(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168375
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法
(51)【国際特許分類】
C22B 23/00 20060101AFI20241128BHJP
C22B 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C22B23/00 101
C22B1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084979
(22)【出願日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】永元 良治
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA19
4K001BA02
4K001CA02
4K001CA03
4K001CA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ベルトコンベア漏れ粉回収システム及び漏れ粉回収方法を提供する。
【解決手段】ベルトコンベア本体10と、ベルトコンベア本体10のリターン側の直下の略全域に亘って設置される裏漏れ回収用樋20と、裏漏れ回収用樋20に落下した漏れ粉17の堆積物を洗浄水で下流側に向けて押し流す機能を有する裏漏れ回収用樋洗浄装置30と、押し流された漏れ粉17を回収する漏れ粉回収機構40を備え、漏れ粉回収機構40は、裏漏れ回収用樋20の下流側に設けられ、堆積物を洗浄水と共に裏漏れ回収用樋20から下方へと送る回収シュート41と、回収シュート41の搬送経路の下端に設置された回収用コンテナー45から構成され、回収用コンテナー45には、側面上部に設けられ、余分な洗浄水を排出するためのオーバーフローノズル42と、フォークリフト60のフォーク61を挿入するためのフォーク挿入部が設けられたシステムとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアによる原料の搬送時に生じる漏れ粉を回収するためのベルトコンベア漏れ粉回収システムであって、
回転ドラムの間を循環走行する無端ベルトを搬送ベルトとして備えるベルトコンベア本体と、
前記ベルトコンベア本体のリターン側の直下の略全域に亘って設置される裏漏れ回収用樋と、
前記裏漏れ回収用樋に落下した前記漏れ粉の堆積物を洗浄水で下流側に向けて押し流す機能を有する裏漏れ回収用樋洗浄装置と、
前記裏漏れ回収用樋洗浄装置により押し流された前記漏れ粉を回収する漏れ粉回収機構
を備え、
前記漏れ粉回収機構は、
前記裏漏れ回収用樋の下流側に設けられ、前記堆積物を前記洗浄水と共に該裏漏れ回収用樋から下方へと送る回収シュートと、
前記回収シュートの搬送経路の下端に設置された回収用コンテナー
から構成され、
前記回収用コンテナーには、側面上部に設けられ、余分な前記洗浄水を排出するためのオーバーフローノズルと、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入部が設けられており、
前記ベルトコンベア本体及び前記裏漏れ回収用樋は水平面に対して傾斜していることを特徴とするベルトコンベア漏れ粉回収システム。
【請求項2】
前記裏漏れ回収用樋洗浄装置は、
前記裏漏れ回収用樋の幅方向に延在する洗浄水供給配管と、前記洗浄水供給配管にその軸方向に沿って設けられた複数のスプレーノズルとから構成され、該複数のスプレーノズルの各々は、前記裏漏れ回収用樋上の前記堆積物に対して洗浄水を斜め上方から噴射して前記裏漏れ回収用樋の下流側に向けて押し流すように噴射口が差し向けられていることを特徴とする、請求項1に記載のベルトコンベア漏れ粉回収システム。
【請求項3】
前記ベルトコンベア本体及び前記裏漏れ回収用樋の水平面に対する傾斜角度が、3.0°以上、6.0°以下であることを特徴とする、請求項2記載のベルトコンベア漏れ粉回収システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のベルトコンベア漏れ粉回収システムを用いたベルトコンベア漏れ粉回収方法であって、
前記裏漏れ回収用樋洗浄装置を用いて前記裏漏れ回収用樋上の前記堆積物を前記回収シュートへと押し流す工程と、
前記回収シュートから送られてきた前記洗浄水を含む前記堆積物を前記回収用コンテナーに蓄積させる工程と、
前記回収用コンテナーに設けられたオーバーフローノズルから余分な前記洗浄水を排出する工程と、
前記回収用コンテナーの前記フォーク挿入部に全回転フォークリフトのフォークを挿入して前記回収用コンテナーを運搬する工程と、
前記全回転フォークリフトのフォークを前記回収用コンテナーのフォーク挿入部に挿入した状態で当該フォークを鉛直面内で回転し、前記回収用コンテナーを反転させて前記漏れ粉を含む堆積物を前記回収用コンテナーから落下させて回収する工程
を含むことを特徴とするベルトコンベア漏れ粉回収方法。
【請求項5】
前記漏れ粉は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬過程において、副産物として回収されたクロマイトを含むことを特徴とする、請求項4に記載のベルトコンベア漏れ粉回収方法。
【請求項6】
前記副産物として回収されたクロマイトは、水分率が5%以上、11%以下であるクロマイト回収粉であることを特徴とする、請求項5に記載のベルトコンベア漏れ粉回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアによる原料の搬送時に生じる漏れ粉を回収するためのベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低品位なニッケル酸化鉱石からのニッケルの回収方法として、硫酸を用いた高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)法がある。この方法は、乾燥及び焙焼工程等の乾式処理工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるとともに、ニッケル品位を50重量%程度まで向上させたニッケル・コバルト混合硫化物を得ることができるという利点を有している。
【0003】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、原料鉱石にクロマイトが含まれていることが多い。このようなクロマイト鉱石は、ニッケルをほとんど含有していない成分であり、クロマイトを含有する鉱石スラリーを、酸浸出処理に供するために配管やポンプ等の設備を用いて移送すると、それら設備を著しく磨耗させることが知られており、設備のメンテナンスや操業効率に大きな影響を及ぼす。
【0004】
このため、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬過程においては、副産物としてクロマイトを回収している。このクロマイトはニッケル酸化鉱石の中では真比重が高く、またその鉱石の粒子径が大きい(45μm以上)ため、流体液中で沈降し易い特性を持つ。よって、クロマイト回収は主に遠心分離工程、比重分離工程、濃縮工程、磁選工程、脱水工程を経て、最終的にベルトコンベアで貯倉庫へと搬送される。
【0005】
一般的なベルトコンベアは搬送物を目的地に搬送、排出した後は、スクレーパーと言われる搬送物掻き取り機でベルトに付着した搬送物をきれいに掻き取った後にベルトがリターンする(下面側に回り込む)構造となっている。しかしながら、クロマイトの最終工程である脱水工程では完全に脱水することを目的としていないため(目的物の水分率が8.0%以下)、搬送物は湿気を帯びている状態となる。湿気を帯びた搬送物はベルトにこびり付き易い特性を持つため、スクレーパーで十分に掻き取りができないまま、ベルトがリターンしてしまう状況が避けられない状況となっている。
【0006】
ベルトに搬送物が付着した状態でベルトコンベアのベルトがリターン側に搬送されると、特にリターンローラーとベルトが接触する箇所にて、付着物が剥ぎ落されることで、漏れ粉として下部に大量に堆積する事象が発生する。従来この漏れ粉は主に人力で回収していたため、時間と労力を要していた。
【0007】
このような従来の課題に対して、例えば、特許文献1には、ベルトコンベアの漏れ粉を、スクレーパーを用いて回収する方法が記載されている。しかしながら、回収方法が動力を用いる事で構成が複雑化し、回収設備の新たなトラブル等が懸念されるため、特許文献1の技術をそのまま適用することは困難である。
【0008】
また、特許文献2には、受樋の内部に堆積した粉粒体を効率的に除去するため、受樋上に複数のスプレーノズルを設置して、洗浄水で下流側に向けて押し流す受樋洗浄装置が開示されている。しかしながら、特許文献2では漏れ粉を押し流して除去することを目的とするものであり、回収することについては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-196237号公報
【特許文献2】特開2022-163417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ベルトコンベアの下部に堆積する漏れ粉を容易にかつ連続的に回収することのできるベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、ベルトコンベアによる原料の搬送時に生じる漏れ粉を回収するためのベルトコンベア漏れ粉回収システムであって、回転ドラムの間を循環走行する無端ベルトを搬送ベルトとして備えるベルトコンベア本体と、ベルトコンベア本体のリターン側の直下の略全域に亘って設置される裏漏れ回収用樋と、裏漏れ回収用樋に落下した漏れ粉の堆積物を洗浄水で下流側に向けて押し流す機能を有する裏漏れ回収用樋洗浄装置と、裏漏れ回収用樋洗浄装置により押し流された漏れ粉を回収する漏れ粉回収機構を備え、漏れ粉回収機構は、裏漏れ回収用樋の下流側に設けられ、堆積物を洗浄水と共に裏漏れ回収用樋から下方へと送る回収シュートと、回収シュートの搬送経路の下端に設置された回収用コンテナーから構成され、回収用コンテナーには、側面上部に設けられ、余分な洗浄水を排出するためのオーバーフローノズルと、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入部が設けられており、ベルトコンベア本体及び裏漏れ回収用樋は水平面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0012】
このとき、本発明の一態様では、裏漏れ回収用樋洗浄装置は、裏漏れ回収用樋の幅方向に延在する洗浄水供給配管と、洗浄水供給配管にその軸方向に沿って設けられた複数のスプレーノズルとから構成され、複数のスプレーノズルの各々は、裏漏れ回収用樋上の堆積物に対して洗浄水を斜め上方から噴射して裏漏れ回収用樋の下流側に向けて押し流すように噴射口が差し向けられているとしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様では、ベルトコンベア本体及び裏漏れ回収用樋の水平面に対する傾斜角度が、3.0°以上、6.0°以下であるとしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、上述したベルトコンベア漏れ粉回収システムを用いたベルトコンベア漏れ粉回収方法であって、裏漏れ回収用樋洗浄装置を用いて裏漏れ回収用樋上の堆積物を回収シュートへと押し流す工程と、回収シュートから送られてきた洗浄水を含む堆積物を回収用コンテナーに蓄積させる工程と、回収用コンテナーに設けられたオーバーフローノズルから余分な洗浄水を排出する工程と、回収用コンテナーのフォーク挿入部に全回転フォークリフトのフォークを挿入して回収用コンテナーを運搬する工程と、全回転フォークリフトのフォークを回収用コンテナーのフォーク挿入部に挿入した状態でフォークを鉛直面内で回転し、回収用コンテナーを反転させて漏れ粉を含む堆積物を回収用コンテナーから落下させて回収する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
このとき、本発明の他の態様では、漏れ粉は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬過程において、副産物として回収されたクロマイトを含むとしてもよい。
【0016】
また、本発明の他の態様では、副産物として回収されたクロマイトは、水分率が5%以上、11%以下であるクロマイト回収粉であるとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムを使用することで、ベルトコンベアの下部に堆積する漏れ粉を容易にかつ連続的に回収することができ、漏れ粉の回収作業に要する時間と労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ニッケル酸化鉱石の分級処理の一例を示した工程図である。
【
図2】従来のベルトコンベアの概要を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムを示す概略図である。
【
図4】(A)は、本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムにおける回収用コンテナーの正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムにおける裏漏れ回収用樋洗浄装置の一例を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収方法におけるプロセスの概略を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、以下の順序で図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.クロマイトの分級工程
2.ベルトコンベア漏れ粉回収システム
3.ベルトコンベア漏れ粉回収方法
【0020】
<1.クロマイトの分級工程>
本発明の一態様に係るベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法は、上述したように、ベルトコンベアの搬送ベルトに付着しやすい原料が、ベルトコンベアのリターン側(原料搬送後の搬送ベルトがヘッドプーリーからテールプーリーへと送られるベルトコンベアの下面側)で、リターンローラーとの接触により漏れ粉としてベルトコンベアの下部に落下して堆積した堆積物を効率よく回収するためのものである。
【0021】
本発明の一態様では、主にニッケル酸化鉱石の製錬プロセスにおいて副産物として回収される水分を含んだクロマイトをベルトコンベアで搬送する場面で適用することを想定している。もちろん、本発明では必ずしもクロマイトの搬送の場面のみに限定されるわけではなく、付着性の高い原料のベルトコンベアによる搬送時にリターン側で漏れ粉が発生するような場面であれば他の状況でも適用することは可能である。
【0022】
先ず、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、クロマイトを含む鉱石が得られる工程について説明する。
【0023】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて処理される原料となるニッケル酸化鉱石は、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8~2.5重量%であり、ニッケルは水酸化物、又は含水ケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有されている。また、鉄の含有量は、10~50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄が含水ケイ苦土鉱物等に含有される。
【0024】
さらに、ラテライト鉱においてはクロムが含まれており、そのクロム分の多くは、鉄又はマグネシウムを含むクロマイト鉱物として、例えば1~5重量%程度含有されている。また、マグネシア分は、含水ケイ苦土鉱物のほか、未風化で硬度が高いニッケルをほとんど含有しないケイ苦土鉱物に含有される。珪酸分は、石英、クリストバライト(無定形シリカ)等のシリカ鉱物及び含水ケイ苦土鉱物に含有されている。このように、ラテライト鉱において含有される、クロマイト鉱物、ケイ苦土鉱物、及びシリカ鉱物は、ニッケルをほとんど含有していない、いわゆる脈石成分である。
【0025】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、主としてラテライト鉱である原料のニッケル酸化鉱石は、鉱石粒度の調整が行われた後に水と混合されて鉱石スラリーとして調製されるが、ニッケル酸化鉱石には上述のようにクロマイトが含まれている。このようなクロマイトを含有する鉱石スラリーを、酸浸出処理に供するために配管やポンプ等の設備を用いて移送すると、それら設備を著しく磨耗させることが知られており、設備のメンテナンスや操業効率に大きな影響を及ぼす。このことから、酸浸出処理に供する鉱石スラリーとしては、その酸浸出処理に先立ってクロマイト分を分離除去している。
【0026】
図1は、ニッケル酸化鉱石の分級処理の一例を示した工程図である。低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高圧硫酸浸出(HPAL)に基づく湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケル原料鉱石が鉱山から運搬、供給されるが、その中の大粒径鉱石は酸による浸出率も低いため除去する必要がある。
【0027】
前処理工程S1では、洗浄、及び篩別装置により大粒径鉱石が除去される。洗浄および篩別装置としては、ドラムとトロンメルから構成されるドラムウォッシャー、並びに振動篩装置が用いられる。ドラムウォッシャーのドラムは、ニッケル酸化鉱石を解砕し、レパルプして(解きほぐして)鉱石スラリーとする機能を有し、ドラムのトロンメルとの連結側に設けられた回収羽根によりトロンメルの側へと送られる。そして、トロンメルは、鉱石スラリーに含まれる鉱石を篩別する機能を有する。
【0028】
このように、ドラムウォッシャーでは、ドラムの入口側(上流側)に設けられた投入口から水およびニッケル酸化鉱石を供給し、ドラム内において大粒径鉱石から必要なニッケル原料鉱石を水でスラリー状にして、大型分級装置であるトロンメルに送り、このトロンメルのスクリーンで鉱石スラリーに含まれる粒径25mm以上の鉱石を除去する。
【0029】
次に、ドラムウォッシャーで分級された粒径25mm以下の鉱石は、振動篩装置(振動スクリーン)へと送られる。振動篩装置のスクリーンは、網等の表裏を貫通する孔が設けられたシート状や板状の部材で構成され、その上面に鉱石が供給されると、所定の大きさよりも小さい鉱石はスクリーンの孔を通過して下方に落下し、下部シュートを介して次工程へと送られる。ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、振動篩装置を介することで粒径約2mm以下の鉱石が次工程へと送られる。
【0030】
遠心分離工程S2では、前処理工程S1によって得られた、2mm以下の鉱石スラリーに対して、ハイドロサイクロンを用いて所定の分級粒度(分級点)で分級処理を施し、粗粒側スラリーと細粒側スラリーとに分級する。すると、ハイドロサイクロンのアンダーフローとして分離される粗粒側スラリーにクロマイトを含む混合物が得られ、オーバーフローとして分離される細粒側スラリーに鉄を含有するゲーサイト等を含む混合物を得ることができる。これにより、第1段階として、鉱石スラリーからクロマイトを分離することができる。
【0031】
一般的に、クロマイトの比重はゲーサイト等の水酸化鉄の比重よりも大きい。そのため、分級装置としてハイドロサイクロンを使用することによって、その鉱石スラリーを粒度に基づき、アンダーフローとしてクロマイトを含む混合物を、オーバーフローとしてゲーサイトを含む混合物を、精度良く分離することができる。また、ハイドロサイクロンは、大量の鉱石スラリーの処理に適しており、オーバーフローへの分配が多い場合の処理に適している。なお、ハイドロサイクロンは、1段のみでもよく、あるいは2段以上の複数段を備えるようにしてもよい。
【0032】
比重分離工程S3では、遠心分離工程S2によりアンダーフローとして分離したクロマイトを含む混合物に対して、所定の比重分離装置を使用して比重分離処理を行い、クロマイトを含む混合物に含まれるゲーサイトを分離してクロマイトを濃縮させた混合物を得る。遠心分離工程S2にてアンダーフローとして分級分離したクロマイトを含む混合物には、主として、クロマイトが含まれているが、一部ゲーサイトも含まれている。このようなクロマイトを含む混合物に対して比重分離装置により比重分離処理を施すことによって、さらにゲーサイトとクロマイトとを効果的に分離することができ、クロマイトをさらに濃縮することができる。
【0033】
比重分離工程S3における比重分離装置としては、一例として、スパイラルコンセントレーターを少なくとも1段使用する。また、この比重分離処理では、少なくともスパイラルコンセントレーターを1段と、さらに、シェーキングテーブル、デンシティーセパレーター、及びスパイラルコンセントレーターから選択される1段以上を使用して処理することが好ましい。その中でも特に、スパイラルコンセントレーターを1段と、大量処理に適したデンシティーセパレーターでの処理を組み合わせることが好ましい。
【0034】
濃縮工程S4では、後工程の磁選工程S5において採用される磁力選鉱装置の供給条件として好ましいスラリー濃度になるように、前工程の比重分離工程S3で処理された濃縮前スラリーのスラリー濃度を調整する。この濃縮工程S4で用いる濃縮装置の種類には特に限定はないが、比較的低コストでスラリーを濃縮できるシックナーなどの重力沈降装置が好ましい。
【0035】
磁選工程S5では、前工程の濃縮工程S4において濃縮された濃縮後スラリーに対して、磁力選鉱装置を使用して着磁物を除去する。遠心分離工程S2において、粗粒側に分級分離した粗粒側スラリーは、主としてクロマイトで構成されるもののマグネタイトが含まれることがあり、更にゲーサイトも含まれている。磁選工程S5では、このようなクロマイトに加えて他の鉱物成分を含む濃縮後スラリーに対して磁力選鉱処理を施すことによって、着磁物としてのマグネタイトを非着磁物としてのクロマイトから分離することができ、クロマイトを更に濃縮することができる。
【0036】
この磁選工程S5で分離された着磁物としてのマグネタイトを含む混合物は、前述したハイドロサイクロンのオーバーフローに混合して湿式製錬プロセスの酸浸出処理で処理する脱クロマイト鉱石スラリーとすることができる。また、この磁力選鉱処理の処理対象である濃縮後スラリーにゲーサイトが微量に含まれている場合は、この磁力選鉱処理によって、上記のマグネタイトを含む混合物側に含ませることができるので、マグネタイトと共に酸浸出処理に供給する鉱石スラリーとすることができる。
【0037】
脱水工程S6では、これまでの工程で得られたクロマイトに対して製品としての出荷や運搬に適した含水率になるまで乾燥させる。クロマイトを主成分とする鉱石は、その粒子径が100μm~1mm程度の範囲であり、分離工程直後の重量含水率はおよそ12%~15%程度である。クロマイトを主成分とする鉱石では、一般的に、その含水率を7%~8%程度にまで減少させることが必要となっている。
【0038】
脱水工程S6における鉱石の脱水処理としては、天日干し、加熱・焙焼法、フィルタープレス法、遠心分離法等の方法が挙げられるが、電力等のエネルギーを使用する必要がないという点から、クロマイト鉱石を脱水用床上にパイル状(山状)に堆積させて自重により脱水・乾燥させる処理が好ましい。このようにして適切な含水量となったクロマイトはベルトコンベアによって貯倉庫へと搬送される。本発明に係るベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法は、例えばこのような場面で適用される。
【0039】
<2.ベルトコンベア漏れ粉回収システム>
図2は、従来のベルトコンベアの概要を示す概略図である。ベルトコンベア本体10は、2個の回転ドラム、例えば、先端側のヘッドプーリー11と後端側のテールプーリー12との間を循環走行する無端ベルト13(以下、単に「ベルト」ともいう)を搬送ベルトとして備えている。
【0040】
ベルトコンベア本体10の搬送経路のうち、テールプーリー12からヘッドプーリー11までの搬送物5(クロマイト等)が搬送される側の経路をキャリア側と称し、逆にヘッドプーリー11からテールプーリー12までのベルト13が戻ってくる側の経路をリターン側と称する。キャリア側のベルト13を支持するために複数のキャリアローラー(図示せず)が一定の間隔をあけて設けられており、また、リターン側の無端ベルト13を支持するために複数のリターンローラー14が一定の間隔をあけて設けられている。
【0041】
上述したクロマイトの分級工程で得られたクロマイト等の搬送物5は、例えば搬送用のシュート50を介してベルトコンベア本体10に排出される。無端ベルト13に乗った搬送物5はベルトコンベア本体10の先端に設けられたスクレーパー15で掻き取られることで貯蔵庫55に払い出されるが、約8%の水分を含んだ搬送物5は湿気を帯びているため、一部がベルト13にこびり付き、スクレーパー15で掻き取れなかった物が付着物16として、リターン側に搬送される。リターン側に搬送された付着物16は特にリターンローラー14とベルト13が接触する箇所にて、付着物16が剥ぎ落されてしまい、漏れ粉17として下部に設けられた裏漏れ回収用樋20に大量に堆積する事象が発生する。従来、この漏れ粉17は主に人力でスコップ等を用いて回収し、その後地上まで運搬していたため、回収及び運搬作業に多大な時間を要していた。
【0042】
図3は、上記問題点を解消した、本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムを示す概略図である。本発明の一態様は、ベルトコンベアによる原料の搬送時に生じる漏れ粉を回収するためのベルトコンベア漏れ粉回収システム1であって、回転ドラム(ヘッドプーリー11及びテールプーリー12)の間を循環走行する無端ベルト13を搬送ベルトとして備えるベルトコンベア本体10と、ベルトコンベア本体10のリターン側の直下の略全域に亘って設置される裏漏れ回収用樋20と、裏漏れ回収用樋20に落下した漏れ粉17の堆積物を洗浄水で下流側に向けて押し流す機能を有する裏漏れ回収用樋洗浄装置30と、裏漏れ回収用樋洗浄装置30により押し流された漏れ粉17を回収する漏れ粉回収機構40を備え、漏れ粉回収機構40は、裏漏れ回収用樋20の下流側に設けられ、堆積物を洗浄水と共に裏漏れ回収用樋20から下方へと送る回収シュート41と、回収シュート41の搬送経路の下端に設置された回収用コンテナー45から構成され、回収用コンテナー45には、側面上部に設けられ、余分な洗浄水を排出するためのオーバーフローノズル42と、フォークリフト60のフォーク61を挿入するためのフォーク挿入部43が設けられており、ベルトコンベア本体10及び裏漏れ回収用樋20は水平面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0043】
このような構成とすることにより、裏漏れ回収用樋20に落下した漏れ粉17の堆積物を裏漏れ回収用樋洗浄装置30を用いて洗浄水により回収シュート41側へと押し流すことができ、回収シュート41を介して回収用コンテナー45へと投入して回収することができるため、作業者が人力で回収する必要が無く、ベルトコンベアの下部に堆積する漏れ粉を容易にかつ連続的に回収することができ、漏れ粉の回収作業に要する時間と労力を低減することができる。以下、本発明の各構成について説明する。
【0044】
ベルトコンベア本体10は、回転ドラム(ヘッドプーリー11及びテールプーリー12)の間を循環走行する無端ベルト13を搬送ベルトとして備えている。原則として、ベルトコンベア本体10は、高所設置用の骨組構造57により一定の高さに設置されている。ベルトコンベア本体10については、上述した構成と同様である。
【0045】
裏漏れ回収用樋20は、ベルトコンベア本体10のリターン側の直下の略全域に亘って設置される樋状の設備である。上述したように、裏漏れ回収用樋20には、無端ベルト13に付着した鉱石等の搬送物5の付着物16が、ベルトコンベア本体10下部に設けられたリターンローラー14と接触することにより、漏れ粉17として落下して堆積する。
【0046】
裏漏れ回収用樋洗浄装置30は、裏漏れ回収用樋20に落下した漏れ粉17の堆積物を洗浄水で下流側に向けて押し流す機能を有する。簡易な構成の例として、裏漏れ回収用樋洗浄装置30は水供給ホースとすることができる。この場合は、作業者が水供給ホースを用いて裏漏れ回収用樋20上に堆積した漏れ粉17を押し流すようにしてもよいし、水供給ホースを所定の位置に固定するようにしてもよい。あるいは、後述するようなスプレーノズルを用いた構成とすることもできる。
【0047】
漏れ粉回収機構40は、裏漏れ回収用樋洗浄装置30により押し流された漏れ粉17を回収するための機構であり、主に、裏漏れ回収用樋20の下流側に設けられ、堆積物を洗浄水と共に裏漏れ回収用樋20から下方へと送る回収シュート41と、回収シュート41の搬送経路の下端に設置された回収用コンテナー45から構成される。
【0048】
一例として、回収シュート41は、
図3に示すように、裏漏れ回収用樋20の最低部に設置し、裏漏れ回収用樋洗浄装置30により押し流された漏れ粉17がそのまま下方へと送られる構成となっていることが好ましい。また、回収シュート41の下端側には、洗浄水により押し流された漏れ粉17を回収用コンテナー45まで送る送液配管44が適宜設置されていることが好ましい。
【0049】
図4(A)は、本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムにおける回収用コンテナーの正面図であり、
図4(B)は、側面図である。回収用コンテナー45には、原則として上面が開口しており、上部から漏れ粉17の堆積物が投入される。
【0050】
回収用コンテナー45は、側面上部に余分な洗浄水を排出するためのオーバーフローノズル42が設けられる。回収用コンテナー45に投入された漏れ粉17の堆積物及び水について、比重差によって漏れ粉17は下部へ堆積して自然に水と分離するため、オーバーフローノズル42により余分な水のみを連続的に回収用コンテナー45から排出することができる。オーバーフローノズル42の位置は、1回の漏れ粉回収可能量を多くするために、回収用コンテナー45に対して可能な限り高い位置が好ましいが、堆積物回収後の回収用コンテナー45の重量等を考慮して適切な位置に設定すればよい。
【0051】
また、回収用コンテナー45の下部には、フォークリフト60のフォーク61を挿入するためのフォーク挿入部43が設けられる。これにより、回収用コンテナー45に漏れ粉17の堆積物を回収した後は、フォークリフト60のフォーク61を回収用コンテナー45のフォーク挿入部43に挿入することでフォークリフト60により、容易に運搬することができる。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムにおける裏漏れ回収用樋洗浄装置の一例を示す概略図である。本発明の一態様では、裏漏れ回収用樋洗浄装置30は、裏漏れ回収用樋20の幅方向に延在する洗浄水供給配管31と、洗浄水供給配管31にその軸方向に沿って設けられた複数のスプレーノズル32とから構成され、複数のスプレーノズル32の各々は、裏漏れ回収用樋上の漏れ粉17の堆積物に対して洗浄水を斜め上方から噴射して裏漏れ回収用樋20の下流側に向けて押し流すように噴射口が差し向けられていることが好ましい。
【0053】
また、本発明の一態様では、ベルトコンベア本体10及び裏漏れ回収用樋20の水平面に対する傾斜角度θ(
図3参照)が、3.0°以上、6.0°以下であることが好ましい。ベルトコンベア本体10と裏漏れ回収用樋20の傾斜が、3.0°未満では、水圧による漏れ粉回収効率が低下する。また、ベルトコンベア本体10と裏漏れ回収用樋20の傾斜が、6.0°を超える場合、ベルトコンベア本体10を駆動するモーターに負荷がかかるとともに、搬送物5がスリップするなどの問題が発生する。傾斜角度θは、ベルトコンベア設置用の骨組構造57の設置面を傾斜させることで設定することができるが、骨組構造57のベルトコンベア設置面とベルトコンベア本体10の間に高さ調整用の土台などを設置することにより傾斜角度θの調整を行ってもよい。
【0054】
<3.ベルトコンベア漏れ粉回収方法>
次に、本発明に係るベルトコンベア漏れ粉回収方法について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るベルトコンベア漏れ粉回収方法におけるプロセスの概略を示す工程図である。本発明の一態様は、上述したベルトコンベア漏れ粉回収システムを用いたベルトコンベア漏れ粉回収方法であって、裏漏れ回収用樋洗浄装置を用いて裏漏れ回収用樋上の堆積物を回収シュートへと押し流す工程S11と、回収シュートから送られてきた洗浄水を含む堆積物を回収用コンテナーに蓄積させる工程S12と、回収用コンテナーに設けられたオーバーフローノズルから余分な洗浄水を排出する工程S13と、回収用コンテナーのフォーク挿入部に全回転フォークリフトのフォークを挿入して回収用コンテナーを運搬する工程S14と、全回転フォークリフトのフォークを回収用コンテナーのフォーク挿入部に挿入した状態でフォークを鉛直面内で回転し、回収用コンテナーを反転させて漏れ粉を含む堆積物を回収用コンテナーから落下させて回収する工程S15を含むことを特徴とする。
【0055】
工程S11では、裏漏れ回収用樋洗浄装置30を用いて裏漏れ回収用樋20上の漏れ粉17の堆積物を回収シュート41へと押し流す。ベルトコンベア本体10及び裏漏れ回収用樋20は水平面に対して傾斜しているため、洗浄水の水圧により、容易に漏れ粉17の堆積物を回収シュート41の下方側へと押し流すことができる。裏漏れ回収用樋洗浄装置30としては上述したように、適宜、作業者が水供給ホースを用いて押し流すようにしてもよいし、スプレーノズルを設置する構成としてもよい。
【0056】
工程S12では、回収シュート41から送られてきた洗浄水を含む漏れ粉17の堆積物を回収用コンテナー45に蓄積させる。本発明の一態様では、ベルトコンベア本体10は、高所設置用の骨組構造57により一定の高さに設置されているため、
図3に示すように、回収シュート41の下部に回収用コンテナー45を設置することにより、堆積物の自重で回収用コンテナー45へと送ることができる。高さが十分に確保できない場合には、多めの洗浄水で流しながら送るようにしてもよい。漏れ粉17の堆積物は、回収シュート41(または回収シュート41に接続された送液配管44)を介して上部が開口された回収用コンテナー45に投入され、蓄積される。
【0057】
工程S13では、回収用コンテナー45に設けられたオーバーフローノズル42から余分な洗浄水を排出する。
図4(B)に示すように、回収用コンテナー45の所定の高さにオーバーフローノズル42を設置することで、当該高さを超える液体については、オーバーフローノズル42を介して外部に排出することができる。クロマイトなどの堆積物は比重が大きいため、堆積物は回収用コンテナー45に堆積するため洗浄水と容易に分離することができ、水のみを外部に連続的に排出することができる。回収用コンテナー45は、防液堤51内の側溝52の近くに設置することで、排出された水を側溝52から外部へと流すことができる。
【0058】
工程S14では、回収用コンテナー45のフォーク挿入部43に全回転フォークリフト60のフォーク61を挿入して回収用コンテナー45を運搬する。
図4(A)に示すように、回収用コンテナー45の下部には、全回転フォークリフト60のフォーク61が挿入可能なフォーク挿入部43が設けられているため、全回転フォークリフト60を用いて回収用コンテナー45を必要な場所に容易に運搬することができる。
【0059】
工程S15では、全回転フォークリフト60のフォーク61を回収用コンテナー45のフォーク挿入部43に挿入した状態でフォーク61を鉛直面内で回転し、回収用コンテナー45を反転させて漏れ粉17を含む堆積物を回収用コンテナー45から落下させて回収する。全回転フォークリフト60は、フォーク61が取付面を中心に360°回転することができる機能を有するフォークリフトである。この回転機能を用いることにより、回収用コンテナー45のフォーク挿入部43に挿入した状態でフォーク61を鉛直面内で180°回転させて反転させることができ、フォークリフトの操縦のみによって、回収用コンテナー45を反転させて漏れ粉17を含む堆積物を回収用コンテナー45から落下させて回収することができる。
【0060】
上述したように、本発明に係るベルトコンベア漏れ粉回収方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬過程において、副産物として回収されたクロマイトを含む漏れ粉の回収に適用することができる。副産物として回収されたクロマイトは、例えば、水分率が5%以上、11%以下であるクロマイト回収粉である。このようなクロマイト粉は比重や粘着性が高いため、ベルトコンベア本体10のベルト13に付着しやすい。したがって、上述したようなベルトコンベア本体10の下部に漏れ粉として溜まりやすく、本発明の一態様に係るベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法を実施するのに好適である。
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、ベルトコンベアの下部に堆積する漏れ粉を容易にかつ連続的に回収することができ、漏れ粉の回収作業に要する時間と労力を低減することができる。
【実施例0062】
以下、本発明について、実施例および比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬過程におけるクロマイト回収工程において、本発明の一態様に係るベルトコンベア漏れ粉回収システムを適用した時の効果を検証した。
【0064】
(比較例)
比較例(従来例)では、
図2に示すように、ベルトコンベア本体10の下部にある裏漏れ回収用樋20に堆積した漏れ粉17を作業者が人力でスコップ等を用いて回収し、その後、地上まで運搬した。比較例では、1回の回収作業に付き4人の作業者が約1時間、回収及び回収後の運搬作業に時間を要していた。
【0065】
(実施例)
実施例では、
図3に示すようなベルトコンベア漏れ粉回収システムを適用して操業を行った。なお、実施例では、ベルトコンベア本体及び裏漏れ回収用樋の水平面に対する傾斜角度は4.5°であり、裏漏れ回収用樋洗浄装置は工水ポンプの圧力(約0.6MPa)の水供給ホースを用いた。実施例では、1回の回収作業に付き2人の作業者で約30分の時間で済み、比較例に対して作業負荷を4分の1に低減することができた。
【0066】
以上の結果から、本発明に係るベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法を適用することで漏れ粉の回収作業に要する時間と労力を低減できることが確認できた。
【0067】
なお、上記のように本発明の一実施形態および各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0068】
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、ベルトコンベア漏れ粉回収システム及びベルトコンベア漏れ粉回収方法の構成も本発明の一実施形態および各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 ベルトコンベア漏れ粉回収システム、5 搬送物、10 ベルトコンベア本体、11 ヘッドプーリー、12 テールプーリー、13 無端ベルト、14 リターンローラー、15 スクレーパー、16 付着物、17 漏れ粉、20 裏漏れ回収用樋、30 裏漏れ回収用樋洗浄装置、31 洗浄水供給配管、32 スプレーノズル、40 漏れ粉回収機構、41 回収シュート、42 オーバーフローノズル、43 フォーク挿入部、44 送液配管、45 回収用コンテナー、50 シュート、51 防液堤、52 側溝、55 貯蔵庫、57 骨組構造、60 全回転フォークリフト、61 フォーク、θ 傾斜角度