(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168431
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】基板処理装置、保守方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/304 643A
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085119
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】奥村 智則
(72)【発明者】
【氏名】山中 学
【テーマコード(参考)】
5C086
5F157
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA20
5C086CA06
5C086CA28
5C086CB01
5C086CB11
5C086FA11
5F157AA16
5F157AB16
5F157AB48
5F157AB90
5F157BB24
5F157BB66
5F157CF42
5F157CF90
5F157DA01
(57)【要約】
【課題】基板処理装置の保守作業時における作業者の安全性を向上させる。
【解決手段】基板を処理する基板処理装置であって、前記基板の処理のために使用される機器を収容する収容空間を有した筐体と、前記収容空間の開状態と閉状態とを切り替える開閉器と、前記筐体の周辺に設けられ、作業者の着用保護具を検知する検知部と、前記開閉器の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部により検知された前記着用保護具が予め登録された前記筐体に対応する対応保護具であるか判定を行い、前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板の処理のために使用される機器を収容する収容空間を有した筐体と、
前記収容空間の開状態と閉状態とを切り替える開閉器と、
前記筐体の周辺に設けられ、作業者の着用保護具を検知する検知部と、
前記開閉器の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された前記着用保護具が予め登録された前記筐体に対応する対応保護具であるか判定を行い、前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、基板処理装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記基板を加熱する熱処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、耐熱手袋を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理容器内の温度を測定する温度センサを備え、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記温度センサで測定された温度が所定の温度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記基板に処理液を供給して液処理を行う液処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記処理液に対して作業者を保護する液体用保護メガネを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した前記処理液の濃度を測定するガス濃度センサを備え、
前記対応保護具は、ガスマスクを含み、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記ガス濃度センサで測定された前記処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した前記処理液の濃度が所定の濃度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記基板に光を照射する光照射装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記光に対して前記作業者の目を保護する光用保護メガネを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記収容空間内に大気雰囲気と異なるガスが充填された筐体であり、
前記対応保護具は、ガスマスクである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記筐体内の前記ガスの濃度を測定するガス濃度センサを備え、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記ガス濃度センサで測定された前記ガスの濃度が所定の濃度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記基板に供給される処理液が貯留する貯留部が配置された容器であり、
前記対応保護具は、前記処理液に対して前記作業者の目を保護する液体用保護メガネを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記筐体は、電装品を収容する容器であり、
前記対応保護具は、絶縁手袋を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部を備え、
前記制御部は、前記着用保護具が前記対応保護具であり、かつ、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部と、
前記基板処理装置の操作画面を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記表示部に前記所定の作業者専用の操作画面を表示する制御を実行する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部と、
前記制御部から入力される信号に基づいて点灯する発光部と、を備え、
前記制御部は、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記発光部を点灯させる制御を実行する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を処理する基板処理装置の保守方法であって、
前記基板処理装置は、
前記基板の処理のために使用される機器を収容する収容空間を有した筐体と、
前記筐体の周辺に設けられ、作業者の着用保護具を検知する検知部と、を備え、
保守作業を行う際に、前記検知部により検知された作業者の着用保護具が前記筐体に対応する予め登録された対応保護具である場合に前記収容空間を閉状態から開状態に切り替える、基板処理装置の保守方法。
【請求項15】
前記筐体は、前記基板を加熱する熱処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、耐熱手袋を含む、請求項14に記載の基板処理装置の保守方法。
【請求項16】
前記保守作業を行う際に、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間を閉状態から開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記処理容器内の温度が所定の温度未満である場合に前記収容空間を閉状態から開状態に切り替える、請求項15に記載の基板処理装置の保守方法。
【請求項17】
前記筐体は、前記基板に処理液を供給して液処理を行う液処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記処理液に対して前記作業者の目を保護する液体用保護メガネを含む、請求項14に記載の基板処理装置の保守方法。
【請求項18】
前記対応保護具は、ガスマスクを含み、
前記保守作業を行う際に、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間を閉状態から開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した前記処理液の濃度が所定の濃度未満である場合に前記収容空間を閉状態から開状態に切り替える、請求項17に記載の基板処理装置の保守方法。
【請求項19】
前記筐体は、前記基板に光を照射する光照射装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記光に対して前記作業者の目を保護する光用保護メガネを含む、請求項14に記載の基板処理装置の保守方法。
【請求項20】
請求項14~19のいずれか一項に記載の基板処理装置の保守方法を当該基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを記憶した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、保守方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板処理装置を筐体によって密閉し、前記密閉された空間を所定のガス雰囲気で満たす密閉装置の監視システムを開示している。この監視システムは、筐体と基板処理装置との間の空間における、人が立ち入り可能な領域を検知領域とするレーザーセンサと、レーザーセンサの検知結果に基づいて基板処理装置又は密閉装置に対して制御信号を出力する、又は検知結果に基づく報知信号を出力する、制御装置と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板処理装置の保守作業時における作業者の安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理装置であって、前記基板の処理のために使用される機器を収容する収容空間を有した筐体と、前記収容空間の開状態と閉状態とを切り替える開閉器と、前記筐体の周辺に設けられ、作業者の着用保護具を検知する検知部と、前記開閉器の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部により検知された前記着用保護具が予め登録された前記筐体に対応する対応保護具であるか判定を行い、前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理装置の保守作業時における作業者の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる基板処理装置としての塗布現像処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図2】
図1の塗布現像処理装置の正面側の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図3】
図1の塗布現像処理装置の背面側の内部構成の概略を示す説明図である。
【
図4】熱処理ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図5】施錠機構付き扉の構成の概略を示す説明図である。
【
図6】RFIDタグ付きの耐熱手袋を説明するための説明図である。
【
図7】作業者による熱処理ユニットの保守作業フローの一例を示す図である。
【
図8】保守作業時の扉の解錠について説明するための説明図である。
【
図9】レジスト塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図10】紫外線照射ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図11】ガス処理ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図12】基板処理装置としての洗浄システムの内部構成の概略を示す説明図である。
【
図13】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図14】液貯留部の収容容器について説明するための説明図である。
【
図15】電装品収容部、保守作業者の識別部、表示部および発光部について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジストパターンを形成するため所定の処理が行われる。上記所定の処理とは、例えば、ウェハ上にレジストを供給しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理や、レジスト膜を露光する露光処理、PAB処理やPEB処理などのウェハの加熱処理、ウェハの洗浄処理等である。
【0009】
上記の処理が行われる各処理装置においては、定期的または緊急的に作業者による保守作業が実施される。一方、各処理装置においては、例えば処理容器内が高温状態であったり、あるいはウェハWの処理のために特殊な処理液またはガスが使用されるため、保守作業を行う作業者の安全性に配慮する必要がある。
【0010】
例えば処理容器内が高温となる熱処理装置においては、処理容器に電磁ロック付の扉を取り付けて、高温状態にある処理容器内の温度が所定の温度(例えば50℃未満)まで低下するまで電磁ロックが解除されないという安全対策が考えられる。しかしながら、そのような対策では、処理容器内の温度が十分に低下するまで保守作業を行うことができない。
【0011】
このため、例えば処理容器内の温度を低下する前に作業者が耐熱手袋などの保護具を着用して保守作業を開始することも考えられるが、適切な保護具を着用しない状態での作業が行われないよう安全性を担保する必要がある。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、基板処理装置の保守作業時における作業者の安全性を向上させる。
【0013】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<塗布現像処理装置>
図1は、本実施形態にかかる基板処理装置としての塗布現像処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
図2及び
図3はそれぞれ、塗布現像処理装置1の正面側及び背面側の内部構成の概略を示す説明図である。
【0015】
塗布現像処理装置1は、
図1~
図3に示すように、基板としてのウェハを複数収容可能な容器であるカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、レジスト塗布処理等の所定の処理を施す各種処理ユニットを複数備えた処理ステーション3と、を有する。そして、塗布現像処理装置1は、カセットステーション2と、処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウェハの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0016】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、塗布現像処理装置1のY方向負方向側の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、複数、例えば4つの載置板13が設けられている。載置板13は、水平方向のX方向(
図1の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板13には、塗布現像処理装置1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0017】
ウェハ搬送部11には、ウェハを搬送する搬送ユニット20が設けられている。搬送ユニット20は、X方向に延びる搬送路21を移動自在に構成されている。搬送ユニット20は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各載置板13上のカセットCと、後述する処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハを搬送できる。
【0018】
処理ステーション3には、各種ユニットを備えた複数、例えば第1~第4の4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(
図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(
図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0019】
第1のブロックG1には、
図2に示すように複数の液処理装置としての液処理ユニット、例えば現像処理ユニット30とレジスト塗布ユニット31が下からこの順で配置されている。レジスト塗布ユニット31の上方には、ガス処理装置としてのガス処理ユニット32が配置されている。また、現像処理ユニット30、レジスト塗布ユニット31、ガス処理ユニット32は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像処理ユニット30、レジスト塗布ユニット31、ガス処理ユニット32の数や配置は、任意に選択できる。
【0020】
現像処理ユニット30は、ウェハに現像処理を施す。具体的には、現像処理ユニット30は、PEB処理が施されたウェハのレジスト膜に現像処理を施す。レジスト塗布ユニット31は、ウェハにレジストを塗布してレジスト膜を形成する。
【0021】
現像処理ユニット30、レジスト塗布ユニット31では、例えばスピン塗布法でウェハ上に所定の処理液を塗布する。スピン塗布法では、例えば吐出ノズルからウェハ上に処理液を吐出すると共に、ウェハを回転させて、処理液をウェハの表面に拡散させる。
【0022】
ガス処理ユニット32は、例えば酸性ガスを含む処理ガスをウェハに局所的に吹き付ける酸性雰囲気処理を行う。
【0023】
第2のブロックG2には、
図3に示すようにウェハの加熱や冷却といった熱処理を施す熱処理装置としての熱処理ユニット40が上下方向と水平方向に並べて設けられている。これらの熱処理ユニット40群の上方には、ウェハに紫外線を照射する紫外線照射装置としての紫外線照射ユニット41が上下方向と水平方向に並べて設けられている。なお、熱処理ユニット40および紫外線照射ユニット41の数や配置は、任意に選択できる。
【0024】
熱処理ユニット40では、PAB処理、PEB処理、現像処理後のウェハを加熱処理するポストベーキング処理等を行う。紫外線照射ユニット41では、ウェハ上に形成された膜の改質処理等を行う。
【0025】
第3のブロックG3には、複数の受け渡しユニット50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡しユニット60、61、62、63が下から順に設けられている。
【0026】
図1に示すように、第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハを搬送する基板搬送ユニットとしての搬送ユニット70が配置されている。
【0027】
搬送ユニット70は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。搬送ユニット70は、ウェハを保持した搬送アーム70aをウェハ搬送領域D内で移動させ、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定のユニットに、ウェハを搬送できる。搬送ユニット70は、例えば
図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定のユニットにウェハを搬送できる。
【0028】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハを搬送するシャトル搬送ユニット80が設けられている。
【0029】
シャトル搬送ユニット80は、支持したウェハをY方向に直線的に移動させ、同程度の高さの第3のブロックG3の受け渡しユニット52と第4のブロックG4の受け渡しユニット62との間でウェハを搬送できる。
【0030】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側には、搬送ユニット90が設けられている。搬送ユニット90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。搬送ユニット90は、ウェハを保持した搬送アーム90aを上下に移動させ、第3のブロックG3内の各受け渡しユニット50~56にウェハを搬送できる。
【0031】
インターフェイスステーション5には、搬送ユニット100と受け渡しユニット101が設けられている。搬送ユニット100は、例えばθ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム100aを有している。搬送ユニット100は、搬送アーム100aにウェハを保持して、第4のブロックG4内の各受け渡しユニット60~63及び露光装置4との間でウェハを搬送できる。
【0032】
以上の塗布現像処理装置1には、
図1に示すように制御部Uが設けられている。制御部Uは、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種処理ユニットや各種搬送ユニットの動作、あるいは後述する開閉器としての電磁ロックの動作等を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部Uにインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0033】
(熱処理ユニット)
ここで熱処理ユニット40の構成の概略について説明する。
図4は、熱処理ユニット40の構成の概略を示す縦断面図である。熱処理ユニット40は、筐体としての処理容器110を有し、処理容器110は、ウェハWを加熱するための機器を収容する収容空間110aを有している。
【0034】
処理容器110の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されており、処理容器110内には、ウェハWを載置する基板保持部としての載置台111が設けられている。載置台111には、ウェハWの加熱部としてのヒータ112が内蔵されている。載置台111には、貫通孔113が複数箇所に形成され、これらの貫通孔113内を昇降する昇降ピン114aは、昇降ピン支持部114に固定されている。昇降ピン支持部114は昇降機構115によって上下に昇降する。
【0035】
処理容器110には、収容空間110a内の温度を測定する温度センサ116が設けられている。温度センサ116で測定された温度情報は、
図1に示した制御部Uに出力される。
【0036】
図5に示すように、処理容器110の側面には、電磁ロック付の開閉可能な扉117が取り付けられている。扉117は、熱処理ユニット40の保守作業時に使用されるものである。扉117には、上方から見た形状がU字状の取っ手118が取り付けられており、作業者は、その取っ手118を掴むことで扉117を開閉する。
【0037】
扉117に取り付けられた電磁ロック(図示せず)は、制御部Uからの信号に基づいて作動状態または解除状態の切り替えが可能である。作業者が熱処理ユニット40の保守作業を行う際には、処理容器110内が高温(例えば200℃)の状態にあるときは、電磁ロックが作動状態にあり、処理容器110内の温度が所定の温度(例えば50℃)未満となったときに電磁ロックが解除される。
【0038】
本実施形態では、電磁ロック(図示せず)が解除された状態を収容空間110aの開状態と称し、電磁ロックが作動している状態を収容空間110aの閉状態と称す。電磁ロック付の扉117は、収容空間110aの開状態と閉状態とを切り替える開閉器の一例である。また、扉117の施錠機構は、電磁ロックに限定されず、制御部Uからの信号に基づいて施錠と解錠の切り替えが可能な構成を有した機構が適用され得る。
【0039】
扉117の取っ手118の上方には、RFID(radio frequency identification)タグの情報を読み取る検知部としてのRFIDリーダ119が設けられている。RFIDリーダ119は、扉117から取っ手118が突き出た方向と同一方向に延びた支持体120の先端部に取り付けられている。RFIDリーダ119は、読取範囲が下方に向くように配置されており、RFIDリーダ119で読み取られたRFIDタグの情報は、
図1に示した制御部Uに送信される。
【0040】
本実施形態においては、作業者が熱処理ユニット40の保守作業を行う際に保護具として、
図6に示す耐熱手袋200を着用する。耐熱手袋200は、熱処理ユニット40の運転停止直後において高温状態にある処理容器110内の熱から作業者を保護できる耐熱素材からなる。上記の耐熱手袋200の手の甲部分には、RFIDタグ201が取り付けられている。
【0041】
一方、
図1に示した制御部Uには、熱処理ユニット40の保守作業に適した耐熱手袋200のRFIDタグ201のID番号が予め記憶されている。すなわち、制御部Uには、熱処理ユニット40用の耐熱手袋200の情報が予め登録されている。なお、本明細書においては、このような予め登録された保護具のことを、保守対象物の保守作業に対応する保護具として「対応保護具」と称す。
【0042】
以上、本実施形態にかかる熱処理ユニット40の構成の概略を説明した。次に、塗布現像処理装置1の熱処理ユニット40の保守方法について説明する。
図7は、作業者による熱処理ユニット40の保守作業フローの一例を示す図である。
【0043】
(ステップS1)
先ず作業者は、塗布現像処理装置1の操作パネル(図示せず)を操作し、装置の運転モードをメンテナンスモードに切り替える。メンテナンスモードに移行した直後の熱処理ユニット40の処理容器110内は高温(例えば200℃)であり、扉117の電子ロック(図示せず)は作動した状態が維持される。
【0044】
(ステップS2)
次に、制御部Uでは、処理容器110内の温度が所定の温度未満であるか否かの判定を行う。ここで述べる所定の温度とは、作業者が耐熱手袋を未着用であっても処理容器110内の保守作業が可能となる程度に十分に低い温度(例えば50℃)である。
【0045】
このステップS2において、処理容器110内の温度が所定の温度未満であった場合には、ステップS5に進む。一方で、ステップS2において、処理容器110内の温度が所定の温度以上であった場合には、ステップS3に進む。
【0046】
(ステップS3)
処理容器110内の温度が十分に低下していない状態で保守作業を開始する場合、作業者は、耐熱手袋200を着用し、
図8に示すように扉117の取っ手118を掴む。このとき、取っ手118を掴む耐熱手袋200の手の甲部分に取り付けられたRFIDタグ201が、RFIDリーダ119の読取範囲内に入り、RFIDタグ201のID番号が読み取られる。ここで読み取られたRFIDタグ201のID番号は、
図1に示した制御部Uに送信される。
【0047】
(ステップS4)
続いて、制御部Uでは、RFIDリーダ119で読み取られたRFIDタグ201のID番号が、制御部Uに予め記憶されているID番号と一致するか否か判定を行う。換言すると、制御部Uは、作業者が着用する着用保護具としての耐熱手袋200が熱処理ユニット40用の対応保護具として登録された耐熱手袋であるか否かの判定を行う。
【0048】
このステップS4において、作業者が着用する耐熱手袋200が対応保護具として登録された耐熱手袋でない場合には、ステップS2に戻る。一方、ステップS4において、作業者が着用する耐熱手袋200が対応保護具として登録された耐熱手袋である場合には、ステップS5に進む。
【0049】
(ステップS5)
ステップS2において、処理容器110内の温度が所定の温度未満であった場合、電磁ロックが解除される。また、処理容器110内の温度が所定の温度以上であっても、作業者が着用する耐熱手袋200が対応保護具として登録された耐熱手袋である場合には、電磁ロックが解除される。
【0050】
電磁ロックが解除されることで、処理容器110内の収容空間110aが閉状態から開状態に切り替わり、作業者が扉117を開けることが可能な状態となる。
【0051】
(ステップS6)
その後、作業者は、扉117を開けて熱処理ユニット40の保守作業を行う。
【0052】
(ステップS7)
作業者による所定の保守作業が完了した後、扉117を閉じ、塗布現像処理装置1の操作パネルを操作してメンテナンスモードを解除する。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態にかかる熱処理ユニット40の保守方法によれば、作業者が着用する着用保護具としての耐熱手袋200が熱処理ユニット40用の対応保護具として登録された耐熱手袋でない場合には、扉117は解錠されない。例えば熱処理ユニット40用の耐熱手袋200よりも耐熱温度が低い耐熱手袋を作業者が誤着用している場合、その誤着用した耐熱手袋のID番号は制御部Uには登録されていないため、扉117は解錠されない。つまり、所定の保護具を着用した場合にのみ、電磁ロックが解除されるため、保守作業時における作業者の安全性が向上する。
【0054】
また、本実施形態にかかる熱処理ユニット40の保守方法によれば、熱処理ユニット40の運転を停止した後に処理容器110内の温度低下を待たずに保守作業を開始できるため、熱処理ユニット40の運転停止から再稼働までの時間を短縮できる。
【0055】
さらに、保守作業を行う際に、処理容器110内の温度が十分に低下している場合には、耐熱手袋200の着用状態に関わらず、電磁ロックが解除される。すなわち、処理容器110内の温度が十分に低下している場合には、耐熱手袋200の着用動作を省略して速やかに保守作業を開始できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、耐熱手袋200の手の甲部分にRFIDタグ201を取り付け、読取範囲が下方を向くようにRFIDリーダ119を配置した。しかし、耐熱手袋200に対するRFIDタグ201の取り付け箇所と、RFIDリーダ119の設置箇所は本実施形態で説明した位置関係に限定されない。
【0057】
例えば支持体120を設けずにRFIDリーダ119を扉117に取り付けてもよい。この場合、耐熱手袋200のRFIDタグ201をそのRFIDリーダ119にかざすことで電磁ロックが解除され、その後に取っ手118を掴んで扉117を開けることができる。
【0058】
ただし、RFIDリーダ119は、前述の実施形態で説明したように、取っ手118の上方において読取範囲が下方を向くように配置されることが好ましい。これにより、扉117の取っ手118を掴む動作と同時にRFIDタグ201の読み取りができるため、電磁ロックを解除するまでの動作を簡略化できる。これに加え、RFIDリーダ119の読み取り面が下方に向いているため、読み取り面の汚損も抑制できる。
【0059】
<他の適用例>
以上の説明では、保守対象物が熱処理ユニット40であるために保護具として耐熱手袋200を用いたが、使用される保護具は保守対象物に応じて異なる。以下の説明においては、電磁ロック付の扉が取り付けられた筐体を有する他の保守対象物にRFIDタグ付の保護具を適用する例を説明する。
【0060】
(レジスト塗布ユニット)
図9は、レジスト塗布ユニット31の構成の概略を示す縦断面図である。レジスト塗布ユニット31は、ウェハWの表面に塗布膜としてレジスト膜を形成し、その後に周縁部の不要なレジスト膜を除去する装置として構成されている。
【0061】
このレジスト塗布ユニット31は、筐体としての処理容器130を有し、処理容器130は、レジスト塗布処理に使用される機器を収容する収容空間130aを有している。処理容器130内の上部には、FFU(図示せず)からの清浄空気を下方にダウンフローとして供給する給気部131が設けられている。
【0062】
処理容器130内の給気部131の下方には、ウェハWを保持して回転させる基板保持部としてのスピンチャック132が設けられている。スピンチャック132は、真空吸着により例えばその直径が300mmの円形基板であるウェハWを水平に保持するように構成されている。スピンチャック132は、モータなどを含む回転駆動部133に接続されている。回転駆動部133は、制御部U(
図1)から出力される制御信号に応じた回転速度で、スピンチャック132を鉛直軸回りに回転させる。
【0063】
搬送装置(図示せず)によるスピンチャック132へのウェハWの授受は、ウェハWの裏面を支持する3本の支持ピン134(図では図示の都合上2本のみ示している)の昇降によって行われる。支持ピン134は、基台135上に設けられており、基台135は昇降機構136の駆動によって昇降自在である。
【0064】
スピンチャック132の下方側には断面形状が山形のガイドリング137が設けられており、このガイドリング137の外周縁部には、下方に延びた環状の外周壁138が設けられている。そしてスピンチャック132及びガイドリング137を囲むように、カップ139が配置されている。
【0065】
カップ139は上側が開口し、スピンチャック132にウェハWを受け渡すことができるようになっている。カップ139の内側周面とガイドリング137の外周壁138との間には排出路を構成する隙間140が形成されている。カップ139の底部139aには、底部139aから上方に起立した排気管141が設けられている。またカップ139の底部139aには排液口142が設けられている。
【0066】
レジスト塗布ユニット31は、スピンチャック132に保持されたウェハW上にレジスト液を供給するレジストノズル143を備えている。レジストノズル143は下端面に吐出口143aが形成されている。レジストノズル143は、レジスト液供給路144を介して、レジスト液が貯留されたレジスト液供給源145に接続されている。レジスト液供給源145はポンプを備え、レジスト液をレジストノズル143側へ圧送し、圧送されたレジスト液は、吐出口143aから吐出される。レジスト液の供給及び停止は、制御部U(
図1)から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0067】
レジストノズル143は、水平方向及び鉛直方向に移動可能に構成され、カップ139の外部に設けられた待機位置146とウェハWの中心上方との間で移動することができる。
【0068】
レジスト塗布ユニット31は、発光部としてのレーザー発光部147を有している。レーザー発光部147は、スピンチャック132に保持されたウェハWの端部の下方となる位置で、かつガイドリング137の上方に配置されている。レーザー発光部147は
図9に示したように、レーザー光Bを垂直方向上方に向けて発光する。また、レーザー発光部147は、
図9の矢印で示したように、駆動部材(図示せず)によって水平方向、かつスピンチャック132に保持されたウェハWの径方向に移動可能である。
【0069】
レーザー発光部147から発光されるレーザー光Bは、反射部としてのミラー148に向けて発光される。ミラー148はスピンチャック132に保持されたウェハWの端部の上方に配置される。
【0070】
以上で説明したレジスト塗布ユニット31において保守作業を行う際には、保護具として、例えば飛散したレジスト液から作業者の目を保護するレジスト液用保護メガネ、耐薬素材からなる耐薬手袋や耐薬エプロン等が使用される。また、レジスト塗布ユニット31においては、ウェハWにレーザー光が使用される。このようなレーザー光を照射するユニットにおいては、保護具として例えばレーザー光から作業者の目を保護するレーザー光用保護メガネや耐熱手袋が使用される。
【0071】
それらの保護具にRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具としてそれらの保護具を予め制御部U(
図1)に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、処理容器130に取り付けられた扉の電磁ロックを解除することができる。
【0072】
なお、1つの保守対象物に対して対応保護具が複数登録されている場合には、全ての対応保護具の着用が確認された時点で電磁ロックが解除される。例えば、対応保護具としてレジスト液用保護メガネ、耐薬手袋、耐薬エプロンの3つの保護具が登録されている場合、作業者の着用保護具が液体用保護メガネと耐薬手袋の2つのみである場合には、制御部Uは着用保護具と対応保護具が一致しないと判断し、電磁ロックは解除されない。
【0073】
また、
図1に示した現像処理ユニット30においては、処理液として現像液が使用されている。このため、現像処理ユニット30においては、例えば現像液用保護メガネ、耐薬手袋、耐薬エプロンを対応保護具として登録することが好ましい。
【0074】
(紫外線照射ユニット)
図10は、紫外線照射ユニット41の構成の概略を示す縦断面図である。紫外線照射ユニット41は、
図10に示すように内部を密閉することができる筐体としての処理容器150を有している。この処理容器150は、ウェハWに紫外線を照射するために使用される機器が収容される収容空間150aを有している。処理容器150の側面には、ウェハWの搬入出口151が形成され、搬入出口151には、開閉シャッタ152が設けられている。
【0075】
処理容器150の上面には、処理容器150の内部に向けて、酸素ガス以外のガス、例えば窒素ガス等の不活性ガスを供給するためのガス供給口160が形成されており、このガス供給口160には、ガス供給管161を介してガス供給機構162が接続されている。ガス供給機構162は、例えば、処理容器150内へのガス供給流量を調整する流量調整弁(図示せず)等を有する。このようなガス供給機構162によって、処理容器150内へ酸素ガス以外のガスを導入することにより、処理容器150内を酸素濃度が0.1ppm以下の低酸素雰囲気にすることができる。
【0076】
処理容器150の下面には、処理容器150の内部の雰囲気を排気するための排気口163が形成されており、この排気口163には、排気管164を介して処理容器150の内部の雰囲気を排気する排気機構165が接続されている。排気機構165は、排気ポンプ(図示せず)等を有する。ガス供給口160から酸素ガス以外のガスを導入し、排気口163から排気することにより、処理容器150内の雰囲気を、0.1ppm以下の低酸素雰囲気に、迅速に置換することができる。
【0077】
処理容器150の内部には、ウェハWを水平に載置する円筒形の支持体170が設けられている。支持体170の内部には、ウェハWの受け渡しを行うための昇降ピン171が支持部材172に支持されて設置されている。昇降ピン171は、支持体170の上面170aに形成された貫通孔173を貫通するように設けられ、例えば3本設けられている。支持部材172の基端部には、支持部材172を昇降させて昇降ピン171を昇降させるための駆動機構174が設けられている。駆動機構174は、支持部材172の昇降のための駆動力を発生するモータ等の駆動源(図示せず)を有する。
【0078】
処理容器150の上方には、支持体170上のウェハWに例えば172nmの波長の紫外線を照射する重水素ランプ又はエキシマランプ等の光源180が設けられている。光源180は、ウェハWの全面に対して紫外線を照射することができる。処理容器150の天板には、光源180からの紫外線を透過する窓181が設けられている。
【0079】
以上で説明した紫外線照射ユニット41において保守作業を行う際には、保護具として、例えば紫外線(紫外光)から作業者の目を保護する紫外光用保護メガネや耐薬手袋等が使用される。
【0080】
それらの保護具にRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具としてそれらの保護具を予め制御部U(
図1)に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、処理容器150に取り付けられた扉の電磁ロックを解除することができる。
【0081】
ところで、紫外線照射ユニット41においては、処理容器150内がオゾン雰囲気となり得る。このため、保守作業を行う作業者の安全性をさらに向上させる観点では、対応保護具としてガスマスクを登録することが好ましい。
【0082】
また、紫外線照射ユニット41においては、処理容器150内のオゾンガス濃度を測定するガス濃度センサ182を設けることが好ましい。ガス濃度センサ182で測定されたガス濃度の情報は、
図1に示した制御部Uに出力される。
【0083】
そして、例えば
図7に示したステップS2において、処理容器内の温度を処理容器内のオゾンガス濃度と読み替え、所定の温度を所定の濃度と読み替えることで、ステップS1~S7と同様の制御を行うことができる。すなわち、作業者の着用保護具が対応保護具と一致しない場合には、ガス濃度センサ182で測定されたオゾンガス濃度が所定の濃度未満である場合に、電磁ロックを解除することができる。ここで述べる所定の濃度とは、作業者がガスマスクを未着用であっても安全な呼吸が可能となるオゾンガス濃度である。
【0084】
そのような制御を行うことによって、保守作業を行う際に処理容器150内のオゾンガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用状態に関わらず、電磁ロックを解除することができる。すなわち、処理容器150内のオゾンガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用動作を省略して速やかに保守作業を開始できる。
【0085】
なお、紫外線(紫外光)を照射する装置と前述したレーザー光を照射する装置は、いずれも光照射装置の一例である。
【0086】
(ガス処理ユニット)
図11は、ガス処理ユニット32の構成の概略を示す縦断面図である。ガス処理ユニット32は、
図11に示すように内部を閉鎖可能な筐体としての処理容器210を有し、処理容器210は、ウェハWに形成された膜のガス処理に使用される機器を収容する収容空間210aを有している。処理容器210の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、搬入出口には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0087】
処理容器210内の中央部には、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック211が設けられている。スピンチャック211は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック211上に吸着保持できる。
【0088】
スピンチャック211は、チャック駆動機構212に接続されており、そのチャック駆動機構212により所望の速度に回転できる。チャック駆動機構212は、スピンチャック211の回転のための駆動力を発生するモータ等の回転駆動源(図示せず)を有する。また、チャック駆動機構212には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、スピンチャック211は上下動可能である。
【0089】
スピンチャック211の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ213が設けられている。カップ213の下面には、回収した液体を排出する排出管214と、カップ213内を排気する排気管215が接続されている。
【0090】
スピンチャック211の上方には、Y方向と鉛直方向のそれぞれに移動可能なアーム221が設けられている。アーム221には、吐出ノズル222が支持されている。吐出ノズル222は、酸性ガスを含む処理ガスとして、酢酸ガスを含むドライエアを、スピンチャック211に保持されたウェハWの一部分に向けて吐出する。
【0091】
吐出ノズル222は、供給管230を介して供給機構231に接続されている。供給機構231は、酢酸ガスを含むドライエアを吐出ノズル222に供給する。供給機構231は、例えば、酢酸を貯留するボトル232と、ボトル232にドライエアを供給する供給管233と、供給管233に介設された開閉弁234と、を有する。ドライエアの供給源(図示せず)からのドライエアを、供給管233を介してボトル232に供給することにより、酢酸ガスを含むドライエアを、供給管230を介して吐出ノズル222に供給することができる。供給機構231の動作は制御部Uにより制御される。
【0092】
さらに、カップ213の上方には、下方に向けて清浄な空気を送り込むFFU240が設けられている。FFU240は、酸性ガスを除去するフィルタ(図示せず)が設けられており、スピンチャック211に保持されたウェハWに向けて、酸性ガスが除去された清浄な空気を送り込むよう構成されている。
【0093】
以上で説明したガス処理ユニット32においては、例えば露光処理前の金属含有レジスト膜に対する酸性雰囲気処理が行われる。つまり、ガス処理ユニット32では処理容器150内が大気雰囲気とは異なるガス雰囲気となる。このため、ガス処理ユニット32の保守作業を行う際には、保護具としてガスマスクを使用することが好ましい。
【0094】
そのガスマスクにRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具としてそのガスマスクを予め制御部U(
図1)に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、処理容器210に取り付けられた扉の電磁ロックを解除することができる。
【0095】
また、ガス処理ユニット32においては、処理容器210内の処理ガス濃度を測定するガス濃度センサ241を設けることが好ましい。ガス濃度センサ241で測定された処理ガス濃度の情報は、
図1に示した制御部Uに出力される。
【0096】
そして、例えば
図7に示したステップS2において、処理容器内の温度を処理容器内の処理ガス濃度と読み替え、所定の温度を所定の濃度と読み替えることで、ステップS1~S7と同様の制御を行うことができる。すなわち、作業者の着用保護具が対応保護具と一致しない場合には、ガス濃度センサ241で測定された処理ガス濃度が所定の濃度未満である場合に、電磁ロックを解除することができる。ここで述べる所定の濃度とは、作業者がガスマスクを未着用であっても安全な呼吸が可能となる処理ガス濃度である。
【0097】
そのような制御を行うことによって、保守作業を行う際に処理容器210内の処理ガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用状態に関わらず、電磁ロックを解除することができる。すなわち、処理容器210内の処理ガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用動作を省略して速やかに保守作業を開始できる。
【0098】
なお、
図2に示した現像処理ユニット30では、現像液を使用した湿式の現像処理が行われるが、ガス処理ユニット32は乾式現像処理を実施できるように構成されてもよい。乾式現像処理においては、腐食性ガスが発生し得るため、RFIDタグ付のガスマスクを利用した上述の保守方法を適用することが有用である。
【0099】
(受渡しユニット)
図1~
図3に示した処理ステーション3の第4のブロックG4には、前述したように複数の受け渡しユニット60~63が設けられる。これらの受け渡しユニット60~63の筐体内は、不活性ガスの一例である窒素ガスが充填されることで窒素ガス雰囲気となる。
【0100】
このため、受け渡しユニット60~63の保守作業を行う際には、保護具としてガスマスク(具体的には酸素マスク)が使用される。
【0101】
そのガスマスクにRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具として、そのガスマスクを予め制御部U(
図1)に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、筐体に取り付けられた扉の電磁ロックを解除することができる。
【0102】
また、受け渡しユニット60~63においては、筐体内の不活性ガス濃度を測定するガス濃度センサ(図示せず)を設けることが好ましい。そのガス濃度センサで測定された不活性ガス濃度の情報は、
図1に示した制御部Uに出力される。
【0103】
そして、例えば
図7に示したステップS2において、処理容器内の温度を処理容器内の不活性ガス濃度と読み替え、所定の温度を所定の濃度と読み替えることで、ステップS1~S7と同様の制御を行うことができる。すなわち、作業者の着用保護具が対応保護具と一致しない場合には、ガス濃度センサで測定された不活性ガス濃度が所定の濃度未満である場合に、電磁ロックを解除することができる。ここで述べる所定の濃度とは、作業者がガスマスクを未着用であっても安全な呼吸が可能となる不活性ガス濃度である。
【0104】
そのような制御を行うことによって、保守作業を行う際に筐体内の不活性ガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用状態に関わらず、電磁ロックを解除することができる。すなわち、筐体内の不活性ガス濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用動作を省略して速やかに保守作業を開始できる。
【0105】
(インターフェイスステーション)
図1~
図3に示したインターフェイスステーション5の筐体内は、不活性ガスの一例である窒素ガスが充填されることで窒素ガス雰囲気となる。このため、RFIDタグ付きの保護具としてガスマスク(具体的には酸素マスク)を用いることで、上述した受け渡しユニット60~63と同様に保守作業を行うことができる。
【0106】
(洗浄システム)
図12は、基板処理装置としての洗浄システム300の内部構成の概略を示す説明図である。
図12に示すように、洗浄システム300は、搬入出ステーション301と、処理ステーション302とを備える。搬入出ステーション301と処理ステーション302とは隣接して設けられる。
【0107】
搬入出ステーション301は、カセット載置部311と、搬送部312とを備える。カセット載置部311には、複数枚の基板としてのウェハWを水平状態で収容する複数のカセットCが載置される。
【0108】
搬送部312は、カセット載置部311に隣接して設けられ、内部に搬送装置313と、受渡部314とを備える。搬送装置313は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置313は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてカセットCと受渡部314との間でウェハWの搬送を行う。
【0109】
処理ステーション302は、搬送部312に隣接して設けられる。処理ステーション302は、搬送部315と、複数の洗浄ユニット316とを備える。複数の洗浄ユニット316は、搬送部315の両側に並べて設けられる。
【0110】
搬送部315は、内部に搬送装置317を備える。搬送装置317は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置317は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部314と洗浄ユニット316との間でウェハWの搬送を行う。
【0111】
洗浄装置としての洗浄ユニット316は、搬送装置317によって搬送されるウェハWに対して洗浄処理を行う。
【0112】
また、洗浄システム300は、制御部Uを備える。制御部Uは、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種搬送装置や洗浄ユニット316等の動作を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部Uにインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0113】
上記のように構成された洗浄システム300では、まず、搬入出ステーション301の搬送装置313が、カセット載置部311に載置されたカセットCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部314に載置する。受渡部314に載置されたウェハWは、処理ステーション302の搬送装置317によって受渡部314から取り出されて、洗浄ユニット316へ搬入される。
【0114】
洗浄ユニット316へ搬入されたウェハWは、洗浄ユニット316によって洗浄処理された後、搬送装置317によって洗浄ユニット316から搬出されて、受渡部314に載置される。そして、受渡部314に載置された処理済のウェハWは、搬送装置313によってカセット載置部311のカセットCへ戻される。
【0115】
(洗浄ユニット)
図13は、洗浄ユニット316の構成の概略を示す縦断面図である。洗浄ユニット316は、筐体としての処理容器320を有し、処理容器320は、ウェハWの洗浄処理のために使用される機器を収容する収容空間320aを有している。
【0116】
処理容器320内には、ウェハWを回転可能に保持するスピンチャック321が設けられている。スピンチャック321は、ウェハWを真空引きにより吸着保持する。スピンチャック321は、ウェハWよりも小径であり、ウェハWの下面中央部を吸着保持する。軸部322は、先端部においてスピンチャック321を水平に支持する。駆動部323は、軸部322の基端部に接続され、軸部322を鉛直軸まわりに回転させる。
【0117】
ウェハWの下方かつスピンチャック321の外方には、加熱機構324が設けられている。 加熱機構324は、スピンチャック321に保持されたウェハWの下面に対し、加熱された流体を供給することによりウェハWの下面周縁部を加熱する。具体的には、加熱機構324は、ウェハWの周方向に並べて配置された複数の吐出口(図示せず)を備えており、これら複数の吐出口からウェハWの下面に対して加熱された流体を供給する。
【0118】
処理容器320内には、ウェハWの下面周縁部に処理液としての洗浄液を供給する下面ノズル325が設けられている。下面ノズル325は、ウェハWの下方に配置され、ウェハWの下面周縁部に向けて洗浄液を上向きに吐出する。配管326は、下面ノズル325と洗浄液供給源327とを接続する。洗浄液供給源327は、例えば洗浄液を貯留するタンクである。
【0119】
下面ノズル325からウェハWの下面周縁部に洗浄液が供給されることによって、ウェハWの下面周縁部に形成された膜を除去したり、ウェハWの下面周縁部を洗浄したりすることができる。
【0120】
ウェハWよりも上方においては、ウェハWの上面に洗浄液を吐出する上面ノズル328が設けられている。上面ノズル328は、吐出口を下向きにした状態で配置されている。また、上面ノズル328は、水平方向に移動可能に構成されており、ウェハWの上方における処理位置とウェハWの外方における退避位置との間で上面ノズル328を移動させることができる。配管329は、上面ノズル328と洗浄液供給源330とを接続する。洗浄液供給源330は、例えば洗浄液を貯留するタンクである。
【0121】
洗浄液としては、例えばフッ酸(HF)、希フッ酸(DHF)、フッ硝酸、DIW(脱イオン水)などを用いることができる。フッ硝酸とは、フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液である。
【0122】
ウェハWの下方には加熱機構324の外方に配置された円環状の下方カップ331が設けられている。下方カップ331は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等のフッ素樹脂等の耐薬品性の高い材料で形成される。
【0123】
外方カップ332は、ウェハWを取り囲むように設けられた環状の部材であり、ウェハWから飛散した洗浄液等を受け止める。外方カップ332の底部には、排液口333が形成されている。外方カップ332によって受け止められた洗浄液等は、外方カップ332と下方カップ331とによって形成される空間に貯留された後、排液口333から洗浄ユニット316の外部に排出される。
【0124】
以上で説明した洗浄ユニット316においては、洗浄液が使用されているため、保守作業を行う際の保護具として、例えば飛散する洗浄液から作業者の目を保護する洗浄液用保護メガネを使用される。また、洗浄ユニット316においては、加熱機構324が設けられているため、保守作業を行う際の保護具として、耐熱手袋が使用される。
【0125】
それらの保護具にRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具として、それらの保護具を予め制御部U(
図12)に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、処理容器320に取り付けられた扉の電磁ロックを解除することができる。
【0126】
ところで、洗浄ユニット316においては、使用する洗浄液が揮発することによって処理容器320内の雰囲気中に含まれる洗浄液の濃度が上昇する。このため、保守作業を行う作業者の安全性をさらに向上させる観点では、対応保護具としてガスマスクを登録することが好ましい。
【0127】
また、洗浄ユニット316においては、処理容器320内の雰囲気中に含まれる揮発した洗浄液の濃度を測定するガス濃度センサ334を設けることが好ましい。ガス濃度センサ334で測定されたガス濃度の情報は、
図12に示した制御部Uに出力される。
【0128】
そして、例えば
図7に示したステップS2において、処理容器内の温度を処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した洗浄液の濃度と読み替え、所定の温度を所定の濃度と読み替えることで、ステップS1~S7と同様の制御を行うことができる。すなわち、作業者の着用保護具が対応保護具と一致しない場合には、ガス濃度センサ334で測定された処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した洗浄液の濃度が所定の濃度未満である場合に、電磁ロックを解除することができる。ここで述べる所定の濃度とは、作業者がガスマスクを未着用であっても安全な呼吸が可能となる濃度である。
【0129】
そのような制御を行うことによって、保守作業を行う際に、処理容器320内における揮発した洗浄液の雰囲気濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用状態に関わらず、電磁ロックを解除することができる。すなわち、処理容器320内における揮発した洗浄液の雰囲気濃度が十分に低下している場合には、ガスマスクの着用動作を省略して速やかに保守作業を開始できる。
【0130】
なお、処理液の揮発は、洗浄液に限らず、例えば前述したレジスト塗布ユニット31で使用するレジスト液あるいは現像処理ユニット30で使用する現像液でも生じ得る。このため、レジスト塗布ユニット31や現像処理ユニット30においても、対応保護具としてガスマスクを登録することが好ましい。
【0131】
(液貯留部)
図14は、各種処理液を貯留する液貯留部の収容容器について説明するための説明図である。前述のレジスト塗布ユニット31、現像処理ユニット30、洗浄ユニット316等の液処理ユニットに各種処理液を供給するためには、液貯留部としてのボトル340が各々の液処理ユニットの近傍に配置される。
【0132】
ボトル340は、筐体の一例である容器341内に収容され、この容器341内には、配管やポンプ(図示せず)などのウェハWの液処理のために使用される機器も収容される。また、容器341には、電磁ロック付の扉342も取り付けられている。
【0133】
以上で説明した処理液の液貯留部の保守作業を行う際には、保護具として、例えば飛散した処理液から作業者の目を保護する処理液用保護メガネ、耐薬素材からなる耐薬手袋や耐薬エプロン等が使用される。
【0134】
そして、それらの保護具にRFIDタグを取り付けると共に、対応保護具としてそれらの保護具を予め制御部に登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、扉342に取り付けられた電磁ロックを解除することができる。
【0135】
(電装品収容部)
図15は、塗布現像処理装置1の正面側を装置外部から見た図である。ウェハの各種処理ユニットの稼働に必要な電装品は、例えば塗布現像処理装置1の処理ステーション3の床下に配置される。具体的には、塗布現像処理装置1の床下に筐体としての容器350が配置され、その容器350内に形成された収容空間350a内に電装品が収容される。
【0136】
この容器350に電磁ロック付の扉を取り付け、対応保護具として絶縁素材からなる絶縁手袋を制御部Uに登録することで、前述した熱処理ユニット40の保守方法と同様の制御を行うことができる。すなわち、保守作業を行う際に、作業者の着用保護具のRFIDタグを読み取り、着用保護具が対応保護具と一致する場合にのみ、扉の電磁ロックを解除することができる。
【0137】
なお、
図15に示した例では、電装品収容部が処理ステーション3の床下に配置されている、例えば処理ステーション3の側面に隣接するように配置されてもよい。
【0138】
以上で説明したように、RFIDタグ付の保護具を利用した保守方法は、様々な保守対象物に対して適用することができる。なお、ウェハの処理のために使用される機器を収容する筐体には、様々なのものがあるが、筐体の種別に対する対応保護具の要否の一例をまとめると以下の表1のようになる。
【0139】
【0140】
<好ましい制御例>
RFIDタグ付の保護具を利用した保守作業を実施できる基板処理装置においては、以下の制御例を組み合わせることが好ましい。
【0141】
図15に示した塗布現像処理装置1には、保守作業者の固有情報を読み取って識別するための識別部として非接触型ICカードリーダ400が設置されている。ICカードリーダ400では、作業者が所有する社員証などのICカードが読み取られる。また、制御部Uには、作業者ごとの固有情報として、例えばID番号が予め登録されている。
【0142】
このような塗布現像処理装置1においては、作業者の着用保護具が対応保護具と一致し、かつ、ICカードリーダ400で読み取られたID番号が予め登録されたID番号と一致する場合に保守対象物の電磁ロックを解除する制御を行うことが好ましい。
【0143】
そのような制御を行うことによって、保守作業を試みる作業者が、所定の作業者である場合にのみ電磁ロックを解除することができる。これにより、例えば複数の塗布現像処理装置ごとに異なる保守担当者が割り当てられている場合に、正規の保守担当者のみが保守作業を行うことができる。
【0144】
なお、以上の例では、識別部としてICカードリーダ400を用いているが、指紋認証などの生体認証によって作業者を識別してもよい。すなわち、識別部は、作業者を識別できる構成であればよい。また、識別部の機能は、前述した検知部に含まれてもよい。
【0145】
図15に示す塗布現像処理装置1には、表示部としてのタッチパネル401が設けられている。タッチパネル401は、塗布現像処理装置1の操作を行う入力部としての機能も有する。
【0146】
このような塗布現像処理装置1においては、ICカードリーダ400で読み取られたICカードのID番号が予め登録されたID番号と一致した場合にタッチパネル401に専用の操作画面を表示させる制御を行うことが好ましい。
【0147】
そのような制御を行うことによって、保守作業を試みる作業者が、所定の作業者であった場合にのみ、タッチパネル401にその作業者専用の操作画面を表示させることができる。これにより、例えば複数の塗布現像処理装置ごとに異なる保守担当者が割り当てられた場合、あるいは1つの塗布現像処理装置の中で処理ユニットごとに異なる保守担当者が割り当てられている場合に、正規の保守担当者のみが保守作業を行うことができる。
【0148】
図15に示す塗布現像処理装置1には、発光部としてのLEDランプ402が設けられている。LEDランプ402は、制御部Uから入力される信号に基づいて点灯する。
【0149】
このような塗布現像処理装置1においては、ICカードリーダ400で読み取られたICカードのID番号が予め登録されたID番号と一致した場合にLEDランプ402を点灯させる制御を行うことが好ましい。
【0150】
そのような制御を行うことによって、保守作業を試みる作業者が、所定の作業者であった場合にのみ、LEDランプ402が点灯する。すなわち、正規の保守担当者以外の作業者が保守作業を試みた際には、LEDランプ402が点灯しないため、タッチパネル401を操作する作業者に対して自身の担当外の装置を操作していることを報知することができる。
【0151】
以上、実施形態にかかる基板処理装置およびその保守方法について説明した。
【0152】
なお、以上の説明では、作業者の着用保護具を検知する検知部として、RFIDリーダを用いたが、作業者の着用保護具の検知手段は、RFIDを用いたシステムに限定されない。例えば検知部としてカメラ等の撮像装置を用い、その撮像装置によって作業者の着用保護具を検知してもよい。
【0153】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲、後述の本開示の技術的範囲に属する構成例及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0154】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0155】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板の処理のために使用される機器を収容する収容空間を有した筐体と、
前記収容空間の開状態と閉状態とを切り替える開閉器と、
前記筐体の周辺に設けられ、作業者の着用保護具を検知する検知部と、
前記開閉器の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された前記着用保護具が予め登録された前記筐体に対応する対応保護具であるか判定を行い、前記着用保護具が前記対応保護具である場合には、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、基板処理装置。
(2)前記筐体は、前記基板を加熱する熱処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、耐熱手袋を含む、(1)に記載の基板処理装置。
(3)前記処理容器内の温度を測定する温度センサを備え、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記温度センサで測定された温度が所定の温度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、(2)に記載の基板処理装置。
(4)前記筐体は、前記基板に処理液を供給して液処理を行う液処理装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記処理液に対して作業者を保護する液体用保護メガネを含む、(1)に記載の基板処理装置。
(5)前記処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した前記処理液の濃度を測定するガス濃度センサを備え、
前記対応保護具は、ガスマスクを含み、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記ガス濃度センサで測定された前記処理容器内の雰囲気中に含まれる揮発した前記処理液の濃度が所定の濃度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、(4)に記載の基板処理装置。
(6)前記筐体は、前記基板に光を照射する光照射装置の処理容器であり、
前記対応保護具は、前記光に対して前記作業者の目を保護する光用保護メガネを含む、(1)に記載の基板処理装置。
(7)前記筐体は、前記収容空間内に大気雰囲気と異なるガスが充填された筐体であり、
前記対応保護具は、ガスマスクである、(1)に記載の基板処理装置。
(8)前記筐体内の前記ガスの濃度を測定するガス濃度センサを備え、
前記制御部は、
前記着用保護具が前記対応保護具である場合は、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替え、
前記着用保護具が前記対応保護具でない場合には、前記ガス濃度センサで測定された前記ガスの濃度が所定の濃度未満である場合に前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、(7)に記載の基板処理装置。
(9)前記筐体は、前記基板に供給される処理液が貯留する貯留部が配置された容器であり、
前記対応保護具は、前記処理液に対して前記作業者の目を保護する液体用保護メガネを含む、(1)に記載の基板処理装置。
(10)前記筐体は、電装品を収容する容器であり、
前記対応保護具は、絶縁手袋を含む、(1)に記載の基板処理装置。
(11)前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部を備え、
前記制御部は、前記着用保護具が前記対応保護具であり、かつ、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記収容空間の閉状態を開状態に切り替える制御を実行する、(1)~(10)のいずれかに記載の基板処理装置。
(12)前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部と、
前記基板処理装置の操作画面を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記表示部に前記所定の作業者専用の操作画面を表示する制御を実行する、(1)~(11)のいずれかに記載の基板処理装置。
(13)前記基板処理装置の操作を行う作業者の固有情報を識別する識別部と、
前記制御部から入力される信号に基づいて点灯する発光部と、を備え、
前記制御部は、前記識別部により識別された作業者が所定の作業者である場合に、前記発光部を点灯させる制御を実行する、(1)~(12)のいずれかに記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0156】
1 塗布現像処理装置
110 処理容器
110a 収容空間
117 扉
119 RFIDリーダ
200 耐熱手袋
H 記憶媒体
U 制御部
W ウェハ