処理容器100の底部に設けられたガス排出口100eに接続される。排気部140は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、処理容器100の内部圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0031】
表面改質装置30は以上のように構成される。なお、以上の構成は一例であり、表面改質装置30は、ウェハWの表面Wを改質できれば任意の構成をとることができる。
【0032】
<接合装置の構成>
上述した接合装置41では、上ウェハWと下ウェハWとを、それぞれ表面改質処理と表面親水化処理が順次施された表面WU1、表面WL1で接合する。
【0033】
図4に示すように接合装置41は、処理容器200、上チャック210及び下チャック220を有している。
【0034】
処理容器200は、内部を密閉可能に構成される。処理容器200には、図示しないウェハWの搬入出口が形成され、搬入出口には、図示しないゲートバルブが設けられている。上チャック210は、処理容器200の天部側に設けられ、下チャック220は、処理容器200の底部側に設けられている。
【0035】
上チャック210は、上ウェハWUの裏面WU2を下面で吸着保持する。上チャック210は、当該上チャック210の上方に設けられた上チャックステージ211に支持されている。上チャックステージ211には、下チャック220に保持された下ウェハWの表面WL1を撮像する上部撮像部212が設けられている。上部撮像部212には、例えばCCDカメラが用いられる。
【0036】
上チャックステージ211は、当該上チャックステージ211の上方において、複数の支持部材213を介して処理容器200の天井面に設けられた、回転部214に支持されている。回転部214は、上チャックステージ211及び上チャック210を鉛直軸(θ軸)周りに回転させる。なお、回転部214には、上チャック210のθ軸方向位置を測定するための図示しない測定部(例えばリニアスケール)が設けられていてもよい。
【0037】
下チャック220は、下ウェハWの裏面WL2を上面で吸着保持する。下チャック220は、上チャック210の下方に設けられ、上チャック210と対向配置可能に構成されている。すなわち、上チャック210に保持された上ウェハWと下チャック220に保持された下ウェハWは対向して配置可能となっている。下チャック220は、当該下チャック220の下方に設けられた下チャックステージ221に支持されている。下チャックステージ221には、上チャック210に保持された上ウェハWの表面WU1を撮像する下部撮像部222が設けられている。下部撮像部222には、例えばCCDカメラが用いられる。
【0038】
下チャック220には、移動部223が設けられている。移動部223は、下チャックステージ221及び下チャック220を水平方向に移動させる。また、移動部223は、下チャック220を鉛直方向に移動させる。なお、移動部223には、下チャック220の水平方向位置及び鉛直方向位置を測定するための図示しない測定部(例えばレーザ干渉計)が設けられていてもよい。
【0039】
次に、上述した上チャック210と下チャック220の詳細な構成について、周辺の部材と共に説明する。
【0040】
図5に示すように上チャック210には、ピンチャック方式が採用されている。上チャック210は、平面視において上ウェハWの径以上の径を有する本体部230を有している。本体部230の下面には、上ウェハWの裏面WU2に接触する複数のピン231が設けられている。また、本体部230の下面の外周部には、ピン231と同じ高さを有し、上ウェハWの裏面WU2の外周部を支持する外側リブ232が設けられている。外側リブ232は、複数のピン231の外側に環状に設けられている。
【0041】
また、本体部230の下面には、外側リブ232の内側において、ピン231と同じ高さを有し、上ウェハWの裏面WU2を支持する内側リブ233が設けられている。内側リブ233は、外側リブ232と同心円状に環状に設けられている。そして、外側リブ232の内側の領域234(以下、吸引領域234という場合がある。)は、内側リブ233の内側の第1吸引領域234aと、内側リブ233の外側の第2吸引領域234bとに区画されている。
【0042】
本体部230の下面には、第1吸引領域234aにおいて、上ウェハWを真空引きするための第1吸引口235aが形成されている。第1吸引口235aは、例えば第1吸引領域234aにおいて複数箇所に形成されている。第1吸引口235aには、本体部230の内部に設けられた第1吸引管236aが接続されている。さらに第1吸引管236aには、図示しない真空ポンプが接続されている。
【0043】
また、本体部230の下面には、第2吸引領域234bにおいて、上ウェハWを真空引きするための第2吸引口235bが形成されている。第2吸引口235bは、例えば第2吸引領域234bにおいて複数箇所に形成されている。第2吸引口235bには、本体部230の内部に設けられた第2吸引管236bが接続されている。さらに第2吸引管236bには、図示しない真空ポンプが接続されている。
【0044】
上ウェハW、本体部230及び外側リブ232に囲まれて形成された吸引領域234a、234bをそれぞれ吸引口235a、235bから真空引きし、吸引領域234a、234bを減圧する。上チャック210は、第1吸引領域234aと第2吸引領域234b毎に上ウェハWを吸着保持可能に構成されている。
【0045】
上チャック210の本体部230の中心部と上チャックステージ211の中心部には、当該本体部230と上チャックステージ211を厚み方向に貫通する貫通孔237が形成されている。本体部230の中心部は、上チャック210に吸着保持される上ウェハWの中心部に対応している。貫通孔237には、後述する押動部240におけるアクチュエータ部241が挿通するようになっている。
【0046】
上チャック210の本体部230の外周部と上チャックステージ211の外周部には、当該本体部230と上チャックステージ211を厚み方向に貫通する2つの透過窓238a、238bが形成されている。第1透過窓238aと第2透過窓238bは、径方向内側から外側にこの順で配置されている。透過窓238a、238bはそれぞれ、例えば石英で構成され、後述するセンサ250a、250bから照射されるLED光を透過させる。
【0047】
上チャックステージ211の上面中心部には、上ウェハWの中心部を裏面WU2側から押圧する押動部240が設けられている。押動部240は、アクチュエータ部241とシリンダ部242とを有している。
【0048】
アクチュエータ部241は、例えば電空レギュレータからの空気によって、貫通孔237を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。アクチュエータ部241は、例えば電空レギュレータからの空気によって、上ウェハWの中心部と当接し、当該上ウェハWの中心部にかかる押圧荷重を制御できる。
【0049】
アクチュエータ部241は、シリンダ部242に支持されている。シリンダ部242は、例えばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部241を鉛直方向に移動させることができる。
【0050】
以上のように押動部240は、アクチュエータ部241によって押圧荷重の制御をし、シリンダ部242によってアクチュエータ部241の移動の制御をしている。そして、押動部240は、後述するウェハW、Wの接合時に、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部とを当接させて押圧することができる。
【0051】
上チャックステージ211の外周部には、複数、例えば2つのセンサ250a、250bが設けられている。第1センサ250aと第2センサ250bは、径方向内側から外側にこの順で配置されている。第1センサ250aは第1透過窓238aに対応して配置され、第2センサ250bは第2透過窓238bに対応して配置されている。
【0052】
センサ250a、250bは、上ウェハWの裏面WU2の高さ位置を測定する。センサ250a、250bの測定結果は制御装置70に出力され、制御装置70では、後述するように上ウェハWの裏面WU2の高さ位置に基づいて、接合速度(ボンディングウェーブの進展速度)を算出する。すなわち、センサ250a、250bは、本開示における速度測定部に相当する。
【0053】
下チャック220には、上チャック210と同様にピンチャック方式が採用されている。下チャック220は、平面視において下ウェハWの径以上の径を有する本体部260を有している。本体部260の上面には、下ウェハWの裏面WL2に接触する複数のピン261が設けられている。また、本体部260の上面の外周部には、ピン261と同じ高さを有し、下ウェハWの裏面WL2の外周部を支持する外側リブ262が設けられている。外側リブ262は、複数のピン261の外側に環状に設けられている。
【0054】
また、本体部260の上面には、外側リブ262の内側において、ピン261と同じ高さを有し、下ウェハWの裏面WL2を支持する内側リブ263が設けられている。内側リブ263は、外側リブ262と同心円状に環状に設けられている。そして、外側リブ262の内側の領域264(以下、吸引領域264という場合がある。)は、内側リブ263の内側の第1吸引領域264aと、内側リブ263の外側の第2吸引領域264bとに区画されている。
【0055】
本体部260の上面には、第1吸引領域264aにおいて、下ウェハWを真空引きするための第1吸引口265aが形成されている。第1吸引口265aは、例えば第1吸引領域264aにおいて1箇所に形成されている。第1吸引口265aには、本体部260の内部に設けられた第1吸引管266aが接続されている。さらに第1吸引管266aには、図示しない真空ポンプが接続されている。
【0056】
また、本体部260の上面には、第2吸引領域264bにおいて、下ウェハWを真空引きするための第2吸引口265bが形成されている。第2吸引口265bは、例えば第2吸引領域264bにおいて複数箇所に形成されている。第2吸引口265bには、本体部260の内部に設けられた第2吸引管266bが接続されている。さらに第2吸引管266bには、図示しない真空ポンプが接続されている。
【0057】
下ウェハW、本体部260及び外側リブ262に囲まれて形成された吸引領域264a、264bをそれぞれ吸引口265a、265bから真空引きし、吸引領域264a、264bを減圧する。下チャック220は、第1吸引領域264aと第2吸引領域264b毎に下ウェハWを吸着保持可能に構成されている。
【0058】
下チャック220において、本体部260の中心部付近には、当該本体部260を厚み方向に貫通する図示しない貫通孔が例えば3箇所に形成されている。そして貫通孔には、移動部223の下方に設けられた昇降ピンが挿通するようになっている。
【0059】
本体部260の外周部には、ウェハW、W、重合ウェハWが下チャック220から飛び出したり、滑落したりするのを防止する、図示しないガイド部材が設けられている。ガイド部材は、本体部260の外周部に複数箇所、例えば4箇所に等間隔に設けられている。
【0060】
なお、接合装置41には、接合装置41に搬送され、上チャック210に吸着保持される上ウェハWの表裏面を反転させるための図示しない反転装置が設けられてもよい。接合装置41に搬送される上ウェハWは、表面改質処理及び表面親水化処理が施された表面WU1が上側を向いた状態で搬送されるが、この反転装置により表裏面が反転されることで、適切に裏面WU2を上チャック210に保持させることができる。
但し、反転装置の配置はこれに限定されるものではなく、接合装置41の内部に代えて、接合システム1の処理ステーション3の任意の位置に、上ウェハWの表裏面を反転させるための図示しない反転装置を独立して設けてもよい。
【0061】
接合装置41は以上のように構成される。なお、以上の構成は一例であり、接合装置41は、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1とを接合できれば任意の構成をとることができる。
【0062】
<接合方法>
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる上ウェハWと下ウェハWの接合方法について説明する。図6は、接合システム1におけるウェハ処理の主な工程を示す説明図である。
【0063】
先ず、複数枚の上ウェハWを収容したカセットC、複数枚の下ウェハWを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の上ウェハWが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0064】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所望の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが上ウェハWの表面WU1に照射されて、当該表面WU1がプラズマ処理される。そして、上ウェハWの表面WU1が改質される(図6の工程SU1)。
【0065】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハWを回転させながら、当該上ウェハW上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は上ウェハWの表面WU1上を拡散し、表面改質装置30において改質された上ウェハWの表面WU1に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面WU1が親水化される。また、当該純水によって、上ウェハWの表面WU1が洗浄される(図6の工程SU2)。
【0066】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハWは、図示しない反転装置により表裏面が反転される。またこの際、上ウェハWは、図示しない位置調節機構によって、水平方向の向きが調節される。その後、上チャック210に裏面WU2が吸着保持される。具体的には、吸引領域234a、234bにおいて吸引口235a、235bを介して上ウェハWを真空引きし、上ウェハWが上チャック210に吸着保持される。
【0067】
上ウェハWに上述した各種処理が行われている間、当該上ウェハWに続いて下ウェハWの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の下ウェハWが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0068】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハWの表面WL1が改質される(図6の工程SL1)。なお、工程SL1における下ウェハWの表面WL1の改質は、上述した工程SU1と同様である。
【0069】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハWの表面WL1が親水化される共に当該表面WL1が洗浄される(図6の工程SL2)。なお、工程SL2における下ウェハWの表面WL1の親水化及び洗浄は、上述した工程SU2と同様である。
【0070】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハWは、図示しない位置調節機構によって、水平方向の向きが調節された後、下チャック220に裏面WL2が吸着保持される。具体的には、吸引領域264a、264bにおいて吸引口265a、265bを介して下ウェハWを真空引きし、下ウェハWが下チャック220に吸着保持される。
【0071】
次に、上チャック210に保持された上ウェハWと下チャック220に保持された下ウェハWとの水平方向の位置調節を行う。具体的には、上部撮像部212によって、下チャック220に保持された下ウェハWの表面WL1上の予め定められた基準点を順次撮像すると共に、下部撮像部222によって、上チャック210に保持された上ウェハWの表面WU1上の予め定められた基準点を順次撮像する。撮像された画像は、制御装置70に出力される。制御装置70では、上部撮像部212で撮像された画像と下部撮像部222で撮像された画像に基づいて、上ウェハWの基準点と下ウェハWの基準点がそれぞれ合致するような位置となるように、回転部214により上チャック210(上ウェハW)を回転させるとともに、移動部223により下チャック220(下ウェハW)を移動させる。こうして、上ウェハWと下ウェハWの位置が調節され、上ウェハWと下ウェハWが所望の位置に対向配置される。
【0072】
次に、上チャック210に保持された上ウェハWと下チャック220に保持された下ウェハWとの鉛直方向の位置調節を行う。具体的には、移動部223により下チャック220を鉛直上方に移動させて、上ウェハWと下ウェハWとの鉛直方向位置の調節を行う。そして、図7(a)に示すように上ウェハWと下ウェハWが所望の位置に対向配置される。
【0073】
次に、上ウェハWと下ウェハWの接合処理が行われる(図6の工程S3)。具体的には、先ず、図7(b)に示すようにシリンダ部242によってアクチュエータ部241を下降させ、アクチュエータ部241を上ウェハWの裏面WU2の中心部に当接させる。
【0074】
次に、図7(c)に示すようにアクチュエータ部241の下降を継続し、上ウェハWの中心部を押圧されて下降させることで、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を当接させて押圧する。この際、第1吸引領域234aにおける第1吸引口235aからの上ウェハWの真空引きを停止すると共に、第2吸引領域234bを第2吸引口235bから真空引きする。そして、上チャック210によって上ウェハWの外周部を保持する。
【0075】
上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を当接させて押圧すると、当該中心部の間で上ウェハWと下ウェハWの接合が開始する(図7(c)中の太線部)。すなわち、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程SU1、SL1において改質されているため、表面WU1、WL1間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該表面WU1、WL1同士が接合される。さらに、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程SU2、SL2において親水化されているため、表面WU1、WL1間の親水基が水素結合し(分子間力)、表面WU1、WL1同士が強固に接合される。そして図7(d)に示すように、上述した表面WU1、表面WL1間のファンデルワールス力と水素結合による接合は、中心部から外周部に向けて拡散し、ボンディングウェーブが発生する。
【0076】
その後、図7(e)に示すように押動部240によって上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を押圧した状態で、第2吸引領域234bにおける第2吸引口235bからの上ウェハWの真空引きを停止する。そうすると、上ウェハWの外周部が下ウェハW上に落下する。そして、図7(f)に示すように上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1が全面で当接し、上ウェハWと下ウェハWが接合される。
【0077】
上ウェハWと下ウェハWが接合された重合ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって反り測定装置52に搬送され、当該重合ウェハWは反り量が測定される。その後、重合ウェハWは、搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によってカセットCに搬送される。こうして、一連の上ウェハWと下ウェハWのウェハ処理(接合処理)が終了する。
【0078】
なお、このように上ウェハWと下ウェハWを接合して形成された重合ウェハWは、その後、接合システム1の外部に設けられた加熱装置において加熱(アニール)処理が行われる(図6の工程S4)。なお、この加熱処理は、このように接合システム1の外部で行われてもよいが、接合システム1の処理ステーション3に図示しない加熱装置を設けることで、接合装置41での上ウェハWと下ウェハWの接合後に行うようにしてもよい。
【0079】
また、加熱処理がされた重合ウェハWは、その後、接合システム1の外部に設けられた研削装置において裏面WU2の研削処理が行われ、さらに接合システム1の外部に設けられたエッチング装置において裏面WU2のエッチング処理が行われる。そして、重合ウェハWが薄化される。
【0080】
<接合強度の推定方法>
次に、以上のように接合された重合ウェハWの接合強度の推定方法について、2つの実施形態で説明する。なお、以下の説明において、重合ウェハWの接合強度として、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度を推定する。
【0081】
(第1実施形態)
第1実施形態では、接合速度(ボンディングウェーブの進展速度)に基づいて、重合ウェハWの接合強度を推定する。
【0082】
接合装置41では、上述したように中心部から外周部に向けて拡散するボンディングウェーブを発生させて、上ウェハWと下ウェハWの接合を接合する。この際、上ウェハWの裏面WU2の高さが変位するため、この高さ位置に基づいて、ボンディングウェーブの進展速度である接合速度を測定する。
【0083】
図8に示すように、センサ250a、250bは、上ウェハWの裏面WU2の高さ位置を測定する。具体的にはセンサ250a、250bは、透過窓238a、238bを介して上ウェハWの裏面WU2にLED光を照射し、当該裏面WU2からの反射光を受光して、裏面WU2の高さ位置を測定する。センサ250a、250bの測定結果は制御装置70に出力される。なお、透過窓238a、238bを省略し、上チャック210の本体部230と上チャックステージ211を貫通する貫通孔(図示せず)を形成してもよい。かかる場合、センサ250a、250bからのLED光は、貫通孔を通過して、上ウェハWの裏面WU2に照射される。
【0084】
制御装置70では、上ウェハWの裏面WU2の高さ位置に基づいて、接合速度を算出する。具体的には制御装置70は、上ウェハWの裏面WU2の高さ位置から、ボンディングウェーブを検知する。例えば上ウェハWの裏面WU2の高さ位置が、上ウェハWと下ウェハWが接合した際の位置になった際に、ボンディングウェーブが到達したと検知する。そして、第1センサ250aの位置にボンディングウェーブが到達してから第2センサ250bの位置にボンディングウェーブが到達するまでの時間を算出し、予め把握されているセンサ250a、250b間の距離から、接合速度を算出する。
【0085】
ボンディングウェーブは、中心部から外周部に向けて同心円状に進展する。このため、少なくとも径方向に配置された2つのセンサ250a、センサ250b間の接合速度を測定すれば、当該接合速度がボンディングウェーブの接合速度を代表する。
【0086】
なお、図9に示すように上チャックステージ211の上面には、3つ以上のセンサ250a~250gが設けられていてもよい。
【0087】
例えばセンサ250cは、中心部に配置される。かかる場合、径方向D1において、センサ250c、250a、250b間の接合速度を測定することができる。なお、センサ250c、250a間の接合速度とセンサ250a、250b間の接合速度とを比較した場合、外周部側のセンサ250a、250b間の接合速度を測定するのが好ましい。アクチュエータ部241によって上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部が押圧されているため、センサ250c、250a間のボンディングウェーブは、この中心部押圧の影響を受ける。このため、アクチュエータ部241から離れたセンサ250a、250b間の接合速度を測定するのが好ましい。また、センサ250c、250a間には内側リブ233があり、内側リブ233の内側の第1吸引口235aに連通する真空ポンプと、内側リブ233の外側の第2吸引口235bに連通する真空ポンプとの個体差によって、接合速度の測定に影響があるおそれがある。この点、センサ250a、250b間には内側リブが無く、すなわち、センサ250a、250bは同一の第2吸引領域234bに設けられるので、このような真空ポンプの個体差の影響を受けずに接合速度を測定することができる。
【0088】
例えばセンサ250d、250eは、径方向D2においてこの順で配置される。センサ250dはセンサ250aと同一円周上に配置され、センサ250eはセンサ250bと同一円周上に配置される。かかる場合、径方向D2において、センサ250d、250e間の接合速度を測定することができる。なお、径方向D1、D2では、上ウェハWのクロスとダイアゴナルで結晶方位が異なる場合がある。このように結晶方位が異なると、径方向D1、D2で接合速度が異なる場合があるため、例えば径方向D1における接合速度と径方向D2における接合速度の平均値を算出し、当該平均値をボンディングウェーブの接合速度としてもよい。かかる場合、接合速度をより正確に測定することができる。
【0089】
例えばセンサ250f、250gは、径方向D3において中心部を挟んで反対側に配置される。センサ250fはセンサ250aと同一円周上に配置され、センサ250gはセンサ250bと同一円周上に配置される。かかる場合、径方向D3において、センサ250f、250g間の接合速度を測定することができる。このように複数の径方向D1、D2、D3の接合速度を測定することで、接合速度の測定数が多くなり、より正確な接合速度を測定することができる。
【0090】
ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、このボンディングウェーブの進展速度である接合速度と、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度との間に相関があることが分かった。図10は、接合速度(横軸)と接合強度(縦軸)の関係を示す説明図である。本発明者らは複数の重合ウェハWに対する接合速度と接合強度を調べ、図10中にプロットした。図10を参照すると、点線に示す相関関係がある。
【0091】
そこで、重合ウェハWのウェハ処理の前に、接合速度と接合強度の第1相関関係を取得し、データベース化しておく。この際、例えば従来のブレード挿入法を用いて、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度を測定する。第1相関関係は、例えば上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1の特性毎に取得される。また第1相関関係は、例えば表面改質装置30におけるプラズマ処理条件毎に取得される。そして、上ウェハWと下ウェハWを接合する際の接合速度を測定する。この測定された接合速度に基づいて、接合速度データベースの第1相関関係から、接合後の重合ウェハWの接合速度を推定することができる。
【0092】
(第2実施形態)
第2実施形態では、接合された重合ウェハWの反り量に基づいて、当該重合ウェハWの接合強度を推定する。
【0093】
接合装置41では、上述したように中心部から外周部に向けて拡散するボンディングウェーブを発生させて、上ウェハWと下ウェハWの接合を接合する。この際、押動部240によって上ウェハWの中心部を下ウェハWの中心部側に下降させるので、図11に示すように上ウェハWは下方に凸に反って伸びる。具体的には接合時、上ウェハWと下ウェハWの間に介在する空気が中心部から外周部に押し出される。下ウェハWは下チャック220に吸着保持されて固定されている一方、上ウェハWは上チャック210から離脱して固定されていないので、空気の粘性によって上ウェハWは伸びる(図11中の矢印方向)。かかる場合、上ウェハWと下ウェハWの中心部が合致していても、その外周部では水平方向に位置ずれが生じる現象、いわゆるスケーリングが生じる。そして図12に示すように、上ウェハWの伸びによって、接合された重合ウェハWは下方に凸に反る。
【0094】
反り測定装置52では、接合された重合ウェハWの反り量を測定する。図12に示すように反り量Rは、上ウェハWの裏面WU2の中心部の高さ位置と外周部の高さ位置の差である。
【0095】
ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、この重合ウェハWの反り量と、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度との間に相関があることが分かった。図13は、反り量(横軸)と接合強度(縦軸)の関係を示す説明図である。本発明者らは複数の重合ウェハWに対する反り量と接合強度を調べ、図13中にプロットした。図13を参照すると、点線に示す相関関係がある。
【0096】
そこで、重合ウェハWのウェハ処理の前に、反り量と接合強度の第2相関関係を取得し、データベース化しておく。この際、例えば従来のブレード挿入法を用いて、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度を測定する。第2相関関係は、例えば上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1の特性毎に取得される。また第2相関関係は、例えば表面改質装置30におけるプラズマ処理条件毎に取得される。そして、反り測定装置52において重合ウェハWの反り量を測定する。この測定された反り量に基づいて、データベースの第2相関関係から、接合後の重合ウェハWの接合速度を推定することができる。
【0097】
なお、下チャック220には、例えば表面が平坦なフラットチャックと、表面が上方に凸に変形した変形チャックが用いられる。変形チャックを用いた場合、下ウェハWが凸に変形し、上述したスケーリングが補正され、接合後の重合ウェハWの反りが抑制される。一方、フラットチャックを用いた場合、下ウェハWは平坦に保持されるので、スケーリングが発生し、接合後の重合ウェハWに反りが生じる。このため、第2実施形態は、下チャック220にフラットチャックを用いた場合に有用である。
【0098】
以上のように第1実施形態によれば、接合時の接合速度と重合ウェハWの接合強度との第1相関関係に基づいて、重合ウェハWの接合強度を推定することができる。また、第2実施形態によれば、接合後の重合ウェハWの反り量と重合ウェハWの接合強度との第2相関関係に基づいて、重合ウェハWの接合強度を推定することができる。いずれの実施形態でも、従来のブレード挿入法を用いずに、重合ウェハWの接合強度を簡易に推定することができる。その結果、従来の測定用ウェハを準備する必要がなく、非破壊で製品用の重合ウェハWの接合強度を推定することができる。このため、従来のブレード挿入法を用いた場合の無駄を抑制することがえきる。
【0099】
また、従来のブレード挿入法では簡易なパターン無しの測定用ウェハを用いていたが、上記実施形態によれば、製品用の重合ウェハWの接合強度を推定することができる。このため、実際の接合強度の測定精度を向上させることができる。
【0100】
なお、以上の第1実施形態と第2実施形態を組み合わせてもよい。すなわち、接合時の接合速度及び接合後の重合ウェハWの反り量の組み合わせと、重合ウェハWの接合強度との第3相関関係を取得し、データベース化する。そして、接合装置41において上ウェハWと下ウェハWを接合する際の接合速度を測定し、反り測定装置52において重合ウェハWの反り量を測定する。これら測定された接合速度と反り量に基づいて、データベースの第3相関関係から、接合後の重合ウェハWの接合速度を推定することができる。かかる場合、より精度よく接合速度を推定することができる。
【0101】
また、以上の実施形態では、接合後の重合ウェハWの反り量は反り測定装置52で測定されたが、接合装置41に反り測定部を設け、当該反り測定部で重合ウェハWの反り量を測定してもよい。或いは、重合ウェハWの反り量は、接合システム1の外部に設けられた反り測定装置で測定してもよい。
【0102】
また、以上の実施形態において第1相関関係、第2相関関係、第3相関関係は、加熱処理後の重合ウェハWの接合強度を測定したものを用いて取得したが、加熱処理前の重合ウェハWの接合強度を測定したものを用いてもよい。かかる場合、接合後であって加熱処理前の重合ウェハWの接合強度を推定することができる。
【0103】
<推定接合強度の利用方法>
次に、以上のように推定された重合ウェハWの接合強度の利用方法について説明する。
【0104】
(第1利用方法)
推定された重合ウェハWの接合強度に基づいて、当該重合ウェハWの接合状態を判定してもよい。例えば接合強度が予め定められた閾値と比較し、接合強度が閾値以上であれば重合ウェハWが正常であると判定し、接合強度が閾値未満であれば重合ウェハWが異常であると判定する。
【0105】
重合ウェハWが異常と判定された場合、警告を出力して、以降のウェハ処理を停止してもよい。また、当該重合ウェハWに異常であるというフラッグをたてて、正常な重合ウェハWと区別し、以降のウェハ処理を継続してもよい。さらに、重合ウェハWが異常と判定された場合、接合処理の前工程の検査を行ってもよい。前工程の検査として、例えば接合システム1の表面改質装置30におけるプラズマ処理条件を検査してもよい。或いは、接合システム1の外部においてウェハWの表面Wに成膜処理を行う際の条件、又は表面Wを研磨する際の条件を検査してもよい。
【0106】
(第2利用方法)
推定された重合ウェハWの接合強度に基づいて、各処理の処理条件をフィードバック制御してもよい。
【0107】
例えば、重合ウェハWの接合強度に基づいて、接合装置41で工程S3の接合処理を行う際の接合条件をフィードバック制御する。フィードバック制御される接合条件としては、例えば上チャック210における上ウェハWの吸着圧、下チャック220における下ウェハWの吸着圧、押動部240のアクチュエータ部241のストローク(移動距離)、押動部240によってウェハW、Wの中心部を押圧する際の圧力、鉛直方向位置の調節後のウェハW、W間の距離などが挙げられる。
【0108】
例えば、重合ウェハWの接合強度に基づいて、表面改質装置30で工程SU1、SU2の表面改質処理を行う際のプラズマ処理条件(改質条件)をフィードバック制御する。フィードバック制御されるプラズマ処理条件としては、例えば高周波電源132のソース電力、処理容器100内部の圧力、プラズマ処理の処理時間、処理ガス供給部110から供給される処理ガスの流量などが挙げられる。
【0109】
(第3利用方法)
制御装置70が、推定された重合ウェハWの接合強度の情報を、接合処理の後工程を行う装置に出力してもよい。
【0110】
後工程を行う装置は任意であるが、例えば剥離装置である。剥離装置では、薄化された重合ウェハWの接合界面にブレードを挿入して上ウェハWと下ウェハWに分離し、さらにパッドで上ウェハWを保持して移動させることで下ウェハWから剥離する。この際、出力された接合強度に基づいて、剥離条件をフィードフォワード制御する。フィードフォワード制御される剥離条件としては、例えばブレードの挿入速度、パッドの移動速度(剥離速度)、パッドの移動位置などが挙げられる。
【0111】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0112】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0113】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板同士を接合する接合方法であって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、
前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する工程と、
測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、接合方法。
(2)前記接合速度を測定する工程では、前記中心部と前記外周部の間において径方向の2点間の接合速度を測定する、前記(1)に記載の接合方法。
(3)前記接合速度を測定する工程では、少なくとも前記中心部を含まない前記外周部側の2点間の接合速度を測定する、前記(2)に記載の接合方法。
(4)前記接合速度を測定する工程における前記2点は、前記第1基板を真空引きする同一の吸引領域に設けられる、前記(3)に記載の接合方法。
(5)前記接合速度を測定する工程では、前記第1基板における異なる結晶方位に対応する、複数の径方向の2点間の接合速度を測定する、前記(2)~(4)のいずれかに記載の接合方法。
(6)接合された前記重合基板の反り量を測定する工程と、
測定された前記接合速度と前記反り量に基づいて、接合速度及び反り量の組み合わせと接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、前記(1)~(5)のいずれかに記載の接合方法。
(7)基板同士を接合する接合方法であって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する工程と、
接合された前記重合基板の反り量を測定する工程と、
測定された前記反り量に基づいて、反り量と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する工程と、を有する、接合方法。
(8)推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、当該重合基板の接合状態を判定する、前記(1)~(7)のいずれかに記載の接合方法。
(9)推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板と前記第2基板を接合する際の接合条件を制御する、前記(1)~(8)のいずれかに記載の接合方法。
(10)前記第1基板と前記第2基板を接合する工程の前に、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを処理ガスのプラズマにより改質する工程を有し、
推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを改質する際の改質条件を制御する、前記(1)~(9)のいずれかに記載の接合方法。
(11)推定された前記重合基板の接合強度の情報を、接合された前記重合基板を処理する処理装置に出力する、前記(1)~(10)のいずれかに記載の接合方法。
(12)基板同士を接合する接合システムであって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する接合装置と、
前記中心部から外周部に向けた接合における接合速度を測定する速度測定部と、
測定された前記接合速度に基づいて、接合速度と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する制御装置と、を有する、接合システム。
(13)前記速度測定部は、前記中心部と前記外周部の間において径方向の2点間の接合速度を測定する、前記(12)に記載の接合システム。
(14)前記速度測定部は、少なくとも前記中心部を含まない前記外周部側の2点間の接合速度を測定する、前記(13)に記載の接合システム。
(15)接合された前記重合基板の反り量を測定する反り測定部を有し、
前記制御装置は、測定された前記接合速度と前記反り量に基づいて、接合速度及び反り量の組み合わせと接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する、前記(12)~(14)のいずれかに記載の接合システム。
(16)基板同士を接合する接合システムであって、
第1基板の中心部と第2基板の中心部を当接させた状態で、前記中心部から外周部に向けて、前記第1基板と前記第2基板を順次接合して重合基板を形成する接合装置と、
接合された前記重合基板の反り量を測定する反り測定部と、
測定された前記反り量に基づいて、反り量と接合強度との関係から、接合された前記重合基板の接合強度を推定する制御装置と、を有する、接合システム。
(17)前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、当該重合基板の接合状態を判定する、前記(12)~(16)のいずれかに記載の接合システム。
(18)前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板と前記第2基板を接合する際の接合条件を制御する、前記(12)~(17)のいずれかに記載の接合システム。
(19)前記接合装置において前記第1基板と前記第2基板を接合する前に、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを処理ガスのプラズマにより改質する改質装置を有し、
前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度に基づいて、前記第1基板の表面と第2基板の表面の少なくともいずれかを改質する際の改質条件を制御する、前記(12)~(18)のいずれかに記載の接合システム。
(20)前記制御装置は、推定された前記重合基板の接合強度の情報を、接合された前記重合基板を処理する処理装置に出力する、前記(12)~(19)のいずれかに記載の接合システム。
【符号の説明】
【0114】
1 接合システム
250a、250b センサ
41 接合装置
52 反り測定装置
70 制御装置
上ウェハ
下ウェハ
重合ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13